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◎俳談

◎俳談
【鳳仙花】
鳳仙花昭和の女健気(けなげ)なる 産経俳壇入選
 歌謡曲の一節が時々脳裏につきまとって離れなくなる。先週までは「死んだはずだよお富さん」だったが、いまは若干高尚になって島倉千代子の鳳仙花。「鳳仙花鳳仙花はじけてとんだ花だけど」と「鳳仙花鳳仙花日陰が似合う花だけど」のフレーズが頭にくっついて離れない。どこに行っても付いてくるのだ。鳳仙花は秋の季語だ。貝原益軒の「大和本草」には「女児、この花とカタバミの葉をもみ合わせて爪を染む。紅色となる」とある。昔の子供も爪を染めて遊んだのだ。だから古称は「爪紅(つまくれない・つまべに)」という。掲句は鳳仙花を昭和の女に見立てた。昭和前期の女は強かった。戦争を耐え抜き、戦後を生き抜いた。地味で質素で、強く美しい昭和の母の姿だ。
鳳仙花グラマン掃射ありし土手 読売俳壇入選
グラマンの機銃掃射があった土手にも鳳仙花が咲いていた。女学生が犠牲になったと聞いた。「はじけて飛んだ花だけど」のフレーズが涙を誘う。

◎日本、綱渡りの「国連決議賛成」

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◎日本、綱渡りの「国連決議賛成」
  事前に米国に根回し
 一時的ではあったが国連始まって以来の米国の完全孤立であった。国連総会緊急特別会合でトランプによるエルサレムの地位変更は無効であり撤回されるべきとする決議が可決された。トランプの実情無視、調整なしの短絡路線の失敗である。トランプや国連大使ケリーは国連分担金の削減や賛成した国への財政支援を打ち切ることをほのめかした。この金銭面でのどう喝は、まるでにわか成金のようで、一般社会と同様に国連でもひんしゅくを買った。トルコ外相チャプシオールは「各国の意思や尊厳を金で買うようなやり方は許されない」と反論。シリア代表も「米国は国連を自分の持ち物と考えて、従わないものに罰を与えようとしている」と真っ正面から批判した。国連分担金といってもアメリカは1位だが、日本は2位にもかかわらず、国連外交の非力さが祟って安保理常任理事国にもなれないままだ。日本をのぞく分担金上位6か国は全部理事国だ。ヘイリーの主張が通るなら、日本も常任理事国入りしなければ分担金を削減してもいいことになる。
 決議は日本を含む128か国の賛成多数で採択。反対は米国やイスラエルなど9か国。棄権は35か国。21か国は投票に参加しなかった。こうした動きの背後で日本政府は如何に対応すべきかについて大分苦労したようだ。選択肢としては賛成と棄権があったようだ。反対は当初からなかった。棄権した35か国の中にはカナダやオーストラリアが含まれている。両国は日本と同様に親米である。ただ日本の場合は12月が安保理議長国であり、本会議決議に先立つ安保理決議を米国を除く全参加国が賛成しているのに、議長国が棄権に回るわけにはいかなかった。この流れが本会議へとつながった。また棄権となれば米国と中東諸国の双方から非難されかねないという、あぶはち取らずの雰囲気もあった。
 さらに官房長官・菅義偉が22日の記者会見で「日本は2国家解決を支持している。エルサレムの最終的地位の問題も含めて当事者間の交渉で解決すべきだ」と発言している。イスラエル・パレスチナ双方の間では、難民、入植地、エルサレム、国境画定など個々の問題の解決を図って、イスラエルとともに共存共栄するパレスチナ国家を建設することが大目標とされている。イスラエルとパレスチナの双方が共存する「2国家解決」の実現を目指しているのだ。欧州連合(EU)も取り組む方針が2国家解決であることを改めて確認する総括文書をまとめている。これが世界的な潮流であり、その立場を取る以上一方の肩を持つ対応は不可能であった。
 とりわけ米国とカナダをのぞくヨーロッパの先進七か国(G7)が賛成に回るとの情報が、日本を賛成に踏み切らせる大きな動機となった。こうした情勢を背景に外務省は首相・安倍晋三とも相談の上、腹を決めて取りかかったのだ。とりわけ本会議決議について一部の国から米国を名指しで非難すべきだとの主張があったが、日本はこれに反対して、文章を和らげる役目を果たした。さらに重要な点は事前に米国に「賛成に回る」と通告して、日本の窮状を説明したようだ。米国に賛成の意思を伝達して理解を求めたのだ。トランプにとって日本は数少ない盟友であり、やむを得ないと判断した模様だ。
 一方米国は、自らが主導した対北朝鮮追加決議案を安保理に提出した。安保理は22日午後、北朝鮮による11月末の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射を受けた新たな北朝鮮制裁決議を全会一致で採択した。内容は9月の決議をさらに強め①北朝鮮への石油精製品の9割削減②海外で働く北朝鮮労働者の1年以内の本国送還ーなどとなっている。厳格に履行されれば北朝鮮の経済活動への大きな打撃につながる。従って米国は国連外交で成果を上げたことになり、その孤立は一過性のものとなりそうだ。   

