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◎俳談

◎俳談
【笠智衆】
笠智衆ばかり集ひて新茶汲む 東京俳壇月間賞
 分かりやすく端的にイメージを表現することも俳句の重要ポイントだ。掲句はお年寄りの集まりを笠智衆を借りて表現した。笠智衆は「東京物語」など小津映画で日本のお父さんを演じ、山田洋次の『男はつらいよ』シリーズへで凛として好好爺の「御前様」を演じた。そのおじいさんのイメージを断定的に「笠智衆ばかり」と使って成功した。

◎「誠実・愚直」Vs「生き残りファースト」の戦い

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◎「誠実・愚直」Vs「生き残りファースト」の戦い
  小池は、早期に首相候補を決め、出馬するな
 はびこる民放イエロー・ジャーナリズム
 難破船「民進丸」から次々に人々が飛び込み、陸地を目指して泳いでいる。目指すは南海の孤島だがそこに希望はあるか。待ち構えているのは飢えと絶望と人食い人種ではないのか。生き残れるのは何人か。
 「生き残りをかけた決断」と代表前原誠司呼びかけた。政治家は切羽詰まると名演説をするが、前原は議員総会で「もう一度政権交代をするにはどうすべきかについて提案したい。名を捨てて実を取る。その決断を皆さんに理解していただきたい」と訴えた。民進党は公認候補を一切取り消し、全候補者は離党した上で希望の党に公認を申請する。まさに「捨て身の策」 である。諸葛孔明は天下三分の計だが、前原は自公政権と希望による天下二分の計である。しかし、驚天動地の希望ブームが生まれるかというと、生まれない。なぜなら議員バッジを付けたいが為に希望にあやかって、当選を狙うという政策なしの「野合」路線であるからだ。社会党時代からの伝統もくんで、民主党時代に政権を担った政党が、海のものとも山のものともつかない新党に身売りをしたのだ。そこには政治理念も、かくあるべしという政策もなく、あるのは「生き残りファースト」の邪道だけである。「選挙目当ての互助会」である。もののあわれすら感ずる政治劇である。
 これに対して沈黙を続けて来た首相・安倍晋三は、「選挙のために看板だけを変えた政党に日本の安全や子供の未来を託せない。そこから希望は生まれない」と切り返した。そして「誠実・愚直路線」 を打ち出した。「北の脅威、少子化対策の国難を乗り切るため、誠実に愚直に政策を訴える」 と述べたのだ。まさに総選挙は「誠実・愚直」Vs「生き残りファースト」の戦いの様相を示している。
 そこで焦点は小池が見栄も外聞も投げ捨てて、都知事を辞任して衆院選に参入するかどうかだ。希望の党を勝たせたいのか、マスコミも毎日、TBS、テレビ朝日が小池を出馬させるべく、懸命の報道を続ける。特にTBSとテレ朝は、放送の公平を規定する放送法などあらばこそで「小池出馬」を臆面もなく断定的に報道し続け“既成事実化”を図る。コメンテーターらも野党の代弁者丸出しで、聞くたびに不快感を残す伊藤惇夫が「72%出馬」と断定。しかし小池自身が否定している。「テレビは朝から晩まで小池出馬で賑わっている。都知事の後継は誰になるまで報道しているが、私は今の国会が変わらない限り都政でしっかり頑張る」と完全否定した。新聞は毎日が28日朝刊で「小池氏が出馬も、『受け皿』で高まる待望論」と報じたが、朝日は29日朝刊で毎日よりおとなしく「小池氏の出馬も焦点」と慎重な報道ぶりだった。
  どうしてこのように反自民系マスコミが小池を出馬させたがるかというと、希望の党がまさに我楽多の寄せ集め状態であり、小池が代表として出馬しない限り勝てないという判断がある。政治に介入する偏向報道の最たるものだが、偏向報道が国を誤るのは古くは戦前の御用新聞の例を挙げるまでもない。新聞読者は購読をやめるという方法があるが、テレビは向こうから飛び込んでくるから、影響力に格段の差がある。放送法による免許停止も可能だが国会議員は仕返しが恐ろしくて手を付けることをしない。まさにやりたい放題の民放の扇情的なイエロージャーナリズムがはびこっているのが実態だ。自民党も“けん制”くらいはして脅かした方がいい。
 朝日が慎重なのは29日の社説に如実に表れている。全体としての右傾化を警戒しているのだ。社説は「新党には右派色の強い議員が目立つ。憲法改正や歴史認識などで、自民党よりさらに『右』に位置する可能生もある。リベラルな議員の多い民進党とは明らかに立ち位置が違う」と分析している。これは左傾化新聞として総選挙が保守2党の争いとなることが嫌なのに違いない。希望が政権を奪取することはまずあり得ないが、自民、公明、維新の3党に加えて保守色の強い希望が存在感を強めれば、後は共産党、社民党の極左しかいなくなる。この国は全体として右ウイング寄りとなり、朝日のこの国を左傾化させようとする社是に全く反対の結果となるからだ。
 そもそも都知事選には50億円の費用がかかる。出馬は小池が掲げるバター臭いいやらしい表現の「ワイズスペンディング」に全く矛盾する。都議会の最終日は10月5日だから、それを待って立候補するとの見方があるが、小池は自らの発言の通りに、自己都合の出馬はすべきではない。小池は首相指名について「山口さんがいい」 と公明代表の名前を冗談のように挙げたが、政権選択選挙にした以上は、もっと真面目になるべきだ。選挙公示の10月10日前には首相候補を決めるべきだ。

◎俳談

◎俳談
【生身魂】 
反戦で張りのある声生身魂  朝日俳壇1席
 盂蘭盆会には故人の霊を供養するばかりではなく、生きている年長者に対しても礼を尽くす。年長者を敬い一族の健康を祝うことを意味する。年寄りもある一定の年齢に達すると生身(なまみ)の霊魂のように見えるからだ。俳句にしては珍しく敬語を使うケースが多い。
生身魂ひよこひよこ歩み給ひけり 細川加賀
といった具合だ。掲句は老いてなお反戦を唱え凛とした声でしゃべる元記者の生身魂を呼んだ。昔は90歳以上の人を指したが、今では100歳以上くらいでないと生々しさが消えない。
帽子屋を今も守りて生身魂 毎日俳壇入選

◎虚飾の「小池劇場」を切る

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◎虚飾の「小池劇場」を切る
  口から出任せの政策欠如
 “究極の野合”に追い込まれた前原
 小泉純一郎直伝の「小池劇場」の幕が上がった。焦点は小池の人気が都知事選、都議選なみに継続するかだが、紛れもなく小池は「都民ファースト」の公約を裏切って国政に走った。都民がいくら衆愚でも三度だまされるかということだ。少なくとも知事選で小池が290万票獲得したムードはない。ばかな民放トーク番組のコメンテーターらも持ち上げてばかりはいない。さすがに支持不支持が割れる傾向にある。東京ですらそうだから、全国規模ではもっと厳しい傾向を示すだろう。一方で民進が雪崩のように離党者が続出して、代表になったばかりの前原誠司が党運営を投げ出した。事実上の民進党瓦解である。前原は「1対1の戦いにするためには何でもありだ」と臆面もなく「究極の野合」路線を選んだが、党内からは「党を売る行為」との批判が噴出している。首相・安倍晋三は今日解散するが、直感では自公政権は継続するだろう。国民は早く極東情勢がどうなっているかに気付き、女賭博師の甘言に踊らされてはならない。
 マイナス1×マイナス1は1になるが、2にはならないのだ。逆に1-1はゼロでもある。新党と旧党の「野合」というのは過去の例から見ても曲折の経過をたどって最後には瓦解する。新自由クラブはもちろん日本新党や新政党の末路を見れば明白だ。大衆迎合路線というのはそういうものだ。今朝の朝刊の朝日新聞の世論調査によると政党支持率は自民32%なのに対して希望13%で、一定数は確保しそうだがブームというのにはほど遠い。毎日の調査でも投票先は「希望の党」が18%で、自民党の29%に次いで多いが、ブームとは言えない。多くの有権者は見るところを見ているのだ。苦肉の策とはいえ、民進党議員は本当に党籍を維持して希望の党から出馬するのだろうか。有権者にしてみれば希望の党と思って投票するが本当は民進党員だったという、狐の七変化にだまされるのだろうか。民進党県連によっては独自の動きが生じている。熊本県連は共産党候補に一本化しようとしており、地方県連の思惑は必ずしも中央とは同じではない。県連によっては「地域政党を作っても戦う」という動きが出ている。
 それにつけても小泉は悪い。仮にも自民党から選ばれた首相経験者が「雌ダヌキが化けた」(自民党幹部)ような女をけしかけて、党や首相に後ろ足で砂をかけるような動きをした。小池に「原発ゼロ」 と「消費税先送り」という“究極のポピュリズム”の入れ知恵したのは小泉だ。とりわけ原発ゼロについて小泉は「原発ゼロが焦点になれば希望の党はかなり議席を伸ばす」 と語るに落ちた発言をしている。小池は飛びついたが、東京都は全国一の電力消費地であり、ゼロにして東京への安定的な電力供給が途絶えてもいいのか。小泉は小泉劇場の“快感”が忘れられず、小池をけしかけて小池劇場を開幕させようとしているが、仮にも首相だった者が75歳にもなって“老醜”をさらけだしてどうするのだ。もう枯れた方が世のためだ。
 そもそも小池は二足のわらじをはく能力があるのか。二足のわらじは大阪府知事の松井一郎が既にはいているが、地方都市に毛が生えたような大阪と東京では規模が桁外れに違う。おりから2020年のオリンピックが控えているし、豊洲移転問題は就任後1年たっても結論が出ぬままだ。小池は「都政を前に進めるためには国政も変える必要がある」と述べたが、豊洲問題一つかたづけられないで、まるでそれを国政のせいにするのか。だいいち国政選挙で政党の指揮をする者が都政だけを考えて、他の道府県の問題は捨てておくのか。
 小池は安全保障に関しても認識のなさを暴露している。「国の国防政策をリセットしなければ安全を守れない」 と発言したが、たった2か月でも防衛相を経験した者の発言だろうか。国の安全は安倍が狂った北朝鮮の指導者に対して日米に韓国も加えて万全の態勢を築いている。「安全を守れない」などと思いつきの、はったり発言をして国民を惑わしてはいけない。小池はスローガンが選挙公約だと思っているフシがあり、安倍は党首討論で徹底的にその矛盾を突くべきだろう。小池に甘い顔を見せてはならない。戦うべき時だ。
 小池の新党は姥捨山ではなく“爺捨て山” の色彩を濃くしていたが、民進瓦解で雪崩を打って人数だけは集まる方向となった。小池にしてみれば一人800万円の供託金を持参して出馬してくれるのだから、旧社会党左派のような左翼議員以外は受け入れるのだろう。まさに政策などそっちのけのいい加減さは「野合の駆け込み寺」と呼ぶのにふさわしい。民進党議員は供託金800万円持参でやってくるから、小池にとっては鴨が葱下げてくるようなものだ。
 場当たりの極致は特別国会での首相指名選挙で公明党代表・山口那津男の名前を挙げたことだ。山口は一瞬「恐縮している」とまんざらでもない表情であったが、はっと気付いたか「都知事の職責は重い。国政との二足のわらじで務まるほど生やさしくない。懸念している」 と突っぱねた。山口を「支持する」と言えば都議会公明党をなだめられると思ったのか。場当たりの思いつきの極みで甘い。
 こうしてしっちゃかめっちゃかの小池劇場が幕開けとなったが、有権者、とりわけ浮動層には高学歴な者も多いはずだ。小池を是とするか非とするかを、真剣に考えることが今ほど必要なときはない。

