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◎非核化合意とは「金王朝維持の保証」

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◎非核化合意とは「金王朝維持の保証」
 具体策は米朝会談に棚上げ
 「板門店宣言」はきっかけに過ぎない
  悠久たる歴史の流れからみれば、南北首脳会談は極東平和に紛れもなく貢献するが、多くの疑問も残した。韓国大統領の文在寅と北朝鮮朝鮮労働党委員長金正恩は27日、歴史に残る南北首脳会談を終え、「半島の完全非核化」に向けて合意し、平和協定の締結を目指すことで一致した。しかし、両首脳の談笑とは裏腹に、北朝鮮の核兵器破棄の具体策は1歩も進む気配はなく、金正恩とトランプの米朝首脳会談までに北朝鮮が譲歩する意思があるかは依然不透明だ。逆に経済的な困窮から実利を求める金正恩の姿が目立った。極東情勢の緊張緩和は歓迎すべきだが、散々世界を欺いてきた北朝鮮である。油断は禁物だ。
 紛れもなく歴史に残る「板門店宣言」の中核部分は、韓国と北朝鮮が「朝鮮半島の完全な非核化を通じて核のない朝鮮半島を実現するという共通目標を確認した」という部分だ。だが、この「完全な非核化」の表現は、北が譲歩したと受け止めるべきではない。あくまで「朝鮮半島の非核化」なのであり、在韓米軍が含まれているのだ。条件付きなのだ。加えて、宣言には非核化のプロセスは一切含まれておらず、抽象的な表現にとどまっており、具体的な措置にも言及していない。宣言では「核」「非核化」への言及は4回しかなかったものの、「平和」という単語が11回使われた。これは南北の緊張緩和と関係改善をプレーアップする性格の会談であったことを物語る。つまり、南北首脳会談では具体的な措置を米朝首脳会談に委ねることになった。南北会談は米朝首脳会談に向けての“橋渡し”にとどまり、焦点は米朝会談に移行したことを意味する。
 核廃棄という大事を進めるためには、具体的には地道な合意の積み重ねが必要となる。まず定期的な首脳会談の継続だが、これは今秋にも文在寅が平壌を訪問することで実現することになろう。金大中政権は対話や経済支援により変化を促す「太陽政策」を推し進めたが、結局は失敗した。どうしても南北2国間だけでは埋められない溝が生じてしまうのだ。ここはやはり、米朝首脳会談で最終的な妥結を目指す必要があるのだ。もともと今回の南北会談は米朝会談への予備的協議の性格を有するものであった。トランプは先に行われたポンペイオと金正恩の会談を見て、南北首脳会談で一定の流れが出たと判断しているようだ。これまでの高圧的な態度を急速に転換させ始めている。トランプは「みんなは『私が核戦争を起こす』と言ったが、核戦争は弱腰の人間が起こす。これまで『小さなロケットマン』とか『私の核のボタンの方が大きい』と発言したが、暴言だった。北はこちらが要求する前に、私が発言する前に諦めた。私はうまくやっているのだ」と述べているが、まだ北が具体策に言及していないうちから“自画自賛”しているのは相変わらず浅薄だ。
 トランプは、極東安保の全てが、自分と金正恩との会談に移されたということを自覚すべきだ。北は開発した核をどうするのか。放棄するのか保有し続けるのか。もちろん廃棄の規模や時期については何ら分かっていない。ただ分かっているのは非核化とは「金王朝体制の保証」なのだ。従って「非核化」の文言に具体性がない限り、トランプは制裁緩和や体制の保証などの対価を与えるべきではない。最終的に核製造施設と核兵器の解体、核物質の海外への移転、国際原子力機構(IAEA)による査察の徹底などを経てこそ対価があり得ることを明確に提示すべきである。首相・安倍晋三が「今回の会談を受け、米朝会談を通じて、北朝鮮が実体的な行動を取る事を期待する」と述べているが、これが正しい。おそらく安倍は先の訪米でトランプに提言すると共に、対処方針で合意に達しているのだろう。
 日朝関係も前向きに進める必要がある。拉致問題もさることながら、極東安保の観点からも、日本も積極的に関与する必要がある。国交正常化の動きは既に首相小泉純一郎が2002年の金正日との会談で平壌宣言をまとめている。内容は「両首脳は、日朝間の不幸な過去を清算し、懸案事項を解決し、実りある政治、経済、文化的関係を樹立することが、双方の基本利益に合致するとともに、地域の平和と安定に大きく寄与するものとなるとの共通の認識を確認した」というものだ。しかし、拉致問題が進展しなくなったことや、2006年に北朝鮮政府がミサイル発射実験や核実験を強行して、有名無実化した状態となっている。こうした例にならって安倍は米国と連携しつつも機を見て積極的行動に出る必要があろう。
 ◎俳談
【歌枕を詠む】
 古歌に読み込まれた諸国の名所を歌枕と言うが、それ故に俳句に地名を読み込むときには注意が必要である。なぜなら、地名の持つ余韻がその俳句に規範として働くからである。
  芭蕉は俳句に歌枕を入れることについて
「名所の句のみ雑の句にもありたし。季を取り合わせ、歌枕を用ゆる、17文字にはいささか志述べがたし」
と述べている。名所の句には無季の句があってよいというのである。季語と歌枕と並列すると詠みきれないというのである。要するに季語を入れたら地名を入れない。地名を入れたら季語を入れないのが原則であるというのだ。俳句の場合はどうしても季語が優先するから、安易に地名を入れてはならぬということになる。俳句では季語と歌枕がバッティングしすぎるのである。
 翻って、朝日俳壇の長谷川櫂の選句を見ると、明らかに芭蕉の教えを意識して守っているところが伺える。
 沖縄や悲しき歌を晴晴と
という句を選句して、コメントを付け「地名が一句にはいるとき、季語不要の場合がある」と述べている。俳聖の教えは今でも通用するから凄い。

[5429] 東北福祉大学講義録 - その④ その③

[5429] 東北福祉大学講義録 - その④ Name:浅野勝人 NEW! Date:2018/04/27(金) 23:02 
 
[5429] 東北福祉大学講義録 - その④ Name:浅野勝人 NEW! Date:2018/04/27(金) 23:02 
 
東北福祉大学講義録 - その④
朝鮮半島非核化と東アジア情勢
東北福祉大学客員教授  シンクタンク安保研理事長  浅野勝人

私は、一昨年の秋、子どもの頃からあこがれていた孫悟空を探しに西域を旅しました。シルクロードといった方がわかりやすいかもしれません。
西安で三蔵法師には たっぷり会えましたが、孫悟空は見つかりませんでした。それで敦煌に足を延ばしました。そして、タクラマカン砂漠東端に連なる広大なクムタグ砂漠を越えて、楡林窟にたどり着き、遂に念願の孫悟空に会うことができました。
第3窟西壁全面を占める「普(ふ)賢(げん)菩薩図」の右端中ごろに、天竺(インド)からの帰途、白馬を連れた三蔵法師と供の孫悟空が五台山の方角に向かって合掌している「玄奘(げんじょう)取経図」が描かれています。
“遂に孫悟空に会えた”という感動が伝わってきました。
西域ひとり旅の帰り、チンギス・ハーンに会うために蘭州に立ち寄りました。モンゴルにはチンギス・ハーンの遺跡はありません。墓探しも禁じられています。ところが、タングート族の侵略から中国を守ったチンギス・ハーンの功績を讃えて、蘭州郊外の興隆山に慰霊のための大雄寶殿が建てられており、大ハーンの大きな座像が祀られています。
登山口山門付近で掃除をしていた70才そこそこと見受ける男の人から、突然、話しかけられました。

「あんた、どこの人だね。中国人ではないみたいだ」
「東京から来ました。日本人です」
「やっぱりそうか。本物の日本人を見るのは初めてだが、こんな
ところまで何しに来たのかね?」
「ここにお祀りしてあるチンギス・ハーンをお参りに来ました」
「私のおじいさんや親の兄弟は、あらかた『9・18』か、『抗日戦争』で日本人に殺された。母親から日本人は鬼より怖い畜生だとさんざん聞かされて育ってきた。あんたを見て、ひょっとしたら日本人ではないかと思ったのだが、普通の人に見たので頭が混乱して、つい確かめたくなって声をかけてしまった」
「よく声をかけてくれました。とてもうれしいです。おっしゃる通り、かつて日本軍が中国を侵略して、多くの人を殺したり、傷つけたりしました。あれは当時の軍隊のやったことで、現在の日本人には関係のない昔の出来事だったとは申せません。日本民族の仕出かした過ちですから、当然、私たちに責任があり、懺悔(ざんげ)しています。
ただ、45年前、毛沢東、周恩来と日本政府代表との間で、これからはお互いに仲良くしていこうと誓い合いました。日本人は、その約束を守ってきたし、今後も守ります。
日本人は、ただ、ただ平和を願っている人ばかりです。二度と戦争はしないと誓っています」
「日本人でも、あんたみたいな“いい人”もいるんだ」

会話はそこで途切れました。
オマエはいい人のようだが、あとの日本人は悪いヤツばかりに違いないという余韻を引きずっていました。
長い間の怨念を払しょくするには、並大抵の努力では足りないと改めて教えられた思いでした。

日本政府と日本人の中国に対する寛容と忍耐の精神は、必ずしも十分と申せませんが、私は日中国交正常化以来、46年間、ひたすら日中間の厚い氷を融かす「融冰之旅」を続けて参りました。私のような日本人は幾らもいます。
皆さんもわたしの後に続いてください。
今日は、歴史的転換期にある極東の動向を見る目を君たちに養ってもらうための講義でした。

☆これで講義を終わりますが、ひと言申し上げたい。
私が東北福祉大学と縁をいただいたのは、前学長の萩野浩基先生とたいへん親しいお付き合いをさせて頂いていたからです。私と同じ経歴で衆参両院の議員を経験した尊敬する友でした。
迷いごとにぶつかると、先生の著書「感性のとき」を繰り返し紐解いています。

知的障碍を持った私の知る山田ミキちゃん(生活年齢30才)のことである。
ベランダでミキちゃんの妹が学校の観察用に育てたトマトが夏になり、やっと赤く色づいてきた。
これを見たミキちゃんはなんと叫んだであろうか。
「トマトが咲いた。トマトが咲いた。」と喜び叫び続けた。
また、ミキちゃんは、湖にボートが浮かんでおり、ボートを若い二人が一生懸命漕いでいるのを見て喜びの声を上げた。
「ほら、あそこに、ボートが泳いでいる、ほらゆっくりボートが泳いでいる。」
何百冊の哲学書を読むよりも、どんな学識のある人の話を聞くよりも、「トマトが咲いた。」「ゆっくりボートが泳いでいる。」が、なぜか感性的に心の底に深く響いてくる。その響きこそ忘れている大切なものに思えてならない。
「この子に世の光をではなく、この子らから世に光を」と
いいたい。
福祉という言葉がしきりに使われているが、福祉とは人間として「幸」(生きること)への素朴な限りない追及と尊厳ある自己実現の歩みである。
福祉の目指すところは生きる喜びに満ちた人間生活の実現である。福祉への歩みとは、健常者も障碍者も人間がよりよく生きるために環境、身体、精神そして社会体系をも再構築し、他と共生共存できるように努力することである。

「感性のとき」は、東北福祉大学のバイブルだとわたしは思っています。東北福祉大学の学生なら、全員持っているかと思ったらそうでもない。喫茶店で飲むコーヒー2杯分です。まだ持っていない人は、校内の本屋さんで購入して、一生手元に置くことを薦めます。(元内閣官房副長官)
[5428] 東北福祉大学講義録 ー その③ Name:浅野勝人 NEW! Date:2018/04/27(金) 17:48 
 
