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◎俳談

◎俳談
【鍋を詠む】
みちのくの言葉短し鮟鱇鍋 毎日俳壇入選
 「中国人には鯨鍋と鮟鱇鍋を教えるな。皆食われて資源が枯渇する」というジョークがあるが、当たらずとも遠からじ。鮟鱇鍋は近ごろ皆知っているが、鯨鍋はまだ一部の通に限られている。鯨の脂身や尾の身(尾肉)などを野菜と一緒にことことと煮込んだ鍋をポン酢で食べる。まさに絶品の味である。その後、ご飯を入れておじやにする。海苔を振りかけて食べるのだ。この世のものにあらぬほどの味のかたまりがのどをすり抜けると、味覚神経がフル動員されて、過去に味わった鍋と比較する。しかし、すべてが負ける。酒は芋焼酎の水割りに限る。
 鍋は冬の季語だが、鍋のつく季語は種類も多く、バラエティに富んでいる。ふぐちりも鯨鍋のつぎにおいしい。築地の東京タワーを遠望する店がうまかった。
ふぐちりや東京タワーを遠望す 東京俳壇二席
何も食べているときだけを詠む必要は無い。食材そのものを詠むケースも多い。
吊り鮟鱇人すれすれに通りけり 毎日俳談入選
狭い道での鮟鱇の吊るし切りを詠んだ。
 やはり人生に絡めると深みが出る。
湯豆腐にふと借命の思ひかな 東京俳壇入選
湯豆腐のあまりのうまさに長生きしたくなったという意味だ。冬の鍋ほど俳句に適している食事はあるまい。

◎中国、対日関係改善で突破口狙う


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中国、対日関係改善で突破口狙う
  日中友好条約40周年で習近平来日か
 筆者がかねてから指摘してきた極東冷戦の構図が、新年になっていよいよ鮮明になった。米中関係は11月のトランプ訪中による蜜月関係から一転して険悪とも言えるムードとなった。これを受けて米国防戦略も2008年以来の「テロとの戦い」から「中露との長期的な競争」へと大転換した。日米同盟は好むと好まざるとにかかわらず、その中核に位置づけられる。中国は対日接近で日米豪印による「インド太平洋戦略」の包囲網を突き崩そうとしている。対中関係は改善に越したことはないが、中国の“意図”を見据えた対応が不可欠となろう。しかし、首脳間の交流は推進すべきであり、習近平の来日は欠かせない重要テーマだ。
 外相河野太郎の訪中は一定の成果を収めたが、中国側の出方は「日中友好条約締結から40年の節目」が合い言葉のようであった。首相李克強を始め国務委員楊潔チらが口をそろえて「40年の節目」を口にした。中国政府内部のの「口裏」合わせがあった事は間違いない。中国を取り巻く情勢を見れば、北朝鮮は言うことを聞かないし、韓国とも良好ではない。米国ともうまくいっていない。東アジアでは孤立しているのが実態だ。中国は国内的には貧富の差が拡大して国民の不満が募り、共産党が否定してきた階級社会が実現しつつある。内政外交共に矛盾を抱える中での対日接近であろう。首相・安倍晋三は背景を理解して対中外交を展開するチャンスである。
 安倍は施政方針演説で「自由で開かれたインド太平洋戦略を推し進める。この大きな方向の下で中国とも協力してアジアのインフラ需要に応える」と言明した。中国の基本路線は「一帯一路」にのっとった世界戦略にあるが、安倍が最初に提案したインド太平洋戦略はこれに対峙する性格が強い。従って安倍演説は矛盾を帯びながらの現実路線と言える。日中関係は尖閣諸島の領有権問題を抱えるだけに、この急所をあえて突かずに関係の改善を進めるしか方法はあるまい。昔田中角栄が周恩来との会談で尖閣諸島の領有権問題を事実上「棚上げ」して日中関係を劇的に好転させたのが歴史の教訓であろう。
 一方米国は対中関係を180度変更させた。昨年11月のトランプ訪中では蜜月を謳歌したものだ。トランプが「中国の人々との友情は今後強化され続ける」と友好をうたえば、習近平は「米中関係はライバルではなくパートナーだ。関係発展の潜在力は無限だ」と答えた。その後、たった二か月で急転直下舞台は暗転した。米国は昨年末には「国家安全保障戦略」で、米国第一主義に基づく「強いアメリカ」確立を目指す姿勢を前面に押し出した。そして中国とロシアを国際秩序の現状を力で変更しようとする 「修正主義勢力」と位置づけた。
 ついで国防相マティスが1月19日に発表した「国家防衛戦略」では「米国と中国およびロシアとの大国間競争への回帰」を明示した。同文書では中国を、米国の覇権に挑戦する最大の脅威とみなし、「対テロ」から、中国とロシアとの長期的な「戦略的競争」に備える方針を打ち出した。文書は「中国は地域的な規模で米国の主導的地位に取って代わろうとしている」と情勢を分析。さらに「中国、ロシアとの長期的な『戦略的競争』が国防総省の最優先事項となる」として、同盟関係の強化を強調している。この米国の強硬方針の背景にはマティスがアジア・太平洋地域担当の国防次官補にランドール・シュライバーを抜擢したことも背景にあるようだ。シュライバーは台湾との関係が深く、中国の軍拡や対外政策に否定的な立場である。米国が、中国の東シナ海や南シナ海問題などに対して、強硬姿勢で臨む姿勢を鮮明にした人選と言える。
 これに対して中国は猛反発したことは言うまでもない。国防省のホームページで「事実をねじ曲げ、中国の国防力を誇張している。米国が冷戦時代への指向を捨てるよう希望する」と批判。それでもたりないとばかりに国防省報道官任国は「アメリカの国防戦略は事実を顧みず、中国脅威論を誇張し、事実に基づいていない」と口を極めて断定した。
今後の中国の対応は、トランプ政権が中国と対峙するなら、ロシアとの関係を一層深め、同時に「インド太平洋戦略」の国々を一つ一つ籠絡して、無力化を図ることになろう。ただ主要国のうち米国は対峙の中心であり、中国が懐柔することは難しい。豪州も親中派とみられていた首相ターンブルが安倍との会談で、方針を一転。海洋進出の中国を念頭に「太平洋やインド洋など海上の安全保障の協力強化」で合意した。日米豪印の枠組みでの連携も確約した。インドは中国と国境を接しており、歴史的にも戦略的にも相容れない傾向が強い。だから中国は、対日関係を良好に保ち、長期的な視野で連携を崩しにかかるしかないのだ。その最大の“呼び水”が対日首脳外交だ。その具体的戦略は、まず日中韓の首脳会談を春に開いて李克強が訪日する。親密度を深めた上で、習近平が訪日して関係を最良のものとする。既に1998年の日中平和友好条約締結20周年では、江沢民が史上初めての中国国家主席として公式に来日、30周年に当たる2008年には胡錦濤が来日している。となれば40周年の今年中の来日が実現する公算が大きい。日中それぞれの思惑が錯綜するが、首脳間の交流で対話を深め、関係を前進させるのが最良であり、何としてでも実現させるべきだ。

