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◎名護市長選は「翁長王国」崩壊の前触れか

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◎名護市長選は「翁長王国」崩壊の前触れか
  沖縄に“基地論争疲れ”の傾向
 悔し紛れに沖縄県知事・翁長雄志が「オスプレーが100機飛び交って経済振興が出来るのか」と開き直ったが、時既に遅し。名護市民の選択は自公推薦の渡具知武豊であった。朝日を始め、琉球新報などの事前報道は渡具知の敗北感が濃厚であったが逆転だ。背景には沖縄有権者の“基地論争疲れ”があるような気がする。翁長の指摘とは逆に、基地論争より経済振興の選択が3400票という大差をもたらしたのだ。100機飛び交っても、政府の支援もあり経済振興は可能だ。移設推進の安倍晋三が全面支援した無所属新人の渡具知が初当選したことは、12月に任期満了を迎える沖縄県知事選に大きな影響を及ぼす可能性が高い。
   4年前委に稲嶺進が再選された市長選以来名護市民は、知事選や2度にわたる衆参両院選挙で「移設反対派候補」を当選させてきた。しかし安倍政権の辺野古移設の意思は硬く、普天間移設工事は日々進展している。安倍は「辺野古移設が普天間問題の唯一の解決策」と繰り返した。しかし安倍自身も市長選には勝てるとは思ってなかったようであり、当選後「破るのは難しいと思っていたが、勝ててよかった」と漏らしている。 
 琉球新報は“敗戦の弁”で「渡具知氏の当選は、新基地建設を市民が容認したと受け止めるのは早計だ。渡具知氏は建設を明言せず、国と対話する姿勢を示しただけ」と悔し紛れの論調を展開している。しかしこの論調には致命的な欠陥がある。それは危険極まりない普天間が明け渡されることを度外視していることだ。普天間に比べて辺野古は一種の海上基地であり、危険度は格段に低い。有権者の変化を認めたくないのであろうか。
 確かに自民党の選挙戦略は“基地問題隠し”とも言えるほど巧妙であった。応援した、官房長官・菅義偉や自民党幹事長・二階俊博、副幹事長・小泉進次郎らは、基地問題への言及を避け、名護東道路の工事加速など経済振興一点張りであった。とりわけ現職稲嶺の経済政策の失敗を繰り返し強調した。もちろん渡具知の辺野古言及は選挙期間中ゼロであった。渡具知は、1998年の沖縄県知事選で新人の稲嶺惠一が現職の大田昌秀を破り初当選を果たした際に、「県政不況」で追い込んだように、「市政不況」を稲嶺進にぶつけたのも訴求力があった。
 さらに安倍は沖縄の特殊事情を考慮して、党幹部は発言に慎重を期すよう指示した。にもかかわらず内閣府副大臣松本文明が二十六日、衆院本会議での代表質問の際、沖縄県で相次いだ米軍ヘリコプターの不時着を巡って「それで何人死んだんだ」と、馬鹿丸出しのやじを飛ばしたことは、政府・与党首脳を慄然とさせた。間違いなく選挙に直結すると判断した安倍は、直ちに辞表を提出させ、受理した。野党は慌てて追及したが、時既に遅しの状況であり、結果的に逃げ切られた。辞任しなかった場合は尾を引き、確実に敗北につながったであろう。とりわけ国政選挙で効を奏した“小泉効果”も、沖縄で通用することが分かった。小泉は告示後に2度訪沖しているが、聴衆の集まりぐあいは最高であった。これに公明党がこれまでの様子見から転じて、渡具知を推薦したことも大きく作用した。もともと政治理念のない政党だから、何か得があると踏んだのだろう。
 昨年行われた県内の市長選では、自民系候補が3連勝しており、市長選の天王山に位置づけられた名護市長選で翁長に近い稲嶺を破ったことは、秋の県知事選に弾みがつくことを意味する。自民党幹部は「今年は連勝して沖縄世論を転換する年にする」と強調している。翁長はまだ知事選への対応を明らかにしていないが、まさか自公候補が勝つとは思わなかったと見えて、内心じくじたる思いであろう。

◎俳談

◎俳談
【鍋を詠む】
みちのくの言葉短し鮟鱇鍋 毎日俳壇入選
 「中国人には鯨鍋と鮟鱇鍋を教えるな。皆食われて資源が枯渇する」というジョークがあるが、当たらずとも遠からじ。鮟鱇鍋は近ごろ皆知っているが、鯨鍋はまだ一部の通に限られている。鯨の脂身や尾の身(尾肉)などを野菜と一緒にことことと煮込んだ鍋をポン酢で食べる。まさに絶品の味である。その後、ご飯を入れておじやにする。海苔を振りかけて食べるのだ。この世のものにあらぬほどの味のかたまりがのどをすり抜けると、味覚神経がフル動員されて、過去に味わった鍋と比較する。しかし、すべてが負ける。酒は芋焼酎の水割りに限る。
 鍋は冬の季語だが、鍋のつく季語は種類も多く、バラエティに富んでいる。ふぐちりも鯨鍋のつぎにおいしい。築地の東京タワーを遠望する店がうまかった。
ふぐちりや東京タワーを遠望す 東京俳壇二席
何も食べているときだけを詠む必要は無い。食材そのものを詠むケースも多い。
吊り鮟鱇人すれすれに通りけり 毎日俳談入選
狭い道での鮟鱇の吊るし切りを詠んだ。
 やはり人生に絡めると深みが出る。
湯豆腐にふと借命の思ひかな 東京俳壇入選
湯豆腐のあまりのうまさに長生きしたくなったという意味だ。冬の鍋ほど俳句に適している食事はあるまい。

◎中国、対日関係改善で突破口狙う


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中国、対日関係改善で突破口狙う
  日中友好条約40周年で習近平来日か
 筆者がかねてから指摘してきた極東冷戦の構図が、新年になっていよいよ鮮明になった。米中関係は11月のトランプ訪中による蜜月関係から一転して険悪とも言えるムードとなった。これを受けて米国防戦略も2008年以来の「テロとの戦い」から「中露との長期的な競争」へと大転換した。日米同盟は好むと好まざるとにかかわらず、その中核に位置づけられる。中国は対日接近で日米豪印による「インド太平洋戦略」の包囲網を突き崩そうとしている。対中関係は改善に越したことはないが、中国の“意図”を見据えた対応が不可欠となろう。しかし、首脳間の交流は推進すべきであり、習近平の来日は欠かせない重要テーマだ。
 外相河野太郎の訪中は一定の成果を収めたが、中国側の出方は「日中友好条約締結から40年の節目」が合い言葉のようであった。首相李克強を始め国務委員楊潔チらが口をそろえて「40年の節目」を口にした。中国政府内部のの「口裏」合わせがあった事は間違いない。中国を取り巻く情勢を見れば、北朝鮮は言うことを聞かないし、韓国とも良好ではない。米国ともうまくいっていない。東アジアでは孤立しているのが実態だ。中国は国内的には貧富の差が拡大して国民の不満が募り、共産党が否定してきた階級社会が実現しつつある。内政外交共に矛盾を抱える中での対日接近であろう。首相・安倍晋三は背景を理解して対中外交を展開するチャンスである。
 安倍は施政方針演説で「自由で開かれたインド太平洋戦略を推し進める。この大きな方向の下で中国とも協力してアジアのインフラ需要に応える」と言明した。中国の基本路線は「一帯一路」にのっとった世界戦略にあるが、安倍が最初に提案したインド太平洋戦略はこれに対峙する性格が強い。従って安倍演説は矛盾を帯びながらの現実路線と言える。日中関係は尖閣諸島の領有権問題を抱えるだけに、この急所をあえて突かずに関係の改善を進めるしか方法はあるまい。昔田中角栄が周恩来との会談で尖閣諸島の領有権問題を事実上「棚上げ」して日中関係を劇的に好転させたのが歴史の教訓であろう。
 一方米国は対中関係を180度変更させた。昨年11月のトランプ訪中では蜜月を謳歌したものだ。トランプが「中国の人々との友情は今後強化され続ける」と友好をうたえば、習近平は「米中関係はライバルではなくパートナーだ。関係発展の潜在力は無限だ」と答えた。その後、たった二か月で急転直下舞台は暗転した。米国は昨年末には「国家安全保障戦略」で、米国第一主義に基づく「強いアメリカ」確立を目指す姿勢を前面に押し出した。そして中国とロシアを国際秩序の現状を力で変更しようとする 「修正主義勢力」と位置づけた。
 ついで国防相マティスが1月19日に発表した「国家防衛戦略」では「米国と中国およびロシアとの大国間競争への回帰」を明示した。同文書では中国を、米国の覇権に挑戦する最大の脅威とみなし、「対テロ」から、中国とロシアとの長期的な「戦略的競争」に備える方針を打ち出した。文書は「中国は地域的な規模で米国の主導的地位に取って代わろうとしている」と情勢を分析。さらに「中国、ロシアとの長期的な『戦略的競争』が国防総省の最優先事項となる」として、同盟関係の強化を強調している。この米国の強硬方針の背景にはマティスがアジア・太平洋地域担当の国防次官補にランドール・シュライバーを抜擢したことも背景にあるようだ。シュライバーは台湾との関係が深く、中国の軍拡や対外政策に否定的な立場である。米国が、中国の東シナ海や南シナ海問題などに対して、強硬姿勢で臨む姿勢を鮮明にした人選と言える。
 これに対して中国は猛反発したことは言うまでもない。国防省のホームページで「事実をねじ曲げ、中国の国防力を誇張している。米国が冷戦時代への指向を捨てるよう希望する」と批判。それでもたりないとばかりに国防省報道官任国は「アメリカの国防戦略は事実を顧みず、中国脅威論を誇張し、事実に基づいていない」と口を極めて断定した。
今後の中国の対応は、トランプ政権が中国と対峙するなら、ロシアとの関係を一層深め、同時に「インド太平洋戦略」の国々を一つ一つ籠絡して、無力化を図ることになろう。ただ主要国のうち米国は対峙の中心であり、中国が懐柔することは難しい。豪州も親中派とみられていた首相ターンブルが安倍との会談で、方針を一転。海洋進出の中国を念頭に「太平洋やインド洋など海上の安全保障の協力強化」で合意した。日米豪印の枠組みでの連携も確約した。インドは中国と国境を接しており、歴史的にも戦略的にも相容れない傾向が強い。だから中国は、対日関係を良好に保ち、長期的な視野で連携を崩しにかかるしかないのだ。その最大の“呼び水”が対日首脳外交だ。その具体的戦略は、まず日中韓の首脳会談を春に開いて李克強が訪日する。親密度を深めた上で、習近平が訪日して関係を最良のものとする。既に1998年の日中平和友好条約締結20周年では、江沢民が史上初めての中国国家主席として公式に来日、30周年に当たる2008年には胡錦濤が来日している。となれば40周年の今年中の来日が実現する公算が大きい。日中それぞれの思惑が錯綜するが、首脳間の交流で対話を深め、関係を前進させるのが最良であり、何としてでも実現させるべきだ。

                      

◎俳談

◎俳談
北塞(ふさ)ぐことは浅間が見えぬこと 東京俳壇入選
 「北塞ぐ」季節となった。北塞ぐとは冬に北側の窓を塞ぐことをいう。「北窓塞ぐ」とも言う。去年の夏浅間山の南にある友人の別荘に滞在した。北の窓を開けると雄大な浅間が眼前にそびえて、素晴らしい風景であった。その北の窓も今頃は閉めて、くぎ付けしていることだろう。都会の住宅でも冬は北窓は閉じて、鎧戸を下ろす。拙宅も春まで締めっぱなしだ。
妙齢の北窓閉めてしまひけり 産経俳壇入選
 この句は、学生時代の通学路でときどき美人が窓から顔を見せていた邸宅が、雨戸を閉めっぱなしになってしまった落胆ぶりを表現した。片山由美子の句に
こころにも北窓のあり塞ぐべし
がある。俳句は季語と心を通わすことが何よりも必要である。今回の例句はすべて単なる観察句ではなく、心が通っていると思う。季語に心情を絡める。これが作句のこつだ。
春には「 北窓開く」という季語がある。