東北福祉大学:講義録ーその③
朝鮮半島非核化と東アジア情勢
東北福祉大学客員教授  シンクタンク安保研理事長 浅野勝人

以上、知り得る情報を分析し、これまで集積してきた安保政策から判断して、国際関係論の地政学的立場を踏まえて持論を述べてきました。私は正論だと思っています。

☆そこで、ちょっと脱線して、歴史上、数えきれないほどあった政治的謀略手段が、今回の事態収拾の手立てとして検討されているか、いないか触れてみます。
「北朝鮮問題を解決するいい方法はありませんか。あなたの解決策を伺いたい」とよく聞かれます。私は遠慮しないではっきり答えることにしています。「ピンポイントで金正恩本人を排除することです。
実現出来たら一挙に問題が解決されて、北朝鮮の人々は幸せになります」と申しています。
これは、問題解決策としては非人道的な悲しい手法のように映りますが、アメリカ議会でも討議、検討の対象になっていますし、情報専門誌には公然と指摘されています。もちろんCIA(中央情報局)や軍が私と同じ考えを持っていないはずはありません。
ただ、説起来容易、做起来很难。言うは易く、行うは難しです。
アメリカが独裁者を狙ってピンポイント爆撃に成功したリビアやイラクのような例はいくらもありますが、いずれもスパイがわんさかいて情報が豊富でした。
北朝鮮の場合は、個人情報は皆無です。せいぜいアメリカのスパイ衛星くらいでは、個人の居場所を的確に掌握するのは無理でしょう。従って、この手立ては北朝鮮の場合は実現困難だと思われます。
その上、金正恩が米朝首脳会談を行い、話し合いで問題を解決したいと提案しましたので、個人排除の模索は影を潜めたとみるべきです。

☆もうひとつ、私は金正恩はパラノイヤではないかと疑っています。
パラノイヤは、病的な疑い深さを伴う内因性精神病の一種で、内心にいつも強烈な妄想を抱いています。ところが、厄介なことに頭脳明晰で、戦略思考に長(た)け、表向きの論理は一貫していて、行動・思想の秩序が保たれています。
北朝鮮ウオッチャーの第一人者で仲良しの寺田輝介元韓国駐在大使によると、これまでに側近が300人以上粛清されているそうです。
世界があっと驚いたのは、ナンバー2の実力者で、自分をサポートしている叔父の張成沢(チャン ソンテク)国防副委員長を突如処刑したことでした(2013/12月)この時、側近の李龍河(リ ヨンハ)行政部第一部長(日本の大臣)と張秀吉(チャン スギル)行政部副部長(日本の副大臣)も一緒に処刑されました。
2016/1月、平壌に開館した「科学技術の殿堂」の屋根の形をムクゲの花に変えるよう指示した折、資材や強度の関係から「変えない方が安全です。」と建築学的見地から正直に工事の変更を断った国家計画委員会副委員長は即刻処刑されました。
どうみてもおかしい。普通じゃない。
ヒットラーとスターリンの研究家が、行きつく先はパラノイヤでした。そうでないと、ヒットラーやスターリンが、当初、国民の熱狂的な支持を得て強行した途方もない虐殺・粛清の説明がつきません。

一方のドナルド・トランプですが、政権発足(2017/1月20日)から1年3ヵ月余りのうちに約半数の政府高官が解任や辞任で去り、交代率 約50%。「少なくとも過去100年はなかった」異常な事態となっています。
政権発足後、まもなく側近のマイケル・フリン大統領補佐官が解任されてビックリしましたが、後任の国家安全保障問題担当補佐官・マクマスター将軍も、解任されたのか、嫌気がさして辞めたのか、ホワイトハウスを去りました。
フリ―パス大統領首席補佐官も更迭され、驚いたのは側近中の側近、大統領選挙を仕切ってトランプ勝利の原動力となったバノン首席戦略官が解任されて喧嘩別れとなりました。
突如、FBI・連邦捜査局のトミー長官をクビにしたのは、大統領本人にまつわるロシア疑惑の捜査を止めないことの腹いせというのが本音と言われています。いま、二人はメデイアを通じてののしり合っています。
もっと驚いたのは、つい先頃、ハト派の色合いの濃いディラーソン国務長官が解任されたことです。国務長官といえば、各国の外務大臣です。解任されたディラーソンは「トランプは愚か者が」と言っています。保険福祉長官(トム・プライス)、金融大臣に当たる国家経済会議委員長(ゲイリー・コーン)、アメリカでは重要ポストの退役軍人長官(デビット・シュルキン)、クビになった閣僚級を数え上げからキリがありません。主要ポストで残っているのは、大統領が勝手に辞めさせられない副大統領とクビを切ったら自分がやられかねない全軍尊敬の的・マティス国防長官くらいですから、日本でいえば大物の防衛大臣を除いて閣僚はあらかたクビを切られたという異様な光景です。こちらもまともじゃないという気がしてなりません。
政府の高官を解任されるのは、形を変えた粛清と同じです。
ホアイトハウスに「大統領はパラノイアではないか」という噂が立っているというアングラ情報を聞いても驚きません。
「ロケット・ボーイ」も「生き馬の目を抜く不動産王」もちょっと似たところがありますから、トランプ・金正恩の米朝首脳会談は、頭のいい変人同士、意外と気が合って、世界をあっと驚かせる結果を出すかもしれないと、妙な期待をしています。
- その④
朝鮮半島非核化と東アジア情勢
東北福祉大学客員教授  シンクタンク安保研理事長  浅野勝人

私は、一昨年の秋、子どもの頃からあこがれていた孫悟空を探しに西域を旅しました。シルクロードといった方がわかりやすいかもしれません。
西安で三蔵法師には たっぷり会えましたが、孫悟空は見つかりませんでした。それで敦煌に足を延ばしました。そして、タクラマカン砂漠東端に連なる広大なクムタグ砂漠を越えて、楡林窟にたどり着き、遂に念願の孫悟空に会うことができました。
第3窟西壁全面を占める「普(ふ)賢(げん)菩薩図」の右端中ごろに、天竺(インド)からの帰途、白馬を連れた三蔵法師と供の孫悟空が五台山の方角に向かって合掌している「玄奘(げんじょう)取経図」が描かれています。
“遂に孫悟空に会えた”という感動が伝わってきました。
西域ひとり旅の帰り、チンギス・ハーンに会うために蘭州に立ち寄りました。モンゴルにはチンギス・ハーンの遺跡はありません。墓探しも禁じられています。ところが、タングート族の侵略から中国を守ったチンギス・ハーンの功績を讃えて、蘭州郊外の興隆山に慰霊のための大雄寶殿が建てられており、大ハーンの大きな座像が祀られています。
登山口山門付近で掃除をしていた70才そこそこと見受ける男の人から、突然、話しかけられました。

「あんた、どこの人だね。中国人ではないみたいだ」
「東京から来ました。日本人です」
「やっぱりそうか。本物の日本人を見るのは初めてだが、こんな
ところまで何しに来たのかね?」
「ここにお祀りしてあるチンギス・ハーンをお参りに来ました」
「私のおじいさんや親の兄弟は、あらかた『9・18』か、『抗日戦争』で日本人に殺された。母親から日本人は鬼より怖い畜生だとさんざん聞かされて育ってきた。あんたを見て、ひょっとしたら日本人ではないかと思ったのだが、普通の人に見たので頭が混乱して、つい確かめたくなって声をかけてしまった」
「よく声をかけてくれました。とてもうれしいです。おっしゃる通り、かつて日本軍が中国を侵略して、多くの人を殺したり、傷つけたりしました。あれは当時の軍隊のやったことで、現在の日本人には関係のない昔の出来事だったとは申せません。日本民族の仕出かした過ちですから、当然、私たちに責任があり、懺悔(ざんげ)しています。
ただ、45年前、毛沢東、周恩来と日本政府代表との間で、これからはお互いに仲良くしていこうと誓い合いました。日本人は、その約束を守ってきたし、今後も守ります。
日本人は、ただ、ただ平和を願っている人ばかりです。二度と戦争はしないと誓っています」
「日本人でも、あんたみたいな“いい人”もいるんだ」

会話はそこで途切れました。
オマエはいい人のようだが、あとの日本人は悪いヤツばかりに違いないという余韻を引きずっていました。
長い間の怨念を払しょくするには、並大抵の努力では足りないと改めて教えられた思いでした。

日本政府と日本人の中国に対する寛容と忍耐の精神は、必ずしも十分と申せませんが、私は日中国交正常化以来、46年間、ひたすら日中間の厚い氷を融かす「融冰之旅」を続けて参りました。私のような日本人は幾らもいます。
皆さんもわたしの後に続いてください。
今日は、歴史的転換期にある極東の動向を見る目を君たちに養ってもらうための講義でした。

☆これで講義を終わりますが、ひと言申し上げたい。
私が東北福祉大学と縁をいただいたのは、前学長の萩野浩基先生とたいへん親しいお付き合いをさせて頂いていたからです。私と同じ経歴で衆参両院の議員を経験した尊敬する友でした。
迷いごとにぶつかると、先生の著書「感性のとき」を繰り返し紐解いています。

知的障碍を持った私の知る山田ミキちゃん(生活年齢30才)のことである。
ベランダでミキちゃんの妹が学校の観察用に育てたトマトが夏になり、やっと赤く色づいてきた。
これを見たミキちゃんはなんと叫んだであろうか。
「トマトが咲いた。トマトが咲いた。」と喜び叫び続けた。
また、ミキちゃんは、湖にボートが浮かんでおり、ボートを若い二人が一生懸命漕いでいるのを見て喜びの声を上げた。
「ほら、あそこに、ボートが泳いでいる、ほらゆっくりボートが泳いでいる。」
何百冊の哲学書を読むよりも、どんな学識のある人の話を聞くよりも、「トマトが咲いた。」「ゆっくりボートが泳いでいる。」が、なぜか感性的に心の底に深く響いてくる。その響きこそ忘れている大切なものに思えてならない。
「この子に世の光をではなく、この子らから世に光を」と
いいたい。
福祉という言葉がしきりに使われているが、福祉とは人間として「幸」(生きること)への素朴な限りない追及と尊厳ある自己実現の歩みである。
福祉の目指すところは生きる喜びに満ちた人間生活の実現である。福祉への歩みとは、健常者も障碍者も人間がよりよく生きるために環境、身体、精神そして社会体系をも再構築し、他と共生共存できるように努力することである。

「感性のとき」は、東北福祉大学のバイブルだとわたしは思っています。東北福祉大学の学生なら、全員持っているかと思ったらそうでもない。喫茶店で飲むコーヒー2杯分です。まだ持っていない人は、校内の本屋さんで購入して、一生手元に置くことを薦めます。(元内閣官房副長官)
[5428] 東北福祉大学講義録 ー その③ Name:浅野勝人 NEW! Date:2018/04/27(金) 17:48 
 
東北福祉大学:講義録ーその③
朝鮮半島非核化と東アジア情勢
東北福祉大学客員教授  シンクタンク安保研理事長 浅野勝人

以上、知り得る情報を分析し、これまで集積してきた安保政策から判断して、国際関係論の地政学的立場を踏まえて持論を述べてきました。私は正論だと思っています。

☆そこで、ちょっと脱線して、歴史上、数えきれないほどあった政治的謀略手段が、今回の事態収拾の手立てとして検討されているか、いないか触れてみます。
「北朝鮮問題を解決するいい方法はありませんか。あなたの解決策を伺いたい」とよく聞かれます。私は遠慮しないではっきり答えることにしています。「ピンポイントで金正恩本人を排除することです。
実現出来たら一挙に問題が解決されて、北朝鮮の人々は幸せになります」と申しています。
これは、問題解決策としては非人道的な悲しい手法のように映りますが、アメリカ議会でも討議、検討の対象になっていますし、情報専門誌には公然と指摘されています。もちろんCIA(中央情報局)や軍が私と同じ考えを持っていないはずはありません。
ただ、説起来容易、做起来很难。言うは易く、行うは難しです。
アメリカが独裁者を狙ってピンポイント爆撃に成功したリビアやイラクのような例はいくらもありますが、いずれもスパイがわんさかいて情報が豊富でした。
北朝鮮の場合は、個人情報は皆無です。せいぜいアメリカのスパイ衛星くらいでは、個人の居場所を的確に掌握するのは無理でしょう。従って、この手立ては北朝鮮の場合は実現困難だと思われます。
その上、金正恩が米朝首脳会談を行い、話し合いで問題を解決したいと提案しましたので、個人排除の模索は影を潜めたとみるべきです。

