So-net無料ブログ作成

2018-03-07

DSC_0896.jpg

◎トランプ式“関税爆弾”は“恐慌”を招く
  同盟国まで敵に回す国際戦略の欠如
 米国内に同盟国免除論
 米大統領ドナルド・トランプが世界を相手に投げかけた“関税爆弾”は、70余年間続いてきた自由貿易体制崩壊の危機を生じさせている。欧州連合(EU)と中国は、連日のように米国による鉄鋼・アルミへの課税に対して独自の課税品目をちらつかせ、まさに貿易戦争も厭わぬ状況を現出させている。トランプの意図には秋の中間選挙対策の匂いがふんぷんと感じられる。報復合戦→貿易戦争→景気悪化→恐慌といういつか来た道すらほうふつとさせる。日本も打撃を被るが首相安倍晋三は6日、オーストラリアのターンブル、カナダのトルドー両首相と相次いで電話会談し、緊密に連携して対応することを確認した。米国以外の11カ国による環太平洋連携協定(TPP)についても引き続き協力し、自由貿易圏の拡大に取り組むことで一致した。外務省の秋葉剛男事務次官は6日、ハガティ駐日米大使に対して、「日本からの鉄鋼やアルミニウムの輸入が米国の安全保障に悪影響を与えるものではない」とトランプの方針を批判した。
 それにしても、どうしてトランプという大統領は、自分の行為が及ぼす結果への予測が利かないのだろうか。今回の事例で分かったことは側近までが同調しており、殿のご乱心を止められないということだ。トランプは自由貿易をまるでゼロサムゲームとでも考えているかのようである。世界の自由貿易体制を一人が総取りするようなゲームと見間違えてはならない。貿易は世界中の何千万という売買行為によって成り立っている。米国の赤字は膨大な量の自由貿易の結果であり、トランプは、この貿易にストップをかければ米国の雇用が増えるなどという妄想にとらわれているとしか思えない。行き着く結果は自給自足経済となり、最終的には投資の崩壊と恐慌を招くのだ。
 それにもかかわらずトランプは度しがたい発言を繰り返している。
2日朝のツイートは「米国が取引しているほぼ全ての国との貿易で何十億ドルもの損失を被っている時には、貿易戦争はいいことであり、勝つのは簡単だ。例えば、われわれがある国との取引で1000億ドルを失っている時にその国が厚かましい態度に出るなら、もう取引をやめよう。そうすればわれわれの大勝利になる。簡単なことだ」だそうだ。そこには度しがたい独善主義しかない。
 現にブルームバーグ通信は2日の社説で、「1930年に米国がスムート・ホーリー関税法の施行後、世界的な報復関税によって大恐慌に見舞われ、世界経済も崩壊した」と指摘し、「トランプ大統領は貿易戦争で果たして何を得るつもりか」と詰問した。ノーベル経済学賞受賞者であるロバート・シラー・エール教授も、「大恐慌当時に起きたのと同じ状態だ」と指摘している。ライアン米下院議長はアルミニウムと鉄鋼に対する関税案の撤回を求める姿勢を和らげ、代わりに貿易システムを乱用する国々に絞った措置を取るようホワイトハウスに促した。
  こうした状況を受けて米国の複数のメディアは、「トランプ大統領は行政命令署名までの残りの数日以内に、せめて重要な同盟国を除く必要がある。」と提案した。ワシントンポスト紙も、社説で、「数十年間構築してきた同盟関係と相互互恵的自由貿易秩序が、米大統領の気まぐれで傷つけられるようになった。カナダ、日本、韓国、ドイツなどの同盟国を、新しい関税措置から免除しなければならない」と主張した。さらにニューヨークタイムズ紙も、「トランプ大統領は、中国の過剰生産を減らすことに興味があるなら、中国を圧迫するためにEU、カナダ、日本、韓国と協力すべきだったにもかかわらず、同盟国を怒らせた」と指摘した。米マスコミの大勢は対中制裁はやむを得ないとするものの、同盟国まで敵に回すトランプの洞察力と国際戦略の欠如に警鐘を鳴らしているのだ。
 米国は2002年には日本からの鉄鋼製品に高度な関税をかけ、その結果、日本の鉄鋼を原材料に製品を作る自動車部品メーカーなどに収益の悪化ををもたらした。一方的な措置でツケを払わせられるのは一般国民にほかならないのだ。米国の経済専門家からは長期的には米国経済にマイナスであるとの見方が生じているが当然である。
 一方中国との貿易関係は今年に入ってから暗雲が漂う気配が生じていた。1月に中国からの太陽光パネルに高関税をかけたのだ。それにもかかわらず同盟国まで一括して含めてしまったのは戦略上の大失策だろう。現に欧州連合(EU)は委員長ユンケルが、「ハーレーダビッドソン、バーボン、リーバイスのジーンズを含めた米国製品に関税をかける準備をしている」と語った。米メディアによると、こうした措置の対象は総額35億ドル(約3700億円)規模になるという。これに衣類や化粧品、トウモロコシ、オレンジジュースなども加わる方向だ。一方、全人代報道官張業遂は「中国の利益が損なわれることを座視するわけにはいかないが、貿易摩擦の正しい処理は協議を通じて解決方法を探ることだ」とクールダウンに出ている。
 頭に血が上ったトランプをいかに懐柔するかだが、今週TPP(環太平洋経済連携協定)11はパートナーシップ協定に各国が署名する段取りとなっている。チリの首都サンティアゴで8日(日本時間9日)に署名式を開く。日本からは経済再生相茂木敏充が出席する。参加各国の署名で最終合意となり、協定文書が正式に確定する。まさに自由貿易の砦となるものであり、かつては自由主義貿易の旗手であった米国が打ち出した“禁じ手”に、どう対応するかが焦点だ。政府は、トランプ大統領の最終署名までの残り時間に、外交力を総動員して、世界経済の崩壊を食い止めなければなるまい。トランプ式“自給自足経済”は“恐慌指向”としかいいようがないからだ。
 ◎俳談
【高齢者向け季語】
年寄りをユーモアたっぷりに茶化す季語に「着ぶくれ」と「懐手」がある。着ぶくれとは言うまでもなく何枚も重ね着して、体が膨れて見えることを言う。懐手は和服の袂の中や胸元に両手を差し入れる状態。両方とも冬の季語だ。年寄りは何しろ肺炎になったらいちころだから、昔は着ぶくれる一方だった。しかし最近では洒落たダウンジャケットが大流行しており、若者たちも着ぶくれて朝の満員電車の混雑を一層ひどくしている。しかし句になるのはやっぱり年寄りだ。それも退職して所在なげな年寄り。哀れなのは会社人間だった年寄りだ。特に幹部経験者は命令口調が癖になってしまっているから
着膨れて命令口調直らざる 東京俳壇入選
ということになる。もっともこれが好好爺に突然変わったりすると、ぽっくり逝ったりするから気をつけた方がよい。      
着膨れて支那そば食べに来たわいな 東京俳壇3席
こんな調子が達観していてよい。
久保田万太郎は
着ぶくれのおろかなる影曳くを恥ず
と詠んだ。着ぶくれた自分をおろかなどとはなかなか言えるものではない。粋な万太郎のダンディズムだろう。
懐手も、毎日となると苦痛になる。仕事人間は何もしない毎日が、「自由の刑」を受けているように感ずる。これは自分でやることを見つけて体勢を立て直すしかないが、なかなか簡単にはいかない。
毎日が自由の刑や懐手 読売俳壇入選
ということになる。しかし俳人はそうした日常も茶化して俳句にしてしまう。
懐手あたまを刈って来たばかり 万太郎
「うまい。座布団3枚!!」

◎9条改憲は首相案が適切

 