◎対北制裁が“ダダ漏れ”状態

◎対北制裁が“ダダ漏れ”状態
  日本も含まれると指摘ー米紙社説
 米ウォール・ストリート・ジャーナル紙は20日「北朝鮮包囲網、抜け穴を全てふさげ」と題する注目すべき社説を掲載、「米シンクタンクの発表した報告書ではドイツ、フランス、日本の3カ国が、禁止されているはずの北朝鮮貿易を止められていないと」と指摘した。さらに「北朝鮮は輸出規制を厳しく執行しているはずの国々も狙っており、北朝鮮はこうした国々の輸出規制法をかいくぐるためにダミー会社を含む偽装工作も行っている」と強調した。国連における輸出規制を米国と共に主導してきた日本が“ダダ漏れ”では、どうしようもない。同紙は「北朝鮮に経済危機の兆候が現れないのは、こうした不正行為によって説明できる」とも指摘している。政府は早急に対策をとるべきだろう。一方で同紙は中国の対応について「中国政府の気分を害することを恐れて中国の制裁違反者を大目に見る余裕は米国にはない。米財務省は先月、中国企業4社に対して二次的制裁を発動した。遅きに失したかもしれないが明るい兆しだ」と強調した。
社説内容次の通り
 ※米国の同盟国も、北朝鮮の貿易ネットワークの取り締まりには手間取ってきた。ワシントンを拠点とするシンクタンクの科学国際安全研究所(ISIS)は今月発表した報告書で、ドイツ、フランス、日本の3カ国が、禁止されているはずの北朝鮮貿易を止められていないと指摘した。同報告書は「北朝鮮は輸出規制を厳しく執行しているはずの国々も狙っており、こうした国々の輸出規制法をかいくぐるためにダミー会社を含む偽装工作も行っている」としている。
※米国との間に強い関係を持たず、監視体制も整っていない国々は、まず間違いなく対北制裁の履行にもっと時間がかかるだろう。ISISの報告書によれば、北朝鮮から武器を買っている国は13カ国に上る。国連の専門家パネルは9月、タンザニアとモザンビークが自国の防空システムの強化で北朝鮮と取引していると非難した。より一般的な対北制裁の違反には、非軍事品の輸入や建設プロジェクトなどで北朝鮮国有企業を使うことも含まれる。国連パネルはアフリカの14カ国がこうした違反をしていると指摘。このうち北朝鮮人を送還したと国連に報告したのはナミビアだけだ。
※最も不可解なのはマレーシアだ。今年2月、金正恩氏の異母兄である金正男氏がクアラルンプールの空港で北朝鮮工作員に殺害されるという事件が起きた。しかし、マレーシア政府はこれまでのところ、対北制裁を無視して北朝鮮と取引している企業の閉鎖に至っていない。
※ニッキー・ヘイリー米国連大使は先月、制裁に関する演説の中で「北朝鮮が石炭生産地を偽装する方法を使い、引き続き近隣のアジア諸国に石炭を密輸しているとの報告」について言及した。北朝鮮はまた、黄海や日本海で船舶間移送によって石油製品を手に入れている。ヘイリー大使は名指しこそしなかったが、北朝鮮の船舶は中国の港湾に寄港し続けている。
※今のところ北朝鮮に経済危機の兆候が現れないのは、こうした不正行為によって説明できる。過去数カ月でガソリンやディーゼル燃料の価格は確かに上昇したものの、現地の日常生活は大きく変わっておらず、政権は兵器への支出を続けている。
※制裁措置によって北朝鮮を交渉のテーブルに着かせようと望むなら、中国政府の気分を害することを恐れて中国の制裁違反者を大目に見る余裕は米国にはない。米財務省は先月、中国企業4社に対して二次的制裁を発動した。遅きに失したかもしれないが明るい兆しだ。違反業者や彼らに融資している中国の銀行をさらにブラックリストに載せることは、米国と同盟各国が制裁違反者をビジネスから締め出すというメッセージを送ることになるだろう。

◎俳談

◎俳談
 恋の句は短歌のようにべたべたしない。さりげなく表現して、それと表現する。
人込みに紛れまた見ゆ冬帽子 杉の子
逢引の場所に見慣れた冬帽子がやって来る。わくわくする気持ちを表現した。あくまで好きだの、愛してるだのの表現は避ける。内在する気持ちは表現せずに“それとなく”恋を読むのだ。
 鞦韆は漕ぐべし愛は奪うべし 
 三橋鷹女の句だが、鞦韆(しゅうせん=ぶらんこ)は漕ぐのがあたりまえだ。愛も奪うのが当たり前だ。と言いきって、愛の本質を描き出している。当時評判だった有島武郎の評論「惜しみなく愛は奪う」を我田に引水したものである。
走馬灯息ある限り女追う 杉の子
男の本能を詠んでみるとこうなる。放蕩でも女道楽でもない。走馬灯の馬が追い続けるように男は女を、女は男を死ぬまで追い続けるのだ。
妻二タ夜あらず二タ夜の天の川      
中村草田男の新婚時代の「妻恋」の句だ。二晩も妻がいない。天の川を見ては溜息を漏らす。そんな情感に満ちあふれている。
 