☆もうひとつ、私は金正恩はパラノイヤではないかと疑っています。
パラノイヤは、病的な疑い深さを伴う内因性精神病の一種で、内心にいつも強烈な妄想を抱いています。ところが、厄介なことに頭脳明晰で、戦略思考に長(た)け、表向きの論理は一貫していて、行動・思想の秩序が保たれています。
北朝鮮ウオッチャーの第一人者で仲良しの寺田輝介元韓国駐在大使によると、これまでに側近が300人以上粛清されているそうです。
世界があっと驚いたのは、ナンバー2の実力者で、自分をサポートしている叔父の張成沢(チャン ソンテク)国防副委員長を突如処刑したことでした(2013/12月)この時、側近の李龍河(リ ヨンハ)行政部第一部長(日本の大臣)と張秀吉(チャン スギル)行政部副部長(日本の副大臣)も一緒に処刑されました。
2016/1月、平壌に開館した「科学技術の殿堂」の屋根の形をムクゲの花に変えるよう指示した折、資材や強度の関係から「変えない方が安全です。」と建築学的見地から正直に工事の変更を断った国家計画委員会副委員長は即刻処刑されました。
どうみてもおかしい。普通じゃない。
ヒットラーとスターリンの研究家が、行きつく先はパラノイヤでした。そうでないと、ヒットラーやスターリンが、当初、国民の熱狂的な支持を得て強行した途方もない虐殺・粛清の説明がつきません。

一方のドナルド・トランプですが、政権発足(2017/1月20日)から1年3ヵ月余りのうちに約半数の政府高官が解任や辞任で去り、交代率 約50%。「少なくとも過去100年はなかった」異常な事態となっています。
政権発足後、まもなく側近のマイケル・フリン大統領補佐官が解任されてビックリしましたが、後任の国家安全保障問題担当補佐官・マクマスター将軍も、解任されたのか、嫌気がさして辞めたのか、ホワイトハウスを去りました。
フリ―パス大統領首席補佐官も更迭され、驚いたのは側近中の側近、大統領選挙を仕切ってトランプ勝利の原動力となったバノン首席戦略官が解任されて喧嘩別れとなりました。
突如、FBI・連邦捜査局のトミー長官をクビにしたのは、大統領本人にまつわるロシア疑惑の捜査を止めないことの腹いせというのが本音と言われています。いま、二人はメデイアを通じてののしり合っています。
もっと驚いたのは、つい先頃、ハト派の色合いの濃いディラーソン国務長官が解任されたことです。国務長官といえば、各国の外務大臣です。解任されたディラーソンは「トランプは愚か者が」と言っています。保険福祉長官(トム・プライス)、金融大臣に当たる国家経済会議委員長(ゲイリー・コーン)、アメリカでは重要ポストの退役軍人長官(デビット・シュルキン)、クビになった閣僚級を数え上げからキリがありません。主要ポストで残っているのは、大統領が勝手に辞めさせられない副大統領とクビを切ったら自分がやられかねない全軍尊敬の的・マティス国防長官くらいですから、日本でいえば大物の防衛大臣を除いて閣僚はあらかたクビを切られたという異様な光景です。こちらもまともじゃないという気がしてなりません。
政府の高官を解任されるのは、形を変えた粛清と同じです。
ホアイトハウスに「大統領はパラノイアではないか」という噂が立っているというアングラ情報を聞いても驚きません。
「ロケット・ボーイ」も「生き馬の目を抜く不動産王」もちょっと似たところがありますから、トランプ・金正恩の米朝首脳会談は、頭のいい変人同士、意外と気が合って、世界をあっと驚かせる結果を出すかもしれないと、妙な期待をしています。

朝鮮半島非核化と東アジア情勢その②

東北福祉大学:講義録ーその②
朝鮮半島非核化と東アジア情勢
東北福祉大学客員教授 シンクタンク安保研理事長
浅野勝人

もともと国家間で見解が根本的に異なり、折り合いがつかない場合、解決方法は二つしかありません。戦争で結着をつけるか、話し合いで妥協するか。この道理から今回のケースを考察すると、アメリカと北朝鮮、双方とも本心は戦闘は避けたいと思っているのですから、交渉のテーブルに着くのは必然の結果です。
アメリカ・ミドルベリー大学教授のジェフリー・ルイス東アジア研究主幹も「交渉が事態打開の唯一の方策」と述べて、私と同様、早い段階から「米・朝対話」を予測していました。
経済制裁、特に石油禁輸の締め付けに、内心、根を挙げている北朝鮮が話し合いを選択して「金日成(キムイルソン)金正日(ジョンイル)、金正恩(ジョンウン)、金(キム)3代王朝の維持」を首脳会談開催の前提条件に、朝鮮半島の非核化に応じる用意があるというポーズを示したのは、ひとまずうなづけます。

ただ、交渉の先行きについては、北はこれ見よがしの実験を中止すだけで、すでに保有している核は放棄しないどころか、秘かにプルトニュウムを増産したり、秘密裡に地下で核実験をするのではないかという指摘があって、「相互不信の溝」がたいへん深く、楽観できる情況にありません。一方は核こそ生きのびる唯一の手段と考えていますから、容易に手放すはずがありません。もう一方はそれだけは許さない。今回は騙されないと警戒していますから、足して2で割るのは極めて難しい状況にあります。
特に厄介なのは、「朝鮮半島非核化」という言葉の定義です。
トランプ政権はもとより、私たち日本は、「朝鮮半島の非核化」とは、北朝鮮が核・ミサイルを当面凍結し、期限を区切って放棄することと理解しています。
ところが、金正恩は「朝鮮半島全域を非核化することだ」と主張する腹づもりではないかと推測されています。つまり、自分たちが裸にな前に、在韓米軍も核とミサイルを放棄するのは当然である。朝鮮半島の危険が無くなれば、米軍は韓国に駐在する意義がなくなるのだから撤退すべきだ。それを見届けない限り非核化には応じられないという論理の組み立てをする懸念があります。北朝鮮が、先に全ての核を放棄し、核の製造施設を廃棄しない限り、わたしたちは承服できません。アメリカ以上に日本にとっては死活問題だからです。見せかけかもしれない北朝鮮の言い分を真に受けて日本を見殺しにするような選択をアメリカに許すわけにはまいりません。卵が先か、鶏が先は、こりゃ誠に厄介です。話し合いがこじれて、真っ向から対立したら、何が起きるか予測困難な事態になり、今より悪化します。

☆このように、米朝交渉に根本的な食い違いが見えて、話し合いがこじれる可能性が出てくると、極東における核の分散という深刻な問題が惹起されます。これは、東アジアの平和と繁栄にとって最大の脅威となります。
金正恩は、今回の宣言の中で「核の不拡散」を約束していますが、これから始まる一連の交渉が長引いて、北朝鮮に非核化を承服させられそうにないという情況になった場合、韓国国内で台頭している核武装論がさらに助長される懸念があります。韓国ではすでに核武装すべきだが60%を占めており、極めて敏感に反応しています。それに刺激されて、台湾でも核武装を検討するという機運が出てくる懸念があります。日本では、幸い、作らず、持たず、持ち込ませずの非核3原則を変更すべきだという議論は起きていませんが、「北」からのミサイルが日本列島の上空をたびたび通過する事態が続くと、放置できないという世論が台頭しかねません。極東における核の分散は、「核の均衡」を崩して、東アジア情勢を一気に不安定にします。
この情況だけは回避させなければなりません。

従って、事態を解決するポイントは、北朝鮮が求めている「金正恩体制の維持」を保障する確かな担保です。「北」がアメリカは信頼できないと主張した場合、「北」の安全を保障できる第三勢力は中国しかありません。
中国は、北朝鮮を国家として存続させたいと考えています。そして、朝鮮半島の非核化には賛成の立場を表明していますから、中国こそ
うってつけの存在です。中国が「朝鮮半島の非核化」とは北朝鮮の核の放棄というアメリカ、日本と同じ立場を鮮明にしてくれると、双方の条件を満たす仲介役となって問題解決へ一歩近づきます。
3月下旬、25日~28日、金正恩本人が北京を訪れ、韓国、アメリカとの首脳会談の趣旨を報告すると共にアメリカとの交渉に臨み、いわば「後ろ盾」になってほしいと習近平国家主席に要請した点に、この間の事情がうかがえます。
そして、中国がその重要な役割を果たすためには、北朝鮮との信頼関係の再構築と共にアメリカ、日本、韓国との安全保障政策上の共通認識を深める必要があります。

その方策として、世界のGDP1位、2位、3位のアメリカ、中国、日本、3国相互間の安保体制を構築することが何より重要です。
そんなことができるわけがないと言わずに、まず安保政策上の相互の信頼関係を醸成する努力をしてほしいと念願します。
来月(5月)9日、東京で行われる安倍首相と李克強首相の首脳会談で信頼醸成をはぐくむ合意が成立すると聞いています。
両国の艦艇や航空機による偶発的な軍事衝突を避けるため、「海空連絡メカニズム」の運用を開始することになるものとみられます。これが実現しますと、海上自衛隊、航空自衛隊と人民解放軍の海軍、空軍との間に専用連絡回線、ホットラインが設置されます。

このように信頼が深まれば、次に「協商関係」の確立に発展させることができます。「協商」という概念は、なんらかの軍事的な偶発事故が発生した場合、直ちに双方で協議して、合意に基づいて事態に対処することを意味します。軍事的援助義務を伴わないという点では、日米安保条約のような軍事同盟とは異なりますが、協商関係の絆が強まれば、その中から同盟関係が生れる素地が出てくるにちがいありません。
ですから、私は、日本、中国、アメリカ3国の二等辺三角形を、日米安保条約が存在する日米同盟を底辺に、日中協商、中米協商によって構築することを提唱しています。そして、いずれ二等辺三角形が正三角形の同盟関係に発展して、アジア・太平洋地域の平和と安全を確かなものにする軍事安全保障の要となることを期待しています。
そこで、二等辺三角形構築の最大の障害になっている南シナ海をめぐる米中の軍事的睨み合いに触れておきます。
中国は南シナ海の南沙諸島(スプラトリー諸島)周辺の岩礁を埋め立てて人工島を造成し、軍事基地にして地対空ミサイルを装備しています。さらに西沙諸島(パラセル諸島)にも人工島を造ってミサイルを配備しています。
こうした中国の南シナ海の軍事拠点化にアメリカは神経を尖らせており、戦艦を派遣して中国をけん制しています。
確かに南シナ海と西太平洋を繋ぐ地点に造られたミサイルを装備した軍事基地はアジア各国の脅威ですが、冷静に考えてみると、米軍は東シナ海を望む沖縄、太平洋のグアム島、インド洋のディゴガルシア島に圧倒的な物量を誇る空軍を中心に海兵隊も駐留する巨大な基地を所有して、地球を北から南までタテの線で抑えています。ですから、南シナ海の中国の基地は米軍独占軍事ラインに打ち込まれたくさびの構図です。まあ、いわばどっちもどっちです。
そこで、米中両大国が、軍事力とは戦争をするためのものではなくて、戦争をさせないためのものという理解の上に立って、相手の実力を認め合い、お互いに安全を保障し合う関係を築けば、二等辺三角形の構築は不可能ではありません。それがアジア・太平洋地域の平和と繁栄を担保する大国の責任だと考えます。

