So-net無料ブログ作成

◎韓国の「コウモリ外交」が極まった

DSC_0950_00056.jpg

◎韓国の「コウモリ外交」が極まった
 エビと慰安婦の文に「ルーピー賞」を差し上げる
 「トランプは安倍に相談」と韓国紙
  朝鮮日報が、韓国大統領文在寅の外交を批判した。6日の社説で「このままだとトランプ大統領は北朝鮮問題で何か行動するときはまず安倍首相と相談するようになり、韓国とは完全に順序が入れ替わってしまうだろう。これは安倍首相の一言が米国の対北朝鮮政策に大きな影響を及ぼすことを意味する。なに故このような状況になってしまったのか到底納得できない」と見事な論調を展開している。確かに
トランプ訪韓で鮮明になったのは、文在寅の「コウモリ外交」だ。コウモリ外交とはイソップの寓話集に収められた「卑怯なコウモリ」に由来しており、国の外交で、見解や利害が対立している国のどちらに対してもいい顔をして、おもねる。そうかと思えば、寝返るような態度を指す言い方である。それもそうだろう。文在寅はやはり「コウモリ外交」と批判された大統領盧武鉉の秘書時代に、そのスローガンである「バランサー外交」の演説を書いた張本人だからだ。
 文在寅自身も「米国との関係を重視しながら中国との関係も一層堅固にするバランスのよい外交を目指したい」と発言しており、最近それを実践している。まさに仏壇の奥からはたきをかけて「バランサー外交」を引っ張り出した感が濃厚だ。11月31日に戦域高高度防衛ミサイル(THAAD)導入で極度に悪化した対中関係をようやく修正した。対中合意の柱は①アメリカのミサイル防衛システムに参加しない②日米韓の安全保障協力を軍事同盟に発展させない③THAADの追加配備はしないーであり、中国側の要求をそのまま飲んだような内容だ。ところがその舌の根も乾かぬうちに、トランプと防衛力の強化に向けてミサイル弾頭重量制限を解除することで合意した。原子力潜水艦と先端偵察機能の獲得・開発に向けた協議も直ちに開始することになった。こともあろうに国の安全保障を米中のバランスに利用するのはあきれるばかりである。なお、米国が本当に原潜を売るかどうかは疑問だが、もし売れば対中戦略のみならず日本の防衛にも影響が生ずる。
 米韓会談の内容を見ても、文在寅は一応トランプに対して最大限の制裁と圧力に協力する姿勢を見せた。しかし、その実態は別だ。文在寅のかねてからの主張である「いかなる場合でも朝鮮半島での武力行使は許されない。韓国の事前の了承を得ることなく軍事行動を起こしてはならない」と、トランプ発言は見事なまでに食い違った。トランプは「必要であれば米国と同盟国のために比類なき戦力を投入する。北の独裁者に対してメッセージを伝える」と、軍事行動も辞さない姿勢を鮮明にさせている。「両首脳が朝鮮半島戦略で対立」と書いてもおかしくない会談内容だった。おまけに北に対して世界各国が国連決議に基づく制裁を推進しようとしているときに、文在寅は800万ドルの人道援助を承認した。米国防長官ジェームズ・マティスが、強い懸念を表明、圧力をかけているのはもっともだ。要するに俯瞰すれば、文在寅の安保政策は日米韓の連携よりも、明らかに中国に傾斜し始めている。
 こうした関係についても前述の朝鮮日報は「今、世界で米国の力を最もうまく活用すべき国は日本ではなく韓国だ。まず何よりも北朝鮮の核問題を実際に解決できる国は米国以外にない。また東アジアで厳しい緊張状態が続く中、韓国を覇権欲なしに守ってくれる国も米国だけだ。ところが日米両国は米英関係を思わせるほど最高の親密さをアピールしているのに対し、韓米関係は非常に形式的で儀礼的なものへと変わりつつある。」と嘆いている。文在寅にはこうした国際外交への認識が欠如しており一国の指導者として致命的な欠陥であろう。
 その好例が対日姿勢にも現れた。晩餐会の食卓に竹島でとれるという「独島エビ」を出させ、常に反日宣伝材料として使っている元慰安婦を招いてトランプに抱擁させた。独島エビは、まるで昔のしゅうとめの嫁いびりであり、日本人はあきれこそすれ、いびられたとはいささかも感じないだろう。一方強制連行はなかったというのが常識だが、元売春婦を国際的に重要な晩餐の席にわざわざ招くという前代未聞の対応は、「えげつない」の一言に尽きる。いずれも韓国内への人気取りが見え見えだが、事もあろうに米国大統領の公式晩餐会の席を“活用”して、他国をおとしめなければならないほど自らの人気がないのかと思わざるを得まい。第三国との外交の場で行うことかと言いたい。日本政府が抗議したのは当然だ。
 この2例は日本人の国民感情を逆なでして、一朝有事の際の日本の行動心理に影響を及ぼす。もちろん北の軍事行動が始まれば日本は米国の軍事行動を支援する方向は変わりはないが、危急存亡の時に対韓支援に躊躇(ちゅうちょ)を生じさせるのだ。戦時には手を差し伸べるのが早いか遅いかで、人命の損失度に決定的な差を生ずるのだ。たかがエビと売春婦で韓国の受ける損失は甚大なものになりかねない。そこが分からないのでは文在寅に「哀れでますますいかれた」を意味するルーピーの称号を贈らざるを得まい。ワシントンポスト紙が名付けた「ルーピー鳩山」と同様に「ルーピー文」といわざるを得まい。「ルーピー特賞」を差し上げたいくらいだ。韓国民にとってはこういう指導者の存在はまさに悲劇である。

T君への手紙 ― 「奢れるもの久しからず」

ご要望に応えて<付録>付き再録 Name:浅野勝人 NEW! Date:2017/11/08(水) 09:33 
 
総括 ―  総選挙!
T君への手紙 ― 「奢れるもの久しからず」
(2017/10月5日、安保研ネット掲載。総選挙公示5日前)
安保政策研究会理事長 浅野勝人

T君、総選挙いよいよ10日、公示ですね。
東京都議選で自民党が惨敗した後、お目にかかってお昼に天丼食いながら、「都議選の小池百合子は怖かったが、国政選挙の小池は怖くない」と申し上げた私の見解が当たりそうな気配ですね。

都議選の折、多くのマスコミが世論調査、その他の情勢を分析して、自民党は減っても30議席台と踏んでいたのに、T君ご承知の通り、私は20議席そこそこと予測しました。結果は19議席でみんなびっくり仰天でした。
種明かしをしますと、「都民ファースト」が全員当選すると予測して、民進党も減る。共産党が増える。公明党は現状維持。これを総合して逆算すると自民には20議席位しか残らない。結局、「都民ファースト」で落選したのは1人だけだったので、大当たりしたという仕掛け。

都議選で勝利の女神だった小池百合子が、国政選挙で輝くのは無理と推測した理由(わけ)は、
あの方は、どの選挙も「大統領選挙」と勘違いしている。
だから、小池人気が、全国津々浦々、衆議院小選挙区に行き渡り、特に比例区では圧勝して、都議選の再現となる。総理大臣就任も夢ではないと錯覚してしまう。

自民党内では、外交・安保政策に関して右派の論客だったから、時間の経過とともにその地金が滲(にじ)み出る。そうなると、右派の安倍晋三と同質なことが改めてわかってしまうので、「政権選択選挙」という唯一の訴えが売り物にならない。小池を支える膨大な無党派層が失望して離反する。
その証拠に、党公認に際して民進党リベラル派を除外する表現を「全員公認するつもりはさらさらない」と失言して馬脚を現した。

このひと言は重い。選挙戦を左右する重大なミスショットと予言しておきます。いや、ミスショットではなくて、「本音」を最悪な言葉使いで表現した。有権者は容易に「小池百合子の本音」と見破るから、このひと言で「希望の党」は失速する。非自民の有権者に、「第2自民党」は要らないと映るからです。

つまりは、安倍自民党と対峙することによって人気を倍増するつもりが、まるで補完勢力と映って当初の意図が崩れてしまいました。
だから、出馬の可能性を匂わしていた姿勢から一転して「不出馬」を明言して逃げました。どうやら思惑が外れかねないとみて「私自身は出ないと最初から言っている」と苦し紛れのウソを言わざるを得なくなりました。
与党をめざして「希望の党」を立ち上げた政党の代表・党首が、自身は出馬しない。国会の首班指名を目指さないという人がいたかどうか、憲政史上の事例をどなたか調べて教えて下さい。( 選挙の結果 ― 235人立てて当選50人。当選率20%。惨敗 )

これに比べて、安保法制、憲法9条改正に反対する基本姿勢を堅持して筋を通し、自民党との対決を鮮明にしている「立憲民主党」の候補者と「希望の党」への参加を避けて「無所属」で出馬する前民進党の候補者が、非自民票の受け皿になる可能性が強まります。( 選挙の結果 ― 立憲民主: 55人当選。当選率60%。躍進)(無所属:21人立候補して18人当選、当選率85%)

選挙後の野党再編は、立憲民主党を立ち上げた枝野幸男を軸に小ぶりな勢力からの再出発になると思われますが、候補者を降ろして立憲民主党に選挙協力をした共産党は無視できない存在になります。
現役時代、議員会館の部屋が隣同士だったから褒めるわけではありませんが、小池晃が書記局長になってからの共産党は柔軟でいい。


T君、安倍自民党の不人気は、君の想像をはるかに超えています。私の周りでも、まさかと思う方が「今回は自民党には投票しない」と明言して驚かされます。
T君も当初は肝を冷やしていたでしょうが、小池百合子のおかげで、野党が「馬糞の川流れ」(政治勢力がバラバラになって求心力を失う様子を金丸信らしい表現で言った)となりました。
自民党が、近年、厳しく批判されている傲慢な政治姿勢を反省して、国家、国民の平穏と繁栄に真摯に取り組む姿を示せば、情況は好転。わずかな減ですみそうです。( 選挙の結果―284議席で解散して284人確保。マンガみたい )

二階幹事長は、大軍の将ですから、自信を持ってもっとはっきり発言した方がいい。
「世の中のために政治家が要(い)る。政治家のために世の中があるのではない」(思いあがるな)と明確な小池批判をする。
「国会で戦争法案反対と言っていた人たちが、政党を変わったら賛成という。我が党にとっては有り難いが、有権者の方々がそれを許すだろうか」とはっきり批判して、野党の中では一番強いと予測されている「希望の党」の票を離散させる戦術が重要です。(結果は野党第1党にもなれず)

私は、来週から中国です。11回目になった北京大学での講義。それに北京外国語大学大学院、首都師範大学へ講義にまいります。選挙前に決まっていた日程ですから出かけますが、投票日前には戻ってまいります。
T君、加油! 加油! (2017/10月5日)

(22日、台風の中で総選挙終了)
T君、お互い予測はドンピシャリでしたが、何のためにやった選挙だったのか私には今でも理解不能です。勝つためにやって、小池百合子と前原誠二のミスショットで勝ったから、安倍晋三は結果オーライだったと理解すれば、それでいいのでしょうか。 

莫大なお金とエネルギーを費やして選挙をやって、世の中のために何がどう変わるのか、変わらないのか、何も無い。立憲民主党の当選者54人の内30~40人が前職以外の元職と新人だったというだけで、無所属を含めて各党とも、ほぼ全員選挙前の顔ぶれがそっくり再選されただけのことです。政策も顔ぶれも何も変わらない。野党に「馬糞の川流れ」現象が起きて、日本の政治を退化させただけでした。

T君、自民党は、現状維持をして自・公与党で2/3議席を確保して事実上の大勝利でした。但し、競争相手の票が二分され、比較多数で有利な情況が造られた敵失による勝利に過ぎないことを忘れないでください。
自・公vsオール野党の争いなら、議席はフィフティ・フィフティです。日本の世論は結構バランスが取れています。

それにしても 議会制民主主義、主権在民の根幹を理解していないほどの政治家の劣化。政党助成金をめぐって右往左往するほどの政党政治の退化を招いたのは「落選候補救済制度付き衆議院小選挙区比例代表制」によります。今回改めて証明されました。世界に類のない悪法です。選挙は1票でも負けたら負けです。これでは政治に対する厳しさが生まれません。しめしが付かない。

安倍政権は、ことによったら佐藤栄作政権を越える長期政権になると思われます。
安倍首相のやるべき第1の課題は、実は選挙制度の改正を強行してでもやり遂げることでした。衆議院を定員3人の中選挙区、全国100~120選挙区に改正する。公明党を含めて、賛否が政党によって入り乱れますが、自民党の過半数で押し切ることができる。2/3は要らない。
安定した政治と何よりも有能な新人議員が、選挙ごとに1/4を占めて、もう一度、人々の求める人材が政界に集まります。

安倍首相は、相変わらず憲法改正にご執心のようです。
総選挙後、10代の若者の声を集めた特集の中に、札幌の19才、男子が「憲法改正は戦争につながる恐れがあるので反対だが、(国民投票)過半数で阻止できるから、自民党に投票した。バラバラで頼りにならない野党より、安定した政治勢力を選んだ」(毎日新聞)
この見解は“少数者の意見”だと思わない方がいい。19才の予言通りになったら、安倍長期政権の功績は全て水泡となって消えます。
(2017/10月23日、元内閣官房副長官)