                      

◎俳談

◎俳談
北塞(ふさ)ぐことは浅間が見えぬこと 東京俳壇入選
 「北塞ぐ」季節となった。北塞ぐとは冬に北側の窓を塞ぐことをいう。「北窓塞ぐ」とも言う。去年の夏浅間山の南にある友人の別荘に滞在した。北の窓を開けると雄大な浅間が眼前にそびえて、素晴らしい風景であった。その北の窓も今頃は閉めて、くぎ付けしていることだろう。都会の住宅でも冬は北窓は閉じて、鎧戸を下ろす。拙宅も春まで締めっぱなしだ。
妙齢の北窓閉めてしまひけり 産経俳壇入選
 この句は、学生時代の通学路でときどき美人が窓から顔を見せていた邸宅が、雨戸を閉めっぱなしになってしまった落胆ぶりを表現した。片山由美子の句に
こころにも北窓のあり塞ぐべし
がある。俳句は季語と心を通わすことが何よりも必要である。今回の例句はすべて単なる観察句ではなく、心が通っていると思う。季語に心情を絡める。これが作句のこつだ。
春には「 北窓開く」という季語がある。

◎極東情勢を見据えた訪韓決断



◎極東情勢を見据えた訪韓決断DSC_3545(1).jpg
 米WHからの働きかけも考慮
 「恨」を背景に“ちゃぶ台返し”の文
 首相訪韓に否定的であったお膝元の官邸の思いと安倍は、180度違う決断である。安倍が9日のオリンピック開会式に出席の方針を明らかにした。韓国大統領文在寅にとっては思わぬ順風が吹いたことになる。文は日米中露の「周辺4強国」に出席を求めたが、米中露はトップが出席しないため、安倍の訪韓でメンツが立つからだ。日韓関係のみならず、日米関係にとってもプラスになる。しかし、安倍にとって注意が必要なのは、保守系の支持者のコアの部分を毀損しかねない要素があることだ。自民党合同部会は反対が圧倒的で、賛成の声はゼロ。首相就任以来始めて“反乱”が起きたことになる。一般議員らは、その判断において、幹事長ら幹部と大きな温度差を見せている。リスクをとる訪韓自体も、首脳会談の重要ポイントでは事実上の平行線に終わる公算が高く、場合によっては訪韓の意義を問われる。安倍にしてみれば「虎穴に入らずんば虎児を得ず」の心境だろうが、韓国の虎穴に虎児はいるかと言えば、見つけるのは難しい。「寅」はいる。
  まず、訪問される側の韓国の新聞論調は歓迎一色かといえば、むしろ裏を読んで懐疑的だ。中央日報は24日、「安倍首相が平昌行きを決めるうえでの最後の障害物は、自身を支持する保守層の強い反対論だったはずだ。24日の朝刊で安倍首相の平昌行きを報じたのは保守系の産経新聞と読売新聞だけだった。その中でも特に産経新聞のインタビューを通じて自身の決断を詳しく明らかにしたことについては、保守層の支持者に向けて一種の説得を試みたと解釈出来る」と分析。朝鮮日報も「安倍首相が述べたように、文大統領との会談で慰安婦合意をめぐる韓国政府の新方針に抗議することで韓日関係が今以上に悪化するのか、または関係改善の糸口となるのか」と懐疑的だ。
 たしかに、安倍は「会談で言うべきことはいう」旨宣言している。その言うべきこととは、「慰安婦問題をめぐる日韓合意について韓国が一方的にさらなる措置を求めることは受け入れることはできない。」である。また、在ソウル日本大使館前の慰安婦像撤去についても「当然強く主張することになる」としている。日本国民としては当然支持するだろう。しかし、韓国民はその民族的な性格の根底に「恨(はん)」というゆがんだ感情をもっており、周辺の大国よりおおらかではない。従って首相発言がこの反日感情をかき立てる側面は否定出来ない。韓国紙も手ぐすね引いて待ち構えており、安倍発言は、感情的な反発を煽る可能性がある。それをすり抜けるのはラクダを針の糸に通すほどむづかしい。知恵の出しどころだ。
 安倍が決断に至った、重要な要素はトランプからの働きかけがあったとされる。トランプ周辺から、「アメリカは副大統領を出席させる。安倍さんも出席して韓国大統領を北になびかせないように一緒に警告と説得をしようとの話があった。」という事のようだ。日韓のみならず、日米関係も視野に入れた決断であった。背景には極東情勢全般を見据えた総合判断があったような気がする。
 しかし、安倍が訪韓して何を言おうと、朴槿恵との間でかわした日韓合意順守の線にまで文が戻ることはないかもしれない。「最終的不可逆的合意」などは文にしてみればどこ吹く風だ。文の新方針は、日韓合意には内容及び手続き面で重大な欠陥があるとして、「日韓合意では問題の解決がなされない」との立場だ。ただ「日韓合意は公式な合意だった事実は否定できない」として日本政府に合意の再交渉を求めないとししつつ、慰安婦の尊厳の回復や心の傷を癒す努力を続けることを日本政府に要求している。さらに日本政府が支払った10億円は韓国政府の予算から充当するという。施しは受けないというわけだ。文は「日本が心をこめて謝罪してこそ被害者も日本を許すことができ、それが完全な慰安婦問題の解決だと思う」と述べている。要するに日韓合意をちゃぶ台返しして、またも「謝れ」と言っているのだ。
 このスタンスは文の支持率が73%と高い最大の要素となっており、安倍の訪韓で、方針を変えることはあり得ない。これは、文が確信犯的な左翼思想の持ち主であり、北との和解で、日米韓連携にあえてひびを入らせている事実から見ても分かる。したがって両者の会談は平行線をたどる可能性が高い。韓国側からすれば安倍の訪韓が韓日関係正常化の証拠となり、国内的にもプラスの要素が多い。
 ただし、両者共、首脳会談を失敗に終わらせる印象となることは避けるだろう。その打開策としては日韓首脳の対話の継続だろう。既に両者は昨年7月の会談で相互にトップが訪問するシャトル外交を決め、最初は文が同年中に訪日することになっていた。にもかかわらず安倍訪韓が先行するのは文にとっても悪い気はしまい。日韓シャトル外交は2004年7月の済州島を手始めに始まったが、中断している。今度は文に訪日の時期を明示させることが肝要だ。さらに安倍は、文を北朝鮮への傾斜から日米韓の連携に戻したいのだろう。内容はともかく「連携重視」といった“合い言葉”ではまとまるだろう。
 皮肉なことに韓国側は、安倍が産経に開会式出席を表明した23日に、女性家族部長官の鄭鉉栢が「慰安婦合意」によって組織された「和解・癒やし財団」を年内に解散させ、「慰安婦歴史館」を発足させる方針を表明するなど、政府レベルでの反日行動を維持する方針を明らかにしている。これを知っていたら安倍は訪問をちゅうちょしたかも知れない。官邸の情報収集機能の問題でもある。要するに一筋縄ではいかないのだ。
 こうした状況を自民党の一般議員らは、親韓の二階ら幹部と異なりよく理解しており、24日に開いた「日本の名誉と信頼を回復するための特命委員会」と外交部会の合同会議では、五輪開会式への安倍の出席について反対意見が噴出した。出席者からは「国民の多くが慎重論なのに首相が訪韓すると、国民の支持が離れていく」との発言が出された。確かに、安倍の支持率にとっては訪韓はマイナスに作用するだろう。保守層のコアの部分の神経を逆なでする可能性が高いからだ。さらに部会では「訪韓の成果が見込まれない。国民を説得できない」との声が上がったが、これももっともだ。安倍の文への大接近を選挙民に説得する事は難しい。「政治利用されるだけだ」との認識も説得力がある。出席した約40人から訪韓を支持する意見は出なかった。安倍は二階や公明党の訪韓論に惑わされて、一般議員らの慎重論を見逃していることになる。官邸は今後一般議員との接触を密にして、説得に力を傾注すべきだろう。