DSC_0727ks(2).jpg

◎9条改憲は首相案が適切
  チャンスは今年しかない
  北と中国で不可欠に
 25日の自民党大会を控えて、今年最大の与野党の争点となる改憲構想が固まってきた。自民党は、首相安倍晋三が昨年5月に提示した戦力不保持を定めた9条2項を維持した上で、自衛隊の存在を明記することを骨格とする方針を固めた。今後はこの線に沿って公明、維新など改憲勢力を糾合して、今年中にも発議して国民投票にかけたうえで改憲を実現する方針だ。占領軍に押しつけられた9条は明らかに、日本の戦力の骨抜きを狙ったものだが、改憲には戦後70年を経て北朝鮮の暴発や中国の海洋進出で極東環境が時代にそぐわなくなったことが大きく作用している。
 まず9条の内容に触れる。1項は「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」としている。また2項で「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」となっている。
  自民党党憲法改正推進本部は昨年十二月の論点整理で、九条一項と二項を維持して自衛隊の存在を書く案と、二項は削除して自衛隊を明記する案の両論を併記した。安倍は昨年五月に二項維持で自衛隊を3項に加憲する案を提示して、2020年までに施行する方針を明らかにした。一方、党内には、元幹事長石破茂ら「削除派」が二項削除で自衛隊明記をを主張している。しかしこの石破案は少数派にとどまっており、党内は圧倒的に「2項維持による加憲派」が多数で、首相案支持に回っている。
 その最大の理由が、安倍が大局を見ているのに対して、石破は見ていないからであろう。改憲という大事を実現するためには自民党が単独で突撃するようなことは、のちのちに禍根を残すからだ。公明の抱き込みはもちろんのこと、維新の賛成まで視野に入れているのだろう。維新は9条改正を初めて昨年の総選挙の公約に入れており、内容によっては同調する可能性がある。
 首相の主張する2項を削除しない場合の問題は、9条に関する分かりにくい解釈がそのまま残ってしまうことだ。自衛隊が戦力であるかないかの論争は、2項に「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」と言う表現があるが、これを政府は「自衛隊は自営のための最小限の実力組織であり、2項の『戦力』には当たらない」と解釈してきた。吉田茂による「戦力なき軍隊」論が姿を変えていまだに続けられているのだ。自衛隊は世界有数の軍隊であり、保有装備・武器ランキングはアメリカ(核武装),ロシア(核武装),中華人民共和国(核武装)、日本の順と言われている。核武装なしでも4位なのである。
確かに世界有数の戦力を持つ自衛隊が「戦力でない」というのは国会でだけ通用する詭弁に過ぎないのだろう。だいいち、戦力不保持を削除すれば、発議後の国民投票で否決される可能性が高くなるとみられる。副総裁高村正彦は講演で「削除することは国民投票があるので困難」と訴えていた。
 もっとも、2項を維持して自衛隊を明記した場合「戦力」かどうかの整合性が常に問われることになる。筆者はこれもやむを得ないと思う。なぜなら絶対平和主義の公明党や他の野党の参加を促すためにはあえて「詭弁」を使って実利を取る方が、憲法改正戦略には得策であるからだ。憲法はもともと不磨の大典などではなく、諸外国では時代に合わせて常に改正しているのが実情だ。中国などは習近平の終身政権維持のために改正するほどだ。したがって、日本にある改憲アレルギーを除去するためにも、「詭弁」も衆生を教え導く巧みな手段である「方便」と考えるべきなのだ。これで蟻の一穴を開け、将来的に時代に即応した改憲を実現して行けば良いのだろう。
 幸い石破茂も「決まったことには賛成する」と発言しており、党内はよほど執行部が油断しない限り、まとまり、骨格を党大会に提示出来るものとみられる。この機会を失えば来年は天皇即位、参院選挙と日程が続くし、オリンピックという国事の前の政界混乱は世界に醜態をさらす。発議と国民投票は早ければ早いほどよいのだ。
 ◎俳談
【儚(はかな)きもの】
冬の虹すぐに消えたり妻呼べば 東京俳壇入選
 自然現象の中でも儚いものの象徴が冬の虹だろう。かかっても小振りですぐに消えてしまう。
虹は夏の季語であり、その夏の虹は雄大さと華やかさと儚さが共存すると言ってもいいが、冬の虹は儚さだけで成り立っている。だからかかるとすぐに人を呼びたくなる。人に知らせたくなる。 
声寒く入り来て虹を知らせたり 産経俳壇入選
「うー寒い」と言いながら帰宅して、茶の間を開け「今虹がかかっているよ」と伝えるようなイメージだ。冬の虹は珍しい季語でもあるが、珍しい季語にも時には挑戦してみることだ。儚いという本質をとらえつつ作句する。
安住敦の
冬の虹消えむとしたるとき気づく
は、まさに本質を突いた一句だ。
    

◎反日“ちゃぶ台返し”の文は相手に出来ぬ

          
DSC_1435.jpg
 背後に度しがたい支持率狙い
 冷え切った日韓関係
 まるでオリンピック終了を待つかのような韓国大統領文在寅による“ちゃぶ台返し”である。慰安婦問題の解決を合意した日本に対してまだ終わっていないと批判演説をぶった。政府が反論したのは当然だが、もう国民は韓国の蒸し返し外交に飽き飽きしているのが現実であろう。2015年12月 28日の日韓外相会談での慰安婦合意は、安倍政権と朴槿恵政権による合意だが、政権が代わったからといって手のひら返しをするのは、文在寅がいかに国際外交の基本に無知であるかを物語るものだろう。国家間の約束は政権が代わっても責任もって実施することは、国際的に普遍的な概念である。この度しがたい左派反日政権に対しては外交交渉が通じない。当分相手にしない方が得策のような感じがする。日韓関係は冷え切った時代に入った。
 日韓合意は①日韓両国政府は慰安婦問題の最終的かつ不可逆的な解決を確認した②安倍は、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた責任を痛感し、お詫びと反省の気持ちを伝えた③日本は元慰安婦支援の財団に10億円を拠出する④国際社会での批判非難を控えるーを骨子としている。
 この合意に対してまず外相康京和が違反の口火を切った。康はこれまでの慰安婦対応について国連人権理事会で「被害者中心の対応を明らかに欠いている」と発言したのだ。これは明白に慰安婦合意の「国際社会での非難・批判を控える」という部分への約束違反であり、合意を確信犯的に破棄したことを意味する。文在寅は2月9日に訪韓した首相安倍晋三との会談で、慰安婦問題について「政府間の交渉で解決出来ることではない」と指摘していたが、さらに踏み込んだ表現で1日「最終解決」を改めて拒否した。独立運動の記念式典で演説した文在寅は「加害者である日本政府が『終わった』と言ってはならない。不幸な歴史であればあるほど、その歴史を記憶して、それから学ぶことだけが真の解決だ」と述べた。また島根県の竹島について、「日本の朝鮮半島侵略の過程で最初に支配された土地で、韓国固有の領土だ。日本がその事実を否定するのは、帝国主義による侵略に対する反省を拒否することにほかならない」と強い調子で日本を批判した。
 まさに“ちゃぶ台返し”だが、官房長官菅義偉が、「日韓合意に反するものであり、全く受け入れられない。極めて遺憾であり、韓国側に対し直ちに外交ルートでわがほうの立場を伝え、強く抗議した。わが国としては、この合意に基づいてやるべきことはすべてやった。あとは韓国が約束をしっかり履行することを強く求めていきたい」と反発したのは当然である。
 竹島に関する文の発言は、歴史的な事実に反する。竹島は1905年に国際法上の手続きを経て島根県に編入したものであり、韓国の不法占拠こそが問題なのである。
 こうした文の発言に対してはさすがに韓国国内からも批判が生じている。1万人が集まった保守派の集会では、元統一省次官金錫友が「文在寅大統領は国内対立を回避するために対日問題を政治利用している」と看破している。最近の国際世論もいささかあきれている様子である。平昌五輪の開会式を中継していた米NBC放送の解説者が「日本は韓国の手本」と発言。この発言に連動して米経済誌「フォーチュン」も、「発言は重要な真実を含んでいる」との趣旨の記事を掲載した。日韓の歴史を知る解説者なら当然の反応であろう。
 日本の朝鮮統治については、否定的な面ばかりが強調されてきた。日本の一部マスコミも、これに同調しているが、植民地時代という時代背景を忘れている。ヨーロッパの各国の過酷な植民地政策に比較して、日本は、朝鮮の経済・産業・教育などのインフラ構築に、はるかに多くの努力と費用を費やしてきた。李朝末期で腐敗しきった政治を立て直し、国民への教育制度も確立した。もっともひたすら日本叩きに精を出している反日文在寅にそんなことを言っても、聞く耳を持つわけがない。
 冒頭述べたように、日本ではまたかという「韓国疲れ」がたまっている。今度の場合は文に譲歩する必要もないし、極東安保を考えれば超強硬策を取るわけにもいかない。この冷え切った日韓関係は、るる述べてきたように指導者としての大局観に欠ける文在寅に責任の大半があり、あえて、関係改善を図ることもないのではないか。もちろん安倍が再び謝る必要などさらさらない。文在寅にはオリンピックが終わって、人気を維持するために反日の“禁じ手”を使う卑しい魂胆がありありと見える。こんな大統領をまともに相手にしても仕方がないと言うことだろう。
◎俳談
【新酒を詠もう】
友ら皆白髪か禿げよ新酒汲む 読売俳壇入選
 昔田中角栄の家に夜回りすると、酒はオールドパーであった。ロッキード事件の後などは一晩で一本開けることもあったようだ。「なんで越後の酒でなく洋酒なんですか」と聞くと「日本酒はうますぎてついのみすぎてしまう」だそうだ。それでも正月の宴会には3升も入る日本酒の大瓶がふるまわれた。一緒に夜討ち朝駆けした友も皆白髪か禿げとなった。
 新酒は秋の季語。かつては収穫した新米をすぐ醸造したため秋の季語となったが、現在はほとんど寒造りで、2月に出荷される。
一つ欠き五臓と五腑に染む新酒 杉の子
 20年前に胆石の手術で胆嚢を取ったが、医者はのんでもいいと言うから遠慮なくのんでいる。しかし昔のようにがぶ飲みをしない。楽しむ習癖が年と共に備わった。
がぶ飲みはもはやせぬ歳今年酒 杉の子
酒を詠んだ名句は何と言っても李白だろう。杜甫が「李白一斗 詩百篇」と詠んだようにたいへんな酒豪であった。たしかに一杯やりながら俳句を作ると面白いようにどんどん出来る。せきを切ったように出来るのだ。しかし翌日覚めてから見ると駄句の山を築いていたことが分かる。李白は「山中にて幽人と対酌す」で
両人対酌すれば山花開く 一盃一盃復(ま)た一盃
と自然の中で酒を酌み交わし、 気ままに語り合う自由を詠んでいる。