◎極東情勢を見据えた訪韓決断



◎極東情勢を見据えた訪韓決断DSC_3545(1).jpg
 米WHからの働きかけも考慮
 「恨」を背景に“ちゃぶ台返し”の文
 首相訪韓に否定的であったお膝元の官邸の思いと安倍は、180度違う決断である。安倍が9日のオリンピック開会式に出席の方針を明らかにした。韓国大統領文在寅にとっては思わぬ順風が吹いたことになる。文は日米中露の「周辺4強国」に出席を求めたが、米中露はトップが出席しないため、安倍の訪韓でメンツが立つからだ。日韓関係のみならず、日米関係にとってもプラスになる。しかし、安倍にとって注意が必要なのは、保守系の支持者のコアの部分を毀損しかねない要素があることだ。自民党合同部会は反対が圧倒的で、賛成の声はゼロ。首相就任以来始めて“反乱”が起きたことになる。一般議員らは、その判断において、幹事長ら幹部と大きな温度差を見せている。リスクをとる訪韓自体も、首脳会談の重要ポイントでは事実上の平行線に終わる公算が高く、場合によっては訪韓の意義を問われる。安倍にしてみれば「虎穴に入らずんば虎児を得ず」の心境だろうが、韓国の虎穴に虎児はいるかと言えば、見つけるのは難しい。「寅」はいる。
  まず、訪問される側の韓国の新聞論調は歓迎一色かといえば、むしろ裏を読んで懐疑的だ。中央日報は24日、「安倍首相が平昌行きを決めるうえでの最後の障害物は、自身を支持する保守層の強い反対論だったはずだ。24日の朝刊で安倍首相の平昌行きを報じたのは保守系の産経新聞と読売新聞だけだった。その中でも特に産経新聞のインタビューを通じて自身の決断を詳しく明らかにしたことについては、保守層の支持者に向けて一種の説得を試みたと解釈出来る」と分析。朝鮮日報も「安倍首相が述べたように、文大統領との会談で慰安婦合意をめぐる韓国政府の新方針に抗議することで韓日関係が今以上に悪化するのか、または関係改善の糸口となるのか」と懐疑的だ。
 たしかに、安倍は「会談で言うべきことはいう」旨宣言している。その言うべきこととは、「慰安婦問題をめぐる日韓合意について韓国が一方的にさらなる措置を求めることは受け入れることはできない。」である。また、在ソウル日本大使館前の慰安婦像撤去についても「当然強く主張することになる」としている。日本国民としては当然支持するだろう。しかし、韓国民はその民族的な性格の根底に「恨(はん)」というゆがんだ感情をもっており、周辺の大国よりおおらかではない。従って首相発言がこの反日感情をかき立てる側面は否定出来ない。韓国紙も手ぐすね引いて待ち構えており、安倍発言は、感情的な反発を煽る可能性がある。それをすり抜けるのはラクダを針の糸に通すほどむづかしい。知恵の出しどころだ。
 安倍が決断に至った、重要な要素はトランプからの働きかけがあったとされる。トランプ周辺から、「アメリカは副大統領を出席させる。安倍さんも出席して韓国大統領を北になびかせないように一緒に警告と説得をしようとの話があった。」という事のようだ。日韓のみならず、日米関係も視野に入れた決断であった。背景には極東情勢全般を見据えた総合判断があったような気がする。
 しかし、安倍が訪韓して何を言おうと、朴槿恵との間でかわした日韓合意順守の線にまで文が戻ることはないかもしれない。「最終的不可逆的合意」などは文にしてみればどこ吹く風だ。文の新方針は、日韓合意には内容及び手続き面で重大な欠陥があるとして、「日韓合意では問題の解決がなされない」との立場だ。ただ「日韓合意は公式な合意だった事実は否定できない」として日本政府に合意の再交渉を求めないとししつつ、慰安婦の尊厳の回復や心の傷を癒す努力を続けることを日本政府に要求している。さらに日本政府が支払った10億円は韓国政府の予算から充当するという。施しは受けないというわけだ。文は「日本が心をこめて謝罪してこそ被害者も日本を許すことができ、それが完全な慰安婦問題の解決だと思う」と述べている。要するに日韓合意をちゃぶ台返しして、またも「謝れ」と言っているのだ。
 このスタンスは文の支持率が73%と高い最大の要素となっており、安倍の訪韓で、方針を変えることはあり得ない。これは、文が確信犯的な左翼思想の持ち主であり、北との和解で、日米韓連携にあえてひびを入らせている事実から見ても分かる。したがって両者の会談は平行線をたどる可能性が高い。韓国側からすれば安倍の訪韓が韓日関係正常化の証拠となり、国内的にもプラスの要素が多い。
 ただし、両者共、首脳会談を失敗に終わらせる印象となることは避けるだろう。その打開策としては日韓首脳の対話の継続だろう。既に両者は昨年7月の会談で相互にトップが訪問するシャトル外交を決め、最初は文が同年中に訪日することになっていた。にもかかわらず安倍訪韓が先行するのは文にとっても悪い気はしまい。日韓シャトル外交は2004年7月の済州島を手始めに始まったが、中断している。今度は文に訪日の時期を明示させることが肝要だ。さらに安倍は、文を北朝鮮への傾斜から日米韓の連携に戻したいのだろう。内容はともかく「連携重視」といった“合い言葉”ではまとまるだろう。
 皮肉なことに韓国側は、安倍が産経に開会式出席を表明した23日に、女性家族部長官の鄭鉉栢が「慰安婦合意」によって組織された「和解・癒やし財団」を年内に解散させ、「慰安婦歴史館」を発足させる方針を表明するなど、政府レベルでの反日行動を維持する方針を明らかにしている。これを知っていたら安倍は訪問をちゅうちょしたかも知れない。官邸の情報収集機能の問題でもある。要するに一筋縄ではいかないのだ。
 こうした状況を自民党の一般議員らは、親韓の二階ら幹部と異なりよく理解しており、24日に開いた「日本の名誉と信頼を回復するための特命委員会」と外交部会の合同会議では、五輪開会式への安倍の出席について反対意見が噴出した。出席者からは「国民の多くが慎重論なのに首相が訪韓すると、国民の支持が離れていく」との発言が出された。確かに、安倍の支持率にとっては訪韓はマイナスに作用するだろう。保守層のコアの部分の神経を逆なでする可能性が高いからだ。さらに部会では「訪韓の成果が見込まれない。国民を説得できない」との声が上がったが、これももっともだ。安倍の文への大接近を選挙民に説得する事は難しい。「政治利用されるだけだ」との認識も説得力がある。出席した約40人から訪韓を支持する意見は出なかった。安倍は二階や公明党の訪韓論に惑わされて、一般議員らの慎重論を見逃していることになる。官邸は今後一般議員との接触を密にして、説得に力を傾注すべきだろう。


     

◎俳談

◎俳談
【人生と枯蟷螂】
枯蟷螂(かれとうろう)翅を広げしままとなる 毎日俳壇入選
 若いうちはそうでもないが、年を取ると己の人生と動植物やさまざまな事象などを比較したくなるものである。俳句ではその好例が枯蟷螂であろう。枯蟷螂は冬の季語だ。昔の人はカマキリも草木と同様に緑のカマキリが枯れて茶色に変化したと考えた。実際には種類が違うのだが、そう考えても不思議はない。掲句は庭の枯蟷螂が翅を広げたまま息絶えていたのを見て作った。死を直面するのに枯蟷螂は良い材料となる。
枯蟷螂死に場所と決め動かざる 杉の子
枯蟷螂にその意思はないが、あたかも自ら死に場所と決めたが如く詠んだ。次の句は自分が死んでも他の生命は残っていることを詠んだ。
枯蟷螂死して好餌の過ぎゆけり 杉の子
観察句ですぐれたものを挙げるならば山口誓子の
蟷螂の眼の中までも枯れ尽す
であろう。よほどの観察力がないとここまでは言えない。

◎「トランプ政変」は五分五分

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◎「トランプ政変」は五分五分
  テレビを見てはツイートの危険
 安倍は良好な関係維持を
 米ドナルド・トランプ政権は20日2年目に入ったが、過去1年は税制や規制、そして経済に関する公約の多くがおおむね企業に歓迎された。雇用も順調だ。一方で政府機関は閉鎖され、1年間の高官大量退任は記録的だ。トランプの性格を反映して政権の政治の振幅の差の激しさを物語っている。しかし、2年目は中間選挙を意識した議会民主党の攻勢は避けられず、ロシアゲート事件も佳境に達する。大統領弾劾問題もささやかれており、波瀾万丈が予想されるが、これが「政変」という事態に直結するかは五分五分だろう。
 順調な経済については「オバマの遺産」との見方もあるが、遺産だろうが何だろうがトランプはついており、「つきも実力のうち」と見るべきだろう。政府機関も一時的に閉鎖されたが、米経済は難無くやり過ごすだろう。2013年10月に2週間の閉鎖に追い込まれた際、同年10-12月期の経済成長率が約0.5ポイント下押しされただけだった。それに先立つ1990年代半ばの閉鎖も経済は順調な足取りで進んだ。今回も一過性だろう。
 しかし、トランプの政治を分析すると、組織を動かすというより、自らの直感を元に重要判断を下しているかのように見える。その象徴が“テレビ頼り”とも言える政治手法だ。最近のトランプは執務室にいる時間が急激に減り、一日4時間、時には8時間も寝室にこもっている。もちろん睡眠をしているわけではない。何をしているかといえば、テレビを3台持ち込みニュースを見る。そのニュースを根拠に友人に電話したり、ツイートする。ツイートは一日平均7、8回に達し、物議を醸す内容が多い。ツイートは政治外交の全てに渡るが、時には「私について何も知らず、なんの関わりもないのに、私についての本や主要記事を書いている人々は見ていて大変面白い。フェイクニュース!」と言った具合にメディアを攻撃する。総じて指導者は、隙を見せることを恐れて常時自分の立場を明確にすることを避けるが、トランプはその逆だ。全てをあからさまにして身をさらしている。その割には致命的な失言事件に発展しないのは、ギリギリの抑制が利いているのだろう。上級顧問のクシュナーはこの姿について「自分のやり方に固執しており、今後も決して変わらないだろう」と予言している。もっとも「便所のような国」発言が象徴するように、病的とも言える舌禍癖が、自らの身に災いする可能性は大きいだろう。
 しかし、今年トランプを待っているのは生やさしい問題ではない。ロシアゲート事件と中間選挙だ。ロシアゲートは佳境に入っている。検察のロシア政府による米大統領選干渉疑惑の捜査が進む中、特別検察官モラーの捜査は昨年末前大統領補佐官のマイケル・フリン被告が連邦捜査局(FBI)捜査官への虚偽の供述を認めて司法取引に応じたことで、大きく前進した。現在は娘婿クシュナーや長男のトランプジュニアへと向かいつつあり、その先にはトランプへの直接尋問も予想されている。一部メディアはクシュナーが政権を去ることを予測する報道まで出ている。ニクソンのウオーターゲート事件をほうふつとさせる「大統領の犯罪」が暴かれかねない状況なのである。
 米議会の中間選挙は11月だが、3月から候補を選ぶ予備選挙が始まる。上院の改選者数は3分の1の35議席。下院は435議席全てが改選となる。現在の議席配分は上院が民主党49,共和党51,下院は民主党193,共和党238だ。上院35議席の内訳は民主党26,共和党8議席であり、民主党は守りの選挙となる。一方、下院は天王山となる。下院は現在共和党が40議席上回っているが、苦戦を強いられる。なぜかといえば共和党は引退するベテラン議員が多いからだ。現段階で20人が引退、転出を含めると30人を超える。
 トランプが失政をすれば、大きく共和党票に影響が出る。下院で民主党が過半数を制すれば、法案や予算の審議に相当支障が生ずるうえに、トランプの公約は実現が極めて難しくなる。さらに重要なのはトランプ弾劾の動きが生ずる可能性が高いことだ。米議会における弾劾の仕組みは、下院が大統領を含む連邦官吏の弾劾訴追権を持ち、上院は大統領と連邦官吏の弾劾裁判権を持つ。下院が単純過半数の賛成に基づいて訴追し、上院が裁判し、出席議員の2/3の賛成で弾劾を決定する。過去にはクリントン大統領が、下院により弾劾訴追されたが、上院における弾劾決議は成立しなかった。ウオーターゲート事件のニクソンの場合は上下両院とも可決が可能となったのを見て、自ら辞任した。副大統領は大統領職を継承する順位で第1位となっている。
 したがって中間選挙の結果次第では、トランプが窮地に陥る可能性が十分ある。ニューヨークタイムズ紙は「歴代大統領は米国という大国をどう率いるかで戦ったが、トランプは自分を守ることで戦っている」といみじくも看破している。したがって上院議員リンゼイ・グラハムのように「1年過ぎたが、最悪の事態からホームランまであらゆる可能性がある」と予言する向きも出ている。もっとも日米関係は大統領が誰であろうと良好な関係を保つことが重要だ。テレビの評論家の中には安倍がトランプと親密であることを批判する空気が生じているが、外交を知らない証拠だ。例えば田中角栄がロッキード事件で窮地に陥っている最中でも、大統領フォードは来日している。外交と国内事情はわけて考えるべきだろう。安倍・トランプの良好な関係は国益そのものであり、これまで通り維持すべきことは言うまでもない。