     

◎俳談

◎俳談
【人生と枯蟷螂】
枯蟷螂(かれとうろう)翅を広げしままとなる 毎日俳壇入選
 若いうちはそうでもないが、年を取ると己の人生と動植物やさまざまな事象などを比較したくなるものである。俳句ではその好例が枯蟷螂であろう。枯蟷螂は冬の季語だ。昔の人はカマキリも草木と同様に緑のカマキリが枯れて茶色に変化したと考えた。実際には種類が違うのだが、そう考えても不思議はない。掲句は庭の枯蟷螂が翅を広げたまま息絶えていたのを見て作った。死を直面するのに枯蟷螂は良い材料となる。
枯蟷螂死に場所と決め動かざる 杉の子
枯蟷螂にその意思はないが、あたかも自ら死に場所と決めたが如く詠んだ。次の句は自分が死んでも他の生命は残っていることを詠んだ。
枯蟷螂死して好餌の過ぎゆけり 杉の子
観察句ですぐれたものを挙げるならば山口誓子の
蟷螂の眼の中までも枯れ尽す
であろう。よほどの観察力がないとここまでは言えない。

◎「トランプ政変」は五分五分

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◎「トランプ政変」は五分五分
  テレビを見てはツイートの危険
 安倍は良好な関係維持を
 米ドナルド・トランプ政権は20日2年目に入ったが、過去1年は税制や規制、そして経済に関する公約の多くがおおむね企業に歓迎された。雇用も順調だ。一方で政府機関は閉鎖され、1年間の高官大量退任は記録的だ。トランプの性格を反映して政権の政治の振幅の差の激しさを物語っている。しかし、2年目は中間選挙を意識した議会民主党の攻勢は避けられず、ロシアゲート事件も佳境に達する。大統領弾劾問題もささやかれており、波瀾万丈が予想されるが、これが「政変」という事態に直結するかは五分五分だろう。
 順調な経済については「オバマの遺産」との見方もあるが、遺産だろうが何だろうがトランプはついており、「つきも実力のうち」と見るべきだろう。政府機関も一時的に閉鎖されたが、米経済は難無くやり過ごすだろう。2013年10月に2週間の閉鎖に追い込まれた際、同年10-12月期の経済成長率が約0.5ポイント下押しされただけだった。それに先立つ1990年代半ばの閉鎖も経済は順調な足取りで進んだ。今回も一過性だろう。
 しかし、トランプの政治を分析すると、組織を動かすというより、自らの直感を元に重要判断を下しているかのように見える。その象徴が“テレビ頼り”とも言える政治手法だ。最近のトランプは執務室にいる時間が急激に減り、一日4時間、時には8時間も寝室にこもっている。もちろん睡眠をしているわけではない。何をしているかといえば、テレビを3台持ち込みニュースを見る。そのニュースを根拠に友人に電話したり、ツイートする。ツイートは一日平均7、8回に達し、物議を醸す内容が多い。ツイートは政治外交の全てに渡るが、時には「私について何も知らず、なんの関わりもないのに、私についての本や主要記事を書いている人々は見ていて大変面白い。フェイクニュース!」と言った具合にメディアを攻撃する。総じて指導者は、隙を見せることを恐れて常時自分の立場を明確にすることを避けるが、トランプはその逆だ。全てをあからさまにして身をさらしている。その割には致命的な失言事件に発展しないのは、ギリギリの抑制が利いているのだろう。上級顧問のクシュナーはこの姿について「自分のやり方に固執しており、今後も決して変わらないだろう」と予言している。もっとも「便所のような国」発言が象徴するように、病的とも言える舌禍癖が、自らの身に災いする可能性は大きいだろう。
 しかし、今年トランプを待っているのは生やさしい問題ではない。ロシアゲート事件と中間選挙だ。ロシアゲートは佳境に入っている。検察のロシア政府による米大統領選干渉疑惑の捜査が進む中、特別検察官モラーの捜査は昨年末前大統領補佐官のマイケル・フリン被告が連邦捜査局(FBI)捜査官への虚偽の供述を認めて司法取引に応じたことで、大きく前進した。現在は娘婿クシュナーや長男のトランプジュニアへと向かいつつあり、その先にはトランプへの直接尋問も予想されている。一部メディアはクシュナーが政権を去ることを予測する報道まで出ている。ニクソンのウオーターゲート事件をほうふつとさせる「大統領の犯罪」が暴かれかねない状況なのである。
 米議会の中間選挙は11月だが、3月から候補を選ぶ予備選挙が始まる。上院の改選者数は3分の1の35議席。下院は435議席全てが改選となる。現在の議席配分は上院が民主党49,共和党51,下院は民主党193,共和党238だ。上院35議席の内訳は民主党26,共和党8議席であり、民主党は守りの選挙となる。一方、下院は天王山となる。下院は現在共和党が40議席上回っているが、苦戦を強いられる。なぜかといえば共和党は引退するベテラン議員が多いからだ。現段階で20人が引退、転出を含めると30人を超える。
 トランプが失政をすれば、大きく共和党票に影響が出る。下院で民主党が過半数を制すれば、法案や予算の審議に相当支障が生ずるうえに、トランプの公約は実現が極めて難しくなる。さらに重要なのはトランプ弾劾の動きが生ずる可能性が高いことだ。米議会における弾劾の仕組みは、下院が大統領を含む連邦官吏の弾劾訴追権を持ち、上院は大統領と連邦官吏の弾劾裁判権を持つ。下院が単純過半数の賛成に基づいて訴追し、上院が裁判し、出席議員の2/3の賛成で弾劾を決定する。過去にはクリントン大統領が、下院により弾劾訴追されたが、上院における弾劾決議は成立しなかった。ウオーターゲート事件のニクソンの場合は上下両院とも可決が可能となったのを見て、自ら辞任した。副大統領は大統領職を継承する順位で第1位となっている。
 したがって中間選挙の結果次第では、トランプが窮地に陥る可能性が十分ある。ニューヨークタイムズ紙は「歴代大統領は米国という大国をどう率いるかで戦ったが、トランプは自分を守ることで戦っている」といみじくも看破している。したがって上院議員リンゼイ・グラハムのように「1年過ぎたが、最悪の事態からホームランまであらゆる可能性がある」と予言する向きも出ている。もっとも日米関係は大統領が誰であろうと良好な関係を保つことが重要だ。テレビの評論家の中には安倍がトランプと親密であることを批判する空気が生じているが、外交を知らない証拠だ。例えば田中角栄がロッキード事件で窮地に陥っている最中でも、大統領フォードは来日している。外交と国内事情はわけて考えるべきだろう。安倍・トランプの良好な関係は国益そのものであり、これまで通り維持すべきことは言うまでもない。