◎俳談

◎俳談
【難しい漢字】
孑孑を食べる仕事の金魚かな 読売俳壇3席
 孑孑を読める人はきっと俳人であろう。ぼうふらだ。俳句には難しい漢字が出てくるが無理に使用する必要は無い。漢字は少ないほど俳句らしい。しかし孑孑にユーモアを感じたら使えば良い。
花街の昼は鬼灯鳴らすかな 杉の子
 鬼灯(ほおずき)も難しい部類だが、赤提灯の花街とは文字が響き合う。永井荷風の世界だ。
 昔は記者家業で忙しかった。
歯を磨きながら薔薇(ばら)見て出勤す 東京俳談入選
 という日日であったが、いまは退職して出勤はない。しかし、今は日日の原稿書きで頭がいっぱい。材料があるときはいいが、ないときは七転八倒だ。
今日もまた筋書きなしの心太    杉の子
 心太はところてん。昔からところてんの材料であるテングサの異称を心太(こころぶと)と称した。これから派生したのだろう。
注文の二転三転心太
 そば屋の注文は店に入る前から決めよう。

◎米紙「金体制孤立化のターニングポイント」


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◎米紙「金体制孤立化のターニングポイント」
 金融締め付けが効き始めた
 北朝鮮「弱まる」兆候も
 昔料亭で江戸の端唄を聞いた。「背戸のなぁ段畑(段々畑)で茄子と南瓜の喧嘩がござる」 と、人間のけんかを茶化したものだが、北朝鮮とトランプの「口撃合戦」はまさに佳境に達している。トランプが北朝鮮を「破壊する」、金正恩を「ロケットマン」と呼んで「小さなロケットマンの考えに共鳴するのなら彼らは長く続かない」と脅迫。負けじと外相李容浩は「宣戦布告だ」と反論、宣伝サイトは「先頭に立ってみろ。先頭に立った順番が墓に行く順番だ」。実に北はうまいもんである。茄子と南瓜はどっちもどっちだが、北の発言の激しさは、やはり朝鮮民族が「恨」の民族であることを象徴している。恨んで恨んで千年恨んで、それをエネルギーに周辺大国に抵抗してきた歴史が「口撃力」 を養ったのだ。日本人のように恨みは恥として水に流す民族ではない。だから北発言で常に感ずるのは違和感のみである。
 従って、李が唱える「太平洋での水爆実験」も、話半分に聞いた方がよい。太平洋のどこに打ち込むか知らないが、撃ち込めば北半球は放射能汚染だ。お返しにトランプが平壌で水爆実験をしかねない。一方で政治的な訓練の経験ゼロのトランプは、自らの発言やツイッターへの書き込みの影響力を測りがたい。止める側近もいないから野放し状態だ。トランプは8月8日に記者団に「これ以上脅迫を続ければ世界が目にしたこともない炎と怒りに直面する」と言い切った。ニューズウイーク誌は、トルーマンの原爆投下演説に似ていると報じた。さっそくトルーマン演説をネットで聴いてみたが「炎と怒りに直面する」という表現はなかった。ただし、日本がポツダム宣言を受諾しない場合について「この地上にはじめて破壊の雨が空から降る」と述べている。また「太陽がその源としているエネルギーが、極東に戦争をもたらした者たちに向かって放たれる」とも述べている。これをトランプは誰かから聞いた可能性がある。
 さすがに民主主義国だ。米議会でもトランプへの批判が台頭しはじめた。米上院軍事委員会委員長のジョン・マケイン(共和党)は「炎と怒り」発言の翌日に「私はトランプ大統領の発言に反対だ。大統領は、自分がやると言ったことを確実にやれる状況になるまで、それを口にするべきでない。私がこれまでに見た偉大な指導者たちは、行動する準備が整っていない限り相手を脅さなかった。トランプ大統領に軍事行動の準備ができているのか、私には分からない」と言明した。また民主党下院議員のホアキン・カストロも、「まだ32歳の金正恩とツイッターで怒鳴り合っても、得るものはない。むしろ緊張をエスカレートさせている。北朝鮮に対する対応は、外交や軍事の専門家に任せるべきだ」と批判している。
 こうしたトランプと北の「口撃合戦」とは別に、実施されている金融制裁の効果が生じ始めているとウオールストリートジャーナルが報じている。 「北朝鮮への制裁、やっと本腰」 とする25日の社説で「米国の当局者は長年、北朝鮮の核危機に突破口が開かれると予測し、そのつど誤ってきた。だが、先週はその風向きが変わったことがいずれ証明されるかもしれない。金体制をようやく孤立させるターニングポイントになったかもしれない」との見通しを述べている。同紙は「トランプ大統領が発表した追加制裁の結果、金体制は米ドル通貨による決済からようやく締め出されるだろう。北朝鮮と取引をするどの金融機関も、米国金融システムへのアクセスを失うことになる」と警告。一方で肝心の中国について「中国の規制当局は18日、自国の銀行に対し、北朝鮮との貿易上の取り扱いを中止するよう求めた。中国の銀行の多くは北朝鮮の口座を既に凍結している」と報じた。これを裏付けるように財務長官スティーブ・ムニューシンは、「今や外国金融機関は、米国との取引を選ぶか、北朝鮮との取引を選ぶかの二者択一が通告された。両方と取引することはできない」と述べた。取り引きすればテロの回避と阻止を目指す2001年愛国者法に基づいてテロリストへの資金提供者を対象に科されるものと同等の処罰が行われる。
 こうした金融面での締め付けに加えて米政権内部では国防総省を中心に様々な作戦が練られているようだ。米紙によるとまず大規模な戦力を組織的に運用し相手に宣戦して行う戦争とは異なる「不正規戦争」だ。サイバー攻撃によってミサイルや核開発を不可能とし、通信機能を麻痺させる作戦だ。次に「心理戦」だ。北の幹部はみな携帯を所有しているから、その携帯に向かって情報を流したり、“戦後の優遇”を保証して工作をさせる方式。さらには実験で発射するミサイルを片っ端から撃墜して、金正恩を心理的に追い込む。これらの作戦は既に机上で固まっており、後はトランプの指示を待つばかりであるようだ。
 こうした中で北は、「弱り始めた兆候」を見せ始めている。北朝鮮外務省北米局長崔善姫(チェ・ソニ)のモスクワ入りだ。ロシア外務省幹部と会談して、何事かを頼み込む様子だ。また労働新聞は「最高人民会議外交委員会が各国議会に書簡を送り「トランプ大統領の不法、無道な妄言により、朝鮮半島に核戦争の危機が刻一刻と迫る厳しい状況が作られている」と訴えたと報じている。さすがに世界中を敵に回してはまずいと感じ、プロパガンダを始めているかのようである。

◎俳談

◎俳談
【雨のジルバ】
黒揚羽雨のジルバを踊らうか  産経俳壇入選
 ジルバは第二次世界大戦の終戦とともにアメリカ駐留軍によって日本にもたらされた。軽快でリズミックなこのダンスは戦後の開放的な雰囲気の中で一般大衆に受け入れられ全国に広まった。アランドロンに似た慶応ボーイの筆者は、背が低いからダンスパーティーの壁の花であったが、うまかったので時々踊ってもらえた。黒揚羽は夏の季語だが、イメージとしては濃厚な年増女を連想させる。単にジルバだけでは単調だが「雨のジルバ」とした途端に詩情と物語性が出た。