◎「力の平和」で中国の「新型大国関係」を否定

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◎「力の平和」で中国の「新型大国関係」を否定
  日米対中露の対峙色一段と濃厚に
 トランプの国家安全保障戦略
 首相・安倍晋三は、トランプから国家安全保障戦略で「公平な責任分担」を求められるやいなや、“音よりも早く”イージスアショア2基の導入を閣議決定した。いやはやその猛スピードには驚いたが、これで日本の安保戦略は画期的に強化されることになったのは確かだ。トランプの戦略はその用語の稚拙さから一見「思慮不足と独善」(朝日社説)であるかのように見えるが、浅薄な見方だ。背後には大きな安保・外交観があり、弱腰のオバマとは一線を画すものとなった。その中核は対中戦略とこれと密接に関連する対北朝鮮戦略だ。トランプ戦略は訪中時とは打って変わった厳しさで中国を「修正主義勢力」と断定、習近平による「新型大国関係」を否定した。極東情勢は日米対中露の対峙色をいよいよ深める流れとなった。
 トランプは世界情勢を大きくとらえて「帝国主義的な領土拡張競争は、過ぎ去った過去の現象のように片付けられるが、強国同士の競争は再燃している」と分析した。1990年の冷戦終結以来、米国は唯一の超大国として独走を続けて来たが、中国は経済力を背景に軍拡を続け、今や軍事大国と化しており、トランプの分析はうなずけるところだ。
 焦点の北朝鮮への対応についてトランプは「同盟国との関係強化によって対処する」「公平な責任を負う同盟国との協力によって我々の力は増す」と発言した。日本への名指しはなかったが「公平な責任を負う同盟国」という言い回しは「同盟国との間で我が国は不公平な負担を強いられてきた」という発言と合わせれば、日本を意味する事は間違いない。北大西洋条約機構(NATO)とは軍事費分担増強で合意に達しており、明らかにGDP1%以内にとどまる日本への分担要求である。これに安倍政権はまずイージスアショアの導入で応えることになる。
 イージスアショア導入はこれまでのイージス艦とPAC3で北のミサイルを防衛する方式に加えて導入されるもので2023年頃の運用に向けて秋田市と萩市の自衛隊基地に設置される。早くも両市には民放にけしかけられて反対の声が出ているが、物事を大きく見るべきである。北の核ミサイルが一発でも東京に撃ち込まれれば秋田も萩も事実上立ちゆかなくなるのであり、他人事では更々ない。ただ一基1,000億円はポーランドが800億円で購入しているのと比べて、どんぶり勘定のようだ。ふっかけられているのではないかと感ずる。交渉すべきだ。さらに日本はイージス艦の増強、離島奪還のためのオスプレイの購入などを勧める方針だが、極東情勢はまさに臨戦状態にある。この際導入を進めると共に、敵基地攻撃能力も早期に実現すべきであろう。
 朝日は20日付社説で「日本の役割は『力の平和』に加担して軍拡になびくことではない」と批判しているが、社説子は極東情勢を大きく見誤っている。北の独裁者が核兵器やミサイルの実験を繰り返し、「日本列島を沈める」と暴言をはばからない幹部がいるときに、「座して死を待つ」のが得策なのか。相変わらずの平和は天から降ってくる式の左翼論調は、もう時代にそぐわない事に気付くべきだろう。米国の「力の平和」を否定するなら、金正恩の「力による極東支配」は放置してよいのか。
 注目すべきは、対中・対露関係での厳しい姿勢であろう。トランプは中露を「米国の戦略的な競争国」「米国の力に挑戦する現状変更勢力」と位置づけた。前大統領オバマは中露との協調姿勢で国際情勢の安定化を目指したが、トランプはオバマが弱腰でつけ込まれたとの判断に立って、打って変わった戦略上の大転換をしたのだ。オバマの国際協調路線を全否定したことになる。中国に対しては「南シナ海の軍事拠点化などを通じて米国に取って代わろうとしている」と露骨に批判した。これは習近平が「太平洋を二分割した新しい大国関係」を主張していることに冷水を浴びせかけたことを意味する。日本にとっても中国に目立つ「新興大国の増長」を戒める発言であり、歓迎すべきところであろう。ロシアに対してはウクライナのクリミア併合後の動きに神経をとがらせた。ロシアゲートで痛い目に遭っているトランプは、対露接近に懲りたのだろう。
 こう見てくるとトランプの「全ての決断と行動はアメリカ第1主義だ」とする発言は、唯我独尊ではなく、結構広く目配りがなされているものなのだと思う。

 
 

◎俳談

俳壇
【新酒】
コップより升に落ちたる新酒かな 杉の子
 「おっとっとっと」と酒飲みが喜ぶのはコップから升にあふれるつぎ方である。銀座の焼き鳥屋では升がなくて、銀のやかんで表面張力でコップがあふれるすれすれまで注ぐ。客は口から先にコップに近づく。新酒は新米で醸造した酒で秋の季語。傍題に今年酒がある。
新酒はうまい。20年前に胆石をとって六腑が五腑になったがやめられぬ。
一つ欠き五臓と五腑にしむ新酒 杉の子
友ら皆白髪か禿げよ新酒汲む 読売俳壇入選
鷹羽狩行の句に
とつくんのあととくとくとくと今年酒
オノマトベが見事に季語と響き合っている。