◎俳談

 ◎俳談
【擬人法は至難の業】  
一湾の夜寒の集い来るごとし 産経俳壇入選
 初心者のうちはよく擬人法を使う。擬人法とは自然や動植物を人に見立てて表現することを言う。明治以来擬人法は月並み句の典型とされてきた。月並み句とは駄句のことである。それくらい擬人法は難しいのだ。それを初心者が使うのだからうまくいくはずがない。
掲句は相模湾の夜寒を表現した。夜寒が人の集会のように「集い来る」と表現したのだ。夜寒を二度も三度も感ずる秋の夜を表現した。
いまや目になりしルーペや冬日和 東京俳壇入選
ルーペが目になったという擬人法だが、意外性で成功した。
悪い例を挙げれば
油蝉一服したる閑(しず)けさや
油蝉が一服しているから閑かだと詠んでいるが、軽い上に陳腐だ。
明治時代を代表する俳人、正岡子規も、擬人法を駄句の典型として退けている。
しかし、短歌ではこれが許される。与謝野晶子には
金色のちひさき鳥のかたちして銀杏(いちょう)散るなり夕日の丘に
と有名な短歌があるが、何の違和感もない。しかし俳句のような短詩では無理があるのだ。ところが芭蕉も擬人法の名句を作っている。
さみだれをあつめて早し最上川
がそれだ。最上川が五月雨を集めているというのだから、擬人法の典型である。しかし100万人に1人も出ない天才俳人の真似を初心者がするのは滑稽の部類だ。

◎安倍は五輪開会式に出席すべきではない

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◎安倍は五輪開会式に出席すべきではない
 支離滅裂な文外交に付き合う義理もない
 二階は「出席」で独走するな
 韓国大統領文在寅の外交能力を疑う事態が続いている。相手に後ろ足で砂をかけて怒らせておいて、冬季五輪開会式に出席せよはない。米中首脳は2月9日の五輪開会式に出席せず、プーチンはもともと出席しない。朝鮮半島に関わりを持つ大国がみな出席しないのに、慰安婦合意を毀損された首相安倍晋三が出席しなければならない理由はない。大体首相が不在の時に自民党幹事長二階俊博が出席の既成事実を作るかのように行動するのはおかしい。この際、米中露に“歩調”を合わせて、首相・安倍晋三も出席する必要はないのだろう。
 文在寅はまるで習近平に泣きつくように二度に渡って直接開会式出席を要請した。しかし、習はこれに応じず、政治局常務委員の韓正を派遣することを決めた。韓正は常務委員といっても序列最低の7位であり、中国が冬季オリンピック出席をいかに重視していないかを物語る。習近平の欠席は冬季五輪ごときに国のトップが出席する必要はないとの判断が働いているのに加えて、極東情勢が大きく作用しているようだ。その最大の象徴が韓国への戦域高高度防衛ミサイル(THAAD)配備である。中国は配備が極東戦略を大きく変えるものという認識で反対したが、文は踏み切った。加えて中国には何ら相談することなく、北との五輪合意である。習にしてみれば、訪韓して下手なコミットは出来ない立場にあり、文は深い外交的な考察のないまま、出席を要請して袖にされたのだ。
 トランプは最初から出席を考えていなかったといわれ、副大統領ペンスの出席にとどめた。これも大統領が出席するような事ではないとの判断がある上に、国内政局に火がついており、その暇はないというのが実情だ。プーチンは国際オリンピック委員会(IOC)から、ドーピングスキャンダルで選手団の正式派遣を拒否されており、出席しようにも出来ないという実情がある。ヨーロッパはフランス大統領マクロンらが出席する。対韓外交重視というより選手激励が主目的だ。
 そこで安倍が出席するかどうかが焦点だが、安倍は東欧歴訪中の記者会見で出席の可能性を問われ「国会の日程を見ながら検討したい。一日も早い予算案の成立が最大の経済対策」と発言した。同行記者団は概ねこの発言をネガティブに感じたようだ。そもそも慰安婦合意は「不可逆的」なものとして、日韓双方が確認している。日本側は安倍首相名で「心からのおわびと反省の気持ち」を表明。韓国政府が元慰安婦支援のため財団を設立し、日本政府は10億円を拠出した。この措置の着実な履行を前提に「問題の最終的かつ不可逆的な解決」を確認しているのだ。外相河野太郎が「さらなる措置は全く受け入れられない」と言明したのは当然だ。
 朴槿恵政権はソウルの日本大使館前の少女像について「適切に解決されるよう努力する」と約束した。しかし、文政権になってからは合意などどこ吹く風、慰安婦「平和の少女像」に続き、強制徴用労働者像までがソウル近郊に設置される動きが生じている。慰安婦への10億円も、韓国が分担すると言いだした。つまり、新方針で日韓合意は文のちゃぶ台返しにあったことになる。こうした中で安倍政権内部は出席論と欠席論が交差している。二階は「五輪も国会も大変重要な政治課題だ。うまく調整の上、(両方)実現できるよう努力したい」と述べ、首相の平昌五輪出席に含みを持たせた。しかし二階はいかに親韓派でも、ここは出席しないのが大局判断ではないか。自分と韓国の関係を政治に反映させてはいけない。韓国から陳情を受けたに違いない。そもそも首相の不在中に重要な政治判断事項で既成事実を作るのは、越権行為だ。幹事長代行の萩生田光一は17日のラジオ番組で、開会式には五輪担当相鈴木俊一と文部科学相林芳正が出席するとの見方を示したが、その程度でとどめておくのが正解だろう。。
 だいいいち来月9日金曜日の開会式といえば、国会は予算委審議の最中である。開会式は夜の8時から4時間も行われるから、国会審議を休めば不可能ではない気がする。しかし、急ごしらえの会場は屋根がなく、選手も観客も吹きさらしに晒される。平昌は2月の平均気温がマイナス8.3度という極寒地だ。同会場で11月4日に催されたコンサートでは低体温症で5人が緊急搬送されたという。
 要するに安倍は、日本の国内世論が文の仕打ちに圧倒的に批判的であり、出席しても焦点は、南北合同チームの入場行進であり、チャラチャラ女が踊る北朝鮮のパフォーマンスばかりが目立つような開会式に出席するメリットはない。文はアイスホッケーチームがどっちみち強くないことを理由に、北との合同チームを結成する方針のようだが、これこそスポーツの政治利用であり、オリンピック憲章のイロハを知らない。国内の猛反発は当然だ。文の言動は日米韓の包囲網や国連制裁決議を毀損しかねない要素がある。包囲網に穴を開ける北の巧妙な外交に乗せられつつあるとしか思えない。河野が「北朝鮮が核・ミサイル開発を続けている事実から目をそらすべきではない。国際社会の分断を図ろうとしている」と看破している通りだ。日本の首相が文の支離滅裂な低級外交に付き合う暇はないし、義理もないのだ。  