◎安倍、「国難突破解散」で賭け

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自公維プラス希望で改憲勢力維持か
 最大の争点は北朝鮮問題 
  佐藤栄作は「解散はするほど総理の力は高まる」 とうそぶいたが、首相・安倍晋三も全く同じだろう。過去4回の国政選挙大勝の経験から選挙こそ政権維持・強化の要と考えているのだ。解散・総選挙の決断をこの時点で行った背景には北朝鮮問題が国民に投げかける安保上の危機感をくみ取るという強い意思が感じられる。まさに「国難突破解散」である。今後1年余りの衆院議員任期の中で、選ぶとしたら今しかないという政局判断も強く作用した。自らの目指す政治信条実現のためもっとも適切な時期を選んで解散に踏み切るのは憲法が裏付ける首相の特権であり、今回の決断も政権担当者として当然であろう。
 おりから民進党は離党者続出だ。小池百合子の「希望の党」も“落ち武者”かき集めの「野合の党」か、都知事職そっちのけで国政に食指を伸ばす「野望の党」 の色彩が濃厚で、全国的な小池百合子ブームなどは生じまい。北の狂った指導者の核・ミサイル実験もとどまることを知らないが、当面は軍事衝突といった事態ではない。その間隙を縫っての解散・総選挙の判断はまさに絶好の機会であったことが後々分かるだろう。朝日新聞は社説で北朝鮮問題があるのに「衆院を不在にする解散より、与野党による国会審議こそ必要」と主張しているが、政治空白などは出来ない。そのための二院制度である。
 解散は28日の臨時国会冒頭に行われる。冒頭解散の例は過去に佐藤による「黒い霧解散」、中曽根康弘による「死んだふり解散」、橋本龍太郎による「小選挙区解散」 の例がある。黒い霧解散は安定多数を確保して長期政権の道を開いた。死んだふり解散はダブル選挙に結びつけて圧勝。小選挙区解散は28議席を増やして政権安定につながった。今度の冒頭解散は、最低の場合でも自公で政権維持に必要な過半数の233議席以上獲得することは確実であり、安倍政権は維持される方向だろう。もちろん野党の体たらくからみれば安定多数以上の議席を獲得する可能性が大きいだろう。
 希望の党を立ち上げる小池の記者会見を聞いたが、失礼ながら「嫌な女」感がますます強まった。記者団が「東京五輪、豊洲移転問題が途切れるのではないか」と質したのに対して、小池は「ぷっつんするものではなく、アウフヘーベンするものだ」とヘーゲルの哲学用語を持ち出して煙に巻いた。しかし、小池の場合は「止揚」ではなく、単に「重要課題の先送り」にすぎない。2足のわらじで都政もオリンピックもおろそかにするものにほかならない。戦後の新党なるものは新自由クラブに始まって、維新の党や嘉田由紀子の「日本未来の党」にいたるまで、全てが同じ運命をたどって国民からそっぽを向かれている。日本のこころ代表の中山恭子も25日、離党届を提出、希望の党に移籍する。ばかな反自民系民放テレビがもてはやすが、これも一過性だろう。自民党に3回も比例当選で衆院議員にしてもらった福田峰之は、一度も選挙区で勝ったことがない。こんどは内閣府副大臣にしてもらった恩も忘れて希望に移籍。民進を離党した松原仁といいまさに希望の党は寄せ集めだ。小池は「医師や弁護士が手を上げている」というが、医師や弁護士上がりはろくな政治家はいない。政治的判断力に欠ける衆愚が投票するのはせいぜい1-2回だけであり、我楽多政党の末路は目に見えている。
 こうした小池の姿勢に対して安倍は対決姿勢を打ち出すかと思いきや「希望というのは、いい響きだと思います」と余裕のアピール。「安全保障の基本的理念は同じだろう」との認識を示すとともに、「小池知事とは、東京オリンピック・パラリンピックを成功させなければならないという共通の目標を持っている。選挙戦はフェアに戦いたい」と述べた。安倍の基本姿勢は、選挙後に小池新党を取り込もうとしている気配が濃厚だ。連立参加政党の数を増やす可能性がある。今回の総選挙は定数改正で465議席の争奪戦となる。安倍が宿願の改憲を目指すには定数の3分の2の310議席が必要となるが、自公維だけでは足りなくなる可能性があり、その場合は希望の議席が視野に入る。これを狙っているのかも知れない。
 選挙でアピールする政策のポイントについて安倍は北朝鮮問題に加えて全世代型の社会保障を争点にする構えだ。解散の理由についても19年10月の消費税10%への引き上げにともなう増収の使途変更を挙げている。これまで借金返済に充てる予定だった2兆円を子育て支援や、教育無償化などに充てる構想だ。北朝鮮については「選挙で信任を得て、北朝鮮の脅かしには屈せず、力強い外交を進める」と言明した。この2大争点は野党も反論をしにくいことは確かだ。だいいち前原も消費税の使途で安倍と同様の提案をしている。安倍は解散名を「国難突破解散」と命名して、危機感を煽る戦術に出た。北朝鮮が10月10日の朝鮮労働党創建70周年に合わせて、核実験か弾道ミサイルの発射を実施すれば、まさに「神風」になる可能生もある。国民の危機感は高まり、これが自民党票に直結するからだ。逆に政府や党幹部の失言などがあれば、一挙に崩れる。「寸前暗黒」とみて用心するにこしたことはない。

◎俳談

 ◎俳壇
【月見草】
海を見て決まりし墓地や月見草 東京俳壇入選
 友人にもらった月見草が咲いた。7日午後6時半つぼみがふくれているので咲くなと直感して、急いでカメラを用意すると数秒後開花を始めた。わずか2分間で満開となった。月見草といえば夢二に
有名な失恋の歌がある。
待てど暮らせど来ぬ人を 
宵待草のやるせなさ 
今宵は月も出ぬさうな  
太宰治も『富嶽百景』で「富士には月見草がよく似合ふ」と述べている。花を詠むときは賛美してはならない。既に読者が賛美しているからである。他の事象や感情と2物衝撃的に対峙させると成功する。
月見草逢魔が時に咲きにけり 杉の子
 翌日の朝は花が赤っぽくなり、午後にはしぼんだ。

◎動き出した「極東冷戦」長期化の構図


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◎動き出した「極東冷戦」長期化の構図
  トランプ“対北封じ込め”を推進
 安倍も「対話ではなく圧力」を強調
  トランプの国連演説をどう読み解くかに世界中が躍起になっている。米国内でも大まかに言えば「軍事力行使も含めて北の体制変革を追求するもの」と「核保有国として北を封じ込めるもの」に二分されている。しかし筆者はこの二者択一ではなく、「核保有国としての北朝鮮を封じ込め、金正恩体制の崩壊を追及する」という形で“連動”したものだと思う。注目すべきはトランプ発言のこの部分だ。「今こそ全ての国が結束して金正恩政権を孤立化させ敵対行為をやめさせるときだ」 。この発言が意味するところは事態が北朝鮮を封じ込め、陰に陽に支援する中露をけん制する広義の「極東冷戦」 の構図に入ったことを意味する。短期間で終わるか東西冷戦並みに半世紀近くも続くかは不明だが、トランプ発言からは長期対峙の構図が透けて見える。こうした方針を裏付けるかのように首相・安倍晋三は国連演説で「必要なのは対話ではない。圧力だ」と強調した。
 多くのマスコミがトランプ発言をとらえて、軍事的な行動の可能性の側面だけを強調しているが、必ずしもそうではあるまい。発言の核心である「アメリカは偉大な強さと忍耐がある。だが自国や同盟国を守らざるを得ない状況に追い込まれたならば、北朝鮮を完全に壊滅させる意外に選択肢はない」 を読み解けば、ちゃんと前提がある。「状況に追い込まれたら」の部分である。状況に追い込まれなければどうするかは言及しておらず、まだ状況に追い込まれていないと解釈できる。国務省のナウアート報道官はトランプ発言について「国際社会が力を合わせて北朝鮮に圧力をかけることが重要ということをはっきり示したかった」 と解説している。
 この「国際社会が一致して圧力をかける」の意味は、明らかに封じ込め戦略である。戦後米国が取った独裁国家に対する封じ込め戦略は大小様々なものがあるが、最大のものは半世紀弱にわたってソ連に対して実行された東西冷戦である。1946年に始まった冷戦は最終的には1991年のゴルバチョフ辞任によるソ連邦崩壊で終わった。ワシントンでも対北封じ込めの長期戦略を唱える声が増大している。なぜなら戦略的に対北軍事行動はソウル、日本という“人質”が存在しており、金正恩による破れかぶれの報復を考えれば、事実上成り立たないからだ。トランプ発言の「壊滅」とは、金正恩本人、核施設、全てのミサイル施設、全てのソウルに向けられた長距離砲を対象としたものであり、国民を含めたものではない。国防総省はそれが可能な作戦を組み立ててはいるようだが、危険が伴うこの種の軍事的オプションは最後の最後の選択とならざるを得ないのだ。
 ウオールストリートジャーナルは封じ込め戦略について「高価で恐ろしい状況だが、朝鮮半島で戦争が起きるほど恐ろしくない」とワシントンの本音を述べている。同紙は封じ込め戦略について「外交的手段で北朝鮮の核プログラムを廃棄させることができなければ、米国やその同盟国は核保有国の北朝鮮を封じ込める長期的な戦略に目を向けることになろう。そうなれば、ミサイル防衛システムのための支出は大幅に増加し、米国のアジアにおける軍事プレゼンスは拡大し、日韓の軍備は増強され、おそらく米国の戦術核の韓国への再配備が行われるだろう」と書いている。安倍は国連演説の中で「北朝鮮にすべての核・弾道ミサイル計画を完全で検証可能かつ不可逆的な方法で放棄させなければならない。そのために必要なのは対話ではない。圧力だ」と強調したのは、このトランプ路線と同期するものであろう。
 米国は既にこの封じ込め戦略を世界的な規模で実行に移しており、その効果が生じ始めている。韓国東亜日報によると米国は、北朝鮮が5回目の核実験を強行した昨年9月以降、高官クラスが世界各国を回り、安保理決議とは別に北朝鮮との外交関係を格下げするか断絶する追加措置を取るよう要請してきた。これを受けて スペイン政府が18日、自国に駐在する北朝鮮大使に30日までに出国するよう命じた。メキシコ、ペルー、クウェートに続き4番目の北朝鮮大使の追放だ。またペルーやクウェート、イタリア、ブルガリア、南アフリカ共和国などは、自国内の北朝鮮外交官の数を大幅に削減した。外交関係において大使の追放は断交の次に強力な措置であり、北朝鮮の核実験に対する最も強力な警告と抗議を含んでいる。これまでに米国の「外交封鎖」政策に呼応して、北朝鮮の大使を追放したり外交官の数を減らしたりした国は約10ヵ国にのぼる。アンゴラ、ベトナム、エジプトなど過去に北朝鮮と友好的だった国も、最近では国連の北朝鮮に対する制裁決議履行の報告書を提出するなど積極的に応じている。北朝鮮の3大貿易国であるフィリピンもさる8日、北朝鮮との貿易を中止すると宣言した。
 こうした対北包囲網はロケットマンに対してボディーブローのように利くものとみられるが、問題は貿易の90%を占める中国をどうするかだ。トランプの国連発言はその意味で北と同時に中国を強くけん制するものでもある。トランプは金融面からの締め付けを今後一層強化する方向だし、対中貿易にも大きく踏み込むものとみられる。ロシアとの貿易も大きく増えており、中露の説得がカギとなっている。こうしてトランプ発言は中露も巻き込んだ極東冷戦の構図を一層濃くしてゆきそうだ。ただし極東冷戦の構図は中国が北を“支援”する限り、実効を上げにくい。米ソ冷戦でも度々あったように一触即発の危機がないとは言えない。冷戦戦略の成否は全て中国にかかっていると言っても過言ではない。

