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◎空虚なる「反日」の遠吠えー文喜相発言

◎空虚なる「反日」の遠吠えー文喜相発言
  日韓友好を大きく毀損、冷却期間が必要
 隣国の病気が再発した。空虚なる「反日遠吠え病」である。それもこともあろうに韓国国会議長・文喜相(ムン・ヒサン)が、天皇を「戦争犯罪主犯の息子」と形容して謝罪するように要求したのだ。この度しがたい発言に、国会で首相・安倍晋三が強い怒りを表明したのも当然である。この発言は、戦後初代大統領・李承晩が歴史を歪曲して、国民の「恨み」を日本に向けさせることにしたのと同様に、「病的反日」としかいいようがない。加えて戦後日韓両国が営々として築き上げてきた友好関係を土台から覆すものであり、その政治的・経済的・文化的損失は計り知れないものがある。
 米ブルームバーグのインタビューでの文喜相は、慰安婦問題に関連して日本側の謝罪について「一言あればいい。日本を代表する首相、あるいは私としては近く退位する天皇が望ましいと考えている。」と述べたものだ。それも「戦争犯罪の主犯の息子が1度おばあさんの手を握って、『本当に申し訳なかった』と一言言えばすっかり解消する」
と謝罪を要求したのだ。文喜相はこの天皇陛下を「戦争犯罪の主犯の息子」と発言をした問題について「重要な地位にある指導者の心からの謝罪を強調する流れで出た表現」と説明した。まさに練りに練った“確信犯”的な発言である。
 訪問先の米ワシントンで11日、韓国メディアに語ったもので、文は「戦犯主犯の息子」という表現を「戦時の日本国王(天皇陛下)の息子という意味だ」と述べた。その上で、「日本の責任ある指導者が元慰安婦に納得できる誠意ある謝罪を行うことが優先されねばならない」として、「日本側は数十回謝罪したと言うが、そんなことはない」と強調したという。
 一連の発言は、韓国国会議長という三権の長によるものであり、公人中の公人の発言である。この無礼極まりない発言は、歴史的な無知と偏見にあふれている。そもそも文が指摘するように昭和天皇は「戦争犯罪の主犯」なのか。日本の戦犯が裁かれたのは極東国際軍事裁判だが、言うまでもなく昭和天皇が被告席に座った事実などない。文の発言内容は、甚だしく「無知」によるものであり、知性が全く感じられない。要するに度しがたいのである。
 そもそも日韓両国は、2015年の日韓合意で慰安婦問題は、「最終的かつ不可逆的」な解決で合意している。安倍はその際、お詫びと反省の気持ちを表明している。加えて同年12月28日にソウルの外交部で行われた外相岸田文雄と韓国の外交部長官尹炳世による外相会談後の共同記者発表で「日韓間の慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」と明確に表明しているのだ。おまけに、日韓請求権協定は,日本から韓国に対して,無償3億ドル,有償2億ドルの資金協力を約束、既に支払った。協定第2条では、請求権に関する問題は「完全かつ最終的に解決」されており,いかなる主張もすることはできないと定めており,これが日韓関係の基礎である。
 こうした表現は文喜相のような発言が繰り返されることを防ぐ意味合いがあった。しかし、案の定文喜相は臆面もなく無視し、知性が感じられない発言を繰り返した。文は「合意文書が数十あったところで、どうするのか。被害者の最後の許しがあるまで謝罪しろと言うことだ」「天皇陛下が謝れということだ」と感情的かつ支離滅裂な妄言を繰り返している。安倍が12日の衆議院予算委員会で「本当に驚いた。甚だしく不適切、極めて遺憾」と述べ、外務省を通じて厳重に抗議し、謝罪と撤回を要求した。これに対しても文は「なぜこのように大きな問題なるのか。さらに官房長官が出てきたと思ったら、安倍首相まで出てきた。到底理解することができない」と反発を繰り返している。
  こうした中で日韓議員連盟の会長を務める自民党の額賀福志郎が、13日午前、ソウルで韓国首相の李洛淵(イナギョン)と会談、文喜相の発言に懸念を表明すると共に、悪化している日韓関係の改善に向けて意見交換した。しかし、具体的な改善策は見いだせなかった。逆に李洛淵は日本側の言動を批判「日本の政治家や外交官が嫌韓の流れに迎合しようとして、信頼から外れた言動を繰り返している」と反発している。双方は、両国の世論が沈静化するのを待つ必要があり、6月に大阪で開かれる主要20カ国・地域首脳会議(G20)までの関係改善は難しいとの認識で一致したという。今後、両国の政治家は大衆受けの発言を慎み、冷却期間をおく必要があるのだろう。韓国内の世論も中央日報が「日本閣僚の攻撃的な謝罪要求は天皇を神聖視する日本世論を意識したためとみられるが、韓国国内の世論は『謝罪すべき側が謝罪を要求した』と反発し、両国関係はさらに冷え込む見込みだ。」と論評した。
 ◎俳談
【別離を詠む】
 「星はまたたく夜ふかく」で始まる「夜のプラットホーム」ほど哀しい別れの歌はあるまい。作詞はあまり知られていない奥野椰子夫だが、作曲は服部良一。戦時中の出征兵士を送る歌であり、淡谷のり子が吹き込んだが、再会が期待されない切迫感に満ちあふれてており、検閲で即発禁となった。確かに「君いつ帰る」などと歌われては、当時の軍部として戦意にかかわり、かなわない。東京駅のプラットホームで恋人を見送るこの歌は、3番で感情が最高潮に盛り上がる。
窓に残した あの言葉
泣かないで 泣かないで
瞼にやきつく さみしい笑顔
さよなら さよなら 君いつ帰る
 出征兵士の「さみしい笑顔」が泣かせる。戦後昭和22年に二葉あき子が歌って大ヒットしたのは言うまでもない。以来これを上回る別離の歌謡曲は出ていない。時代が作った歌謡曲の筆頭である。これにはかなわないが俳句でも別離は重要なテーマとなる。
ふり向けば母の手をふる大夕焼 杉の子
 母が夕焼を背景にシルエットになっている。我が別れの名場面である。
 幼い頃兄と訳あって離別した友人が「最後に水遊びをしたことを覚えている」と言ったので詠んだ。
兄弟のあれが別れや水遊び 朝日俳壇入選
 夜のプラットホーム型に詠めば
春宵の泣くなと言へばなほ泣いて 産経俳壇一席
 子供の草野球は夕焼小焼けで終わる。
大夕焼三角ベースの散り散りに 杉の子

       

◎対韓関係は、触らぬ神にたたりなし

◎対韓関係は、触らぬ神にたたりなし
反日・離米の文在寅は度しがたい
 日韓関係の急速な冷え込みと、米韓関係の悪化は全てが大統領文在寅の左傾化親北朝鮮路線に起因している。日本国民の嫌韓感情も高まる一方だ。かつて外相・大平正芳は対中関係について「日本は引っ越すわけにはいかない」と述べたものだが、対韓関係も隣が嫌だからといって引っ越してもらえないからやっかいだ。韓国は朴槿恵など反日大統領を排出する国で毎度のことだが、文在寅の日米離反路線は陰湿であり、一層手に負えない。今後のヤマ場は3月1日の反日独立運動記念日「三・一節」となりそうだ。
 一体文在寅は反日離米路線で何をしようとしているのか。目立つのは北の金正恩への大接近である。2018年4月27日の金正恩との板門店会談以来、文在寅の眼中には対日・対米外交など眼中にないかのようだ。板門店宣言の共同発表で文在寅は「朝鮮半島でこれ以上の戦争は起きない」と宣言し、過去の合意が守られなかったことを念頭に「我々は後戻りしない」と述べた。金正恩も「残念な歴史が繰り返されないようにする」と宣言した。南北が大接近するのは極東の平和にとって有意義である。
 しかし勢い余って文在寅は「反日」で支持率を獲得しようとしているかに見える。外交を活用して支持率を上げるのは、小国が陥りやすい極めて危険な選択肢であり、文在寅は臆面もなくこれを実施している。昨年12月の世論調査会社「リアル・メーター」の調査では、文の支持率は48・4%で前週よりも3・6ポイント低く、9週連続で下落。大統領就任以来、最低となった。「不支持」も就任後、最高の46・6%で、支持と不支持の割合が肉薄してきた。他国への批判で支持率を上げようとするのは一国の指導者としては邪道であるが、文在寅にはそれしか手段がないかのように見える。
 こうした中で昨年12月20日、能登半島沖で自衛隊のP1哨戒機が韓国軍の駆逐艦から火器管制レーダーを照射された。火器管制レーダーは、航空機や艦船がミサイルなどを発射するときに放射する電波だ。これを照射すると言うことはピストルの撃鉄を起こしたことに等しい。北朝鮮の漁船に接近しながらの行動だが、この過剰反応は、極めて不審だ。一体韓国の艦船は北の漁船と何をやっていたのであろうか。韓国艦船はこの現場を見られたくなかったか、何か隠したかったことは確かだ。だからこそ、レーダー照射して哨戒機を追い払ったと言う仮説が、信憑性を増してくる。 
 韓国の日刊紙ハンギョレは社説で、首相・安倍晋三が施政方針演説で韓国との関係に触れなかったことを問題視して、「最悪の韓日関係を『意図的放置』する無責任な安倍」と題する社説を掲載「韓日の軋轢が最近では日本哨戒機の低空威嚇飛行などの軍事分野にまで拡大している」と指摘「両国の関係を改善するよりも、現在の不和と対立をそのまま放置するという意図」と批判した。社説から見る限り韓国という国は新聞まで、触れれば怒り、触れなければ怒るという、度しがたさで成り立っているらしい。
 問題はこの対日関係の悪化が基本的には文在寅の「一人芝居」であることだ。もちろん、日本の戦前の行為について韓国内は、与野党、左派・右派、メディアが一致してときの声を上げてしまう国柄であり、日本政府は「また発病か」と無視するしかあるまい。「三・一節」が最大のヤマ場になると思うが、文在寅はあおりこそすれ沈静化には動くまい。
 6月28日及び29日には、G20サミット(金融・世界経済に関する首脳会合)が、大阪ではじめて開催されるが、おそらく文在寅も来日せざるを得まい。しかし、文在寅は安倍と会談するにしても、難問山積だ。安倍は施政方針演説で韓国との関係に言及しなかったが、韓国が大法院の徴用工判決、レーダー照射、慰安婦財団の解散問題とこのところ一段と反日に傾斜している現実に照らせば、当分触らぬ神にたたりなしの路線が正解だろう。やがて文在寅が苦しくなってすり寄ってくるのを待つのもよい。
◎俳談
【熊の胆】
月の輪のあらはに熊の担がるる 長谷川耿子
 熊が狩猟の対象となるのは何よりも貴重な熊の胆(い)があるからだ。熊の胆(くまのい)を横浜中華街の更生堂薬局に買いに行った。だいたい5年置きにもう30年近くここで買っている。熊の胃を携帯するようになったのは、我が愛する田中角栄が前日飲みすぎた朝など、耳かきに半分程度背広のポケットから出して舐めていたからだ。真似したのだ。筆者もキーフォルダーの薬入れに耳かき3杯ほど入れて持ち歩いている。飲みすぎたり食い過ぎたなと思ったら、爪のアカほどを舐めれば特効薬的な効き目がある。昔はどの家にも竹の皮で包んだ熊の胆が薬箱にあったものだ。
 ネットで調べると日本産の熊の胆は干し上がった姿で51.2gのものが、440,000円だ。薬局では4グラムで9800円だから、だいたい金の価格の半分だ。しかしその4グラムで5年は持つから安いものだ。
 熊胆(ゆうたん)は、古来より中国で用いられ、日本では飛鳥時代から利用されている。材料は、クマの胆嚢(たんのう)であり、乾燥させて作る。苦みが極めて強く、健胃効果や利胆作用など消化器系全般の薬として用いられる。熊狩りの名人は、胆汁を一滴もこぼさないように、熊の胆嚢を外して撃つ。成分のウルソデオキシコール酸は化学合成が可能となり、日本ではウルソ剤という名で田辺製薬などが販売している。しかし天然のものの方が利く気がする。
熊穴に入る下北を食べてより 杉の子

◎北方領土で衆参ダブル選挙は無理

◎北方領土で衆参ダブル選挙は無理
  プーチンに「返還」の力なく、交渉長期化へ
 ロシアの経済的疲弊がポイント
  さすがに怪僧ラスプーチンの国だ。ラスの字はつかないがプーチンも怪僧並みに狡猾だ。4島返還にこだわってきた日本が「2島+アルファ」に舵を切ったと見ると、プーチンはハードルを上げた。首相・安倍晋三はいいように操られている時ではない。立場の違いが際立った以上、ソ連にどさくさ紛れに占領された北方の小さな島々などで焦らない方がよい。またロシアとは親戚づきあいなどできないと肝に銘ずるべきだ。交渉の長期化は避けられない。
 安倍が、責任上あの手この手を考えるのは当然だが、25回も会談しても、会談したことだけに意義があるのではオリンピック精神と同じだ。プーチンは、安倍が「4島返還」から「2島」に変わったとみるや、歴史認識を持ち出した。歴史認識は文在寅のおはこで、もはや文在寅退任まで韓国と正常な対話は無理かと思いたくなるが、これに加えてプーチンまで歴史認識だ。戦後70年もたって、周辺国が歴史認識を取り上げるのは、誠実な日本が反省して痛がるからだ。これでは交渉の体をなしていない。従ってまともに応じる必要はない。安倍はプーチンと6月に大阪で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議で再会談するが、ロシア側が平和条約をめぐる溝を埋める動きに転換する可能性はない。覚悟を決めて腰を据えた交渉で対応するしかない。
 ロシアの基本認識は「第二次大戦の結果として北方領土がロシア領になったことを認めよ」(ラブロフ外相)だ。しかし、これは認識上の誤りであり、受け入れることは不可能だ。北方領土は、ずる賢いソ連が戦争直後のどさくさを絶好の機会とみて占領したのだ。日本が1945年8月にポツダム宣言を受諾して、無防備になったのをチャンスととらえて日ソ不可侵条約を無視して日本の領土を不法占拠したのだ。まるでラスプーチンのように陰謀の国なのだ。
 歴史認識を持ち出したことは、日本に交渉の主導権を握られないようにする「先手」でもある。ロシアが交渉の主導権を握るための材料なのだ。一方で領土で譲歩すればプーチンの立場が危うくなる。 ロシア人は広大な領土を持ちながら周辺地域をなんとしてでも入手しようという“欲深い”民族なのである。ロシアによるクリミア・セヴァストポリの編入がそれだ。国際的にウクライナの領土と見なされているクリミア自治共和国のセヴァストポリ特別市をロシア連邦の領土に加えた。1991年のソビエト連邦崩壊・ロシア連邦成立後、ロシアにとって本格的な領土拡大となった。2度目の領土簒奪が北方領土だが、ウクライナと異なり日本という“経済大国” が真っ向から異を唱えている。
 一方で領土で譲歩すればプーチンの国内的な立場は危機的になることを、プーチンは知りすぎるほど知っているのだ。そこに突破口を開くことを安倍は狙わざるをえないのだ。安倍は周辺に「大変なのは、島にロシアの自国民が住んでいることだ。プーチンには『私が決めたことだ』と国内を抑えて、一発でやってもらわないといけない」と戦略を漏らしているが、安倍もお人好しだ。わざわざ手の内を朝日に書かれてしまっている。たしかに唯一可能性があるとすれば領土でプーチンが独断で解決するシナリオだが、厳しいロシア政局で反対勢力を抑えて大統領になったプーチンがそんなに甘いかと言えば、逆だろう。安倍はプーチンとの関係を時々誇示するが、プーチンは個人的な関係と、現実の外交とはきっぱりと分けて考えている。
 従って安倍の訪露は、具体的な解決策を見いだせないまま終わった。領土交渉は一筋縄ではいかない現実を露呈した。沖縄の施政権返還ですら佐藤栄作は対米交渉で散々苦労したが、ましてや主権が伴う領土交渉である。唯一進展の可能性があるのはプーチンが独断で領土問題の解決を目指すケースだが、正直言って、プーチンはそれほど甘くはない。
 プーチンは『日本の要求に簡単には応じられない。平和条約の締結が先だ』と日ソ共同宣言に書いてある」と突っぱねている。日ソ共同宣言は、1956年に日本とソ連がモスクワで署名し、同年12月12日に発効した。内容は「日ソ両国は引き続き平和条約締結交渉を行い、条約締結後にソ連は日本へ歯舞群島と色丹島を引き渡す」とある。たしかに平和条約が「先」なのである。
 安倍はプーチンに足元を見られている気配が濃厚だ。北方領土前進で参院選を戦おうとしていると読まれたのだ。ラブロフに至っては北方領土の呼称にすら、異論を唱えている。しかし、今更北方領土が返ってこないからといって、安倍に不平を言う日本人はいない。ことは外交能力の問題でもない。かつてのロシアの歴史が証明しているように、国内政治が大きくつまずき、領土の切り売りが始まるのを待つしか方途は考えられない。したがって親戚付き合いを目指すような甘い顔は見せないことだ。もちろん2度目の会談をしても、夏の参院選挙を北方領土をテーマにすることなどは無理であり、ましてや北方領土で衆参同日選挙を行うことも、「無条件返還」などよほどのテーマが出ない限り困難だ。ここは成果を急ぐ必要はない。より一層のロシアの経済低迷が、変化を生じさせる時を期待し、粛々と正道を歩むべき時だ。
◎俳談
【象徴俳句】
 鉄の風鈴は何といっても姫路名産の明珍火箸に限る。鉄火箸の繊細な音色は心の奥まで響いてきて、夏の宵に趣を添える。昔高島屋で結構値段が張ったが20数年使っているから元は取れた。
風鈴を読んだ句は何といっても
黒金の秋の風鈴鳴りにけり
だ。飯田蛇笏の代表作であろう。このように達人ともなると物の存在を読んだだけで季節の姿を鮮明に表示できる。誰でもひしひしと秋を感じ、迫り来る冬を予感できる。象徴で季節を表現しているのだ。「風鈴は夏の季語だ」などと野暮なことは言わない。仕舞い忘れられた「秋の風鈴」だからこそ一句がなり立つのだ。
 暮の秋ルオーの顔のごとく行く 朝日俳壇入選
「ルオーの顔」と表現しただけで象徴俳句は完了だ。キリストも道化師も秋の暮れに物想いにふけるのだ。
冬麗の母のごとくにありしかな 産経俳壇入選
冬麗そのものを母の象徴と位置づけた。冬麗とは冬ながら春を思わせるうららかな日を言う。母は冬のうららかさを感ずる人であったと述べているのだ。象徴とは心の奥の思いを具体的な物や事象を通じて表現することだが、こればかりは多作多捨をして、辿り着く俳句の境地でもある。