◎俳談

◎俳談
【暖かい句】
小児科の老医叱りてあたたかし 月刊俳句秀逸句
 俳句ほど人柄を現す文学は珍しい。またその人柄を躊躇せずに出すべきなのが俳句だ。
 奥の細道の曾良の句に
かさねとは八重撫子の名成(なる)べし
がある。那須野が原にさしかかった芭蕉一行の後を、どこまでもついてくる童女がいた。名前を聞くと「かさね」と答える。「聞かぬ名の優しければ」と作った句である。情景がほほ笑ましいが、曾良の暖かい人柄が見える句でもある。
 筆者も会社では怖がられていたが、本当は温かい人であった。だから時々我ながら暖かい句を作る。掲句がその代表である。なにも暖かくないのに暖かい句を作る必要は無い。繊細なら繊細なりに、図太ければそれなりの句を作るのだ。名は体を表すように、句は体を表す。まず自らの性格を分析して“得意”の分野を思い定めるべきであろう。
この庭に命を繋ぐ蜥蜴かな 毎日俳談3席
生きとし生けるものへの暖かい眼差しから作った。
湯湯婆(ゆたんぽ)と書けば笑へるなあ婆さん 読売俳壇1席
家庭の暖かさを出した。
母の暖かさの句は何と言っても中村汀女だ
あはれ子の夜寒の床の引けば寄る
咳の子のなぞなぞあそびきりもなや

◎ウインフリーは米政治救いの女神か

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 ◎ウインフリーは米政治救いの女神か

  大統領選出馬説が台頭
 トランプは発言癖がダメージ
  典型的な保守派で共和党寄りの立場をとっている米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙が社説で「ウィンフリー氏、トランプ氏を追い出す?」「次期大統領選の民主党候補になるとの憶測が急浮上」と書いている位だからフィーバーは相当なものだろう。米大統領としては異常なまでにその醜い発言のボルテージを高めているトランプに米国民が辟易としていることを物語る。ウインフリーといえば米国人が好む立志伝中の人であり、立候補すればトランプを脅かす存在になることは確実。本人はやる気かどうかの明言を避けているが、今年11月の中間選挙を経て、民主党が予想通り上下両院で勝てばウインフリーは出馬し、トランプの任期を4年で終わらせるとの見方が強まっている。
 「オプラ・ブームも、ハリウッドのような熱しやすい『ドリーム・ファクトリー(夢の工場)』による希望的観測にすぎないのかもしれない。だがその可能性を前に硬派でプロフェッショナルな民主党関係者でさえ胸をときめかせてしまう理由も分かる。」とWSJ紙が書く63歳のウインフリーは、典型的な黒人の貧困家庭に生まれた。9歳の頃には親戚に強姦されるなどの性的虐待を受け、14歳で妊娠し、出産している。産まれた子供は1週間後に病院で亡くなっている。19歳でローカルテレビのニュースの仕事に従事してマスコミ界に入り、32歳の1968年にテレビの「オプラ・ウインフリー・ショー」を立ち上げ、この番組は2011年まで続いた。弁舌の鋭さ、知性の高さでマイノリティーだけでなく、白人女性層にも広範に支持されている。ウィンフリーの資産額は現在、28億ドル(約3100億円)に達している。「出馬コール」に火がついたのは7日のゴールデングローブ賞授賞式。黒人女性として初めて生涯功労賞を受賞したオプラ・ウィンフリーが自らの経験に裏打ちされた性的暴力の被害者への連帯を示す力強いスピーチを行い、出席者から何度も熱狂的なスタンディングオベーションを受けた。
  出席した俳優や音楽家らからは、レディ・ガガが「オプラが大統領選に出馬すれば支持する」と言明すれば、「ゴッドファーザー」のロバート・デニーロは「世界は裸の王様の馬鹿を見ている」とトランプをこき下ろし、出馬を促した。そのトランプの発言の醜さ、幼稚さは病膏肓とも言える段階に入った。枚挙にいとまがないが最近ではハイチを「便所」と誹謗した例だ。トランプは議員らに「なぜ便所のような国(shithole countries)の出身者を来させたいのか。ノルウェーのような国の人々を受け入れるべきだ」と発言した。これは明らかに人種差別であり、自由と法の下での平等を高らかにうたった合衆国憲法に大統領自ら違反するものである。またWSJ紙によると2016年の米大統領選の1カ月前、トランプの顧問弁護士の1人が、トランプと性的関係を持ったとされる元アダルト映画女優に対し、口止め料として13万ドル(約1440万円)支払う約束をしたという。ロシア疑惑も増す一方だ。
 こうした発言や行動が繰り返されるたびに、米国民の多くの視線がウインフリーに向けられ始めた。トランプ陣営はオプラが政治の素人である点を指摘しているが、これこそトランプにそのまま返される言葉だろう。WSJ紙は社説で「選挙戦で有権者をどう説得するかが課題だが、ウインフリーが出来ないと断言するのは愚か」と書いている。米大統領には現職政治家や、経営者、企業幹部などが当選するケースが多いが、全くの素人に見える候補も当選している。トルーマンはミズーリ州カンザスシティで洋品店を営んでいた。ジミー・カーターは、農場主だった。レーガンはハリウッドの俳優だった。いずれも優秀な大統領であった。政治面では未知数であっても、政治力は素質があれば育つものだ。
  トランプはウインフリーが強敵になり得ると感じてか、早くも「オプラなら私は勝てる。相手がオプラなら面白い。ただし出馬するとは思わない」と牽制球を投げ始めた。臆面もなくトランプは「人生を通じて、私の最も大きな長所は、 安定した精神と、そして、何というか、とても頭が良いということだ」「私は大成功を収めた。実業家からトップのテレビタレントとなり、そして米国の大統領になった。私が思うに、これは頭が良いというよりも、天才と呼ぶに値するだろう。しかも、非常に安定した天才だ!」と述べた。この発言はデニーロの「裸の王様の馬鹿」と言う形容が何とふさわしく見えることだろうか。自分を天才と思い込む病気には「自己愛性パーソナリティ障害」がある。ありのままの自分を認めることができず、自分は優れていて素晴らしく特別で偉大な存在でなければならないと思い込むパーソナリティ障害の一類型である。これが実際にトランプに当てはまるかどうかは分からないが、その危険を感じさせる大統領は危険な存在であろう。14日にも懲りずにトランプは「私は大統領として、わが国が再び強く偉大な国になるのを助けようとする人々がわが国に来ることを望む。移民の能力に基づいたシステムを通じてだ。ビザ抽選制度はもういらない!」とツイートしている。もはや確信犯だ。
 とにかく何をやるか分からない異常性を秘めていることがトランプの一年で分かった。国務、国防両相やホワイトハウス内の良識の“歯止め”がかかっているうちはよいが、いつ歯止めがかからなくなるか分からない状況に世界は置かれている。公共ラジオNPRの世論調査によると大統領選でトランプとウィンフリーが対決した場合、どちらを支持するか聞いたところ、ウィンフリーが50%で、トランプの39%を上回った。この差は今後トランプの奇想天外発言が繰り返されるたびに開くことが予想される。それにしてもあと3年もトランプと世界は付き合わなければならないのかと思うと、うんざりする。