◎俳談

 ◎俳談
【文字そのものを詠む】
「を」はをんな座れる姿蚊遣香 読売俳談入選
 漢字やカタカナの「姿」をそのまま俳句に詠むことも出来る。俳句は何でもありの世界なのだ。江戸時代の女流俳人・田捨女が詠んだ句に
雪の朝二の字二の字の下駄のあと
がある。昔の雪の日の情景がすぐに浮かんできて懐かしい。今でも7月22日の「下駄の日」によく紹介される。この俳句に接すると実に爽やかな気分になる。雪の朝の情景がすぐに目に浮かんでくるのだ。下駄の呼び名の成立は戦国時代と推測され、下は地面を意味し、駄は履物を意味する。それ以前は「アシダ」と呼称された。韓国には「日本人には靴を教えてやらなかったから下駄を履いている」という話があるが、しつこい歴史認識と同じで、東京都規模の小国の言うことにいちいち目くじらを立てても仕方がない。無視が一番。読者の爆笑を誘ったのが拙句の
湯湯婆(ゆたんぽ)と書けば笑へるなあ婆さん 読売俳壇一席
漢字もひらがなも観察すれば俳句になる。

◎解散の「大義は後から貨車で来る」

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 過去にも頻繁に「大儀なし解散」
 アベノミクス、北朝鮮は最大の大義
 政治を知らない政治論議が盛んである。いわく「解散には大義がない」だそうだ。この論議14年の総選挙でも聞かれて常習化している。ケチの付けようがないと「大義がない」などと言いつのるのだ。大義とは何か。大義とは人間が行うべき大切な道義のことであるが、一昔前までは国家・君主への忠義、親への孝行などを指した。特攻は「国の大義に殉じる」と旅立った。そのイメージの悪い「大義」をこともあろうに野党や左傾マスコミが乱用しているのは噴飯物だ。昔から解散・総選挙は首相にもっとも都合がよい時に行われる。その首相は自民党政権を維持して国民の幸福が続くことを願って解散・総選挙を断行するのであり、これが大義だ。そのために憲法七条は首相に解散権を付与しているのだ。ドラえもんではないが「いつでもどこでも解散」が可能なのである。ほとんどの衆院の解散は解散権者首相のもっとも都合のよいタイミングで行われ、「大義は後から貨車で来る」形であった。これが政治なのだ。政治の常識は「油断大敵」なのだ。
 そもそも戦後23回の解散で大義と称するものがあったか。全てが多かれ少なかれ党利党略解散だ。中でも特筆すべき「大儀なし解散」は9回に達する。第2次吉田内閣の「馴れ合い解散」、第3次吉田内閣の「抜き打ち解散」、第4次吉田内閣「バカヤロー解散」 、第1次鳩山内閣「天の声解散」、 第1次佐藤内閣「黒い霧解散」 、第2次大平内閣 「ハプニング解散」、第2次中曽根内閣「死んだふり解散」、第1次森内閣「神の国解散」、 野田内閣「近いうち解散」 。首相が「バカヤロー」と発言して解散してもいいし、「天の声を聞いた」と言って解散してもいいのだ。他の解散も似たり寄ったりで大義などはない。
 それほど首相の解散権は強力なのである。その根拠は憲法7条にある。かつて佐藤栄作は「内閣改造をするほど総理の権力は下がり、解散をするほど上がる」と述べていた。小泉純一郎も「首相の権力の最大の源泉は解散権と人事権」と語っている。解散権は内閣総理大臣の強大なる権力の源泉とも言える。衆議院解散は首相の裁量に属する。最高裁も判決で「衆議院の解散は、極めて政治性の高い国家統治の基本に関する行為であつて、かくのごとき行為について、その法律上の有効無効を審査することは司法裁判所の権限の外にある」と三権分立における首相の解散権の特殊性を認めている。首相は閣議を開き、「今般、衆議院を解散することに決したので、国務大臣の諸君の賛成を賜りたい」と全閣僚に対して衆議院解散を諮り、内閣の総意を得た上で、衆議院解散を行うための閣議書にすべての国務大臣の署名を集める。反対する閣僚がいれば罷免して実行する。罷免の例は小泉純一郎が2005年の『郵政解散』の際に、署名を拒否した農水相島村宣伸を罷免したのが唯一の例だ。
 いわば特権である首相の解散権にたてついても、もともと始まらないのだ。小池百合子が「衆院を解散する大義が分からない。国民に何を問いかけていくのか分かりにくいし、多くの皆さんがそう思われるのではないか」と文句を付けているが相変わらずのポピュリズム発言だ。政治の勉強が足りないから分からないのだ。るる述べたように大義は後から貨車で来るのだ。あえて大義を言えば「アベノミクスの総仕上げ」「北朝鮮への圧力強化」「自衛隊の9条明記を軸とした憲法改正」が3大テーマだ。あと「全世代型社会保障制度」も論点となろう。
 一方民進党代表の前原誠司は「北朝鮮が核実験やミサイル発射を行う状況の中で、本気で政治空白を作るつもりなのかと極めて驚きを禁じえない。森友問題や加計問題の国会での追及から逃げるため、国民の生命・財産そっちのけで、まさに『自己保身解散』に走っているとしか言えない」と批判した。しかし「政治空白」というが衆院任期切れまで1年余りだ。どっちみちそれまでには解散・総選挙を断行せざるを得ない。衆院議員は任期が2年を過ぎたら首筋が寒くなるのが常識だ。それとも国家予算を審議する通常国会中に政治空白を作ってもいいのかといいたい。北の“脅威”は今に始まったことではない。民進党は北が選挙中にミサイルを飛ばせば自民党が極めて有利になるから反対なのではないのか。だいいち衆院議員がいないから政治空白が出来るという論議は憲法を知らない。2院政はそのためにあるのだ。政治空白は出来ない。出来たら日本はとっくに沈没していた。
 自民党内では驚いたことに政調会長代理山本一太が「10月選挙は望ましくないシナリオだ。今からでも方針を変えられるなら、ぜひ変えていただきたいと思う」「“選挙に勝つためには何でもやるのか”という批判も起こるだろう。総理ご自身大義名分を理解してもらう最大限の努力が不可欠だ」と批判に出た。参院議員に衆院解散の発言権はないなどとは言わないが、身分が保障されて解散のない参院議員らしい甘っちょろい政局観だ。トークショウ向きだが軽くて説得力がない。安倍内閣中の入閣は断念したと見える。こうして政局は蕩々として自民党有利の解散・総選挙へと流れてゆくのだ。

◎俳談

◎俳談
【歴史を詠む】
蝸牛(かたつむり)駆け込み寺を守るなり 毎日俳談2席
 鎌倉東慶寺の山門に蝸牛がいた。東慶寺はかつては女人救済の縁切り寺であった。江戸時代、離婚請求権は夫の側にしか認められていなかったが、夫と縁を切りたい女性は、当寺で3年の間修行をすれば離婚が認められたという。「縁切寺法」という制度があったのだ。江戸からひっきりなしに女性が東慶寺を目指したという。
 その歴史を知ってか知らずか、蝸牛は寺を守るようにじっとしていた。今の駆け込み寺は明るい。アベックで一杯だ。
  山笑ふ縁切り寺で手をつなぎ 杉の子