◎米朝首脳会談に画期的成果は期待薄

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◎米朝首脳会談に画期的成果は期待薄
「核保有」の是非で行き詰まった
 米朝首脳会談へ向けて米国内で様々な観測が出始めたが、その多くが悲観的である。米大統領ドナルド・トランプとの首脳会談を控えて、北朝鮮朝鮮労働党委員長の金正恩が出した観測気球のごとき提案は、従来の譲歩をかき集めたものに過ぎない。その中身は、核実験とミサイル実験の凍結や、南北和平協定の締結後も在韓米軍を認めるといった内容だ。北による非核化の声明と言っても、これが実施に移されるかどうかは過去における欺瞞の構図が物語る話しであり、極めて困難だ。従って首脳会談は長年の米朝対立に終止符を打つというような画期的なものではなく、基本的な対立の構図を改めて確認することになりかねない要素が山積している。
 まず、北朝鮮と米国の首脳らによる発言から明確になって来た両国のポジションを分析する。米国の目標は北朝鮮の核兵器製造計画を完全に止め、既に製造した核兵器の破壊を求めるところにある。おそらくトランプは金正恩に対し①核爆弾とミサイル製造の中止と実験の停止②既にある核兵器の解体③南北平和協定締結後も在韓米軍を認める④核実験場の閉鎖ーなどを要求するだろう。これらの要求を受け入れない限り、経済制裁の解除はないと迫るものとみられる。
 これに対して金正恩は「核実験と大陸間弾道弾の発射実験を中止し、核実験場も閉鎖する。今後は経済発展に全力を傾注する」との対応を表明している。核実験場の閉鎖については、過去6回の実験で山崩れを起こしている上に、坑道も崩れて使い物にならないから無意味だ。その意図を分析すれば金正恩は、“現状のままでの核開発計画の凍結” で国際社会からの経済支援を受けたいという意図がありありと見受けられる。これは父の正日の意図とピタリと符合する。金正恩も金正日のように、体制の生き残りを核兵器開発に賭けてきたのだ。もちろん見返りを期待しての核実験停止は、父の方式の踏襲である。米国と北朝鮮の思惑はここで鋭く対峙しているのだ。要するに金正恩は現状のままで核開発プログラムを凍結し、その見返りに国際社会からの経済制裁を直ちに緩和させることを意図しているのだ。従って、トランプの「北朝鮮の非核化を見たい。非核化とは核兵器の撤去だ」という核兵器プログラムの完全な破棄を求める要求とは似ても似つかないものなのだ。トランプは「日本と世界にとって前向きな結果が出る」としているが、問題は「前向き」の度合いだ。
 それにしても正日と比べて正恩のやり口はすさまじく派手だ。金正恩体制のこれまでの約4年8カ月で、発射された弾道ミサイルは失敗を含め30発を超えた。金正日体制の約18年間では16発の弾道ミサイルが発射されたとみられる。金正恩体制はすでに、倍以上の弾道ミサイルを発射した計算となる。今や自分はもちろん金一族の体制を守る手段として核とミサイルのノウハウが使われているのが現実だ。核とミサイルは金王朝の維持と発展に直結しているのだ。金正恩は核を持たないイラクのサダム・フセインやリビアのカダフィに何が起きたかを知っているからこそ、用心に用心を重ねて二の舞いを食らうのは避けようとしているのだ。金正恩にしてみれば「核保有国」として世界が認めることを基本戦略に据えているのだ。
  これは逆に見れば国際社会による経済制裁が極めて有効に働き始めたことを意味する。金正恩の本音は“経済救済”なのであろう。繰り返すが、これまでがそうであったように金正恩の提案をそのまま受け入れれば、一時的には核拡散のリスクが低減し軍事オプションの可能性が低くなるわけだが、金が微笑外交の影に隠れて、核兵器の「一剣を磨き続ける」ことは火を見るより明らかだ。
 米国を初めとする国際社会が求められている選択は「北が核プログラムを完全に破棄するか」それとも「核能力の温存を甘んじて容認するか」であろう。その中間の「あいまいのまま推移」もあり得るが、北が何もしないまま「あいまいのまま推移」では全く交渉の意味がない。トランプには少なくとも廃棄に向けての何らかのとっかかりを求められているのだ。トランプは自覚しなければならない。 
  トランプの脳裏には時々「軍事行動」がかすめているかも知れない。しかし、韓国には米兵2万8500人が駐留しているほか、常に20万人を超える米民間人が滞在している。朝鮮戦争が再発すれば、過去の例から見てもトータルで数百万人の人的な犠牲が必要となる。戦争による物的・人的被害は計り知れず、軍事行動のオプションはまず考えられない愚挙である。隘路を探し出すしかないのだ。隘路とは交渉の継続であるかも知れない。もっとも対話の継続は、その間軍事オプションが行われないことを意味するから、極東情勢には1歩前進だろう。
北朝鮮との長期にわたる難しい交渉のが始まることになるのだろう。


◎俳談
 新聞俳句は「敵を知れば百戦危うからず」であり、応募する側も選句の実情をよく知っておく必要がある。とりわけ、選者の研究を十分にして、効率的な投句をしなければ俳句の泉が枯渇する。
 ところで、最近選句に関して面白い話を聞いた。ある編集者が「先生、一日5千句もの俳句の中からどうして佳句を選べるのですか」と聞くと、老大家曰く「いやね、読み流しているように見えるだろうが、優秀な句は自ずと立ってくるのだよ」。佳い句は葉書が立ってくるというのである。いささか神懸かり的であるが、一面を衝いているかもしれない。
 朝日俳壇で週に5千句から7千句。NHKも同数。そのなかからどうして選ぶのか疑問が生ずるのは当然。垣間見たところによると選者は稲畑汀子も金子兜太も選句にかける時間は一句0.5秒から0.7秒。要するにぱらぱら見ている感じである。その中から佳句秀句が琴線に触れるわけだから凄い能力だ。文字としてみるのでなく絵画を見るように見ているという心理学者の分析もある。
  鷹羽狩行の場合は月平均3万句ほどの選句数。一日1000句に相当する。鷹羽は「もう慣れっこで、呼吸しているのと同じ」と述べている。新幹線は”走る書斎”、飛行機は”空飛ぶ書斎”だそうだ。
選句地獄のただなかに懐手 鷹羽狩行      
と余裕綽々だ。

朝鮮半島非核化と東アジア情勢

東北福祉大学講義録(2018/4-25)
朝鮮半島非核化と東アジア情勢
東北福祉大学客員教授  シンクタンク安保研理事長  浅野勝人

現在(今)、世界中がかたずを呑んで見守っているのはアメリカのトランプ大統領と金正恩(キム ジョンウン)朝鮮労働党委員長の米朝首脳会談です。5月下旬なしは6月初旬、ストックホルムと言われていますが、まだ日取りも場所も決まっていません。
4月~5月にかけて、世界主要国の首脳が目まぐるしく動きます。
まず17日、フロリダで安倍・トランプの日米首脳会談。明後日(4/27)、朝鮮半島中央の南北境界線の韓国側「平和の家」で韓国の文在寅大統領(ムンジェイン)と金正恩委員長の南北首脳会談。そして、来月9日、東京で行われる安倍・李克強の日中首脳会談を経て、米朝首脳会談へと連なっていきます。
朝鮮半島の非核化をめぐるダイナミックな動きが世界の耳目を集めていますが、こうした世界の世論の先手を打って、金正恩が爆弾宣言をしました。
20日、朝鮮労働党委員会総会で「核実験や弾道ミサイルを試験発射する必要が無くなった。核は凍結する」と述べて、核実験とICBM(火星15号。アメリカまで届く大陸間弾道ミサイル)の試験発射を中止し、有名な豊渓里(プンゲリ)の核実験場を廃棄すると宣言しました。
アメリカに対して核攻撃はしないと明言した発言によって、アメリカはひとます安心して満足かもしれませんが、日本の安全が保障されたことにはなりません。凍結とは、所有しているものを使わないという意味ですから、当面、核を使うつもりはないので実験はしないと言っているだけです。すでに保有している核兵器と弾道ミサイルを放棄するとは匂わせてもいません。特に韓国、日本、グアム向けの短距離および中距離弾道ミサイルの扱いにはひと言も触れていません。
廃棄すると宣言した豊(プン)渓里(ゲリ)の核実験場は、過去6回の核実験でガタが来て、山崩れがおきた模様でもう使い物にならなくなっています。

極東情勢をどこまで深く認識しているか疑わしいトランプは、「北朝鮮は非核化に応ずると宣言した。世界にとって喜ばしいことだ」とブログに書いて、非核化の意味が分かっていない、凍結と放棄の区別さえ理解していない困った大統領と揶揄されました。
思慮の深い軍事プロのマテイス国防長官がいますから、うかつな対応はしないと思いますが、金正恩が核弾頭を搭載したICBMは打たないと約束するだけで「これでアメリカに届く核兵器はない」と安心して、トランプに手を打たれたら大変です。日本にとっては最悪なシナリオになります。なぜなら、沖縄をはじめとする日本国内の米軍基地や日本の主要都市を狙う中距離弾道ミサイル「ノドン」が温存されるからです。仙台も例外ではありません。攻撃の対象になります。
この中距離弾道ミサイルが今のまま放置されたら、日本は絶えず北朝鮮の恫喝に晒されます。私たちは既に東北と北海道の上空を北の弾道ミサイルが通過したのを経験しています。
主要国首脳間の交渉によって、北朝鮮から核が取り除かれて朝鮮半島の非核化が実現して、東アジアが安定した政治環境になって繁栄するか。見せかけの核放棄が結局はバレて話し合いが行き詰り、アメリカが北朝鮮を攻撃しかねない物騒な情況の下で東アジア情勢がいっそう不安定になるか。
これが今日の講義のテーマです。

☆ 今日の情況に至った経緯を、まず、トレースしてみます。
角突き合わせて、一触即発だった米朝関係は、平(ぴょん)昌(ちゃん)の冬季オリンピックをきっかけに一挙に雪どけムードになりました。
北朝鮮の招きで平壌(ぴょんやん)を訪れ、金(キム)正恩(ジョンウン)と会った韓国政府代表が、ホワイトハウスにトランプ大統領を訪(たず)ねて「問題解決のため、首脳会談をしたい」という金正恩の伝言を伝えたところ、トランプは即座にOKと回答しました。
「愚かなロケット・ボーイ」「老いぼれのたわごと」とののしり合っていた両首脳の従来の関係から想定して、世界中びっくりしました。
アメリカと日本の国内には、「北朝鮮と話し合ったところで騙されるだけ。もうこれまでしばしば体験してきた北の時間稼ぎ」という世論が多いのが実情ですが、私は、やってみなければわからない。やる前からダメと決めつけるのは正しい判断とはいえないと思っています。案外、常識外れの変わり者同士、気が合うかもしれません。