◎波乱含みの今年の極東情勢

◎波乱含みの今年の極東情勢
 2回目の米朝会談が焦点
 今年の極東情勢を太筆書きで展望すれば、まさに波瀾万丈とも言える要素に満ちている。米国と中国の覇権争いは貿易摩擦からハイテク分野にまで拡大、冷戦に近い様相を示そうとしている。日本は好むと好まざるとにかかわらず米中双方をにらみながら立ち位置の決定を迫られる。逆に日本の立ち位置が、米中対立を激化させるか緩和させるかの要素となりうる情勢でもある。
 中国の経済力の拡大で世界情勢は歴史的な転換が始まろうとしている。中国はやがては米国経済に追いつき追い越すエネルギーを秘めており、かつての秦・漢・隋・唐・宋・元・明・清がその興隆期には世界帝国の様相を示したように、多かれ少なかれ極東のパワーとしての存在感を強めるだろう。中国のインターネット人口は、およそ8億人に達し、現在人口の57.7%が頻繁にインターネットを利用している。中国は事実上のネット王国と化しており、今後のIT世界での影響力は増大こそすれ、縮小しないだろう。
 米国が現在保持している圧倒的な覇権を脅かす要素は中国だけだろう。しかし日米同盟が強固である限り、中国のパワーは減殺されるだろう。トランプが昨年末以来指向している世界的な貿易戦争は深刻化する様相があり、日本としても対応が迫られる。日米貿易協定交渉について、トランプ政権は自動車分野で対米輸出の数量規制を要求する可能性が高いとの見方がある。米政府筋は「日本が数量規制に応じないなら、追加関税を発動する可能性も排除できない」とすごんでおり、油断はできない。
 日本としての対応策は規制の範囲を物品以上に広げないように、ヨーロッパと連携して対米交渉に臨むことだろう。ただ米国の貿易赤字の47%は対中貿易によるものであり、日本は9%にすぎない。中国の深刻さに比べれば、日本は安倍とトランプの会談に持ち込めば、政治決着がつく可能性が強い。大騒ぎしすぎて、不必要な波紋を巻き起こすことは避けなければなるまい。
 朝鮮半島情勢は韓国大統領文在寅の対北融和路線で変質してきており、米国の圧力も利かなくなりつつある。こればかりは一国の外交方針であり、干渉しようがない。そのうちにロマンティスト文在寅が描く夢が、現実の壁にぶつかるのを見守るしかあるまい。日韓関係の悪化は戦後繰り返してきたことであり、特異な現象ではない。相手が折れるのを待つのが歴史が証明する最良の方法だ。「半島民族は悪い」と言ったのは田中角栄だが、半島民族の複雑な感情は常に外交に反映される要因だろう。
 対露関係はラブロフが漏らした本音に尽きる。ロシアの本音とは4島返還どころか、2島も難しいという立場だ。もともと戦争で獲得した領土が返還された例など、世界的に希有なことであり、沖縄返還くらいしかない。対米関係だからこそ返還が可能になったのである。対ロシアでは、とても一筋縄ではいかない。返還されるとすればロシアが国家として疲弊して、日本に売りつけるような場合だろう。さもなくば中ロ関係が極度に悪化して、日本に支援を求めるような情勢になった場合だろう。
 極東情勢を見つめた場合、中国は北朝鮮の戦略的価値が致命的に重要であることに気付いている。従って北が日本や米国に接近することをあらゆる手段を使って阻止するだろう。朝鮮労働党委員長金正恩は10日までの訪中で習近平と会談し、2回目の米朝首脳会談に向け、「国際社会が歓迎する成果を得るために努力する」と意欲を表明した。習はこれを評価し、後ろ盾として支援する姿勢を鮮明にした。対外強硬路線を取るトランプ米政権と対等に渡り合いたい中朝両国の思惑が一致したかたちだ。対米的に連携を誇示しているかのようである。
 しかし、米朝会談を行っても非核化での進展は困難だろう。昨年6月のシンガポール会談では、トランプが記者団に、「非核化のそのプロセスをすぐに始める」と述べたものだが、半年たっても何らの進展もない。北はトランプをまんまとだまして時間稼ぎをしたのであり、しびれを切らしたトランプが対話モードから対決モードへと切り替える可能性も否定出来ない。
 日本としてはこの米朝関係の展開を注視して、もし進展への流れが生じたら、タイミングを逃さずに日朝対話に踏み切る必要があろう。20年は米大統領選挙の年であり、再選を目指すトランプが外交攻勢に出る可能性がある。というのも内政では民主党が下院で多数を握っており、大きなことができないからだ。外交・通商での成果を狙う可能性が高いとみなければなるまい。その際、派手な展開ができるのは極東外交であり、動向から目を離せない。米CNNテレビは14日、米朝の協議に詳しい関係者の話として、トランプから朝鮮労働党委員長の金正恩にあてた書簡が先週末、ピョンヤンに届けられたと伝えた。トランプは今月初め、2回目の米朝首脳会談について「そう遠くない将来に設定する」と意欲を示している。さらにCNNは、北朝鮮の金正恩側近の金英哲副委員長が訪米して、2回目の米朝首脳会談の調整にあたる可能性があると報じた。何らかの展開が予想される。これに先立ち国務長官ポンペオは13日の米CBS番組のインタビューで、米朝再会談の時期について「いま私たちは詳細を詰めているところだ」と述べている。
 ◎俳談
【一炊の夢】
  近ごろ夢が楽しい。怖い夢ほど目覚めた後、何かただでロードショウを見たような気がして得した気分になる。昨夜は目の前に巨大なる宇宙物体があらわれ、ぼろぼろ崩れているのを見た。スケールの大きな空想科学映画を最前席で見ているような気分だった。
 「一炊の夢」は唐の盧生(ろせい)という青年が、身を立てようと楚(そ)へ向かう途中、邯鄲(かんたん)の地で道士に枕(まくら)を借りてひと眠りした。その夢で、栄華を尽くした一生を送るが、目覚めてみると、まだ炊きかけの粟飯(あわめし)もできあがっていない程の短い時間にすぎなかったという話だ。
恐ろしき昭和を見たり昼寝醒   朝日俳壇年間秀句
まさに一炊の夢で昭和を見た。いや、見たことにしたのが成功した。
人間年を取ると幻覚とは言わないが、連想ゲームのように様々な人間の有様が脳裏に描けるようになる。俳人にはこれが作句に利用できる。
山姥の出刃となりたる二日月 東京俳壇入選
これあたりはちょっとした空想で詠めるが
春昼の折り鶴崩れ初めたる  産経俳壇1席
ともなると、どこかおかしいと思われそうな幻覚である。折り鶴を見ていたら、突然それが崩れ始めるように思えた。それを素直に読んだだけである。精神に異常はきたしていない。
 十六夜の月に見入っていたら、突然天空から鬼の笑い声が聞こえるような気がした。
十六夜の天空からの高笑ひ  東京俳壇特選
 言っておくがまだ気が狂ってはいない。瞬間感じたものを一句に書きとどめる訓練を積めばこういう句が出来るのだ。昨年2月に死去した金子兜太だって
梅咲いて庭中に青鮫が来ている
などと詠んでいるが、まだ若い頃の作で、ぼけてなどいなかった。訓練すると幻視でも俳句になるということだ。

2019-01-07

◎今年の政局は波瀾万丈
  解散説も出たり引っ込んだりの危険水域に
 亥年だからどうなるなどと言う馬鹿馬鹿しい話しは民放正月番組に
任せるとして、今年の政局を見通せば内外とも波乱要素に満ちている。首相・安倍晋三が目指す北方領土返還も憲法改正も、具体論に入れば国論は2分3分する。あえて火中の栗を拾い政権の根幹を揺るがす必要があるのかといえば、疑問だ。それよりも統一地方選、参院選をこなさなければならず、まさに正念場だ。野党はここを先途とたたみかける。場合によっては安倍が衆参同日選挙で斬り返す事態も予想される。政治決戦の年になることは間違いない。
 まず大局を見れば、近い将来国民が現自民党政権維持から野党政権への選択をする可能性はゼロだろう。なぜなら安倍自民党政権の6年は、日本繁栄の6年であり、失業率実質ゼロの状態維持は戦後の政権において存在しない。安倍にとっては赤壁の戦いではないが、天の利、地の利、時の利、人の利があったのであり、その余韻は残る任期3年にも多かれ少なかれ及ぶだろう。6年の実績を見て国民の大勢は、現状維持指向に向かうだろう。
 立憲民主党代表枝野幸男は「衆参同日選挙はあり得るとの前提で準備したい」との見通しを新年早々述べている。しかし安倍はよほどの好機と見なければやるまい。よほどの好機とは北方領土問題の大きな進展である。しかし、ずる賢いプーチンが4島を返して、米軍に有利になる極東情勢を認める可能生はゼロであり、せいぜい2島返還の可能性があるが、一部の期待のように4島への足がかりなどにはなりそうもない。2島で打ち切りというのが現実だろう。戦争で取られた領土が全て返ることなど世界史的にも希有なことであり、2島がせいぜいであろう。その2島の是非で総選挙をぶちかませれば、野党やマスコミのの絶好の攻撃材料となり、極右も何をするか分からない。現在の改憲勢力で3分の2の議席の維持などはまず不可能となるだろう。北方領土は光明が見えているようで、本筋は依然として無明の闇といってよい状況なのだ。従って対露外交の重要度はは2の次3の次でよい。
 ここで今年の重要日程をみれば、今月通常国会が招集され、下旬には日露首脳会談。4月には統一地方選挙があり、同月30日には天皇の退位がある。5月1日には新天皇が即位し、改元となる。6月28,29両日大阪で20か国・地域首脳会合(G20)が開催され、中国国家主席習近平が来日する予定だ。6月か7月には参院選挙、10月1日には消費税が10%に引き上げられる。
 今年の政局展望にとって最大のくせ者がその消費税引き上げだ。なぜなら消費税を引き上げた直後に解散・総選挙をすれば、確実に大敗する。従って総選挙は引き上げのかなり前か、国民の怒りが収まる2020年後半以降しかない。そもそも前回16年の参院選挙は、自民、公明、大阪維新で3分の2を上回った。今回の参院選で自民、公明、日本維新の改憲勢力は90議席弱。3分の2を維持するにはこの90弱をなんとしても死守しなければならない。前回が勝ちすぎているのであり、減少を避けるのは極めて難しいのだ。
 こうした事態を回避するためにささやかれているのが、夏の衆参ダブル選挙だ。一種の大ばくちだが、安倍は度胸があるからやりかねない。ダブルについて安倍は「私自身は全くの白紙だ。頭の片隅にもない」と完全否定している。しかし昔から解散と公定歩合に関しては首相の嘘が許されることになっている。元首相野田佳彦も「私も総理大臣になったときに大先輩たちから、解散と公定歩合はウソをついてもよいと、言われ続けた。そうはいっても、ウソをついてよいテーマが特定分野にだけあっていいとは思えなかった。だから、(2012年に)『近いうちに解散』と言った後は、葛藤した。今の安倍(晋三)総理がどう考えているかはわからないが、人それぞれだと思う」と述べている。
 やるかどうかは別として、今後安倍が「解散は考えていない」と発言したら、やる可能性があるのだなと疑った方がよい。首相が解散で嘘をついて良いのなら、メディアも解散時期については独断と当てずっぽうが許されることになる。もっとも昔民放記者で、ことあるごとに「解散だ~」と叫びまくっているのがいて「解散小僧」と命名されたことがあったが、解散判断には政治記者としての判断の蓄積と洞察力が不可欠であり、解散小僧だけはいただけない。しかし、夏以降は何があってもおかしくない“危険水域”に政局が突入すると心得た方がよいことは確かだ。
◎俳談
【口語俳句】
 言葉をそのまま俳句にすると面白い。口語俳句の良い例が子規の
毎年よ彼岸の入りに寒いのは
である。母親がしゃべった言葉をそのまま使ったのだ。如何に子規が年がら年中俳句のことを考えていたかが分かる。それでは拙者もというわけで
着膨れて支那そば食べに来たわいな 東京俳壇入選
 女性俳人の句にもちょくちょく見られる。櫂未知子の有名な
春は曙そろそろ帰ってくれないか
である。一夜をともにした男に、きっぱりと言い放った。そこには春の曙のけだるさなどはなく、自立した女の姿がある。昔、安保反対を戦った全学連の女にこんなのがいたが、男からみれば可愛くない。カマキリのメスが交尾の後、オスを食ってしまうような凄まじさを内包している。
 ところがこの句、どうも類想句であるような気がする。
飯島晴子に
葛の花来るなと言つたではないか
があるのだ。女が男に“命令”するトーンが同じ。口語俳句であるのも同じ。「来るな」と「帰れ」も似ている。真似したとは言わないが連想を飛躍させた感じが濃厚だ。しかし一句としての独立性は確立しているから、名句であることは間違いない。

『 恐怖の男 』(ボブ・ウッドワード著)は、守銭奴か、それとも勇者か?

『 恐怖の男 』(ボブ・ウッドワード著)は、守銭奴か、それとも勇者か?
安保政策研究会理事長  浅野勝人


待望の「 FEAR  TRUMP IN THE WHITE HOUSE 」の
翻訳本が出版されました。タイトルは「恐怖の男」。単行本532頁。
著者のボブ・ウッドワードは、「ウォーターゲイト事件」の調査報道でニクソン大統領を辞任に追いやった伝説の記者。現在ワシントン・ポスト副編集長です。
近頃、読書量(読書能力?)が落ちて、1冊読むのに従来の2倍時間がかかります。それでも、この著書に限って、わかりづらい箇所は遡(さかのぼ)って読み返しながら一気に読了しました。

事前に報道されたトランプ大統領の暴言と無知蒙昧ぶりを語る側近
の言動から暴露本と思い込んでいました。確かに大統領をめぐる赤裸々なやり取りは数え切れなくありますが、トランプ政治を事実に基づいて正確に評価しようとする“むき出しの”外交青書、防衛白書。経済・財政・通商白書を思わせる生々しいレポートと私は思いました。
著述は政策全般に及んでいますが、的を安保政策に限って目を通してみます。


「撤退する方法を考えなければならない。腐り果てている。アフガニスタンのやつらのために戦う甲斐はない」トランプ大統領のことばにマティス国防長官(人望厚い元海兵隊大将)はあきれて目を剥いた。
マクマスター安保担当大統領補佐官(陸軍中将)は、トランプ大統領に米軍のアフガン駐留の必要性を理解させるための会議を招集して、(2017/7月19日)目標を明らかにし、論点の大枠を説明した。トランプは退屈そうで、ろくに聞いていなかった。5分ほどたってから、急に口を挟んだ。
「アフガニスタンについてこうゆう馬鹿馬鹿しいことを17年聞かされてきたが、なんの実りもないじゃないか。同盟国は役に立たない。給料をもらうだけで戦わない幽霊兵士に金をむしり取られている。アメリカは年間13億ドルも出しているのに最悪だ。彼らはアメリカの金を使って遊んでいる。今後いっさい金は出さない」
軍最高幹部の将軍と上級顧問たちは25分間にわたって叱責された。
「アフガニスタンが闇の世界に戻り、第2の9 ・11事件が最初と同じ根幹から発生したと指摘されるような事態を招くことは放置できません」
マティスの説得に「われわれの本土や安全保障を護るために、あれをしろ、これをしろと金のかかる話を聞くのはうんざりした。あそこはめちゃくちゃだ。ぜんぶ嘘っぱちだ。機能する民主主義にはならない。完全に引き揚げた方がいい」とトランプが言った。
会議の後、「あの男はすごく知能が低い」ディラーソン(国務長官<日本の外務大臣> 2018/3月13日、解任)は、一同に聞こえるようにいった。大統領補佐官は、トランプと全面対決するしかないと悟った。(マクマスター、2018/3月22日 解任)

ジョン・ダウト大統領顧問弁護士は妻のキャロルに、「辞める」といった。トランプに電話して、辞めると告げた。(日頃、トランプが言っていることを言い返したかったが)それを面と向かっていうことはできなかった。“ あんたはクソったれの嘘つきだ ”(499頁)


2018/1月19日、マクマスターが、シチュエーション・ルームで国家安全保障会議を開いた。大統領と上層部 ― ディラーソン、マティス、ケリー(大統領首席補佐官)、ダンフォード大将(統合参謀本部議長)、ゲーリー・コーン国家経済会議委員長(2018/3月8日、辞任)― が韓国に関連する問題を話し合った。
トランプはすぐに要点を衝(つ)いた。「朝鮮半島に大軍を駐留させることで、われわれは何を得ているのか? 台湾を護ることでなにを得ているのか?」駐留費用と米軍部隊についての執念をまた持ち出した。
「アメリカは、アジア、中東、NATOで他国の防衛に金を注ぎ込んでいる。韓国がどうして友好国だといえるのか?」
マティスとダンフォードは、安定した民主主義を必要とする地域で、それが得られている。韓国は最強の防御拠点であり、利益はきわめて大きいと説明した。
特別アクセス・プログラム(SAP)の情報活動によって、アメリカは北朝鮮のミサイルの発射を7秒で探知できる。それが韓国にないと、アラスカの施設で探知できるのは発射から15分後になると改めて説いた。
マティスは、軍とインテリジェンスの能力を軽視されるのにうんざりして、「私たちは第3次世界大戦を防ぐために、こういったことをやっています」
落ち着いた声だったが、にべもない言い方だった。そこにいた何人もが、時間が止まったような心地を味わった。
トランプは、貿易赤字180億ドルと在韓米軍2万8,500人の駐留経費35億ドルの問題をけっして取り下げようとはしなかった。
「こんなバカげたことをしていなかったら、アメリカはもっと金持ちになれたはずだ。アメリカはいいカモになっている。集団防衛は、カモのいい例だ」
「国内インフラ向けに1兆ドル捻出することもできないのに、中東では、支出が7兆ドルにおよんでいる。だれかを護ることばかりに、私たちは金を払っている。ビジネスのことがまったくわかっていない。クソったれ揃いだ」
マティスには、NATOや中東の友好国や日本 ―ことに韓国― に、アメリカが喧嘩を仕掛ける理由が理解できなかった。
マティスは親しい補佐官に「大統領はまるで“小学校5、6年生のように振舞い、理解力もその程度しかない」と言った。


この時から11か月後、マティス国務長官は、今月20日(2018/12月)トランプ大統領に辞表を提出し、来年2月に退任することが決まりました。
辞任のきっかけは、トランプ大統領が、19日、シリアで過激派組織「イスラム国」と戦っている米軍2,000人の完全撤収を発表したことによります。同時にトランプ大統領は、アフガニスタン駐留米軍の半数にあたる7,000人を撤収するよう軍に指示したという報道もあって、ホワイトハウスと軍との方針が混迷しています。このためマティス長官は、同盟国の防衛や国際秩序を維持するアメリカの責任を強調して、最後の説得を試みましたが、入れられず、「抗議の辞任」をしました。12月は、ジョン・ケリー大統領首席補佐官(元海兵隊大将)の辞任に次いで2人目です。これで、マクマスター、ケリー、マティスと同盟重視・国際協調派の軍首脳はトランプ政権から姿を消しました。

「恐怖の男」を読み終えて、これではドナルド・ジョン・トランプを支持する人は一人もいなくなってしまうのではないかと思いました。
ところが、ベストセラーになった後のアメリカ、多くの人が「FEAR」を読んだ後のアメリカで、40%の人がトランプを支持しています。日本における安倍晋三と同じレベルの支持率です。
アメリカの人々は、歯に衣を着せない露骨な表現で、安保政策の転換をもとめ、移民の受け入れを拒否し、中国による知的財産の盗用をののしる大統領の政治姿勢に共感している人が少なくないからです。とりわけ、自由社会の平和と繁栄のために、自らの犠牲を顧みず、同盟国との友好関係を重視する国際協調を優先してきた歴代の大統領の政治にNOを突き付けるトランプの孤立主義、アメリカ第1主義に納得する人が少なくないからです。これまでの大統領は、エスブリシュメントに寄り添って内外の政策を決定、運営してきたと思い込んで反発し、庶民の味方と映るトランプに期待する人々。アメリカの人々は国際協調主義と孤立主義の狭間の中でどこへ向かう選択をするのでしょうか。
いったい、トランプは不動産王の守銭奴か、それともタブーに挑戦する勇者なのか。見極めに苦しむ私にあなたの存念を聞かせて下さい。(2018/12月23日、元内閣官房副長官)

『 恐怖の男 』(ボブ・ウッドワード著)は、守銭奴か、それとも勇者か?