◎対北抑止とアベノミクス総仕上げを問うー解散・総選挙

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◎対北抑止とアベノミクス総仕上げを問うー解散・総選挙
 自民、絶対安定議席以上を確保へ
 解散報道は産経が圧勝
 8月初めから筆者が予想していた通り、首相・安倍晋三が臨時国会冒頭解散に踏み切るようだ。まだ安倍の発言がないが、ほぼ間違いなく冒頭解散だろう。総選挙は来月22日になる可能性が高い。一部新聞は選挙のテーマがなく党利党略の解散のように主張しているが、そうではあるまい。日米同盟の堅持による対北朝鮮抑止力強化など安全保障問題が今ほど問われているときはない。加えてアベノミクスの大成功で経済は活況を呈しており、その総仕上げの是非を問うことになる。極東安保とアベノミクスが2大テーマだ。おりから野党は民進党が離党続出の体たらくであり、「若狭新党」なるものも、若狭勝のにやけた髭面でカリスマ性が欠如。小池百合子が乗り出しても、全国的な盛り上がりは見せないだろう。自民党は、内閣と党の支持率回復を背景に委員会の過半数に加えて委員長を獲得できる議席数269の絶対安定多数以上は確保出来るものとみられる。場合によっては、現在の293議席も“夢”とはいえないかも知れない。従って安倍長期政権は確定する。
 解散原稿というのは“読み”と“推理”で書く記事の筆頭だ。解散権を持つのは日本で安倍1人。誰も知らない首相の胸中を推し量って書くのだから、極めて高度の判断力が必要である。一種の「動物勘」が必要になるが、近頃の政治記者にはこれが欠ける。刑事に動物勘がなくなったのと同様に政治記者にも勘が働く政局担当記者がいなくなった。こればかりは自慢する訳だが、筆者は8月4日に安倍が改憲にこだわらず年内に解散する方向を打ち出し、同月29日にも「臨時国会冒頭解散」 と世界最速の見通しを打ち立てている。報道各社の茨城知事選の報道ぶりについて筆者は「茨城知事選の自公勝利に対するマスコミの反応が鈍い。『衆院3補選に弾み』などとやっているが、視野狭窄(きょうさく)的反応だ。ここは『早期解散に弾み』と打つべき時だ」 と洞察している。政治記者共は人がせっかく教えてやっているのに爺(じじい)のたわ言扱いして、無視しよった。民放テレビのトーク番組のごときは、コメンテーターがつい最近まで「解散は来年末」などと予言しておった。
 今回の解散報道は17日朝刊が勝負の場面であった。内容と言い質と言い産経の圧勝だ。産経は「安倍首相は28日の臨時国会召集から数日以内に解散」と冒頭解散を強く打ち出している。朝日もサブ見出しで「臨時国会冒頭も視野」 と打っているから合格だ。日経は「早期解散強まる」 で、まあまあの報道ぶり。NHKは早朝から「臨時国会の冒頭 衆院解散の見通し」 とやっている。独自取材による報道と思いたいが、17日午前2時に共同通信が「与党が年内解散へ準備」 と冒頭解散を短く報道しているから、これを見た可能性がないとはいえない。共同は地方紙で中央紙の早版を刷っているところがあるから、地方紙から情報を得た可能生もあるが確かではない。午前2時では新聞の締め切り後だ。どうしようもないのは読売、毎日、時事の後追いだ。ただ読売は8月28日に早期解散の可能性をトップ記事ではないが3面に書いているから救われる。毎日は17日12時30分、時事は12時37分で全くの後追い。昔の時事は解散ではトップを切っていたものだが、近頃は動物勘がなくなったらしい。
 朝日と毎日は例によって「臨時国会冒頭での解散は、森友学園・加計学園問題を隠すものだとして野党からの反発は必至。北朝鮮の核実験や弾道ミサイル発射が続く中、政治空白をつくることへの懸念もある」 と、難癖を付け、野党に“入れ知恵”している。しかし「モリカケ」 は、モリの当事者が逮捕されて政治的には決着。カケも新事実は2か月出ておらず選挙民は忘却の彼方だ。「政治空白」 は、いつ総選挙をやっても出来る。北朝鮮は金正恩が核ミサイル実験について「完成目標は終着点に至った」 と延べており、ひょっとしたら一段落かもしれない。今のうちに解散・総選挙をやった方が利口だ。戦争に突入する可能性があるなら気が抜けないが、まずない。あっても参院はそのためにある。政府の重要決断があれば、とりあえず参院に報告すればいいだけの話だ。
 北のおかげで国民の安保意識は一段と高まりを見せており、これは自民党に有利だ。経済も絶好調だ。有効求人倍率は全国平均で1.52倍であり、東京では1人に2つ職がある2倍だ。バブル期の最高が1.46倍である。1974年2月以来43年ぶりの高水準だ。従って臨時国会冒頭解散は自民党にとって今後来年末の衆院任期切れまでに再び生じないチャンスであろう。

◎俳談

◎俳壇
【白日傘】
こころまで隠すごとくに白日傘 毎日俳壇
 女性が日傘をさしていると、やはり「夜目遠目傘のうち」だ。皆美人に見える。最近は黒日傘が多いが、美人には白日傘が似合う。銀座はブランドもの日傘のオンパレードだ。楚々たる美人様たちは日傘で顔を隠して歩いているケースが多い。有象無象やじじい共の視線がうるさいに違いない。掲句は単に顔を隠すと言う表現でなく「心まで」と形容して採用された。表現を一歩踏み込むこと。それにはできた俳句を1週間冷蔵庫で冷やすことだ。

◎いつまで続くか「北辺の猿の尻笑い」

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◎いつまで続くか「北辺の猿の尻笑い」
  日米外交攻勢にやがて真っ青
 度しがたい文在寅の北支援
 北朝鮮が世界をあざ笑っている。金正恩は弾道ミサイルを、日本列島を越えて発射した。8月29日の列島越え以来の発射だ。自分の欠点に気がつかずに、他人をばかにして笑うことを「猿の尻笑い」というが、太った猿の尻笑いが、またまたテレビでお目にかかれるのは楽しみだ。尻笑いできるのは中国が“密輸”大歓迎で、いくらでも買ってもらえるからだ。ロシアも抜け道大歓迎だ。今度の国連決議のガソリンなどの55%削減と労働者の雇用の全面禁止などは、お茶の子さいさいで抜け道があると北は高をくくっているし、中国ロシアはそのつもりだろう。実際に効果は疑わしい。しかし、米国と日本の国際世論醸成に向けての外交攻勢はたけなわとなりつつある。今度ばかりは「決議して終わり」 でなく「決議が始まり」 となるだろう。
 米財務長官スティーブン・ムニューシンは「北との貿易取引を行う国との貿易を止めることが出来る」 と発言したが、ホワイトハウス筋は「発言が世界的に利きだした」 と漏らしているという。もちろん中国がターゲットだが、その他の国々も北との交易をちゅうちょし始めているのだという。それもそうだろう。中国が北からの輸出の90%を引き受けているから残りの10%などはたいした数字ではない。そのために対米貿易が損なわれては各国とも元も子もなくなるのだ。中南米ではメキシコとペルーが北朝鮮の外交官の国外退去を実施、ブラジルとチリも足並みをそろえる。アジアでは首相・安倍晋三とインド首相のモディとの会談で、北朝鮮の核実験や弾道ミサイル開発を非難する共同声明を発表。声明は北朝鮮について「最も強い言葉」で非難し、核・弾道ミサイル開発の放棄や挑発行動の自制、拉致問題への最大限の早期の対応を要求した。この声明がアジア各国に与える影響は大きい。ベトナムやフィリピン、北との友好国カンボジアまでも安保理決議を履行すると宣言している。ヨーロッパでは国務長官ティラーソンが英首相メイと会談、「国際情勢を不安定化させる金正恩政権に圧力をかけるため共に取り組む」事になった。ドイツ首相メルケルも仏大統領マクロンと電話会談で「北朝鮮問題での関与を強める」事で一致している。
 国際世論の高まりは単に北朝鮮への圧力になるだけではない。中国ロシアへの牽制効果がある。実際中国による“密輸”奨励のやり口は巧妙だ。北の船舶はパナマ国旗やジャマイカ国旗をつけて石炭を北から運び出し、ウラジオストクで1日停泊した上で中国の港で荷下ろしをするという迂回策をとっている。また英ファイナンシャルタイムズは北の船舶数百隻が香港の幽霊会社に所属して密輸に使われていると報じている。米共和党下院議員のテッド・ポーは「数年間、我々は北朝鮮の金一家に弄ばれた」と憤懣を延べ、「こんどこそ決着を付ける」との決意だという。北朝鮮の船舶偽装と不透明な船舶貿易ネットワークが、国際社会の制裁の中でも北朝鮮経済が持ちこたえることができた要因ということだ。国連制裁などは中国にとってわけもなく抜け道を作れるというのが現状だ。
 従って北の横暴をストップさせるには「中国対策」が全てのカギを握ることになる。ムニューシンは「中国が国連制裁を徹底的に履行しない場合、我々は中国を追加で制裁する。中国が国際ドル通貨システムに接近できないようにする」と発言している。下院外交委員長ロイスは12日に開かれた外交委公聴会で中国の招商銀行、農業銀行、建設銀行、丹東銀行、大連銀行、交通銀行、錦州銀行などを名指しして「制裁対象になり得る中国機関のリストを委員会名義で政府側に伝えた。今は最大の圧力を加える時」と述べている。トランプが国連制裁決議について「小さな1歩に過ぎない」と述べているのは、こうした中国の銀行直撃の対応が含まれているのだろう。
 こうした世界世論が高まりを見せる中であきれたことに韓国大統領文在寅は何と北朝鮮に国際機関を通じて800万ドルの「人道支援」を行うのだという。人道支援は2015年に80万ドルを送って以来21か月ぶりだが、いくら革新系とはいえ文在寅の“精神状態”が大丈夫かと言いたくなるような動きだ。人道援助とはいえ、今北朝鮮に金品を送ると言うことはまさに“利敵行為”となることが分かっていないのだろうか。官房長官・菅義偉が「国際社会が結束して明確な意志を示す中で、北朝鮮に対して圧力を損ないかねない行動は避ける必要がある」
と述べている通り「盗人に追銭」そのものだ。これを認めたらせっかく構築しつつある国際的な包囲網に影響が生ずることが分かっていない。ダダ漏れとなる。前から「駄目大統領」と思っていたが、その度しがたさは世界有数だ。

◎俳談

 ◎俳談
【名句の余薫】
下校の子八重撫子に触れてゆく 毎日俳壇入選
 誰にも忘れられない名句がある。私の場合は奥の細道の句だ。と言っても芭蕉の句ではない、弟子の曾良の句だ。那須野が原に足を踏み入れた芭蕉一行を、小さい子供が二人、後を追ってどこまでもついてくる。そのうちの一人は小さい娘で、名を尋ねると「かさね」という。「聞なれぬ名のやさしかりければ」と、曾良が作った句が
かさねとは八重撫子の名成べし
 本当は芭蕉の作という説もあるが、どちらでもよい。小さな女の子が見知らぬ旅人をどこまでも追いかけるという、江戸時代の「安全」と日本人の優しさの原点をそこにある。頭をいっぱい撫でてやったに違いない。その撫子を通学路で見つけて作ったのが掲句だ。