<付録 ― 総選挙アラカルトから一遍>

笹川陽平ブログ

「山尾志桜里」 : 一戦を制して当選― [2017年11月08日(Wed)]

一線を越えたか否かで話題を提供してくれた山尾志桜里氏が、先の衆議員選挙で一戦を制して辛勝した。まずは祝意を表したい。

落語の世界でも、ご隠居さんと長屋の熊さんが、この一線?論争に参加していましたよ。

【熊さん】
「ご隠居!! 最近女性政治家が一線を越えたかどうか、話題になっているそうですが、この一線とは何のことですかねぇ」

【ご隠居】
「ようするに、夫のある身で別の男とホテルに泊まって、一線を越えたかどうかということが問題なのよ」

【熊さん】
「へえ、ホテルの部屋に一線が引いてあるんですか?」

【ご隠居】
「バカだね。そんなものあるわけないじゃないか。二人が重なったかどうかが問題なんだよ」

【熊さん】
「検事まで勤めたエライ政治家でも、そんなことをするんですか?」

【ご隠居】
「人間だからね。魔がさすこともあるさ。しかし、脇が甘いんだよ」

【熊さん】
「週四回も魔がさすんですか。それに脇が甘いんではなくて股が甘いんじゃないの、ご隠居さん!!」

【ご隠居】
「熊さん!! 今日は冴えてるね。確かに股が甘くて一線を越えたんだろうね」

【熊さん】
「一線は確かに越えて、これは二線ですぜぇ」

【ご隠居】
「どういうことだい熊さん、二線目とは?」

【熊さん】
「だって一線目は夫と越えて、浮気相手は二線目ですぜぇ」

【ご隠居】
「熊さん!! あんたはこういう話になると、普段のとんちんかんと違って偉いものだね」

【熊さん】
「へえ、ご隠居さんにほめられると嬉しいね。俺なんぞ吉原通いをしてるからもう30線は越えていますぜぇ」

【ご隠居】
「やっぱり、熊さんはわかってないね」

◎俳談

◎俳談
【修正の上採用】
亡き母は端裂(はぎれ)が好き秋の風 日経入選
 筆者の新聞投句は10年続いている。入選確率は20分の1から30分の1だ。それでも年間百句は確保している。長く投句していると選者も哀れに思うのか、時々修正してくれる。掲句は投句した原句はが<亡き母は切れ端が好き秋の声>だった。確かに「切れ端」では木っ端なのか布ぎれなのか分かりにくい。端裂と直して採用してもらえた。
<飛び魚の右舷とみれば左舷かな>と毎日俳壇に送った。これが
飛び魚の又も左舷となりしかな
と直したうえで採用してくれた。通常選者は1字間違っても採用しないものだが、テーマ重視で修正の上採用してくれる温かい選者もいる。
    

◎トランプ、「極東冷戦」俯瞰の戦略再構築

DSC_0500_00010.jpg

◎トランプ、「極東冷戦」俯瞰の戦略再構築
 「インド太平洋戦略」で北に最大圧力
 中国に北への積極関与を促す方向                 この空前絶後の日米首脳の協調ぶりが意味するものは何か。裏には長期の「極東冷戦」を俯瞰(ふかん)した米国の戦略再構築がある。焦点の安全保障で大統領トランプは首相・安倍晋三が主張していた「自由で開かれたインド太平洋戦略」にあえて丸乗りして、オバマの「戦略的忍耐」を帳消しにした。懸念された貿易摩擦も「兵器購入」という隘(あい)路で納得した。なぜかといえば両首脳による「北への圧力を最大限まで高める」合意で、まず基本戦略を固める必要があったのだ。日米を固めることが不可欠の前提であったのだ。日本を最初の訪問国としたのもこの戦略を進めるに当たっての基礎固めが必要であったのだ。日米会談の成功は、北朝鮮に接近しかねない韓国大統領文在寅を抱き込み、隙あらば東・南シナ海への海洋進出を目指す中国の習近平をけん制し、北への関与を促す態勢を整えたことになる。良好なる日米関係が礎になるのだ。
 安倍トランプ合意に基づいて今後日米両国は「国際社会全体で北朝鮮への圧力を最大限まで高める」(安倍)というギリギリの対応に出る。日米両国は国連制裁の完全履行や外交、軍事をフルに活動して北への包囲網を一段と強化する。まさに圧力を臨界点まで高めて金正恩が音を上げるまで追い詰める。しかしトランプの「残り時間は少なくなっている」という発言は、必ずしも戦争を意味するものではない。逆に安倍の「日米は100%共にある」という発言が意味するものは、「100%戦争に協力する」ことでもない。むしろ日本の判断なしに米国が一方的に戦端を開くことへの戒めでもあるのだ。いったん戦端を開けば、日韓両国民の生命は北の“人質”となりかねない状況下である。トランプはまず軽挙妄動に出る事はないだろうが、合計9時間半にわたった会談で、安倍はその辺の機微を語ったに違いない。安倍が記者会見で漏らした「誰も紛争など望んではいない。北朝鮮が『話し合いたい』と言う状況を作る。私もトランプ大統領もそうだ」という発言が全てを物語る。従って北の暴発や何らかの偶発事件の発生は別として、圧力の先にあるのは金正恩のミサイル、核実験をストップさせ、放棄させるという一点に絞られるのだろう。
 そのカギを握るのは紛れもなく中国である。第19回共産党大会を見る限り、南シナ海への基地建設を誇示するなど習近平の舞上がり方はただ事ではない。今後日米は一致して豪州やインドなど主要国に働きかけて「インド太平洋戦略」を展開する。その視線の先にあるのは紛れもなく習近平の「一路一帯」構想に対する包囲網である。トランプは習近平との会談で北に対して本腰を入れた制裁を強く求めるものとみられる。さらに東・南シナ海への進出をけん制するだろう。またトランプは記者会見で「中国は何十年にもわたって、不当だった。非常に大きな貿易赤字が米国に生まれた。年間40兆円にのぼる貿易赤字があり知的所有権の問題もある。」と強く対中批判を展開している。トランプの対中牽制外交は貿易赤字問題を突破口にするものと思われる。総じて米中対峙の構図は歴史的必然である。中国がトランプに行うであろう「国賓以上の待遇」に惑わされてはならない。安倍が記者会見で「考えに賛同する国があればいずれの国でも共同してやって行く」と言明したのは中国を意味しているのだろう。リップサービスで余裕のあるところを見せたが、自由貿易の見本のような組織に中国が入るかどうかは定かでない。
 対中貿易赤字と比較して米国の日本との赤字は7-8兆円程度であり、トランプにしてみれば、狙いは中国に定めている気配が濃厚だ。しかしトランプは手ぶらでは帰れないから記者会見で日本に対して「首相はさまざまな防衛装備を米国から購入することになる。日本が大量の防衛装備を買うことが好ましいと思っている。そうすれば多くの雇用が生まれるし、日本がもっと安全になる」と武器購入を促した。総じてトランプの発言は日本の武器購入の実態を知らないで述べている感じが濃厚だった。むしろ“アリバイ作り”の側面がある。これに対して安倍が「大統領が言及されたように、F35A戦闘機もそうだし、SM3ブロック2A(弾道ミサイル防衛用迎撃ミサイル)も米国からさらに導入することになっている。イージス艦の量、質を拡充していく上で、米国からさらに購入していく」と述べた。もともと購入予定があるのだ。まあ、トランプにしてみれば米国民を納得させるために「安倍に武器購入を表明させた」という、“構図”がほしかったのだ。
 さらに経済問題で重要な点はトランプが、一部で予想されていた2国間の自由貿易協定(FTA)交渉を求めなかった事だ。これは韓国とのFTA交渉が難航している上に、中国の赤字問題があり、日本にFTAを求めたら、旅行の主目的が日韓中と“貿易戦争”をする結果となりかねない。これは米国の極東戦略からいっても得策でないという算段があるのだろう。貿易問題は副総理麻生太郎と副大統領ペンスとの会談に委ねられることになる。継続協議の形だ。総じて今回の日米会談は、アジア情勢の緊迫化と安倍の緻密な歓迎スケジュールが効を奏して、「我(が)」の強いトランプが自らのペースを自制した形となった。
 それにしても読売は5日付けで「朝鮮半島有事、邦人退避協議へ」とトップ記事を書いたが、筆者は大誤報だとみる。会談の流れは戦争回避であり、退避方針は決めようがない。7日付け解説記事の片隅で「退避策など突っ込んだ意見交換をしたとみられる」にトーンダウンしながら固執しているが、噴飯物の誤判断だ。読売のセンセーショナリズムもいいかげんにしてもらいたい。

◎俳談

 ◎俳談
【ちゃきちゃきの江戸っ子】
ちやきちやきの鬼灯市の啖呵かな 杉の子
 夏に浅草の浅草寺の四万六千日、別名鬼灯(ほおずき)市に行た。ピーカンの35度だったが賑わっていた。七月九、十日の両日、境内に立つ。子供の虫封じ、女の癪(しやく)に効くとして鉢植えの鬼灯を売る。十日の観世音菩薩の結縁日に参詣すると、四万六千日分に相当する功徳を授かるといわれる。江戸っ子の看板娘たちが妍を競って売っているのに気をとられて、拝んでくるのを忘れた。からかうと瞬時に言葉が返ってくる。小気味よいちゃきちゃきの江戸っ子娘だ。筆者は通常その場では俳句は作らないが、今回はすぐ出来た。
花街の昼は鬼灯鳴らすかな 杉の子
もう死語になったが遊郭の吉原や玉の井は「居続け」といって、1週間や10日も遊び続けてかえらぬ客がいたという。残念ながら物心ついたころには赤線は廃止されていた。掲句は居続けの永井荷風であったらこんな句を作ったであろうとして想像して作った。

◎改憲は「正攻法」しか道はない

DSC_2524_00013.jpg

◎改憲は「正攻法」しか道はない
  国民投票はオリンピック後の衆院選とダブルか
 「重宝(じゅうほう)を抱くものは夜行せず」という。大きな目的を抱く者は、その身を大切にすべきであるというたとえだ。首相・安倍晋三が総選挙圧勝後の政治姿勢の基本を「謙虚で真摯(しんし)」に置いた。勝ったからこそ野党の主張にも耳を傾けるという姿勢だ。確かに安倍政権の5年間は安保法制など与野党激突法案の処理で対決する場面が多かったが、史上まれに見る長期政権が視野に入った以上、ここは、当面誠心誠意の低姿勢でいくしかあるまい。歴史を振り返れば安倍の祖父岸信介による安保改定の強行は路線として立派だった。しかし、その後の党内抗争は、自民党に対する国民の大きなイメージダウンをもたらした。これに対処するため池田勇人は「低姿勢」と「寛容と忍耐」のイメージ戦略を打ち出し成功した。安倍は独りで岸と池田を使い分けることとなる。安倍は憲法改正という「重宝」を抱いており、これは覇道政治では達成できないのはもちろん、仁徳による統治を意味する王道でなければ無理だ。ひたすら幅広い民意をまとめる「正攻法」しか道はない。
 安倍は改憲問題を処理するに当たって前総務会長細田博之を憲法改正推進本部長に任命した。従来自民党内の論議は船田元など憲法調査会メンバーを中心に“神学論争”が行われてきたが、総じて政治判断の欠如から迷路に入って抜け出せない状況をもたらしただけだ。細田は総合判断力に長けており、適材だ。首相の意を受けて、公約に掲げた9条への自衛隊根拠規定の明記や教育の無償化などについて臨時国会中に方向性を打ち出す方針だ。安倍の提示した「9条の平和主義の理念は未来に向けて堅持し、9条1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込む」構想について、安倍自身は「たたき台」という柔軟姿勢を見せているが、同構想を基軸に据えざるを得まい。通常野党第一党を巻き込むことが必要だが、憲法9条改憲を頭から否定する立憲民主党代表枝野幸男や、半減した共産党など左翼勢力とは、調整のしようがあるまい。希望の党とのすりあわせが重要ポイントとなるが、同党に働きかければ民進系議員を刺激して、党分裂は不可避であろう。だいたい野党第一党が55議席では、民意の代表とは言いがたく、当事者能力に疑問が生ずる。
 結局はまず公明党との調整が焦点となるが、同党が消極的な9条改正を脇に置いて、教育無償化などとりつきやすい部分の合意を先行させるべきだろう。いずれにしても自衛隊の位置づけを憲法上明確にすることは不可欠であり、それがなければ改憲の意味は薄れる。最後は国民投票が必要となるが、これには長期的な視野が必要だ。筆者は2000年夏のオリンピックの後にならざるを得ないのではないかと思う。国民投票で過半数を得られなければ、政権は退陣するのが憲政の常道であろうから、国民に趣旨を徹底しないままの早期実施は危険を伴う。オリンピック後なら3年近くたっており、改憲論議も熟し、解散も“適齢期”だ。衆院選と国民投票のダブル投票で国民の意思を聞くことも可能だ。
 読売編集委員の橋本五郎は2日付の朝刊で「衆院選の勝利によって来年9月の自民党総裁選での再選が視野に入ったかのごとく考えてはいけない」と安倍の驕りや緩みを戒めている。一見もっともだが、衆院選挙は国民による首相信任投票の側面を有しており、再選は視野に十分すぎるほど入っている。自民党内情勢を見れば現段階では首班に指名された安倍以外に候補がいるのかということだ。本来なら主筆の渡邉恒雄が書くべきであろう。橋本は議論の主旨があいまいでナベツネには劣る。また朝日も2日の社説で「衆院選直後の本社の調査で今後も首相を『続けてほしい』が37%、『そうとは思わない』が47%」として、なにやら“いちゃもん”を付けているが、大新聞たるものが、大きく判断を間違っている。衆院選は紛れもなく最大かつ無謬(むびゅう)の、“世論調査”であり、「本社の調査」ごときが出る幕ではない。自分の力量を知らないで幅を利かす態度を夜郎自大という。
  1日の特別国会で第4次安倍内閣が発足した。通算で4度以上首相に選出されるのは明治の伊藤博文と吉田茂だけだ。紛れもなく安倍は長期政権へと踏み出す。戦前戦後を通じて7年8カ月で2位の佐藤栄作はもちろんのこと、7年11カ月で1位の桂太郎をも抜いて歴代1位の政権まで見通せるようになった。