『 恐怖の男 』(ボブ・ウッドワード著)は、守銭奴か、それとも勇者か?
安保政策研究会理事長  浅野勝人


待望の「 FEAR  TRUMP IN THE WHITE HOUSE 」の
翻訳本が出版されました。タイトルは「恐怖の男」。単行本532頁。
著者のボブ・ウッドワードは、「ウォーターゲイト事件」の調査報道でニクソン大統領を辞任に追いやった伝説の記者。現在ワシントン・ポスト副編集長です。
近頃、読書量(読書能力?)が落ちて、1冊読むのに従来の2倍時間がかかります。それでも、この著書に限って、わかりづらい箇所は遡(さかのぼ)って読み返しながら一気に読了しました。

事前に報道されたトランプ大統領の暴言と無知蒙昧ぶりを語る側近
の言動から暴露本と思い込んでいました。確かに大統領をめぐる赤裸々なやり取りは数え切れなくありますが、トランプ政治を事実に基づいて正確に評価しようとする“むき出しの”外交青書、防衛白書。経済・財政・通商白書を思わせる生々しいレポートと私は思いました。
著述は政策全般に及んでいますが、的を安保政策に限って目を通してみます。


「撤退する方法を考えなければならない。腐り果てている。アフガニスタンのやつらのために戦う甲斐はない」トランプ大統領のことばにマティス国防長官(人望厚い元海兵隊大将)はあきれて目を剥いた。
マクマスター安保担当大統領補佐官(陸軍中将)は、トランプ大統領に米軍のアフガン駐留の必要性を理解させるための会議を招集して、(2017/7月19日)目標を明らかにし、論点の大枠を説明した。トランプは退屈そうで、ろくに聞いていなかった。5分ほどたってから、急に口を挟んだ。
「アフガニスタンについてこうゆう馬鹿馬鹿しいことを17年聞かされてきたが、なんの実りもないじゃないか。同盟国は役に立たない。給料をもらうだけで戦わない幽霊兵士に金をむしり取られている。アメリカは年間13億ドルも出しているのに最悪だ。彼らはアメリカの金を使って遊んでいる。今後いっさい金は出さない」
軍最高幹部の将軍と上級顧問たちは25分間にわたって叱責された。
「アフガニスタンが闇の世界に戻り、第2の9 ・11事件が最初と同じ根幹から発生したと指摘されるような事態を招くことは放置できません」
マティスの説得に「われわれの本土や安全保障を護るために、あれをしろ、これをしろと金のかかる話を聞くのはうんざりした。あそこはめちゃくちゃだ。ぜんぶ嘘っぱちだ。機能する民主主義にはならない。完全に引き揚げた方がいい」とトランプが言った。
会議の後、「あの男はすごく知能が低い」ディラーソン(国務長官<日本の外務大臣> 2018/3月13日、解任)は、一同に聞こえるようにいった。大統領補佐官は、トランプと全面対決するしかないと悟った。(マクマスター、2018/3月22日 解任)

ジョン・ダウト大統領顧問弁護士は妻のキャロルに、「辞める」といった。トランプに電話して、辞めると告げた。(日頃、トランプが言っていることを言い返したかったが)それを面と向かっていうことはできなかった。“ あんたはクソったれの嘘つきだ ”(499頁)


2018/1月19日、マクマスターが、シチュエーション・ルームで国家安全保障会議を開いた。大統領と上層部 ― ディラーソン、マティス、ケリー(大統領首席補佐官)、ダンフォード大将(統合参謀本部議長)、ゲーリー・コーン国家経済会議委員長(2018/3月8日、辞任)― が韓国に関連する問題を話し合った。
トランプはすぐに要点を衝(つ)いた。「朝鮮半島に大軍を駐留させることで、われわれは何を得ているのか? 台湾を護ることでなにを得ているのか?」駐留費用と米軍部隊についての執念をまた持ち出した。
「アメリカは、アジア、中東、NATOで他国の防衛に金を注ぎ込んでいる。韓国がどうして友好国だといえるのか?」
マティスとダンフォードは、安定した民主主義を必要とする地域で、それが得られている。韓国は最強の防御拠点であり、利益はきわめて大きいと説明した。
特別アクセス・プログラム(SAP)の情報活動によって、アメリカは北朝鮮のミサイルの発射を7秒で探知できる。それが韓国にないと、アラスカの施設で探知できるのは発射から15分後になると改めて説いた。
マティスは、軍とインテリジェンスの能力を軽視されるのにうんざりして、「私たちは第3次世界大戦を防ぐために、こういったことをやっています」
落ち着いた声だったが、にべもない言い方だった。そこにいた何人もが、時間が止まったような心地を味わった。
トランプは、貿易赤字180億ドルと在韓米軍2万8,500人の駐留経費35億ドルの問題をけっして取り下げようとはしなかった。
「こんなバカげたことをしていなかったら、アメリカはもっと金持ちになれたはずだ。アメリカはいいカモになっている。集団防衛は、カモのいい例だ」
「国内インフラ向けに1兆ドル捻出することもできないのに、中東では、支出が7兆ドルにおよんでいる。だれかを護ることばかりに、私たちは金を払っている。ビジネスのことがまったくわかっていない。クソったれ揃いだ」
マティスには、NATOや中東の友好国や日本 ―ことに韓国― に、アメリカが喧嘩を仕掛ける理由が理解できなかった。
マティスは親しい補佐官に「大統領はまるで“小学校5、6年生のように振舞い、理解力もその程度しかない」と言った。


この時から11か月後、マティス国務長官は、今月20日(2018/12月)トランプ大統領に辞表を提出し、来年2月に退任することが決まりました。
辞任のきっかけは、トランプ大統領が、19日、シリアで過激派組織「イスラム国」と戦っている米軍2,000人の完全撤収を発表したことによります。同時にトランプ大統領は、アフガニスタン駐留米軍の半数にあたる7,000人を撤収するよう軍に指示したという報道もあって、ホワイトハウスと軍との方針が混迷しています。このためマティス長官は、同盟国の防衛や国際秩序を維持するアメリカの責任を強調して、最後の説得を試みましたが、入れられず、「抗議の辞任」をしました。12月は、ジョン・ケリー大統領首席補佐官(元海兵隊大将)の辞任に次いで2人目です。これで、マクマスター、ケリー、マティスと同盟重視・国際協調派の軍首脳はトランプ政権から姿を消しました。

「恐怖の男」を読み終えて、これではドナルド・ジョン・トランプを支持する人は一人もいなくなってしまうのではないかと思いました。
ところが、ベストセラーになった後のアメリカ、多くの人が「FEAR」を読んだ後のアメリカで、40%の人がトランプを支持しています。日本における安倍晋三と同じレベルの支持率です。
アメリカの人々は、歯に衣を着せない露骨な表現で、安保政策の転換をもとめ、移民の受け入れを拒否し、中国による知的財産の盗用をののしる大統領の政治姿勢に共感している人が少なくないからです。とりわけ、自由社会の平和と繁栄のために、自らの犠牲を顧みず、同盟国との友好関係を重視する国際協調を優先してきた歴代の大統領の政治にNOを突き付けるトランプの孤立主義、アメリカ第1主義に納得する人が少なくないからです。これまでの大統領は、エスブリシュメントに寄り添って内外の政策を決定、運営してきたと思い込んで反発し、庶民の味方と映るトランプに期待する人々。アメリカの人々は国際協調主義と孤立主義の狭間の中でどこへ向かう選択をするのでしょうか。
いったい、トランプは不動産王の守銭奴か、それともタブーに挑戦する勇者なのか。見極めに苦しむ私にあなたの存念を聞かせて下さい。(2018/12月23日、元内閣官房副長官)

◎トリプル選挙は危険な賭けー来年の政局

◎トリプル選挙は危険な賭けー来年の政局
   失敗すれば自民党に大打撃
  五里霧中の改憲成否
 来年の干支は己亥(つちのとい)で足元を固めて次の段階を目指す年だが、国内政局は首相・安倍晋三の推進する「憲法改正路線」をめぐって与野党が激突ムードを高めるだろう。しかし改憲に関する国内の論議はまだ定まるに至っていない。なぜなら改憲は戦後自民党が結党して以来の悲願だが、これまで「お題目」として唱えても、国民の間に現実論として定着していないからだ。よほどの説得力がない限り、改憲展望は五里霧中であり、失敗すれば自民党に大打撃となると言わざるを得まい。
 自民党は自衛隊の根拠規定の明記など改憲四項目については今国会の提出を断念したが、来年の通常国会には提示する方針であり、政府・与党がまなじりを決した対応ができるかどうかが成否を決める。  既に実態から見れば、現行憲法第9条2項の「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」などはいまや空文に等しい。なぜなら米軍事力評価機関の「Global Firepower」一つとっても、自衛隊を世界7位と位置づけており、いざというときの工業力を計算に入れれば、日本の潜在的軍事力がもっと高位に入るのは常識だからだ。もはや吉田茂の言う「戦力なき軍隊」の時代はとっくに終わり、野党が仏壇の奥からはたきをかけて、改憲反対論を持ち出しても、説得力に欠ける傾向を強めているのだ。
 安倍は「自衛隊が違憲かも知れないという議論が生まれる余地をなくすべきと考える」と発言しているのは、保守派政治家としてイロハのイを説いているにすぎない。そのための改憲について安倍は「2020年を新憲法が施行される年にしたい」 と言い切り、期限まで区切っている。
 憲法改正の手続きは、衆院は100人以上、参院は50人以上の賛成で改正原案を国会に提出して始まる。その後、衆参両院の憲法審査会で審査し、それぞれの本会議で総議員の3分の2以上の賛成を得れば、憲法改正を発議できる。発議後60~180日以内に国民投票を実施し、有効投票総数の過半数の賛成を得れば承認される。                自民党保守派が現在を改憲の絶好のチャンスと判断するのは、衆参で3分の2の改憲勢力を糾合し得ることから、来年の通常国会で改憲を発議し、参院選挙と同時に国民投票にかけるという戦術があり得るからだ。同党の一部には、参院だけの民意を問うのではなく、衆院の解散で衆院の民意も問うべきだという“スジ論”が存在しており、そうなれば「衆院選・参院選・改憲国民投票」という「トリプル選挙」の可能性が浮上しても不思議はない。
 過去1980年と86年に行われた衆参同時選挙は与党自民党に有利に作用している。衆参の候補が補完し合う傾向が生じたからだ。これに改憲が加わっても与党有利は変わらないという判断が自民党内には存在する。しかし、来年春は地方選挙が行われるが、地方議員らは自分の選挙が終われば、他人事の参院議員の選挙に身が入らない傾向が生じかねない。おまけに亥年の参院選挙は過去5回行われているが、なぜか自民党は1勝4敗で不利な戦いを強いられている。12年前の参院選に至っては過半数割れの惨敗をきっしている。民主党代表小沢一郎が、小泉政権下で自民党に見捨てられたと感じた地方層に訴える戦略を活用して07年の参議院選挙に勝利、参院の多数を握って「ねじれ国会」をもたらした。
 自民党改憲案は①自衛隊の根拠規定の明記②緊急事態対応条項③参院選の合区解消④教育の充実ーなどの項目となっており、保守層にとっては自衛隊の根拠規定は悲願とも言える。来年の政治日程を見れば1月に通常国会召集、改憲案の提示。4月に統一地方選挙、予算成立後は参院選に向けて対決ムードが高まる。5月1日に新天皇即位、6月28,29日大阪でG20首脳会合。6月か7月に参院選挙、10月1日に消費税引き上げーなどとなっている。
 このうち与野党対決必死の改憲案発議は、戦後まれに見る保革対決の核となり得るが、公明党が参院選前の発議に否定的なのは、「衆院議員の任期半ばでの衆参同日選挙をやる以上は、必ず勝つ選挙でなくてはならない」(党幹部)と言う現実政治上の判断があるからだ。
 確かに「同日選先にあり」の政局判断は無理筋の部分があり、負けた場合には政権を直撃する要素となり得る。 己亥(つちのとい)で足元を固めて次の段階を目指すこととは、ほど遠い結果になりかねない。安倍の任期はまだ3年弱あり、政治も経済も安定状態に入ったような状況が続いている。これと言った後継者も育っていないことから、場合によっては中曽根康弘のケースのように、総裁任期延長の可能性もないわけではあるまい。あえてトリプル選挙という危険な“賭け”に出る必要は、よほどのことがないかぎりあるまい。
【筆者より】今年はこれで打ち止めとします。来年は1月中旬より開始します。
◎俳談
【推敲(すいこう)】
 俳句は世界一短い詩である。従って言葉をどう選ぶかが生命線である。
詩文の字句や文章を十分に吟味して練りなおすことを推敲という。由来は、唐の詩人賈島(かとう)が、「僧は推(お)す月下の門」という自作の詩句について、「推す」を「敲(たた)く」とすべきかどうか思い迷ったすえ、唐中期を代表する文人・韓愈(かんゆ)に相談した。その結果、「敲」の字に改めたという故事からきている。たった一字で、生まれ変わったような文体になることが、その重要性を語っている。
 芭蕉もその一字に全生命をかけたといえる。
例えば
五月雨を集めて速し最上川
は、「集めて涼し」が原型であった。それを「速し」としたのはなぜか。一句の中で客観と主観が激突したのである。「涼し」ならば平凡なる客観的情景描写の短詩に過ぎないが、「速し」としたことで、主観が圧勝する。圧勝してなり立つのが蕉風俳句なのである。
荒海や佐渡に横たふ天の河
も「横たふ」が主観。
閑さや岩にしみ入る蝉の声
の「しみ入る」も徹底した主観だ。芭蕉が打ち立てた俳句の偉大性は、見たままでは俳句にならないと実践で教えているところにある。心を拒絶して物をアピールしても俳句にはならない。初心者ほど推敲を心がけ、「心」を一句に注入しなければならない。