実は、去年から今年にかけて、「米朝軍事衝突の可能性高まる」「米軍、4月に北朝鮮爆撃」と報道するメディアが少なくありませんでした。この予測が当たっていたら、今頃はもう戦闘が始まっていたことになります。
そんな剣呑な状況が、なぜ、急転直下話し合い路線に転換したのでしょうか。
私はこれまで一貫して、早い段階から「米朝軍事衝突・戦闘はない」とたびたびブログをネットで明らかにし、さまざまな専門誌にも書いてきましたので、なぜ戦闘はないと判断したのか、その理由を述べたいと存じます。
能力 × 意図 = 戦争 という方程式で、米朝両国の関係を
分析してみます。
まず、北朝鮮は、いずれアメリカが攻めて来ると思い込んでいるので、ミサイルと核を開発・保持することによって国を守ろうとしています。イラクとリビアは、弾道ミサイルと核を持っていなかったから戦闘に負けて崩壊したと考えています。
つまり、北朝鮮はミサイルと核を装備して、アメリカの攻撃に備えている「専守防衛」の国です。口先では、ICBM(大陸間弾道弾)でアメリカ本土を火の海にすると言っていますが、そんな能力は必ずしもまだ完成していないことを彼らは分かっています。ですから、アメリカまで戦争に行く意図も能力もありません。
もっと具体的に核以外の能力についていうと、軍用機は米軍1万3,700機、北朝鮮1,000機弱、空母に至っては米軍10隻に対して北はゼロ。大人と子どもの戦さになりますから、自ら撃って出てアメリカと闘い自滅するつもりは北にはありません。
かつて、無謀にも、己の能力をわきまえず、相手の力量の研究も十分ではないまま、真珠湾を奇襲攻撃してアメリカとの戦闘に突入して、国中焼け野原になってやっと目が覚めたあの当時の日本とは違います。
北朝鮮は、もっぱら、核とミサイルで防備してアメリカの攻撃から国を守ろうとしている「専守防衛体制」の国です。
但し、やるならやってみろ。同盟国の韓国と日本を道ずれにするぞとすごんでいます。そして、困ったことにその能力は持ち合わせています。

一方、アメリカは力に任せて北朝鮮を殲滅しても、その結果、中国、ロシアとの関係を決定的に悪化させるだけで何もメリットはありません。アメリカ本土の保全と同盟国の韓国、日本への脅威を排除するのが目的です。北がICBMを開発して「ワシントンを攻撃する」と大それたことを言うものですから放置できないだけで、「北」が東アジアの平和を乱す核とミサイルを当面凍結・いずれ放棄しさえすれば、目的を達したことになります。ですからアメリカも戦闘能力はあるけれども、あえて何の得もない戦を自ら進んでする意図はありません。ですから好き好んで戦争はしません。
特に、北朝鮮は、日本と韓国、グアムを攻撃する中距離弾道ミサイルを500ないし600基、国内あちこちに分散して地下に隠し持っています。アメリカは、北の主な核・ミサイル基地や製造・貯蔵庫は掌握していますが、スパイ衛星に見つからないように、国内あちこちの地下にバラバラに隠しているものを一挙に全て破壊することは到底不可能です。
破壊を免れた中距離ミサイルが、開発済みと言われる小型核爆弾を搭載して、同盟国の韓国や日本を攻撃してきたら、大打撃を被る恐れがあります。だから、アメリカは「北」との戦闘には極めて慎重です。
それにもっと嫌なものを、北はミサイルにのせることができます。
生物化学兵器です。平壌(ピョンヤン)生物化学研究所。定州(チョンジュ)市と文川(ムンチョン)市に秘密研究所があり、炭疽菌(その恐ろしさはオーム真理票で経験済み)、赤痢菌など13種類の生物化学兵器を製造しています。政治犯を使って人体実験をしているそうですし、未確認情報によると総量は2,500トンを超えるとみられています。
「同胞の住む韓国に使用するのは躊躇するが、日本にはためらわない」と金正恩が言っているという情報が伝わっていますからアメリカも北には軽々に手を出しません。

以上の分析に従えば、能力 × 意図 = 戦争という方程式は、米朝とも成り立ちません。ですから、アメリカと北朝鮮との戦争はないと私は判断した理由です。
しかし、20日の金正恩発言は、まだ開発が十分とは言えないICBMの試験発射を中止し、核の実験はもうしないと明言しただけで、すでに保有している核爆弾と近隣諸国を攻撃できる中距離弾道ミサイルについては保有し続けるつもりと見受けられます。アメリカに対して核攻撃はしないと言っているだけで、非核化つまり核の放棄は約束していません。
将来、度重なる交渉の結果、結局、非核化の合意に至らなかったり、仮に、北朝鮮が核・弾道ミサイルの凍結・放棄に合意したとしても、それが見せかけのポーズで、約束を破るようなことがあった場合は、方程式自体が崩壊しますから、私の理論は吹き飛びます。

◎トランプ金正恩に核兵器解体を要求へ

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  米朝、首脳会談でギリギリの応酬か
 極東に緊迫の外交シーズン
  複雑怪奇を地で行く北朝鮮情勢の糸をとぎほぐせば、核心は国連制裁で経済的に追い詰められた金正恩が核実験と長距離ミサイル実験を中止するが、完成した核ミサイル攻撃システムを手放すことはしないということで妥協を求めている点に尽きる。日本にとってはとんでもない話で、中距離ミサイルノドン200発を突きつけられ続けることになる。ちょっと筋が違うのではないかということだろう。トランプはさすがに状況を見極めており、金正恩との会談で核兵器の解体を速やかに進めるよう求める。しかし、金正恩がやすやすと応じることはあるまい。会談は双方の極東戦略が激突のコースをたどる様相だ。
 金正恩の軟化路線は20日の労働党総会の発言に集約される。金正恩は核実験と長距離ミサイル実験を中止し核実験場も閉鎖すると述べた。加えて「核弾頭を弾道ミサイルに搭載するという作業が完成していることを考えると大陸間弾道弾の発射実験は必要なくなった」と発言した。もちろん完全非核化に動く文言などはどこにも含まれていなかった。
 トランプの超大国トップとしての最大の欠陥は、こうした事態に単純に反応してしまうことだ。ネットで「北と政界にとって素晴らしいニュースだ。大きな前進だ。会談を楽しみにしている」と諸手を挙げて歓迎した。しかし米国のマスコミの判断はトランプより数段上回る。ニューヨークタイムズ紙は「金正恩発言の最大の疑問は北が核兵器そのものを放棄するかどうかだ。譲歩を引き出すために相手を混乱におとしめる北朝鮮の古くからの戦術の焼き直しに過ぎない」と看破したのだ。トランプは急きょトーンダウンし「アメリカは何も譲歩してはいない。北朝鮮については結論は遠い。うまくいくかも知れないが、うまくいかないかも知れない。時間がたてば分かる」と元に戻った。
今後は「核廃棄」を実現するまで圧力を継続する構えだ。
 一方、ウオールストリート・ジャーナル紙によると、トランプ政権高官は22日、「トランプ氏は過去の過ちを再び犯さないとしているが、これは北朝鮮が核プログラムの解体を大幅に進めない限り、米国は制裁解除など大幅な歩み寄りをしないことを意味している」と述べた。そのうえで「もし北朝鮮が非核化に迅速に動く意志があるのであれば、可能性は無限大だ。あらゆる素晴らしいことが起きるかもしれない」と誘い水を差した。金正恩は21日の発表の中で、核兵器を手放す意向はないことも示唆。中国外務省によれば、正恩氏は習近平国家主席と先月会談を行った際、「平和の実現に向けて段階的かつ歩調を合わせた手段」なら支持すると述べていた。
 もともと北朝鮮の外交は常に「罠」を用意しているとみるべきものだろう。朝鮮戦争は休戦協定の状態が続いており、法的にはまだ継続している。その戦争継続の当事者が「罠」を仕掛けてくることくらいは日常茶飯事ととらえるべきなのだ。過去の歴史を見れば1994年には米大統領クリントンと枠組み合意をしたが、テポドンやムスダンを発射。2005年には6か国協議で経済支援を決めたが、翌年核実験だ。2008年には冷却塔を破壊して見せたが、裏では着々と核兵器製造を進めた。北の指導者には核で世界を欺くという「遺伝子」がしっかりと植え付けられているかのようである。
 こうした北の出方に対してしゃにむに北との関係改善を目指す韓国大統領文在寅は「凍結を当面の目標とし、第二段階として核兵器の完全放棄に持ち込めば良い」として「段階的包括的アプローチ」という“非核二段階構想”の立場を取っている。しかしこの構想の甘さは北が世界外交を展開するにあたって、最大の原動力となる核ミサイルを放棄しうると見ている点であろう。北の「やらずぶったくり路線」を理解していないかのようだ。過去において段階的なアプローチは全て失敗している。
 この点首相・安倍晋三が「今の段階で圧力を解除することはない。見極めなければならない」との立場を表明しているのは正しい。防衛相・小野寺五典も「中距離・短距離の弾道ミサイルの放棄は触れていない。少なくとも核の放棄にも触れていない。これでは不十分だ」と分析した。そのうえで「引き続き最大限の圧力を加え、私どもが求める最終的な大量破壊兵器、核・ミサイルの放棄をめざす姿勢には変わりない」と強調した。この姿勢が今の政府の立場としては最も適切なものであろう。
 今後北東アジアをめぐる情勢はめまぐるしく展開する。まず27日には南北首脳会談が開催される。軍事境界線上の板門店での会談は、次に予定される金委員長とトランプ米大統領の首脳会談のお膳立てをする場となりそうだ。韓国大統領府は声明を出し、朝鮮半島の安定化取り組みへの中国の関与をたたえた。習近平が金正恩を対話路線への転換を説得した可能性が大きいのだ。一方、日本が議長国を務める日中韓3カ国首脳会談については、5月上旬に開催する方向で調整されている。確定すれば、文在寅と中国首相・李克強が初来日となり、日本外交にとって大きな行事となる。同時に日韓、日中の2国間首脳会談もそれぞれ開く見通しだ。
 こうした動きの後6月上旬までには米朝首脳会談が行われる。会談場所はまだ未定だ。また習近平の訪朝、5月26日には首相・安倍晋三の訪露なども予定されている。極東は慌ただしい“外交の季節”の到来だ。
◎俳談
【類想句とは】
 よく似通った句を類想句という。有名な例では
山口誓子の
沖に出て木枯らし帰るところなし
が、池西言水の
凩の果てはありけり海の音
の類想であるというものである。
 言水の句は江戸時代の有名な句であり、言水は俗に「凩の言水」と言われた。誓子はそれを承知の上で作ったものとされている。誓子の句は特攻を暗喩で描いたものとされ、名句中の名句と言ってもよい。いまは特攻は忘れられ、時事詠と離れて解釈されるケースが多い。
 これについて故飯田龍太は「作品が前者をしのいだら問題はない。いわば相撲で兄弟子を負かすようなもの」と断定している。誓子は言水を大きくしのいでいるというのである。
 昔はおおらかだった、芥川龍之介は飯田蛇笏の句を真似たと言って
癆咳(ろうがい)の頬美しや冬帽子
を作ったが、そのモデルの句は
死病得て爪美しき火桶かな
だ。これを類想と言えば類想だらけになるが、むしろヒントにしたと言った方が適切だろう。芭蕉が和歌から「本歌取り」した俳句は数知れぬと言われているが、批判する者は居ない。龍太の言うとおり、モデルの句を越える力量があればよいということだ。
人口に膾炙した芭蕉の晩年の句
此道や行人なしに秋の暮 
を蕪村が  
門を出れば吾も行人秋の暮   
と詠み変えているが、これは類想というより、芭蕉への敬慕の念をあえて芭蕉の俳句を借りて現したものであろう。