◎俳談

◎俳談
【図々しいヤツ】
草虱明眸なれば手を貸せず 産経俳壇1席
 明眸(めいぼう)とは、澄みきって美しいひとみ。美人の形容に使う。草虱(くさじらみ)はセリ科の二年草で、山野を歩くと衣服に点々と小さな草の実がくっつく、あれだ。なかなかとれない。泥棒草の類いで秋の季語だ。美人がスカートなどにつけていると図々しい野郎は、しめたとばかり手を貸す。女は馬鹿だからこういう男にはすぐに引っかかる。
小生のようにシャイで誠実でアランドロンのような男はかえってもてない。したがって 
秋の夜の酔へば自在な恋の文 杉の子
などと一人酌むのである。

◎TPPが日米首脳会談の「影のテーマ」に

DSC_4629_00010dl.jpg

◎TPPが日米首脳会談の「影のテーマ」に
 米紙トランプ翻意の可能性を指摘
   安倍は対中戦略からトランプ説得を
 5日からの日米首脳会談の「影のテーマ」になりうるのが環太平洋経済連携協定(TPP)だ。会談は対中関係をにらんで「合意」に重点を置かなければならないから、両首脳とも日米間で唯一の食い違い要因がクローズアップすることは避けたいのだろうが、それで済むのだろうか。問題は首相・安倍晋三がトランプを如何にして説得するかだが、公表するしないは別として、筆者は搦手(からめて)戦術がよいと思う。搦手戦術とは首脳会談の基調が日米の対中共同歩調に置かれる流れの中で、TPPの政治的な側面を強調することだ。「中国封じ込めのためのTPP」の側面を強調して、安倍が説得すべき機運が米国内でも生じつつあるように見える。
 選挙公約と自動車業界などのごり押しをうけてトランプは就任早々 の今年1月23日、TPPから「永久に離脱する」と明記した大統領令に署名しした。米国通商代表部はTPP離脱を通知する書簡をTPP事務局を務めるニュージーランドと日本などTPP参加11か国に送付した。普通ならばこれで打開の余地がないように見えるが、11か国の間では米国復帰の可能性に期待をつなぐ空気が残存している。日本が、現在進められている11か国交渉をまとめ上げようとしているのも、その期待が一つの要素となっている。。
 事実、米国のマスコミも依然としてTPPへの復帰論が圧倒的に強い。米ウォール・ストリート・ジャーナル紙は8月2日の社説で「米国の対日輸出をすぐ拡大させる最も確実な方法はTPPへの復帰だろう。そうすれば輸入食品に課される日本の関税は低くなる。貿易協定は安倍首相にとって日本経済を浮揚させる有効な手だてでもあり、景気が良くなれば輸入品の消費が増える」と書いた。同紙は10月6日にも「TPPはトランプ政権が1月に脱退を表明したにもかかわらず、勢いを盛り返している」と指摘した。さらに記事の注目すべき点は「各国指導者はドナルド・トランプ大統領の時代にTPPがなお重要性を増すと認識している。11か国共通の目標は、米国がアジアで影響力を発揮するためにTPPは不可欠であると米国に納得させることだ。残る11か国が米国の復帰を粘り強く求めるならば、トランプ氏が大仰な保護主義論を封印し、理性に基づく米国の利己主義を優先することもあり得るだろう。」とトランプが翻意する可能性に言及している点である。またニューヨークタイムズ紙もかつて「TPPの撤退は中国を勢いづける」と題する社説を掲載。トランプについて「中国を貿易と通貨の問題で非難することや、半世紀にわたる日韓との同盟関係を守る必要性に疑問を投げかけること以外、アジアに少しも興味を示していない」とし、「深刻な間違いだ」と批判。TPPへの参加は経済にとどまらず、アジア諸国と米国の強い結びつきを証明することになると指摘している。
 確かにTPPには政治的な側面が色濃く存在している。米国の離脱は中国がリーダーとして推進するRCEP(東アジア地域包括的経済連携)の政治的な意味合いを強め、中国の国際経済における地位を格段に高める流れを作り出しているからだ。中国は米国のTPP離脱を奇貨として、TPPが空中分解することを期待し続けている。環球時報は「日本が独自にTPPを推進することは困難だ。身の程知らずでもある」と、批判している。果たして身の程知らずであるかといえば、浅薄さが極まった見方としか言えまい。やがて“吠え面をかく”のは同紙であることが分かる。
 というのも30日から浦安で開催されている11か国の会合に大筋合意の光りが見えてきたからだ。価格高騰を招いた外国人によるニュージランドの中古住宅の購入の禁止を要求していたアーダーン新政権が、「再交渉が必要」としてきた見解を改め、問題の国内処理の方向に転換したからだ。これは11か国によるTPPの批准に追い風となる。既に筆者が書いたように、米議会の諮問機関はTPPが発効しないでRCEPが発効した場合には、中国が濡れ手にアワで勝ち取る経済効果は880億ドル(約9兆6千億円)に達するという。逆にTPPが発効してRCEPが発効しなかった場合には中国の経済損失は220億ドルに上る。みすみす鳶に油揚をさらわれるところであったが、どうやら流れはまとまる方向のようだ。日本は11月にベトナムで開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議に合わせてTPP発効に向けた大筋合意を目指す。ニュージランドも異存が無いと表明した。
 こうした、流れは冒頭指摘したトランプの離脱方針に少なからぬ影響をもたらすのではないかと期待される。問題はトランプが振り上げたこぶしを降ろすかどうかだ。世界の指導者の中で一番親しい安倍が、対中戦略の側面から懇々とさとせば何らかの効果が出るかも知れない。トランプがかたくなに離脱に固執しても、4年の任期までにあと3年だ。38%という低支持率や尾を引くことが確実視されるロシア疑惑が影響して、再選されない可能性もある。TPPの大局から見れば、3年先はそれほど遠くはない。いずれにせよ、TPPが日本のリードで11か国がまとまり、菊池寛ではないが「父帰る」を待つ路線は正しい。

◎俳談

◎俳談
【着眼点】
指先に宿る矜持や風の盆   毎日俳談入選
おわら風の盆は、富山市八尾町で毎年9月1日から3日にかけて行なわれている祭りである。越中おわら節の哀切感に満ちた旋律にのって、坂が多い町の道筋で無言の踊り手たちが洗練された踊りを披露する。哀調のある音色を奏でる胡弓の調べが来訪者を魅了する。女性は鳥追笠を深く被って踊るから、顔はほとんど見えない。従って勢い手の動作に視線がいくが、指を反らして凛とした矜持を感じさせる。その優雅さにおいては日本一であろう。鳥追い笠は昔、農村行事で、田畑に害を与える鳥獣を追い払うため、若者達が歌を歌い、鳥獣を脅すように農機具などを打ち鳴らして家々を廻り歩いた。その時にに被ったので鳥追い笠と呼ばれる。掲句は視線を迷わずに指先に当てたことが良かった。

 

◎北情勢緊迫で首脳会談は歴史的重要性

DSC_4629_00010dl.jpg

◎北情勢緊迫で首脳会談は歴史的重要性
  日米、北への“瀬戸際戦略”を確認へ
 融和の文在寅にクギを刺す
 5日からの首相・安倍晋三と米大統領トランプの会談は、アジア太平洋地域の安全保障にとって歴史的な重要性を帯びるだろう。掛け声倒れに終わったオバマ政権によるアジア重視のリバランス(再均衡)戦略に代わって、トランプの「自由で開かれたインド太平洋戦略」がクローズアップする。東・南シナ海で海洋進出が著しい中国と暴発を続ける北朝鮮への安全保障上の封じ込め戦略が俎上(そじょう)にのぼる公算が高い。とりわけ北朝鮮情勢に関してはギリギリまで軍事圧力を強め、徹底した経済制裁で金正恩を追い詰め、半島の非核化につなげる方針を確認する方向だろう。事態は筆者が既に指摘したように「極東冷戦」の構図で推移する流れだろう。
 「自由で開かれたインド太平洋戦略」とは日米同盟、米豪同盟などを基軸に、インドなどを加えて安全保障上の協力を拡大する極めて大きな戦略的な構想だ。その主眼は民主主義という共通の価値観を有する国家群の「結束による対中圧力」に置かれるだろう。折から中国は共産党大会で習近平の独裁色の強い体制を樹立し、習は南沙諸島の軍事基地化を誇示して、評価された。今度は尖閣諸島へと触手を伸ばすであろうことは目に見えている。既にオバマは尖閣への中国進出阻止抑止についてコミットしているが、トランプも同様にコミットするだろう。
 こうした中で米国の有名な戦略家エドワード・ルトワックの北朝鮮政策での日本への提言が関心を呼んでいるが、総じて極東の安全保障に対する無知をさらけ出しており、一顧だに値しない。ルトワックの構想は①日本政府が何もしなければアメリカは何もしない、アメリカは日本の反応を見て決めるので日本が動けばアメリカも動く②日本は行動すべきであり対話をやめて行動に向け準備を始めなければならない③日本に残された時間はあまりなく、北はまだ日本を攻撃できる核弾頭ミサイルを持っていないと思が、しかし1年か1年半後に持つーというものだ。基本はあいまいな用語を使いつつ日本の軍事行動を促しているとしか考えられないが、その根底には米軍の対北軍事行動によって日本の人命被害が多数にのぼることへの決意を促す“扇動”があるような気がする。アメリカが単独で軍事行動を起こせば、東京にミサイルが飛ぶ可能性があり、そのための日本の「覚悟」を促しているのだ。おまけに事実誤認がある。北のノドン200発は日本に向けられたものであり、ノドンには核だけでなく、細菌兵器や毒ガスも積載されうることを知らない。総じて論旨が荒っぽく、極東安保を理解していないように見える。日本にミサイルが飛ぶ事態への覚悟などは論外だ。
 そこで首相・安倍晋三とトランプとの会談だが、トランプはあくまで北の核保有を容認せず、非核化を目指すための軍事的な備えは万全を期す方針を表明するだろう。もちろん北が核兵器を使用すれば軍事的な対応を直ちに取れる体制を維持することを約束する。いわば対ソ冷戦時代に米国が取った「瀬戸際戦略」である。米軍が北の中枢はもちろん、核ミサイル基地、ソウルを狙う通常兵器などを壊滅させる作戦を練り上げていることは確かだ。しかし、対ソ冷戦ではベトナム戦争など代理戦争やキューバ危機はあったが、一発の弾もソ連に向けて発射されていない。偶発事態がなければ、この路線を踏襲するものとみられる。安倍はトランプに軍事行動はよほどの事態でなければ成り立たないことを、公表せずに表明すべきであろう。
 また対北締め付けには日米韓3国の結束が不可欠だが、北との融和路線を時々のぞかせる韓国左傾化大統領文在寅を如何に日米側に引きつけるかが焦点だ。トランプは文との会談でクギを刺すことになろう。
米国防長官ジェームズ・マティスは「米国は北の核保有を認めない。我々は外交による解決を目指すが外交は軍事力に支えられてこそ効果的だ」と述べているが、もっともだ。軍事力行使の“寸止め”戦略が続くことになる。
 一方南シナ海への戦略も立て直しの必要がある。オバマはリバランスは口だけで、結局何も出来ずにパラセル諸島やスプラトリー諸島への中国進出を許してしまった。フィリピン沖のスカボロー礁も危うい状況であり、中国が目指すのは3カ所を結ぶ軍事基地化で南シナ海の支配を確立することだ。習近平は党大会で自慢げに南シナ海への進出を報告している。安倍は30日のフィリピン大統領ドゥテルテとの会談で、対北問題で連携の方針を確認した。今後米国は南シナ海への軍事的プレゼンスを高めることになろう。自衛隊も艦船の頻繁なる派遣で協力せざるを得ないだろう。