◎俳談

 ◎俳談
【擬人法は至難の業】  
一湾の夜寒の集い来るごとし 産経俳壇入選
 初心者のうちはよく擬人法を使う。擬人法とは自然や動植物を人に見立てて表現することを言う。明治以来擬人法は月並み句の典型とされてきた。月並み句とは駄句のことである。それくらい擬人法は難しいのだ。それを初心者が使うのだからうまくいくはずがない。
掲句は相模湾の夜寒を表現した。夜寒が人の集会のように「集い来る」と表現したのだ。夜寒を二度も三度も感ずる秋の夜を表現した。
いまや目になりしルーペや冬日和 東京俳壇入選
ルーペが目になったという擬人法だが、意外性で成功した。
悪い例を挙げれば
油蝉一服したる閑(しず)けさや
油蝉が一服しているから閑かだと詠んでいるが、軽い上に陳腐だ。
明治時代を代表する俳人、正岡子規も、擬人法を駄句の典型として退けている。
しかし、短歌ではこれが許される。与謝野晶子には
金色のちひさき鳥のかたちして銀杏(いちょう)散るなり夕日の丘に
と有名な短歌があるが、何の違和感もない。しかし俳句のような短詩では無理があるのだ。ところが芭蕉も擬人法の名句を作っている。
さみだれをあつめて早し最上川
がそれだ。最上川が五月雨を集めているというのだから、擬人法の典型である。しかし100万人に1人も出ない天才俳人の真似を初心者がするのは滑稽の部類だ。

◎安倍は五輪開会式に出席すべきではない

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◎安倍は五輪開会式に出席すべきではない
 支離滅裂な文外交に付き合う義理もない
 二階は「出席」で独走するな
 韓国大統領文在寅の外交能力を疑う事態が続いている。相手に後ろ足で砂をかけて怒らせておいて、冬季五輪開会式に出席せよはない。米中首脳は2月9日の五輪開会式に出席せず、プーチンはもともと出席しない。朝鮮半島に関わりを持つ大国がみな出席しないのに、慰安婦合意を毀損された首相安倍晋三が出席しなければならない理由はない。大体首相が不在の時に自民党幹事長二階俊博が出席の既成事実を作るかのように行動するのはおかしい。この際、米中露に“歩調”を合わせて、首相・安倍晋三も出席する必要はないのだろう。
 文在寅はまるで習近平に泣きつくように二度に渡って直接開会式出席を要請した。しかし、習はこれに応じず、政治局常務委員の韓正を派遣することを決めた。韓正は常務委員といっても序列最低の7位であり、中国が冬季オリンピック出席をいかに重視していないかを物語る。習近平の欠席は冬季五輪ごときに国のトップが出席する必要はないとの判断が働いているのに加えて、極東情勢が大きく作用しているようだ。その最大の象徴が韓国への戦域高高度防衛ミサイル(THAAD)配備である。中国は配備が極東戦略を大きく変えるものという認識で反対したが、文は踏み切った。加えて中国には何ら相談することなく、北との五輪合意である。習にしてみれば、訪韓して下手なコミットは出来ない立場にあり、文は深い外交的な考察のないまま、出席を要請して袖にされたのだ。
 トランプは最初から出席を考えていなかったといわれ、副大統領ペンスの出席にとどめた。これも大統領が出席するような事ではないとの判断がある上に、国内政局に火がついており、その暇はないというのが実情だ。プーチンは国際オリンピック委員会(IOC)から、ドーピングスキャンダルで選手団の正式派遣を拒否されており、出席しようにも出来ないという実情がある。ヨーロッパはフランス大統領マクロンらが出席する。対韓外交重視というより選手激励が主目的だ。
 そこで安倍が出席するかどうかが焦点だが、安倍は東欧歴訪中の記者会見で出席の可能性を問われ「国会の日程を見ながら検討したい。一日も早い予算案の成立が最大の経済対策」と発言した。同行記者団は概ねこの発言をネガティブに感じたようだ。そもそも慰安婦合意は「不可逆的」なものとして、日韓双方が確認している。日本側は安倍首相名で「心からのおわびと反省の気持ち」を表明。韓国政府が元慰安婦支援のため財団を設立し、日本政府は10億円を拠出した。この措置の着実な履行を前提に「問題の最終的かつ不可逆的な解決」を確認しているのだ。外相河野太郎が「さらなる措置は全く受け入れられない」と言明したのは当然だ。
 朴槿恵政権はソウルの日本大使館前の少女像について「適切に解決されるよう努力する」と約束した。しかし、文政権になってからは合意などどこ吹く風、慰安婦「平和の少女像」に続き、強制徴用労働者像までがソウル近郊に設置される動きが生じている。慰安婦への10億円も、韓国が分担すると言いだした。つまり、新方針で日韓合意は文のちゃぶ台返しにあったことになる。こうした中で安倍政権内部は出席論と欠席論が交差している。二階は「五輪も国会も大変重要な政治課題だ。うまく調整の上、(両方)実現できるよう努力したい」と述べ、首相の平昌五輪出席に含みを持たせた。しかし二階はいかに親韓派でも、ここは出席しないのが大局判断ではないか。自分と韓国の関係を政治に反映させてはいけない。韓国から陳情を受けたに違いない。そもそも首相の不在中に重要な政治判断事項で既成事実を作るのは、越権行為だ。幹事長代行の萩生田光一は17日のラジオ番組で、開会式には五輪担当相鈴木俊一と文部科学相林芳正が出席するとの見方を示したが、その程度でとどめておくのが正解だろう。。
 だいいいち来月9日金曜日の開会式といえば、国会は予算委審議の最中である。開会式は夜の8時から4時間も行われるから、国会審議を休めば不可能ではない気がする。しかし、急ごしらえの会場は屋根がなく、選手も観客も吹きさらしに晒される。平昌は2月の平均気温がマイナス8.3度という極寒地だ。同会場で11月4日に催されたコンサートでは低体温症で5人が緊急搬送されたという。
 要するに安倍は、日本の国内世論が文の仕打ちに圧倒的に批判的であり、出席しても焦点は、南北合同チームの入場行進であり、チャラチャラ女が踊る北朝鮮のパフォーマンスばかりが目立つような開会式に出席するメリットはない。文はアイスホッケーチームがどっちみち強くないことを理由に、北との合同チームを結成する方針のようだが、これこそスポーツの政治利用であり、オリンピック憲章のイロハを知らない。国内の猛反発は当然だ。文の言動は日米韓の包囲網や国連制裁決議を毀損しかねない要素がある。包囲網に穴を開ける北の巧妙な外交に乗せられつつあるとしか思えない。河野が「北朝鮮が核・ミサイル開発を続けている事実から目をそらすべきではない。国際社会の分断を図ろうとしている」と看破している通りだ。日本の首相が文の支離滅裂な低級外交に付き合う暇はないし、義理もないのだ。  

◎俳談

◎俳談
【暖かい句】
小児科の老医叱りてあたたかし 月刊俳句秀逸句
 俳句ほど人柄を現す文学は珍しい。またその人柄を躊躇せずに出すべきなのが俳句だ。
 奥の細道の曾良の句に
かさねとは八重撫子の名成(なる)べし
がある。那須野が原にさしかかった芭蕉一行の後を、どこまでもついてくる童女がいた。名前を聞くと「かさね」と答える。「聞かぬ名の優しければ」と作った句である。情景がほほ笑ましいが、曾良の暖かい人柄が見える句でもある。
 筆者も会社では怖がられていたが、本当は温かい人であった。だから時々我ながら暖かい句を作る。掲句がその代表である。なにも暖かくないのに暖かい句を作る必要は無い。繊細なら繊細なりに、図太ければそれなりの句を作るのだ。名は体を表すように、句は体を表す。まず自らの性格を分析して“得意”の分野を思い定めるべきであろう。
この庭に命を繋ぐ蜥蜴かな 毎日俳談3席
生きとし生けるものへの暖かい眼差しから作った。
湯湯婆(ゆたんぽ)と書けば笑へるなあ婆さん 読売俳壇1席
家庭の暖かさを出した。
母の暖かさの句は何と言っても中村汀女だ
あはれ子の夜寒の床の引けば寄る
咳の子のなぞなぞあそびきりもなや

◎ウインフリーは米政治救いの女神か

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 ◎ウインフリーは米政治救いの女神か

  大統領選出馬説が台頭
 トランプは発言癖がダメージ
  典型的な保守派で共和党寄りの立場をとっている米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙が社説で「ウィンフリー氏、トランプ氏を追い出す?」「次期大統領選の民主党候補になるとの憶測が急浮上」と書いている位だからフィーバーは相当なものだろう。米大統領としては異常なまでにその醜い発言のボルテージを高めているトランプに米国民が辟易としていることを物語る。ウインフリーといえば米国人が好む立志伝中の人であり、立候補すればトランプを脅かす存在になることは確実。本人はやる気かどうかの明言を避けているが、今年11月の中間選挙を経て、民主党が予想通り上下両院で勝てばウインフリーは出馬し、トランプの任期を4年で終わらせるとの見方が強まっている。
 「オプラ・ブームも、ハリウッドのような熱しやすい『ドリーム・ファクトリー(夢の工場)』による希望的観測にすぎないのかもしれない。だがその可能性を前に硬派でプロフェッショナルな民主党関係者でさえ胸をときめかせてしまう理由も分かる。」とWSJ紙が書く63歳のウインフリーは、典型的な黒人の貧困家庭に生まれた。9歳の頃には親戚に強姦されるなどの性的虐待を受け、14歳で妊娠し、出産している。産まれた子供は1週間後に病院で亡くなっている。19歳でローカルテレビのニュースの仕事に従事してマスコミ界に入り、32歳の1968年にテレビの「オプラ・ウインフリー・ショー」を立ち上げ、この番組は2011年まで続いた。弁舌の鋭さ、知性の高さでマイノリティーだけでなく、白人女性層にも広範に支持されている。ウィンフリーの資産額は現在、28億ドル(約3100億円)に達している。「出馬コール」に火がついたのは7日のゴールデングローブ賞授賞式。黒人女性として初めて生涯功労賞を受賞したオプラ・ウィンフリーが自らの経験に裏打ちされた性的暴力の被害者への連帯を示す力強いスピーチを行い、出席者から何度も熱狂的なスタンディングオベーションを受けた。
  出席した俳優や音楽家らからは、レディ・ガガが「オプラが大統領選に出馬すれば支持する」と言明すれば、「ゴッドファーザー」のロバート・デニーロは「世界は裸の王様の馬鹿を見ている」とトランプをこき下ろし、出馬を促した。そのトランプの発言の醜さ、幼稚さは病膏肓とも言える段階に入った。枚挙にいとまがないが最近ではハイチを「便所」と誹謗した例だ。トランプは議員らに「なぜ便所のような国(shithole countries)の出身者を来させたいのか。ノルウェーのような国の人々を受け入れるべきだ」と発言した。これは明らかに人種差別であり、自由と法の下での平等を高らかにうたった合衆国憲法に大統領自ら違反するものである。またWSJ紙によると2016年の米大統領選の1カ月前、トランプの顧問弁護士の1人が、トランプと性的関係を持ったとされる元アダルト映画女優に対し、口止め料として13万ドル(約1440万円)支払う約束をしたという。ロシア疑惑も増す一方だ。
 こうした発言や行動が繰り返されるたびに、米国民の多くの視線がウインフリーに向けられ始めた。トランプ陣営はオプラが政治の素人である点を指摘しているが、これこそトランプにそのまま返される言葉だろう。WSJ紙は社説で「選挙戦で有権者をどう説得するかが課題だが、ウインフリーが出来ないと断言するのは愚か」と書いている。米大統領には現職政治家や、経営者、企業幹部などが当選するケースが多いが、全くの素人に見える候補も当選している。トルーマンはミズーリ州カンザスシティで洋品店を営んでいた。ジミー・カーターは、農場主だった。レーガンはハリウッドの俳優だった。いずれも優秀な大統領であった。政治面では未知数であっても、政治力は素質があれば育つものだ。
  トランプはウインフリーが強敵になり得ると感じてか、早くも「オプラなら私は勝てる。相手がオプラなら面白い。ただし出馬するとは思わない」と牽制球を投げ始めた。臆面もなくトランプは「人生を通じて、私の最も大きな長所は、 安定した精神と、そして、何というか、とても頭が良いということだ」「私は大成功を収めた。実業家からトップのテレビタレントとなり、そして米国の大統領になった。私が思うに、これは頭が良いというよりも、天才と呼ぶに値するだろう。しかも、非常に安定した天才だ!」と述べた。この発言はデニーロの「裸の王様の馬鹿」と言う形容が何とふさわしく見えることだろうか。自分を天才と思い込む病気には「自己愛性パーソナリティ障害」がある。ありのままの自分を認めることができず、自分は優れていて素晴らしく特別で偉大な存在でなければならないと思い込むパーソナリティ障害の一類型である。これが実際にトランプに当てはまるかどうかは分からないが、その危険を感じさせる大統領は危険な存在であろう。14日にも懲りずにトランプは「私は大統領として、わが国が再び強く偉大な国になるのを助けようとする人々がわが国に来ることを望む。移民の能力に基づいたシステムを通じてだ。ビザ抽選制度はもういらない!」とツイートしている。もはや確信犯だ。
 とにかく何をやるか分からない異常性を秘めていることがトランプの一年で分かった。国務、国防両相やホワイトハウス内の良識の“歯止め”がかかっているうちはよいが、いつ歯止めがかからなくなるか分からない状況に世界は置かれている。公共ラジオNPRの世論調査によると大統領選でトランプとウィンフリーが対決した場合、どちらを支持するか聞いたところ、ウィンフリーが50%で、トランプの39%を上回った。この差は今後トランプの奇想天外発言が繰り返されるたびに開くことが予想される。それにしてもあと3年もトランプと世界は付き合わなければならないのかと思うと、うんざりする。

