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考察 ― 憲法9条改正試案

考察 ― 憲法9条改正試案
安保政策研究会理事長 浅野勝人   

一般社団法人「安保政策研究会」を、アジア・太平洋地域の平和と繁栄を調査・分析するシンクタンクとして立ち上げたのは、平成23年6月2日のことです。ですから、7年が経過したことになり、この間、61回の研究会を重ねてまいりました。
研究会は、もっぱら自由闊達な討論を楽しむサロンとして運営され、なんらかのテーマについて見解を取りまとめてアピールするような 宣伝目的は持ち合わせておりません。
ただ、外交・安保政策を語り合っていますと、時に触れ、折に触れて、憲法9条と関連する言及が少なくありません。憲法9条は内外の政策と直接、間接に深く関わっていますから当然のことです。従って、そのあり様について議論することは極めて重要です。
自民党内の改憲論議もそれなりに進捗している模様なので、早晩、国会の舞台に登場することと思われます。
そこで、安保研としても「9条改正試案」をまとめてみたいと思い立ち、集中討議をしましたが、十人十色、まとまるどころか、バラバラでした。このテーマについてもメンバー各自の理念を尊重する安保研の良さが現れました。いつもの報告書(安保研リポート)通り、投稿をそのまま掲載いたしますので、楽しみに待ってください。


「9条改正―安保研理事長試案」

第2章 戦争の放棄

第9条1項 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
(現状のまま)

2項 前項の目的を達するため、国の交戦権はこれを認めない。
但し、わが国の存立を危うくする明白な事態に対処するため、必要最小限度の戦力は保持する。

<註>
☆平和主義の根幹は堅持する。そのため、後項優位の原則を踏まえて、2項に「国の交戦権は認めない」をことさら残す。
☆国家の存立を担保するため、必要最小限の戦力の保持(自衛隊)を明記する。
☆集団的自衛権の行使は、厳しく制限し、我が国領域の安全が脅かされる明白な緊急事態に限定する。従って、交戦権とは、他国への侵略等日本周辺以外への武力侵攻を意味する。
☆改正を機に「戦力不保持」を削除して、実存する自衛隊との整合性を担保する。
特に、憲法が実態を無視して、虚偽を表記していると児童、生徒に受け取られかねない表現を削除。―「陸海空軍、その他の戦力はこれを保持しない」といっても現実に保持している。義務教育で「自衛隊は戦力(軍隊)ではない」と詭弁を弄するのは好ましくない。
☆手直しは最小限に留め、自民党案のように理屈をこね回すのは感心しない。内閣総理大臣が自衛隊の最高指揮監督権を持つことは改めて憲法に書かなくても自衛隊法(第7条)で決まっている。妥当な憲法解釈と関連法案の補充で対応する方がいい。
☆素直に、国情および現下の国際情勢に合致する、わかり易い表現と組み立てが望ましい。

問題点:国民投票で否決された場合、自衛隊の存在をどのように
位置づけるか。集団的自衛権の行使を一部認めた安保法制をどう扱うかにつては、
☆憲法への明記が否定されるだけで、自衛隊は合憲と認めている現状を堅持する。従って、改正憲法が否決されても、法的存在に変わりはない。
☆現行安保法制該当部分は白紙とする。

以上(元内閣官房副長官、元NHK解説委員)