 

◎俳談

◎俳談
【一句一季語の鉄則】
房総の卯波とどろき月上る   毎日俳談1席
 掲句は鈴木真砂女の故郷である千葉県鴨川市の旅館に宿泊したときに作った。房総半島の卯波がとどろくものであることを初めて知り、感動したものだ。ここで注目すべきは卯波は夏の季語であり、月は秋の季語である。俳句では一句に二つの季語を使うことを季重なりとして戒めているが、これは季語同士が同等の力を発揮するときに限る。強弱がついていれば違和感がない場合が多い。掲句は本旨が房総の卯波のとどろきを驚異の念をもって受け止めたものと分かり、月はいわば補完作用を及ぼしている。こういう場合は許されるケースだ。芭蕉にも季重なり句はたくさんあるが代表句が
春なれや名もなき山の薄霞      芭蕉
 春と春の季語の「霞」がバッティングしている。これも名もなき山の薄霞を「春なれや」が補完してをり、許容範囲である。しかし初心者のうちはまだその強弱を判断出来る能力に欠けるから、一句に二つの季語を絶対に使わないよう習慣づけるべきである。一句一季語が鉄則とまず肝に銘じなければならない。

◎北、融和攻勢で日米韓分断図る

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 ◎北、融和攻勢で日米韓分断図る
  韓国は“やらずぶったくり”に遭う
 「時間稼ぎ」が見え見えの北戦略
  キーワードは「時間稼ぎ」に過ぎまい。微笑外交で韓国を油断させ、オリンピックの滞在費をむしり取り、国際社会を朝鮮半島緊張緩和の“一炊の夢”にひたらせる。隙あらば日米韓の連携から韓国を引き離す“くさび”を打ち込む。この北の攻勢に、融和路線の左翼大統領文在寅の顔は、テレビに出るたびに負けそうな印象をもたらす。甘っちょろくて見ていられない。北はここを先途とばかりに日米韓連携の最大の弱点である文を突く。「民族自主」を主張する北のペースに、文は、はめられた感じだ。そこには日米韓の連携に何としてでもくさびを打ち込みたい北の思惑が明確に存在する。そして米本土に到達する大陸間弾道ミサイル(ICBM)を完成させるための時間稼ぎをする。これが北の戦略だ。
 南北会談は7対3で北の勝ちだ。北はオリンピック参加という錦の御旗で韓国をひざまずかせた。一方で、失うものはゼロだ。オリンピックには選手団、応援団、高官級代表団を送ることが確定した。一方で韓国側が要求した朝鮮半島非核化の推進には、強い不満を示して合意どころではなかった。北は一大プロパガンダの場としてオリンピックを政治利用する。場合によってはオリンピック代表団に金正恩の妹の金与正を送り、トランプの娘のイバンカが列席すれば会談を実現させるところまで考えているかも知れない。
 北は表には出ていないが米韓がオリンピック後まで延期した米韓軍事演習の中止に言及した可能性も否定出来ない。今後軍の当局者同士の会談が行われることになったが、ここでは間違いなく軍事演習の中止を要求するだろう。文在寅は北と米国に挟まれて苦渋の選択を求められる。おまけに北は経済支援などを韓国側に要求する可能性が強い。文が応ずれば国連制裁決議が崩壊する危険をはらむことになる。北は9月に建国70周年の節目を迎える。景気づけのために、まだ未完成な段階にあるICBMの実験をする必要がある。米本土に到達させるには大気圏再突入技術を確立する必要があるのだ。そのためにはこれまでの通常よりも角度を上げて高く打ち上げるロフテッド軌道ではなく、通常軌道の実験が必要となる。オリンピックでの融和姿勢はそれまでの時間稼ぎに過ぎないと見るべきであろう。
 金正恩は正月の演説で「核のボタンが机の上にある」と太った顔ですごんで見せたが、大人げなくトランプも「私の核のボタンは遙かに強力だ」とツイートした。鶴田浩二の歌の文句ではないがまるで「馬鹿と阿呆の絡み合い」といった風景を新年早々世界は見させられた。それでは極東核戦争は勃発するのだろうか。しないだろう。ケーススタディをすれば3択がある。第一は「北による核の奇襲攻撃」だが、日韓は滅びるが米国が壊滅的打撃を被ることはない。したがって、米国は圧倒的な報復力で平壌を消滅させ、ロケット基地も壊滅させる。金正恩は核爆発で遺体も残らない。いくら威張っても「自殺行為」をする度胸はあるまい。
第二は「米国が北を最初に奇襲攻撃する」ケースだ。もちろん日韓の同意なしで行われる場合だが、攻撃対象が分散しているため一挙に壊滅させることは困難だ。撃ち漏らした核ミサイルが一発でもソウルや東京に落ちれば韓国も日本もその長い歴史の幕を閉じる。終末だ。トランプが狂わない限りあり得ない。トランプ乱心となれば国防総省はクーデターを起こしてでも止めるだろう。
 第三に「偶発的衝突による核戦争」だ。この説はまず米国の軍隊の仕組みを知らない。米国ほど文民統制が確立している国はなく、世界一統制のとれた軍隊だ。これが偶発的にでも戦争を起こす可能性は極めて少ない。北も、同様に核の管理は国の存亡をかけた最優先事項だ。誰よりも命がほしくてすごんでいる金正恩が核の管理を怠ることはない。
 こう見てくると極東の核戦争はありそうでないものの筆頭にあげられる。トランプと金正恩が外交的、政治的に優位に立とうとして核を活用しているだけだ。だからと言って、日本が無防備でいいかといえばとんでもない。日本はハリネズミのようにミサイル防衛体制を整えなければならない。敵基地攻撃能力を保有して、金正恩のやる気をなくさせ、中国やロシアをけん制するのだ。新型戦闘機F35に巡航ミサイルを装備し敵基地攻撃能力を保持すべきだろう。弾道弾を撃墜するイージスアショアはこれまでのイージス艦とPAC3で北のミサイルを防衛する方式に加えて導入されるもので、2023年頃の運用に向けて秋田市と萩市の自衛隊基地に設置される。F35が離発着できる空母も早期に建造か改造する必要がある。もっとも垂直離発着可能なF35なら現在の空母でも活用可能だ。基本戦略を積極防衛へと転換しなければ極東の戦争抑止は確立できない。