◎俳談

◎俳談
【時事俳句は軽い】
 新聞投句だから、新聞やテレビの報道を基に作った時事俳句が入選するだろうと考えるのは甘い。選者は真っ先に捨てる。句会でも時事句は上位に入賞することはない。例えば<天安門テロ発生し秋の空>などという、テレビを見て詠んだような駄句は100%採られない。初心者はどうしても入ってくる情報で俳句を作ろうとする傾向があり、メディアの報道に踊らされるのだ。従っていきおい表面的で一過性の句になる。古来一過性の俳句は俳人がもっとも忌避するものである。
 どうしても時事句を作りたかったら、起きた事象をニュースのように俳句にせずに、一呼吸置いて一般化して作ることだ。笠智衆が死んだときに作った俳句を例示すれば
猿山の笠智衆らの日向ぼこ  産経俳壇入選
笠智衆ばかり集ひて新茶汲む 東京俳壇月間賞
と言った具合だ。笠智衆が死んだなどとは一言も言わずに、故人の懐かしい感じを出した。
恐ろしき昭和を見たり晝寢覚   朝日俳談1席
も、元号が平成に変わった時期に詠んだ句だが、戦争、原爆などと言わずに「恐ろしき昭和」だけの表現で時代をえぐって成功した。
反戦で張りのある声生御魂(いきみたま)        朝日俳談1席
反戦運動が盛んでも全学連などを詠んでも成功しない。生身魂(いきみたま)ほどの高齢者が反戦を唱えることに感動して、そこに絞った。
 通学児童に話しかけたら警戒された。子供に対する痴漢行為が社会問題になったころだ。
人見れば痴漢と教え赤とんぼ      朝日俳談入選
親にとっては必死の防御教育だろうが、なにか現代社会の情けなさを感じた。

◎飽くなき習近平への権力集中

11225wwww.jpg

◎飽くなき習近平への権力集中
 歯止めの利かぬ独裁体制の危険度
 中国が歯止めのない独裁体制へと突入した。ただでさえ共産党が独裁体制を敷く中国に「任期は2期10年」となっていた国家主席任期の上限撤廃が行われることになった。習近平の「終身国家主席」としての永続が加わったのだ。 2月26日、中国の交流サイトでは「中国に個人崇拝はいらない。終身制はいらない」「北朝鮮みたいだ」といった批判的な意見が飛び交った。中には「習大帝万歳、万歳」という皮肉めいた書き込みもあったという。問題は、こうした書き込みはすぐに削除され、一部のサイトではコメント欄を閲覧できなくなったことだ。掲示板によっては「2期10年」などの検索用語が使えなくなった。
 そもそも現行憲法で「2期10年」が定められたのは、1966年から1976年まで続いた文化大革命への混乱を反省するためであった。このため江沢民、胡錦濤は10年で退任している。その任期が撤廃されたことは、習近平が2023年までであった任期を無期限に延長したことになる。
 そもそも習近平の権力への執着は著しいものがある。昨年10月の第19回党大会で、習は社会主義現代化を掲げて「2035年」という長期政権を意識した日程を提示した。党政治局常務委員の人事では、後継者となるべき50歳代の起用が見送られた。いずれも長期政権に向けた布石だったと考えられる。後継候補の出る杭は打たれたのだ。その「露骨な姿勢」は外面上、高度成長期に終止符を打った中国の経済を長期上昇志向に立て直すためという大義名分がある。しかし、その本質は習近平の飽くなき権力意欲にあるのだろう。2012年に国家主席に就任して以降、習は反汚職運動の名の下に政敵を次々に排除し、自らに権力を集中させて来た。そもそも毛沢東時代以降は中国共産党内の各派閥のリーダーは平等に権力を分け合うことを慣習としてきた。習はそれを変えたことになる。これまでの指導者は集団指導体制と併せ、後継の候補を早く決めるのが慣例だった。だが、習体制下では今も後継が誰かは見えてこない。見えないと言うより習は「見せない」のであろう。
 習の権力欲は党大会などを通じて自らを現指導部内で別格の「核心」と位置づけ、共産党規約には名前を冠した「思想」が明記された。毛沢東以来のことである。習に近い多くの部下が中央・地方の主要ポストに就いてをり、体制をほぼ固め終わったかにみられる。。
 マスコミの論調は、冒頭示した裏メディアと異なり、新華社は「習近平主席は新たな繁栄の時代へと導いてくれる」と期待を表明。共産党機関紙の人民日報もさまざまな人々の話を引用し、「大半の人々は憲法改正を支持している」と伝えた。要するに正規メディアは“礼賛”なのである。これは逆に、いかに習政権が、メディアに目を光らせているかの左証でもある。
 世界的にも独裁政権長期化の流れは生じている。世界は情報革命とグローバル化で冷戦終結以来の激動期に突入しているといわれる。露大統領プーチンやトルコ大統領のエルドアンなどは、長期政権で難局乗り切りを目指している。カンボジアなど中国との関係が密な国で独裁政権の長期化が進んでいる。
 今回の動きは、中国の憲法や法律が政治家個人と党の目的をかなえるために存在していることを証明している。中国はそもそもが一党独裁国家であり、これに加えて習近平が長期にわたり自画自賛体制を継続させることになる。イギリスの歴史家ジョン・アクトンは「権力は腐敗する、絶対的権力は絶対に腐敗する」との格言を残したが、一党独裁プラス習近平独裁が、政策の硬直化や独善的外交、軍事的脅威の拡大を極東にもたらす流れとなることは、長期的に見れば確実だろう。
 日中関係に目を転ずれば、今年は日中平和友好条約40年を迎えている。1998年の日中平和友好条約締結20周年では、江沢民が史上初めての中国国家主席として公式に来日、30周年に当たる2008年には胡錦濤が来日している。となれば40周年の今年中の習近平来日が実現する公算が大きい。民主主義と法の支配という普遍的価値観を共有しようとしない中国の“皇帝閣下” の来日に異を唱える必要もないが、縷々述べてきたように「招かれざる客」の側面がないわけではない。

