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米・北朝鮮首脳会談のゆくえ!

VOV・ベトナムの声放送
― TV、ラジオ、インタビュー(2019/2月18日)
米・北朝鮮首脳会談のゆくえ ・・・ 安保政策研究会理事長 浅野勝人

★今月末(2019/2月)トランプ大統領と金正恩委員長の首脳会談がベトナムで行われることになりました。どのように評価しますか。

はじめてベトナムと聞いた時、エッと思いました。世界中、みんなベトナムと知って、驚いたのではないでしょうか。ところが、落ち着いて考えてみると、ベトナムはもともと北朝鮮と強い信頼の絆で結ばれています。それに、ベトナム戦争のあと、アメリカとも着実に友好関係を築いてきました。ですから、双方にとって、どちらにも偏らない、安心できる最適な場所だと思います。
もうひとつベトナムがアセアン諸国の中で、シンガボールに次いで選ばれたのは、国力が充実して治安が安定している証拠です。
「ベトナムはアジア・トップクラスの国」というアピールになりました。

★2回目の米・北朝鮮首脳会談に何を期待しますか。

トランプ大統領は事前の交渉が水面下で進展しているので、素晴らしい合意が可能だと述べています。しかし、日本内外の大方の予測は、核の放棄に関して具体的な成果が得られるかどうかについて、楽観はしていません。
厳しい見方の背景は、「北朝鮮」は核とミサイルによって「金王朝体制」を死守しようとしている“核・ミサイル優先国家”だからです。
アメリカの体制保証だけでは、国家護持の手段を簡単に手放すとは考えられません。中国が担保しない限り非核化に合意することはないと思いますが、現状は、米中貿易戦争だけでなく、台湾をめぐる確執など、中国が簡単にアメリカに協力する政治的環境にありません。
こうした情勢から、日本政府は、2回目の首脳会談の成果について、前回同様、言葉だけで内容の乏しいものか、或いは、実質的な中身を伴ったものか、慎重に見極めたいと思っています。ロードマップを伴った非核化計画が示されれば最大限の評価をします。

★日本をはじめとする東アジアへの影響をどのように予測しますか。

日本はトランプ大統領がICBM・大陸間弾道弾の凍結・廃棄だけで合意するのを警戒しています。アメリカの安全保障には問題解決になりますが、日本、韓国、グアムの米軍基地向けの中距離弾道ミサイルが500~600発、国内のあちこちに隠し持っている北朝鮮の現状を、放置したままのどんな合意にも日本は納得しません。
日本の要求は、完全非核化、国際機関の自由で制限のない査察、不可逆的・後戻りしない措置、の3点セットです。
日本を主な攻撃目標とする北朝鮮の核・ミサイル軍事態勢に対して、
「敵基地攻撃能力」を認めるべきだという主張が与党・自民党内の一部にあります。日本政府は、東アジアの脅威となる敵基地攻撃能力を所持することには極めて慎重です。しかし北朝鮮がいつまでも日本に対して、核と化学細菌兵器を突き付けて、アメリカとの首脳会談でも、うわべだけの態度に終始していると、敵基地先制攻撃論が台頭しかねません。

★首脳会談後の朝鮮半島において、平和への展望が期待できますか。

お答えするのが大変難しい。首脳会談の結果、双方が朝鮮戦争の終結宣言に合意し、それに伴って北朝鮮が核兵器を放棄する。アメリカも在韓米軍を引き上げて、朝鮮半島の完全非核化を実現させるのが、夢のストーリイです。そんなに事がうまく運べば誰も苦労はしません。
焦点の戦争終結宣言は、在韓米軍のプレゼンスを弱め、極東におけるアメリカの核の傘を不必要にしかねません。その一方で、北朝鮮が核と中距離ミサイルを含む弾道ミサイル放棄を、仮に反故にするようなことがあれば、朝鮮半島における米・韓・日 対 北朝鮮の緊張は一挙に高まります。今とは比較にならないでしょう。ですから、これほど複雑で困難な交渉はありません。
だからこそ、北朝鮮は東アジアの平和と安全にとって、自分たちに重い責任があることを十分自覚して首脳会談に臨んで欲しいと思います。平和国家、専守防衛の日本は、自らが新たな脅威の基になることは避けるのが国の基本原則です。従って、北朝鮮はアメリカとの首脳会談で核・ミサイルの放棄について真摯に話し合うよう、日本は強く求めます。(元内閣官房副長官)