◎俳談 

◎俳談
【芭蕉のDNAを継ぐ】
室蘭発直江津航路大銀河 産経俳壇2席
 <荒海や佐渡に横たふ天の川>は人口に膾炙(かいしゃ)した芭蕉の句だ。芭蕉が荒海という日本海を天の川に結びつけた結果、銀河と言えば日本海ということになった。この芭蕉のDNAは現代の俳人に心にもしっかりと植え付けられている。従って日本海と銀河と聞けばプロの俳人は「ぼー」となってしまうのだ。そこを狙って投句すると良く当たる。掲句は日本海航路のフェリーで作った。確かに満天の星空であった。全部漢字にしたのは漢詩の効果を狙った。しかし下手にやると名詞ばかりの3段切れとなってリズムを壊す。掲句の場合「発」の一字で中7以下がスムーズに働いた。懲りずにやったのが
弔問の羽越本線大銀河  月刊俳句入選
新潟と銀河は入選を稼げる。

◎自作自演の「習思想」で権力誇示ー共産党大会

4.jpg

◎自作自演の「習思想」で権力誇示ー共産党大会
  鄧小平を超え毛沢東と並ぶ姿を演出
 最高指導部に後継者なし
 2期でさらに5年どころではない。習近平は自らの任期を永遠なものとして確立しようとしている。その最大の武器は今回の第19回党大会で決めた「習思想」である。自らを、建国の父である毛沢東の「思想」と同列に高め、改革開放を推進したトウ小平の「理論」を超えた理念を、共産党の憲法である党規約に盛り込むことに成功した。「思想」は「理論」を遙かに上回るのだ。大会は国家主席の指導理念を「習近平による新時代の中国の特色ある社会主義思想」と、習の名前を冠した形で、党規約の中に盛り込んだのだ。規約に個人名が書かれたのは史上3人目である。中国共産党指導者にとって自らの名前を党規約に盛り込むことは極めて重要な権力誇示となる。しかも、これまでの指導者と比べると異例の早さである。習が掲げる今世紀半ばまでの「社会主義現代化強国」実現に向けた理論的な支えを構築した形だ。もうトウ小平時代は終わって、これからは習時代だということを強く印象ずけるものだ。後継者と目させる人物を最高指導部に入れないのも、超長期政権を目指す姿と映る。
 総じて党大会は中国歴代政権が自粛してきた個人礼賛の傾向を帯び、習は臆面もない自作自演の権力確立を成し遂げて見せた。共産党の事実上の独裁どころか、自らの独裁による政治体制を築き上げたのだ。その証拠が北京の街でも見られた。大会の期間中、北京市内の公園では習近平国家主席をたたえる歌を合唱するグループの姿が見られた。メンバーらが「習おじさん、習おじさん、みんなが愛している習おじさん」とか「習主席は、全国人民とともにある」などといった歌詞の歌を合唱したのだ。禁止されてきた個人崇拝を、紛れもなく“官製”で実践したのだ。市民運動を起こしてまでムードを演出したのだ。
 さらに南シナ海での南沙諸島への人口島建設による軍事拠点化や、習近平就任以来顕著になった東シナ海における領海侵犯などその対外姿勢は、歴代中国皇帝が絶頂期に成し遂げた覇権国家のように、社会主義国家と民主主義国家の対峙の構図を推進するかのようである。この紛れもない富国強兵路線は「中国の発展はいかなる国の脅威にもならない」という習自身の言葉と矛盾し、第二次大戦後欧米と日本が主導した民主主義の国際秩序に社会主義で対抗する姿を浮かび上がらせた。
 習近平がここまで自らの権力の確立に執着した背景には、「トラもハエも叩く」として推進した汚職摘発キャンペーンがある。このキャンペーンは汚職摘発の名を借りた権力基盤の確立が背景にあることは言うまでもない。次官級280人、局長級8600人、地方幹部6万6000人、全国で150万人の摘発・処分は、結果として権力基盤を絶大なものとした。この恨みから「腐敗撲滅の鬼」と呼ばれ、今回最高指導部から退任する王岐山は、これまで27回も暗殺されそうになったといわれる。習近平は、当初王岐山を留任させようと画策したが、長老の反発が予想外に強く、あきらめた形だ。党大会で唯一垣間見えた反習近平の動きと言える。習もあまりに多くの政敵を葬ってきたのであり、引退したら殺害される危険が常に存在する。やめるにやめられない立場となっているとも言えるのだ。
 国家主席の任期は中華人民共和国憲法79条で被選出年齢は45歳以上、任期は2期10年を限度とすると定められている。これ以上延ばすには3つの方法があるとされる。1つは今後2期以上を目指す習近平が多分来年3月の全国人民代表大会で憲法改正を実現しようとするという見方である。2つ目は、憲法解釈で延期する方法もある。憲法83条は「人民代表大会の任期は次の人物を決めるまでやり続ける」とあり、また60条は「非常事態の場合は任期の延長を認める」という規定もある。これらの条文を根拠にするのだ。さらに3つ目は84年にトウ小平が廃止した主席の神格化を復活させる方法である。
 こうして中国の政治は集団指導体制が原則にとどまり、習近平の独裁色が強まり、専制政治や社会に対する抑圧が強まることが懸念される。言論封殺も続くだろう。その最初のケースを毎度のことながらNHKが被った。NHKの放送が習近平への権力集中を伝えた瞬間に暗黒画面となった。
 対米関係は対峙の傾向を強めるだろう。習はさる4月のフロリダでのトランプとの会談で借りてきた猫のような様子を見せた。トランプは華麗で和やかなる晩餐会の最中にトマホーク巡航ミサイル59発をシリアのシャイラート飛行場へと発射してみせたのだ。トランプのアッパーカットを食らって、習は目を回したが、党大会でのすごみ方はその裏返しでもある。またトランプの体たらくで、それほどでもない指導者だと感じた気配がある。
 一方、対日関係についてはウオールストリートジャーナル紙が興味深い社説を掲載した。「日本の民意が示した中国への警告」と題する社説は安倍自民党の総選挙圧勝の意味を説いている。北朝鮮の核・ミサイル実験の横暴に「日本は巡航ミサイルの購入を検討している。また自前の核抑止力を求める可能生もある」と強調。「だから」と続けて「習近平氏が日本の再軍備を望まないのであれば金正恩への食料と石油を遮断することも出来る。さもなければ北東アジアの勢力地図は中国が望まないようにシフトするだろう」と日本を使ってどう喝したのだ。中国と北の出方によってはまんざらあり得ないことでもない。習近平は内弁慶で国内ばかりを見て、「資本主義現代化強国」の日米同盟があることを忘れない方がよい。

◎俳談

◎俳談
【頭脳の引き出しからひねり出す】
何処より旅せる虫やフェリーの夜 産経俳壇1席
 昔学生時代に、室蘭発の直江津航路に乗ったら、満天の星。ベンチに座ると何とコオロギが鳴いていた。どこからこの大きなフェリーに乗り込んだのだろうか。何とも言えない寂寞感で胸が一杯になった。半世紀後にその寂寞感がわき起こり、一句となった。年を重ねると言うことは得である。現場を見ずとも、分かる事が多い。経験が積み重なって頭脳の引き出しを形作っているのだ。訓練すればパソコンの検索と同じで言葉の一つ二つのヒントで目的の感情を引き出せる。


◎希望内部は分裂含みの様相

DSC_0936_00052.jpg

◎希望内部は分裂含みの様相
   進退窮まる民進党系が発火点か
 先に小池百合子を「百叩きの上遠島」と書いたが、仏高級紙フィガロからまで「流刑地の女王」と言われてしまっては形無しだ。無理もない。民進党を希望の党と立憲民主党に分断させた張本人である上に、希望は分裂含みだから、江戸時代なら八丈島に流刑となっても文句は言えない立場だ。フィガロは「一番の敗者は小池氏」とも書いたが、さすがによく日本の政治を見ている。野党は苦悩の再編へと動く。一方圧勝した安倍は1日の特別国会で第4次安倍内閣を発足させる。通算で4度以上首相に選出されるのは明治の伊藤博文と吉田茂だけだ。長期政権へと踏み出す。その基本姿勢は憲法改正に軸足を置いているが、与党だけでなく野党を含めた幅広い合意形勢を目指す柔軟性も見せている。
 しかし、一口に改憲と言っても難所の多い谷川岳を登るようなもので、たとえ衆参で自公が3分の2の多数を獲得していても一筋縄ではいかない。安倍は「合意形成のための努力は(野党の)第1党でであろうと第2党、第3党、第4党であろうと行っていかなければならない」と野党も含めた取り組みに意欲を見せた。これは公明党が野党第1党との話し合いを重視していたのを、ご破算にした感じだ。なぜなら立憲は55年体制以来最小議席とはいえ野党第1党となり、改憲問題について自民党と鋭く対立しているから話し合いの対象になりにくいのだ。代表枝野幸男は、安部発言に強く反発して「権力は憲法で縛られるという立憲主義の原則を理解出来ていない人に、憲法を変えさせるわけにはいかない」と言ってのけたのである。従って安倍が立憲抜きでの改憲を目指さざるを得ないのは当然である。安倍の狙いは希望と維新の改憲勢力の抱き込みにある。
 ところが安倍発言が意図したかどうかは定かでないが、これが希望の分裂含みの流れを加速しそうなのである。なぜなら希望内部は改憲志向の保守派と安倍ペースでの改憲に強く反対する旧民進党系に分断されつつあるからだ。議席欲しさに安保反対の理念を曲げて希望へ参集した民進党系の当選者24人は、無節操がたたって窮地に追い込まれつつあるとも言える。立憲がこれだけ伸びるのなら立憲に回ればよかったというわけだが、後悔は先に立たずである。希望の衣をかぶって有権者を欺けば、たちまち正体がばれてしまうと言う物語はイソップのロバの逸話と似ている。
 いずれにしても希望の内部は遠心力が強く作用しており、これが野党再編の発火点になる公算が高い。自らのブームが総選挙まで続くとみた大誤算の小池は、都知事をやりながら、希望の党のたがを絞めなければならないという、苦境に陥る事は必定だ。パリで小池は「国政のことは国会議員で決めればよい」と発言しているが、そこにはもう投げ出したいという気持ちがありありとうかがえる。代表を投げ出して代わりがいるかと言えば、求心力のある人物はほとんどいない。細野豪志もベテランだが、線が細い。代表代行の樽床伸二もカリスマ性ゼロで、代表が務まるか。前原誠司を代表に迎えると言う線も考えられるが、実現性は未定だ。もたもたしているうちに党が持つかどうかに直面するから、もう誰でもいいということになりかねない。
 こうした中で何らかの調整役として民進党の籍を残して無所属で出馬した野田佳彦、岡田克也、江田憲司らが院内会派を作り、そこにとりあえず希望から合流するという方式や、民進党が新しい名前で政党を作り、そこに希望の離党者を受け入れる構想などがささやかれている。枝野は立憲を解体する気は更々無いが、来る者は拒まずが基本姿勢であろう。俯瞰すればいずれも民進党勢力再結集を模索する動きと言えそうである。
 いわば理念をそっちのけにしての数合わせ先行と言えるが、野党が繰り返してきた目先を変えるだけの新党が国民の理解を得ることは困難である。枝野も「間違っても数合わせとみられてはならない」と発言したが、本人は元をただせば悪名高き民主党政権の官房長官であり、その体たらくの責任者の一人だ。やはり悪名高き革マルの根城となっているJR.東労組などとの交流も過去にあったといわれる。産経新聞の過去の報道によると1996年の第41回衆議院議員総選挙への立候補の際、JR東労組大宮支部執行委員長と「私はJR総連及びJR東労組の掲げる綱領(活動方針)を理解し、連帯して活動します」などが記された覚書を交わした、と『新潮45』に掲載されたという。枝野は、覚書は「一般的な政策協定を結ぶ一定のひな型の通り」と述べ問題がないとの考えを示し、JR東労組との関係は「連合の各産別とお付き合いする範囲でお付き合いしているが、それ以上でも以下でもない」と述べた。しかし、枝野は昔JR東労組から4年間にわたって総額404万円の資金提供を受けていたという説もある。これに関連して安倍は去る7月に、「鳩山由紀夫内閣の時に、JR総連やJR東労組について革マル派活動家が相当浸透しているとの答弁書を、枝野氏が行政刷新担当相として署名している」、などと指摘している。その枝野が一部有権者の、判官びいきで脚光を浴びた。理念無き数合わせがやがては分裂を招くことは目に見えているが、枝野の発言に反して「数合わせ」をしなければ、野党は力を得ない。いずれにしても先に指摘したように1月1日に政党が成立していなければ政党交付金はもらえないから当面の期限は年内と区切られている。矛盾撞着を抱えて野党は再編へと動かざるを得まい。

T君への手紙 ― 「奢れるもの久しからず」浅野勝人

検証・・・T君への手紙 ― 「奢れるもの久しからず」
ー2017/10月5日、安保研ネット掲載。総選挙公示5日前
安保政策研究会理事長 浅野勝人

T君、総選挙いよいよ10日、公示ですね。
東京都議選で自民党が惨敗した後、お目にかかってお昼に天丼食いながら、「都議選の小池百合子は怖かったが、国政選挙の小池は怖くない」と申し上げた私の見解が当たりそうな気配ですね。

都議選の折、多くのマスコミが世論調査、その他の情勢を分析して、自民党は減っても30議席台と踏んでいたのに、T君ご承知の通り、私は20議席そこそこと予測しました。結果は19議席でみんなびっくり仰天でした。
種明かしをしますと、「都民ファースト」が全員当選すると予測して、民進党も減る。共産党が増える。公明党は現状維持。これを総合して逆算すると自民には20議席位しか残らない。結局、「都民ファースト」で落選したのは1人だけだったので、大当たりしたという仕掛け。