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今朝のカワセミ。

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◎難問山積、激動の極東情勢

◎難問山積、激動の極東情勢
  「米中第二次冷戦」は長期化へ
 北方領土「五里霧中」、邪道の韓国
  今年もはや師走が目前となったが、日本を取り巻く環境は地殻変動を起こす前触れのような様相を見せている。まず大きな潮流を見れば米中関係の潮目が変わり、米中両超大国が「第二次冷戦」ともいうべき状況に突入した。日本は多かれ少なかれ影響を受ける。一見首相・安倍晋三との関係が良好に見えるロシア大統領プーチンは、核心の領土問題で一歩も譲らぬ姿勢をあらわにした。隣国韓国の大統領文在寅は、人気が落ちそうになると竹島・慰安婦で対日世論を煽る邪道路線だ。まさに「四面楚歌」のごとき様相だ。来年の干支は己亥(つちのとい)で足元を固めて次の段階を目指す年だが、次の展望は五里霧中と言わざるを得まい。
 米ソ冷戦に勝った米国は、トランプが「一国主義」を前面に打ち出し、「アメリカ・ファースト」で国を率いると宣言。この方向は一方の超大国中国を刺激し、習近平は「一帯一路」構想を合い言葉に、臆面もなく地球俯瞰型の勢力拡大に打って出た。中国の歴代皇帝がそうしたように、「皇帝」習近平は陸路と海路で西進を開始した。2017年10月19回の共産党大会で採択された党規約には、「共に話し合い、共に建設し、共に分かち合うという原則を遵守して『一帯一路』建設を推進する」と明記した。覇権主義が芬芬(ふんぷん)とにおう大方針である。9月30日には「航行の自由作戦」遂行中の米艦船に中国の艦艇が45メートルまで接近するという異常事態を現出させた。
 こうした動きをとらえて米副大統領ペンスは、2017年の国家安全保障戦略の「中国は米国の安全と繁栄を侵食することで我々のパワー、影響力に挑戦している」との立場を再確認。同時にペンスは「中国は米国の最先端技術を盗み、西太平洋地位域から米国を排除して、同盟国支援を妨げようとしている」と強く批判した。これらの発言は、明らかに敵対国同士の応酬段階のように見える。
  こうして米中対立は長期化する可能性が高い情勢となって来た。米政府はキッシンジャーの隠密外交で1971年から始まったニクソン政権による対中融和策から転じて、対決路線に大きく舵を切った。
 ここで注目されるのは目前に迫ったブエノスアイレスでの主要20か国首脳会議である。G20は11月30日から12月1日の2日間開かれるが、米中は水面下で首脳会談の下準備をしている模様だ。この米中首脳会談が決裂すれば米中対立は修復不能の状態となることが確実であり、両国とも薄氷を踏むような調整をしているに違いない。しかし、中国が一帯一路路線を転換する気配はなく、唯一の超大国として君臨してきた米国も、トランプがそう簡単には引き下がるとは思えない。大きな構造的な潮流は、米中冷戦の継続だろう。
 一方、安倍との個人的な関係を棚上げするかのようにプーチンは北方領土で強硬姿勢を貫く構えだ。ロシア国内でのプーチン人気を押し上げることになったのは、紛れもなくクリミア・セヴァストポリの編入である。ロシアの領土は世界の総陸地の11.5%を占め世界第一を誇るが、大地主が境界線に異常なこだわりを見せるのと同じで、国家も土地があるほど卑しく固執する傾向がある。おまけに極東安保上の戦略が絡む。これに対して安倍は4島のうち歯舞・色丹の2島先行返還でゆく方向に舵を切ったかのように見える。
 とろろがプーチンはここにきてちゃぶ台返しに出た。安倍との首脳会談でプーチンは、「日ソ共同宣言には日本に島を引き渡すと書かれているが、どの国の主権になるかは書かれていない」と言い出したのだ。まるで日本に引き渡しても主権はロシアにあるという、荒唐無稽な屁理屈である。これは事実上プーチンに返す意図がないことを物語っている。安倍がこれに対して何も言わなかったのは、「2島先行返還」でも、なんとか実現にこぎ着けたいとの思惑があるからだろう。「安倍さんは2島で腹をくくった」という説まである。
 しかし、情勢は2島といえども容易でない感じが濃厚だ。なぜならクリミア・セヴァストポリ編入で高まった人気で味を占めたプーチンが、自らの保身を考えたら、2島といえどもロシア人が3000人も住んでいる「領土」を返したら一挙に人気が瓦解すると思ってもおかしくないからだ。こうして北方領土問題は五里霧中となったのが実情だろう。安倍とプーチンは3年以内に平和条約を結ぶことで合意した。安倍の任期は2021年9月までだから任期中にと言うことだろう。安倍は「戦後70年以上残された課題を次の世代に先送りすることに終止符を打つという強い意志を完全に共有した」と発言したが、ここで期限を切っては、事実上歯舞・色丹2島にとどまり、残る国後・択捉2島は永久に棚上げとなる心配がある。
 一方竹島では韓国の国会議員が上陸した。上陸について、外相・河野太郎は、上陸にあたっては政府が関与している可能性もあるとして、韓国政府の責任も問いただす必要があるという考えを示した。韓国大統領文在寅は人気が落ちそうになると、竹島・慰安婦で日本の神経を逆なでして、国民を煽り、人気を取る癖があり、こんな大統領を相手にまともな会談などできるわけはない。安倍は当分「無視」 すべきだろう。ただ河野の言う「文在寅の責任」については、当然追及すべきことだろう。
 ◎俳談
【地名は難しい】
 初心者に限って一句に地名を入れたがるが、最初の内はやめた方がいい。地名には鑑賞者に独特の思いがあって、地名が入るとバッティングして俳句を損なってしまうケースが多い。芭蕉も「去来抄」で名所(地名)が季語に迫る力をもつという考えを述べている。「地名が一句にはいるとき、季語不要の場合がある」とも述べているのだ。一例を挙げると
歩行(かち)ならば杖つき坂を落馬かな
がある。杖衝坂は古事記にもある有名な四日市の地名だ。句意は、歩行なら杖を突いてのぼる杖つき坂だが馬に乗ったため落馬してしまったというのだ。芭蕉が言うようにこの句は無季である。杖つき坂という有名な地名を前面に出した挨拶句のような感じを出している。いずれにしても大した句ではない。地名を知る読者は、地名に感慨を覚えてしまって俳句の感慨が消えかねないのだ。
 しかしどうしても地名と季語を両方使いたくなるのが人情だ。これが見事に調和すれば問題ない。例えば鷹羽狩行は
端居より端居が見えて琉球村
と詠んでいるが、夏の季語端居をダブらせて使っている。のんびりした沖縄の田舎を表現して、違和感はない。
房総の卯波とどろき月上る 毎日俳壇一席
は房総でなければならない必然性があって成功した。房総という大きな景を読者にイメージしてもらう必要があるからだ。
春の空仰ぐ人あり銀座裏 毎日俳壇入選
 これも銀座の路地裏を詠んだが、住宅地の路地裏でなく、銀座であるからなり立つ句だ。しかし筆者も地名を入れて成功した例は少ない。芭蕉は奥の細道の旅の途中、平泉で
夏草や兵(つわもの)どもが夢の跡
を詠んでいるが、地名は入っていない。地名を入れなくてもこれだけの名句が出来るのだ。初心者は地名を入れない工夫をした方がいい。

諸行無常の鐘が鳴る ー 『 ゴーン 』その②

諸行無常の鐘が鳴る ー 『 ゴーン 』その②
安保政策研究会理事長 浅野勝人

安保研ネット、永田町竹割ネットに掲載した(2018/11月23日)日産ゴーン前会長に関する短評がすこぶる好評です。直感的寸評を書いたのですが、手前味噌で言わせていただくと頂門の一針だったのかなと悦に入っています。

次のようなコメントです。
秋、恒例―北京の名門大学3校の講義を終えて戻ったら、日がな一日、TVから「ゴーン」「ゴーン」と鐘の音が聞こえます。
何事かと思いきや、日産のゴーン会長が逮捕されたそうな!
急いで、自動車業界を半世紀ウォッチングしてきた老朋友に電話して「日産 よくやった。アッパレ!」と申しましたら「あいつは日本人を舐めている。思い知ったか!」と彼は言いました。
東京地検特捜部、久しぶりの金星です。
実際に受け取った報酬を80億円過少に申告したことを捜査の端緒にして、特別背任・業務上横領を徹底的に洗い出して、全額返済させる。応じなかったら実刑重罪。日産は、回収したお金を日本在住の株主に限定して配当金に当てたらいい。株価上昇、大ヒットになります。
ルノーは実力を蓄えた日産との連携を反故にされたくない。冷静な話し合いによって、対等且つ相互尊重のアライアンスをまとめるチャンスです。日産・ルノー双方の代表団による協議は、ゴーンがいない方が過去にとらわれず、将来に向けた建設的な結論を得やすいはずです。フランス国内の“引かれ者の小唄”は気にしない。気にしない!

以上のような短い一文ですが、今回は思いのほか反響がありました。
大勢の方々、特に知人、友人から感想が寄せられました。
表現は異なりますが、概ね一致した見解でした。
紹介させていただきたいコメントが少なくありませんでしたが、率直な思いを述べた中小企業の経営者(従業員30人そこそこの電気工事会社 社長)の胸の内を選ばせていただきました。

安保研ネットで、諸行無常の鐘が鳴る ― 『 ゴーン 』を読みました。
日産自動車ゴーン会長は、確かに凄腕と評価されていますが、中小企業の経営者の目から見て、尊敬すべきトップとは思いません。
従業員を何千人も解雇し、幾つも工場を閉鎖し、その結果、何兆円もの借金を短い期間に返済し、破産しかけた会社を立て直したのは事実です。しかし、私は解雇された人達の人生、工場の閉鎖に伴う関連協力企業の難儀、関連した周囲の人たちの辛苦を思えば、ゴーン氏の人間性を疑います。
極端な例かもしれませんが、私でも何千人も解雇し、業績の良くない工場を閉鎖すれば、簡単に立て直しが出来ます。外国人だから、日本人の経営者には出来なかった血も涙もない手法を平然とやり遂げたのではないでしょうか。日本人従業員を物品扱いしている。
ネットの中に「あいつは日本人を舐めている。思い知ったか」と言った専門家の言葉がありましたが、その通りです。倒産寸前の日産を立て直した優れた経営者なら、思い入れのある会社を食い物にすることなど出来るはずがありません。誠実な人なら「実るほど頭を下れる稲穂かな」です。                        

私は、従業員、社員は会社の宝と肝に銘じて、苦楽を共にしてまいりました。ゴーンを反面教師に、あと少しの人生を大切に生きてゆきたいと思います。(愛知県豊橋市、電気工事会社社長、76才)

諸行無常の鐘が鳴る - 『 ゴーン 』

諸行無常の鐘が鳴る - 『 ゴーン 』
(社)安保政策研究会理事長 浅野勝人

秋、恒例―北京の名門大学3校の講義を終えて戻ったら、日がな一日、TVから「ゴーン」「ゴーン」と鐘の音が聞こえます。
何事かと思いきや、日産のゴーン会長が逮捕されたそうな!
急いで、自動車業界を半世紀ウォッチングしてきた老朋友に電話して「日産 よくやった。アッパレ!」と申しましたら「あいつは日本人をバカにしていた。思い知ったか!」と彼は言いました。
東京地検特捜部、久しぶりの金星です。
実際に受け取った報酬を80億円過少に申告したことを捜査の端緒にして、特別背任・業務上横領を徹底的に洗い出して、全額返済させる。応じなかったら実刑重罪。日産は、回収したお金を日本在住の株主に限定して配当金に当てたらいい。株価上昇、大ヒットになります。
ルノーは実力を蓄えた日産との連携を反故にされたくない。冷静な話し合いによって、対等且つ相互尊重のアライアンスをまとめるチャンスです。日産・ルノー双方の代表団による協議は、ゴーンがいない方が過去にとらわれず、将来に向けた建設的な結論を得やすいはずです。

中国での講義は、いつもの北京外国語大学(東京外語大に相当)、首都師範大学(筑波大に当たる)、ことしは外交官を養成する大学、「外交学院」から初めて招かれました。外交学院は、周恩来総理の肝入りで創設された大学で、初代学長は、周恩来の右腕だった陳毅でした。正門の「外交学院」の文字は、自らの署名を添えた周恩来の直筆です。正面玄関には陳毅の銅像があります。外相というよりは人民解放軍創設者のひとり、誉れ高き武人の佇(たたず)まいでした。
どの大学も生徒は日本語学科の学部4年生と大学院生。外大と外院のテーマは「朝鮮半島非核化と日中の役割」 師範大は「日中協調の課題―環境と人口問題」です。3大学とも通訳無しでOK。驚きです。

トランプ大統領の批判をすると、喜ばない人はいないというのが今の中国だと私は感じていました。教養あるインテリ経済人と話していた折、話題がことトランプに及んだ途端「あいつは気違いだ」とわめきました。出口の見えない米中貿易戦争のあおりだと思います。
今回の大学の講義で、事実に基づいてドランプ大統領の政治姿勢、政策、思想信条、人物像について分析した後、「ドナルド・トランプは、世論を煽(あお)るデマゴーグの天才に過ぎない、現実主義者の不動産王なのか。歴代の大統領が誰もなしえなかったタブーに次々と挑む勇気ある指導者なのか。どちらだと思いますか」と10人の学生に質してみました。一人くらいは、へそ曲がりがいて「勇気ある指導者」と答えるかもしれないと予測していました。
結果は、不動産王6人、勇気ある指導者4人でした。
他に挙手をして、「両方兼ね備えているのでわからない」と答えた学生がいました。
若者の冷静且つ間口の広い判断に、私は予想をひっ繰り返されて一瞬言葉を失いました。
そして中国の未来は明るいと思いました。

それなのに、帰りの空港の通関のせいで、今回も「中国へ行く気が失せた」と失望させられました。
自宅へ帰ってトランクを開けたら、携帯電話の蓄電池が無くなっていました。没収したという用紙が入っていました。縦横4センチ、高さ2センチの10年以上も前の物で、没収しても役には立たない代物です。もちろん危険性は皆無。何のための没収か理解に苦しみます。もうひとつ、航空運賃は、区間ごと、クラスごとに定額料金を決めるべきです。国交省航空局に航空会社を指導するよう要請します。
今回、ANA・全日空、羽田~北京往復料金、18万6730円。これまで数十回の経験によれば、これはビジネスクラスの料金です。だから私はビジネスクラスのつもり。ところが行きも帰りもぎゅうぎゅう詰めのエコノミー。エコノミーなら往復8万円位が相場です。ANAに酷いと苦情言ったら、料金は便ごとに乗客の混み具合によって決まる、その時、その時の相場だから仕方ないという。
これチョットぼったくり!
(2018/11月24日、元内閣官房副長官)

◎危うい歯舞、色丹の「2島先行返還論」

◎危うい歯舞、色丹の「2島先行返還論」
  プーチンは国後、択捉の現状固定狙う
 日露首脳会談の焦点は言うまでもなく、北方領土問題であったが、首相・安倍晋三の成果を急ぐ姿勢が目立ち、プーチンに「技あり」を取られかねない側面が生じた。なぜかと言えば日本が「四島返還」より「歯舞、色丹の2島先行」に傾斜したと受け取れるからだ。安倍は56年の日ソ共同宣言の「日ソ両国は引き続き平和条約締結交渉を行い、条約締結後にソ連は日本へ歯舞群島と色丹島を引き渡す」に回帰して、とりあえずは二島返還で平和条約交渉を先行させる構えを垣間見せている。しかし、したたかなプーチンが先行返還と言っても他の2島を返還する可能性はゼロに近いと見るべきだろう。
 問題は、56年共同宣言に盛られた北方領土は「歯舞群島と色丹島」だけであり、国後、択捉への言及がないことだ。ロシアの「二島での食い逃げ」は当然予想できることである。にもかかわらず2党返還で平和条約を締結することになれば、ロシア側は日本の譲歩と国内的に喧伝する意図がありありだからだ。なぜならプーチンはかねてから「国後、択捉は議論の対象にならない」と主張してきており、それが実現したと受けとれるからだ。
  あきれたことにプーチンは、歯舞群島と色丹島についても「日本に引き渡された後の2島に日露どちらの主権が及ぶかは共同宣言に書かれていない。今後の交渉次第だ」と、引き渡した後もロシアの主権が及ぶという姿勢を貫こうとしている。したたかにも交渉のハードルを上げてロシアの主権を主張する意図がありありだ。クリミア併合で国内の評価が急上昇した“甘い汁”を北方領土でもう一度という魂胆が垣間見える。プーチンは国際的にウクライナの領土と見なされていたクリミア自治共和国、セヴァストポリ特別市をロシア連邦の領土に加えることに成功した。1991年にソビエト連邦が崩壊し、ロシア連邦が成立した後、ロシアにとって本格的な領土拡大となった。北方領土で譲歩すればクリミアで得た国民の評価を、一挙に灰燼に帰することになるのが構図だ。
 さらに重要なのはロシアには北方領土を日本に渡せば、米軍が常駐しないまでも、一朝有事の際は島々が米軍の不沈空母となりかねないと言う危惧がある。地政学的には極東における日米の安全保障上の立場を強化することになる。当然予想される事態だ。
  最近の対露交渉で懸念されるのは、プーチンの「食い逃げ」である。プーチンの狙いは、日本の経済協力であり、その発言から見る限り領土問題での譲歩は、そぶりすら見せていない。日本側には通算22回も会談するのだから「めどくらい立つだろう」との期待が強いが、表だって目立つのはプーチンのしたたかさだ。安倍の会談の目的は領土問題だが、プーチンには会談すること自体を重視しているかに見える。
 加えて、プーチンは10月に公的な会合で「日露間に領土問題は存在していない」と言明、交渉姿勢を分析すれば「ゼロ回答」ばかりが透けて見える。今後安倍は、月末のブエノスアイレスでの主要20か国首脳会議でも首脳会談を行うし、来年には早い時期に訪露する方針である。
 ロシア経済は原油価格の低迷によって2015年、16年と2年連続で景気後退に陥ったものの、価格の持ち直しで2017年の同国の実質国内総生産が前年比で1.5%増え3年ぶりのプラス成長を達成。2018年も2年連続のプラス成長が見込まれている。したたかなプーチンは堅調なロシア経済を背景に強気の外交姿勢を維持するものとみられ、突き崩すのは容易ではあるまい。安倍としては、来年夏には参院選があり、急進展があれば別だが、対露外交はよほどの進展がない限り選挙のプラス材料にはなりにくいのが実情だ。
 ◎俳談
【口語俳句】
 言葉をそのまま俳句にすると面白い。口語俳句の良い例が子規の
毎年よ彼岸の入りに寒いのは
である。母親がしゃべった言葉をそのまま使ったのだ。如何に子規が年がら年中俳句のことを考えていたかが分かる。それでは拙者もというわけで
着膨れて支那そば食べに来たわいな 東京俳壇入選
 女性俳人の句にもちょくちょく見られる。櫂未知子の有名な
春は曙そろそろ帰ってくれないか
である。一夜をともにした男に、きっぱりと言い放った。そこには春の曙のけだるさなどはなく、自立した女の姿がある。昔、安保反対を戦った全学連の女にこんなのがいたが、男からみれば可愛くない。カマキリのメスが交尾の後、オスを食ってしまうような凄まじさを内包している。
 飯島晴子に
葛の花来るなと言つたではないか
がある。女が男に“命令”するトーンは櫂と同じ。口語俳句であるのも同じ。「来るな」と「帰れ」も似ている。真似したとは言わないが連想を飛躍させた感じが濃厚だ。しかし一句としての独立性は確立しているから、名句であることは間違いない。