◎前代未聞の高裁“杞憂”判断

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◎前代未聞の高裁“杞憂”判断
 裁判官も売名をするのか
 天が落ちてくると心配するのを杞憂という。 杞憂の「杞」は中国周代の国名、「憂」は憂えること。杞の国の人 が、天が落ちてきたり、大地が崩れたりしないかと、あり得ないことを心配して、夜も眠れず食事も食べられなかったという『列子』の故事に由来する。今度の広島高裁による来年9月までの伊方原発運転差し止め命令はまさに杞憂判断と言うしかない。裁判長野々上友之は判断の理由を「阿蘇山に1万年に一度の破局的な噴火が起きれば火山灰などの噴出物が大量に飛来して火砕流が到達する可能性がゼロではない」としているが、裁判長の空想性虚言症という症状を初めて見た。この論理に寄れば40年の耐用期限にあと5年で到達する伊方原発が1万年に1度の噴火を前提に稼働出来ないことになる。判決はそのゼロに近いリスクに偏執するものであって、あまりのも極端で到底容認できるものではあるまい。そのような噴火があれば九州全体が灰燼に帰する事態だ。例えば航空機が原発に墜落する可能性はゼロではない。世界中でそれを理由に停止する事態があったか。北朝鮮のミサイルに狙われる可能性も1万年に1度のリスクごときではない。
 原発訴訟に対する司法判断は既に確立している。最高裁の1992年判決は以後の原発裁判を左右する重要なものだ。やはり四国電力伊方原発訴訟で原告側の主張をを全面否定した内容は、「原発問題は高度で最新の科学的、技術的な知見や、総合的な判断が必要で、行政側の合理的な判断に委ねられている」としている。高度な専門性が求められる原発の安全性の判断は政府に任せて、科学的知見のない司法がかかわりすぎるべきではないとしているのだ。全国で起きている原発訴訟で、大半の地裁、高裁はこの判例に基づいた決定を下している。もっともこの判断に楯を着いた馬鹿な裁判長が過去に二人いる。大津地裁裁判長・山本善彦と福井地裁裁判長・樋口英明だ。大津地裁の停止命令は、稼働中の原発をストップさせるものであり、悪質極まりないとされた。原子力規制委員会による世界最高水準の厳しい基準をクリアして、やっと稼働し始めた原発を、科学的知見に乏しい山本の独断でストップさせたのだ。また樋口は高浜3,4号機の「運転再開差し止め」を命じており、これが原因で名古屋家庭裁判所に左遷されたが、継続審理のため職務代行が認められて再び「再稼働など認めぬ」という決定を下したのだ。まるで今回同様に最高裁の判例に楯突くような決定である。弁護士として退官後に活躍するための売名行為とされた。これまでに地裁が原発稼働を差し止めた例は3回あり、今回の高裁で4回目だ。いずれも「原発停止」判断は多分に裁判長個人の“特異な性格”が反映されたものという見方が定着している。
 これらの判決は全国的に見れば極めて少数派の裁判長による異例の判決である。だいいち、原子力規制委員会の自然災害に関する審査は非常に厳しく、専門家が数年かけて審議し認められた結果が、裁判所のいわば素人判断で否定されるのは全くおかしい。活火山帯にある日本は裁判長野々上が指摘する「約9万年前の阿蘇山の噴火で、火砕流が原発敷地内まで到達した可能性」のある地域など枚挙にいとまがない。だいいち四国電力は、阿蘇山の火砕流の堆積物が山口県南部にまで広がっているものの、四国には達していないと断定している。約130キロ離れた阿蘇山の火砕流到達を“杞憂”するならば日本に原発を造れる場所はなくなる。そもそも6万年前に1度あった「破局的噴火」を想定していては、あらゆる建造物を建設出来なくなるではないか。そういう“杞憂裁判官”は日本に住むべきではないのだ。
 まさにここまで来るとろくろく証拠調べも行わず、たった4回の審理で重要決定をした高裁の判断にはあきれるばかりだ。今回の仮処分は効力が直ちに生ずるが、極めて高度な判断を要求される原発訴訟への適用は控えるのが裁判官の常識であるはずだ。野々上は過去の2人の裁判官同様に田舎の判事が一生に1度全国紙のトップを飾る判断を出して、有名になりたいのだろうか。今月下旬に定年での退官を迎える時期を狙って、次は弁護士として活躍しようとしているのだろうか。いずれにしても仮処分の弊害だけが目立つ判断であった。四国電力は決定を不服として執行停止を高裁などに申し立てるが当然だ。

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本命の訪朝 ― 緊張緩和の糸口を期待!浅野勝人

本命の訪朝 ― 緊張緩和の糸口を期待!

安保政策研究会理事長 浅野勝人


世の中に無用の長物ふたつ有り
    国連安保理と教育委員会  詠み人知らず

 北朝鮮が弾道ミサイルを発射するたびに、国連安全保障理事会は緊急会議を招集する。そして、アメリカが「北朝鮮に対する圧力をさらに強化しよう。中ロは石油の全面禁輸に踏み切るべきだ」と主要各国の協調を求め、日本は全面協力と賛成し、中ロは「協力はするが、話し合い路線を放棄すべきでない」とやんわり身をかわす。お題目の繰り返しで、北朝鮮が初めてアメリカ本土に届くICBMの発射実験(11/29)をした折にもアメリカ代表の演説のトーンが一段と高まっただけです。
ちょうど、小学生、中学生がいじめを苦に自殺した事件が発生すると、当該市町村の教育委員会は、当初、「いじめとは無関係」と学校を擁護し、かばい切れなくなると「二度とこのようなことが起きないよう注意を喚起したい」と他人事のようなセリフを繰り返すだけで、まるっきり役に立ちません。

口先だけで役に立たない代名詞と思っていた国連が、北朝鮮へ事務次長(政治局長)を派遣しました。
ジェフリー・フェルトマン国連事務次長は12月5日~8日まで平壌を訪れ、北朝鮮政府幹部と核・ミサイル開発・発射実験によって緊迫している朝鮮半島情勢について協議しています。

6日には朴明国(パクミョングク)外務次官と会談しました。
会談の冒頭、朴次官は「このようにせっかくお迎えしたので、真摯に話し合おう」と述べ、朝鮮中央通信は「互いが関心を持つ問題について意見交換した」とだけ伝えました。
フェルトマン事務次長と李容浩(リヨンホ)外相との会談は決まっていますが、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長との会見が今日、帰国するまでに実現するかどうか、今の時点(8日、午前0時)では不明です。

核・ミサイル開発を禁じる国連安保理の決議を履行するよう求める国連の立場とアメリカを中心とする国連の北朝鮮制裁決議に反発する「北」の主張とは真っ向から対立しています。
従って、緊張緩和のきっかけが簡単につかめる情況ではありませんが、今回のフェルトマン平壌訪問は、今年の9月、北朝鮮から「政策対話」の要請を受けて、国連が派遣して実現した経緯(いきさつ)を重視する必要があると考えます。国連事務総長報道官が「訪問は北朝鮮による以前からの要請に応じたもの」と舞台裏を明かしているのは意味があるとみるべきです。
中国やロシア、もちろんアメリカに対してわずかな弱みも見せられない北朝鮮としては、自らの言い分を主張する相手に国連を選んだと推測すれば、緊張緩和に向けた話し合いの糸口になるのではないかと期待されます。今回の出会いが、国連をいわば仲介役にするきっかけとなれば大成功です。