 

◎俳談

◎俳談
【一句一季語の鉄則】
房総の卯波とどろき月上る   毎日俳談1席
 掲句は鈴木真砂女の故郷である千葉県鴨川市の旅館に宿泊したときに作った。房総半島の卯波がとどろくものであることを初めて知り、感動したものだ。ここで注目すべきは卯波は夏の季語であり、月は秋の季語である。俳句では一句に二つの季語を使うことを季重なりとして戒めているが、これは季語同士が同等の力を発揮するときに限る。強弱がついていれば違和感がない場合が多い。掲句は本旨が房総の卯波のとどろきを驚異の念をもって受け止めたものと分かり、月はいわば補完作用を及ぼしている。こういう場合は許されるケースだ。芭蕉にも季重なり句はたくさんあるが代表句が
春なれや名もなき山の薄霞      芭蕉
 春と春の季語の「霞」がバッティングしている。これも名もなき山の薄霞を「春なれや」が補完してをり、許容範囲である。しかし初心者のうちはまだその強弱を判断出来る能力に欠けるから、一句に二つの季語を絶対に使わないよう習慣づけるべきである。一句一季語が鉄則とまず肝に銘じなければならない。

◎北、融和攻勢で日米韓分断図る

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 ◎北、融和攻勢で日米韓分断図る
  韓国は“やらずぶったくり”に遭う
 「時間稼ぎ」が見え見えの北戦略
  キーワードは「時間稼ぎ」に過ぎまい。微笑外交で韓国を油断させ、オリンピックの滞在費をむしり取り、国際社会を朝鮮半島緊張緩和の“一炊の夢”にひたらせる。隙あらば日米韓の連携から韓国を引き離す“くさび”を打ち込む。この北の攻勢に、融和路線の左翼大統領文在寅の顔は、テレビに出るたびに負けそうな印象をもたらす。甘っちょろくて見ていられない。北はここを先途とばかりに日米韓連携の最大の弱点である文を突く。「民族自主」を主張する北のペースに、文は、はめられた感じだ。そこには日米韓の連携に何としてでもくさびを打ち込みたい北の思惑が明確に存在する。そして米本土に到達する大陸間弾道ミサイル(ICBM)を完成させるための時間稼ぎをする。これが北の戦略だ。
 南北会談は7対3で北の勝ちだ。北はオリンピック参加という錦の御旗で韓国をひざまずかせた。一方で、失うものはゼロだ。オリンピックには選手団、応援団、高官級代表団を送ることが確定した。一方で韓国側が要求した朝鮮半島非核化の推進には、強い不満を示して合意どころではなかった。北は一大プロパガンダの場としてオリンピックを政治利用する。場合によってはオリンピック代表団に金正恩の妹の金与正を送り、トランプの娘のイバンカが列席すれば会談を実現させるところまで考えているかも知れない。
 北は表には出ていないが米韓がオリンピック後まで延期した米韓軍事演習の中止に言及した可能性も否定出来ない。今後軍の当局者同士の会談が行われることになったが、ここでは間違いなく軍事演習の中止を要求するだろう。文在寅は北と米国に挟まれて苦渋の選択を求められる。おまけに北は経済支援などを韓国側に要求する可能性が強い。文が応ずれば国連制裁決議が崩壊する危険をはらむことになる。北は9月に建国70周年の節目を迎える。景気づけのために、まだ未完成な段階にあるICBMの実験をする必要がある。米本土に到達させるには大気圏再突入技術を確立する必要があるのだ。そのためにはこれまでの通常よりも角度を上げて高く打ち上げるロフテッド軌道ではなく、通常軌道の実験が必要となる。オリンピックでの融和姿勢はそれまでの時間稼ぎに過ぎないと見るべきであろう。
 金正恩は正月の演説で「核のボタンが机の上にある」と太った顔ですごんで見せたが、大人げなくトランプも「私の核のボタンは遙かに強力だ」とツイートした。鶴田浩二の歌の文句ではないがまるで「馬鹿と阿呆の絡み合い」といった風景を新年早々世界は見させられた。それでは極東核戦争は勃発するのだろうか。しないだろう。ケーススタディをすれば3択がある。第一は「北による核の奇襲攻撃」だが、日韓は滅びるが米国が壊滅的打撃を被ることはない。したがって、米国は圧倒的な報復力で平壌を消滅させ、ロケット基地も壊滅させる。金正恩は核爆発で遺体も残らない。いくら威張っても「自殺行為」をする度胸はあるまい。
第二は「米国が北を最初に奇襲攻撃する」ケースだ。もちろん日韓の同意なしで行われる場合だが、攻撃対象が分散しているため一挙に壊滅させることは困難だ。撃ち漏らした核ミサイルが一発でもソウルや東京に落ちれば韓国も日本もその長い歴史の幕を閉じる。終末だ。トランプが狂わない限りあり得ない。トランプ乱心となれば国防総省はクーデターを起こしてでも止めるだろう。
 第三に「偶発的衝突による核戦争」だ。この説はまず米国の軍隊の仕組みを知らない。米国ほど文民統制が確立している国はなく、世界一統制のとれた軍隊だ。これが偶発的にでも戦争を起こす可能性は極めて少ない。北も、同様に核の管理は国の存亡をかけた最優先事項だ。誰よりも命がほしくてすごんでいる金正恩が核の管理を怠ることはない。
 こう見てくると極東の核戦争はありそうでないものの筆頭にあげられる。トランプと金正恩が外交的、政治的に優位に立とうとして核を活用しているだけだ。だからと言って、日本が無防備でいいかといえばとんでもない。日本はハリネズミのようにミサイル防衛体制を整えなければならない。敵基地攻撃能力を保有して、金正恩のやる気をなくさせ、中国やロシアをけん制するのだ。新型戦闘機F35に巡航ミサイルを装備し敵基地攻撃能力を保持すべきだろう。弾道弾を撃墜するイージスアショアはこれまでのイージス艦とPAC3で北のミサイルを防衛する方式に加えて導入されるもので、2023年頃の運用に向けて秋田市と萩市の自衛隊基地に設置される。F35が離発着できる空母も早期に建造か改造する必要がある。もっとも垂直離発着可能なF35なら現在の空母でも活用可能だ。基本戦略を積極防衛へと転換しなければ極東の戦争抑止は確立できない。

◎俳談

 ◎俳談
【雪をんな出でよ】
雪をんなついてくるらしときめけり 産経俳壇入選
  正月早々告白するが、実は愛人がいる。冬になると逢いに行く愛人だ。その名を雪をんなという。雪をんなほど心を引かれる女はいないのだ。もう何句雪をんなで作句したか知れない。雪をんなは「雪女」や「雪おんな」であってはならない。あくまで「雪をんな」なのだ。旧仮名でないと気分が出ないのだ。そして雪をんなは絶世の美女なのだ。山道で追い越されて、振り向かれた瞬間に脳溢血になるほどの超絶美人なのだ。
 なぜ雪をんなが好きかというと自らが侘しい者であるからだ。侘しい者でなければ状況が成り立たないのだ。だいたい雪女の昔話はほとんどが哀れな話であり、子のない老夫婦、山里で独り者の男、そういう人生で侘しい者が、吹雪の夜風が戸を叩く音から、自分が待ち望む者が来たのではと幻想する。そこから伝説が始まったのだ。だから筆者も侘しい者でなければいけないのだ。そして、その待ち望んだものと一緒に暮らす幸せを、春の淡雪のように儚く幻想して俳句を作るのだ。だからどんどん出来るのだ。ただ大事なことが一つある。もし雪をんなが来ても、絶対に風呂に入れてはいけないのだ。消えてしまう。作り方はドラえもんの「どこでもドア」のように「どこでも雪女」なのだ。
 妻がいなければ
雪をんな出よ今宵は妻の留守
 フィギュアスケートを見れば
氷盤の乱舞に一人雪をんな
 チャイムが鳴れば
真夜中のチャイムの響き雪をんな
 終バスを女が降りれば
終バスを降りて山路へ雪をんな
 招き入れれば
四畳半どこに座らす雪をんな
 カーリング美人の目を見れば
雪をんなカーリングの眼で迫り来る
 といった具合だ。今年の冬もじゃんじゃん作らねば。もう病膏肓(こうもう)なのだ。