2018-11-14

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◎トランプが直面する「決められない政治」


◎トランプが直面する「決められない政治」
   下院舞台に攻防段階へ突入
  唯我独尊政治が極東外交にも影
   中間選挙の結果米国は、民主党が下院を奪還し、多数党が上院は共和党、下院は民主党という「ねじれ議会」となった。この大統領と下院の多数派が異なる政治状態は、戦後の議会ではレーガン政権、ブッシュ政権、オバマ政権で生じている。とりわけオバマ政権の二期目は、「決められない政治」で有名だが、トランプも多かれ少なかれ「決められない」状況に落ち込むだろう。2年後の大統領選は、奇跡の逆転でトランプ再選がないとは言えないが、その可能性は低い。勢いづいた民主党が反トランプの攻勢をかけることは必定であり、大統領弾劾の事態もあり得ないことではない。米国の政治は流動化の傾向を強くする。
  民主党にとっては8年ぶりの下院奪還であり、ねじれを利用してトランプ政権への攻勢を強め、大統領の弾劾訴追も視野に入れるとみられる。そのための圧力は、法案の成立数となって現れるだろう。米議会における法案成立数は毎年通常400~500本で推移しているが、議会がねじれた政権ではその数が著しく減少する。レーガンの成立率は6%、ブッシュ4%、オバマ2%といった具合だ。
 法案は通常、上下両院でそれぞれ同時期に審議され、内容が一本化されて成立の運びとなる。民主党は今後ポイントとなる重要法案の成立を阻むものとみられ、トランプは議会対策で苦境に陥る公算が強い。とりわけ下院が主戦場となる。民主党の狙いは言うまでもなく2年後の大統領選挙でトランプを引きずり下ろすことにある。2年間でトランプをボロボロにして、再起不能にしようというのだ。
 民主党はトランプの弱点を突く戦術を展開するものとみられる。弱点は山ほどある。外交では北朝鮮の金正恩やロシアのプーチンとの親密ぶりばかりを露骨に誇示して、同盟国である日本やカナダをないがしろにして、高関税をちらつかせる。内政では元女優との不倫に口止め料を支払ったのが露呈したかとおもうと、女性やマイノリティに対する侮辱的な発言。議会が指摘する「嘘つき政治」は日常茶飯事である。よくこれで大統領職が務まると思えるほどの問題ばかりが山積している。他国に対する制裁関税も、製造業が大不況で息も絶え絶えのラストベルト地帯にこびを売るものにほかならない。トランプは国全体を見る視野より、自分への支持層だけを大切にしているかに見える。「我々はグローバリズムを拒絶し、愛国主義に基づき行動する」という発言は、国際協調路線とは決別しているかに見える。現実に環太平洋経済連携協定(TPP)や、地球温暖化対策の「パリ協定」からの離脱表明は、釈迦も驚く唯我独尊ぶりだ。
 この結果米国民に分断傾向が生じている。国内に医療制度や移民問題をめぐって対立が生じているのだ。もともと共和党支持層は地方の有権者や白人が多く、民主党は若者や、有色人種、女性が支持する傾向が強い。本来なら複雑な社会形態を統合するのが米大統領の重要な役割だが、トランプは分断が自らを利すると考えているかに見える。よくこれで大統領が務まると思えるが、米国政治の懐は深く、弾劾などはよほどのことがない限り実現しそうもないのが実態だ。米国では大統領と議会の多数派が異なることを分割政府(divided government)と言う。米国の政治制度の特質は、大統領と議会の多数派が異なる分割政府の常態化を前提として政治運営や立法活動が複雑な駆け引きの下に行われる。大統領が利害調整を行はざるを得ない場面が過去の政権でも見られた。その傾向が常態化するのであろう。さすがに心配なのかトランプはさっそく「ねじれ」状態を踏まえ、「いまこそお互いが一緒にやるときだ」と述べ、民主党に連携を呼びかけたが、ことは容易には進むまい。。
 トランプの政治姿勢が続く限り、西欧や日本などの同盟国の国民は心理的な離反傾向を強めかねない。そうすれば喜ぶのはプーチンや習近平だけであろう。トランプの対中対立路線が原因となる米中離反は、中国による対日接近姿勢を強めており、国家主席習近平の来年の訪日など今後交流が強まる傾向にある。トランプの唯我独尊政治は、単に米国内にとどまらず、極東外交にも大きな影を落としているのだ。しかし大統領が誰であれ、日米関係は重要であり、同盟関係を堅持し、通商関係の維持向上を図るべきであることは言うまでもない。
 ◎俳談
【推敲(すいこう)】
 俳句は世界一短い詩である。従って言葉をどう選ぶかが生命線である。
詩文の字句や文章を十分に吟味して練りなおすことを推敲という。由来は、唐の詩人賈島(かとう)が、「僧は推(お)す月下の門」という自作の詩句について、「推す」を「敲(たた)く」とすべきかどうか思い迷ったすえ、唐中期を代表する文人・韓愈(かんゆ)に相談した。その結果、「敲」の字に改めたという故事からきている。たった一字で、生まれ変わったような詩になることが、その重要性を語っている。
 芭蕉もその一字に全生命をかけたといえる。
例えば
五月雨を集めて速し最上川
は、「集めて涼し」が原型であった。それを「速し」としたのはなぜか。一句の中で客観と主観が激突したのである。「涼し」ならば平凡なる客観的情景描写の短詩に過ぎないが、「速し」としたことで、主観が圧勝する。圧勝してなり立つのが蕉風俳句なのである。
荒海や佐渡に横たふ天の河
も「横たふ」が主観。
閑さや岩にしみ入る蝉の声
の「しみ入る」も徹底した主観だ。芭蕉が打ち立てた俳句の偉大性は、見たままでは俳句にならないと実践で教えているところにある。心を拒絶して物をアピールしても俳句にはならない。初心者ほど推敲を心がけ、「心」を一句に注入しなければならない。

◎中国の対日大接近は「強国路線」の一環

◎中国の対日大接近は「強国路線」の一環
 米中は「新冷戦時代」突入
  日本は“ラジエーター役”も
 単なる貿易戦争と言うより米中二大超大国の覇権争いが始まったとみるべきだろう。中国は米国との冷戦状態に入ったが、日本とは関係改善に動くなど二股柔軟路線だ。加えて今年は日中平和友好条約締結40周年の節目の年であり、首相・安倍晋三訪中の極東安定に果たした役割は大きい。背景には米中貿易戦争が、中国の態度に変化を促したことがあるのは確かだろう。中国が日本との関係を強化しようとするのはパワーバランス上の狙いがあるからであり、喜んでばかりはいられない。日本は米中のはざまで、ただでさえ流動化している極東情勢が波乱の激動期に突入しないようラジエーター役を好むと好まざるとにかかわらず求められるからだ。
 日中関係は安倍訪中により戦後まれに見る良好な関係へと入りつつある。安倍との会談で習近平は「この歴史的なチャンスをつかみ中日関係発展の歴史的な指針とすべきだ」と強調した。さらに加えて習は「日本訪問を真剣に検討する」と来年の訪日を確約した。過去には日本など眼中にないとばかりに、安倍と会っても何かくさい臭いでも嗅いだかのような表情をしていたが、こういった態度をがらりと変えたのだ。これに先立ち下準備のために来日した首相李克強も関係改善の必要を説いており、中国の対日大接近は習政権挙げての大方針として固まっていたことが明白だ。首脳会談で安倍が「競争から協調へ、日中関係を新たな時代へと導いて行きたい」と応じたのは、まさに日中蜜月時代の到来を予測させるものであった。
 世界も安倍訪中を固唾をのんで見守っており、仏の国営ラジオ放送局RFI(ラジオ・フランス・アンテルナショナル)は27日、中国語版サイトで、日中関係について「米中の関係悪化により日中は対抗状態から抜け出す」とする記事を掲載した。記事は、「米国と中国との間の貿易戦争が、世界の『長男』である米国と『次男』中国との関係を全面的に悪化させた。一方で『次男』の中国と『三男』の日本が手を差し伸べ合うことを促し、日中関係を7年間に及ぶ低迷期から抜け出させた」と明快に分析している。
 日中関係は1972年の国交正常化で極めて良好な関係に入ったが、以来、絶えず起伏があった。とりわけ、2012年から13年にかけては、尖閣問題や歴史問題で最悪の状態にまで冷え込んだ。安倍は今回経済界リーダー500人を率いて訪中し、500件を超える協定に署名し、「その価値は計26億ドル(約2900億円)に達する」とした。
  中国の態度激変の背景には、米中貿易戦争のエスカレートがある。貿易戦争の結果経済は悪化しており、安全保障の分野にまで対立の構図ができつつあり、長期化する様相を見せている。筆者がかねてから指摘しているように中国と米国は、「新冷戦時代」に突入しているのだ。こうした背景を見れば対日接近が、経済的利益につながると同時に対米牽制の狙いがあることは明白であろう。日米関係にくさびを打ち込もうという狙いが透けて見えるのだ。
 この超大国の覇権争いに多かれ少なかれ日本は巻き込まれるだろう。地政学上から言っても、それが宿命だ。だが、日米同盟の絆はいささかも揺るがしてはならない。中国ばかりでなくロシアのプーチンまでが喜ぶことになりかねないからでもある。米中貿易戦争は始まったばかりであり、米国は矛先を緩める状態にはない。
 対中関係を過剰に緊密化すれば、良好なる安倍・トランプ関係にも影響が生じかねない要素である。その線上で、日米関係が悪化すれば習近平の思うつぼにはまることになる。安倍は日米同盟関係を維持しながら、対中関係改善で経済的利益を最大化するという、サーカスでの“空中ブランコ”を演じなければならないのである。時には習近平の「強国強軍路線」という「新覇権主義」に手を広げて「まった」をかける必要も出てこよう。国連の場などを通じて世界世論に働きかける手段なども必要となろう。
◎俳談
【歌謡曲俳句】
 俳句が出来ないなどと首をひねっていないで、歌謡曲を聴くことだ。例えば五木ひろしの「浜昼顔」。寺山修司作詞、古賀政男作曲とくれば感情の宝庫のような歌だ。
1 家のない子のする恋はたとえば背戸(せと)の赤とんぼ ねぐらさがせば陽が沈む 泣きたくないか日ぐれ径(みち)日ぐれ径
2 たった一度の恋なのと泣いてた君は人の妻 ぼくは空行くちぎれ雲ここはさい涯(は)て北の町北の町 
3 ひとり旅立つ思い出に旅行鞄(かばん)につめてきた 浜昼顔よいつまでも枯れるなぼくの愛の花愛の花
とくれば涙腺は刺激され、感情が高まり俳句はいくらでも湧いて出る。俳句を作る感情中枢を歌謡曲が見事に刺激するのだ。
まず、歌を大きくとらえて
浜昼顔身の振り方を如何にせむ 産経俳壇入選
と作る。
つぎに歌は日暮の哀感を歌って秀逸だ。浜昼顔と夕日が響き合う。
浜昼顔泣きたくなれば日暮れ道    杉の子
そして旅の果てには浜昼顔があるのだ。
旅果つる浜昼顔と海を見て        杉の子
そして浜昼顔は浜木綿に変わる。連想ゲームだ
浜木綿の花盛りなる海女の墓 日経俳壇入選
浜昼顔は浜菊となり、ついには墓地まで買ってしまう
浜菊や波音聞きて墓地決めむ 日経俳壇入選
こうして名歌があれば俳句が出来るのだ。連想ゲームなのだ。

◎サウジの米、トルコとの軋轢深刻化

◎サウジの米、トルコとの軋轢深刻化
  トランプは二律背反状態
 なんともはやアラビアンナイトの千夜一夜物語を読むような凄惨さである。サウジ人記者ジャマル・カショギ殺害事件は、サウジ皇太子ムハンマド・ビン・サルマンの意向と深い関係なしでは考えられない。本人は「下の者がやった」と日本のヤクザの弁明のような発言をしているが、信ずる者はいまい。目撃者も多く真相はやがて確実に日の光を見るだろう。当然国連でも採り上げるべき問題だろう。サウジは最も重要な同盟国である米国、および中東で有数の軍事力を誇るトルコ双方との間で大きな軋轢を抱えることとなった。米国はサウジとの同盟関係を維持しつつ、皇太子の暴挙を批判しなければならない二律背反状態に陥っている。
 サウジ側の声明ではカショギが「けんかと口論の末殺された」としているが、59歳の分別あるジャーナリストが、多勢に無勢のけんかを本当にしたのか。トルコ当局によると「殺害されその場で死体はバラバラにされた」としているが、死体の解体によって隠ぺいできるという判断自体が幼稚で度しがたい。実行犯は15人でそのうち5人が皇太子の護衛であったという。護衛と言えば戦闘訓練を積んだプロであり、素人の殺人事件とは性格を異にする。
 外相アデル・ジュペイルは「皇太子はもちろん情報機関の幹部も感知していない」と関与を頭から否定しているが、信ずる者はいない。カショギは従来から皇太子の独裁的な手法を非難してきており、殺害はその報復と見て取れるからだ。ムハンマドも「自分は事件とは関係なく、下のレベルで行われた」と述べているがこの発言も語るに落ちた。「下のレベル」とは部下だからだ。
  大使館内とはいえ国内で事件を起こされたトルコの大統領エルドアンは「情報機関や治安機関に責任を負わせるのでは誰も納得しない」と、サウジ側の発表に強い不満を表明している。加えてエルドアンは「殺害は偶然ではなく、計画的なものだ。我々は動かぬ証拠を握っている」とも発言している。
 米大統領トランプも「目下のところ現地では皇太子が取り仕切っている。上層部の誰が関与したかと言えば彼だろう。史上最悪の隠ぺいを行った」と述べていたがその姿勢は揺れに揺れてる。関係者のビザ取り消しなど厳しい対応を示唆したかと思うと、サウジへの武器輸出は推進。しまいには「下の者がやったと皇太子は言っていた」皇太子を擁護までした。まさに右往左往の醜態を示した。米CIA(中央情報局)は、まさに活躍の場を得たとばかりに、膨大な情報をホワイトハウスに送り込んでいるに違いない。トランプは皇太子の発言を信ずるかCIAを信ずるかと言えば、いうまでもなくCIAだ。一方米議会からは「米国の基本的な価値観は自由を守り民主主義を維持することであり、マスコミ関係者を殺害するという行為を認めるわけにはいかない」とのスジ論が巻き起こっている。
 米国にもジレンマがある。もし制裁で武器輸出を禁止した場合には、喜ぶのはプーチンと習近平だからだ。サウジをロシアや中国からの武器輸入に追いやることはなんとしても避けなければならないのだ。なぜなら中東安定の構図にマイナスの要素が入り込むからだ。しかし、米国内世論は圧倒的に皇太子への何らかの制裁を求める空気が濃厚であり、トランプは中間選挙を目前にして苦しい選択を強いられる状況だろう。 
 ムハンマド皇太子は24日、国際社会から激しい批判を浴びる中、サウジ政府として、犯人を裁く考えを示した。皇太子は、「忌まわしい出来事で、正当化されるものではない」と語っているが、今後国連などでのサウジ批判噴出は避けられず、皇太子は外交面で困難な状況に直面した。
◎俳談
【動物を詠む】
身近の動物を詠めば材料には困らない。ただし観察と驚きの心が必要である。
冬越せし金魚大きくなつてをり      日経俳壇入選
庭のかめに入れた金魚が一冬越したら二倍になっていた。その驚きを率直に表現した。
 昔山登りしていた頃、杣道(そまみち)で羚羊(かもしか)と遭遇した。羚羊は暫く私を見た後、森に消えた。一瞬神が現れたかのように思った。
神のごと羚羊驟雨の中に消え 東京俳壇入選
 公園で軽鴨の親子を見た。数を数えると何と9羽も連れていた。
軽鴨の九羽育ててをりにけり 毎日俳壇入選
啓蟄(啓蟄)の日に庭に出ると本当に蝦蟇(がま)がでてきた。ぶったっまげてそのまま作った。
啓蟄やほんとに蝦蟇の現れる 読売俳壇入選
 猫もこんな風に作ると詩的になる。
猫の鈴水仙の花起こしゆく 東京俳壇入選
 祭りで金魚掬いをやったはいいが金魚鉢がない。とりあえず洗面器に入れた。
とりあえず金魚入れたる洗面器 東京俳壇入選

今朝のカワセミ。

今朝のカワセミ。DSCN2118.jpgDSCN2247.jpg

◎首相は為政者の義務感から決断ー消費税10%

◎首相は為政者の義務感から決断ー消費税10%
   オリンピックで景気持ち直しか
 残る任期3年を前にして最大級の決断である。為政者は誰も国民に嫌われる増税などしたくはあるまい。首相・安倍晋三の消費増税10%の決断には為政者としての義務感が濃厚に存在する。タイミングとしても絶妙であった。リーマンショック級の事態がない限り、実施は確実だ。来春の統一地方選挙や夏の参院選挙への影響を最小限に食い止めるにはこの時期を選ぶしかあるまい。
 来年10月の引き上げを1年前に公表する狙いについて、選挙への影響を最小限にとどめることを挙げる論調が多い。しかし、ことはそう簡単ではあるまい。新聞や民放はおそらく参院選を来年秋の増税に向けての選択選挙と位置づけ、絶好の反自民キャンペーンを張るだろう。従ってボーダーラインの自民党候補は落選の危機にあるとみるのが正しいだろう。野党にとっては久しぶりの追い風となる。参院選は“負け”をどこまで食い止めるかの選挙となろう。
 安倍の決断について新聞は「財務省に押し切られた」との見方が強い。確かに、財務省には来年引き上げる以上、来年度予算案の準備のためにも首相の早期表明が不可欠との見方が強かった。消費税は景気に左右されにくく、年5・6兆円の税収増は大きい。ただ一省庁の思惑で一国の首相が不人気の源となる大きな政治決断をするだろうか。これは、疑問である。むしろ、冒頭指摘したように為政者としての義務感がそうさせたのであろう。もともと2017年の総選挙の公約は「保育・幼児教育の無償化」であり、当時からそのための財源には消費税を充てるしかないと指摘されていた。
 消費税の税率10%への引き上げについては、過去2回延期してきている。当初は15年10月に引き上げられる予定を1年半延ばした。次に17年4月に予定されていたが、2年半先送りされた。今回は3度目の正直ということになる。
 景気への影響については、今後駆け込み需要が生じるが、先が1年間と長いため分散傾向を見せるだろう。19年の税率アップで景気は一時的には下降するが、2020年の東京オリンピックは持ち直しのきっかけとなることが予想される。おそらく政府も経済界も暗雲を断ち切るためにオリンピックという明るい舞台をフルに活用することになろう。もちろんオリンピックが終われば不況感が漂う可能性も否定出来まい。五輪特需の終了で雇用が減り、建築・不動産バブルが弾け、五輪までに目いっぱい売った商品が市場にあふれて飽和状態になる恐れがあるからだ。官房長官・菅義偉は「リーマンショックのようなものがない限り引き上げる」と不退転の決意を表明している。経済危機が来ない限り引き上げはうごかないだろう。
 各党は公明党が事実上賛成の立場だ。1日の首相との会談で代表山口那津男は増税を支持する姿勢を示し、安倍も「必ず実行する」と約束した経緯がある。その他の野党はおおむね反対で。与野党対決ムードは高まろう。
◎俳談
【女の色気を詠む】
 女のしぐさをうまく詠むと色っぽい俳句ができる。下手に詠むとたちまちにして下卑た俳句となるから気をつけなければならない。
花冷えの女ののんどうごきけり   岸田稚魚
女ののどがうごくという自然現象をとらえたのだが、どのようにして観察したのかと想像が働く。そこに様々な連想が生じて色気を感ずるのだ。
 桂信子に
すすき野に肌あつきわれ昏(く)れむとす
がある。これを「札幌ススキノに居るのか」とか、「風邪で熱があるのか」などとか思っては俳句鑑賞落第だ。美女が夕暮れのすすきの野に肌を熱くして立っているのだ。何事かが起こる予感が空想の翼を広げるのだ。
桂信子には女であることの「特権」を生かして、人の、とりわけ男の「気を引く」俳句が多い。
湯上りの肌の匂へり夕ざくら  
ふところに乳房ある憂さ梅雨ながき
窓の雪女体にて湯をあふれしむ
などがそれだ。下手に詠むと下品になるが、すれすれの官能美を醸しだしていて、男は魅了されてしまうのだ。
それにくらべると橋本多佳子の
七夕や髪ぬれしまゝ人に逢う   
や、杉田久女の
花衣ぬぐやまつわる紐いろいろ   
は桂信子ほど言わない品の良さがある。しかし狙いは同じ官能美だ。杉田久女の狙いも「思わせぶり」である。
これらの官能俳句に比べると、藤田津義子の俳句はなまめかしい。
爪深く立てても女夏みかん
は、女の非力さを詠んで、滲み出る色気を感じさせている。男の背中に爪を立てている姿と読めなくもないが、こればかりは本人に聞くしかない。