◎金正恩は“国宝”核ミサイルを手放さない

DSC_2524_00013.jpg

◎金正恩は“国宝”核ミサイルを手放さない
  「ICBM発射凍結」の欺瞞(ぎまん)性
 韓国大統領文在寅の対北融和姿勢がもたらすものは、はっきり言って金正恩による“やらずぶったくり” に遭遇するだけだろう。国連の経済制裁が効き始めたのか金正恩は、苦し紛れに南北首脳会談という呼び水をまいて、9月の建国70周年に向けて、核・ミサイルの完成を喧伝、経済の悪化を回避したいのだ。まさに北の手の内で踊らされているのが文在寅だ。一方で米国が文のペースに乗って、大陸間弾道弾(ICBM)実験凍結と引き換えに妥協路線に移行すれば、ノドン200発を向けられている日本は置いてけぼりを食らう可能性がある。日本を離反させて米極東戦略は成り立たない。金正恩みずからが苦し紛れに重要な戦略的な転換をしようとしているかに見えるが、その実は父親と同様にいつか来た道、すなわち国際社会を欺く路線を歩むだけだろう。
 しかし、米国がそこを読んでいないはずはない。トランプの長女イバンカは文在寅との晩餐会の席上、融和ムードにクギを刺している。「朝鮮半島が非核化されるまで最大限の圧力をかけ続けることを改めて確認したい」と文に迫ったのだ。文は「非核化と南北対話を別々に進めることはない。二つの対話は並行して進めなければならない」と約束した。どうも文という人物は両方に“いい顔”をする癖が抜けないようだが、その真の狙いは南北首脳会談の実現にあり、北のペースにはまりかねない姿勢と言える。
 北の外交は一見巧みに見えるが、常に馬脚が現れる。妹金与正を派遣したことは、肉親を外交に使わなければならない切羽詰まった状況を反映したものだろう。なぜなら、北は文に“本気度”を示す必要に迫られたからだ。与正のほほえみ外交の影に“氷のような微笑”を感ずるのは筆者だけではあるまい。文を手玉に取った与正は帰国して金正恩に報告。金正恩は、南北関係をさらに発展させるための具体的な方途を指示したとみられている。
 その内容の一つが「ICBM発射凍結」のカードだ。日本上空を飛ぶICBM実験を中止して、国際社会の関心を呼び、アメリカを乗せようとしているのだ。もちろん国内向けにはミサイル開発を放棄しないし、開発はどんどん進めることができる。こうした北の“疑似”緊張緩和攻勢の背景には国連による制裁決議の影響が徐々に生じ始めている実情がある。政府は、東シナ海の公海上で北朝鮮船籍のタンカーとドミニカ船籍のタンカーによる積み荷の受け渡し「瀬取り」を確認している。苦し紛れに抜け道の対応が始まっているのであり、国連決議の影響は今年後半にはもっと鮮鋭に生じることが予想される。
 しかし金正恩は、この影響をなんとしてでも回避したいのだ。最重要行事である9月9日の建国70周年に向けて、経済の困窮は、自身の権威維持の上で最も得策でないことなのだ。このためのとっかかりが文の融和姿勢にあるのだ。おそらく北の狙いは70周年に先だって、南北首脳会談を実現して、経済支援を取り付けたいのであろう。最終的には米朝接触を実現するところにあるのは言うまでもない。すでに韓国は統一省報道官が「適切な機会に北朝鮮と米国が建設的な話し合いに入ることを期待する」と、なりふり構わず米朝対話を推進しようとしている。日米はこの金正恩が掘った蟻地獄に文在寅がはまりつつあることを、傍観することは出来まい。
 北朝鮮との交渉は歴史的に見て、ワンパターンである。約束をして経済援助を獲得すれば、臆面もなく反故にする。2012年に、米朝間で合意した核兵器と長距離弾道ミサイルの実験の凍結、国際監視下での寧辺(ヨンビョン)核関連施設におけるウラン濃縮の一時停止という約束はとっくに反故にされており、何かの一つ覚えのごとく同じ手口を今回も通用させようとしているかに見える。
 全ての問題は北が核ミサイル開発を放棄するかどうかに絞られる。放棄しなければ極東情勢は“気違いに刃物”の状況にさらされ続ける。しかし、北がこの核ミサイル開発を放棄することはあり得ないだろう。従って米朝会談が実現しても、妥協の構図は描けないのが実情だ。妥協どころか物別れの連続となるのは必至だろう。なぜなら金正恩にとって核ミサイルは、珠玉の“国宝”そのものであり、手放せばそれこそ体制崩壊につながりかねないからである。文在寅が開けられた日米韓連携弱体化の穴を、日米が協調して塞ぐ方向へ持って行かなければなるまい。
◎俳談
【俳句は一点豪華主義】
俳句は色々言い過ぎないことが肝心だ。初心者は17文字のうちで2つも3つも言おうと欲張るが、それ故に失敗する。一点豪華主義で行きたい。悪句を挙げれば<苔むせる御堂の階段緑濃し>だ。苔むしているのだから緑濃しなどとは言う必要は無い。
蜆汁目玉映して啜るかな 毎日俳談3席
うまい蜆汁を一生懸命啜っている姿をひたすら描いた。余計なことは一切言っていない。
どんど焼き火の針となる松葉かな 東京俳壇1席
松葉が火の針になることだけに集中している。
孑孑(ぼうふら)を食べる仕事の金魚かな 読売俳壇3席
拙宅の場合金魚を庭の鉢で飼っているのは孑孑を食べてもらうためだけであり、そのことだけを「食べる仕事」と表現して強調した。このように一点豪華主義の俳句は2つ以上の事象を取り合わせる「取り合わせの句」に対して「一物仕立ての句」というケースが多い。一つのテーマで言い切ってしまうのだ。最近の句界の風潮は一物仕立てで言い切るのが流行っている。
団栗の己が落葉に埋れけり  渡辺水巴
 

◎俳談

 
【市を詠む】
 句会で「写楽顔」がありふれているとけなされた俳句を、新聞に投句したら入選した。
ぬぬぬぬと写楽顔出るべつたら市 日経俳談入選
である。俳句を作るには、各地で立つ市ほど材料が豊富なものは無い。東京には市が多い。べつたら市、世田谷ぼろ市、年の市、羽子板市などと続く。いずれも季語でもあるし、実際に現場を踏むと材料には事欠かない。俳句は現場ですぐ造る場合と、熟成させて造る場合があるが、私は熟成させるケースの方が圧倒的に多い。
亡き父をべつたら市で見かけしが 産経俳壇入選
は、父親そっくりの年寄りの後ろ姿を見かけて造った。はっとしたものは熟成して後で俳句になるのだ。
 世田谷のぼろ市も面白い。12月と1月の2回開かれる。
ぼろ市や本物らしき物のあり 杉の子
と言った具合だ。有馬朗人は、学者の心境であろうか
世に合わぬ歯車一つ襤褸(ぼろ)市に
と詠んでいる。
12月の半ばから大晦日にかけて各地の社寺で開かれる年の市も風情がある。暮れの寂しさのようなものを詠むと成功する。
年の市街の孤独を拾ひたり 杉の子
新潟の朝市で情景そのままを詠んだ。
釣銭の凍り付きたる朝の市 杉の子

◎平昌舞台に“脂粉外交”の攻防

DSC_1435.jpg

◎平昌舞台に“脂粉外交”の攻防
 米、イバンカ派遣で巻き返し狙う
 平昌五輪を舞台にした外交で華々しい成果を上げたのは何と言っても金正恩の妹金与正だ。与正の肩書きは中央委員会第1副部長だが、事実上の金正恩の代理として訪韓し、9日から11日まで2泊3日で滞在、韓国との関係改善の突破口を明けた。一方で米国は大統領トランプの長女で補佐官イバンカを23日から3泊4日で派遣して、文在寅と会談させる。まさに平昌を舞台に“脂粉外交” が展開される。厳しい極東情勢を反映して、米朝の女の戦いが展開される形だ。文在寅は両方にいい顔をするコウモリ外交を強いられることになり、喜んでばかりはいられない。
 金与正は妊娠7か月だという。韓国政府は金与正が妊娠していることを昨年暮れから知っていたといわれるが、まさか金正恩が身重の妹を派遣するとは予想していなかった。国連の制裁決議が真綿のように金正恩の首を締め付ける中で、北は“瀬取り”と言われる沖合での荷渡しをするなど苦しい対応を迫られているのが実情だ。包囲網打開への一手として苦し紛れに打った手段が、妹の派遣による文の籠絡だ。局面打開に“ほほ笑み外交”を選んだのだ。
 その意図については日本の新聞より米国の報道の方が的を射ている。ワシントンポストは金与正を、外交舞台で影響力を行使しているイバンカ・トランプになぞらえて、「北朝鮮のイバンカ・トランプ」と大きく紹介した。同紙は、金正恩の妹でありながら富や権力を誇示しなかったことを予想外だと評価し、「金与正は薄化粧に地味な装いで“謎めいた”微笑だけを見せている」と描写した。一方、CNNは、「独裁者金正恩の妹が平昌冬季五輪の関心を一人占めしている」と報道、「金与正の韓国訪問が平昌冬季五輪閉会式に参加する予定のイバンカを意識して高度に計算されたものだ」と分析している。一方で米国内では厳しい見方もあり、元中央情報局(CIA)韓国担当研究員のスミ・テリーは「政治家の家族としてつながっているという点や、説得力あるセールス能力を要求されているという点で北朝鮮のイバンカだ」と評すると同時に「人間の顔を持った全体主義だ。彼女は善意を持てない国から来た善意を持つ大使のように行動している」と断定した。
 こうした中でオリンピックで先延ばしになっていた米韓合同軍事演習がパラリンピック終了後に予定通り開かれるかが焦点だ。韓国国防部長官宋永武は20日、合同軍事演習について、「パラリンピックが終了する3月18日から4月前に韓米両国の長官が発表するだろう」と述べた。もっとも宋は「どうするかは、肯定も否定もしない」とも述べており、あいまいだ。文在寅は合同演習が北との“ほほ笑み外交”に影響を及ぼすことを極度に恐れていると言われ、何かと理由をつけて先延ばしにする可能性も否定出来ない。その最大の理由として、金正恩とのトップ会談の交渉が進展していることを挙げる可能性がある。
 金正恩は与正の成果を褒め称えて「平和と対話の良いムードをさらに昇華させ、素晴らしい結果を生むことが重要」と発言している。金正恩の狙いは韓国を国連制裁の枠から引き離し、経済的な利益をもたらす関係へと引き戻すところにある。紛れもなく文在寅の“甘さ”につけ込もうとしているのだ。こうした文在寅の優柔不断さに対して、米国はおそらくパラリンピック終了前後に強いけん制玉を投げるに違いあるまい。しかし左翼の文在寅は確信犯的に北に傾いており、一筋縄ではいかないだろう。