◎安倍3選で3000日突破の政権維持へ

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◎安倍3選で3000日突破の政権維持へ
  岸田はハムレット、石破、野田は訴求力欠如
 新年特別大胆予測
  世の中“1億総保身時代”であるかのようだ。従って政治情勢を断定するような政治評論家などいない。外れれば大恥とびくびくしている。だから明確な予測を出す者など皆無だ。正月の愚かなる民放テレビ番組の“くっちゃべり”を見てつくづくそう思った。ところが何を隠そう小生は、今流行の西郷どんが「命もいらぬ、名もいらぬ、地位も金もいらぬというような人物は処理に困る」と述べた類いの評論家なのだ。あえて“寸前暗黒”に光を当ててその有り様を断定するタイプなのだ。そこで新年から安倍官邸のどこかに“蟻の一穴”がないかと、ウサギの耳を長くして、鵜の目鷹の目で情報を集めたが、どこにもなかった。安倍政権は兎の毛で突くほどの隙も見せていない。だから予言しておく、9月の総裁選は安倍が3選を果たす。ということはさらに3年の任期が保証され、安倍は前人未踏の3000日を超える長期政権となる見通しだ。最大の理由は過去の長期政権がそうであったように経済面での好調が継続するからにほかならない。このように強い経済を背景に持った政権は与党内部はもちろん野党も突き崩せないだろう。政局は仕掛けたものが弾き飛ばされる状況なのだ。
 アベノミクスはまさに絶頂期に入ろうとしている。すでに安倍政権の12年12月に始まった景気回復は、昨年9月で65年11月~70年7月までの57カ月間に及んだ「いざなぎ景気」を抜いた。今年の景気上昇は新年に財界人全てが予想したように持続発展し、以後は2000年までオリンピック景気がこれに上乗せされる。史上空前の「天孫降臨景気」が続く。雇用は史上初めて1人に対して正社員の有効求人倍率が1に達した。希望すれば正規社員になれる時代となった。東京での倍率は2であり、全国的にも1.5と好調だ。
 問題は9月の総裁選でこの盤石の態勢を突き崩すという無謀なチャレンジをする候補がいるかどうかだが、いることはいる。もっとも、ハムレットのように「立つべきか立たざるべきか、それが問題じゃ」と悩んでいるのが政調会長岸田文雄だ。やいのやいのと突っつくマスコミに「政治状況を見ながら直前に考える」ともっぱら慎重姿勢を維持している。しかし宏池会の長老古賀誠は主戦論だ。かつて安倍の対抗馬として野田聖子擁立しようとして暗躍、失敗したのも古賀だった。今度は岸田擁立でまたも暗躍している。昨年末には限られた人数の会合で超オフレコで「総裁選ではビジョンを打ち出して安倍と争う」と擁立をほのめかした。しかし岸田本人は“禅譲”期待が垣間見える。この禅譲方式は戦後度々登場している。その主なものは岸、佐藤、福田康夫政権末期にささやかれた。岸は大野伴睦に禅譲の密約をしたが、結局譲らず大野は憤死した。佐藤末期に福田赳夫への禅譲説があったが、田中角栄に力で封じ込められた。成功したのは福田康夫が麻生太郎への禅譲を約束して、実行に移したことだけだ。それでは安倍が岸田に禅譲をほのめかしたかというとその気配は全くない。岸田が立候補するかどうかをギリギリまで決めないのは、禅譲期待があるからにほかならない。禅譲といっても4年近くも待てるかどうかだ。もともと、政権とは戦い取るものであり、棚から落ちるぼた餅は他人に食われるのが落ちだ。
 5年前の総裁選で地方党員票のトップに立って一時は安倍の心胆を寒からしめた石破茂は、間違いなく立つ。地方党員票の比重が強化されているから、なおさらやる気十分に見える。しかし、今回も地方票でトップに立てるかというと情勢はそう甘くない。5年前の自民党は一野党としての総裁選であったが、今回は総理総裁たる安倍を敵に回すことになる。政権奪取に直結する総裁選なのだ。地方党員は、5年にわたる安倍治世で、陳情その他に多大の効果を発揮できる構造的な利点を熟知しており、党内野党の石破を応援すればその道は断たれるのだ。それを承知で安倍を見限る者は、よほどの偏屈か異端者でしかあるまい。その構図を反映するかのように石破派はたったの20人にとどまっている。立候補の推薦人確保がやっとの人数だ。人望欠如のように見える。したがって、石破政権の目は出ないだろう。
 「男は一階勝負する」と佐藤3選にチャレンジしたのは三木武夫だが、「女は2度目の勝負する」のが総務相野田聖子だ。民放の出馬するかの問いに「ハイ」と軽々しくも飛びつき「推薦人20人を確保した場合勝算は前回と比較すれば150%」とほらを吹いた。そもそも野田の立候補には“甘え”がある。総裁選を子供の運動会の二人三脚に親が出るくらいに軽く考えている。閣僚でありながら首相をひきづり降ろそうというというのが野田のケースであり、出るなら当然総務相を辞任してから出馬表明するのが憲政の常道だ。諸外国に比べて日本の政治は一流だが、女性政治家のレベルはアフリカあたりの発展途上国より低い。ここ1、2年でも不倫の山尾志桜里、暴言の豊田真由子、自衛隊日報問題で辞任の稲田朋美など資質を問われるケースは枚挙にいとまがない。小選挙区の場合女性候補というだけ票が増える傾向があり、東大卒などというどうでもいい肩書きがけっこう利く。それでも女性議員の比率は衆院で10%と世界平均の半分であり、世界193か国中163位だ。有権者はもう女性だから当選させる時代は去りつつある。野田は立候補の弁で「敵味方というのではなく、安倍首相の掲げる政策を認めつつ、それではたりないという思いがある」と述べているが、これも甘い。オリンピックは「参加することに意義がある」と述べたのはクーベルタンだが、総裁選は首相の存在意義を全否定することであり、まさに敵と味方なのだ。女の甘えがたらたらの野田ではこの国の政治のかじを取ることは難しい。一方、野党は自民圧勝でまたまた脳しんとう。当分政局を語る場には出てこない。通常国会ではまたも森友・加計問題をぶり返す方針のようだが、国民はもう聞き飽きた。同問題は解散・総選挙で有権者が「疑惑なし」と判断したから安倍が圧勝したのだ。ぶり返すことは政権の追及方法を知らない、野党の無力さの象徴である。小泉進次郎は希望の星だが、今総裁選でうろちょろする時ではない。まだ10年早いと思って雑巾がけに汗をかくことだ。


謹賀新年 浅野勝人

謹賀新年  平成30年 新春
安保政策研究会理事長 浅野勝人

新年のご挨拶を申し上げます。
あなた様のご一家にとって息災な一年となることを祈願いたします。
アジア・太平洋地域の安定と繁栄の調査・研究を目的とする一般社団法人「安保政策研究会」理事長が、年頭に当たって、アジア情勢を予測する総論の提示ではなくて、大相撲のコメントとは本意ではありませんが、“角力、スモウ”の明け暮れに ひと言 触れさせていただきます。

日本相撲協会の臨時評議会は、貴乃花親方の処分に当たって、「礼を著しく欠いた」のではなくて、「理事としての(報告)義務を著しく欠いた」と判定すべきでした。
礼は最も重要な道徳的観念ですが、重役会議の冒頭、「皆さん、おはようございます」と言わずに重要な案件について的確な報告をした専務取締役がクビになることはありません。「皆さん、おはようございます。連日ご苦労様です」と礼を尽くしたが、重要案件の報告を怠り、会社に莫大な損失を与えた副社長は解任されます。

中国の古典、「韓非子」に「知らずして言うは不智、知って言わざるは不忠」(初見秦)― 不知而言不智、知而不言不忠 ―
事柄の内容を十分に知らないのに進言するのは無知の誹(そし)りを免れず、かといって内容を十分に知りながら進言しないのは不忠の罪に当たる。
韓非の時代、「不忠」とは「死罪」を意味しました。

貴乃花親方は改革の旗手と言われますが、差しあたって、何をどう改めようというのか、理事長選にチャレンジする際、所信を表明すればいいと考えているのか。もし相撲協会を改革する理念・青写真があるのなら、提示しないことには誰にもわからない。とにかくだんまりのままでは評価の仕様がありません。惜しまれる。

ところで、横綱審議委員会が横綱・白鵬の「かち上げ」「張り手」は品位に欠けるとクレームを付けました。

「かち上げ」(搗ち上げ)は相撲の技(わざ)のひとつです。
前腕をカギの手に曲げ、相手の胸をめがけてぶちかますカタ(形)です。かち上げは相手の体をおこしたり、ぐらつかせて後退させ、差し手を有利にする技です。「搗つ」とは「杵(きね)で臼(うす)の餅を搗(つ)く」という意味です。
横綱では、北の湖、朝青龍が得意技としていたそうです。
八角理事長(横綱・北勝海)は「かち上げは好きだった。相手の胸に穴をあけるくらいのつもりで当たっていった。来るなら来いという意気込みで、当たりが良ければ相手はひるむ」と述べています。勝つための当然の戦法、見上げた勝負師の心意気です。

「張り手」も相撲のカタのひとつで、平手を横に振って、相手の顔や首の側面を叩(はた)いて出足を鈍らせる技です。両手で両耳を同時に張るのは禁じ手です。(相撲規則禁手反則第1条4項)

横審に伺いますが、なにか白鵬が禁じ手を使って、違反行為をしたのでしょうか。
土俵下の藤島審判長は「白鵬のかち上げは横綱の体がおきる。両方から押っ付ければ持っていける。大した技ではない。やられる相手が弱いんだ」と指摘しています。
白鵬びいきの私に言わせれば、下位の力士が無策で簡単に負けるから、白鵬が「荒っぽい手口」と批判されるだけのことだと思っています。

白鵬翔は「強い人が大関になる。宿命ある人が横綱になる」と答えました。
その心を代弁すれば、「白鵬を倒したいのなら、顔を張るのは横綱らしくないとか、右のカチ上げは出足を止められて相撲にならないとか、愚痴は見苦しい。稽古を積んで白鵬の顔を張って、カチ上げて来い」と言っているのです。(浅野勝人著「宿命ある人々」225ページ)

横審の北村委員長が「横綱の品位に欠ける張り手やかち上げは見たくない」というのなら、大相撲を観るのをお止めになるか、それとも禁じ手として相撲協会に諮問して、相撲規則を改正させたらどうか。白星を求めて、血みどろの稽古に耐えている力士の正当な技に無責任な言いがかりをつけるのは適切とは言えない。

今年の年賀状に「1強とはいえ意外のもろさが今年はあらわれるでしょう」(産業界で活躍した財界OB)と同趣旨のものが3通ありました。
14日に始まる初場所は白鵬1強の土俵となるか、白鵬に代わるニュースターが白鵬を退けるか。
「ポスト安倍は安倍」という二階自民党幹事長の思惑通り、1強のまま推移するのかどうか、予測は困難、まだ早過ぎます。(元内閣官房副長官)

おめでとうございます

明けましておめでとうございます。
皆様にとって今年もよい年であるよう祈念いたします。
        2018年元旦  杉浦正章

◎俳談

◎俳談
【鳳仙花】
鳳仙花昭和の女健気(けなげ)なる 産経俳壇入選
 歌謡曲の一節が時々脳裏につきまとって離れなくなる。先週までは「死んだはずだよお富さん」だったが、いまは若干高尚になって島倉千代子の鳳仙花。「鳳仙花鳳仙花はじけてとんだ花だけど」と「鳳仙花鳳仙花日陰が似合う花だけど」のフレーズが頭にくっついて離れない。どこに行っても付いてくるのだ。鳳仙花は秋の季語だ。貝原益軒の「大和本草」には「女児、この花とカタバミの葉をもみ合わせて爪を染む。紅色となる」とある。昔の子供も爪を染めて遊んだのだ。だから古称は「爪紅(つまくれない・つまべに)」という。掲句は鳳仙花を昭和の女に見立てた。昭和前期の女は強かった。戦争を耐え抜き、戦後を生き抜いた。地味で質素で、強く美しい昭和の母の姿だ。
鳳仙花グラマン掃射ありし土手 読売俳壇入選
グラマンの機銃掃射があった土手にも鳳仙花が咲いていた。女学生が犠牲になったと聞いた。「はじけて飛んだ花だけど」のフレーズが涙を誘う。