都議選で勝利の女神だった小池百合子が、国政選挙で輝くのは無理と推測した理由(わけ)は、
あの方は、どの選挙も「大統領選挙」と勘違いしている。
だから、小池人気が、全国津々浦々、衆議院小選挙区に行き渡り、特に比例区では圧勝して、都議選の再現となる。総理大臣就任も夢ではないと錯覚してしまう。

自民党内では、外交・安保政策に関して右派の論客だったから、時間の経過とともにその地金が滲(にじ)み出る。そうなると、右派の安倍晋三と同質なことが改めてわかってしまうので、「政権選択選挙」という唯一の訴えが売り物にならない。小池を支える膨大な無党派層が失望して離反する。
その証拠に、党公認に際して民進党リベラル派を除外する表現を「全員公認するつもりはさらさらない」と失言して馬脚を現した。

このひと言は重い。選挙戦を左右する重大なミスショットと予言しておきます。いや、ミスショットではなくて、「本音」を最悪な言葉使いで表現した。有権者は容易に「小池百合子の本音」と見破るから、このひと言で「希望の党」は失速する。非自民の有権者に、「第2自民党」は要らないと映るからです。

つまりは、安倍自民党と対峙することによって人気を倍増するつもりが、まるで補完勢力と映って当初の意図が崩れてしまいました。
だから、出馬の可能性を匂わしていた姿勢から一転して「不出馬」を明言して逃げました。どうやら思惑が外れかねないとみて「私自身は出ないと最初から言っている」と苦し紛れのウソを言わざるを得なくなりました。
与党をめざして「希望の党」を立ち上げた政党の代表・党首が、自身は出馬しない。国会の首班指名を目指さないという人がいたかどうか、憲政史上の事例をどなたか調べて教えて下さい。( 選挙の結果 ― 220人余立てて当選49人。当選率20%。惨敗 )

これに比べて、安保法制、憲法9条改正に反対する基本姿勢を堅持して筋を通し、自民党との対決を鮮明にしている「立憲民主党」の候補者と「希望の党」への参加を避けて「無所属」で出馬する前民進党の候補者が、非自民票の受け皿になる可能性が強まります。( 選挙の結果 ー 80人立てて50人当選。当選率60%。躍進)
選挙後の野党再編は、立憲民主党を立ち上げた枝野幸男を軸に小ぶりな勢力からの再出発になると思われますが、候補者を降ろして立憲民主党に選挙協力をした共産党は無視できない存在になります。
現役時代、議員会館の部屋が隣同士だったから褒めるわけではありませんが、小池晃が書記局長になってからの共産党は柔軟でいい。


T君、安倍自民党の不人気は、君の想像をはるかに超えています。私の周りでも、まさかと思う方が「今回は自民党には投票しない」と明言して驚かされます。
T君も当初は肝を冷やしていたでしょうが、小池百合子のおかげで、野党が「馬糞の川流れ」(政治勢力がバラバラになって求心力を失う様子を金丸信らしい表現で言った)となりました。
自民党が、近年、厳しく批判されている傲慢な政治姿勢を反省して、国家、国民の平穏と繁栄に真摯に取り組む姿を示せば、情況は好転。わずかな減員ですみそうです。( 選挙結果―4人減って280人当選。現状維持 )

二階幹事長は、大軍の将ですから、自信を持ってもっとはっきり発言した方がいい。
「世の中のために政治家が要(い)る。政治家のために世の中があるのではない」(思いあがるな)と明確な小池批判をする。
「国会で戦争法案反対と言っていた人たちが、政党を変わったら賛成という。我が党にとっては有り難いが、有権者の方々がそれを許すだろうか」とはっきり批判して、野党の中では一番強いと予測されている「希望の党」の票を離散させる戦術が重要です。(結果は野党第2党)

私は、来週から中国です。11回目になった北京大学での講義。それに北京外国語大学大学院、首都師範大学へ講義にまいります。選挙前に決まっていた日程ですから出かけますが、投票日前には戻ってまいります。
T君、加油! 加油! (2017/10月5日)

(22日、台風の中で総選挙終了)
T君、お互い予測はドンピシャリでしたが、何のためにやった選挙だったのか私には今でも理解不能です。勝つためにやって、小池百合子のミスショットで勝ったから、安倍晋三は結果オーライだったと理解すれば、それでいいのでしょうか。 

莫大なお金とエネルギーを費やして選挙をやって、世の中のために何がどう変わるのか、変わらないのか、何も無い。立憲民主党の当選者50人の内35人が前職以外の新らしい人だったというだけで、無所属を含めて各党とも、ほぼ全員選挙前の顔ぶれがそっくり再選されただけのことです。政策も顔ぶれも何も変わらない。野党に「馬糞の川流れ」現象が起きて、日本の政治を退化させただけでした。

T君、自民党は、現状維持をして自・公与党で300議席の大台に乗せて事実上の大勝利でした。但し、競争相手の票が二分され、比較多数で有利な情況が造られた敵失による勝利に過ぎないことを忘れないでください。

議会制民主主義、主権在民の根幹を理解していないほどの政治家の劣化。政党助成金をめぐって右往左往するほどの政党政治の劣化を招いたのは「衆議院小選挙区比例代表・落選者救済制度付きシステム」によります。世界に類のない悪法です。選挙は1票でも負けたら負けです。

安倍政権は、ことによったら佐藤栄作政権を越える長期政権になると思われます。
安倍首相のやるべき第1の課題は、もともと選挙制度の改正を強行することでした。衆議院を定員3人の中選挙区、全国100選挙区に改正する。公明党を含めて、賛否が政党によって入り乱れますが、自民党の過半数で押し切ることができる。2/3は要らない。
安定した政権の持続と何よりも有能な新人議員が、選挙ごとに1/4を占めて、もう一度政界に人材が集まります。(2017/10月23日、元内閣官房副長官)

◎俳談

◎俳談
【夏は来ぬ】
山の子の合唱遠く夏は来ぬ     毎日俳談入選
 夏は来ぬは佐佐木信綱作詞、小山作之助作曲の日本の唱歌である。2007年に日本の歌百選に選出されている。卯の花、ホトトギス、五月雨、早乙女、タチバナ、ホタル、クイナといった季語が満載で、初夏を彩っている。掲句は山の子が唱歌「夏は来ぬ」を歌っているのか、それとも作者が「夏が来た」と言っているのか判然としない。<山の子の合唱遠く/夏は来ぬ>と切れを入れれば作者が言っている方だが、どちらとも受け取れる。筆者はどちらでもいいと思う。
なぜなら誰でも知っている唱歌の風情を一句に活用しようとしたことは確かであるからだ。

◎勝ったからこそ「平衡の感覚」が不可欠

【筆者より=ソネットの障害により掲載が遅延しました。今後は常に障害のないブログhttp://suginoko.progoo.com/bbs/でご覧になることをおすすめします。将来的には

当ブログを廃止しブログを一本化します。早めにお気に入りに追加願います】

DSC_0555_00010.jpg

◎勝ったからこそ「平衡の感覚」が不可欠
  明治以来一位の長期政権も視野に
 第一の勝因は極東情勢の激変
 史上最長の「天孫降臨景気」も
  86年に衆参同日選で大勝したとき中曽根康弘は、「自民党は左にウイングを伸ばした」と発言したが、安倍自民党による5回にわたる国政選挙の大勝は自民党が農村型政党から完全に脱皮し、都市型政党としてのポジションを確立したことを意味する。都市化の波は農村部対都市労働者対峙の構図を崩壊させ、自民党の左ウイングを固定させた。歴代まれに見る長期政権が視野に入り、戦前戦後を通じて7年8カ月で2位の佐藤栄作はもちろんのこと、7年11カ月で1位の桂太郎をも抜いて歴代1位の政権まで見通せるようになった。来年9月の自民党総裁選で3選されるということは、これまでの5年間に4年をプラスすることになるからである。今後政治的には首相・安倍晋三は、日本全体を俯瞰しつつsense of  proportion(平衡の感覚)を堅持した政権運営が求められる。
 敵対する論陣を張って選挙を自民党不利に導こうと散々苦闘した朝日は、顔面蒼白紙面であった。一面で「安倍一強の変化を求める変化の兆しが見えた」と書いたが、事前に行った各種の世論調査をよりどころにしても科学的でない。最大でもっとも正確な世論調査は総選挙であるからだ。安倍政権の普段の努力が何よりの支持獲得に結びついたのである。加えて、希望の党代表の小池百合子と民進党代表の前原誠司の“政略至上主義”は、有権者が見事に見破った結果となった。小池は厚化粧の化けの皮をはがされたのだ。立憲の躍進も、あまりの与党の強さに判官びいきがあったからに過ぎない。将来的には社会党系野党は消滅の流れをたどる。
  今回の場合、有権者が左ウイングを強化、固定した第一の理由は激変する極東情勢にある。中国の一国至上主義と北朝鮮の横暴を抱える極東において、如何に国民の生命と財産を守り続けるかという困難極まりない課題は、安倍政権でなければ克服できないと有権者は判断したのだ。北朝鮮の異常な指導者が繰り返す核・ミサイル実験が佳境に達しようとしているなかで、多くの国民が、これに対応できるのは自民党政権しかないと判断したことにどう応えるかである。安倍政権としても北が狙うどう喝による「極東支配」を座視するわけにはいくまい。米国と共に「力による抑止」政策を維持して暴発を防ぐことが最大の責務であろう。
 安倍は間違ってもトランプに戦争に突入させてはならない。なぜなら、たとえ北の政権を壊滅させることが出来ても、1発でもミサイルが東京に落ちれば戦争は「敗北」なのである。米国が練り上げている作戦の1つは北の中枢、国境沿いの通常兵器、核ミサイル基地などを、爆撃や巡航ミサイルで一挙に叩き潰すものだと言われるが、苦し紛れの北のミサイルでソウルと東京が火の海ばかりか毒ガス、細菌汚染まみれになる可能性は否定出来ない。米国に打撃を与える核ミサイルはまだ完成されていないから、何をしようと米本土は安全とトランプが考える危険は計算に入れなければならない。第二次朝鮮戦争の構図ははじめから成り立たないと安倍は見るべきであろう。安倍は来月5日のトランプとの会談で刺すべきクギは刺さなければなるまい。基本戦略は軍事圧力や金正恩暗殺などによって北の政権を崩壊に導くことであり、そのためにも自民党が主張する敵基地攻撃能力も保持すべきであろう。専守防衛の時代は大きく転換させなければならない。その第一歩が敵基地攻撃能力なのである。保持することにより北への圧力は格段に向上する。
 一方、北の暴走に勝るとも劣らないのは5年ぶりの共産党大会で、習近平がその独裁色を一段と強化しようとしていることだ。党大会を見る限り、中国は民主化などという言葉をかなぐり捨てて、ひたすら習近平の下に力を集中、中国を社会主義国家として完成させようとしている。その政治報告で際立つのは①共産党結党から100年の2021年に向けて社会主義の近代化を実現させる②中国建国から100年の2049年までに社会主義近代化強国を作り上げる③同時に軍隊を世界一にするというものだ。
 これらの方針は米国などにあった「半世紀もたてば中国は民主主義国になる」とする予想を覆し、民主主義と対峙する理念の国家へと邁進する方向を強めたことを意味する。驚くべき事は習近平が「中華民国が世界の諸民族の中でそびえ立つ国になる」と言ってのけたことだ。これはかつての中国王朝がそうであったように、世界的な規模での覇権を目指すことを意味する。習近平は南シナ海における軍事拠点建設を誇らしげに成果として強調したが、まさにスターウオーズのアンチヒーローである「ダース・ベイダー」的な存在になろうとしている。その臆面もない覇権主義からみれば、東シナ海への進出も今後激しさを増すとみなければならない。
 このような中国の一国至上の覇権主義は、好むと好まざるとにかかわらず安倍政権時代に顕著なものへと発展し、極東における民主主義大国日本とダースベーダーに率いられる社会主義大国中国の政治的対峙の構図は強まるだろう。もちろん米国もやがてはこの構図に気付き、米ソ対決の冷戦時代に似た構図が東アジアで生ずる可能性も否定出来ない。幸い安倍はトランプと極めて親しい関係を築き上げており、日米で中国の膨張をけん制する流れが生ずるだろう。
 一方、経済面ではアベノミクスが絶頂期に入ろうとしている。安倍政権の12年12月に始まった景気回復は今年9月まで回復していれば、65年11月~70年7月までの57カ月間に及んだ「いざなぎ景気」を抜いているだろう。今後は2000年までオリンピック景気がこれに上乗せされるから、史上空前の「天孫降臨景気」も夢ではない。雇用は史上初めて1人に対して正社員の有効求人倍率が1に達した。希望すれば正規社員になれる時代となった。東京での倍率は2であり、全国的にも1.5と好調だ。しかし、ここに来て経済界に“慢心”とみられる不祥事が出始めた。神戸製鋼所や日産自動車で発生した品質管理をめぐる問題だ。安倍は22日「優れた日本のものづくり、失われた信用を取り戻すべく、政府と産業界一丸で取り組んでいきたい」と述べたが、蟻の一穴から崩れないとも言えない。徹底した行政指導が必要だろう。
 国会運営は「勝って兜の緒を締めよ」であり、「実るほど頭を垂れる稲穂かな 」でもあろう。慢心してはならない。とりわけ不祥事多発であった前二年生議員など若手議員の問題が気になる。昔は派閥が教育の役割を果たしたが、今後は党が議員のイロハからマスコミ対策まで徹底した教育を3か月にわたってし直す必要があるのではないか。改憲問題も、可能になったからこそ、一部でも野党が入る形で広い合意を目指す方がよい。原発問題は5回目の支持獲得であり、安全基準を達成すれば稼働を推進すべきであろう。