◎俳談

 ◎俳談
【働く姿】
  人間の一番美しい姿は何と言っても働く姿だろう。写真でも女性のポートレートも美しいが、作業服姿のおばさんや漁師が網を引く姿により一層引かれる。これを俳句にしない手はない。新聞俳壇のよいところは、各種各様の職業の人から投句があり、その仕事の様が分かる事であろう。例えば朝日俳壇には山間僻地の人からの
人と水こころかよはせ紙を漉く   
といった俳句が採用される。紙を漉くは冬の季語だ。
 昔、近所の工場で冬は早朝の操業開始前に、ブリキ缶に木っ端を突っ込んで焚火をするのが恒例であった。雑談をしながら焚火に当たって体を温める。そうすると、体全体がやわらかくなり、不慮の事故を起こさないのだという。その焚火からまず工場長が離れるのだ。やがて部下たちも三々五々焚火を離れる。一日の労働の始まりだ。次の句はその場面をとらえて作ったものだ。
焚火より工場長のまず離る 産経俳壇入選
 早朝の新潟行きの羽越本線で魚を大きな缶にいれたおばちゃん軍団と乗り合わせた。これを担いで新潟市内を一日売り回るのだという。重労働だが、元気いっぱいであった。しかし早朝とあって、やはり眠いと見えてやがて皆仮眠を取り始めた。そこで一句。
行商の眠る吹雪の車中かな 東京俳壇入選
冬山に登ったとき、電気工事の架線工が鉄塔に登っているのが見えた。
架線工豆粒になる寒夕焼  杉の子
攻め炊きの窯の脇なる西瓜かな 杉の子
作句のこつは人間の姿を肯定的にとらえ、単なる描写を避け、感情と共感を入れて作ることだ。

◎日本への核持ち込み論に現実味

DSC_0896.jpg

◎日本への核持ち込み論に現実味
  北のどう喝は核保有論すら台頭させる
 日本に右傾化の兆候
 かつて枢密院議長の平沼騏一郎は、「複雑怪奇」との声明を残して内閣総辞職をしたが、朝鮮半島をめぐる情勢はまさに「複雑怪奇」を地でゆく様相だ。北朝鮮は日米韓の結束分断にオリンピックを使い、韓国大統領文在寅は、金正恩の妹金与正に手玉に取られて日米から離反もしかねない様相だ。対北政策の経験がわずか1年と浅い米政権は、軸足がブレ、対話はしないと言いながら「予備的対話」をほのめかす。日米韓首脳で毅然として対北圧力維持路線を維持しているのは首相・安倍晋三だけであり、安倍はここで日米韓結束の核として体制再構築に乗り出す必要がある。折から国内には核持ち込み論や核保有論が台頭してきており、北の存在は大きく日本を右傾化させる流れを作り出している。
 文在寅の対北大接近は、文が9年ぶりの革新政権であり、もともと選挙公約の看板政策が北との融和であった。責任はそういう大統領を選出してしまった韓国民の浅慮にある。文在寅の立場はまず南北統一が第一であり、核問題はその次の課題というところにある。この構想が荒唐無稽なのは金正恩の存在基盤が核ミサイル保持にあることを理解していない点であろう。統一が韓国ペースで進み、北が「核を放棄するから統一してくれ」と言う場面のみを想定していなければ成り立たない論理だ。そんな馬鹿げた判断の上に立って交渉を進める文は、まさに愚の骨頂であり、正気に返らすのは日米が働きかけを強化するしかない。
 文政権になって以来。米韓には明らかに隙間風が吹いている。金正恩が新年の演説で、平昌冬季五輪参加の可能性に含みを持たせると、文とその側近はすぐさま友好的な対応を示した。ところが驚いたことに文は米当局者へは事前の打ち合わせを全くせず、米国側に通知があったのは、韓国が北朝鮮に南北対話の提案を行う数時間前だったという。文の融和姿勢は米韓関係に緊張をもたらしてるのは確かだ。五輪後に米国から文に対して相当な圧力が加えられるという説が強い。その最大のものは、文が渋るかに見える米韓軍事演習の実施だ。遅くとも4月には実施の方向で対韓圧力を強めるだろう。文は対北外交を理由に演習先延ばしに動く可能性がある。
 こうした中で、米国には対北戦略で事実上の対日最後通牒となった「ハル・ノート」並みの発言が生じている。国家情報長官コーツの発言だ。米上院で「軍事的選択肢を含めて決断の時が近づいている。北朝鮮は交渉によって核開発を放棄するつもりはない」と言明したのだ。背景には北の核ICBMの完成が近づいており、先制攻撃でこれを阻止するしかないと言う判断である。いわばトランプに「時間切れだ。決断してくれ」と促しているかのようだ。文が聞いたらぶったまげて腰をぬかすような動きだ。
 一方で、米国内には対北話し合い路線を主張する空気も根強い。13日国務省報道官ナウアートは、「非核化を議題とした対話を行うためには予備的な話し合いが必要かも知れない」と発言した。米紙ニューヨーク・タイムズも「米政府は北が非核化に向けた行動をしない限り対話をしないという従来の姿勢から、予備的対話には応ずるとの軌道修正に踏み切った」と報道した。同紙は「韓国との亀裂を避ける判断であり、韓国の勝利だ」と韓国を褒め称えた。しかし、同紙の判断には致命的な誤りがある。対話で何を達成するかの論拠がないのだ。対話して、北の核を取り除くことができるのか。それならば価値があるが、対話のための対話では全く意味がない。同紙独特の浅薄なる左傾化論理が露呈している。
 こうした米国内の軸足のブレを心配したのだろう、安倍はトランプと1時間10分にわたって話し合い、米国の真意を確かめた。内容は詳しく公表されていないが「北朝鮮の非核化をどう実現するのか話し合った」とし、日米同盟は決して揺るがないことを確認したという。日本は従来から核兵器に関して「持たず、作らず、持ち込ませず」の非核3原則を維持してきたが、政治家も国民も北に狂気の指導者が出現し、日本列島を越えてミサイルを飛ばし、核実験をしている現状を直視していないものが多いことが問題だ。非核3原則は 1967年 12月に首相佐藤栄作が国会答弁で述べたのが最初だが、米ソ冷戦時代と現在とでは極東情勢は月とすっぽんほどの違いがある。ソ連が核で日本をどう喝したことはないが、北朝鮮は堂々と日本を名指しで核ミサイル攻撃すると公言しているのだ。
 政治家もマスコミも平和は天から降ってくるというあなた任せの論理が通用しなくなった現状をどうすべきか考える時ではないか。元幹事長石破茂が、「米国の核で守ってもらうと言いながら、日本国内に核を置かないというのは本当に正しいのか」と疑問を呈しているが、もっともだ。北大西洋条約機構(NATO)のドイツには米軍の核爆弾が10発から20発配備されている。専門家は「米国ですら信用出来ない場合がある」と指摘する。米国と北が交渉によって核搭載のICBMの製造は断念させることができた場合、それは米国への核攻撃がないことを意味するが、日本に対しては何ら問題の解決にはならない。200発あるノドンに核を搭載したら、日本は核攻撃の対象となる可能性がある。そうなれば日本は、敵基地攻撃能力の保持はもちろん、独自の核ミサイルを開発せざるを得なくなるのが、国際的な軍事常識なのである。日本が核保持に踏み切れば、極東軍事情勢は一挙に逆転する可能性を秘めている。米国にとっては最悪の事態となる。金正恩の「黒電話の受話器頭」ではそこまでの鳥瞰図を描けないだろうが、それほど極東情勢は流動性を秘めているのだ。

◎俳談

◎俳談
【柿食えば】
うめ婆の柿は黙って取ってよし 毎日俳談2席
 戦後の甘味料の乏しい時代に育った子供は、柿の季節の到来をころや遅しと待っていたものだ。熟す前から竹竿で狙いを付けた柿を落とす。よその家の柿だから見つかると「こらー」と怒鳴られる。それでもうめ婆さんの柿だけは、いつ行って取っても怒られない。「そうかいそうかい」とにこやかに頷いているだけだ。それに比べて近ごろは柿を取るいたずら坊主など全く見られない。どこの家も実をつけっぱなしだ。熟して落ちるまで見放されている柿もある。もう一つ取られなくなったものにコイがある。まるまると太って大きくなって我が物顔で川にいる。昔だったらあっという間にとられて、こいこくにされたものだ。柿はうまい。柿を食べると日本の秋を感ずる。
しかしその柿も最近では
思ひ出すやうに柿買う独りかな 産経俳壇入選
という感じになってしまった。柿を食らうと子規を思い出す。
柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺
日本人で知らぬ者のいない名句だ。
柿食らひこの日を子規の日と思ふ 杉の子