◎日本、綱渡りの「国連決議賛成」

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◎日本、綱渡りの「国連決議賛成」
  事前に米国に根回し
 一時的ではあったが国連始まって以来の米国の完全孤立であった。国連総会緊急特別会合でトランプによるエルサレムの地位変更は無効であり撤回されるべきとする決議が可決された。トランプの実情無視、調整なしの短絡路線の失敗である。トランプや国連大使ケリーは国連分担金の削減や賛成した国への財政支援を打ち切ることをほのめかした。この金銭面でのどう喝は、まるでにわか成金のようで、一般社会と同様に国連でもひんしゅくを買った。トルコ外相チャプシオールは「各国の意思や尊厳を金で買うようなやり方は許されない」と反論。シリア代表も「米国は国連を自分の持ち物と考えて、従わないものに罰を与えようとしている」と真っ正面から批判した。国連分担金といってもアメリカは1位だが、日本は2位にもかかわらず、国連外交の非力さが祟って安保理常任理事国にもなれないままだ。日本をのぞく分担金上位6か国は全部理事国だ。ヘイリーの主張が通るなら、日本も常任理事国入りしなければ分担金を削減してもいいことになる。
 決議は日本を含む128か国の賛成多数で採択。反対は米国やイスラエルなど9か国。棄権は35か国。21か国は投票に参加しなかった。こうした動きの背後で日本政府は如何に対応すべきかについて大分苦労したようだ。選択肢としては賛成と棄権があったようだ。反対は当初からなかった。棄権した35か国の中にはカナダやオーストラリアが含まれている。両国は日本と同様に親米である。ただ日本の場合は12月が安保理議長国であり、本会議決議に先立つ安保理決議を米国を除く全参加国が賛成しているのに、議長国が棄権に回るわけにはいかなかった。この流れが本会議へとつながった。また棄権となれば米国と中東諸国の双方から非難されかねないという、あぶはち取らずの雰囲気もあった。
 さらに官房長官・菅義偉が22日の記者会見で「日本は2国家解決を支持している。エルサレムの最終的地位の問題も含めて当事者間の交渉で解決すべきだ」と発言している。イスラエル・パレスチナ双方の間では、難民、入植地、エルサレム、国境画定など個々の問題の解決を図って、イスラエルとともに共存共栄するパレスチナ国家を建設することが大目標とされている。イスラエルとパレスチナの双方が共存する「2国家解決」の実現を目指しているのだ。欧州連合(EU)も取り組む方針が2国家解決であることを改めて確認する総括文書をまとめている。これが世界的な潮流であり、その立場を取る以上一方の肩を持つ対応は不可能であった。
 とりわけ米国とカナダをのぞくヨーロッパの先進七か国(G7)が賛成に回るとの情報が、日本を賛成に踏み切らせる大きな動機となった。こうした情勢を背景に外務省は首相・安倍晋三とも相談の上、腹を決めて取りかかったのだ。とりわけ本会議決議について一部の国から米国を名指しで非難すべきだとの主張があったが、日本はこれに反対して、文章を和らげる役目を果たした。さらに重要な点は事前に米国に「賛成に回る」と通告して、日本の窮状を説明したようだ。米国に賛成の意思を伝達して理解を求めたのだ。トランプにとって日本は数少ない盟友であり、やむを得ないと判断した模様だ。
 一方米国は、自らが主導した対北朝鮮追加決議案を安保理に提出した。安保理は22日午後、北朝鮮による11月末の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射を受けた新たな北朝鮮制裁決議を全会一致で採択した。内容は9月の決議をさらに強め①北朝鮮への石油精製品の9割削減②海外で働く北朝鮮労働者の1年以内の本国送還ーなどとなっている。厳格に履行されれば北朝鮮の経済活動への大きな打撃につながる。従って米国は国連外交で成果を上げたことになり、その孤立は一過性のものとなりそうだ。   

◎対北制裁が“ダダ漏れ”状態

◎対北制裁が“ダダ漏れ”状態
  日本も含まれると指摘ー米紙社説
 米ウォール・ストリート・ジャーナル紙は20日「北朝鮮包囲網、抜け穴を全てふさげ」と題する注目すべき社説を掲載、「米シンクタンクの発表した報告書ではドイツ、フランス、日本の3カ国が、禁止されているはずの北朝鮮貿易を止められていないと」と指摘した。さらに「北朝鮮は輸出規制を厳しく執行しているはずの国々も狙っており、北朝鮮はこうした国々の輸出規制法をかいくぐるためにダミー会社を含む偽装工作も行っている」と強調した。国連における輸出規制を米国と共に主導してきた日本が“ダダ漏れ”では、どうしようもない。同紙は「北朝鮮に経済危機の兆候が現れないのは、こうした不正行為によって説明できる」とも指摘している。政府は早急に対策をとるべきだろう。一方で同紙は中国の対応について「中国政府の気分を害することを恐れて中国の制裁違反者を大目に見る余裕は米国にはない。米財務省は先月、中国企業4社に対して二次的制裁を発動した。遅きに失したかもしれないが明るい兆しだ」と強調した。
社説内容次の通り
 ※米国の同盟国も、北朝鮮の貿易ネットワークの取り締まりには手間取ってきた。ワシントンを拠点とするシンクタンクの科学国際安全研究所(ISIS)は今月発表した報告書で、ドイツ、フランス、日本の3カ国が、禁止されているはずの北朝鮮貿易を止められていないと指摘した。同報告書は「北朝鮮は輸出規制を厳しく執行しているはずの国々も狙っており、こうした国々の輸出規制法をかいくぐるためにダミー会社を含む偽装工作も行っている」としている。
※米国との間に強い関係を持たず、監視体制も整っていない国々は、まず間違いなく対北制裁の履行にもっと時間がかかるだろう。ISISの報告書によれば、北朝鮮から武器を買っている国は13カ国に上る。国連の専門家パネルは9月、タンザニアとモザンビークが自国の防空システムの強化で北朝鮮と取引していると非難した。より一般的な対北制裁の違反には、非軍事品の輸入や建設プロジェクトなどで北朝鮮国有企業を使うことも含まれる。国連パネルはアフリカの14カ国がこうした違反をしていると指摘。このうち北朝鮮人を送還したと国連に報告したのはナミビアだけだ。
※最も不可解なのはマレーシアだ。今年2月、金正恩氏の異母兄である金正男氏がクアラルンプールの空港で北朝鮮工作員に殺害されるという事件が起きた。しかし、マレーシア政府はこれまでのところ、対北制裁を無視して北朝鮮と取引している企業の閉鎖に至っていない。
※ニッキー・ヘイリー米国連大使は先月、制裁に関する演説の中で「北朝鮮が石炭生産地を偽装する方法を使い、引き続き近隣のアジア諸国に石炭を密輸しているとの報告」について言及した。北朝鮮はまた、黄海や日本海で船舶間移送によって石油製品を手に入れている。ヘイリー大使は名指しこそしなかったが、北朝鮮の船舶は中国の港湾に寄港し続けている。
※今のところ北朝鮮に経済危機の兆候が現れないのは、こうした不正行為によって説明できる。過去数カ月でガソリンやディーゼル燃料の価格は確かに上昇したものの、現地の日常生活は大きく変わっておらず、政権は兵器への支出を続けている。
※制裁措置によって北朝鮮を交渉のテーブルに着かせようと望むなら、中国政府の気分を害することを恐れて中国の制裁違反者を大目に見る余裕は米国にはない。米財務省は先月、中国企業4社に対して二次的制裁を発動した。遅きに失したかもしれないが明るい兆しだ。違反業者や彼らに融資している中国の銀行をさらにブラックリストに載せることは、米国と同盟各国が制裁違反者をビジネスから締め出すというメッセージを送ることになるだろう。

◎俳談

◎俳談
 恋の句は短歌のようにべたべたしない。さりげなく表現して、それと表現する。
人込みに紛れまた見ゆ冬帽子 杉の子
逢引の場所に見慣れた冬帽子がやって来る。わくわくする気持ちを表現した。あくまで好きだの、愛してるだのの表現は避ける。内在する気持ちは表現せずに“それとなく”恋を読むのだ。
 鞦韆は漕ぐべし愛は奪うべし 
 三橋鷹女の句だが、鞦韆(しゅうせん=ぶらんこ)は漕ぐのがあたりまえだ。愛も奪うのが当たり前だ。と言いきって、愛の本質を描き出している。当時評判だった有島武郎の評論「惜しみなく愛は奪う」を我田に引水したものである。
走馬灯息ある限り女追う 杉の子
男の本能を詠んでみるとこうなる。放蕩でも女道楽でもない。走馬灯の馬が追い続けるように男は女を、女は男を死ぬまで追い続けるのだ。
妻二タ夜あらず二タ夜の天の川      
中村草田男の新婚時代の「妻恋」の句だ。二晩も妻がいない。天の川を見ては溜息を漏らす。そんな情感に満ちあふれている。
 

◎「力の平和」で中国の「新型大国関係」を否定

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◎「力の平和」で中国の「新型大国関係」を否定
  日米対中露の対峙色一段と濃厚に
 トランプの国家安全保障戦略
 首相・安倍晋三は、トランプから国家安全保障戦略で「公平な責任分担」を求められるやいなや、“音よりも早く”イージスアショア2基の導入を閣議決定した。いやはやその猛スピードには驚いたが、これで日本の安保戦略は画期的に強化されることになったのは確かだ。トランプの戦略はその用語の稚拙さから一見「思慮不足と独善」(朝日社説)であるかのように見えるが、浅薄な見方だ。背後には大きな安保・外交観があり、弱腰のオバマとは一線を画すものとなった。その中核は対中戦略とこれと密接に関連する対北朝鮮戦略だ。トランプ戦略は訪中時とは打って変わった厳しさで中国を「修正主義勢力」と断定、習近平による「新型大国関係」を否定した。極東情勢は日米対中露の対峙色をいよいよ深める流れとなった。
 トランプは世界情勢を大きくとらえて「帝国主義的な領土拡張競争は、過ぎ去った過去の現象のように片付けられるが、強国同士の競争は再燃している」と分析した。1990年の冷戦終結以来、米国は唯一の超大国として独走を続けて来たが、中国は経済力を背景に軍拡を続け、今や軍事大国と化しており、トランプの分析はうなずけるところだ。
 焦点の北朝鮮への対応についてトランプは「同盟国との関係強化によって対処する」「公平な責任を負う同盟国との協力によって我々の力は増す」と発言した。日本への名指しはなかったが「公平な責任を負う同盟国」という言い回しは「同盟国との間で我が国は不公平な負担を強いられてきた」という発言と合わせれば、日本を意味する事は間違いない。北大西洋条約機構(NATO)とは軍事費分担増強で合意に達しており、明らかにGDP1%以内にとどまる日本への分担要求である。これに安倍政権はまずイージスアショアの導入で応えることになる。
 イージスアショア導入はこれまでのイージス艦とPAC3で北のミサイルを防衛する方式に加えて導入されるもので2023年頃の運用に向けて秋田市と萩市の自衛隊基地に設置される。早くも両市には民放にけしかけられて反対の声が出ているが、物事を大きく見るべきである。北の核ミサイルが一発でも東京に撃ち込まれれば秋田も萩も事実上立ちゆかなくなるのであり、他人事では更々ない。ただ一基1,000億円はポーランドが800億円で購入しているのと比べて、どんぶり勘定のようだ。ふっかけられているのではないかと感ずる。交渉すべきだ。さらに日本はイージス艦の増強、離島奪還のためのオスプレイの購入などを勧める方針だが、極東情勢はまさに臨戦状態にある。この際導入を進めると共に、敵基地攻撃能力も早期に実現すべきであろう。
 朝日は20日付社説で「日本の役割は『力の平和』に加担して軍拡になびくことではない」と批判しているが、社説子は極東情勢を大きく見誤っている。北の独裁者が核兵器やミサイルの実験を繰り返し、「日本列島を沈める」と暴言をはばからない幹部がいるときに、「座して死を待つ」のが得策なのか。相変わらずの平和は天から降ってくる式の左翼論調は、もう時代にそぐわない事に気付くべきだろう。米国の「力の平和」を否定するなら、金正恩の「力による極東支配」は放置してよいのか。
 注目すべきは、対中・対露関係での厳しい姿勢であろう。トランプは中露を「米国の戦略的な競争国」「米国の力に挑戦する現状変更勢力」と位置づけた。前大統領オバマは中露との協調姿勢で国際情勢の安定化を目指したが、トランプはオバマが弱腰でつけ込まれたとの判断に立って、打って変わった戦略上の大転換をしたのだ。オバマの国際協調路線を全否定したことになる。中国に対しては「南シナ海の軍事拠点化などを通じて米国に取って代わろうとしている」と露骨に批判した。これは習近平が「太平洋を二分割した新しい大国関係」を主張していることに冷水を浴びせかけたことを意味する。日本にとっても中国に目立つ「新興大国の増長」を戒める発言であり、歓迎すべきところであろう。ロシアに対してはウクライナのクリミア併合後の動きに神経をとがらせた。ロシアゲートで痛い目に遭っているトランプは、対露接近に懲りたのだろう。
 こう見てくるとトランプの「全ての決断と行動はアメリカ第1主義だ」とする発言は、唯我独尊ではなく、結構広く目配りがなされているものなのだと思う。

