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◎波乱含みの今年の極東情勢

◎波乱含みの今年の極東情勢
 2回目の米朝会談が焦点
 今年の極東情勢を太筆書きで展望すれば、まさに波瀾万丈とも言える要素に満ちている。米国と中国の覇権争いは貿易摩擦からハイテク分野にまで拡大、冷戦に近い様相を示そうとしている。日本は好むと好まざるとにかかわらず米中双方をにらみながら立ち位置の決定を迫られる。逆に日本の立ち位置が、米中対立を激化させるか緩和させるかの要素となりうる情勢でもある。
 中国の経済力の拡大で世界情勢は歴史的な転換が始まろうとしている。中国はやがては米国経済に追いつき追い越すエネルギーを秘めており、かつての秦・漢・隋・唐・宋・元・明・清がその興隆期には世界帝国の様相を示したように、多かれ少なかれ極東のパワーとしての存在感を強めるだろう。中国のインターネット人口は、およそ8億人に達し、現在人口の57.7%が頻繁にインターネットを利用している。中国は事実上のネット王国と化しており、今後のIT世界での影響力は増大こそすれ、縮小しないだろう。
 米国が現在保持している圧倒的な覇権を脅かす要素は中国だけだろう。しかし日米同盟が強固である限り、中国のパワーは減殺されるだろう。トランプが昨年末以来指向している世界的な貿易戦争は深刻化する様相があり、日本としても対応が迫られる。日米貿易協定交渉について、トランプ政権は自動車分野で対米輸出の数量規制を要求する可能性が高いとの見方がある。米政府筋は「日本が数量規制に応じないなら、追加関税を発動する可能性も排除できない」とすごんでおり、油断はできない。
 日本としての対応策は規制の範囲を物品以上に広げないように、ヨーロッパと連携して対米交渉に臨むことだろう。ただ米国の貿易赤字の47%は対中貿易によるものであり、日本は9%にすぎない。中国の深刻さに比べれば、日本は安倍とトランプの会談に持ち込めば、政治決着がつく可能性が強い。大騒ぎしすぎて、不必要な波紋を巻き起こすことは避けなければなるまい。
 朝鮮半島情勢は韓国大統領文在寅の対北融和路線で変質してきており、米国の圧力も利かなくなりつつある。こればかりは一国の外交方針であり、干渉しようがない。そのうちにロマンティスト文在寅が描く夢が、現実の壁にぶつかるのを見守るしかあるまい。日韓関係の悪化は戦後繰り返してきたことであり、特異な現象ではない。相手が折れるのを待つのが歴史が証明する最良の方法だ。「半島民族は悪い」と言ったのは田中角栄だが、半島民族の複雑な感情は常に外交に反映される要因だろう。
 対露関係はラブロフが漏らした本音に尽きる。ロシアの本音とは4島返還どころか、2島も難しいという立場だ。もともと戦争で獲得した領土が返還された例など、世界的に希有なことであり、沖縄返還くらいしかない。対米関係だからこそ返還が可能になったのである。対ロシアでは、とても一筋縄ではいかない。返還されるとすればロシアが国家として疲弊して、日本に売りつけるような場合だろう。さもなくば中ロ関係が極度に悪化して、日本に支援を求めるような情勢になった場合だろう。
 極東情勢を見つめた場合、中国は北朝鮮の戦略的価値が致命的に重要であることに気付いている。従って北が日本や米国に接近することをあらゆる手段を使って阻止するだろう。朝鮮労働党委員長金正恩は10日までの訪中で習近平と会談し、2回目の米朝首脳会談に向け、「国際社会が歓迎する成果を得るために努力する」と意欲を表明した。習はこれを評価し、後ろ盾として支援する姿勢を鮮明にした。対外強硬路線を取るトランプ米政権と対等に渡り合いたい中朝両国の思惑が一致したかたちだ。対米的に連携を誇示しているかのようである。
 しかし、米朝会談を行っても非核化での進展は困難だろう。昨年6月のシンガポール会談では、トランプが記者団に、「非核化のそのプロセスをすぐに始める」と述べたものだが、半年たっても何らの進展もない。北はトランプをまんまとだまして時間稼ぎをしたのであり、しびれを切らしたトランプが対話モードから対決モードへと切り替える可能性も否定出来ない。
 日本としてはこの米朝関係の展開を注視して、もし進展への流れが生じたら、タイミングを逃さずに日朝対話に踏み切る必要があろう。20年は米大統領選挙の年であり、再選を目指すトランプが外交攻勢に出る可能性がある。というのも内政では民主党が下院で多数を握っており、大きなことができないからだ。外交・通商での成果を狙う可能性が高いとみなければなるまい。その際、派手な展開ができるのは極東外交であり、動向から目を離せない。米CNNテレビは14日、米朝の協議に詳しい関係者の話として、トランプから朝鮮労働党委員長の金正恩にあてた書簡が先週末、ピョンヤンに届けられたと伝えた。トランプは今月初め、2回目の米朝首脳会談について「そう遠くない将来に設定する」と意欲を示している。さらにCNNは、北朝鮮の金正恩側近の金英哲副委員長が訪米して、2回目の米朝首脳会談の調整にあたる可能性があると報じた。何らかの展開が予想される。これに先立ち国務長官ポンペオは13日の米CBS番組のインタビューで、米朝再会談の時期について「いま私たちは詳細を詰めているところだ」と述べている。
 ◎俳談
【一炊の夢】
  近ごろ夢が楽しい。怖い夢ほど目覚めた後、何かただでロードショウを見たような気がして得した気分になる。昨夜は目の前に巨大なる宇宙物体があらわれ、ぼろぼろ崩れているのを見た。スケールの大きな空想科学映画を最前席で見ているような気分だった。
 「一炊の夢」は唐の盧生(ろせい)という青年が、身を立てようと楚(そ)へ向かう途中、邯鄲(かんたん)の地で道士に枕(まくら)を借りてひと眠りした。その夢で、栄華を尽くした一生を送るが、目覚めてみると、まだ炊きかけの粟飯(あわめし)もできあがっていない程の短い時間にすぎなかったという話だ。
恐ろしき昭和を見たり昼寝醒   朝日俳壇年間秀句
まさに一炊の夢で昭和を見た。いや、見たことにしたのが成功した。
人間年を取ると幻覚とは言わないが、連想ゲームのように様々な人間の有様が脳裏に描けるようになる。俳人にはこれが作句に利用できる。
山姥の出刃となりたる二日月 東京俳壇入選
これあたりはちょっとした空想で詠めるが
春昼の折り鶴崩れ初めたる  産経俳壇1席
ともなると、どこかおかしいと思われそうな幻覚である。折り鶴を見ていたら、突然それが崩れ始めるように思えた。それを素直に読んだだけである。精神に異常はきたしていない。
 十六夜の月に見入っていたら、突然天空から鬼の笑い声が聞こえるような気がした。
十六夜の天空からの高笑ひ  東京俳壇特選
 言っておくがまだ気が狂ってはいない。瞬間感じたものを一句に書きとどめる訓練を積めばこういう句が出来るのだ。昨年2月に死去した金子兜太だって
梅咲いて庭中に青鮫が来ている
などと詠んでいるが、まだ若い頃の作で、ぼけてなどいなかった。訓練すると幻視でも俳句になるということだ。