◎度しがたい文在寅の対北融和姿勢

DSC_0478.jpg

◎度しがたい文在寅の対北融和姿勢
  日米韓の連携に亀裂の危険
 米朝対話は当分困難
 オリンピックを舞台に展開された日米韓首脳や北朝鮮代表らとの接触は、厳しい極東情勢を反映して微妙な展開を見せた。一つの流れは韓国と北朝鮮による一見融和に見える動きだ。これはとりもなおさず朝鮮労働党委員長金正恩が韓国大統領文在寅を日米と離反させる事に成功しつつあるかのように見える。金正恩は国連制裁決議が目指す北朝鮮包囲網に突破口を明けつつあるように見える。一方で米国は、副大統領ペンスが、あらゆる北との接触をさけ、近くさらなる制裁を打ち出す構えだ。米朝対話はそう簡単には実現しまい。文在寅を挟んで日米対北朝鮮のせめぎ合いが今後さらに展開して、情勢は流動性を秘めることになる。
 まず、文の“度しがたさ”はまるで日本の民主党政権のルーピー首相と勝るとも劣らない姿を鮮明にさせているかのようである。首相・安倍晋三が「米韓合同演習ををさらに延期する段階ではない。予定通り実施することが重要だ」とクギを刺したのに対して、文は、なんと「これは我々の主権、内政に関する問題だ。首相が取り上げても困る」と切り返したのだ。この発言は朝鮮半島問題を近視眼的にしか見られない文の外交・安保観の限界をいみじくも露呈させた。朝鮮半島問題はすぐれて極東安保情勢の枠内の問題であり、半島有事の際には日本の米軍基地が活用されることは、先の朝鮮戦争の例から見ても明白である。また極端な例を挙げれば、北に追い詰められた場合、韓国政府や国民の逃げ場は日本列島しかない。日本は地政学的に言って対岸の火災視出来ないのに、火元の韓国が「内政問題」というのは、聞いてあきれる判断力の欠如だ。
 さらに文は半島情勢を見誤って、米朝対話のアレンジをしようとして失敗した。文はあらゆる機会を通じてペンスと金正恩の実妹の金与正との会談を実現しようと試みた。南北対話を米朝対話に直結させようとしたのだ。しかし、ペンスは訪韓前の安倍との会談や米政府内での事前打ち合わせの結果、北側とは一切接触しないとの決意を固めていた。その結果ペンスは開会式に先立つレセプションで最高人民会議常任委員長金永南との同席を拒否、また、開会式でも金与正との同列での着席を拒否した。拒否したばかりかレセプションでは着席もせずに、5分で会場を離れた。胸がすくように、ことごとく接触を拒否したのであり、この米国の方針を知らないか、知らされていない文だけが砂上の楼閣作りに専念したことになる。
 米国は北朝鮮と対話しないという立場表明と同時に韓国に対しても強い警告を送ったと読み取ることができる。「独走を戒める」警告を送ったのだ。そもそも文は北朝鮮から非核化に関するいかなる妥協策も聞いていないにもかかわらず、北と米国の接触を意図的に演出しようとしたのだ。核心の問題に対する文の浅慮に対して、ペンスは行動で不快感を表明したのだ。南北の和解と対話や北朝鮮の非核化問題は、韓米が確実な協力の中で推進する場合に限り効力を発揮する構図である。このことへの文の理解度はゼロに等しいことが鮮明となった。ペンスの警告を文が理解したかどうかは不明だ。どうも文在寅には同一民族だから北は核ミサイルを韓国に対しては使わないし、核は米国と日本向けだという考えが根底にあるような気がする。これが北への融和路線の根底となっているようだ。ペンスは「北朝鮮が話をしたいのなら話をする」と帰国後ワシントンポスト紙に語ったが、同時に「非核化に向けた意味ある行動」も求めており、そう簡単には米朝対話は実現しまい。
 金正恩が国連の経済制裁によって、相当こたえていることは、状況証拠が示すとおりだ。洋上での荷渡しで、しのごうとしているのがその顕著な現れだ。海上自衛隊のP3C哨戒機が1月20日、中国・上海沖の東シナ海の公海上で、国連安全保障理事会の制裁対象になっている北朝鮮船籍のタンカーとドミニカ船籍のタンカーによる積み荷の受け渡しを確認している。ひしひしと国際包囲網が狭まるのを感じているからこそ、金正恩は、オリンピックを好機ととらえ、“甘ちゃん”の文をあの手この手で籠絡して、包囲網の一角を崩す戦術を展開したのだ。これを証明するかのように北の労働新聞は「内外の期待と関心を呼んだ今回の訪問は、北南関係を改善し、朝鮮半島の平和的環境を整える上で、有意義な契機になった」と代表団を褒め称えた。 
 さらに金正恩は金与正を通じて、「早い時期に面会する用意がある。都合の良い時期に訪朝してほしい」と、南北首脳会談の考えを口頭で文在寅に伝えた。要請は、2007年10月以来3度目となる会談の開催を求めたものだが、文は唯々諾々とこれに乗りそうだ。金正恩にしてみれば文の訪朝を実現させれば、国際包囲網のみならず、日米韓の連携にもひびを入れさせることが出来る絶好のチャンスとなる。さらに米国の限定攻撃などを避けることも狙っているのだろう。訪朝要請は具体的な時期を示さず、口頭での要請にとどまった。国際社会の制裁への一時しのぎとして、対話に前向きな文在寅への大きな仕掛けをしたのだ。
  こうみてくると、まるで文在寅は、あの“ルーピー鳩山”をほうふつとさせる。“ルーピー文”はまったく極東情勢をどこに持って行くか分からない危険性がある。韓国政府内部には首相李洛淵のように「われわれは決して(北朝鮮の)非核化を除いて対話をすることはあり得ない。まさに非核化のために対話はあるのだ」と訪韓した自民党幹部に説明する向きもいる。しかし、これも甘い。核・ミサイル路線の追及はまさに金正恩の存在理由・レゾンデートルである。“核あるが故に我あり”の路線で、軍部を引っ張っているのであり、非核化などは北に政変が起きでもしない限りあり得ない幻想なのだ。

◎俳談

 ◎俳談
【命の象徴白い息】
白息を吐きてもの言ふ使の子 毎日俳談1席
 「白息」「息白し」は冬の季語。真冬になると早朝ランナーが機関車のように白息を吐いて走る。私は白息を命の象徴、人生の謳歌としてとらえ俳句を作る。掲句も使いの子が一生懸命駆けてきて、白息を吐きながら伝言する様を描写した。同様に生き生きした子供の姿を描写しようとして
白息を吾に届けに子の走る    日経俳壇入選
飛び付きて白息かけてくるる子よ 日経俳壇入選
を作った。子供と白息は実にマッチしており、何句作ったか知れない。ところが年寄りにも白息を使用できる。NHKフォト575の特選となった
今朝もまた命貰ひて息白し
である。昔田中角栄が「60越えて朝目覚めて息をしていたらありがたいと思わなければいけない」と言っていたのを思い出して作った。ところがNHKの選者は余命幾ばくもない老人の作と判断して、特選にしてくれたようだ。本人はぴんぴんしているのに、悪いことをした。 俳人の句は深みがある。後藤夜半の
息白くやさしきことを言ひにけり
は恋愛の句であろう。加藤楸邨の
ある夜わが吐く息白く裏切らる
は秀句だ。人間関係の深淵を表現した。 


◎日米、文の北朝鮮傾斜にクギ

0196c2740bee8a7da4df0cdfa07e819629c78fab33.jpg

◎日米、文の北朝鮮傾斜にクギ
   金正恩に五輪活用でナチスの影響
 北朝鮮の金正恩がオリンピックをまるで“茶番ピック”にしようとしているかのようである。スポーツの祭典であるオリンピックの精神をはき違えて、金正恩は、ちゃらちゃらした“美女軍団”なる楽隊や応援団を大量に送り込み、衆目を集めて国威を発揚しようとしている。これにはまって、朝から晩まで一挙手一投足を報道しているのは日本の民放テレビと韓国のテレビだけだ。
 オリンピックの精神は、いかなる差別をも伴うことなく、友情、連帯、フェアプレーの精神をもって相互に理解しあう、平和でよりよい世界をつくることにある。ところが金正恩は、開会式前日8日に自国で行う軍事パレードも含めて、オリンピックを活用して、自らの存在感を世界に誇示しようとしている。韓国大統領文在寅は、完全に北朝鮮ペースにはめられ、オリンピックを北のプロパガンダの場として差し出すという愚挙に出た。首相・安倍晋三と米副大統領ペンスが文在寅の融和路線に警鐘を鳴らし、引き戻そうとしているのはもっともだ。
 オリンピックの政治利用は、どの主催国も多かれ少なかれあるものだが、その突出した例が1936年ナチス政権下のベルリンオリンピックだ。ナチス政権は、オリンピックを利用して、平和的で寛容なドイツのイメージを作りだし、多数の外国人観客や報道記者を惑わせた。2週間の夏季オリンピック大会の開催中、アドルフ・ヒトラーはその人種差別主義、軍国主義の特性を隠蔽し、大半の観光客や報道陣はナチス政権が反ユダヤ人の看板を一時的に除去したことに気づかずにいた。ところがその本質は「優秀なドイツ市民がアーリア人文化の正当な継承者である」というナチスの人種的神話を推進するものであった。
 そのヒトラーの「わが闘争」を愛読して幹部に配った金正恩が、国内で確立した全体主義的な統治の輪を、朝鮮半島全体に広げる野望を持っていることは言うまでもない。36年オリンピックはヒトラーを増長させ、終了後にユダヤ人迫害を直ちに進め、第二次世界大戦へとつながった。金正恩が何を考えているのかは不明だが、冬季五輪を最大限活用して自らの存在感を高めようとしていることは間違いない。日米韓による北朝鮮包囲網の突破がまず最大の課題であろうが、その一角は文から崩され兼ねない情勢である。まず北朝鮮制裁で韓国が独自に課している出入国の制限が崩された。なにも板門店を経由してバスで選手村に入ればよいものを、北朝鮮はわざわざ仰々しく陸路、空路、海路を活用して選手団・応援団を送った。海路を万景峰号を派遣してこじ開けたのだ。さらに7日午後、北朝鮮側は、金正恩の妹で朝鮮労働党中央委員会第1副部長の金与正(キム・ヨジョン)も五輪に出席させる方針を明らかにした。金与正は事実上のナンバー2で、あきらかに南北融和ムードを盛り上げて、日米韓の結束を崩す狙いがうかがえる。最高人民会議常任委員長の金永南(キム・ヨンナム)とともに、文在寅との会談などなんらかの首脳間の接触を試みようとする可能性がある。ペンスへの接触も狙う可能性もある。トランプの長女イバンカがオリンピック開会式に出席することから、金与正が接触する可能性もある。融和ムードを演出するためだ。
 こうした北のペースにはまりつつあるかに見える左傾化大統領文在寅に対して、ブレーキをかけたのが安倍・ペンス会談だ。両者は7日、文の微笑み外交批判で一致した。両者は、北朝鮮に核開発などを放棄させるため最大限の圧力をかけていくことを確認した。日米には文が、オリンピックを突破口にして日米韓の分断を図ろうとする金正恩の意図を理解していないとの懸念と不信感がある。また両者は北朝鮮が非核化に向けた真摯(しんし)な意思と具体的な行動を示さないかぎり、意味のある対話は期待できないという認識で一致した。ペンスは、「アメリカは、最大かつ最も強力な内容の独自制裁措置をちかぢか発表する」と述べるとともに、北朝鮮を「地球上でもっとも独裁的で残虐な国」と表現、軍事行動を排除しない姿勢を示した。
 こうして、金正恩のみえすいた融和戦略は、日米首脳によってその本質が見抜かれ、「ほほ笑み外交」に惑わされつつある文をけん制し、日米対北朝鮮で“文抱き込み合戦”が展開されている形となっている。
焦点は北がオリンピック終了以降までほほ笑み続けるかどうかだが、過去の例から言えば、一過性とみるべきだろう。やがて、金正恩の太った顔が青ざめるときが来る。
 。 