 
 

◎俳談

俳壇
【新酒】
コップより升に落ちたる新酒かな 杉の子
 「おっとっとっと」と酒飲みが喜ぶのはコップから升にあふれるつぎ方である。銀座の焼き鳥屋では升がなくて、銀のやかんで表面張力でコップがあふれるすれすれまで注ぐ。客は口から先にコップに近づく。新酒は新米で醸造した酒で秋の季語。傍題に今年酒がある。
新酒はうまい。20年前に胆石をとって六腑が五腑になったがやめられぬ。
一つ欠き五臓と五腑にしむ新酒 杉の子
友ら皆白髪か禿げよ新酒汲む 読売俳壇入選
鷹羽狩行の句に
とつくんのあととくとくとくと今年酒
オノマトベが見事に季語と響き合っている。

◎前代未聞の高裁“杞憂”判断

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◎前代未聞の高裁“杞憂”判断
 裁判官も売名をするのか
 天が落ちてくると心配するのを杞憂という。 杞憂の「杞」は中国周代の国名、「憂」は憂えること。杞の国の人 が、天が落ちてきたり、大地が崩れたりしないかと、あり得ないことを心配して、夜も眠れず食事も食べられなかったという『列子』の故事に由来する。今度の広島高裁による来年9月までの伊方原発運転差し止め命令はまさに杞憂判断と言うしかない。裁判長野々上友之は判断の理由を「阿蘇山に1万年に一度の破局的な噴火が起きれば火山灰などの噴出物が大量に飛来して火砕流が到達する可能性がゼロではない」としているが、裁判長の空想性虚言症という症状を初めて見た。この論理に寄れば40年の耐用期限にあと5年で到達する伊方原発が1万年に1度の噴火を前提に稼働出来ないことになる。判決はそのゼロに近いリスクに偏執するものであって、あまりのも極端で到底容認できるものではあるまい。そのような噴火があれば九州全体が灰燼に帰する事態だ。例えば航空機が原発に墜落する可能性はゼロではない。世界中でそれを理由に停止する事態があったか。北朝鮮のミサイルに狙われる可能性も1万年に1度のリスクごときではない。
 原発訴訟に対する司法判断は既に確立している。最高裁の1992年判決は以後の原発裁判を左右する重要なものだ。やはり四国電力伊方原発訴訟で原告側の主張をを全面否定した内容は、「原発問題は高度で最新の科学的、技術的な知見や、総合的な判断が必要で、行政側の合理的な判断に委ねられている」としている。高度な専門性が求められる原発の安全性の判断は政府に任せて、科学的知見のない司法がかかわりすぎるべきではないとしているのだ。全国で起きている原発訴訟で、大半の地裁、高裁はこの判例に基づいた決定を下している。もっともこの判断に楯を着いた馬鹿な裁判長が過去に二人いる。大津地裁裁判長・山本善彦と福井地裁裁判長・樋口英明だ。大津地裁の停止命令は、稼働中の原発をストップさせるものであり、悪質極まりないとされた。原子力規制委員会による世界最高水準の厳しい基準をクリアして、やっと稼働し始めた原発を、科学的知見に乏しい山本の独断でストップさせたのだ。また樋口は高浜3,4号機の「運転再開差し止め」を命じており、これが原因で名古屋家庭裁判所に左遷されたが、継続審理のため職務代行が認められて再び「再稼働など認めぬ」という決定を下したのだ。まるで今回同様に最高裁の判例に楯突くような決定である。弁護士として退官後に活躍するための売名行為とされた。これまでに地裁が原発稼働を差し止めた例は3回あり、今回の高裁で4回目だ。いずれも「原発停止」判断は多分に裁判長個人の“特異な性格”が反映されたものという見方が定着している。
 これらの判決は全国的に見れば極めて少数派の裁判長による異例の判決である。だいいち、原子力規制委員会の自然災害に関する審査は非常に厳しく、専門家が数年かけて審議し認められた結果が、裁判所のいわば素人判断で否定されるのは全くおかしい。活火山帯にある日本は裁判長野々上が指摘する「約9万年前の阿蘇山の噴火で、火砕流が原発敷地内まで到達した可能性」のある地域など枚挙にいとまがない。だいいち四国電力は、阿蘇山の火砕流の堆積物が山口県南部にまで広がっているものの、四国には達していないと断定している。約130キロ離れた阿蘇山の火砕流到達を“杞憂”するならば日本に原発を造れる場所はなくなる。そもそも6万年前に1度あった「破局的噴火」を想定していては、あらゆる建造物を建設出来なくなるではないか。そういう“杞憂裁判官”は日本に住むべきではないのだ。
 まさにここまで来るとろくろく証拠調べも行わず、たった4回の審理で重要決定をした高裁の判断にはあきれるばかりだ。今回の仮処分は効力が直ちに生ずるが、極めて高度な判断を要求される原発訴訟への適用は控えるのが裁判官の常識であるはずだ。野々上は過去の2人の裁判官同様に田舎の判事が一生に1度全国紙のトップを飾る判断を出して、有名になりたいのだろうか。今月下旬に定年での退官を迎える時期を狙って、次は弁護士として活躍しようとしているのだろうか。いずれにしても仮処分の弊害だけが目立つ判断であった。四国電力は決定を不服として執行停止を高裁などに申し立てるが当然だ。

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本命の訪朝 ― 緊張緩和の糸口を期待!浅野勝人

本命の訪朝 ― 緊張緩和の糸口を期待!

安保政策研究会理事長 浅野勝人


世の中に無用の長物ふたつ有り
    国連安保理と教育委員会  詠み人知らず

 北朝鮮が弾道ミサイルを発射するたびに、国連安全保障理事会は緊急会議を招集する。そして、アメリカが「北朝鮮に対する圧力をさらに強化しよう。中ロは石油の全面禁輸に踏み切るべきだ」と主要各国の協調を求め、日本は全面協力と賛成し、中ロは「協力はするが、話し合い路線を放棄すべきでない」とやんわり身をかわす。お題目の繰り返しで、北朝鮮が初めてアメリカ本土に届くICBMの発射実験(11/29)をした折にもアメリカ代表の演説のトーンが一段と高まっただけです。
ちょうど、小学生、中学生がいじめを苦に自殺した事件が発生すると、当該市町村の教育委員会は、当初、「いじめとは無関係」と学校を擁護し、かばい切れなくなると「二度とこのようなことが起きないよう注意を喚起したい」と他人事のようなセリフを繰り返すだけで、まるっきり役に立ちません。

口先だけで役に立たない代名詞と思っていた国連が、北朝鮮へ事務次長(政治局長)を派遣しました。
ジェフリー・フェルトマン国連事務次長は12月5日~8日まで平壌を訪れ、北朝鮮政府幹部と核・ミサイル開発・発射実験によって緊迫している朝鮮半島情勢について協議しています。

6日には朴明国(パクミョングク)外務次官と会談しました。
会談の冒頭、朴次官は「このようにせっかくお迎えしたので、真摯に話し合おう」と述べ、朝鮮中央通信は「互いが関心を持つ問題について意見交換した」とだけ伝えました。
フェルトマン事務次長と李容浩(リヨンホ)外相との会談は決まっていますが、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長との会見が今日、帰国するまでに実現するかどうか、今の時点(8日、午前0時)では不明です。

核・ミサイル開発を禁じる国連安保理の決議を履行するよう求める国連の立場とアメリカを中心とする国連の北朝鮮制裁決議に反発する「北」の主張とは真っ向から対立しています。
従って、緊張緩和のきっかけが簡単につかめる情況ではありませんが、今回のフェルトマン平壌訪問は、今年の9月、北朝鮮から「政策対話」の要請を受けて、国連が派遣して実現した経緯(いきさつ)を重視する必要があると考えます。国連事務総長報道官が「訪問は北朝鮮による以前からの要請に応じたもの」と舞台裏を明かしているのは意味があるとみるべきです。
中国やロシア、もちろんアメリカに対してわずかな弱みも見せられない北朝鮮としては、自らの言い分を主張する相手に国連を選んだと推測すれば、緊張緩和に向けた話し合いの糸口になるのではないかと期待されます。今回の出会いが、国連をいわば仲介役にするきっかけとなれば大成功です。

同時に「米・北」軍事衝突の懸念も無視できない情況にあります。
仮に軍事衝突に至った場合、米軍の軍用機は1万3,700機余り、空母10隻に対し、「北」は1,000機にも満たず、空母は1隻もありません。戦力においては比較になりません。ところが、「北」は韓国、日本をカバーする中距離および準中距離ミサイルを200発余持っており、各地方に分散して地下に隠しています。開戦と同時に1基残らず破壊するのは軍事技術的に困難です。
アメリカの軍事専門家は「北朝鮮は開戦初日に弾道ミサイルに生物・化学兵器を搭載して撃ってくる。それで韓国、日本は大パニックになる」と指摘しています。

ハーバート大学調査チームの分析によると、
平壌の生物技術研究所、定州市、文川市に秘密研究所があって、炭疽菌、赤痢など13種類の生物兵器を製造している。政治犯を使って生物兵器の人体実験を行っている可能性を否定できないといいます。
また、化学兵器は10か所余りの施設で製造されており、総量は2,500トンを超えるとみられています。
今年2月、異母兄・金正男氏を暗殺したのは化学兵器・VXガスで、「いつでも使える」と世界に誇示しました。

極めて危険な北朝鮮の核・ミサイルを警戒して、韓国では核武装を60%の人が支持しています。
日本政府も戦闘機に長距離巡航ミサイルを搭載する方針を固め、準備する手はずを決めました。もちろん朝鮮半島が射程に入ります。撃たれる直前に撃つ適地攻撃も可能です。
確かに専守防衛の基本方針との整合性が問われますが、生物化学兵器の脅威から国民の生命を守るには理屈ばかり言ってもおられません。
北朝鮮は、核・ミサイル軍事強化戦略が東アジアにおける核拡散と「北」包囲網戦力拡充に伴う軍事技術の更新を促し、自らの国家存立の基盤を危うくするブーメランであることに気付くべきです。

国連のグテレス事務総長は、13日に東京を訪れ、14日には安倍首相と北朝鮮対策を協議することになっています。
「北」に対するアメリカ式軍事および経済圧力一辺倒を支持する姿勢だけではなく、東アジアの安定に占める北朝鮮のポテンシャルと合わせて「北」の国民生活向上の方策を模索する国連の対応を真剣にバックアップするのが望ましいと考えます。
(元内閣官房副長官)

◎俳談

◎俳談
【反戦は時事句でなくなった】
ちよい悪で反戦爺で酢橘かな 月刊俳句入選
 60年安保の時は慶応大学に入学したばかりであった。従って安保闘争で校旗である三色旗が銀座の大通りに初めて翻ったときにもデモで参加していた。「慶応ボーイまでがデモ」と新聞は報じた。国会へのデモは暴徒化したから参加せず、現場を見に行った。東大の学生であった樺美智子が、警官隊とデモ隊に挟まれて死亡したその日である。革命前夜のようだったが、死亡事故を機に、それまで煽っていた新聞が急旋回してデモは引き潮のように下火になった。その安保世代が喜寿となったのだから、「やになっちゃう」。安保世代は生粋の反戦だが、その後にぐれまくって暴徒化した全共闘運動とは一線を画する。正義感が強く、常識派だ。戦争は反対の爺さんたちだ。だから
反戦で神田の生まれ唐辛子 産経俳壇1席
のような爺さんも友達にいる。その前の戦争で命の危険にさらされた官房長官・後藤田正晴のような世代は、根っからの反戦派であるが、いまや生きていれば古希どころか生身魂の世代だ。
反戦で張りのある声生身魂 朝日俳壇1席
とこれも、反戦を語らせれば元気がいい。時事句は新聞選者が一番嫌う俳句だが、「反戦」を織り込んでもいまや時事句とはならない時代となった。時の流れであろう。