◎俳談

 ◎俳談
【雪をんな出でよ】
雪をんなついてくるらしときめけり 産経俳壇入選
  正月早々告白するが、実は愛人がいる。冬になると逢いに行く愛人だ。その名を雪をんなという。雪をんなほど心を引かれる女はいないのだ。もう何句雪をんなで作句したか知れない。雪をんなは「雪女」や「雪おんな」であってはならない。あくまで「雪をんな」なのだ。旧仮名でないと気分が出ないのだ。そして雪をんなは絶世の美女なのだ。山道で追い越されて、振り向かれた瞬間に脳溢血になるほどの超絶美人なのだ。
 なぜ雪をんなが好きかというと自らが侘しい者であるからだ。侘しい者でなければ状況が成り立たないのだ。だいたい雪女の昔話はほとんどが哀れな話であり、子のない老夫婦、山里で独り者の男、そういう人生で侘しい者が、吹雪の夜風が戸を叩く音から、自分が待ち望む者が来たのではと幻想する。そこから伝説が始まったのだ。だから筆者も侘しい者でなければいけないのだ。そして、その待ち望んだものと一緒に暮らす幸せを、春の淡雪のように儚く幻想して俳句を作るのだ。だからどんどん出来るのだ。ただ大事なことが一つある。もし雪をんなが来ても、絶対に風呂に入れてはいけないのだ。消えてしまう。作り方はドラえもんの「どこでもドア」のように「どこでも雪女」なのだ。
 妻がいなければ
雪をんな出よ今宵は妻の留守
 フィギュアスケートを見れば
氷盤の乱舞に一人雪をんな
 チャイムが鳴れば
真夜中のチャイムの響き雪をんな
 終バスを女が降りれば
終バスを降りて山路へ雪をんな
 招き入れれば
四畳半どこに座らす雪をんな
 カーリング美人の目を見れば
雪をんなカーリングの眼で迫り来る
 といった具合だ。今年の冬もじゃんじゃん作らねば。もう病膏肓(こうもう)なのだ。

◎安倍3選で3000日突破の政権維持へ

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◎安倍3選で3000日突破の政権維持へ
  岸田はハムレット、石破、野田は訴求力欠如
 新年特別大胆予測
  世の中“1億総保身時代”であるかのようだ。従って政治情勢を断定するような政治評論家などいない。外れれば大恥とびくびくしている。だから明確な予測を出す者など皆無だ。正月の愚かなる民放テレビ番組の“くっちゃべり”を見てつくづくそう思った。ところが何を隠そう小生は、今流行の西郷どんが「命もいらぬ、名もいらぬ、地位も金もいらぬというような人物は処理に困る」と述べた類いの評論家なのだ。あえて“寸前暗黒”に光を当ててその有り様を断定するタイプなのだ。そこで新年から安倍官邸のどこかに“蟻の一穴”がないかと、ウサギの耳を長くして、鵜の目鷹の目で情報を集めたが、どこにもなかった。安倍政権は兎の毛で突くほどの隙も見せていない。だから予言しておく、9月の総裁選は安倍が3選を果たす。ということはさらに3年の任期が保証され、安倍は前人未踏の3000日を超える長期政権となる見通しだ。最大の理由は過去の長期政権がそうであったように経済面での好調が継続するからにほかならない。このように強い経済を背景に持った政権は与党内部はもちろん野党も突き崩せないだろう。政局は仕掛けたものが弾き飛ばされる状況なのだ。
 アベノミクスはまさに絶頂期に入ろうとしている。すでに安倍政権の12年12月に始まった景気回復は、昨年9月で65年11月~70年7月までの57カ月間に及んだ「いざなぎ景気」を抜いた。今年の景気上昇は新年に財界人全てが予想したように持続発展し、以後は2000年までオリンピック景気がこれに上乗せされる。史上空前の「天孫降臨景気」が続く。雇用は史上初めて1人に対して正社員の有効求人倍率が1に達した。希望すれば正規社員になれる時代となった。東京での倍率は2であり、全国的にも1.5と好調だ。
 問題は9月の総裁選でこの盤石の態勢を突き崩すという無謀なチャレンジをする候補がいるかどうかだが、いることはいる。もっとも、ハムレットのように「立つべきか立たざるべきか、それが問題じゃ」と悩んでいるのが政調会長岸田文雄だ。やいのやいのと突っつくマスコミに「政治状況を見ながら直前に考える」ともっぱら慎重姿勢を維持している。しかし宏池会の長老古賀誠は主戦論だ。かつて安倍の対抗馬として野田聖子擁立しようとして暗躍、失敗したのも古賀だった。今度は岸田擁立でまたも暗躍している。昨年末には限られた人数の会合で超オフレコで「総裁選ではビジョンを打ち出して安倍と争う」と擁立をほのめかした。しかし岸田本人は“禅譲”期待が垣間見える。この禅譲方式は戦後度々登場している。その主なものは岸、佐藤、福田康夫政権末期にささやかれた。岸は大野伴睦に禅譲の密約をしたが、結局譲らず大野は憤死した。佐藤末期に福田赳夫への禅譲説があったが、田中角栄に力で封じ込められた。成功したのは福田康夫が麻生太郎への禅譲を約束して、実行に移したことだけだ。それでは安倍が岸田に禅譲をほのめかしたかというとその気配は全くない。岸田が立候補するかどうかをギリギリまで決めないのは、禅譲期待があるからにほかならない。禅譲といっても4年近くも待てるかどうかだ。もともと、政権とは戦い取るものであり、棚から落ちるぼた餅は他人に食われるのが落ちだ。
 5年前の総裁選で地方党員票のトップに立って一時は安倍の心胆を寒からしめた石破茂は、間違いなく立つ。地方党員票の比重が強化されているから、なおさらやる気十分に見える。しかし、今回も地方票でトップに立てるかというと情勢はそう甘くない。5年前の自民党は一野党としての総裁選であったが、今回は総理総裁たる安倍を敵に回すことになる。政権奪取に直結する総裁選なのだ。地方党員は、5年にわたる安倍治世で、陳情その他に多大の効果を発揮できる構造的な利点を熟知しており、党内野党の石破を応援すればその道は断たれるのだ。それを承知で安倍を見限る者は、よほどの偏屈か異端者でしかあるまい。その構図を反映するかのように石破派はたったの20人にとどまっている。立候補の推薦人確保がやっとの人数だ。人望欠如のように見える。したがって、石破政権の目は出ないだろう。
 「男は一階勝負する」と佐藤3選にチャレンジしたのは三木武夫だが、「女は2度目の勝負する」のが総務相野田聖子だ。民放の出馬するかの問いに「ハイ」と軽々しくも飛びつき「推薦人20人を確保した場合勝算は前回と比較すれば150%」とほらを吹いた。そもそも野田の立候補には“甘え”がある。総裁選を子供の運動会の二人三脚に親が出るくらいに軽く考えている。閣僚でありながら首相をひきづり降ろそうというというのが野田のケースであり、出るなら当然総務相を辞任してから出馬表明するのが憲政の常道だ。諸外国に比べて日本の政治は一流だが、女性政治家のレベルはアフリカあたりの発展途上国より低い。ここ1、2年でも不倫の山尾志桜里、暴言の豊田真由子、自衛隊日報問題で辞任の稲田朋美など資質を問われるケースは枚挙にいとまがない。小選挙区の場合女性候補というだけ票が増える傾向があり、東大卒などというどうでもいい肩書きがけっこう利く。それでも女性議員の比率は衆院で10%と世界平均の半分であり、世界193か国中163位だ。有権者はもう女性だから当選させる時代は去りつつある。野田は立候補の弁で「敵味方というのではなく、安倍首相の掲げる政策を認めつつ、それではたりないという思いがある」と述べているが、これも甘い。オリンピックは「参加することに意義がある」と述べたのはクーベルタンだが、総裁選は首相の存在意義を全否定することであり、まさに敵と味方なのだ。女の甘えがたらたらの野田ではこの国の政治のかじを取ることは難しい。一方、野党は自民圧勝でまたまた脳しんとう。当分政局を語る場には出てこない。通常国会ではまたも森友・加計問題をぶり返す方針のようだが、国民はもう聞き飽きた。同問題は解散・総選挙で有権者が「疑惑なし」と判断したから安倍が圧勝したのだ。ぶり返すことは政権の追及方法を知らない、野党の無力さの象徴である。小泉進次郎は希望の星だが、今総裁選でうろちょろする時ではない。まだ10年早いと思って雑巾がけに汗をかくことだ。