 

◎片えくぼ、俳壇

◎片えくぼ
どうしてNHKの朝、7時からの一時間は、あんなにくらいニュースばかりを掘り下げるのだろうか。毎朝出かけるサラリーマンを暗い気持ちにさせるのが使命とでも考えているのだろうか。くらい報道になるとカチャッと明るい民放に変える。
◎俳談
【俳句とユーモア】
小春日や妻返事なく烏鳴く 毎日俳談2席
 昔から俳句にはユーモアが欠かせない。切々と詩情を語る俳句もあれば、ユーモアたっぷりの俳句もある。俳句ではユーモアとは諧謔味(かいぎゃくみ)といって昔から重視されてきた。諧謔といっても難しく考えることはない。ユーモアたっぷりの句のことである。夫婦げんかでもいいし仲むつまじい句でもいい。掲句は長閑な小春日の情景を詠んだものだ。「お~い」と呼んだら、妻の返事の代わりにカラスが「カァ」と鳴いたというただそれだけのことだが、我ながらユーモアがある。たびたび例に挙げるが
湯湯婆(ゆたんぽ)と書けば笑へるなあ婆さん 読売俳壇1席
も、友人が「思わず吹き出した」とメールをくれた。
相槌を打ちゐるだけや懐手(ふところで) 毎日俳壇入選
不精者が和服の胸元に両手を差し入れている姿を懐手という。冬の季語だ。おもに職を退いた年寄りを指すケースが多い。どこにも顔を出すが「おう、おう」と、相づちしか打たないご隠居の姿を、からかったものだ。

◎核戦力見直しで「極東新冷戦時代」へ

DSCN6521_00013s.jpg

◎核戦力見直しで「極東新冷戦時代」へ
 しかし、小型核であっても使用困難
 「核なき世界」を掲げた前大統領オバマの方針は砂上の楼閣のごとく崩れた。もともとオバマ戦略はロシアと中国との合意なしに発表されたもので、脆弱性を秘めていた。逆に中露はオバマ戦略を“活用”して8年間にわたり核開発に精を出し、米国の裏をかいた。パワーゲームの現実を知らぬオバマのツケをトランプは払わされる結果となったのだ。したがって、米国が「核戦力体制見直し(NPR)」で、核抑止の再強化に乗り出したのは歴史の必然とも言える。
 中国は明らかにしないがロシアの保有する小型戦術核は4000発に達しており、米国は760発だ。朝日新聞は例によって社説で「歴史に逆行する愚行」と口を極めて米政府の方針を批判しているが、それでは中国とロシアの核はよいのか。昔から左翼の論法に中露など社会主義国の核は「よい核」で、米国の核は「悪い核」というものがあったが、いまだに同じ感覚を持っているとは驚いた。朝日は、世界は過去のいかなる時代より多種多様な核の脅威に直面している現実を、勉強し直した方がよい。
 トランプの発表した「核戦力体制見直し」は新型の小型核兵器と核巡航ミサイルを導入して潜水艦などに配備するものだ。NPRは核の使用は「極限の事態に限る」としながらも核以外の通常兵器による攻撃にも使う方針を明記した。局地的な戦闘を想定して潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の一部の核弾頭を、爆発力を大幅に抑えた小型核に切り替える。都市に壊滅的な打撃を与える戦略核とは異なり、小型核は局地的な攻撃に使用される。その一方で艦船や潜水艦用の核巡航ミサイルの再配備に向けた開発も始める。これは小型核を、各地域に柔軟に展開できる利点がある
 小型核の第一の対象はロシアである。ついで中国、北朝鮮の順となる。中露は朝鮮半島の非核化を口では唱えながら、北朝鮮の核開発や核爆弾の材料の搬入に目をつむり、極東における戦略的な優位を構築しようとしてきた。狡猾なる中露の意図を掌握しないオバマの大失策は、米国や日本など同盟国が多様なる核の脅威にさらされる現実を直視しないで、ありもしない理想郷を追い求めた点であろう。
 米国防情報局の調査によるとロシアは、短距離弾道ミサイルや中距離爆撃機で運搬可能な重力爆弾や水中爆雷に搭載される戦術核だけで2千発を保有すると言われている。この戦術核の先制使用をちらつかせて周辺諸国を威嚇するのがロシアであり、米国はやはり戦術核による報復で圧力をかけざるを得ないのが実情だろう。一方北朝鮮に対してNPRは「後数か月で米国を核弾頭搭載のミサイルで攻撃できるようになる」と予測し、同時に「北朝鮮が米国を核攻撃すれば北の体制は終わる」と、報復により金王朝が壊滅する方向を明示している。NPRは「国際的安全保障環境は、大幅に悪化、世界はより危険な状態に陥った」と警告した。その上で小型核使用のケースとしては、サイバー攻撃を念頭に「インフラや国民が非核攻撃を受けた場合も含む」とした。
 このトランプの方針は世界の核軍拡を招く恐れがあるが、中国とロシアは今のところNPRに即応する軍備を増強する気配はない。しかし、両国が、トランプの世界戦略に唯々諾々と従う事はあり得ない。両国はNPRに対抗する技術開発をいずれは打ち出すだろう。そうなれば、世界とりわけ極東は「新冷戦時代」とも言える状況に突入し、日本は好むと好まざるとにかかわらず軍備増強を迫られる。
 それでは、米国の小型核の開発で果たして「使える核」がより現実のものとなるだろうか。技術はすぐに移転し、模倣されるから北朝鮮やイランなどが製造の研究を始め、核の野望を抱く国々が増加する可能性は否定出来ない。もっとも「使える核」が現実のものとはなりにくいと思う。なぜなら、大国間の戦争はいったん戦端を開くと歴史的に見ても極限状態に至ってはじめて収まるのが常だからだ。だから、小型核を使用すえば堰を切ったように中型核、大型核使用への流れへと発展する。核戦争により世界が破滅する事態だ。従って小型核の使用は大型核の使用とどっちみち同じであり、普通の政治家なら抑制を利かせざるを得ないのだ。 
 外相河野太郎がトランプのNPRについて「我が国を含む同盟国に対する拡大抑止へのコミットメントを明確にした。高く評価する」と反応したのは当然であろう。拡大抑止とは同盟国への攻撃を自国に対する攻撃と見なして報復する意図を示し、第三国 に攻撃をためらわせて同盟国の安全を確保する考え方だ。世界唯一の核保有していない大国である日本は拡大抑止に頼らざるを得ない。 
◎片えくぼ
どうしてNHKの朝、7時からの一時間は、あんなにくらいニュースばかりを掘り下げるのだろうか。毎朝出かけるサラリーマンを暗い気持ちにさせるのが使命とでも考えているのだろうか。くらい報道になるとカチャッと明るい民放に変える。