◎極東情勢で日米盤石の連携確立ー安倍トランプ会談

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◎極東情勢で日米盤石の連携確立ー安倍トランプ会談
 北取り込みで中露の動き活発化
 対米通商摩擦で日欧は結託せよ
  北朝鮮をめぐる極東情勢は米中露3大国が、金正恩の取り込みに全力を傾注する形となった。当の金正恩は完成に近づいた核ミサイルを最大限使った“火遊び”で米中露と日本を手玉に取り、有利なポジションを確保したと思い込んでいる。力を背景に外交を進めようとしているが、やがてその“実力”を思い知るときが来るだろう。日本は首相・安倍晋三とトランプの蜜月関係を生かして、2日にわたる会談で対北朝鮮で軍事的、政治的、経済的に連携をとる方向を確立させた。日米首脳会談は大局的には成功したのであり、通商問題での隔たりは時間をかけて埋めて行く問題だ。
 日米首脳会談の重要ポイントは、北の中長距離核ミサイルに対して、日米が“撤去”への共同歩調で一致したことだ。なぜなら米国はこれまで自国に届く大陸間弾道弾(ICBM)にだけにとらわれている印象が強かったからだ。ICBMだけ除去しても中距離ミサイルがそのままならば日本の安全保障は危機的状態にさらされることになる。安倍の懸念に対してトランプは「大丈夫だ。米国の懸念はICBMだが、それより深刻な問題は君らにある。同盟国である日本の利益も含めて北と対話する」と言明した。なぜか中距離ミサイルには直接的言及をしなかったことが気になるが、あくまで日本の主張が全ての核ミサイルの包括的合意であることをトランプに確認させたことは大きい。
 もう一つの問題は北がこれまで2回に渡って狡猾に世界を欺いてきたように、援助だけをとってミサイル開発をなしくづしに進めることだ。これにいかに歯止めをかけるかである。過去の交渉は全て時間稼ぎに利用され、ついに核ミサイルの完成にたどり着こうとしている状況に至った。この点日米韓では20年までに全面廃棄を迫る方向で話し合いが進んでいるようだ。非核化のプロセスが完全でないとこれまで通りの無駄骨になるのは目に見えている。そのためには工程表を確立する必要がある。国際原子力機関(IAEA)の全面的な査察は不可欠であり、核物質、関連機器の搬出までのスケジュールを立てて、それに基づく実効が重要になるだろう。トランプは安倍に「数週間以内に金正恩と会談する予定だが、成果が期待できなければ会談しないこともありうる」とを明言した。交渉が一筋縄ではいかない状況を物語る。おそらく北の核廃絶で難航しているのだろう。
 こうした中で極東情勢はこのところにわかに大国による北朝鮮との接触が活発化している。火を付けたのが3月25 日から28日まで北京で行われた金正恩と習近平との会談である。米国は直ちにCIA長官ポンペイオを北朝鮮に派遣、金正恩との会談を行った。今後4月27日には南北首脳会談、6月上旬までに米朝首脳会談。その後習近平の平壌訪問。プーチンの平壌訪問などと続く。まさに北朝鮮に対する大国による“取り込み合戦”の様相である。北朝鮮を取り込んで北東アジアにおける主導権を確保しようとしているのである。古来朝鮮半島は戦略の要衝であり、大国によって翻弄(ほんろう)されてきた。
 日本は米国と同調して、戦略的な優位を確保しようとしている。世界1位と3位の経済大国の結託は、中露を北朝鮮の経済的発展にとって大きく凌駕する力を発揮できる。その戦略はアメとムチの両面作戦である。安倍は今後の戦略について「日米両国は北朝鮮に対して核兵器を初めとした大量破壊兵器および弾道ミサイルの完全に検証可能かつ不可逆的な廃棄を求めてゆく。北朝鮮が対話に応じるだけで見返りを与えるべきではない。最大限の圧力を維持して非核化への具体的行動を実施する確固たる方針だ」とのべている。
 拉致問題について安倍はトランプに金正恩との会談で取り上げるよう要請、トランプはこれに「日本のために最善となるようにベストを尽くす」と応じた。トランプは米国人も3人が拉致されていることから、いずれにしても拉致問題を取り上げることになるだろう。トランプは拉致家族とも面会しており、実情は知っている。日本と米国の被害者帰国に大きな進展がないとは言えない。しかし、いくらトランプが取り上げたにしても、拉致問題は日本固有の課題であり、米国にとっては側面援助しか出来ないのが実態であろう。最終的には日朝間で解決するしか方法はない。安倍も時期を見定めて訪朝することも検討しなければなるまい。
 通商政策に関しては日米の根本的なアプローチの違いが鮮明となった。秋の中間選挙を意識するトランプは、対日貿易赤字削減を重視し、
調整に乗り出す構えだ。1970年代から四半世紀にわたる米国との激しい貿易摩擦で、輸出の自主規制などを迫られたことを彷彿とされる。その再来は避けるため、通商問題を協議する新たな閣僚級の枠組みをつくることになったが、経済再生相茂木敏充と、米通商代表部代表ライトハイザーは厳しい交渉を迫られるだろう。昨年1月に就任して以来、トランプは、日本のみならず世界の通商政策を引っかき回してきたが、この際日欧が一緒になって対米説得に乗り出すのが良いかも知れない。

◎俳談
【話し言葉がそのまま俳句に】
指を折って五七五をつくっていると、時々調子のいい話し言葉に飛び付きたくなる。子規もそうであったらしい。若いころ母親に「寒いね」と語りかけると母親は
毎年よ彼岸の入に寒いのは
と答えた。これをそのまま一句にしたためてしまったのが掲句である。俳句は自由な芸術であり、季語が入っていれば口語調であっても許される。筆者も茶の間の話し言葉をそのまま使った句がある。
春宵の泣くなと言へばなほ泣いて 産経俳壇1席
愁嘆場のやりとりだが昔の話だ。
昔ジルバが流行った。
黒揚羽雨のジルバを踊らうか 産経俳壇入選
虚子も詠んでいる。
初蝶来何色と問ふ黄色と答ふ 

◎俳談

◎俳談
【俳句と諧謔味(かいぎゃくみ)】
 簡単に言えば重いテーマを軽く語るというのが芭蕉の言う「軽(かろ)み」であろう。例えば
秋深き隣は何をする人ぞ
秋が深まり、山野が寂しい風情になってくると、隣の物音も気になる。今何しているのだろうかと人恋しい気持ちにもなる。筆者は芭蕉が隣人の職業を気にしているというよりも、親しい隣人が何をしているのだろうかと気遣っているように句意を読み取りたい。平明な用語で全く気取っていない。「俳諧は3尺(さんせき)の童にさせよ」と芭蕉は述べているが、まさにその言葉を地で行っている。この「軽み」をさらに推し進めると「諧謔味」になることが多い。一茶は
春雨や食はれ残りの鴨(かも)が鳴く
と詠んだ。今は鴨が池にあふれているが、昔は見つければ弓で打って食べていたと考えられる。運良く食べられなかった鴨が春雨の中で鳴いている風景を詠んだが、みそは「食われ残り」。なかなか言える言葉ではない。
筆者もユーモアのある句は好きだ。
玄関開けて「受かったよ」と大声を上げた子供がずっこけた。
合格子(ごうかくし)上がり框(かまち)でずつこける 杉の子
雑草の中で高さ20~30センチくらいのスカンポがニョキニョキと立ち上がっているのが面白いと感じて
すかんぽのぽつぽつぽつの余生かな   杉の子

◎時々当たる飯島発の“解散風”


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◎時々当たる飯島発の“解散風”
  いまだ“老熟”せぬ「狭量小泉節」
 政局がざわついてきた
   昨年9月の総選挙から半年しかたたないのに、永田町を解散説が
吹き初めている。首相・安倍晋三がモリだのカケだののあらぬ疑惑に、伝家の宝刀解散で斬り返すというのだ。 かつて佐藤栄作は「内閣改造をするほど総理の権力は下がり、解散をするほど上がる」と述べ、黒い霧解散を断行して求心力を回復、局面転換を図った。当時筆者も「解散だ」とフラッシュを打ったことを思い出す。今度もフラッシュが飛ぶかどうかだが、野党が根も葉もないことをほじくり出して、安倍を退陣に追い込もうとしているが、これが続く限り早期解散はあり得る。安倍は退陣でなく解散を選択する。分裂野党が選挙戦を戦えるか見物となる。
 政権のうち誰かが解散風を吹かせ始める政局かと思っていたが、案の定16日内閣官房参与の飯島勲が解散発言の口火を切った。テレビ朝日の朝の番組で「私だったら、もう、今、解散しますね。100%」「今の状況を見ると最悪でも過半数は十分取れる」「過半数以上議席が取得できれば、安倍内閣の持続が当たり前。何ら問題ない」などとぶちまくっていた。安倍が、国会で森友学園や加計問題での、公文書の書き換え疑惑について、「全く私は指示していないと申し上げてきた。あとは国民の皆様が判断いただくことだと思う」との発言をしたことを根拠に飯島は、「『国民が判断する』ということは、解散しかないじゃないですか。そうでしょう?」と述べた。これに先立ち飯島は週刊文春(3月29日号)で「黒い霧解散」を引き合いに、早期の解散・総選挙を提言し、「過半数維持は間違いないぜ」と書いている。
 この飯島解散風は、外れが多いが時々当たるから要注意だ。発言が安倍の了解の元に行われたか、安倍の胸中を察してのものであるかは五里霧中だが、飯島が流行の「忖度」をしていることは確かだろう。今と似た根拠レスの政権追及ムードに端を発した黒い霧解散の例を語れる現役政治記者はもう筆者しかいない。黒い霧問題は第一次佐藤内閣が発足した1965年からくすぶり始めた。その内容は現在の野党による追及に似て、黒い霧の名前通り得体の知れぬ“ヌエ”的な性格を持っていた。具体例としては虎ノ門国有地払い下げ問題をめぐる恐喝・詐欺(さぎ)事件で逮捕された田中彰治事件、防衛長官上林山栄吉の大名行列並みのお国入り事件、松野頼三の官費による私的な外国旅行などなどだ。佐藤とは関係がない、愚にも付かない問題をひっくるめて黒い霧と称して野党が追及、マスコミが書き立てた。
 今回もモリだのカケだのが「贈収賄事件」や「首相の犯罪」に直結する流れにはなく、実態がないから、言うならば「白い霧」にすぎない。白い霧の向こうからは美女が出てくるのが通例で、“怪物”が現れることはあり得ない。朝日やTBSなどを中心とする“マスコミ追及班”は、何かを引き出そうと躍起だが、これはマスコミのあるべき本道にもとる。なぜなら根拠なしに“あやしい”だけが先行して、ファクトが付いてこないからだ。むやみやたらに政権のつるし上げを図ろうとしているだけだ。
 佐藤はこうしたムードを断ち切るために66年12月27日に解散を決断、67年1月の総選挙を断行した。微減したが自民党は善戦した。日本国民はばかではない。大勢は真実がどこにあるかを訴えれば納得する国民である。任期満了まで1年を切る中での解散であった。それでは早期解散があるかどうかだが、過去にも例は二つある。一つは吉田茂のバカヤロー解散だ。1952年8月28日に抜き打ち解散を断行した吉田は、国会の予算委で社会党右派の西村栄一との質疑応答中、「バカヤロー」とつぶやいたことをとがめられ、1953年3月14日に解散を断行した。
 もう一つは大平正芳による解散だ。大平は1979年9月7日に一般消費税世に問う解散を断行したが、翌80年5月9日にハプニング解散を断行した。きっかけは反主流の反乱であった。三木派や福田派、中川グループなどの議員69人は内閣府不信任本会議を欠席した結果、可決されてしまったのだ。選挙中であった6月12日に大平が急死するという緊急事態が起こり、同情票が作用して自民党は地滑り的な勝利となった。バカヤロー解散もハプニング解散も半年か1年たたずの時点での解散であったが、首相が決戦を選択した選挙であった。
 こうした中で元首相小泉純一郎が爆弾発言をした。14日、水戸市内で講演後記者団に対して森友・加計学園を巡る一連の問題への政府の対応を批判。「言い逃れ、言い訳ばかり」と突き放した。加えて小泉は、秋の自民党総裁選について「3選は難しい。信頼がなくなってきた」と安倍3選の可能性を否定したのだ。久しぶりの小泉節の登場だが、筆者と近い年齢にしては相変わらず老熟していない。3選がないと断定する以上、誰か別の候補者がいるのか。石破茂を自民党主流派が担ぐだろうか。前外相岸田文雄が政調会長になってめざましい活躍をしたか。二人ともまだ5年は雑巾がけをした方がいい。そもそも小泉は自分の弟子の安倍を擁護するのならともかく、足を引っ張るとは何事か。まさに「狭量小泉」の面目躍如かと言いたい。