◎ピントが問題の小泉小じゅうと発言

◎ピントが問題の小泉小じゅうと発言
  「原発ゼロ」で立ちゆく国はない
 元首相小泉純一郎の発言がピントを外れており、理解に苦しむ。76歳で小生より一つ下だからまだぼける年でもあるまいにピントがぼけてもいる。まず来年の参院選挙について小泉は「野党が統一候補を出して、原発ゼロを掲げて選挙の争点にすれば、自民党は危うい」と警鐘を鳴らすが、すでに国政選挙のテーマになって自民党が圧勝している。昨年の9月の総選挙は紛れもなく野党の掲げる「原発ゼロ」の是非が問われたのであり、自民党の圧勝は「原発ゼロ」の完全否定にほかならない。火事でもないのに鐘を叩く者は、「ちょっと変わっている」どころではない。政治家が重要ポイントを忘却の彼方では、どうしようもない。
  さらに小泉は「総理が『原発をゼロにしよう』と言えば、野党も協力できる、国民も支持する。自然エネルギーを活用して日本を発展させる方針を立てるべきなのに、なんで立てないのか。できることをやらない。」と息巻くが、野党の協力の必要性はあるのか。風力や太陽光など自然エネルギーを活用した発電などは、現実には大きな力とはなり得ない。小泉は、エネルギー政策の基礎を知らない。世界の工業国の原発使用状況を見ると、運転中の合計出力は3年連続で過去最高を更新しているのだ。2018年 1月1日現在、世界の営業運転中の原子力発電所は443基、4億937万5,000kWで、これも3年連続で過去最高の合計出力の記録を更新している。にもかかわらず、日本だけが原発を放棄すればエネルギーの高騰を招き競争力が激減して、それこそ亡国へとつながりかねない状況なのだ。「原発ゼロ」などと唱える政治家は日本くらいにしか存在しまい。それに原子力エネルギーを放棄すれば地球温暖化との戦いに敗れたのも同然と言うのが世界の常識なのだ。
 政治家にとって欠かせない見通しもいささか危うげである。小泉は、4月に森友・加計学園問題を批判して「3選が危うくなってきた」と述べたが3選は実現、見通しを間違った。かと思うと8月には安倍とゴルフ。そして今回の批判である。ブレが激しい。天下のご意見番大久保忠教(通称彦左衛門)はユーモアがあって庶民に親しまれたが、小泉の発言はとげとげしく、小じゅうとのように足を引っ張る。人間の幅の問題かもしれない。
  どうも小泉にとっては、安倍政権が長期化すること自体が面白くないようでもある。去る5月に安倍政権は小泉の1981日を抜き、9月の3選達成で、来年2月に吉田茂の2248日、20年8月に大叔父佐藤栄作の2798日を抜く。第一次内閣の366日を足した場合には来年11月には桂太郎を抜いて、史上最長の政権となる。バブル崩壊後は短命政権が続いたが、安倍の場合政権を全否定するような批判は生じていない。とりわけ外交において、長期政権がプラスの作用をもたらしていると思う。国民は安定を求めており、平地に波乱を小泉が求めても無理だ。
◎俳談
【小津調俳句の世界】     
 「小津調」と称される独特の映像世界で優れた作品を次々に生み出した映画監督・小津安二郎。代表作にあげられる『東京物語』をはじめ、女優の原節子と組んだ作品群が特に高く評価されている。『彼岸花』『浮草』『小早川家の秋』とヒットを続け『秋刀魚の味』が最後の作品となった。いずれも懐かしさあふれる昭和を歌い上げた映画である。「小津調」とは、小津がつくりあげた独自の映像世界・映像美をさす。その主な特徴として、ロー・ポジションで撮ること、カメラを固定してショット内の構図を変えないことなどがある。
 とりわけ東京物語は笠智衆、東山千栄子、原節子などの名優を見事に使いこなして、老夫婦の哀感を描き出している。この「小津調」は実に俳句になりやすい。普段の生活をそのまま詠めば「小津調」になるのだ。まず名句から紹介すれば
森澄雄の
妻がゐて夜長を言へりさふ思ふ
居間で妻が「日の暮れるのが早くなりましたねぇ」と言えば、夫は「そうだねぇ」と答える。カメラはロー・ポジションで映すが、俳句も雰囲気を見事に描写する。
 拙句の場合母である。
秋灯下言葉はいらぬ母とゐる 毎日俳壇入選
 母は言葉不要の人なのだ。今度は別の情景で、妻が毛糸を編んでいる。「少し小遣い貸してくれないか」と夫が言う。妻は「しょうがないわねぇ」と財布からお金を出す。これを俳句はロー・アングルから描写する。
毛糸編む妻に臍繰(へそくり)頂きぬ 毎日俳談入選
雪の夜は静まり返っている。そこにぼんぼん時計が時を知らせる。「もうこんな時間か」と布団を敷く。
雪の夜のぼんぼん時計響くかな 毎日俳壇1席
といった具合だ。茶の間や居間の描写が小津調俳句の真骨頂だ。
最後に
笠智衆ばかり集ひて新茶汲む 東京俳壇月間賞

◎改憲へ大きくシフトー第4次改造内閣

◎改憲へ大きくシフトー第4次改造内閣
  時期を見て中央突破の可能性も
 与野党対決ムード強まる
 第4次安倍改造内閣で明らかに改憲シフトは達成され、来年の参院選への体制作りも完了した。首相・安倍晋三としては自民党の改憲案を直近の臨時国会に提出して、自民党結党以来の宿願達成に動き出す。佐藤内閣の安保改正に匹敵する政治課題を安倍政権は抱えることになり、戦後まれに見る与野党対決ムードは一段と高まりをみせるだろう。しかし、安倍は明らかに中央突破路線を推し進める方向であり、改憲は曲折をたどりながらも実現へと動くだろう。
 まず最初の突破口が党役員・閣僚人事で開かれた。一番顕著なのは総務会長に竹下派ながら安倍に近い加藤勝信を据え、党内の改憲シフトを印象づけた。一方内閣には法相に石破派の山下貴司を当選三回生にもかかわらず抜擢した。改憲を進めるに当たり答弁能力や知識を買ったが、「一本釣り」の印象は否めまい。党内野党色を強める石破への牽制球という側面もある。
 加えて憲法改正の「旗振り役」となる自民党憲法改正推進本部長に元文部科学相下村博文を起用した。これら改憲シフトは安倍の本気度を示すものであり、ルビコン川を渡ってローマへ進軍するシーザーではないが「サイは投げられた」のである。いち早く3選支持を表明して流れを作った幹事長・二階俊博は留任。安倍政権へのあからさまな批判を繰り返した筆頭副幹事長小泉進次郎は交代の可能性が強いようだ。その反面政調会長・岸田文男を続投させたのは、ポスト安倍の候補として認定した側面がある。女性登用は片山さつき1人にとどまったが、原因は女性の人材難だろう。
 憲法改正のために必要な手続きは、衆議院で100人以上、あるいは参議院で50人以上の賛成により、改正原案を発議できる。衆議院で発議された場合には、本会議で総議員数の三分の二以上の賛成を得ると参議院に送られる。参院本会議で総議員数の三分の二以上の賛成を獲得できた時点で、国会として憲法改正案を発議したことになる。その後に、国民投票による承認が求められる。国民投票で過半数の賛成が得られると憲法改正が実現する。
 安倍は「自民党としての憲法改正案を次の国会に提出できるよう、 とりまとめを加速する。憲法改正には、衆参両院で3分の2を得て発議し、国民投票で過半数の賛成を得るという極めて高いハードルを乗り越える必要がある。」 と強調した。また安倍は改憲への取り組みを「全員野球内閣でやる」と延べるとともに、「幅広い合意を目指す」として、改憲勢力を糾合して実現を目指す考えを明らかにした。
 自民党が目指す改憲案は①9条を維持した上で自衛隊の根拠規定を加える②大規模災害条項を加える③教育の無償化をうたう④参院選合区の解消ーなどだ。与野党は9条改定で激しく対立する可能性があるが、その他の条項では必ずしも反対ではない内容もあり、対応はまちまちだ。自民党内も石破茂が慎重論だ。「国民の理解なき9条改正をスケジュールありきでやるべきではない」と強調している。9条への「自衛隊明記」案を前面に改憲を急ぐ首相に対し、石破は「あわててやる必要はない」と対立を鮮明にしている。若手の入閣で派を切り崩されたという不満が残った。与党内も現行の改正案では公明党が難色を示しており、なお調整が必要なようだ。事を性急に進めず、国民に対する説明を丁寧に行いつつ、進める必要があろう。
 一方野党も内閣改造について、共産党書記局長小池晃が「閉店セール内閣」と批判、日本維新の会の片山虎之助共同代表も「自民党総裁選の論功行賞や滞貨一掃の感じが拭えない」とこき下ろした。これらの批判は、言葉が躍るばかりで説得力に欠ける批判だ。「閉店」までにはまだ3年もあるうえに「滞貨」の人材はまだ山ほど居て、「一掃」にはほど遠い。
 もっとも安倍が性急に事を運べば、国論を二分させ、息も絶え絶えの立憲民主党や国民民主党が国政選挙で揺り戻す可能性も否定出来ない。加えて長期政権の与党はとかく弛みや驕りが目立つ側面があるが、引き締めを図る必要があろう。
◎俳談
【虚仮(こけ)の一心】
 近所の森でカワセミを捕りだしてから30年近くになるが、虚仮の一心でそこいらの玄人写真家でも撮れないような写真約8000枚がパソコン数台につまっている。パソコンが壊れた場合に備えて、クラウドにも置いてあるし、ハードディスクにもためてある。
  人生、仕事ばかりしていると思考に余裕を失う。休みを取って頭脳をリセットしないと、平衡の感覚を保てなくなる。とりわけ4千字の政治評論とエッセイを書くという、“超絶技巧”維持のためには、時々頭を空っぽにする必要がある。人それぞれリセットの方法があるが、小生の場合はカワセミ撮影だ。夏休みはカワセミ撮影に専念した。それも毎朝4時に起きて、4時半には現場に着く。9時頃までカワセミをあちこち追いかける。重い写真機材を担いでの移動だから、かなりの重労働だ。汗だくになる。おかげで1日の運動量は十分だ。
 長年撮っていると、次の行動が予測できる。政局と同じだ。飛び物はどちらに飛ぶか分かっているかいないかで、撮れるか撮れないかか決まる。ホバリングする時も事前に予測できるかできないかで、数秒なホバが撮れるかどうかが決まる。
 知恵を出すのも必要だ。水中写真はクリスタルのグラスに小魚を入れて飛び込ませて撮影した。近ごろ思いついたのはカワセミが来たら、求愛の鳴き声をテープで流すことだ。ウグイス笛でウグイスを呼ぶのと同じだ。鳴き声は野鳥の声を集めた大図鑑のCDに録音されている。これを小型のレコーダーに移して流す。驚いてカワセミは小生を凝視する。あちこち動いたりもするが、以前のようにすぐに離れない。以後カワセミが小生を見る目が、「秋波」に変わったように感ずる。結構近づいても逃げない。「愛人」いや「愛鳥」扱いされているのかも知れない。やり過ぎては生態系を乱すから2、3度でやめた。
翡翠の阿修羅の如く狩りにけり NHKカシャッと俳句特選 

◎トランプのごり押しに手をこまねく必要はない

◎トランプのごり押しに手をこまねく必要はない
 日本はグローバリズムの流れを推し進めよ
   EPA、TPP11の発効を急げ
 「どうしてくれる」と片肌脱いで開き直っているトランプの姿はまるで超大国ヤクザである。首相・安倍晋三との会談で「2国間交渉」をもぎ取って、直面する中間選挙ばかりか2020年の大統領選まで有利に運ぼうとしているかに見える。トランプのグローバリズムへの拒絶反応は、選挙ばかりに目を奪われる独善的な米大統領の姿を鮮明にさせ、歴代大統領が大切にしてきた世界のリーダーとしての信望をかなぐり捨てた姿を浮かび上がらせた。日本はEPA、TPP11の発効を急ぐ必要がある
 米紙ワシントン・ポストは「トランプは世界の笑いものになった」との識者のコラムを掲載した。トランプが25日の国連演説の冒頭で「2年足らずの間に、我が政権は米国史上かつてないほど多くのことを成し遂げてきた」と自賛すると、会場の各国首脳らからは失笑が漏れた。まるで成金が金歯を自慢するような演説だからだ。さすがのトランプもしまったと思ったのか「こんな反応は想像していなかったが、まあいいだろう」と胸を張り、会場のさらなる冷笑を生んだ。
  国連憲章の基本を流れる精神はグローバリズムだが、トランプは臆面もなく「我々はグローバリズムのイデオロギーを拒絶し、愛国主義を尊重する。モンロー主義が我が国の公式な政策だ」と言ってのけた。歴代大統領の外交方針はおおむね独善的なモンロー主義の否定から始まったものだ。米国の外交主流派はこの方針採用をトランプに進言したが、トランプは臆面もなく無視したといわれる。演説の最中大統領補佐官ジョン・ケリーが「オー、ノー!」とばかりに片手で顔を覆ってうつむいていた。その写真が評判になり、ソーシャルメディアでは「全てを物語っている」など絶妙なコメントが相次いだ。
 各国首脳が黙っているわけがなく、仏大統領マクロンは「身勝手な主権を振り回し、他国を攻撃する国家主義を我々は目撃している」と手厳しく批判。国連事務総長グテーレスは演説で、トランプを名指しこそしなかったものの、「世界が20世紀史の、特に1930年代の教訓を無視して再び大衆主義と孤立主義の道を突き進み、またしても世界的な紛争に転落していく危険がある」と警告した。2016年の大統領選挙でトランプと争ったクリントンも、「トランプ大統領の発言は危険だ」と警告した。まさに藪を突いて蛇を出し、四面楚歌に導いたのがトランプ演説であった。
  多国間貿易交渉の枠組みを重視してきた日本に対しても、トランプは2国間交渉で譲歩を迫った。結局安倍との首脳会談ではとりあえず2国間の交渉に入ることで合意した。日本はこれまで環太平洋経済連携協定(TPP)への米国の復帰を求めてきた。2国間交渉だと米国に有利となるとの判断が背景にあったためだ。しかしトランプは日本の対米貿易黒字の6─7割を占める自動車・同部品に目を付けており、日本側に高関税や輸出数量規制を突きつけたようだ。このため日本側は交渉に入らざるを得ないと判断に至った。当然ながら首脳会談では交渉中は、輸入車への高関税を日本に対してはかけないことで合意した。
 ただ、米国が折に触れて自動車への関税をほのめかし、対日交渉を有利に運ぼうとすることは確実であろう。このためこの際日本は対米追随だけでなく、トランプの「米国第一主義」に対抗するグローバリズムの旗を欧州やアジア諸国と共に掲げる必要に迫られている。既に進展している豪州などとのTPP11の発効を来年早期に達成する必要があるのではないか。世界GDPの13%、域内人口5億人をカバーし、日本にとっては輸出や海外展開の環境が整い、消費者にとっても食品値下げなどの恩恵がある。また欧州との経済連携協定(EPA)の発効も急ぐべきだ。自由貿易を尊重する国々の協力は、米国内の孤立化反対論やマスコミを勢いづけ、変化へと導く有効な手段となるに違いない。 
◎俳談
【人情の機微を詠む】
 人情を俳句に詠めば 
いたわりの初電話ある夜勤かな 日経俳壇入選
昔は、正月勤務の記者に「ご苦労さん」と電話したものだ。ニュースは休んでくれない。報道機関の編集局は正月からデスクの番をする記者が必ず居る。いたわりの電話は上に立つ者の義務だ。
春灯下妻の臍繰り借りにけり 毎日俳壇入選
毎度のことだが、小遣いがなくなると、妻に借りる。
 究極の人情俳句は男女関係だ。昔女性を泣かせたことがあるが、泣くなと言えばもっと泣くのが女だ。
春宵の泣くなと言へばなほ泣いて 産経俳壇1席
  連れ合いをなくした友人が居た。
つらいねとかける電話や鰯雲 日経俳壇入選
一茶の人情句
わんぱくや縛られながらよぶ螢
昔は腕白をすると父親に縛られて押入に入れられたものだ。それでも腕白小僧は「螢来い」などと声を張り上げる。一茶の句には人情味に加えてペーソスがある。

国民投票をクリアする唯一の9条改正『 浅野試案 』

国民投票をクリアする唯一の9条改正『 浅野試案 』
安保政策研究会理事長 浅野勝人

戦い終えて日は暮れて、憲法改正をめぐる齟齬(そご)だけが残りました。
なんとも収穫の乏しい戦でした。
安倍3選首相としては、9条を改正する発議をしないわけにはまいらないでしょう。国会は数の力でパスしても、国民投票で敗れたら退陣するのが憲政の常道です。

現行9条、1項、2項を手づかずにして、新たに3項を設けて自衛隊を加憲する「安倍案」は、無難だが安逸に過ぎます。

☆自衛隊が違憲だと思っている人は、1割もいません。従って、自衛隊の存在を憲法に明記することに反対する世論は10%以下と推定されます。公明党の加憲方式を尊重して3項を追加する手法は、確かに妙案のひとつです。1項、2項を残して平和主義を貫き、その上で自衛隊の存在を明記するのですから、国民投票で圧倒的に支持されるはずです。ところが、なんとも予測困難で、際どい結果になりそうだというのが私の見立てです。

☆2項に「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」とあります。
これをそのままにして、3項で「自衛隊を明記」したら、自衛隊は戦力ではないという自己撞着を憲法で表明することになります。自衛隊は、核武装、他国を攻撃する足の長い兵器を所有していないだけで、アメリカ、ロシア、中国に伍して世界有数の戦力を保有している軍隊です。どのような詭弁を弄しても「陸海空軍は保持しない」と矛盾します。後項優位の原則を振りかざしても、整合性の説明はつきません。あなた、孫に何と言って取り繕いますか。お爺ちゃんの信用を失うだけです。

こんな幼稚な事柄を先刻承知の上で「3項、自衛隊、加憲」を提議したと国民は容易に判断します。悪くすると愚弄していると受け取られかねません。小学生でもわかる矛盾に目を瞑(つむ)って自衛隊の必要性を優先してくれるかどうか。これが過半数の支持に疑問を抱く私の素朴な疑念です。