事実上の“ 殺人罪 ”を処罰せよ! 浅野勝人

事実上の“ 殺人罪 ”を処罰せよ!
安保政策研究会理事長  浅野勝人

「子どもを教える立場にありながら、自らが犯した、重大な責任に気付かず、悪いとも思わず、反省もしない。あの時の担任、副担任の教諭が一人でも違う先生だったならわが子は死なずに済んだ」
これは今年(2017年)3月、福井県池田町立池田中学校で自殺した2年・男子生徒(当時14才)の母親の手記です。息子を失った悔しさや学校への怒りが11枚にわたって綴られており、癒えない悲しみが滲んでいます。

3月14日、午前8時頃、男子生徒が校舎3階の窓から飛び降りて自殺した。池田町教育委員会は「担任と副担任から繰り返し強い叱責を受け、追い詰められた末の自殺」と発表した。担任は30代男性、副担任は30代女性という。
担任、副担任から大声で叱責されているところを目撃した同級生は、調査委員会に「(聞いている者が)身震いするぐらい怒鳴っていた」と証言している。しかもたびたびである。報告書が「度重なる厳しい叱責による精神的ストレスと孤独感が自殺の原因」と断定している背景だ。

更に許しがたいのは、母親が「自殺した日に自宅に来た校長は頭を下げることもなく、『家族が悪い』といわれているような言動だった」と堀口修一校長に対する不信感を語っている点である。
この男の子は、草むしりをする祖母のために椅子を手作りするような家族にやさしい少年で、生徒会役員としても申し分なかったという。
堀口校長は、自殺直後の記者会見で「そんな事態は把握していなかった」と述べ、保護者説明会で「問題はなかった」と説明していた。ところが、検証が進むにつれて校長、教頭とも叱責の現場を何回も目撃していることが判明している。責任感の欠片もない。

もっと情けないのは、生徒が自殺した後、原因を振り返るための職員会議で、担任、副担任の行き過ぎた叱責を指摘し、諫めた教員は一人もいなかった。こんな人たちが大切な子どもを教育しているかと思うと寒気がします。ここだけの例外であってほしいと念じますが、どんなものでしょうか。

事実を知れば知るほど、これでは事実上の殺人罪ではないかと思われてしまいます。担任、副担任は獄門、校長は殺人幇助で遠島、教頭は閉門蟄居です。わたしの孫が同じような扱いをうけて自殺したら、担任、副担任を刺し殺して、自首します。

その上、事もあろうに、有識者らによる調査委員会が作成した調査報告書から、「管理職(校長と教頭)としての職責を果たしたとは言えない」という文言を町教育委員会が削除して発表した。まさに学校と教育委員会がグルになって隠ぺい工作をしている醜態を見るにおよんで、怒りを通り越して情けなくなる。
町教育委員会・内藤徳博教育長は「管理職の責任に関する内容が省かれた理由は分からない」と取材に答えている。自分たちで削除しておいて「なぜ削除されたかわからない」とは盗っ人猛々しい。あなたは、その椅子に座っている価値は爪の垢ほどもない。即刻、引責辞任してはいかがでしょう。

マスコミ各社、とりわけ新聞各社には、1面トップで徹底的に追及する問題意識が求められる課題と考えるがいかがだろう。徹底した事実の解明と当事者の責任の明確化、厳しい処分が何よりも再発防止につながると考えるからです。マスコミの社会的使命です。

むかし噺になりますが、現職の時、自民党政策審議委員だった折、いじめによる少年の自殺問題を取り上げ「知りませんでした。遺憾ですというだけの教育委員会は、屁のツッパリにもならない。小・中学校の校長が委員会の長になり、委員も教職員が多い。いわば学校の先生の再就職口に過ぎない。だから教育行政を監視、注意すべき機関が学校の不始末をかばうことしか考えない堕落した存在になる。地方自治体の教育委員も公選制にして選出し、その中から委員長を互選したらいい」と指摘したことがあります。
「屁のツッパリにもならない」という発言がゲラゲラと笑われただけで、それっきりでした。
明後日投票の総選挙が終わったら、遅まきながら、政府・与党は立法措置も視野に真剣に取り組んでみたらどうだろう。(2017/10月20日、元内閣官房副長官)

◎俳談

◎俳談
【なりすまし】
吾は古希兄は十九の終戦日 産経俳壇一席
 古希の友人の兄が特攻隊で死んだ話を聞いた。お骨のない墓には十九歳と彫ってあるという悲しい話だ。掲句の場合誰が見ても自分のことように受け取れるが、実際にはそうではない。これに人から聞いた話だ。しかし五七五の中に、聞くところによるとなどと書き加えることは極めて難しい。こういう場合は自らが友人の心境になりきって作句すれば良い。俳句は一人で歩き出す。
空蒼き故の不安や終戦日 毎日俳談入選
 この句は蒼い空から敵機が来襲した記憶が作らせた。感性の句だ。

◎北の“貢献”で自民の選挙戦が有利に

DSC_0626.jpg

◎北の“貢献”で自民の選挙戦が有利に
  若年有権者層の反北感情も影響
 野党は時代錯誤の極み
 隠れて見えない「影」から衆院選で自民党を応援してくれる国がある。どんどん応援しても外国だから公職選挙法違反にならない。貧乏国だから資金援助はないが、トップや幹部の発言が全て票に結びつく。与党にとってこんなありがたい国はないのが北朝鮮だ。最近一番利いたのが外相李容浩が、「金正恩委員長が声明で言及した『超強硬対応措置』とは過去最大の水爆実験を太平洋上ですること」と言明したことだ。防衛相小野寺五典は「水爆を運搬する手段が弾道ミサイルであれば、日本上空を通過することも否定できない」と応じたが、これを聞いた有権者は自民党に投票しようと“決意”する。なぜかと言えば傍若無人にも日本を超えたミサイルで日本の庭の太平洋で水爆実験を行うなどと言うことは、国民感情の琴線に触れる最たるものだからだ。多くの国民は、野党、とりわけ立憲民主、共産、社民の各党は北朝鮮と同じ社会主義に根源を発していることもあり、北に関して何を言おうと信頼できない傾向がある。希望の党も大挙して元社会党の民進党から押しかけているから油断が出来ない。やはり頼りになるのは自民党ということになってしまうのだ。
 安倍も抜け目がない。歴代首相は、“ありがたい票田効果”が北朝鮮にあるのに気がつかず、手を付けなかった。しかし、安倍は国連総会で北朝鮮対策一色の演説をした流れをそのまま、選挙戦の演説に直結させた。安倍は北朝鮮のミサイル発射について「動きを完全に捕捉している。私たちは、しっかりと国民の命と幸せな暮らしを守り抜いていく」と訴え、米国とも連携していることに触れ、「強い外交力で核・ミサイル問題や拉致問題を解決していく」と主張。経済制裁を強化していることについては「しっかり圧力をかけ、政策を変えさせていく」と理解を求めた。聴衆の中からは批判勢力が秋葉原の例にならって「やめろ」のシュプレヒコールを繰り返すケースがあるが、最近では一般の聴衆が「選挙妨害だ」「黙れ」と憤りの声を上げる事例が相次いでいる。
 野党各党は、この最大の争点になっている北朝鮮問題には触れないようにして演説を展開しているが、これがまた信用がおけないということになる。安倍が強行突破した安保法制についても、今ほど必要とされている時はない。同法制に基づき政府は自衛隊の艦船で米軍の補給艦を守る平時の米艦防護や、補給艦による米軍イージス艦への給油を行っている。公式発表がないケースも増えてきているようだ。こうした政府の「日米共同作戦」に対して、批判すれば野党は不利になるとみて沈黙を続けている。確かに「給油反対」などと言える雰囲気ではないからだ。そもそも野党は安倍政権が成立させた安保法制には反対であり、共産、社民は「安保法制は憲法違反。廃止を求める」と選挙で主張することになっているが、公言はしない。しかし選挙民の選択は共産党を“マイナス成長”にさせようとしている。減りそうなのだ。一方立憲も「北朝鮮対策としては個別的自衛権で対応できる。領域警備法と周辺事態法の強化で対処出来る」としているが、今そこにある危機に対しては説得力がない。まさに北朝鮮問題で野党は時代錯誤の極みの状態にあるのだ。
 そもそも根本的に与野党が異なるのは、自民党が北朝鮮への圧力に重点を置くのに対して、野党は対話に重点を置く傾向にあり、その基本姿勢の差は大きい。具体的には自民党が「全ての核ミサイル計画を放棄させる」としているのに対して、立憲は「北をテーブルに着かせるための圧力を強める」としている。この主張は、空想的社会主義のからが抜けないのか、今そこにある危機に対して空想的で現実感が伴わない。話し合いに応じない金正恩に対して「話し合いを」という空々しさと無責任さを感ずる。
 一方、憲法改正への取り組みも、安保がらみで各党主張が異なる。与党も割れる。自民党が9条に自衛隊を明記する方向での改正を主張しているが、公明党は「多くの国民は自衛隊を憲法違反と考えていない」として消極的だ。安倍も「国会の議論を活発化させるために投じた一石」として、それほどこだわる気配がない。従って、総選挙の大きな争点として浮上しているとは言えないだろう。
 このように、最近では珍しく北朝鮮が、大きなテーマとなっているが、野党の主張が総じて現実性に乏しく、与党側を有利に導いている事は確かだ。とりわけ18歳選挙権で若い世代が選挙に影響を生ずる傾向が増えることが予想されるが、高校、大学生は北に対して「むかつく」と反応する傾向が強い。若い世代ほど右に寄っているのが世論調査でも如実に現れている。その作用が大きい気がする。

◎俳談  

◎俳談
【人生の黄金期】
恐ろしき昭和を見たり昼寝醒  朝日俳壇年間秀句
 何と言っても人生の黄金期は退職後にある。何しろ働かなくてもメシを食っていける。筆者の場合は連日、前人未踏の4000字に達するニュース解説をブログに書くことを自らに義務づけているから、ほっとするのは金曜と土曜だけだ。それでも開放感はすばらしい。退職後最大の醍醐味は昼寝だ。筆者は徹夜で執筆する関係から午前と午後の2度寝る場合がある。ほとんど夢など見ないが、見る場合もある。
 掲句は原爆や戦争の夢を見たわけではないが、昭和を回顧すれば「恐ろしき」と形容するしかない。実際に見たように嘘を言い切るのが俳句だ。ただし、たいていの嘘の句はばれる。嘘のつきかたが下手だからだ。達人芭蕉は蛙の飛び込む水の音がしようがしまいが、絶対にばれない。凡人は少なくともばれるかばれないかすれすれの嘘をつかなければならない。昼寝覚も昼寝も夏の季語。次の句は嘘ではない。
猫の舌仕舞ひ忘れて昼寝かな 産経俳壇入選

◎“進次郎節”が安倍顔負けの“集票力”