◎専守防衛から先制攻撃含む積極防衛へ

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【筆者より=明日より恒例の年末年始休暇に入ります。重要ニュースは解説します】
◎専守防衛から先制攻撃含む積極防衛へ
  政府、敵基地攻撃能力を保有
 極東軍事情勢に衝撃的影響
  政府が空対地長距離巡航ミサイルの導入などで敵基地攻撃能力の保有に踏み切ったことは、明らかに朝鮮半島情勢の緊迫化を背景としている。大きくいえば戦後一貫して維持してきた「専守防衛」の姿勢を維持出来なくなり、先制攻撃を含めた積極防衛の戦略しか成り立たなくなったことを意味する。「ミサイルの長射程化と戦闘機のステルス化」は現代戦における国防の基本であり、日本のような大国が保持しないままであったことが奇跡であった。この日本の防衛戦略急旋回は、極東情勢に大きなインパクトとなる。中国からの島嶼防衛は一段と強化される。金正恩は、藪をつついて蛇を出したことになり、軍事的に日米韓の完全な包囲網に遭遇することになった。ただし政府は官房長官菅義偉が、「日米の役割分担の中で米国に依存しており、今後ともその役割分担を変更することはない。専守防衛の考え方には、いささかも変更はないことははっきり申し上げたい」と述べて慎重姿勢だ。しかし“能力の保持”が意味することは、情勢が「非常事態」になればいつでも方針転換が可能であることだ。要するに専守防衛は“建前”となる。
 敵基地攻撃能力の保有については61年前の1956年に鳩山一郎内閣が「誘導弾等の攻撃を受けて、これを防御するのに他に手段がないとき、独立国として自衛権を持つ以上、座して死を待つべしというのが憲法の趣旨ではない」と合憲判断を打ち出している。憲法上の問題はクリアされており、後は政治判断だけだった。既に自民党の安全保障調査会も3月に、北朝鮮の核・ミサイルの脅威を踏まえ、敵基地攻撃能力の保有を政府に求める提言をまとめ、首相・安倍晋三に提出した。調査会の座長を務めた防衛相小野寺五典は敵基地攻撃能力が必要な理由について、かつて「何発もミサイルを発射されると、弾道ミサイル防衛(BMD)では限りがある。2発目、3発目を撃たせないための無力化の為であり自衛の範囲である」と言明している。
 北朝鮮は通常軌道に比べ高高度に打ち上げ、短い距離に着弾させる「ロフテッド軌道」で発射するケースが多い。ロフテッド軌道だと落下速度がさらに増すため、迎撃が非常に困難になる。専門家は「現在の自衛隊の装備では撃破は難しい」としている。迎撃ミサイルSM-3搭載のイージス艦は、防衛庁の公表資料によると、これまでの試験で20発の迎撃ミサイルのうち16発が命中した。しかしこの確率でいくと、単純計算では200発の日本向けのノドンが発射された場合、40発が到達することになる。政府に国民の生命財産を守る義務がある以上、専守防衛では十分な対応は不可能だ。基本戦略を積極防衛へと転換し、巡航ミサイルや新型戦闘機F35やF15に敵基地攻撃能力を保持させるという抑止力が不可欠なのだ。日本もなめられたものである。ミサイルをグアム周辺に撃てば米国の撃墜が必至とみて、金正恩は、襟裳岬東方や排他的経済水域を選んでいる。
 導入を検討している巡航ミサイルは、米国が開発した「JASSM(ジャズム)―ER」(射程900キロメートル超)とノルウェーが開発した「JSM」(同300-500キロメートル超)。JASSM-ERは、日本本土から朝鮮半島や中国、ロシア南部にも届く。ミサイルを搭載する主力戦闘機F15の改修に向けた調査費の計上を検討している。射程数百キロのJSMは空自が配備するステルス戦闘機F35への搭載を念頭に置いている。いずれも戦闘機から発射するタイプだ。
 敵基地攻撃には弾道ミサイル、巡航ミサイル、ステルス性のある戦闘機F35と空対地ミサイルが必要だ。将来的には、敵基地を特定できる人工衛星などの情報や、戦闘機の長距離飛行を支援できる空中給油機、これらのすべての作業をコントロールする早期警戒管制機(AWACS)などの装備体系が必要となる。高い金を出してF35を配備する以上、敵基地攻撃能力を備えるのは必然であった。これらの装備を備えるには防衛予算を対GDP比1%の上限を突破させる必要があるだろう。自民党や専門家の間では当面はGDP比1.2%を追求するのが得策との意見がある。米国は北大西洋条約機構(NATO)に2%目標の早期達成を促したが、これをテコにやがて日本にも要求してくる可能性がある。先手を打って1%を突破する方がよい。
 立憲民主党の代表代行長妻昭は6日、政府が敵基地攻撃も可能となる長距離巡航ミサイルの導入を検討していることについて「こういう姑息(こそく)な形で防衛政策を進めては国益に反する。是非も含めて国民の前できちんと議論することが重要だ」と述べ、国会でただす考えを示した。この発言には驚がくした。長妻は北が核・ミサイル実験を繰り返し、朝鮮中央通信(KCNA)が、「日本列島は核爆弾により海に沈められなければならない。日本はもはやわが国の近くに存在する必要はない」と公式にどう喝していることに対して、防御態勢を取ってはいけないというのだろうか。「座して死を待て」といっているのに等しい。平和は天から降ってくるとした先祖の社会党ですら発言を避けるような発言である。まさに「姑息な政党の存在が国益に反する」のだ。先祖返りどころか先祖を超越している。
 こうした中で極東の一触即発状況は一段と高まってきている。3日放送されたFOXテレビの番組で、大統領補佐官マクマスターは北朝鮮の核に対抗して日本や韓国なども核兵器を保有する可能性があると指摘し「それは中国とロシアの利益ではないはずだ」と述べ、両国に対して北朝鮮への圧力を強化するよう改めて求めた。さらに5日には同補佐官は、ニュース専門放送局MSNBCのインタビューで、米国の北朝鮮に対する「予防戦争(preventive war)の可能性に関する質問を受けると、「北朝鮮が核兵器で米国を威嚇するのを遮断するための予防戦争のことか」と問い返した後、「もちろんだ。我々はそのためのあらゆるオプションを提供しなければいけない。そこには軍事的オプションも含まれる」と述べている。国連制裁で年末から来春にかけての北朝鮮の経済的状況や食糧事情悪化が予想される中で、米国と北朝鮮のどう喝合戦が続く。

            

◎俳談

◎俳談
【日常の中の闇】
葱刻む平穏いまだ続きをり 毎日俳壇1席
 我々は日常の中に非日常がいつ起きるか分からない世に生を得ている。事故とは限らない、人間と人間が接触してどのような摩擦が発生するのか、自然がもたらす災害がいつ来るのか。どのような危機に遭遇するのか。年を取れば取るほど、良くこの人生をすり抜けてこられたと思う毎日である。「葱刻む平穏は」はそのことを指す。そしていまだに続くことを安堵しているのだが、その背景にはきっと何かが起きるという予感が常に存在するのだ。
中村汀女の
あはれ子の夜寒の床の引けば寄る
は、母と子の間にあふれ出る感情の高まりを描写して見事である。秋の夜寒に末っ子の寝る姿に憐憫を感じて布団を思わず引き寄せる。そして布団の軽さ、子の軽さを改めて知りその不憫さは一層募る。平穏の中にあるこの子の人生の起伏を思うと抱きしめたくなる。人間は日常の中に存在する暗黒を常に予感するのだ。

◎制裁強化は「臨検と海上封鎖」しかあるまい

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◎制裁強化は「臨検と海上封鎖」しかあるまい
  中露は「けんか両成敗」という無為
 極東冷戦越年、長期化
 米国は北朝鮮に対して「経済制裁以上で武力行使未満」の行動を取ろうとしていると言われるが、その内容はどのようなケースが考えられるのだろうか。米国が9月に国連に提出した制裁決議案には、公海での臨検を主張する事項が盛り込まれていた。おそらくトランプの脳裏には「臨検」を伴う「海上封鎖」が去来しているのではないか。平和時に行う最強の制裁措置である。対北圧力を極限まで高めるには有効な手段であり、今後年末から来春にかけて動きが生ずるかも知れない。                
 米韓両軍は4日から合同演習に入った。北朝鮮報道官はこれをとらえて、例によって悪態の限りを尽くして“口撃”している。「一触即発の朝鮮半島を暴発へと追い込もうとしている。朝鮮半島と全世界が核戦争のるつぼに巻き込まれた場合、その責任は米国が負うべきだ」といった具合だ。しかし、北の核・ミサイル実験と米韓軍事演習は、根源となる目標が全く異なる。北は水爆実験に際して「水爆の爆音は、ふぐ戴天の敵アメリカの崩壊を宣告した雷鳴であり、祝砲だ」として、およそ1年ぶりに強行したと称賛、そのうえで、「下手な動きを見せれば、地球上からアメリカを永遠に消し去るというわれわれの意志だ」と言明している。実験が米国を壊滅させるための手段であることを明言しているのだ。これに対して米国が軍事演習をするのは、国家生存をかけた当然の防御措置であり、国際法上も何ら問題はない。
 この立場の違いに関して中露は「けんか両成敗」の立場を維持している。中国外相王毅は、北を国連の安全保障理事会の決議を無視していると批判する一方で、安保理決議以外の行動は国際法上の根拠がないとして、アメリカを念頭に単独での制裁の強化や軍事力の行使に反対した。ロシア外相ラブロフも、平壌の核・ミサイル開発の火遊びを非難する一方で、「米国の挑発的行動も非難しないわけにはいかない」と指摘している。まさに中露一体となって米国をけん制している感じが濃厚だ。
 こうした中で米国は着々と対北制裁案の強化策を検討している。ウオールストリートジャーナル紙が伝えるその内容は、①北朝鮮からの核攻撃を抑止するため、韓国に戦術核兵器を再配備する②地上配備型ミサイル迎撃システム「THAAD(サード)」を韓国に追加配備する③米国と韓国は共同で、脱北を促すような取り組みを広げるーなどである。
 さらに米政府が検討しているのが「臨検」を伴う「海上封鎖」だ。臨検とは、交戦国の軍艦が、特定の国籍の船ないし出入りする船に対し、公海上で強制的に立ち入り、警察・経済・軍事活動することを指す。米国の立場は、9月に国連安保理事国に提示した北朝鮮に対する追加制裁決議案を見れば明白だ。同決議案は石油の全面禁輸などに加えて、公海での臨検を許可する事項も盛り込まれている。公海上で制裁指定された船舶を臨検する際には「あらゆる措置を用いる権限」を与えると明記し、全ての加盟国に対し、公海において制裁委員会が指定した貨物船を阻止し、調査する権限を与える。加えて、「全ての加盟国がそのような調査を実施し適切な港に寄港させるなど指示し、国際人道法および国際人権法を順守する範囲で必要とされるあらゆる措置を用いる権限を持つことを決定する」となっている。
 海上封鎖と言えば武力行使と受け取られがちだが国際法上は戦時封鎖と平時封鎖に分類される。戦時封鎖の場合は機雷などによる封鎖が想定されるが、平時封鎖は非軍事的措置の一環とみなされ、海軍による臨検が主となる。しかし、封鎖を突破しようとする船舶が現れた場合には攻撃もあり得る。
 こうした緊迫した情勢の中で米韓合同の軍事訓練「ビジラント・エース」には、対北戦争を想定した具体的な作戦がこれまでになく明確に織り込まれている。まず、F22やF35によって北国内のミサイル基地や関連施設など700個所の目標を一気に破壊する。さらに北の空軍戦力を3日で無力化させる事などが含まれている。
 北側は金正恩が火星15号の試射について「国家核戦力の歴史的大業を成し遂げた」と胸を張ったが、実験は事実上失敗との見方が強い。米CNNテレビは2日、北朝鮮による火星15号の発射の弾頭部が、大気圏に再突入する際に分解していたと報じている。この分析によれば、米本土攻撃能力の獲得に不可欠な大気圏再突入技術が、まだ確立されていないことになる。
 こうして北は「空白の75日」を破って、再び核・ミサイル実験を繰り返す兆候を示し始めた。次回は潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の実験となる可能性が高い。焦点の中国による石油供給は依然として継続され、ロシアも交易のペースを変化させていない。極東冷戦の構図は再び、緊張段階に入り越年はもちろん長期化する様相だ。