『 浅野試案 』は、改正を機に、理屈をこねないで、あっさりと簡単明瞭に、この根幹的矛盾の解消を試みています。
第2章 戦争の放棄
1項 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2項 前項の目的を達するため、国の交戦権はこれを認めない。
但し、わが国の存立を危うくする明白な事態に対処するため、必要最小限度の戦力は保持する。

☆1項は現状のまま残して、平和主義の根幹を堅持する。
1項の担保として、ことさら2項の「国の交戦権は認めない」を残す。その上で、「国を防衛するための戦力は保持する」と述べて、自衛隊の存在、維持、継続を明記する。
☆「戦力不所持」を削除して、実存する自衛隊との整合性をはかる。
☆必要最小限度の戦力とは、存亡危急に面したわが国の領域を守るに足る戦力を指し、他国を攻撃する目的の戦力は含まない。
これは集団的自衛権を一部認めた安保法制と矛盾しない。

素直に、国情および現下の国際情勢に合致する、わかり易い表現と組み立てが望ましいと考えた試案です。

― 幼児のいがみ合い
「なにが善戦だ」「党員の45%が私に投票したことをどう考えるかだ」 これは麻生太郎財務相と石破茂候補のいがみ合いです。
勝負が決まっている八百長相撲を見る気がしないのと同じで、まるで興味の湧かない総裁選挙でした。相も変らぬ派閥の合従連合による談合試合だからです。
6つある派閥のうち、頭数の多い順に1位から5位まで組めば勝つに決まっています。自民党国会議員(有権者)402人のうち安倍晋三を支持する出陣式に出席した332人にカツカレーをふるまったところ、得票数は329票だったから、3人食い逃げしたヤツがいる勘定になります。3人漏れたとみるか、3人しか漏れなかったとみるか、派閥の締め付けは中選挙区時代より、むしろ厳しくなっているように私には映ります。そうだとしたら小選挙区制のせいでしょう。あとは地方票がどんな配分に割れるか、わずかに興味を残すだけでした。

こんな政治環境の中ですから、総数807票のうち250票取ったら石破の目標達成。200票に届かなかったら石破の政治生命は危ういと見ていました。下限の200票は、国会議員の票は50そこそこ、安倍批判の多い地方票が150前後と踏んだ最低ラインです。
結果は、国会議員票73(18%)、地方票181(45%)= 254票(31%)


石破は「ひとり旅の合格点に達した。よくやった」と慰労できますが、個人的評価はポスト安倍に待つしかありません。緊急な課題は地方票の結果を自民党がどのように受け止めるかが肝要です。
はっきり言えることは、自民党員でさえ真っ二つに割れている政治意識を引きずったまま、来年の参議院選挙を迎える現実を直視して、なににどう対応するが真剣に分析、対処する必要を感じます。
それでも、戦後政治史の中で野党不在の稀有な政治情勢が続く限り、安倍自民党は勝利します。しかし、32ある1人区で野党が1本にまとまって統一候補を立てたら、情況は一変します。野党勢力が「オリーブの木」に結集して勝利した例がイタリアにあります。
政府・自民党は今回の総裁選挙の教訓を生かす努力を 即刻 始めることが肝要です。いがみ合っている暇などありません。(元内閣官房副長官)

◎安倍はひしめく重要日程で成果を


 ◎安倍はひしめく重要日程で成果を
  任期内解散も視野に入れよ
    改憲は合区、非常事態を突破口に
  自民党総裁選は今は盛りの横綱に小結がかかったようなもので、勝負は初めからついていた。総裁・安倍晋三が石破茂の倍以上553票を獲得し、議員票では82%に達したたことは、今後の政権運営にとって紛れもない安定材料であり、内政・外交に亘る安倍路線に何ら支障は生じない。20日で2461日目を迎えた安倍は2021年9月までの3年の任期中に伊藤博文の2720日、佐藤栄作の2798日、桂太郎の2886日を越え史上最長の政権となる。安倍を支持した政調会長・岸田文男がポスト安倍の最有力候補となり、たてつく石破は今回の254票は限界だろう。岸田が出馬したら安倍支持票の大勢は岸田に向かうからだ。
 総裁選は党員・党友による地方票と合わせて開票された結果、安倍が69%にあたる553票、石破は254票となった。安倍はほとんどの派閥の支持を集め、国会議員票(402票)では8割を超える329票に達した。その一方、地方票(405票)では224票と伸び悩みを見せた。事務総長甘利明が55%と予想していたが、55.3%で辛うじてクリアした。
  安倍の勝因は何と言っても国会議員の大半の支持を得る流れを5年半の政権運営で定着させ、それによって党員票も掘り起こした結果であろう。地方票は従来からポピュリズムに流れる傾向があり、石破の「善戦」は、政治判断力が未熟な地方党員には石破の存在が大きく映った結果であろう。
 常に反安倍傾向の強いテレビ朝日、TBSなど民放番組は、悔し紛れの論評が多かった。コメンテーターが「終わりの決まったリーダーは求心力が弱くなる」としたり顔で述べていたが、相変わらずの素人の淺読みだ。民間会社でも3年もの任期がある社長が軽んじられることはない。経営権と人事権を握っているから社員は従来同様に従うのだ。安倍も毎年改造して引き締め、3年の任期中での解散を断行すべきだろう。勝てば中曽根が党規約改正によって総裁任期を1年延長した例もあり、延長してもおかしいことではあるまい。
   しかし、今後の政治日程を見れば、政局にうつつを抜かしているときは終わった。重要政治日程がひしめいている。まず来週には日米首脳会談があるし内閣改造も想定内だ。安倍は25日には国連総会出席を契機にトランプとの首脳会談を行う方向で日程を調整している。欧州、中国に黒字削減で厳しい要求を繰り返しきたトランプが、安倍と仲が良いからといって日本だけ例外にする可能性は少ない。経済再生担当相茂木敏充が、米通商代表部(USTR)代表ライトハイザーとの21日の閣僚協議でどこまで事前調整できるかがカギだ。安倍は国連総会から帰国後10月にも、内閣改造に着手し、安倍改造内閣を発足させる方向だ。副総理・麻生太郎、幹事長・二階俊博、官房長官・菅義偉は続投となりそうだ。石破派からも人材を閣僚などに起用して党内融和を取り戻すことが必要だろう。小泉進次郎は、安倍批判が目立ちすぎた。そろそろ入閣待機児童だが、閣内不一致を招く危険がある。
 30日には沖縄県知事選がある。安倍としては与党候補を勝利に導き、普天間基地の辺野古への移転を推進したい考えだろう。訪中も重要テーマだ。安倍は12日、訪問先のウラジオストクで、中国国家主席の習近平と会談、10月の訪中に向けて調整することで一致した。10月23日が平和友好条約発効40年となるため、これに合わせて訪中することになろう。安倍は来年6月に大阪で開く20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせた習の来日を想定しているようだ。
 改憲問題も安倍政権の重要テーマだ。10月26日にも招集する臨時国会で論戦の火ぶたが切られる。安倍は「いつまでも議論だけを続けるわけにはいかない」と、秋の臨時国会への自民党改憲案提出を明言している。今後、改憲論議を加速させる構えだ。しかし、各種世論調査では国民の間に改憲志向が生じていない。共同の調査によると、秋の臨時国会に改憲案を提出したいとする安倍の提案に「反対」が49%で、「賛成」の36.7%を12.3ポイント上回った。日経の調査はもっと厳しく、「反対」が73%で「賛成」の17%を大きく上回っている。国民の間には改憲イコール9条という認識が強く、改憲内容をどうするかによって変わってくる。改憲論議は、もともと安倍が昨年5月、9条1項(戦争放棄)、2項(戦力不保持)の規定を維持して自衛隊を明記する案を提起したことから始まっている。改憲アレルギーを除去するためには9条を後回しにして、石破の主張するように、参院選での合区の解消や、大規模災害など非常事態の際に政府に権限を集中させ、国民の権利を制限する緊急事態条項などを手始めに考えるのも良いかも知れない。
 
◎俳談
【裏を詠む】
 「裏を読む」と言えば筆者の仕事の政局原稿のようだが、「詠む」と書けば俳句のこととなる。物事の裏には真実が隠されているが、俳句でも表の現象だけにとらわれずに裏を詠むのも一手だ。永井荷風の作といわれる「四畳半襖の下張」という春本は、かつて裁判にもなり有名だが、昔は衾や屏風の下張りに良質の和紙の古文書を張ったものだ。荷風は浅草の歓楽街や玉の井の私娼街を好み、そんな成果が実ったのか、1937年『濹東綺譚』を朝日新聞に連載、好評を得た。人情の裏に目が届く文豪だ。俳句もうまく
葉桜や人に知られぬ昼遊び   
など玉の井を詠んだとみられる句も多い。さて本題の「裏を詠む」だが荷風は
羽子板や裏絵さびしき夜の梅
と詠んだ。羽子板の表の豪華絢爛に比べて裏絵は寂しいと言っているのだが、これは人生にも通ずる。玉の井の女性を詠んだと思えば哀しさも一段と増す。夜の梅が趣を深くする。 
 昔浅草の演芸場の楽屋を見せてもらったことがあった。
楽屋裏女形(おやま)寂しき咳漏らす 産経俳壇入選
寒夕焼はなにか哀しさが伴うが、後ろを見ればもっと哀しい。
ふりむけば東は哀し寒夕焼 産経俳壇入選
 落語に「裏は花色木綿」があるが、江戸っ子は裏地を大事にした。
江戸っ子の裏地に凝れり秋袷(あわせ)  杉の子
袷は夏の季語だが、秋袷は裏地をつけて仕立てる。俳句も裏地が大事なテーマになり得る。

◎安倍3選につけいる隙がないー自民総裁選

◎安倍3選につけいる隙がないー自民総裁選
   200票超えないと石破は沈没
 荒ぶるトランプをどうなだめるかが最初の課題
 政局が自民党総裁選を軸に動き始めた。総裁・安倍晋三が20日に再選される方向は間違いないが、水銀柱の下降と反比例するかのようにボルテージが上がりはじめた。対立候補石破茂派の農水相斎藤健が「安倍陣営から石場さんを応援するなら辞表を書いてやれと言われた」と「圧力」を暴露。安倍は石破とのテレビ党論で「あるはずはない。そういう人がいるのであれば名前を言ってもらいたい」全面否定したが、石破は「被害者に名乗り出よというのは財務相のセクハラ疑惑に似ている」とかみついた。自民党幹部らが「まあまあ」とおさめたが、近頃にない“茶番”が見られて、茶の間は喜んだ。
 それでは総裁選の展開を予想すると、石破にとっては200票を上回るかどうかが今後の展望が開けるかの分岐点となる。総裁選は議員票405票と地方票405票の合計810票の奪い合いとなる。安倍の圧勝は決まっているが、得票によって政治的効果に大きな違いが生ずる。安倍は議員票では80%350票を突破する勢いであり、石破は自派と竹下派を加えて50票前後がよいところだろう。地方票で安倍は、70%突破を目指すことになる。少なくとも国会議員票と地方票の合計は70%に達したい考えだ。安倍が70%をとれなければ石破に200票獲得を許すことになる。安倍が55%を下回った場合は石破が250票を上回り今後に存在感を示すと言って良い。従って焦点はまず石破の200票超えが実現するかどうかだ。しかし、石破人気が沸くにはほど遠く、超えなければ石破は政治的に大打撃を受ける。
 地方票の動向も最大の見所だ。6年前の総裁選で石破は55%を獲得している。安倍選対事務総長の甘利明が「55%を超えたい」という理由はここにある。しかしこのパーセントは安倍がまだ首相になっていない時点であり、首相・総裁としての存在感を示している現在ではラインを低く設定しすぎだろう。議員票で80%取っておきながら、地方票で55%そこそこでは、永田町と一般党員との乖離(かいり)が目立つことになる。
 投票結果がどうあれ総裁選後の内閣改造はあるのかが焦点となる。 安倍は16日のNHK番組で「来年は皇位の継承もあり、G20(主要20カ国・地域首脳会議)と、その先に東京五輪・パラリンピックがある。しっかりした人材を登用したい」と述べ、3選を果たした場合、内閣改造・党役員人事を行う方針を表明した。人事をほのめかされては入閣候補らの動きは当然安倍に向かう。巧妙なる“一本釣り”だ。
 首相の信任にとって最も重要なポイントは景気の動向だが、安倍の就任以来戦後まれにみる好景気が継続しており、石破はつけいる隙がない。昨年末には、安倍が首相に就任した2012年12月に始まった景気回復局面が高度成長期の「いざなぎ景気」を超えて戦後2番目の長さとなったことが確定した。今の景気回復が2019年1月まで続けば、02年2月から73カ月間続いた戦後最長の景気回復を抜く。戦後最長の景気を維持しようとする首相を降ろそうとすれば、降ろす方が“悪人”となる。石破の人相はどうみても良いとは言えず損している。
 一方安倍の地球儀俯瞰外交は、歴代首相の中でももっとも活発であり、これもつけいる隙がない。同外交は安全保障と経済の両面から戦略的見地に立って推進している。その「積極的平和主義」路線は「一国平和主義」から脱して、世界平和を俯瞰して、必要ならば自衛隊の活用を含め貢献する形だ。しかし難題は日米関係だ。トランプは、中国からの輸入品すべてに制裁関税を課す可能性に再び言及した。3弾の関税発動を24日にも最終判断するが、早くも「第4弾」をちらつかせている。トランプの対中関税攻撃はとどまるところを見せない。中国も対抗措置を取っており、貿易戦争がさらに激しくなる危険をはらむ。日本も対岸の火災視できない。中国で製品を作って対米輸出している日本企業も多いし、トランプは例外を認めない姿勢だ。この“荒ぶる”トランプをどうなだめるかは、安倍とトランプの個人的な関係が重要となるだろう。日米両国は首脳会談を9月25日に米国で行う方向で調整に入った。米ニューヨークでの国連総会に首相が出席するのに合わせて開くが、これまでにない難問を抱え、世界が注視する会談となりそうだ。
 ◎俳談
【人間観察句】
俳句にするには人間ほど面白い対象はない。人のしぐさや、習癖などを観察すれば一句をものにできる。
指確(しか)と曲げてシンクロスイミング 東京俳壇二席
シンクロナイズドスイミングで女子選手が水中から突き出すつま先を観察した。指が合わさって、しっかりと内向きに曲がっている。
小児科の老医叱りてあたたかし 俳句四季入選
町に昔老いた小児科医が居た。母親たちが熱の子を抱いて駈け込むと深夜でも診療してくれた。母親を慈父のような優しさで叱った。
死んだときには長い行列ができた。
雪飛礫(つぶて)うけしは好かれゐる証拠 月刊俳句四季入選
学校の庭で雪合戦をすると、みよちゃんから雪飛礫がとんでくる。きっとみよちゃんはボクが好きなんだとほくそ笑む。
鷹匠の鷹の眼をして老ひにけり 日経俳壇一席
鷹匠が鷹を操るところを公園で実演したが、その鷹匠の目は鷹の眼のように鋭く遠くを見ていた。

◎党員・党友票でも安倍が優勢

◎党員・党友票でも安倍が優勢
  石破「正直・公正」撤回でつまずく
 次期首相を狙う以上、安倍政治の欠陥をつき、自らの主張を鮮明にすべきだと思うが、石破の10日の発言からはそれがうかがえなかった。むしろ主張があいまいで「挑戦の限界」すら感ずる立ち会い演説会であった。肝心の改憲論にしても自衛隊条項新設の姿勢を鮮明にさせた首相・安倍晋三に対して、石破茂は参院選の合区解消など緊急性の薄い問題を取り上げ9条問題の本質に迫ることを避けた。相次ぐ災害など緊急事態を前にして、挑戦者が首相交代という“政争” ばかりにうつつを抜かせない現状を鮮明にさせた演説会であった。
 首相の座に挑戦する政治姿勢について石破は「なにものも恐れずただ国民のみを恐れて戦っていく」と意気込みを述べたが、当初の「正直・公正」をキャッチコピーとして打ち出すことには陣営内で個人攻撃に対する異論が生じ、結局採用を避けた。安倍のどこが不正直でどこが不公平なのかは指摘しにくく、もともとこのコピーには無理があり、最初からつまずいた形だ。
 安倍の「現職がいるのに総裁選に出るというのは現職にやめろと言うのと同じだ」という主張に対しても、石破からは明確な理由の説明がなかった。石破の「政治の信頼を取り戻す」と言う発言からは、意気込みばかりが先行して、具体策に欠ける姿勢が鮮明になるだけだった。石破は記者会見で「安定した政権運営は特筆すべきだ」と安倍政権をたたえたが、賞賛しながら立候補という矛盾は総裁選の歴史から見ても珍しい。
 焦点の憲法改正について、安倍は「あと3年間でチャレンジしたい」と、任期中の9条改正に意欲を表明。これに対し、石破は「丁寧に説明していかないといけない」と拙速な動きをけん制、首相との対立軸を明確にした。改憲論議は、もともと安倍が昨年5月、9条1項(戦争放棄)、2項(戦力不保持)の規定を維持して自衛隊を明記する案を提起したことから始まっている。石破は従来「9条改正が緊急性があるとは考えていない。9条改正は国民の理解を得て行うべきであり、スケジュールありきで行うべきではない」との立場である。しかし、安倍は「いよいよ憲法改正に取り組むときがきた。自衛隊が憲法違反ではないと言いきることができる憲法学者はわずか2割に過ぎない。自衛隊員が誇りを持って任務をまっとうできる環境を作るのは政治家の使命だ」と9条の改正に踏み込んでおり、石破の姿勢とは異なる。憲法改正をめぐって、安倍が意欲を示す「自衛隊の明記」について、石破は、かねてから「緊急性があるとは思わない」と指摘している。
 石破は「憲法改正は必要なもの急ぐものから取り組むべきだ」として参院選での合区の解消や、大規模災害など非常事態の際に政府に権限を集中させ、国民の権利を制限する緊急事態条項などを「喫緊の課題」とした。石破は従来から9条改正について「国民の理解を得て世に問うべきだ。理解なき改正をスケジュールありきで行うべきではない」と、その緊急性を否定している。しかし、9条改正は自民党の結党以来の党是であり、改憲する以上は9条に取り組むべきであろう。
石破が主張している「防災省」の設置についても、安倍は「防災省を作っても、自衛隊や海上保安庁、厚生労働省を動かすには総理大臣が指示しなければならない。そこをどう考えるかだ」と指摘するとともに、「スピーディに政府を糾合できるのは首相だけだ」と屋上屋を重ねることに否定的な考えを示した。
 総裁選の進展状況は、まず国会議員票で安倍が石破を圧倒的にリードしている。選挙は議員票405票と地方票405票で争われる。安倍陣営には党内7派閥中、安倍の出身である細田派など5派と竹下派の一部が参加。国会議員405人の85%は安倍支持に回るとみられている。
  一方、石破に接近しているのは参院竹下派。尾辻秀久元参院副議長が選対本部長として旗振り役を演ずる。尾辻は「武士道を真ん中に据え、正々堂々、真正面から戦おう」と宣言しているが、広がりが見られないようだ。一方石破が唯一活路を見出そうとしている地方党員・党友票についても首相が先行しているとみられている。6年前は石破を大きく下回ったが、今回は完勝を目指して安倍は47都道府県のうち7割超の地方議員と面会するなど先行している。安倍選対の事務総長を務める元経済再生担当相甘利明は10日、党員・党友票について「6年前に石破茂元幹事長が取った得票率は超えたい」と述べ、55%以上の得票率を目指す考えを示している。安倍の圧勝は動かない情勢だ。
◎俳談
【セルフィー俳句】
 米国では自分の写真を撮ることを称してセルフィーと言う。最近使われ出した言葉だ。画家もよく自画像を描くがゴッホは、まるで私小説を書くように何枚も描いている。耳を切った後の顔は天才の狂気が凝縮されてすさまじい。自分をモデルにするのは手っ取り早いし、モデルを雇うカネのない貧乏画家にとっては格好のモデルだ。写真も同様で、近ごろは自分の表情を見ながら撮れるから便利だ。一方で俳句も材料に困ったら自分を観察して作ってみるのもよい。細見綾子は
きさらぎが眉のあたりに来る如し 
と詠んだ。鏡の前で化粧をしながら、きさらぎを感じたのであろう。それも「眉のあたり」とは言い得て妙。岡本差知子は
頓服の首反らすとき紫木蓮
と詠んだが、これは鏡を見ていない。庭の紫木蓮に目が行ったのだ。病気の治癒(ちゆ)を暗喩(あんゆ)で示している。対象は何も鏡の自分だけではない。差知子は
子に呼ばれゐつつ夕べの葱を切る
と詠んだ。夕飯の支度で猫の手も借りたいが、また子が「お母さん」と呼んでいる。背景には幸福な自分の姿が映る。
芭蕉には 
酔うて寝ん撫子(なでしこ)咲ける石の上
がある。時には李白、杜甫のごとく深酒をして撫子が涼しげに咲く庭で寝転ぼうというのだ。
夜長に退屈で鏡を見た。
ぬぬぬぬと写楽顔する夜長かな
自分で言うのも何だが結構いい男だ。
毎日が自由の刑や懐手 日経入選
自由もありすぎると刑罰を食らったような感じになる。