◎「北への石油」の陰に中露の極東戦略

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◎「北への石油」の陰に中露の極東戦略
  ぬかに釘の国連制裁決議
  「貧者の核」は野放し状態へ
 国連の対北制裁決議を分析すればするほど、極東における“準冷戦”構図の厳しさに帰着する。「日米韓対中露」対峙の構図だ。その中心に位置する北朝鮮の“ばか大将”ならぬ“核大将”金正恩が両者の力関係を見据えるかのように核とミサイルの実験を繰り返す。そのたびに国連もむなしい決議を繰り返す。2006年10月9日に北朝鮮が初めて核実験を行ったことに対し、安保理が、同月14日に核の不拡散と北朝鮮に関する決議を採択して以来、9回にわたり繰り返された決議がミサイルと核実験を止められない。止められないから技術力はどんどん向上して、早ければ半年後には米大陸に届くICBMが実現する。国連が如何に無力であるかを物語るものにほかならない。もはやオリンピック精神ではないが決議に参加することに意義があるとしか思えない。ぬかに釘なのである。勢いづいた金正恩は今度はICBMに模擬核弾頭を載せた実験などを準備するに違いない。主要国は国連など頼りにせず、独自の制裁を行うしかあるまい。
 決議のたびに国際社会は「こんどこそ」と一縷(る)の望みを抱くが、今回の決議の一縷の望みは、ガソリンなど石油製品の55%削減と労働者の雇用の全面禁止とされる。40か国に5万人いる北朝鮮労働者と繊維製品の輸出禁止で北の収入を10億ドル削減できるというが、本当に削減が可能か。中露との国境線は長い。万景峰号のロシア航路も始まった。ガソリンくらいは密輸で容易に手に入る。またシベリア開発に便利な北朝鮮労働者をずる賢いロシアが簡単に手放すだろうか。評論家は石油製品の禁輸でエネルギー系にはじめて踏み込んだ意義を強調するが果たしてそうか。はじめて踏み込んだから次の実験では、石油禁輸が実現するのか。そうではあるまい。逆に言えば中露は石油の禁輸阻止に成功したのであり、予見しうる将来においてこれを守り切るだろう。日本が石油の供給をストップされ、破れかぶれの太平洋戦争に突入したように、中露は北が破れかぶれになるのが極東の「安定」を崩すから嫌なのである。従って、国連における駆け引きにおいて国連大使ヘイリーは中露結託組に紛れもなく敗れたのである。最初は「最強の制裁決議」と胸を張っていたヘイリーだが、「石油」に踏み込め得なかったことは米国連外交の敗北にほかならない。この結果、制裁が北の核・ミサイル開発に打撃となり得るかは極めて疑問だ。各紙が朝刊で北の輸出産業の9割が制裁対象となったと報じているが、問題は実効性があるか疑問であるということなのだ。
 中露にとっては北がミサイルと「貧者の核」を完成させても、これが自国に向けられない限りは、米国に対する緩衝国としての役割が拡大するからありがたいのだ。韓国が朝鮮半島を統一して、国境線まで米軍が来ることが最大の懸念材料なのだ。“核大将”は核とミサイルを持ったと威張るが、その本質は中露の準傀儡(かいらい)政権なのである。中露が見放せば崩壊するのだ。よく中国は北の政権が崩壊すれば難民が国境を越えてなだれ込むというが、果たしてそうか。そんな事態になれば中国陸軍と海軍を集結させれば、容易に阻止可能だ。従って難民押し寄せ論は中国にとっては口実に過ぎない。何のための口実かと言えば、自国の安全保障のための口実なのだ。むしろ中国の本音は、たとえ核とミサイルを持った“核大将”でも、存在し続けてくれることが、極東戦略からみればありがたいことなのだ。たとえ噛みつき犬でも番犬としては役立つのだ。
 とにかく中国はワルだ。陰の北支援が止まらない。そもそも核兵器を格段と進歩させている最大の理由は科学者の中国留学にある。米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙は、海外留学した北朝鮮の科学者が持ち帰る専門知識が、核とミサイル技術を格段と発展させた理由であると報じている。留学先の筆頭は中国であり、明らかに北に核ミサイルのノウハウを教えること禁じた2016年の国連制裁措置に違反しているケースがあるという。同紙はここ数年で北朝鮮から数百人の科学者が留学、その多くは国連が北朝鮮の兵器開発に役立つ可能性があると指摘した学問分野だった。同紙は「いまや自国の科学者が核開発を担うとなれば、その野望を封じることは一段と困難にならざるを得ない」とお手上げの状態に至っていることを明らかにしている。
  こうした手詰まり状態の中で、生じているのが日韓の核保有論である。韓国の場合は中央日報が「前大統領朴槿恵がオバマに昨年11月に戦術核の再配備を要請していた」ことをすっぱ抜いた。ホワイトハウス関係者は「要請があればトランプ政権が韓国に戦術核を配備する可能性があることを排除しない」 と漏らしているという。日本の場合も元幹事長・石破茂が米軍による核持ち込み推進論である。古くは佐藤栄作がジョンソンに日本の核保有の可能性を述べた。その後佐藤は沖縄返還に関連して「持たず、作らず、持ち込ませず」の非核3原則に転換しているが、政府見解では答弁書で「核兵器であっても保有することは必ずしも憲法の禁止するところではない」 と明示している。狂った“核大将” が存在する限り、核アレルギーは崩壊し、核保有論が日韓両国で台頭する可能性がある。

◎俳談

◎俳談
【たまには俳句自慢させてくれ】
毎日俳壇西村和子選2席
 毛糸編む話しかけてはならぬ貌
選者評=編み目を数えている顔つきか。はた目にもその呼吸を読み取って、おかしみの漂う句になった。
産経俳壇寺井谷子選一席
 明眸の負けん気で出すカーリング
選者評=「カーリング」は氷上のチェスと呼ばれる。この競技の終盤、ストーンを滑らせる時の静かに漲る緊張。大きな瞳が迫ってくるようである。
日俳壇西村和子選一席
 春灯娘の部屋に娘たち
選者評=娘さんのへやに娘たちが集まり、笑い声が絶えない。春の宵のはなやかなひととき。季語の春灯が響く。
毎日俳壇大峯あきら選一席
 房総の卯波とどろき月上る
選者評=房総半島に卯波がとどろき、太平洋から月が昇ろうとしている。勇壮な景である。蕪村をも彷彿とさせる。

産経俳壇寺井谷子選一席
 今朝の夏娘の胎児「つつんと蹴る」
選者評=「つつんと蹴る」は娘さんの言葉。男親にとっては分からぬ感覚ながら、胎児=孫の元気さを伝える言葉に頬が緩む。明るく希望に満ちた「今朝の夏」。

◎“北朝鮮効果”で政局は安倍有利の展開

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◎“北朝鮮効果”で政局は安倍有利の展開
   支持率は回復基調、長期政権説も復活
    民進は出だしでずっこけた
 局面が一か月でがらりと変わった。北朝鮮効果だ。北朝鮮問題を国内政局から見れば、「森友と加計」の空虚な疑惑から首相・安倍晋三を解き放った。支持率は上昇基調をたどっており、逆に前原民進党は支持率低迷状態に「山尾不倫疑惑」 が追い打ちをかけ、踏んだり蹴ったりの状況だ。年内結成を目指すという小池新党も、髭ずらの冴えない衆院議員若狭勝では力量不足でブームなど起きない。最重要ポイントは社会部主導で「モリカケ」を狂ったように追及した朝日が紙面を北朝鮮問題にに一変せざるを得なくなったことだ。社運をかけた“モリカケ倒閣紙面”も、失敗に終わった。このまま対北政策を誤らなければ、安倍には早期解散のチャンスが待っている。
 一時「危ない危ない」と思ったのは評論家ごときの進言に安倍が乗るのではないかと思われたからだ。田原総一朗が得々として「政治生命をかけた冒険をしないか」と提案したことが「電撃訪朝」であることは分かっていたが、ようやくその内容が「北朝鮮と日米韓中ロで話し合う6者協議の復活を目指した訪朝」であることが分かった。6者協議などという“埋葬”された北説得方式を掲げて訪朝すれば、世界の笑いものになるところであった。乗らなかったのは正解だ。
 安倍の北朝鮮政策は本筋に乗っている。オバマ政権の戦略的忍耐では局面打開困難と判断、トランプと連携して北朝鮮制裁へと動いている。狂気の指導者には力を見せるしかないのであって、今取り得る最良の道は軍事力行使も辞さぬ構えを見せつつ、交渉の場へとひきづり出す事だ。中国と歩調を合わせるかに見えるプーチンは乗らなかったが、重要なことは安倍が主張し続けることなのだ。安倍官邸は北朝鮮問題では水際立った対応をしている。8月29日のミサイル発射のさいも事前に情報を入手、安倍は公邸に泊まり込み、午前5時58分の発射後6時23分には執務室に現れ、直後に記者会見するという手際の良さだった。
 自民党内では石破茂が乾坤一擲の勝負に出ている。掲げる政策は、「日本への米軍核兵器持ち込みによって、北への圧力を強める」という構想だ。北のおかげで日本人の核アレルギーは再考を迫られ、徐々に崩れ始めているが、まだ石破構想を多数が是認するところまでにいっていない。もともと事態の成り行きを見て安倍が選択すればいい話であり、石破はやや早計であろう。一時は党内で反安倍の動きが台頭したが、北情勢は安倍を叩けば自分たちが叩かれる状況を生じさせている。
 政調会長岸田文男も、怪僧ラスプーチンのような岸田派顧問古賀誠の「安倍は1年で倒れる」との予言で外相を辞めたが、これも善し悪しであった。この北朝鮮危機を外相として乗りきれば、国民的な評価も高まったが、評価が高まっているのは河野太郎であり、政調会長では出番がない。来年9月の総裁選では、安倍を助けて禅譲路線を狙うのが一番の得策であろう。
 稲田朋美を更迭したことも利いて内閣支持率は改造後に跳ね上がった。共同通信の調査で8月初めには44%で8.6ポイントも上昇した。その後北朝鮮情勢を経た日経の8月25-27日の調査でも支持率は46%となり、4ポイント上がった。不支持率は3ポイント低下して46%で、支持、不支持が拮抗した。やがては逆転しそうだ。一方、民進党も小池新党も振るわない。共同の9月の調査でも「前原に期待しない」が51.2%、「期待する」は40.3%だ。小池新党も「期待する」が38.4%で「期待しない」が51%。ブームは去った感じが濃厚だ。
  民進党代表戦は白票が8票出て党内では「離党予備軍ではないか」との見方が生じている。党の体たらくを物語る話ばかりが山積だ。おまけに前原の人を見る目のなさは幻の「山尾幹事長」人事で露呈した。おそらく前原は山尾が、主婦の「保育園落ちた日本死ね」発言問題で安倍を追及した手際を評価したのだろうが、見誤った。不倫では離党は当然だ。議員辞職にもつながるべき話だ。
 朝日のずっこけは安倍にとって天佑というべきものだろう。大体安倍関与の根拠などないモリとカケで倒閣が可能と考えた編集局幹部の考えが甘い。このところの紙面は北朝鮮一辺倒であり、モリとカケは影を潜めた。北への対応に懸命になっている首相をとらえて、あらぬ方向の疑惑にすり替えれば、読者はあきれかえるのが目に見えているから方向転換したのだろう。朝日にしてみれば一段落したらまたモリとカケで政権を追い詰めようとするだろうが、安倍にしてみればその手は桑名の焼蛤だ。だから党内で臨時国会冒頭解散説が流れているのだ。タイミングよく総選挙になれば、北のおかげで結構自民党は議席を取るかも知れない。現在の293議席維持は困難でも270前後はいくかもしれない。そうなれば「安倍長期政権」が復活する。