謹賀新年 浅野勝人

謹賀新年  平成30年 新春
安保政策研究会理事長 浅野勝人

新年のご挨拶を申し上げます。
あなた様のご一家にとって息災な一年となることを祈願いたします。
アジア・太平洋地域の安定と繁栄の調査・研究を目的とする一般社団法人「安保政策研究会」理事長が、年頭に当たって、アジア情勢を予測する総論の提示ではなくて、大相撲のコメントとは本意ではありませんが、“角力、スモウ”の明け暮れに ひと言 触れさせていただきます。

日本相撲協会の臨時評議会は、貴乃花親方の処分に当たって、「礼を著しく欠いた」のではなくて、「理事としての(報告)義務を著しく欠いた」と判定すべきでした。
礼は最も重要な道徳的観念ですが、重役会議の冒頭、「皆さん、おはようございます」と言わずに重要な案件について的確な報告をした専務取締役がクビになることはありません。「皆さん、おはようございます。連日ご苦労様です」と礼を尽くしたが、重要案件の報告を怠り、会社に莫大な損失を与えた副社長は解任されます。

中国の古典、「韓非子」に「知らずして言うは不智、知って言わざるは不忠」(初見秦)― 不知而言不智、知而不言不忠 ―
事柄の内容を十分に知らないのに進言するのは無知の誹(そし)りを免れず、かといって内容を十分に知りながら進言しないのは不忠の罪に当たる。
韓非の時代、「不忠」とは「死罪」を意味しました。

貴乃花親方は改革の旗手と言われますが、差しあたって、何をどう改めようというのか、理事長選にチャレンジする際、所信を表明すればいいと考えているのか。もし相撲協会を改革する理念・青写真があるのなら、提示しないことには誰にもわからない。とにかくだんまりのままでは評価の仕様がありません。惜しまれる。

ところで、横綱審議委員会が横綱・白鵬の「かち上げ」「張り手」は品位に欠けるとクレームを付けました。

「かち上げ」(搗ち上げ)は相撲の技(わざ)のひとつです。
前腕をカギの手に曲げ、相手の胸をめがけてぶちかますカタ(形)です。かち上げは相手の体をおこしたり、ぐらつかせて後退させ、差し手を有利にする技です。「搗つ」とは「杵(きね)で臼(うす)の餅を搗(つ)く」という意味です。
横綱では、北の湖、朝青龍が得意技としていたそうです。
八角理事長(横綱・北勝海)は「かち上げは好きだった。相手の胸に穴をあけるくらいのつもりで当たっていった。来るなら来いという意気込みで、当たりが良ければ相手はひるむ」と述べています。勝つための当然の戦法、見上げた勝負師の心意気です。

「張り手」も相撲のカタのひとつで、平手を横に振って、相手の顔や首の側面を叩(はた)いて出足を鈍らせる技です。両手で両耳を同時に張るのは禁じ手です。(相撲規則禁手反則第1条4項)

横審に伺いますが、なにか白鵬が禁じ手を使って、違反行為をしたのでしょうか。
土俵下の藤島審判長は「白鵬のかち上げは横綱の体がおきる。両方から押っ付ければ持っていける。大した技ではない。やられる相手が弱いんだ」と指摘しています。
白鵬びいきの私に言わせれば、下位の力士が無策で簡単に負けるから、白鵬が「荒っぽい手口」と批判されるだけのことだと思っています。

白鵬翔は「強い人が大関になる。宿命ある人が横綱になる」と答えました。
その心を代弁すれば、「白鵬を倒したいのなら、顔を張るのは横綱らしくないとか、右のカチ上げは出足を止められて相撲にならないとか、愚痴は見苦しい。稽古を積んで白鵬の顔を張って、カチ上げて来い」と言っているのです。(浅野勝人著「宿命ある人々」225ページ)

横審の北村委員長が「横綱の品位に欠ける張り手やかち上げは見たくない」というのなら、大相撲を観るのをお止めになるか、それとも禁じ手として相撲協会に諮問して、相撲規則を改正させたらどうか。白星を求めて、血みどろの稽古に耐えている力士の正当な技に無責任な言いがかりをつけるのは適切とは言えない。

今年の年賀状に「1強とはいえ意外のもろさが今年はあらわれるでしょう」(産業界で活躍した財界OB)と同趣旨のものが3通ありました。
14日に始まる初場所は白鵬1強の土俵となるか、白鵬に代わるニュースターが白鵬を退けるか。
「ポスト安倍は安倍」という二階自民党幹事長の思惑通り、1強のまま推移するのかどうか、予測は困難、まだ早過ぎます。(元内閣官房副長官)

おめでとうございます

明けましておめでとうございます。
皆様にとって今年もよい年であるよう祈念いたします。
        2018年元旦  杉浦正章