◎トランプ暴露本の波紋広がる

◎トランプ暴露本の波紋広がる
  マティス国防長官「トランプは、小学5,6年生」
  ワシントンポストの著名記者ボブ・ウッドワードが、短気で予測不可能なトランプを制御しようと苦闘する米政府高官の実態を暴露した。11日に出版される「Fear(恐怖)」は、米政府高官らの生々しいトランプ批判を報じている。ウオーターゲート事件以来の内部告発である。内容はトランプの愚かさを告発しているが、一種の“舌禍事件”であり、政権にとってはイメージダウンになっても致命傷にはなるまい。
 ウッドワードは74歳になるが、ウオーターゲート事件でカール・バーンスタイン記者と共に内部告発者“デイープスロート”から数々のスクープを掲載、ニクソンを退陣に追い込んだ。筆者はワシントンポスト紙が販売になる午前零時過ぎにワシントンの街角で購入、両記者の署名入りの特ダネ記事を度々転電したものだ。
  「Fear(恐怖)」の抜粋を報じたウオールストリートジャーナル紙などによると、トランプ側近らが、いかにトランプを軽蔑しているかが分かる。抜粋はまずトランプが、今年1月の国家安全保障会議(NSC)で、在韓米軍の常駐に関し「あの地域にどうして軍事資源を投入する必要があるのだ」と疑問を提起。これに対してマティス国防長官は「我々は第3次世界大戦を防ぐためにやっている」と米軍のプレゼンスの重要性を説いたが、トランプの退席後、側近に「行動も理解力も、まるで小学5年生か6年生だ」と漏らしたという。この席でトランプはあきれたことに「我々は愚かなことをしなければ、もっと金持ちになれる」など発言して、不満気であったという。「金持ち」になることが政権運営の尺度であるとは恐れ入った。
 トランプはダンフォード統合作戦本部長に対して北朝鮮への先制攻撃計画を策定するよう指示するという、驚くべき行動もとった。 政権発足当時から問題になったロシア疑惑に関しても、マーラー特別検察官の事情聴取を想定して弁護士と打ち合わせたが、事実認識が全くなく、作り上げでお茶を濁そうとして、弁護士をあきれさせた。
 こうしたトランプについて、「Fear(恐怖)」は、トランプの側近や閣僚からも不満の声が漏れ聞こえるようになっているという。大統領首席補佐官のジョン・ケリーまでがトランプを「ばか」「錯乱している」「かれに何かを理解させるのは無理」と述べたという。これについてケリーは声明で、自身がトランプ氏をばか呼ばわりしていたというのは事実ではないと打ち消した。「トランプ氏との関係は強固で率直に何でも言い合える」とも述べ、不和説の打ち消しに懸命になっている。トランプも4日のツイッターで「Fear(恐怖)の証言は嘘ばかりで国民をだますものだ」と憤りをあらわにした。
 この舌禍事件はトランプ政権の裏側を余すことなく伝えていて興味深いが、その本質はニクソン政権が倒れたウオーターゲート事件とは天地の違いがある。ウオーターゲート事件は1972年6月17日にワシントンD.C.の民主党本部で起きた盗聴侵入事件に始まったアメリカの一大政治スキャンダルである。盗聴、侵入、司法妨害、証拠隠滅、特別検察官解任、大統領弾劾発議、大統領辞任と続いたが、盗聴、侵入は犯罪であり、今回の側近の不平不満とは性格を異にする。久しぶりに名前が登場したウッドワードも、老記者の健在ぶりを示したが、本人が「この本で政権は終わる」と予言するほど簡単には政権は倒れまい。ただ2か月後に控えた議会の中間選挙には民主党が下院で過半数を取る可能性が出てきており、そうなればトランプの政権運営は苦しくなる。
◎俳談
【オノマトペ】  
ざつざつとバターを塗りて立夏かな 産経俳壇一席
擬音語、擬態語のことをオノマトペという。作句に行き詰まったときはそのオノマトペ辞典を繰るとヒントが出てくる。オノマトペ俳句の名手は秋元不死男だろう。
鳥わたるこきこきこきと罐切れば
へろへろとワンタンすするクリスマス
寒卵コツと割る聖女学院
にんまりと蜂は死ぬべし雪催
石田波郷も
百日紅ごくごく水を呑むばかり
飯田蛇笏
をりとりてはらりとおもきすすきかな
それぞれに達人は趣の深い俳句を作っている。オノマトペ俳句はまず言葉ありきで作句するとよい。小学館の「日本語オノマトペ辞典」などをぱらりぱらりとめくっていると、俳句のできそうなオノマトペが出てくる。ある日パンパカパーンに巡り会った。辞典には「ファンファーレの音、晴れがましいさま」などと書いてある。では一句というわけで
遠足やパンパかパーンと弁当開け 読売俳壇一席
最近では「ゆるゆる」を発見。
さて猫とゆるゆるしよう夏衣
をものにした。
昔、背広を注文したとき生地を切る音がさくさくと聞こえた。
さくさくと羅紗切る音や春隣 毎日俳壇三席
房総に卯波を見物に行った。
老夫婦よつちらよつちら卯波見る
といった具合だ。オノマトペ俳句はなぜか楽しい。

◎石破立候補は“消化試合”か

◎石破立候補は“消化試合”か
  3年後には「岸田の壁」
 「我が胸の燃ゆる思ひにくらぶれば煙はうすし桜島山」ー首相・安倍晋三の桜島を背景にした出馬表明を聞いて、筑前(現在の福岡県)の勤王志士・平野国臣が詠んだの短歌を思い起こした。安倍が意図したかどうかは別として、薩長同盟が明治維新という歴史の舞台を回転させたことを意識するかのように、激動期の難関に立ち向かう政治姿勢を鮮明にさせたのだ。日々水銀柱の高止まりに連動するかのように安倍批判を繰り返している石破茂に対して頂門の一針を打ち込んだ形でもある。今後9月20日の総裁選に向けてボルテージは高まる一方となった。
 安倍の26日の演説は、総じて「格調」を重視したかのようであった。堰を切ったように「まさに日本は大きな歴史の転換点を迎える。今こそ日本のあすを切り開く時だ。平成のその先の時代に向けて、新たな国造りを進めていく。その先頭に立つ決意だ」と3選への決意を鮮明にさせた。その背景には自民党国会議員の大勢と、地方票の多くが安倍に向かうとの自信があるようだ。
 既に固まっている議員票は自派の細田派(94)を筆頭に麻生派(59)、岸田派(48)二階派(44)衆院竹下派(34)をほぼ確保。さらに73人いる無派閥へと浸食しつつある。今回は議員票405票、地方票405票合計810票の争奪戦だ。前回12年の総裁選では石破に地方票で大差を付けられたことから、安倍は夏休み返上で地方行脚を続けている。しかし地方票が前回のような石破支持に回るかと言えば、そうではあるまい。地方票は議員票に連動する傾向が強いからだ。前回石破に地方票が流れたのは安倍が首相になる前であったからだ。現職の総理総裁は、油断しなければ地方票の出方を大きく左右させるだろう。総裁選後足を引っ張られないためにも最低でも半分以上は取る必要がある。
 これに対して石破は自派20と反安倍に動く元参院議員会長・青木幹雄の支援を得て参院竹下派の大勢の支持を得つつある。しかし、議員票は不満分子を含めてもせいぜい50票弱を獲得するする方向にとどまるものとみられる。石破は愛知県での講演で「自由闊達(かったつ)に議論する自民党を取り戻さなければいけない」と首相の党運営を批判した。
 この石破の置かれた立場を分析すれば将来的な展望がなかなか開けないことに尽きる。なぜならポスト安倍の本命は岸田と受け止めるのが党内常識であるからだ。岸田が今回の総裁選に立候補しなかったのは3年待てば安倍支持グループの支持を得られるという計算がある。従って今後安倍が3年、岸田が2期6年やった場合、10年近く石破政権は実現しないことになる。立ちはだかる「岸田の壁」は今後ことあるごとに石破を悩ますだろう。石破派幹部は佐藤3選阻止に立候補した三木武夫が、田中角栄の後政権についた例を指摘するが、田中の場合はロッキード疑惑に巻き込まれて短期政権にとどまったのであり、慎重な岸田が高転びに転ぶ可能性は少ない。
 石破は憲法改正でも安倍と異なる路線を歩んでいる。焦点の憲法9条改正で、戦力不保持を定義した2項の扱いをめぐって対立が先鋭化しているのだ。石破は9条改正で2項の削除を主張しているのに対して安倍は2項を維持した上で自衛隊の合憲を明確化させる方針だ。「憲法改正に取り組むべきときを迎えている」とする安倍は、年内に自民党の改憲案をまとめ、来年の通常国会で発議する図式を描いていると言われる。夏の参院選挙に合わせた国民投票構想があるが、まだ流動性がある。
 いずれにしても、今回の総裁選は野球で優勝チームが確定してから行う“消化試合”のような色彩が濃厚である。なぜなら例えば石破が地方票の半分を確保しても安倍が810票の過半数を確保する流れに変化は生じないからだ。石破が得をしていることと言えば、軽佻(けいちょう)浮薄な民放テレビ番組が、まともな対立候補として取り上げ、面白おかしくはやし立てることしかない。世論調査で石破支持が安倍を上回るケースがある理由は、民放番組にある。安倍陣営は気にする必要はない。石破はなんとかしてテレビ討論を実現したいようだが、軽々に応ずる必要はない。石破を実体以上に大きく見せてしまう。やるなら両者が日本記者クラブと会見して、それをテレビが中継すれば良い。
 ◎俳談
【蚊,蚤(のみ),蠅】
頼朝の鎌倉の蚊をぽんと打つ 産経俳壇入選
 小林一茶の虫好きは極めて興味深い。とりわけ人から憎まれている蚊,蚤,蠅を多く詠んでいる。生まれ育った環境を反映してのことであろう。小さな虫たちを慈(いつく)しむ視点があるが、また蚊,蚤,蠅に托して自らの境涯を詠んだ句も多い。
通し給へ蚊蠅の如き僧一人
も、恐らく関所を通るときに作ったものであろう。有名な
やれ打つな蝿が手をすり足をする
も、観察句であると同時に、「世の人よハエのような自分を打ってくれるな」と言っているとも受け止められる。
一茶の昆虫を詠んだ句は、ある研究によると、蝶299,螢246,蚊165,蚤106,蠅97,蝉94の順だという。総じてユーモアがある。
昼の蚊やだまりこくつてうしろから 
あたりはまさに蚊の本質を突いている。蚤の句は
ふくれ蚤腹ごなしかや木にのぼる
があるが、よく観察しているものである。
蚊柱やこんな家でもあればこそ
は自嘲(じちょう)が興味深い。
それでは筆者も
「を」はをんな座れる姿蚊遣香 読売俳壇入選
文字の形から正座する女性を連想した。

◎首相、「改憲」軸に政局運営へ

◎首相、「改憲」軸に政局運営へ
  求心力維持し、来年発議の構え
 総裁3選後をにらんで、自民党総裁・安倍晋三が12日、憲法改正戦略を一層鮮明にした。改憲案の「次の国会提出」を明言したのだ。安倍の5年半を超えた政権では経済は長期にわたり景気を維持し、外交安保でも積極路線で日本の存在感を高めており、大きな失政もない。自民党内は3選で政権を継続させることに依存も少ない。9月の総裁選は、石破茂が立候補しても安倍の圧勝となる方向は事実上確定しており、求心力は「改憲」軸に維持されよう。
 新聞や民放はただ一人の対立候補石破が安倍総裁との一騎打ちになるとはやし立てるが、「一騎打ち」とは 敵味方ともに1騎ずつで勝負を争うことである。結果としてそうなったにしても彼我の力量の差は歴然としており、アリが巨像に向かう事を一騎打ちとは言うまい。なぜアリ対巨像かといえば、まず自民党内の議員勢力に雲泥の差がある。安倍支持は自派の細田派(94人)を筆頭に、麻生派59人、岸田派48人、二階派44人、石原派12人と圧倒している。石破支持は同派の20人と参院竹下派の21人程度に過ぎない。前回安倍が大敗した地方票も、安倍自身の地方行脚で基礎を固めており、支持も広がっている。陳情一つとっても石破では話が通じないからだ。今回の総裁選は、まるでプロスポーツの“消化試合”の様相だ。
 長期政権はその求心力をいかに維持するかが最大の問題となる。7年半続いた佐藤栄作政権は「沖縄返還なくして選後は終わらない」をキャッチフレーズに求心力を維持した。安倍の叔父の佐藤は72年5月の返還実現を見て、同年7月に退陣している。安倍はここに来て自民党結党以来の悲願である憲法改正を推し進める姿勢を鮮明にしている。12日の講演で「憲法改正は全ての自民党員の悲願であり、その責任を果たして行かなければならない。いつまでも議論だけを続けるわけにはいかない」と改憲発議への姿勢を明確に打ち出した。改正の焦点は「陸海空軍その他の戦力はこれを保持しない。国の交戦権はこれを認めない」という9条2項だ。まぎれおなく羹(あつもの)に懲りた米占領軍の影響下にある条項だが、独立国の常識としてまさに噴飯物の内容を構成しているといえる。
 自民党は今年の春に戦力不保持を定めた9条2項を維持した上で、「9条の2」を新設して自衛隊を明記する案を固めた。これは安倍のかねてからの主張に沿ったものだ。安倍は2項を維持した上で、自衛隊の合憲を明確にするとしている。自衛隊を憲法に明記して古色蒼然たる違憲論争に終止符を打とうとするものだ。国内の違憲論争に決着を付ける意味は大きく、世界の標準に合致することになる。これに対して石破は「2項を削除して自衛隊の保持を明記し、『通常の軍隊』と位置づける」としており、首相と「維持と削除」で決定的な差がある。石破の削除案には党内右派の一定の支持はあるが、首相案の方の支持が大勢の流れとなっている。加えて大規模災害時などに政府による国民の生命・財産の保護義務を明確にする緊急事態条項も創設される方向だ。
 自民党が総裁選での最大の焦点に改憲問題をテーマとするケースは珍しい。これは自民、日本維新の会など改憲勢力が衆参両院で必要な3分の2を占めていることが、現実味を帯びさせているのだろう。安倍戦略は、9月の総裁選を機に改憲への基盤を固め、秋以降の国会を改憲にとって千載一遇のチャンスと位置づけ、自民党の改憲案を提示し、通常国会での発議に持ち込む構えであろう。そして2020年の新憲法施行へとつなげたい考えのようだ。
 この結果、最大の政治課題は、既定路線の3選そのものにはなく、3選後に何をやるかに焦点が移行しつつあり、改憲は佐藤が沖縄返還で最後まで求心力を維持したこととオーバーラップする。ただ、連立を組む公明党は来年の参院選を控えて慎重論が強く、安倍の憲法改正発言に警戒を強めている。今後折に触れ、クギを刺したり、横やりを入れる動きを見せそうだ。野党も立憲民主党や国民民主党を中心に警戒論が高まろうとしている。
◎俳談
【歳時記を“携帯”する】
 俳句とは季語そのものを活かす短詩である。従って先に短詩を作って適当に季語を取って付けるのでは、だいたいが陳腐な句となる。あくまで「季語様」を盛り立てるのが俳句である。しかし、この熱いのに歳時記を持ち歩くのもうっとうしい。小生は長い間三省堂の「季寄せ」を使っている。ワイシャツのポケットに入る大きさで使いやすい。表紙は良質な革製で長い間使っていると皮が手の脂で磨かれ貫禄(かんろく)が出てくる。
 しかし最近では、これでも面倒になってきた。考えたら「そうだ
スマートフォンがある」と気付いた。毎日肌身離さず持ち歩くものの典型だ。案の定Web上のストアに歳時記があった。ちょっと高いが角川の俳句歳時記を買った。これで全てが事足りることが分かった。しかし俳句を書き留めるには手帳がいる。これも「i手帳」というソフトがあって、手帳の機能を全て備えている。おまけに指で文字を書けるから、いちいち面倒なアルファベットを使った書き込みなど不要だ。一句を思いついたらスマフォの手帳を開いて指で文字を書く。歳時記が必要になったらスマフォの歳時記を開く。これで万事OKだ。夏は省力に限る。
これしきはジュラ紀の冬と炎天下 読売俳壇一席

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