同時に「米・北」軍事衝突の懸念も無視できない情況にあります。
仮に軍事衝突に至った場合、米軍の軍用機は1万3,700機余り、空母10隻に対し、「北」は1,000機にも満たず、空母は1隻もありません。戦力においては比較になりません。ところが、「北」は韓国、日本をカバーする中距離および準中距離ミサイルを200発余持っており、各地方に分散して地下に隠しています。開戦と同時に1基残らず破壊するのは軍事技術的に困難です。
アメリカの軍事専門家は「北朝鮮は開戦初日に弾道ミサイルに生物・化学兵器を搭載して撃ってくる。それで韓国、日本は大パニックになる」と指摘しています。

ハーバート大学調査チームの分析によると、
平壌の生物技術研究所、定州市、文川市に秘密研究所があって、炭疽菌、赤痢など13種類の生物兵器を製造している。政治犯を使って生物兵器の人体実験を行っている可能性を否定できないといいます。
また、化学兵器は10か所余りの施設で製造されており、総量は2,500トンを超えるとみられています。
今年2月、異母兄・金正男氏を暗殺したのは化学兵器・VXガスで、「いつでも使える」と世界に誇示しました。

極めて危険な北朝鮮の核・ミサイルを警戒して、韓国では核武装を60%の人が支持しています。
日本政府も戦闘機に長距離巡航ミサイルを搭載する方針を固め、準備する手はずを決めました。もちろん朝鮮半島が射程に入ります。撃たれる直前に撃つ適地攻撃も可能です。
確かに専守防衛の基本方針との整合性が問われますが、生物化学兵器の脅威から国民の生命を守るには理屈ばかり言ってもおられません。
北朝鮮は、核・ミサイル軍事強化戦略が東アジアにおける核拡散と「北」包囲網戦力拡充に伴う軍事技術の更新を促し、自らの国家存立の基盤を危うくするブーメランであることに気付くべきです。

国連のグテレス事務総長は、13日に東京を訪れ、14日には安倍首相と北朝鮮対策を協議することになっています。
「北」に対するアメリカ式軍事および経済圧力一辺倒を支持する姿勢だけではなく、東アジアの安定に占める北朝鮮のポテンシャルと合わせて「北」の国民生活向上の方策を模索する国連の対応を真剣にバックアップするのが望ましいと考えます。
(元内閣官房副長官)

◎俳談

◎俳談
【反戦は時事句でなくなった】
ちよい悪で反戦爺で酢橘かな 月刊俳句入選
 60年安保の時は慶応大学に入学したばかりであった。従って安保闘争で校旗である三色旗が銀座の大通りに初めて翻ったときにもデモで参加していた。「慶応ボーイまでがデモ」と新聞は報じた。国会へのデモは暴徒化したから参加せず、現場を見に行った。東大の学生であった樺美智子が、警官隊とデモ隊に挟まれて死亡したその日である。革命前夜のようだったが、死亡事故を機に、それまで煽っていた新聞が急旋回してデモは引き潮のように下火になった。その安保世代が喜寿となったのだから、「やになっちゃう」。安保世代は生粋の反戦だが、その後にぐれまくって暴徒化した全共闘運動とは一線を画する。正義感が強く、常識派だ。戦争は反対の爺さんたちだ。だから
反戦で神田の生まれ唐辛子 産経俳壇1席
のような爺さんも友達にいる。その前の戦争で命の危険にさらされた官房長官・後藤田正晴のような世代は、根っからの反戦派であるが、いまや生きていれば古希どころか生身魂の世代だ。
反戦で張りのある声生身魂 朝日俳壇1席
とこれも、反戦を語らせれば元気がいい。時事句は新聞選者が一番嫌う俳句だが、「反戦」を織り込んでもいまや時事句とはならない時代となった。時の流れであろう。