◎トランプ一触即発の状態でけん制

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◎トランプ一触即発の状態でけん制
  シリア攻撃の準備完了
 米露対立危機的状況 
 この国はの国会は一体どうなっているのか。シリアが一触即発で、場合によっては米露の大規模軍事衝突に発展しかねないというのに、野党はカケだのモリだの朝日新聞と民放受けする問題ににうつつをぬかし、世界情勢などどこ吹く風だ。何という世界観の欠如だろうか。戦争はいったん勃発すれば、連鎖を巻き起こし、北朝鮮情勢の緊迫化につながりうる事態も想定される。米国はトランプの強硬路線に傾斜して、シリア攻撃の準備をほぼ完了させた。あとは命令を待つばかりの状況に至っている。シリアをめぐる米露の対立は抜き差しならぬ事態となりつつある。
 トランプはまず「口撃」から物事を始めるから、分かりやすい。シリアのアサド政権を「自らの国民の殺害を楽しむかのように毒ガスをまく獣(けだもの)」と決めつけ、一方でこれを支援するロシアに対して「ロシアはシリアに向けられたいかなるミサイルも打ち落とすと宣言している。プーチンは準備に入るがいい。米国のミサイルが来るぞ、新しくスマートなミサイルだ」とどう喝した。
 トランプの行動はまず同盟国固めから始まった。イギリスの首相テリーザ・メイとフランス大統領エマニュエル・マクロンと電話会談して、アサドに断固とした対応で臨むことを確認した。マクロンはテレビで「アサド政権が化学兵器を使った証拠を握っている」と延べ、制裁を示唆。メイは英軍をシリア攻撃に参加させる方針を固めた模様だ。米欧有志連合による攻撃態勢を整えたのだ。しかし、ドイツは別だ。首相メルケルは12日の記者会見で、対シリア軍事行動について「ドイツは参加しない」と明言した。
 対シリア攻撃のシナリオは、東地中海に展開した米艦船や爆撃機によって多数の巡航ミサイルを発射して、軍事施設を破壊する。昨年4月には59発がシリアの空軍基地の目標を破壊している。今回はこれを上回る規模となる可能性が大きいようだ。これにロシアがどう対応するかだが、トランプの予告発言はシリアの基地にいるロシア軍兵士に避難を呼びかける性格もある。最悪の場合はロシアが反撃して、衝突が拡大し米露直接戦争に発展することだ。ロシアはシリアの基地にミサイル迎撃システム「S400」を配備しているものとみられ、反撃を受ければ米軍は無傷ではあり得ない。米露が直説砲火を交える事態になれば、史上初めてであり、事態は1962年のキューバ危機に勝るとも劣らない危機的状況である。
 この米国によるシリア攻撃は北朝鮮をも強く意識した地球規模の戦略であることは言うまでもない。シリア攻撃を目の当たりにした場合金正恩が、どう反応するかをトランプは片目でにらんでいる。おそらく「震え上がる」だろうとみている。トランプの狙いはシリア攻撃によって、北朝鮮に力を見せつけ、核兵器放棄に向かわせたいのだろう。
 一方でロシアは北朝鮮にも同型ミサイル迎撃システムを配備しており、北はシリア軍の反撃能力を固唾をのんで見守るに違いない。米軍に対する迎撃の「予行演習」の意味合いを持つからだ。金正恩はシリアの紛争が拡大して、米軍が極東で作戦を展開することが困難になることを期待しているに違いない。戦術上2正面作戦は最も愚かな作戦と言われているが、米国が中東に専念すれば北に核・ミサイル開発の余裕を与えることになる。シリアへの対応は米国の北との交渉に影響を及ぼさざるを得ないのだ。
 こうした中で注視すべきはトランプ政権の中でブレーキ役が登場し始めたことだ。これまではかつてイラク戦争を推進した大統領補佐官ジョン・ボルトンのように「平和がほしければ戦争の準備をすべきだ」といった“力の信奉者”が目立った。これに対して、国防長官ジェームズ・マティスは「私の責任は必要ならば軍事オプションを用意することだ。しかし米国は外交主導で努力する。外交的手段によって外交的結果を得る」と慎重論だ。前国務長官ティラーソンも「外交的解決はあきらめない」と述べている。
 しかしこうした慎重論もトランプ一流の“口撃”にかき消されがちだ。トランプは11日「ロシア高官はシリアにミサイルが飛来しても迎撃すると発言したが、そのミサイルが飛来するのだからロシアは準備せよ」と“最後通牒”的な発言を繰り返している。これ以上言葉がないほど脅しまくっているのだ。ロシア外務省報道官のザハロワは「ミサイルはテロリストに向けられるべきで、国際テロリズムと戦っている合法的政権に向けられるべきではない」と批判しているが、トランプ節にかき消されがちだ。

◎俳談
【常識を外す】
俳句を作る者が皆陥りやすいのは常識的用語の選択だ。雲と書けば雨、川といえば魚の類いの連想である。だから初心者は皆同じような俳句を作ってしまう。一番初めに思いつく言葉はまず類型的で話にならない。何か“事件”を起こさないと駄目なのだ。
坪内捻転は「常識外れ」の名手だ。甘納豆と季節を組み合せて
三月の甘納豆のうふふふふ
などという不思議な俳句の世界を独創している。本人は河馬が大好きだ。だから
桜散るあなたも河馬になりなさい
といった句が出来る。類想句から離脱しようとするとこのような世界になるが、実に面白い。
黛まどかは
さくらさくらもらふとすればのどぼとけ     
だそうだ。男ののど仏に憧れる句だ。他人と異なる俳句を作らなければ創作の世界とはならない。しかし、まかり間違うと支離滅裂の駄句になってしまう。初心の内は王道を歩き、馴れてきたら飛躍する句を作るのがよい。
ぬぬぬぬと写楽顔出るべつたら市 日経俳壇入選
飛躍して意外性を狙った。

◎「米中貿易戦争」安倍訪米の課題に浮上

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◎「米中貿易戦争」安倍訪米の課題に浮上
 日本経済への影響不可避
 首相財政出動も考慮か
 1930年代の米保護主義が世界恐慌を招いた歴史の教訓を無視するかのように、米大統領トランプが保護主義路線を邁進する。国際経済は「混乱の時代」へと突入しかねない雲行きであり、混乱は外需に頼る日本経済への影響が大きい。首相・安倍晋三は17日からのトランプとの会談で貿易戦争の防止策を語り合う必要が急浮上してきた。北朝鮮問題も重要だが、比重は貿易戦争の回避策も勝るとも劣らなくなった。首相は9日、官邸で日銀総裁黒田東彦や関係閣僚と会談、「日本経済の正念場だ。あらゆる施策を総動員する」と語り、積極的な財政出動も排除しない姿勢を打ち出した。 
 米中貿易戦争は段階を追って深刻さを増している。3月の第1ラウンドはトランプが鉄鋼・アルミに高関税を課すという異例の輸入制限措置を発動して始まった。中国はちゅうちょせずに豚肉など120品目に高関税を課した。4月4日の第2ラウンドは知的財産を侵害しているとしてトランプは航空機など1300品目に25%の関税。これに対して中国は大豆など126品目に25%の追加関税を課すという報復の準備に入った。第3ラウンドは米国が航空機、自動車、産業用ロボット、ダイオード、食器洗い機への課税を検討。中国がトウモロコシ、小麦、牛肉、ウイスキーなどの品目を挙げている。とどまるところを知らない様相を帯びているが、さらに中国は今後金融の解放から米国を締め出し、購入した130兆円の米債券を売りに出すことなどをほのめかしている。
 トランプは中国の対応を「中国は不正行為を是正もせずに、我が国の農家や製造業に危害を加えることを選択した」と発言した。しかし、なぜ今この時の攻勢かと言えば、トランプ政権の信任投票の意味合いが濃い秋の中間選挙を意識しているに違いない。トランプの支持率は歴代大統領でも最低の30%台を低迷してきたが、このところ40%台を回復、50%の調査もある。この流れを維持強化する戦略であろう。これに対して李克強首相は9日、日本国際貿易促進協会の河野洋平会長との会談で、「貿易戦争ではなく交渉すべきだ。われわれは断固、多国間貿易主義を守っていく」とトランプ米政権を批判した。
 米ニューズウイーク誌は米中摩擦が「日本にとって漁夫の利か」と題する論文を掲載した。中国への制裁措置は日本の製品が米国市場でシェアを拡大する可能性があると指摘する。米国が公表した1300種類の中国製品に対する追加関税品目に25%の関税が実際に課せられると日本などは価格競争で有利に立って、対米輸出が大幅に増加するというのだ。しかし事はそう簡単ではない。
 確かに日本はアベノミクスが一定の成果を上げており、このところの経済は確実に良くなっている。今後は2019年10月に予定している消費税率の10%への引き上げが課題だが、過去2回にわたる引き上げはいずれも景気を悪化させた。今回は2000年オリンピックがあるから、一時は落ち込んでもまた盛り上げるという見方も濃厚だが、アベノミクスの3本の矢を重視してとりわけ3本目の戦略である成長戦略に力を入れる必要が出てくることは間違いない。
 その成長戦略の面前に立ちはだかるのが米中貿易戦争なのだ。専門家によると貿易戦争が世界中に広がり、米国、ヨーロッパ、中国が全部10%の関税をかける場合、世界の国内総生産は1.4%ダウンし、総額100兆円以上急落するといわれる。日本は壊滅的な打撃を被るのだ。最悪のケースを想定すれば日本の国内総生産が1%以上落ちるという。それは“悪夢のけース”である。さらに重要なのは、米国の対中貿易と言っても日本が深く関わっている事実を忘れてはならない。米国の農産品を世界市場に売り出しているのは日本の商社であり、中国で製品を生産しているのは日本の企業であるケースも多い。
 米中貿易戦争が抜き差しならないのは、米中両国の対応が硬直している状態であることだ。米国は明らかに保護貿易主義への回帰であり、中国は欧米や日本とは異なる「国家資本主義」的なやり方で対応しようとしている。まさに水と油の対立であり、溶け合うことは極めて難しいまま当分推移するだろう。こうした中、トランプ大統領は8日、ツイッターに「中国と貿易をめぐる論争で何が起きようと、習近平国家主席と私は常に友人だろう」と書き込んだ。加えて、「中国は貿易の障壁を撤廃するだろう。なぜなら、それが正しいことだからだ」と指摘、「知的財産についても取り引きが成立するだろう」として、不公正な貿易の是正に自信を見せた。当分トランプは硬軟両様の構えを見せるとともに、基本的には米中経済戦争に勝つため、ドラスティックな貿易政策を維持し、中国を交渉の場にひざまずかせようとするだろう。しかし、国内の政治基盤を完全に固めた習近平がやすやすと屈するとも思えない。
 日本の対応は環太平洋経済連携協定(TPP)11への動きなど自由貿易を拡大し、各国の保護貿易を阻止することが大切だろう。もともとTPPは対中戦略の側面が大きかった。米国が中国と対決するなら、米国に参加を改めて呼びかけることも可能ではないか。安倍が訪米でトランプに気付かせることが必要であろう。
 ◎俳談
【言い過ぎない】
芭蕉の弟子服部土芳(はっとりとほう)が、芭蕉の教えを発言集の形でまとめた本に三冊子(さんぞうし)がある。「白冊子」「赤冊子」「忘れ水(黒冊子)」の3部からなり、蕉風俳句を忠実かつ体系的に伝えようとしている。この中で芭蕉は言いすぎないことの重要性を説いている。<下臥(したぶし)につかみ分けばやいとざくら>という句について言い過ぎだといっている。句意は、「風にゆれる枝の下に臥して摑みわけたいくらいの糸桜である」と言ったものだ。これについて去来が「糸桜が華やかに咲き誇ったさまを言い尽くしたものですねぇ」と水を向けると芭蕉は、「言ひおほせて何かある」と答えたのだ。「俳句の世界ではものごと言い尽くしてしまえば、後に何が残ろうか」と諭したのだ。まさに作句の急所をついた発言として未だに語り継がれている言葉だ。
 翻って初心者の句を見ると言い過ぎ句、山盛り句が一杯である。俳句は短い中でいかに余韻をもたらすかが最大のポイントである。明白すぎる説明はせず、余韻を残すのだ。
打水の最初の客となりにけり 読売俳壇入選
掲句は料亭の前に打水がしてある情景を詠んで、すがすがしさを狙った。打水といえばいまは料亭くらいのものであり、「料亭の打水」と言ってはぶちこわしとなる。日本の文学は明白すぎる説明はせず、行間を読むことが読み手に求められてきた。作者はいかに省略するかに腐心する。とりわけ俳句は省略の文学である。
『蕉門俳諧語録』でも、芭蕉は「句は七八分にいひつめてはけやけし(くどい)。五六分の句はいつまでも聞きあかず」と述べている。いかに五六分の句を作るかに腐心しなければなるまい。

