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国民投票をクリアする唯一の9条改正『 浅野試案 』

国民投票をクリアする唯一の9条改正『 浅野試案 』
安保政策研究会理事長 浅野勝人

戦い終えて日は暮れて、憲法改正をめぐる齟齬(そご)だけが残りました。
なんとも収穫の乏しい戦でした。
安倍3選首相としては、9条を改正する発議をしないわけにはまいらないでしょう。国会は数の力でパスしても、国民投票で敗れたら退陣するのが憲政の常道です。

現行9条、1項、2項を手づかずにして、新たに3項を設けて自衛隊を加憲する「安倍案」は、無難だが安逸に過ぎます。

☆自衛隊が違憲だと思っている人は、1割もいません。従って、自衛隊の存在を憲法に明記することに反対する世論は10%以下と推定されます。公明党の加憲方式を尊重して3項を追加する手法は、確かに妙案のひとつです。1項、2項を残して平和主義を貫き、その上で自衛隊の存在を明記するのですから、国民投票で圧倒的に支持されるはずです。ところが、なんとも予測困難で、際どい結果になりそうだというのが私の見立てです。

☆2項に「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」とあります。
これをそのままにして、3項で「自衛隊を明記」したら、自衛隊は戦力ではないという自己撞着を憲法で表明することになります。自衛隊は、核武装、他国を攻撃する足の長い兵器を所有していないだけで、アメリカ、ロシア、中国に伍して世界有数の戦力を保有している軍隊です。どのような詭弁を弄しても「陸海空軍は保持しない」と矛盾します。後項優位の原則を振りかざしても、整合性の説明はつきません。あなた、孫に何と言って取り繕いますか。お爺ちゃんの信用を失うだけです。

こんな幼稚な事柄を先刻承知の上で「3項、自衛隊、加憲」を提議したと国民は容易に判断します。悪くすると愚弄していると受け取られかねません。小学生でもわかる矛盾に目を瞑(つむ)って自衛隊の必要性を優先してくれるかどうか。これが過半数の支持に疑問を抱く私の素朴な疑念です。


『 浅野試案 』は、改正を機に、理屈をこねないで、あっさりと簡単明瞭に、この根幹的矛盾の解消を試みています。
第2章 戦争の放棄
1項 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2項 前項の目的を達するため、国の交戦権はこれを認めない。
但し、わが国の存立を危うくする明白な事態に対処するため、必要最小限度の戦力は保持する。

☆1項は現状のまま残して、平和主義の根幹を堅持する。
1項の担保として、ことさら2項の「国の交戦権は認めない」を残す。その上で、「国を防衛するための戦力は保持する」と述べて、自衛隊の存在、維持、継続を明記する。
☆「戦力不所持」を削除して、実存する自衛隊との整合性をはかる。
☆必要最小限度の戦力とは、存亡危急に面したわが国の領域を守るに足る戦力を指し、他国を攻撃する目的の戦力は含まない。
これは集団的自衛権を一部認めた安保法制と矛盾しない。

素直に、国情および現下の国際情勢に合致する、わかり易い表現と組み立てが望ましいと考えた試案です。

― 幼児のいがみ合い
「なにが善戦だ」「党員の45%が私に投票したことをどう考えるかだ」 これは麻生太郎財務相と石破茂候補のいがみ合いです。
勝負が決まっている八百長相撲を見る気がしないのと同じで、まるで興味の湧かない総裁選挙でした。相も変らぬ派閥の合従連合による談合試合だからです。
6つある派閥のうち、頭数の多い順に1位から5位まで組めば勝つに決まっています。自民党国会議員(有権者)402人のうち安倍晋三を支持する出陣式に出席した332人にカツカレーをふるまったところ、得票数は329票だったから、3人食い逃げしたヤツがいる勘定になります。3人漏れたとみるか、3人しか漏れなかったとみるか、派閥の締め付けは中選挙区時代より、むしろ厳しくなっているように私には映ります。そうだとしたら小選挙区制のせいでしょう。あとは地方票がどんな配分に割れるか、わずかに興味を残すだけでした。

こんな政治環境の中ですから、総数807票のうち250票取ったら石破の目標達成。200票に届かなかったら石破の政治生命は危ういと見ていました。下限の200票は、国会議員の票は50そこそこ、安倍批判の多い地方票が150前後と踏んだ最低ラインです。
結果は、国会議員票73(18%)、地方票181(45%)= 254票(31%)


石破は「ひとり旅の合格点に達した。よくやった」と慰労できますが、個人的評価はポスト安倍に待つしかありません。緊急な課題は地方票の結果を自民党がどのように受け止めるかが肝要です。
はっきり言えることは、自民党員でさえ真っ二つに割れている政治意識を引きずったまま、来年の参議院選挙を迎える現実を直視して、なににどう対応するが真剣に分析、対処する必要を感じます。
それでも、戦後政治史の中で野党不在の稀有な政治情勢が続く限り、安倍自民党は勝利します。しかし、32ある1人区で野党が1本にまとまって統一候補を立てたら、情況は一変します。野党勢力が「オリーブの木」に結集して勝利した例がイタリアにあります。
政府・自民党は今回の総裁選挙の教訓を生かす努力を 即刻 始めることが肝要です。いがみ合っている暇などありません。(元内閣官房副長官)