◎専守防衛から先制攻撃含む積極防衛へ

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【筆者より=明日より恒例の年末年始休暇に入ります。重要ニュースは解説します】
◎専守防衛から先制攻撃含む積極防衛へ
  政府、敵基地攻撃能力を保有
 極東軍事情勢に衝撃的影響
  政府が空対地長距離巡航ミサイルの導入などで敵基地攻撃能力の保有に踏み切ったことは、明らかに朝鮮半島情勢の緊迫化を背景としている。大きくいえば戦後一貫して維持してきた「専守防衛」の姿勢を維持出来なくなり、先制攻撃を含めた積極防衛の戦略しか成り立たなくなったことを意味する。「ミサイルの長射程化と戦闘機のステルス化」は現代戦における国防の基本であり、日本のような大国が保持しないままであったことが奇跡であった。この日本の防衛戦略急旋回は、極東情勢に大きなインパクトとなる。中国からの島嶼防衛は一段と強化される。金正恩は、藪をつついて蛇を出したことになり、軍事的に日米韓の完全な包囲網に遭遇することになった。ただし政府は官房長官菅義偉が、「日米の役割分担の中で米国に依存しており、今後ともその役割分担を変更することはない。専守防衛の考え方には、いささかも変更はないことははっきり申し上げたい」と述べて慎重姿勢だ。しかし“能力の保持”が意味することは、情勢が「非常事態」になればいつでも方針転換が可能であることだ。要するに専守防衛は“建前”となる。
 敵基地攻撃能力の保有については61年前の1956年に鳩山一郎内閣が「誘導弾等の攻撃を受けて、これを防御するのに他に手段がないとき、独立国として自衛権を持つ以上、座して死を待つべしというのが憲法の趣旨ではない」と合憲判断を打ち出している。憲法上の問題はクリアされており、後は政治判断だけだった。既に自民党の安全保障調査会も3月に、北朝鮮の核・ミサイルの脅威を踏まえ、敵基地攻撃能力の保有を政府に求める提言をまとめ、首相・安倍晋三に提出した。調査会の座長を務めた防衛相小野寺五典は敵基地攻撃能力が必要な理由について、かつて「何発もミサイルを発射されると、弾道ミサイル防衛(BMD)では限りがある。2発目、3発目を撃たせないための無力化の為であり自衛の範囲である」と言明している。
 北朝鮮は通常軌道に比べ高高度に打ち上げ、短い距離に着弾させる「ロフテッド軌道」で発射するケースが多い。ロフテッド軌道だと落下速度がさらに増すため、迎撃が非常に困難になる。専門家は「現在の自衛隊の装備では撃破は難しい」としている。迎撃ミサイルSM-3搭載のイージス艦は、防衛庁の公表資料によると、これまでの試験で20発の迎撃ミサイルのうち16発が命中した。しかしこの確率でいくと、単純計算では200発の日本向けのノドンが発射された場合、40発が到達することになる。政府に国民の生命財産を守る義務がある以上、専守防衛では十分な対応は不可能だ。基本戦略を積極防衛へと転換し、巡航ミサイルや新型戦闘機F35やF15に敵基地攻撃能力を保持させるという抑止力が不可欠なのだ。日本もなめられたものである。ミサイルをグアム周辺に撃てば米国の撃墜が必至とみて、金正恩は、襟裳岬東方や排他的経済水域を選んでいる。
 導入を検討している巡航ミサイルは、米国が開発した「JASSM(ジャズム)―ER」(射程900キロメートル超)とノルウェーが開発した「JSM」(同300-500キロメートル超)。JASSM-ERは、日本本土から朝鮮半島や中国、ロシア南部にも届く。ミサイルを搭載する主力戦闘機F15の改修に向けた調査費の計上を検討している。射程数百キロのJSMは空自が配備するステルス戦闘機F35への搭載を念頭に置いている。いずれも戦闘機から発射するタイプだ。
 敵基地攻撃には弾道ミサイル、巡航ミサイル、ステルス性のある戦闘機F35と空対地ミサイルが必要だ。将来的には、敵基地を特定できる人工衛星などの情報や、戦闘機の長距離飛行を支援できる空中給油機、これらのすべての作業をコントロールする早期警戒管制機(AWACS)などの装備体系が必要となる。高い金を出してF35を配備する以上、敵基地攻撃能力を備えるのは必然であった。これらの装備を備えるには防衛予算を対GDP比1%の上限を突破させる必要があるだろう。自民党や専門家の間では当面はGDP比1.2%を追求するのが得策との意見がある。米国は北大西洋条約機構(NATO)に2%目標の早期達成を促したが、これをテコにやがて日本にも要求してくる可能性がある。先手を打って1%を突破する方がよい。
 立憲民主党の代表代行長妻昭は6日、政府が敵基地攻撃も可能となる長距離巡航ミサイルの導入を検討していることについて「こういう姑息(こそく)な形で防衛政策を進めては国益に反する。是非も含めて国民の前できちんと議論することが重要だ」と述べ、国会でただす考えを示した。この発言には驚がくした。長妻は北が核・ミサイル実験を繰り返し、朝鮮中央通信(KCNA)が、「日本列島は核爆弾により海に沈められなければならない。日本はもはやわが国の近くに存在する必要はない」と公式にどう喝していることに対して、防御態勢を取ってはいけないというのだろうか。「座して死を待て」といっているのに等しい。平和は天から降ってくるとした先祖の社会党ですら発言を避けるような発言である。まさに「姑息な政党の存在が国益に反する」のだ。先祖返りどころか先祖を超越している。
 こうした中で極東の一触即発状況は一段と高まってきている。3日放送されたFOXテレビの番組で、大統領補佐官マクマスターは北朝鮮の核に対抗して日本や韓国なども核兵器を保有する可能性があると指摘し「それは中国とロシアの利益ではないはずだ」と述べ、両国に対して北朝鮮への圧力を強化するよう改めて求めた。さらに5日には同補佐官は、ニュース専門放送局MSNBCのインタビューで、米国の北朝鮮に対する「予防戦争(preventive war)の可能性に関する質問を受けると、「北朝鮮が核兵器で米国を威嚇するのを遮断するための予防戦争のことか」と問い返した後、「もちろんだ。我々はそのためのあらゆるオプションを提供しなければいけない。そこには軍事的オプションも含まれる」と述べている。国連制裁で年末から来春にかけての北朝鮮の経済的状況や食糧事情悪化が予想される中で、米国と北朝鮮のどう喝合戦が続く。

            

◎俳談

◎俳談
【日常の中の闇】
葱刻む平穏いまだ続きをり 毎日俳壇1席
 我々は日常の中に非日常がいつ起きるか分からない世に生を得ている。事故とは限らない、人間と人間が接触してどのような摩擦が発生するのか、自然がもたらす災害がいつ来るのか。どのような危機に遭遇するのか。年を取れば取るほど、良くこの人生をすり抜けてこられたと思う毎日である。「葱刻む平穏は」はそのことを指す。そしていまだに続くことを安堵しているのだが、その背景にはきっと何かが起きるという予感が常に存在するのだ。
中村汀女の
あはれ子の夜寒の床の引けば寄る
は、母と子の間にあふれ出る感情の高まりを描写して見事である。秋の夜寒に末っ子の寝る姿に憐憫を感じて布団を思わず引き寄せる。そして布団の軽さ、子の軽さを改めて知りその不憫さは一層募る。平穏の中にあるこの子の人生の起伏を思うと抱きしめたくなる。人間は日常の中に存在する暗黒を常に予感するのだ。