◎俳壇

◎俳壇
【外来語対古語】
片蔭のデジャビュの辻を曲がりけり     朝日俳壇選一席
   フランス語のデジャビュとは未体験の事柄であるはずが、過去にどこかで体験したことがあるかのような感覚を覚えること。日本語の既視感である。大学生への調査では72%が経験があると答えた。訪れた経験のない浅草のある曲がり角をどうしても過去に見た気がして作った。片蔭は夏の季語で、夏は影を選んで歩くことから派生した。この句のポイントはデジャビュウという洒落た外来語に「辻」という古い余韻のある言葉を合わせたこと。「角」では絶対に入選しなかったであろう。

◎日本核武装をめぐってWHが分裂状態

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◎日本核武装をめぐってWHが分裂状態
  トランプは推進論、全上級顧問が現状維持
 WSJ紙が論文掲載
 既報の「日本の核武装に道を開く北朝鮮の核容認」と題する社説を書いた米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙が、再び著名学者による日本の核武装に関する論文を5日掲載した。論文は、日本の核保有をめぐってホワイトハウス内部の意見が割れ、大統領トランプ自身については日本の核保有を「米外交政策にとって敗北ではなく勝利とみなす可能性がある」と報じている。北朝鮮の核とミサイル実験は米政権中枢の見解の分裂を招き「狂っているとされる金正恩政権が米国を窮地に追い込むことに成功している」と分析している。
 論文の筆者は、ウォルター・ラッセル・ミード。ハーマン・カーンが創設したハドソン研究所フェローでバード大学教授。同論文はまず「金正恩氏は米国内の意見の深い分裂を露呈させ、米政府が近く判断を余儀なくされる可能性のある厳しい選択肢を浮き彫りにしている。」としてトランプ政権が日本の核保有をめぐって判断を迫られていると現状を分析。次いで「北朝鮮の好戦的態度や核兵器開発計画は、日本を独自の核兵器保有に向かわせているというのが観測筋の長年の理解だ。世界には日本ほど核兵器保有に近い位置にいる非核保有国は他にない。日本が核武装を決断すれば、核兵器を保有するまでにわずか数カ月しかかからないと多くのアナリストはみている。」として日本核保有の可能性に言及。「その後は情勢が混とんとする中で、韓国や台湾も日本に追随する公算が大きく、少なくとも台湾は日本からひそかに支援を受けるだろう」と韓国台湾の追随を予測している。さらに核武装をめぐる日本国内の論議について「日本のエリートの意見は核武装という選択肢を支持する方向に目に見えて傾いている。保守派のナショナリストたちは、日本は核武装によって第二次大戦後の対米依存状態からようやく解放され、独立した大国としての地位に返り咲くと長年信じている。日本の世論は核武装に極めて懐疑的ではあるが、北朝鮮の脅威とミサイルの上空通過に加え、米国のコミットメントと信頼性に対する疑念の高まりを受け、これまで考えられなかった選択肢を考える人が増えている」と分析している。
  注目すべきはホワイトハウス内がこの日本の核武装について分裂状態にあると指摘していることだ。ホワイトハウスの全上級顧問は「太平洋地域で現状を維持することが米国の利益にとって最善だと信じている」としながら「トランプ大統領を含むであろう他の人々は、東アジア諸国の核保有を、米外交政策にとって敗北ではなく勝利とみなす可能性がある。日本や韓国、そして場合によっては台湾にも核を保有させれば、中国の地政学上の野心を封じ込められるからだ。そうなれば米国は韓国から軍隊を撤退させ、防衛費を削減できる一方で、同盟諸国に中国封じ込めの費用を負担させることができる。」と分裂を指摘した。
 そして核コミットの現状を維持をした場合の東アジアへの関与について論文は「米国は太平洋地域の対中防衛費の大半を負担し、北朝鮮などの敵対国との戦争のリスクを抱え込むことになる。また、雇用破壊の一因とされる韓国などからの安価な製品の輸入を促すという“賄賂”を贈らなければならなくなる。この選択肢はトランプ氏の「米国第一主義」を支持する有権者にとっては、あまり魅力的には見えない」 とコメントしている。一方米国が撤退した場合について「東アジアで脇役に回ることは、米国にとって第二次大戦後の戦略的思考と決別することも意味する。米国は持続可能なコストで平和を維持してきた。この長年の戦略を米国の世論が支持するかは、もはや分からない。トランプ氏の考えを支持する共和党議員もバーニー・サンダース上院議員をはじめとする一部民主党議員も、こうした視点で考えているようには見えない」 と世論や議会が変化しつつあることを強調している。さらに米国が撤退した場合東アジアは「平和的な発展よりも軍拡競争と軍事的対立を招く公算が大きい。中国が南シナ海で抱く野心は日本が依存する貿易ルートの安全保障を脅かす。また、北朝鮮が爆弾の性能強化とそれを飛ばす大陸間横断ミサイル(ICBM)の開発をやめることは決してないだろう。」 と予想している。
  そして「北朝鮮危機は極めて望ましくない2つの選択肢を米国に突きつけている。1つは70年にわたる国家戦略を放棄し、アジアの不安定化を促すリスクがある。もう1つは卑劣で無節操な敵と醜く危険な戦争に陥るリスクがある。トランプ政権は容易な逃げ道のない戦略的ジレンマに陥っている。」 と二者択一の厳しい現状を指摘している。 こうした日本核武装論は日本の論議にもこだまする可能性を秘めている。既に自民党内では石破茂が非核三原則について6日、「持たず、つくらず、持ち込ませず、議論もせずということで本当にいいのか」と指摘したうえで、「アメリカの核の傘で守ってもらうと言っておきながら、日本国内に、それは置きませんというのは本当に正しい議論か。感情的には持ち込ませないほうがいいに決まっているし、国民が反発するのはわかるが、抑止力として十分か、ちゃんと考えないといけない」と述べ、アメリカ軍が核兵器を日本国内に持ち込むことの是非を議論すべきだという考えを示した。しかし日本自体の核武装については否定している。
  非核三原則は佐藤内閣が決定して以来、日本の“国是”となっているが、いまや崩壊の兆しが生じている。今後臨時国会や自民党総裁選挙にむけて、議論が活発化するものとみられる。

◎俳談

 ◎俳談
【台所俳句】
玉葱に涙などして暮らしゐる 産経俳壇1席
 男といえども退職すれば厨房に入ることも多い。時には本格的な料理にも手を出す。従って台所は句作の材料に事欠かないのだ。掲句はタマネギを切って涙が出たのをとらえた。中村汀女(なかむらていじょ)の句に
秋雨の瓦斯(ガス)が飛びつく燐寸(マッチ)かな
がある。マッチの火にガスが「飛びつく」と表現できるのは並大抵の力量ではない。皆飛び付くのは分かっていても、表現に結びつかないのだ。季語を秋雨と置いて、昔の薄暗い台所の情景を思い起こさせる。男子厨房に入り大いに俳句を作るべし。