DSC_0942_00053.jpg

◎“進次郎節”が安倍顔負けの“集票力”
 清新さを武器に“とどめの一撃”
 今更ながらびっくりしたのは今をときめく小泉進次郎の18日の演説だ。あまりに名演説なので録画を書き取った。少し長くなるが紹介する。小泉は沖縄県南風原町で、「自民党が優勢に戦いを進めているという報道もあるが、仮にそうだとしても、それは、野党が分裂して、お互い食い合っているだけであって、私たち自民党が皆さんから完全に信頼を回復できたわけでもない。8年前に失った私たち自民党の信頼は、まだまだ回復の道半ばにある。決して私たち自民党が、得点を挙げてきたわけではなく、野党があまりにもひどすぎた。ものごとに反対することは簡単で、言うことも簡単だ。しかし、それを形にするのはそう簡単なことではない。私たちは、諦めないで一つ一つ形にしてくことを、いくら時間がかかってもぶれずにその道をまっすぐ進んでいきたい」と述べた。この演説から分かることは、まず、明らかに全国向けの演説を意識していることだ。小さな自治体向けの演説ではない。NHKのカメラを意識して、“狙った”のだ。
 加えて 小泉は政局観がしっかりしている。自民党が、現在置かれている立場を十分すぎるほど理解しているのだ。置かれた立場とは「勝って兜の緒を締めよ」である。このままなら野党の体たらくで圧勝の流れだが、この流れはちょっとでも慢心が出ると崩れる。なぜなら、野党は民進党の瓦解で立憲民主党以外は総崩れだが、これは自民党にとって“敵失”による漁夫の利である。これを知り抜いた小泉が逆張りで「自民党が、得点を挙げてきたわけではなく、野党があまりにもひどすぎた」と謙虚に反省すれば、迷っていた有権者や、今回は自民党が有利だからバランスを取って野党に投票しようとしていたいいかげんな有権者も「そうか」と納得する。
 以前から小泉は街頭演説では「財政赤字は民主政権で悪化したが、もとをたどれば自民党の責任。しっかり反省しなければならない」などとまず反省を前面に打ち出して訴えている。この意図は、自民党内にも若い世代が存在し、旧態依然たる党幹部と異なり、自らを批判する謙虚さを持っていることを訴える必要があるからだ。新鮮さをフルに活用しているのだ。加えて「諦めない。いくら時間がかかってもぶれずにその道をまっすぐ進む」と決意を表明して、締めくくる。これにすがすがしささが加わって、NHKが報じた他党党首の演説は色あせた。食卓でテレビを見ていた家内が、リビングでやはり見ていた小生のところに飛んできて、「すごい」と宣うた。選挙終盤の夜7時のニュースの冒頭だから、自民党にとっては「とどめの一撃」とも言えるほどのスピーチだ。
 小泉の選挙戦術は演説内容ばかりではない。何と「無言作戦」まで展開している。スポニチなどによると、12日の千葉県松戸市で応援演説をしようとしたところ、50メートル先で立憲代表の枝野幸男が演説を開始してしまった。普通なら街頭で鉢合わせすればボリュームを上げてがなり立てるところだが、小泉は逆であった。街宣カーに上がった進次郎は、聴衆に向かってあいさつすると、2人の声が交錯することを知った。すると小泉は「みなさん、今、あそこで枝野さんがやってますから、終わるまで枝野さんの話を聞きましょう」と聴衆に呼びかけ、枝野の演説が終わるのを待つ余裕を見せたのだ。予期せぬ事態に聴衆からは驚きの声が上がったが、進次郎は10分以上にわたり、「無言」で聴衆に手を振り続けた。枝野の演説が終わろうとするころ、「立憲民主党の街頭演説を聞いているみなさんにも大変申し訳ありませんが、ぶつかる形になりますけども、今から短くやらせていただきます」と断り、ようやく口を開いたのだという。
 両陣営によるとお互いの演説場所が重なっていることを知ったのは10日夜。事前に知っていた小泉は、練りに練って“無言作戦”を取ったことになる。相当なテクニシャンでもある。いずれにしても、こうした小泉の態度からは、すがすがしさを感ずる国民が多いに違いない。テレビのニュースに露出するのは、首相・安倍晋三か小泉のどちらかであり、安倍はオーソドックスだ。首相としては当然だろう。一方“新次郎節”はその安倍もタジタジの貢献ぶりである。自民党は掛け値なしで大輪の花を咲かせ、集票に貢献をさせていることになる。まさに政界のサラブレッド、肝が据わって度胸のある男が登場したものだ。

◎俳談

◎俳談       
【着眼はちぬのしなり】
庄内竿ちぬのしなりを見せにけり 産経俳壇一席
 作家藤沢周平の「たそがれ清兵衛」の映画の中のワン・シーンに庄内竿でハヤを釣るシーンがある。庄内藩は藩士の釣りを奨励し、藩士は競って名竿(めいかん)を求めた。「名竿は名刀より得難し」と言われて、そのしなりや震えで即座にかかった魚の種類が分かるという。私の父は庄内竿を愛用していた。掲句のみそは「ちぬのしなり」と形容したところにある。釣り人の用語を拝借したのだ。

◎野党は立憲軸に再編の流れ

DSCN6410_00023 (2) - コピー.jpg

◎野党は立憲軸に再編の流れ
 民進軸の再結集は潰れた
 江戸時代の刑罰には、重い順に火あぶり、磔(はりつけ)、獄門、打ち首、遠島、江戸所払い、百叩きがある。昔の政界では大失政をした議員を「火あぶり磔の刑だ」とよく言ったものだが、今は社会が緩やかになったから極刑はやめておく。さしずめ小池百合子は百叩きの上遠島。前原誠司は江戸所払いといったところか。
 小池は女だてらに丁半ばくちに手を出して「丁!」と張ったが「半」と出た。希望の党は小選挙区、比例代表で計235人を擁立し、野党再編の核を目指した。しかし、小選挙区では最大でも23議席程度しか見込めず、10議席台にとどまる可能性がある。比例代表と合わせても57議席の公示前勢力はとても無理の感じだ。小池自身の「排除の論理」がたたって、政治の本流から「排除」されつつあるのだ。前原の誤判断も大きい。希望の党がブームを呼ぶと見て、本当に希望を抱いて民進党をなだれ込ませたが、これが大失敗。希望どころか地獄の苦しみを民進党議員にあわせてしまった。この結果、小池と前原の双方に責任問題が発生する公算が大きい。両者は政治家としての判断力を問われる事態に発展しよう。小池は世論調査では「都政に専念を期待する」声が70%に達していたにもかかわらず、危ない“火遊び”に手を出した責任は免れまい。都民の信頼は地に落ち、都議会でも与党の公明党が反小池の色彩を強めることが予想され、都政の運営は困難を極めるだろう。
 それでは選挙後野党は一体どうなるかだが、社会党以来の左派系有権者のよりどころとなりつつある枝野幸男が率いる立憲民主党を核に離合集散を始めざるを得ないだろう。野党が国会で共闘を組む形が考えられるが、年末までに政党を組織しないと1月1日に国からの資金が入らないから、急ぐ必要があるが、早くも野党のコップの中に嵐が生じつつある。問題は勢力を温存している参院民進党から提起された。同党参院会長の小川敏夫がしゃしゃり出たが、与野党から「参院は引っ込んでいろ」(立憲幹部)と総スカンを食らって敗退した。小川は「民進党は解党しない。民進党を守り、再びリベラル勢力を結集する」と民進党の参院議員の一部が衆院選後、希望の党に合流せずに民進党に残り、民進党を党として維持する動きをみせた。民進党を軸に再結集して再出発しようというわけだ。小川にしてみれば民進党には全国組織も残っており、政党交付金も100億円ある。これを武器にすれば、再編が可能とふんだのだ。
 しかし、小川は甘かった。民進党を捨てて希望に合流した連中は発言権など全くない。一方、立憲を組織した枝野にしてみれば、「一か八か」の勝負に出た結果、ようやく40台後半の議席を獲得しそうなのに、参院ごときから、かっさらわれてはたまらないというわけだ。枝野は「選挙が終わったので元のサヤに戻るのではなく、立憲民主を軸に民進とどう連携が取れるかを考えてゆく」とはねつけたのだ。首相・安倍晋三も分かりやすい批判を展開。「当選するためにどこかの党へ行く。選挙が終われば元に戻るという話もある。一体どうなっているのか」と皮肉った。
 民進党員ながら無所属で立つという、わけの分からない立候補をした元党幹部らも行き場がない状態だ。苦し紛れか岡田克也が「選挙が終われば無所属を軸に大きな塊を作っていかねばならない」と発言したが、何でも「軸」になればいいというものでもない。無所属とはヌエのごとき存在であることを知らない。まるで噴飯物だ。
 こうして小川の“先走り構想”は、ぽしゃったが、小川は後になって「私は存続している民進党を軸に自民党に対抗するリベラル勢力を結集する必要性を述べただけで、民進党への再結集とは述べていない」と逃げの手を打った。こうしてコップの嵐は曲がりなりにも左翼バネで政党を立ち上げた枝野を軸に進む方向となった。希望の党は民進党からの離党組が、常に党存続の危機をもたらす傾向をおびるだろう。しかし、希望の党を装って安保反対をベールにかけて当選しても、国民からはそっぽを向かれるのが落ちだ。小池ポピュリズムにすがって当選しても末路は哀れだと言うことだ。

◎俳談

◎俳談
【意外性】
トレーラー降りしは女黄鶺鴒 俳句朝日入選
 あっと驚くものをそのまま詠むのも俳句の修業方法だ。掲句は
トレーラーの運転席からうら若き女性が降りてきたのを見て作った。季語の黄鶺鴒(キセキレイ)は秋の季語。若い女性と良く響くので使った。あらゆる事象を即座に俳句に写し取る技術を身につけることは簡単だ。毎朝10句作れば良い。
 国境のトンネル戻り小春かな NHK俳壇入選
猛吹雪の新潟から湯沢町を経て清水トンネルを抜けると、そこは小春日であった。川端康成の「雪国」の全く逆であった。その意外性を一句にした。日本人なら「国境の長いトンネル」と聞いただけで「雪国」を思い出し、また詩情を感ずる。掲句はその日本人共通の感性にあえて軸足を置いた。康成の作った心情を借用したのだ。

アンダードッグ効果が懸念材料

DSCN6369_00013 (2)j.jpg

◎アンダードッグ効果が懸念材料ー衆院選あれこれ
  民放テレビの「禅譲説」に慌てた岸田
 「時事放談」が放送法すれすれの不公平報道
 総選挙も佳境に入ると“敗者復活”を目指して与太情報が乱れ飛び、各党幹部もあの手この手の“秘術”を尽くして舌戦を展開するから面白い。
 与太情報の最たるものはなんと民放番組から飛び出した。フジテレビの報道2001で去る7月にに「安倍政権の支持率が下がったことで、全国の悪いやつらが喜んでいる」と発言した解説委員平井文夫が、またまたびっくり発言。今度は政調会長岸田文雄に「自民党が予想通りに勝てば安倍首相は岸田さんに禅譲するとの説が流れている」と爆弾質問。これにはさすがの岸田もオタオタして「安倍総裁の下で選挙戦を戦っている。安倍総裁の下で今の顔ぶれで政権を支えてゆくことで選挙を戦っている」と全面否定。「安倍総裁の下で」を2度も繰り返した慌て方は見物であったが、想定外の質問であった。選挙に圧勝しようとする首相が、事もあろうに選挙後に岸田に禅譲するだろうか。100%ない。来年9月の安倍総裁3選がますます濃厚になっているなかで、民放とはいえ放送のレベルが問われる発言であった。
 驚いたのが希望の党代表の小池百合子が大阪弁の応援演説をやったことだ。もともと兵庫県芦屋市生まれだから、流ちょうなものだが、どこか違和感を感ずるのはなぜだろうか。別に大阪弁の演説が悪いなどというつもりは更々ないし、大阪弁は大阪勤務で好きになった。しかし、党首の演説である。NHKの全国放送で放映されたから、東京や東北や九州の各県の有権者は違和感を覚える者も多いだろう。大阪の友人が電話してきて、「票欲しさが鼻につく。見え見えだ」と批判していた。たしかに小池は東北では東北弁で応援するのかと思いたくなる。貧すれば鈍するの破れかぶれの姿勢が垣間見えるのである。標準語の演説でも安倍に比べると具体性と“深味”を感じさせない。知識の浅さをより際立たせる小池戦略であった。
 概して民放の番組をつぶさに分析すれば、TBSなどが放送法すれすれの自民党批判を繰り返している。その象徴的な例がTBSの時事放談だ。大体この種の番組は公平を期するため自民党側と反自民を並べてしゃべらせるのが常だが、15日の時事放談では新党さきがけ代表だった武村正義と元民主党政調会長の仙谷由人という札付きの反自民人間にまくし立てさせた。司会の御厨貴は例によって中立を装いながらけしかけた。問題は自民党と希望の党を散々批判した上で、選挙の投票行為に触れて仙谷が「5年後10年後の日本を、日本人を考えて投票すべきだ」と強調したことだ。武村も負けじと「これまでの政治をだらだらと続けるのか変えようとするのか」と同調した。あきらかに有権者を野党の投票へとけしかけ、誘導する発言である。公職選挙法は新聞雑誌に関しては選挙の公正を害すれば二年以下の禁錮又は三十万円以下の罰金に当たるとしているが、テレビ番組には規定がない。しかし、ひどいものは放送法による免許停止が可能だ。自民党は14年に①出演者の発言回数や時間に公平を期していただきたい②ゲスト出演者の選定についても中立公平を期していただきたい③テーマについても特定の出演者への意見が集中しないよう中立公正を期していただきたいーなどの要望書をテレビ各社に出している。放送法の免停を考慮した上でのことだ。そんなことは知らぬ顔の半兵衛を決め込んでいる。
 ここにきて自公で300議席以上の流れが確実視され、安倍政権続投の方向が固まっているが、問題は「アンダードッグ効果」だ。直訳すると「負け犬効果」となるが「負け犬への同情効果」とすれば分かりやすい。負けそうな党や候補者への同情票が情勢を変える恐れがあるのだ。この効果は選挙で世論調査が実施されるようになった米国で戦後に指摘されたものだ。日本における顕著な例は森喜朗が2000年6月の衆院選挙での演説で、自民党優勢を伝える各報道機関の世論調査を評して「まだ決めていないとか関心がないとかいうのが40%くらいあり、これは大変大きい数字なんです。そのまま有権者が関心がない、と言って寝てしまってくれれば、それでいいんですけれども、そうはいかんでしょうね」などと発言した。この挑発発言が一挙に情勢を覆した。「自民が安定多数うかがう」と分析していた新聞の予想に反して、解散前271議席を233議席にまで減らしてしまったのだ。危ないケースも散見されはじめた。自民党幹事長二階俊博が14日大阪での街頭演説で、ヤジに反応してしまい「分かったから黙っておれ」と発言した。幸いにも新聞は大きく報じていないが、「黙れ」は軍部が議会を脅迫した戦前の「黙れ事件」を思わせる。二階は寡黙なくせに、ときどき舌禍間際の発言をする。終盤に向けて何が飛び出すか分からない寸前暗黒の事態を物語る。自民党は兜の緒を締めなおす必要がある。