◎制裁強化は「臨検と海上封鎖」しかあるまい

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◎制裁強化は「臨検と海上封鎖」しかあるまい
  中露は「けんか両成敗」という無為
 極東冷戦越年、長期化
 米国は北朝鮮に対して「経済制裁以上で武力行使未満」の行動を取ろうとしていると言われるが、その内容はどのようなケースが考えられるのだろうか。米国が9月に国連に提出した制裁決議案には、公海での臨検を主張する事項が盛り込まれていた。おそらくトランプの脳裏には「臨検」を伴う「海上封鎖」が去来しているのではないか。平和時に行う最強の制裁措置である。対北圧力を極限まで高めるには有効な手段であり、今後年末から来春にかけて動きが生ずるかも知れない。                
 米韓両軍は4日から合同演習に入った。北朝鮮報道官はこれをとらえて、例によって悪態の限りを尽くして“口撃”している。「一触即発の朝鮮半島を暴発へと追い込もうとしている。朝鮮半島と全世界が核戦争のるつぼに巻き込まれた場合、その責任は米国が負うべきだ」といった具合だ。しかし、北の核・ミサイル実験と米韓軍事演習は、根源となる目標が全く異なる。北は水爆実験に際して「水爆の爆音は、ふぐ戴天の敵アメリカの崩壊を宣告した雷鳴であり、祝砲だ」として、およそ1年ぶりに強行したと称賛、そのうえで、「下手な動きを見せれば、地球上からアメリカを永遠に消し去るというわれわれの意志だ」と言明している。実験が米国を壊滅させるための手段であることを明言しているのだ。これに対して米国が軍事演習をするのは、国家生存をかけた当然の防御措置であり、国際法上も何ら問題はない。
 この立場の違いに関して中露は「けんか両成敗」の立場を維持している。中国外相王毅は、北を国連の安全保障理事会の決議を無視していると批判する一方で、安保理決議以外の行動は国際法上の根拠がないとして、アメリカを念頭に単独での制裁の強化や軍事力の行使に反対した。ロシア外相ラブロフも、平壌の核・ミサイル開発の火遊びを非難する一方で、「米国の挑発的行動も非難しないわけにはいかない」と指摘している。まさに中露一体となって米国をけん制している感じが濃厚だ。
 こうした中で米国は着々と対北制裁案の強化策を検討している。ウオールストリートジャーナル紙が伝えるその内容は、①北朝鮮からの核攻撃を抑止するため、韓国に戦術核兵器を再配備する②地上配備型ミサイル迎撃システム「THAAD(サード)」を韓国に追加配備する③米国と韓国は共同で、脱北を促すような取り組みを広げるーなどである。
 さらに米政府が検討しているのが「臨検」を伴う「海上封鎖」だ。臨検とは、交戦国の軍艦が、特定の国籍の船ないし出入りする船に対し、公海上で強制的に立ち入り、警察・経済・軍事活動することを指す。米国の立場は、9月に国連安保理事国に提示した北朝鮮に対する追加制裁決議案を見れば明白だ。同決議案は石油の全面禁輸などに加えて、公海での臨検を許可する事項も盛り込まれている。公海上で制裁指定された船舶を臨検する際には「あらゆる措置を用いる権限」を与えると明記し、全ての加盟国に対し、公海において制裁委員会が指定した貨物船を阻止し、調査する権限を与える。加えて、「全ての加盟国がそのような調査を実施し適切な港に寄港させるなど指示し、国際人道法および国際人権法を順守する範囲で必要とされるあらゆる措置を用いる権限を持つことを決定する」となっている。
 海上封鎖と言えば武力行使と受け取られがちだが国際法上は戦時封鎖と平時封鎖に分類される。戦時封鎖の場合は機雷などによる封鎖が想定されるが、平時封鎖は非軍事的措置の一環とみなされ、海軍による臨検が主となる。しかし、封鎖を突破しようとする船舶が現れた場合には攻撃もあり得る。
 こうした緊迫した情勢の中で米韓合同の軍事訓練「ビジラント・エース」には、対北戦争を想定した具体的な作戦がこれまでになく明確に織り込まれている。まず、F22やF35によって北国内のミサイル基地や関連施設など700個所の目標を一気に破壊する。さらに北の空軍戦力を3日で無力化させる事などが含まれている。
 北側は金正恩が火星15号の試射について「国家核戦力の歴史的大業を成し遂げた」と胸を張ったが、実験は事実上失敗との見方が強い。米CNNテレビは2日、北朝鮮による火星15号の発射の弾頭部が、大気圏に再突入する際に分解していたと報じている。この分析によれば、米本土攻撃能力の獲得に不可欠な大気圏再突入技術が、まだ確立されていないことになる。
 こうして北は「空白の75日」を破って、再び核・ミサイル実験を繰り返す兆候を示し始めた。次回は潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の実験となる可能性が高い。焦点の中国による石油供給は依然として継続され、ロシアも交易のペースを変化させていない。極東冷戦の構図は再び、緊張段階に入り越年はもちろん長期化する様相だ。

「相撲協会、横審 有って、力士無し」でいいのか! 浅野勝人

「相撲協会、横審 有って、力士無し」でいいのか!