◎中国の本格的な北制裁は不可能

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◎中国の本格的な北制裁は不可能
 日米の「石油輸出規制」論は空転か
  韓国にも核武装論が台頭
 ドキリとさせられた。このような時に国会で冗談でも「包丁一本さらしに巻いて」 と歌って訪朝する神経のばかさ加減を疑うが、アントニオ猪木なら包丁を使わなくても金正恩を殺害できる。しかし、もう殺害しか手段はないとことまで行くかもしれない。事実韓国は国防相宋永武が4日、今年12月1日付で暗殺を目指した「斬首作戦」部隊を創設する方針を発表。陸・海・空合同で、その規模は1000人から2000人だという。しかし、その前に日米が国連でやろうとしていることもドラスティックだ。中国の対北石油輸出の規制だ。日本が太平洋戦争に突入した歴史を見れば石油の規制が国家にとって存亡の危機になることは明白だが、習近平がこれを本格的にに断行するかと言えば、しないだろう。プーチンも否定的だ。したがって、国連決議などほとんど意味はない。やっても「お茶を濁す」程度だろう。だから金正恩はますます増長して、結局、殺害しかないということになる。
 昔、ニューヨークで国連を取材したが国際機関というものは、ウィーン会議時代と同様に「会議は踊る」 のであって、まとまらない。国際会議は戦争の代わりに大国が角を突き合わせる場であり、国家エゴがむき出しになるのだ。北朝鮮問題の本質は、中国とロシアが北を使って米国と対峙する準冷戦の構図であり、その基本構図が変わらない限り、金正恩のやりたい放題は続く。もっとも、先進7か国が歩調を合わせて対北制裁を求める現状に中国とロシアは、国際社会の批判をかわさなければならない局面に追い込まれつつある。
 とりわけ注目されるのは日米が主張している「対北石油輸出規制」に中国がどう出るかだ。昨年3月の決議ではロケット用燃料を含む航空燃料の提供を原則禁止したが、北は何の痛痒も感じていない。国境には密輸がはびこっているのだ。この先例があるから多少の制裁は全く不可能ではないが、中国は国際世論に向けて極めて“ずる賢く”対応するだろう。鴨緑江を渡る石油のパイプラインを全面的にストップすることには徹底的に抵抗するだろう。現に環球時報は「北に対する石油の供給中止と国境の閉鎖は中国の国益と合致しないため、中国はこのような政争の先鋒に立ってはならない」 と主張している。北の核ミサイルに端を発している安全保障問題を、臆面もなく「政争」と位置づける図々しさである。またプーチンも「制裁は無駄であり効果がない。北が大量破壊兵器を放棄することはない」と制裁に乗る気配はない。
 中国にしてみれば朝鮮戦争は“休戦”なのであって、北を崩壊させて、中国が米軍と直接国境で対峙することを回避することは戦略的最重要テーマと依然として位置づけている。習近平は金正恩への憎たらしく思う感情を押し殺して、この国家の大計のために我慢し続けるのだ。したがって中国がたとえ譲歩するにしても、せいぜい暫定的かつ部分的な供給制限であろう。“お茶を濁す”程度の対応しかしない。だから北が経済的な困窮に追い込まれることはない。
 こうした中で筆者がメディアで最初に紹介した米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の、日本核武装論が大きな波紋を投げかけている。社説で「北朝鮮の核武装を放置すれば日本が核武装することになる」と警告したものだが、今度は米ブルームバーグ通信も社説で日本の重武装の可能性を指摘した。ブルームバーグは「日本国民のおよそ4分の3は、北朝鮮が日本に向けてミサイルを発射すれば、日本が先制攻撃をしたり反撃を加えることに賛成している」と分析し、「中国指導部が北朝鮮の脅威を緩和しない場合、重武装した日本の登場は中国が支払うべき代償の一つだ」と強調した。国会議員のなかからも日本のこころ幹事長の中野正志が「抑止力としての核兵器を保有することの是非を含めた幅広い議論を始めることを提案する」と正面切って核武装論を展開。自民党内でも石破茂はかねてから原発の廃止反対と絡めて核武装論を述べている。11年に「日本は(核を)作ろうと思えばいつでも作れる。1年以内に作れる。それはひとつの抑止力ではあるのでしょう。本当に原発を放棄していいですかということは、それこそもっと突き詰めた議論が必要だと思うし、私は放棄すべきだとは思わない。」と発言している。日本の核アレルギーは徐々にその威力を失いつつある。
 さらに韓国にも飛び火して朝鮮日報は5日「韓国の核武装は2年で可能」と題する記事で「北朝鮮の核の脅威に対抗して韓国が選ぶ“最後のカード”には、独自の核武装がある。北朝鮮が核武装を完了した後、朝米交渉を通して在韓米軍が一方的に撤収するなど最悪の状況が迫った場合には、“最後のとりで”として独自核武装のカードを切るべきだ。専門家らは『決心しさえすれば1年半から2年以内に核兵器を持つことができる』と述べた」と書いている。
 こうして北による核とミサイル実験は極東安保情勢に、おどろおどろしいインパクトを生じさせており、早期に狂った指導者を排除しなければ混迷の度は増すばかりだろう。北が忘れてはいけないのは米国には東京やドレスデンへの大空襲の経験がある。米軍は①金正恩ら中枢へのピンポイント爆撃②核ミサイル施設全てへの爆撃③ソウルを狙う長距離砲への壊滅的な爆撃ーで韓国や日本の被害を最小限にとどめる空爆作戦を立案しつつあるといわれている。ばかなTVコメンテーターらが断定する攻撃不能論は必ずしも通用しない。

◎俳談

◎俳談
【理解不能な季語】
鷹化して鳩となる日の朝寝かな 杉の子
 俳句で訳の分からない3大季語は「鷹化して鳩と為る」「亀鳴く」「雁風呂」だろう。いずれも春の季語だ。
新鳩よ鷹気を出して憎まれな 一茶
は「鷹化して鳩と為る」の季語を崩して使ったものだ。一茶らしく人間にも当てはまる風刺に満ちている。亀は鳴かないが、俳人には春になると亀の鳴く声が聞こえるのだ。聞こえなければ俳人とは言えない。拙者にも聞こえた。だから作った。
この昼は四天王寺の亀鳴けり 毎日俳談2席
 「雁風呂」の由来はややこしいが哀愁のある話だ。
青森県では日本に秋に飛来する雁は、木片を口にくわえ、または足でつかんで運んでくると信じられていた。渡りの途中、海上で水面に木片を浮かべ、その上で休息するためであるという。日本の海岸まで来ると海上で休息する必要はなくなるため、不要となった木片はそこで一旦落とされる。そして春になると、再び落としておいた木片をくわえて海を渡って帰っていくのだと考えられていた。旅立ちの季節が終わりもう雁が来なくなっても海岸にまだ残っている木片があると、それは日本で死んだ雁のものであるとして、供養のために、旅人などに流木で焚いた風呂を振る舞ったという。
雁風呂や海あるる日はたかぬなり 高浜虚子

◎金の“パラノイア治療”を実行の時だ

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◎金の“パラノイア治療”を実行の時だ
  狡猾な中国に対する「圧力」がカギ
 日本は国際包囲網の主導を                  
 とどのつまりは虚勢を張り続ける北朝鮮のパラノイア(偏執病)患者を如何に治療するかということだ。金正恩がパラノイアだという説は今に始まったことではない。近年ミサイル実権や核実権を繰り返すたびに指摘されてきた。米国連大使ヘイリーは金について「パラノイア状態(in a state of paranoia=妄想症、偏執病)だ。彼は、周辺のあらゆることについて非常に心配している。」と発言している。米国国家安全保障局の(NSA)の元首席監察官ジョエル・ブレンナーも「あの国を動かしている若者は狂っている。彼のやり方は破壊的で幼児的、病的だ。戦略がない。3歳児と同じで注目を浴びたいのだ」と分析してその狂気性を強調している。前韓国大統領朴槿恵も昨年の核実験の後「北朝鮮の核実験は、国際社会に対する挑戦としか言いようがなく、もはや私たちと国際社会の忍耐も限界を越えている。権力を維持するために国際社会と周辺国のいかなる話にも耳を貸そうとしない金正恩の精神状態は統制不能だと見るべきだろう」と発言した。
 いずれも金正恩が「気違いに刃物」状態にあることを強調している。古くから独裁者の精神状態を分析するとパラノイアに行き着くといわれている。ヒトラーはパラノイアの典型的症状だし、スターリンも、
あらゆる場所に敵の姿を見て、スパイを疑い、部下の部屋を盗聴させ、疑った人間はすぐさま粛清した。いずれも自分の周りの誰もが敵で、自分の命を狙っているのだ、という典型的なパラノイアを発症している。金はそのヒトラーを限りなく信奉しており、幹部らに就任1年目の誕生日の際、贈り物へのお礼として、『わが闘争』を1冊ずつ配っている。
  パラノイアの症状は被害妄想、誇大妄想、激しい攻撃性、自己中心的な性格、異常な支配欲、悪魔的なものに美しさを見る悪魔主義などとして表れてくる。金正恩の場合はその症状の全てに当てはまる。まず悪魔主義の姿は、ミサイルを打ち上げるたびに恍惚とした表情で見上げる姿に如実に表れている。打ち上げ後の高笑いは、自分が世界の中心におり、絶対的な存在であると信じ込む自己中心的な性格そのものである。そこには自らが超人、絶対者であるという誇大妄想も見られる。妥協や交渉など一切考えずに攻撃ばかりを考える激しい攻撃性も見られる。叔父の殺害という親族殺人を事もなく行い、昨年までに140人を処刑したのは完全支配を行おうとする異常な支配欲であろう。
 まさに紛れもないパラノイアの症状全てが当てはまる。そこには深い思慮などはかけらも存在せず、パラノイアの本能のままに自らの行動を委ねる、まさに「3歳児」の姿だけが浮かび上がる。この妄想人間にどう対処するかだが、治療法には挫折を味あわせるやりかたがあるという。金正恩の場合に如何にして挫折を経験させるかだが、経済的挫折と軍事的挫折の二つがある。経済的挫折は全てが中国にかかっている。中国とロシアは北のミサイルが日米韓に向かう限りは何の痛痒も感ぜず、むしろ基本的には北を米国の圧力への緩衝地帯と位置づけている。中国はこれまで制裁のそぶりを見せるだけで、その実は狡猾にも「バケツのだだ漏れ対応」を行ってきた。石油の禁輸しか手段がないことを分かっていながら、それを実施しない。これを実施させるには、日米韓およびサミット加盟の先進諸国が結束して対中圧力をかけるしかない。経済的な対中包囲網をサミット加盟国も含めて実施に移すのだ。中国を動かすには金正恩を「除去」しても、米韓とも北の国家としても存在を危うくしないという“密約”が必要となろう。
 軍事的対応によるパラノイア治療は、中距離、ICBMなどいかなるミサイルも打ち落とすという「ミサイル実験拒絶」の対応だ。日米韓のミサイルを総動員して、実験のたびに打ち落とす。打ち落とすことによって悪魔主義を断念させる。金正恩がミサイルを打ち落とされたことを口実に、直ちに戦闘状態に突入する“度胸”があるかといえば、ないだろう。金は打ち落とされて初めて日米韓の本気度が分かり「挫折」を味わう事になるのだ。いずれにしても日本は国際的な対北、対中包囲網を主導する必要がある。
 これらの手段を講じても「治療」が出来ない場合は、金除去の「斬首作戦」を実行するしかあるまい。ピンポイント爆撃か、暗殺を得意とする米CIAが対処するのだ。マスコミの論調は北東アジア情勢を一見行き詰まったように見ているが、打開策はいくらでもあるのだ。