考察 ― 憲法9条改正試案

考察 ― 憲法9条改正試案
安保政策研究会理事長 浅野勝人   

一般社団法人「安保政策研究会」を、アジア・太平洋地域の平和と繁栄を調査・分析するシンクタンクとして立ち上げたのは、平成23年6月2日のことです。ですから、7年が経過したことになり、この間、61回の研究会を重ねてまいりました。
研究会は、もっぱら自由闊達な討論を楽しむサロンとして運営され、なんらかのテーマについて見解を取りまとめてアピールするような 宣伝目的は持ち合わせておりません。
ただ、外交・安保政策を語り合っていますと、時に触れ、折に触れて、憲法9条と関連する言及が少なくありません。憲法9条は内外の政策と直接、間接に深く関わっていますから当然のことです。従って、そのあり様について議論することは極めて重要です。
自民党内の改憲論議もそれなりに進捗している模様なので、早晩、国会の舞台に登場することと思われます。
そこで、安保研としても「9条改正試案」をまとめてみたいと思い立ち、集中討議をしましたが、十人十色、まとまるどころか、バラバラでした。このテーマについてもメンバー各自の理念を尊重する安保研の良さが現れました。いつもの報告書(安保研リポート)通り、投稿をそのまま掲載いたしますので、楽しみに待ってください。


「9条改正―安保研理事長試案」

第2章 戦争の放棄

第9条1項 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
(現状のまま)

2項 前項の目的を達するため、国の交戦権はこれを認めない。
但し、わが国の存立を危うくする明白な事態に対処するため、必要最小限度の戦力は保持する。

<註>
☆平和主義の根幹は堅持する。そのため、後項優位の原則を踏まえて、2項に「国の交戦権は認めない」をことさら残す。
☆国家の存立を担保するため、必要最小限の戦力の保持(自衛隊)を明記する。
☆集団的自衛権の行使は、厳しく制限し、我が国領域の安全が脅かされる明白な緊急事態に限定する。従って、交戦権とは、他国への侵略等日本周辺以外への武力侵攻を意味する。
☆改正を機に「戦力不保持」を削除して、実存する自衛隊との整合性を担保する。
特に、憲法が実態を無視して、虚偽を表記していると児童、生徒に受け取られかねない表現を削除。―「陸海空軍、その他の戦力はこれを保持しない」といっても現実に保持している。義務教育で「自衛隊は戦力(軍隊)ではない」と詭弁を弄するのは好ましくない。
☆手直しは最小限に留め、自民党案のように理屈をこね回すのは感心しない。内閣総理大臣が自衛隊の最高指揮監督権を持つことは改めて憲法に書かなくても自衛隊法(第7条)で決まっている。妥当な憲法解釈と関連法案の補充で対応する方がいい。
☆素直に、国情および現下の国際情勢に合致する、わかり易い表現と組み立てが望ましい。

問題点:国民投票で否決された場合、自衛隊の存在をどのように
位置づけるか。集団的自衛権の行使を一部認めた安保法制をどう扱うかにつては、
☆憲法への明記が否定されるだけで、自衛隊は合憲と認めている現状を堅持する。従って、改正憲法が否決されても、法的存在に変わりはない。
☆現行安保法制該当部分は白紙とする。

以上(元内閣官房副長官、元NHK解説委員)

◎俳談

◎俳談
【動物の描写】   
一茶には動物を詠んだ句が多く、猫だけで330句余りも詠んでいる。蛙、雀、蚤、虱に至るまで、詠んだ句は膨大な数に及ぶ。母に三歳で死に別れて、自分は子供を亡くすなど家族に恵まれない人生を送った。一茶はその欠落を埋めるかのように小動物を愛した。
吾と来て遊べや親のない雀
は寂しかった幼少期回顧の句でもあった。
痩蛙負けるな一茶是に有り
は、弱者に対する優しい眼差しが感じられる。
筆者も動物の句はよく作る。新聞俳壇の成績もいい。
秋の日に考へているゴリラかな 産経俳壇入選
動物園でゴリラの思慮深そうな姿を描写した。
羽抜鳥人見るたびに一驚す 東京俳壇入選
本当に良く驚くのがニワトリだ。一歩歩く度に驚いている。
千の蟻一匹頭痛の蟻がいる 東京俳壇入選
ふとそう感じたのだ。 
雨蛙目玉回して飛びにけり 毎日俳壇入選
雨蛙は本当に目玉をくるくる回す。
題材を動物に求めれば、周囲に山ほど転がっている。活用することだ。
嫁が君天井裏の自由かな 東京俳壇入選
嫁が君は鼠の別称で新年の季語。鼠は大黒様の使いで正月に米や餅を供えるなどの風習があった。

◎「米中貿易戦争」深刻化の様相

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◎「米中貿易戦争」深刻化の様相
 北の対日大接近もありうる
   極東情勢一段と流動化  
 民放などで極東情勢からの「日本置き去り論」が目立つが、相変わらず浅薄だ。トランプが韓国の特使の進言を受けて米朝会談に乗り気になった結果がその理由のようだが、極東安保が日本抜きに語られることはあり得ない。17日からの日米首脳会談で安倍が極東安保の実情を説明すればトランプには分かる事だ。それよりも極東における「米中貿易戦争」の様相がここにきて一段と濃厚になってきたことを注視する必要がある。
 かねてから首相安倍晋三は北朝鮮への対応について、「過去の教訓を踏まえると、対話のための対話では意味がない。北朝鮮に完全、検証可能かつ不可逆的な方法で、核・ミサイルの廃棄にコミットさせ、それに向けた具体的な行動を取らせるため最大限の圧力を維持していかなければならない」と述べている。極東情勢をどこまで深く認識しているか疑わしいトランプも、この安倍理論には同調するだろう。安倍は日本としては譲れないコアの部分をトランプに吹き込んでおく必要がある。なぜならトランプは金正恩が核弾頭搭載のICBMを放棄するだけで「米国に届く核兵器はない」と納得する可能性があるからだ。
 これは、日本にとっては最悪のシナリオである。なぜなら日本の米軍基地や東京など大都会を狙う中距離核ミサイルがそのまま放置されれば、日本は常時北のどう喝受け続けることになるからだ。これは紛れもなく日本に核武装論を台頭させる要因である。日本が核武装をすれば極東安全保障のバランスを一気に崩壊させ、情勢は今まで以上に緊迫と流動性を帯びる。その懸念は世界の常識になりつつあり韓国の中央日報紙などは社説で「日本再武装論が台頭している」「中国が北を放置すれば重武装の日本が登場し、中国が代償を払うことになる」と核武装の可能性を強調している。米国のウォール・ストリート・ジャーナル紙は、既に北朝鮮が発射した中距離弾道ミサイル「火星12」が北海道上空を通過した後の社説で「日本の核武装に道開く北朝鮮の核容認」との題して「この中距離ミサイル発射実験は、北東アジアの安全保障をめぐる政治を一段と混乱させるだろう。そして、日本に自前の核抑止力を持つことを改めて促すものだ」と分析している。
 要するに日本抜きの極東安保は成り立たないということなのである。米朝や米中だけで極東安保を語るべきではないのだ。加えて北の核施設やミサイル発射の動きは低調にはなっているが、北が完全に核やミサイル放棄に方針転換したとみるのは言うまでもなく早計である。1980年代から北は核・ミサイルへの実験を繰り返してきており、完成がすぐそこにあるのに、放棄するわけがないのである。金正恩のレゾンデートルは核とミサイルしかないのであって、手放せばただの太った政治家になるだけだ。
 今後、外交日程は極東情勢を軸に硬軟両様の展開を見せる。4月17日から二日間はフロリダで日米首脳会談。同月27日に南北首脳会談。5月前半に日中首脳会談、同月末までに米朝首脳会談という段取りだ。日本の出番はありすぎるほどあるのだ。一連の会談を通じて安倍が果たす役割は大きい。日米首脳会談ではその後の一連の首脳会談対策が話し合われる。対北、対中戦略で重要な骨組みが打ち立てられるだろう。その内容はおそらく①トランプはいかなる情勢下においても北朝鮮の核保有を認めない②核・ミサイルで北の具体的行動がない限り制裁は維持する③米国は最悪の場合の軍事オプションの可能性を維持するーなどとなるだろう。
 こうした日米の動きに対して中国は極めて警戒を強めるだろう。中国の核問題に対する主張はあくまで「朝鮮半島の非核化」である。単に北だけの非核化ではなく、米軍も含めた非核化なのである。中国の戦略にとって北は常に緩衝材なのであり、米軍と国境を接して対峙することは望まないのだ。北と中国は朝鮮戦争を一緒に戦った血の盟約が依然として根底に存在するのであり、地政学上も切っても切れない関係にある。中国は朝鮮半島問題が米国主導で進む事には反対しなければならないと思い込んでいるのだ。中国にとっては朝鮮半島が「不戦不乱」である状態が一番居心地が良いのであって、北の政権を消滅させるような策動にはまず乗らない。
 また、米国の輸入制限に対して、中国が報復関税を発動したように、「米中貿易戦争」の色彩が一段と濃くなった。中国は米国が鉄鋼、アルミニウムに高関税を3月23日にかけたことへの対抗措置を2日発表した。ワインなど120項目に15%、豚肉など8項目に25%を上乗せしたのだ。この米中両大国の経済と外交・安保の両面での対立は歴史的必然とも言え、長期化するだろう。
 就任当初は金正恩に対する嫌がらせで、訪韓を断行したほどの習近平だが、金正恩が訪中して恭順の意を示したことから、相好をくづし方針を一変させた。習近平の前で金正恩が習発言をノートに取るという、“すり寄り”姿勢を取ったことが、大満足であったのだろう。首脳会談は会談の中身もさることながら、相手の態度が決定的な役割を果たす事もある。金正恩の“メモ作戦”は練りに練った作戦なのであろう。こうした北の外交攻勢からみれば、今後北は閉ざされた独裁国家というイメージを払拭するため、主要国との外交チャンネルを活発化させるだろう。日本に対しても大規模な経済協力を期待して大接近してくる可能性が強い。その場合、核放棄が前提になることは言うまでもない。