大相撲九州場所(2017/11月12日~26日)

初日、白鵬上手出し投げで琴奨菊 転倒。

「まったく不安なし。このまま平常心で前進! 前進! 浅野勝人」

「メールありがとうございます。心が落ち着きます。白鵬翔」

場所前の10月25日、夜、巡業先の鳥取市内で行われたモンゴル出身力士の懇親会の席上、横綱・日馬富士が幕内貴ノ岩をビール瓶で殴打して怪我を負わせる事件が起きました。
被害届を受理した鳥取県警が捜査に着手しました。
同席していたモンゴル・グループの「長」の立場にある白鵬の対応はどうであったか、問われます。

「和田さん、警察の捜査で事実が明らかになりますから、“ 警察から事情を聴きたいという要請があれば、ありのままを話します ”という態度がよろしいのではないでしょうか。それ以外、場所中でもあり、白鵬は事件についてしゃべらない方がいいと思います。浅野勝人」(11月16日)

「ビール瓶では殴っていないとマスコミに話したようですが、今後は沈黙を守ると思います。
報道が先行して事態を複雑にしています。事実関係が肝心な点で報道とは異なるようです。
ビール瓶を握ったけれども滑り落としてしまったようです。ビール瓶で殴っていたら、血だらけになって頭蓋骨を骨折しかねない。カラオケのリモコンと平手で何発も殴ったが、馬乗りになったということもないらしい。白鵬は暴行を止めて、日馬富士を別の部屋に連れ出して事態を収めたようです。どうであれ、暴力は許されません。和田友良」(註:和田友良は白鵬の義父、浅野の友人)

白鵬翔に

「各種の取材に対しては、“ 警察から事情を聴きたいという要請があれば、ありのままを話します ” これ以外のことは何も言わない。もっぱら取組、勝負に集中する。この対応がよいのではないでしょうか。浅野勝人」(11月17日)

「正(まさ)しくその通りです。そう思います。白鵬翔」

14日目、40回目の優勝決める。自らを信じていっさい動ぜず。不動の取り口。

「おめでとう!今場所の優勝はことのほか意義が深い。
☆力士としての限界(再起をかけた場所でした)を無限にしました。
☆力士からの“ 物言い ”(嘉風との一戦)の正当性を、優勝することで示しました。浅野勝人」

ところで、日馬富士暴行事件で影が薄くなってしまいましたが、11日目、< 関脇 嘉風 寄り切り 横綱 白鵬 > 奇妙な取り組みがありました。
組んだ直後、嘉風の突きに白鵬が客席のど真ん中まですっ飛ばされました。その直前、土俵上の白鵬は右手で「待った」の合図をして、相撲を取るのを止めていました。嘉風自身「横綱は力を抜いていた」と述べています。そうでなければ、今の白鵬が小柄な嘉風のひと突きで突き飛ばされることはあり得ません。

白鵬は、土俵下で立ち合い不成立を主張して、物言いのしぐさをし、得心のいかない取組を行司と検査役に「相撲が成立していない」とアピ―ルしました。
相撲協会は、物言いを付ける権利の無い力士が自分の勝手な判断で抗議をして、負けを認めない態度は潔くないと審判部から横綱に厳重注意をさせました。

競技選手がゲーム中、審判の判定や相手選手のプレーに誤審ないしは強い不信を抱いて抗議し、プレーの見直しをアピールするのを一切禁止しているスポーツがあるでしょうか。どのスポーツでも、審判が抗議を採択するか、拒否するか、その場で明示して選手の納得を得る努力をしています。ボクシングでも重大な誤審の疑義があれば、再試合を指示しています。

あの場合、白鵬に対して、立ち合いは成立しており、物言いは不成立と検査役の判断を会場で説明すれば済むだけのことです。もし、判定に従わなかったら、退場を命じ、厳しい処分の対象にすればいい。そのくらいの選手(力士)の気持ちに沿う制度改革をしてもよろしいのではないかと思います。力士は命がけで勝負しているのですから「力士重視」は当然の配慮ではないでしょうか。
相撲協会は、何事、旧態依然のままと見受けられます。

優勝力士インタビューで、白鵬が暴力事件に関連して「膿(うみ)を出し切って、日馬富士にも貴ノ岩にも土俵に戻ってきてもらいたい」と胸の内を述べ、合わせて連日の満員御礼の盛況に感謝して、大相撲の一層の発展を願って観客と一緒に万歳をしました。この行為について、横綱審議委員会は力士ごときの出過ぎた言動と決めつけて、理事会に処罰するよう求めました。これでは暴力を振るった日馬富士を厳罰に処するよう諮問したのと同じではないですか。横綱審議委員会は何を考えているのか、横審は大相撲の旧(ふる)き良き伝統を守る一方、時代にそぐわなくなった相撲協会のシステムを改革するのが使命のはずです。これでは「無用の長物」だ。
白鵬の言動は、優勝力士としての個人の思いに過ぎず、警察の捜査や理事会の判断とは異なります。白鵬が何を言おうが、日馬富士は引退したし、それに関係なく警察は厳正な捜査を徹底します。
大相撲を背負っていると内心自負しているアスリートの慈しみの表現を汲んでやるわずかばかりの思いやりが、協会にも横審にもまるでないのは誠に残念なことです。

肝心のマスコミも、
「負けた後に取組をした力士には権利のない“物言い”を付けるしぐさをし、なかなか負けを認めず土俵から下がらなかった。他の力士は横綱の行為をまねるものだ。反省を求める」(朝日新聞)
まったく真意を理解していないコメントです。
勝負に命を懸けている選手が、誤審や納得しがたいプレーについて質すスポーツ選手としての「力士の権利」を主張したかったことがまったくわかっていない。負けたのを認めない潔さに欠ける行為としか理解していない。これでは相撲協会の旧い体質を外から改革するオピニオン・リーダーとしての期待はもてません。

白鵬は、また一人横綱で大相撲を背負い、自分との果てしない戦いの旅を続けることになるのでしょうか。
私一人くらい「心の理解者」がいてもいいでのではないかと淋しく思っています。
(2017/12月1日、元内閣官房副長官)