◎俳談

◎俳談
【世界一の短詞に含まれる大きなもの】
子の腹に鉄棒の錆梅雨晴間 小澤
掲句で浮かぶ情景は紛れもなく鉄棒の練習をしている子どもの姿である。逆上がりの練習であるが、逆上がりという言葉は使っていない。「鉄棒」と「子の腹」ですべてを物語らさせている。「梅雨晴れ間」は夏の季語である。長雨で錆がついているのに、晴れたから「鉄棒やろう」と誘い合って校庭に出た姿だ。たった五七五の中身を語ればこれだけで120字となる。世界一の短詞に語らせれば、泉の如く解釈が湧く。芭蕉の俳句なら長編小説でも書ける。それが俳句の神髄だ。

◎自民優勢で安倍長期政権が視野に

DSC_0727ks(2).jpg

◎自民優勢で安倍長期政権が視野に
 261の絶対安定多数も確保か
 大衆迎合の小池新党は伸び悩み
 総選挙序盤の形勢は自民党が小選挙区、比例区の双方で優勢な選挙を展開しており、233議席の単独過半数を大きく上回りそうな情勢だ。このまま推移すれば公明党とともに、首相・安倍晋三の政権維持が可能となる。安倍の長期政権が視野に入ったとも言える。絶対安定多数の261議席も可能な情勢で、公示前勢力の284にも近づきそうだ。逆に小池百合子の希望の党は最初から「失速」状態であり、選挙後政局に関与出来る可能性は薄らいでいる。総じて有権者の多くが北朝鮮情勢などを考慮した外交安保重視の選択をしようとしており、浮ついたポピュリズムの象徴小池新党には「ノー」の判断を下しそうだ。よほどの無責任な有権者は別として、総じて堅実なる選択をしつつあるようだ。革新政党に先祖返りした立憲民主党は一定の支持を確保して健闘している。
 「ショボい」のはどちらだろうか。希望の党代表の小池百合子が、首相・安倍晋三の消費税の使い道を「ショボい」と形容した。安倍が表明した「増税分を子育て支援や教育無償化の財源に充てる」ことに噛みついたのだ。しかし、そんなにショボいだろうか。消費税の使い道は重要な争点であり、ショボいというなら対案を示してから言うべきだ。逆に小池新党が「消費増税凍結」などという無責任なポピュリズムを前面に打ち出したのはショボすぎるのではないか。小池のショボさの核心部分は、小池新党に民進党から現、元合わせて110人を公認したことだ。これは新党の実態が第二民進党となったことを意味する。安保法制反対のプラカードを掲げて委員会になだれ込んだ連中が、今度は安保法制賛成で入党する。当選すれば再び反対に回って、党を割るのは目に見えている。小池新党の欺瞞(ぎまん)性はプロなら簡単に見抜くが、有権者が見抜くのは時間がかかるが、今回は見抜かれた感じが濃厚だ。
 加えて小池は安倍政権に真っ向から反旗を掲げながら、党首討論では自民党との連立を否定しなかった。こんなご都合主義が通るだろうか。これまでに聞いたことがない。新党を結成するなら当然自分が衆院選に出馬して戦うべきだが、事もあろうに都知事職とかねて選挙戦を戦う。大阪などの地方都市と違って、東京都知事は片手間で出来るものではない。都知事職は失いたくないが、国会には議席を獲得して影響力を行使したいという「欲張り婆さん」の姿勢がありありだ。7割以上が都知事にとどまることを求める都民は、この二股膏薬知事の本質をやっと知る事になった。ショボさの極致のような知事を選んでしまったことに気付き始めたのだ。
 こうした有権者の傾向は世論調査の結果となった現れている。NHKの調査によると政党支持率は自民党が31.2%でダントツで、2位の希望の党は4.8%にとどまった。「希望の党」に期待するかどうかは期待するが36%、期待しないが57%に達した。こうした調査を勘案して、選挙区事情も考慮して筆者は議席数を分析した。その結果自民党270±15,公明党32±3、希望の党55±10,維新9±3,立憲民主党40±5、共産18±3と言う結果が出た。自民党は単独で過半数の233議席に達するのはもちろん、絶対安定多数の261議席も視野に入る。公示前勢力の284も夢ではないかもしれない。この結果小池新党が政権に介入できる要素はなくなった。従って、総選挙は当初から政権交代選挙の色彩が薄れ、安倍政権信任選挙の方向が強くなっている。要するに「小池失速」で、既存の政権や現職候補者に対する 信任・不信任を問う選挙となる傾向を示しているのだ。従って、石破茂を小池が切り崩すような事態には至るまい。石破にしてみても沈む「タヌキの泥舟」に乗る気は当初からない。
 さらに選挙は北朝鮮の核・ミサイル実験の影響が強く反応されたものとなりそうだ。読売新聞の世論調査では、重視したい政策として、「北朝鮮問題など外交や安全保障」を挙げた人が71%で最多となり、景気や雇用64%を抜いた。外交・安全保障が景気や社会保障を上回って最多となるのは異例のことだ。日本人の意識の変化を感じさせる。安倍は今回の選挙を北朝鮮の度重なる核実験や弾道ミサイル発射を踏まえ、「国難突破選挙」と位置づけたが、この判断が利いていることになる。さすがに小池も「リアルな安全保障が必要。北朝鮮の危機が迫る中でどうするのか。同じ方向性を持っていないと、党としての対応が揺れてはまずい」と発言して、安倍政権の方向性を認めざるを得ない状況だ。
 概して小池の演説は貧すれば鈍するで、長屋のおかみさんががなり立てるような調子であり、キンキン声のうるささが先に立つ。まるでどこかの県に昔いた騒音婆さんのようで品がない。自民党は池袋などで小池にぶつけて小泉進次郎を演説させているがこれがうまい。「小池さんに感謝する」と逆説論法で迫っている。「緊張感を与えてくれて有り難う」「希望という言葉を使って真の希望とは何かを考える機会をくれた」とやり返し、「有権者は選挙目当てを見抜いている」と小池ポピュリズムを切っている。このところ敗色濃厚のTBSやテレビ朝日などリベラル民放のトーク番組も、「小泉演説」を取り上げる場面が多い。安倍並みに露出度を稼いでおり、自民党幹事長・二階俊博などどこでないをやっているのか分からない状態だが、かえってこれがプラスに働いている。

◎俳談

◎俳談
【オタマジャクシ】
蝌蚪(かと)入れてペットボトルの黒くなる 東京俳壇入選
 蝌蚪はおたまじゃくし。最近は子どもの自由な遊びが珍しくなった。昔は一日中おたまじゃくし取りやザリガニ釣りに夢中になったものだ。最近森でそんな子にお目にかかった。飲み干したペットボトルにオタマジャクシをいっぱい入れて歩いていた。顔は日に焼けて、たくましさを感じた。掲句はその驚きをそのまま詠んだ。子どものころ川でシジミ取りに夢中になって、Tシャツの端を結んで袋にして、担いで帰ったこともあった。
空蝉(うつせみ)を付ければ泣いて取れば泣く 産経俳壇2席
 空蝉は蟬の脱殻。子どもの仕草を観察すれば俳句の題材には事欠かない。子どもは軟弱に育ててはいけない。

◎総選挙「小池失速」を軸に展開

DSCN6239_00012p.jpg

◎総選挙「小池失速」を軸に展開
  自公の過半数が見えてきた
 「コイケノミクス」は「小池のミス」に
 どうしてこう予想が当たるかといえば「頭がいいからだ」などというと、うぬぼれになるから、「動物勘が鋭いのだ」と言っておこう。筆者が小池新党について「早くも失速感」と報じたのは3日だ。9日になって読売がやっと追いつき「希望失速」。産経も「期待値に陰り」だそうだ。これくらいの政局は55年もやっているとすぐに読める。今日は公示日だから、22日の開票日までに失速は深まりこそすれ挽回することはないだろう。なぜなら、希望の党には致命的とも言える欠陥があるからだ。それは有権者欺瞞の構図だ。その最たるものは安保法制反対のプラカードをついせんだってまで掲げてデモをしていた革新系衆院議員を安保賛成の“踏み絵”をして入党させて保守新党を形成したという愚挙だ。日本の政治史上に残る前代未聞・驚天動地の数合わせであり、これが多くの国民のひんしゅくを買い始めたのだ。有権者を馬鹿にするのも休み休みにせよと言いたい。
 小池百合子の度しがたい権力欲は恥も外聞もかなぐり捨てて、議席を確保し、何が何でも安倍政権を覆したいという、一種の“民主主義クーデター”ともいえる側面がある。まるで徳川幕藩体制を覆そうとした由井正雪の乱だ。歌舞伎で、お堀の深さを石を投げて測った丸橋忠弥はさしずめ前原忠弥だ。石が底に当たる音から深さを測ったが、今度の堀は深くて音がしないのだ。そこには系統だった政策などなく、あるのは野望と政局のみである。高々と「コイケノミクス」として掲げるその政策の「消費税凍結、原発ゼロ」には、大衆に迎合するポピュリズムのみが存在する。原発ゼロで東京都の電力はまかないきれるのか。消費税凍結で国家の財政は維持出来るのか。小池にとってはそんなことはどうでもよい。議席を取って政権を覆し、自分の息のかかった者を担いで首相にして、裏で政権を牛耳ることだけが真の狙いだ。しかし、「コイケノミクス」はやがて「小池のミス」として嘲笑の対象になるだろう。
 小池の判断ミスはかっての福田赳夫の判断ミスと似ている。再選に臨むに当たって「全国津々浦々で『福田さん引き続きやってくれ』と言う声が満ちている。福田再選は天の声だ」と述べたものだが、予備選に敗退。「天の声にも変な声がたまにはある」とぼやいたものだ。小池も「全国津々浦々」と言う言葉をよく使うが、東京ばかりか地方の方がもっと冷めていることに気付かない。
 おまけに小池は、例えば自民党内反主流の石破茂の選挙区に候補を立てないなど、見え透いた自民党分断作戦も行った。石破にしてみれば悪い感じはしないだろうが、最近では小池の舟が「沈む泥舟」と分かって来て、後ずさりし始めた。石破の出番は自公が過半数割れした場合に、野党からの甘言に乗って自民党を割るケースだが、その気配はみられない。かって自民党を離れて辛酸をなめ、こりごりしたといわれており、慎重だ。田中角栄は中川一郎の立候補を評して「池から飛び跳ねた鯉は地面に落ちて干物になる。鯉の干物など誰も食わない」と述べたものだが、小池の鯉も跳ねまくっているからやがて地面に落ちかねない。
 さすがのテレビのコメンテーター達もリベラル丸出しの伊藤惇夫が最初は小池の立候補の可能性を「78%」と述べていたが、そのうちに「50%」になり、9日には「0%ではない」とまでに変節した。口から出任せのトーク番組の質の低さを如実に物語るものであり、いまや同番組がオオカミ少年となって邪道を歩いていることに視聴者は気付かなければならない。コメンテーターらの口からようやく「負け」の言葉が漏れはじめた。
 こうして大きな流れは「小池失速」を軸に展開しそうな雲行きとなって来ているが、読売の世論調査でもこの数字は如実に表れてきている。衆院比例選の投票先は、自民党32%でトップ。希望の党は13%で6ポイント下がった。重要なことは「下がった」ことなのである。有権者が気付きはじめたことを意味する。立憲民主党が7%で続いた。次いで公明党5%(前回6%)、共産党4%(同5%)、日本維新の会3%(同2%)などの順だ。希望の党に「期待する」は36%で、「期待しない」の58%を下回った。枝野幸男らが結成した立憲民主党に「期待する」は、全体の28%で、「期待しない」が64%に上った。小池が希望の党の代表を務めていることについては、「都知事の仕事に専念すべきだ」が71%(前回62%)に上昇した。朝日の調査もほぼ同様の傾向を示している。
 一方首相・安倍晋三は8日の日本記者クラブとの会見で勝敗ラインを「自公で過半数(233議席)」と設定した。「50議席減が退陣の一つのメドではないか」と問われた安倍は、「過半数を維持すれば、政権を継続していく。世界中そうだ。自公で過半数を追いかけて戦っている」と明確に否定した。これは自公は解散時に323議席あるから、両党で90議席近く減らしても続投できるとの認識を示したものだ。自民党内は政権を維持出来た場合には、議席数にかかわらず、安倍首班で行く流れが大勢だろうと思う。政権を維持したのに首相をひきづり降ろしたケースはない。来年9月の総裁選への動きは出るだろうが、それも獲得した数による。一にかかって政局の安定度は自公の獲得数による。街頭演説や党首討論で安倍は“衝突回避作戦”を展開しているが、大音響でがなり立てて選挙妨害をする左翼勢力の挑発に乗って誤解を生じさせた都議選の二の舞を避ける作戦で、巧妙だ。それにしても選挙妨害を当局が取り締まらないのはおかしい。問題があるなら法改正してでも取り締まるべきだ。