◎片えくぼ

◎片えくぼ
  それにしても今人気のNHK大河ドラマ「西郷どん」は、演出過剰でテレビから主役の唾が飛んでくる、抑えてもらいたい。国会論争もモリカケは食い飽きた。ラーメンが食いたい。「昭恵出てこい」も聞き飽きた。篤姫役の北川景子様「出てこい」の方がいい。

◎俳談

◎俳談
【俳句の視線】
妻も書く吾ももの書く寒夜かな 東京俳壇入選
 「夜寒」は秋の季語だが「寒夜」は冬の季語だ。そのイメージは総じて寒い外から帰宅して、暖かい部屋で家族団らんしている雰囲気がある。家族が互いにその存在に気を遣いながら、別々の趣味や仕事に浸る季節でもある。掲句は炬燵で夫婦が物書きに専念している姿だ。この場合パソコンよりも万年筆の方が似合いそうだが、近ごろは携帯やiPadが幅を利かせている。こうした茶の間の雰囲気への眼差しは俳句をつくる好材料となる。例えば
毛糸編む妻に臍繰(へそくり)頂きぬ  毎日俳壇入選
などと言うことになればば誠にありがたい。
湯湯婆(ゆたんぽ)と書けば笑へるなあ婆さん 読売俳壇1席
とからかったりして。しかしプロの俳句はそうした甘さを越えた厳しさがある。江戸時代の俳人桜井梅室は
ふゆの夜や針うしなうておそろしき
と詠んだ。寒々しく恐ろしい感情を冬の夜になくなった針に例えたのだ。

◎名護市長選は「翁長王国」崩壊の前触れか

嵐のカワセミ.jpg

◎名護市長選は「翁長王国」崩壊の前触れか
  沖縄に“基地論争疲れ”の傾向
 悔し紛れに沖縄県知事・翁長雄志が「オスプレーが100機飛び交って経済振興が出来るのか」と開き直ったが、時既に遅し。名護市民の選択は自公推薦の渡具知武豊であった。朝日を始め、琉球新報などの事前報道は渡具知の敗北感が濃厚であったが逆転だ。背景には沖縄有権者の“基地論争疲れ”があるような気がする。翁長の指摘とは逆に、基地論争より経済振興の選択が3400票という大差をもたらしたのだ。100機飛び交っても、政府の支援もあり経済振興は可能だ。移設推進の安倍晋三が全面支援した無所属新人の渡具知が初当選したことは、12月に任期満了を迎える沖縄県知事選に大きな影響を及ぼす可能性が高い。
   4年前委に稲嶺進が再選された市長選以来名護市民は、知事選や2度にわたる衆参両院選挙で「移設反対派候補」を当選させてきた。しかし安倍政権の辺野古移設の意思は硬く、普天間移設工事は日々進展している。安倍は「辺野古移設が普天間問題の唯一の解決策」と繰り返した。しかし安倍自身も市長選には勝てるとは思ってなかったようであり、当選後「破るのは難しいと思っていたが、勝ててよかった」と漏らしている。 
 琉球新報は“敗戦の弁”で「渡具知氏の当選は、新基地建設を市民が容認したと受け止めるのは早計だ。渡具知氏は建設を明言せず、国と対話する姿勢を示しただけ」と悔し紛れの論調を展開している。しかしこの論調には致命的な欠陥がある。それは危険極まりない普天間が明け渡されることを度外視していることだ。普天間に比べて辺野古は一種の海上基地であり、危険度は格段に低い。有権者の変化を認めたくないのであろうか。
 確かに自民党の選挙戦略は“基地問題隠し”とも言えるほど巧妙であった。応援した、官房長官・菅義偉や自民党幹事長・二階俊博、副幹事長・小泉進次郎らは、基地問題への言及を避け、名護東道路の工事加速など経済振興一点張りであった。とりわけ現職稲嶺の経済政策の失敗を繰り返し強調した。もちろん渡具知の辺野古言及は選挙期間中ゼロであった。渡具知は、1998年の沖縄県知事選で新人の稲嶺惠一が現職の大田昌秀を破り初当選を果たした際に、「県政不況」で追い込んだように、「市政不況」を稲嶺進にぶつけたのも訴求力があった。
 さらに安倍は沖縄の特殊事情を考慮して、党幹部は発言に慎重を期すよう指示した。にもかかわらず内閣府副大臣松本文明が二十六日、衆院本会議での代表質問の際、沖縄県で相次いだ米軍ヘリコプターの不時着を巡って「それで何人死んだんだ」と、馬鹿丸出しのやじを飛ばしたことは、政府・与党首脳を慄然とさせた。間違いなく選挙に直結すると判断した安倍は、直ちに辞表を提出させ、受理した。野党は慌てて追及したが、時既に遅しの状況であり、結果的に逃げ切られた。辞任しなかった場合は尾を引き、確実に敗北につながったであろう。とりわけ国政選挙で効を奏した“小泉効果”も、沖縄で通用することが分かった。小泉は告示後に2度訪沖しているが、聴衆の集まりぐあいは最高であった。これに公明党がこれまでの様子見から転じて、渡具知を推薦したことも大きく作用した。もともと政治理念のない政党だから、何か得があると踏んだのだろう。
 昨年行われた県内の市長選では、自民系候補が3連勝しており、市長選の天王山に位置づけられた名護市長選で翁長に近い稲嶺を破ったことは、秋の県知事選に弾みがつくことを意味する。自民党幹部は「今年は連勝して沖縄世論を転換する年にする」と強調している。翁長はまだ知事選への対応を明らかにしていないが、まさか自公候補が勝つとは思わなかったと見えて、内心じくじたる思いであろう。

◎俳談

◎俳談
【鍋を詠む】
みちのくの言葉短し鮟鱇鍋 毎日俳壇入選
 「中国人には鯨鍋と鮟鱇鍋を教えるな。皆食われて資源が枯渇する」というジョークがあるが、当たらずとも遠からじ。鮟鱇鍋は近ごろ皆知っているが、鯨鍋はまだ一部の通に限られている。鯨の脂身や尾の身(尾肉)などを野菜と一緒にことことと煮込んだ鍋をポン酢で食べる。まさに絶品の味である。その後、ご飯を入れておじやにする。海苔を振りかけて食べるのだ。この世のものにあらぬほどの味のかたまりがのどをすり抜けると、味覚神経がフル動員されて、過去に味わった鍋と比較する。しかし、すべてが負ける。酒は芋焼酎の水割りに限る。
 鍋は冬の季語だが、鍋のつく季語は種類も多く、バラエティに富んでいる。ふぐちりも鯨鍋のつぎにおいしい。築地の東京タワーを遠望する店がうまかった。
ふぐちりや東京タワーを遠望す 東京俳壇二席
何も食べているときだけを詠む必要は無い。食材そのものを詠むケースも多い。
吊り鮟鱇人すれすれに通りけり 毎日俳談入選
狭い道での鮟鱇の吊るし切りを詠んだ。
 やはり人生に絡めると深みが出る。
湯豆腐にふと借命の思ひかな 東京俳壇入選
湯豆腐のあまりのうまさに長生きしたくなったという意味だ。冬の鍋ほど俳句に適している食事はあるまい。

◎中国、対日関係改善で突破口狙う


DSC_3545(1).jpgDSC_3545(1).jpg
中国、対日関係改善で突破口狙う
  日中友好条約40周年で習近平来日か
 筆者がかねてから指摘してきた極東冷戦の構図が、新年になっていよいよ鮮明になった。米中関係は11月のトランプ訪中による蜜月関係から一転して険悪とも言えるムードとなった。これを受けて米国防戦略も2008年以来の「テロとの戦い」から「中露との長期的な競争」へと大転換した。日米同盟は好むと好まざるとにかかわらず、その中核に位置づけられる。中国は対日接近で日米豪印による「インド太平洋戦略」の包囲網を突き崩そうとしている。対中関係は改善に越したことはないが、中国の“意図”を見据えた対応が不可欠となろう。しかし、首脳間の交流は推進すべきであり、習近平の来日は欠かせない重要テーマだ。
 外相河野太郎の訪中は一定の成果を収めたが、中国側の出方は「日中友好条約締結から40年の節目」が合い言葉のようであった。首相李克強を始め国務委員楊潔チらが口をそろえて「40年の節目」を口にした。中国政府内部のの「口裏」合わせがあった事は間違いない。中国を取り巻く情勢を見れば、北朝鮮は言うことを聞かないし、韓国とも良好ではない。米国ともうまくいっていない。東アジアでは孤立しているのが実態だ。中国は国内的には貧富の差が拡大して国民の不満が募り、共産党が否定してきた階級社会が実現しつつある。内政外交共に矛盾を抱える中での対日接近であろう。首相・安倍晋三は背景を理解して対中外交を展開するチャンスである。
 安倍は施政方針演説で「自由で開かれたインド太平洋戦略を推し進める。この大きな方向の下で中国とも協力してアジアのインフラ需要に応える」と言明した。中国の基本路線は「一帯一路」にのっとった世界戦略にあるが、安倍が最初に提案したインド太平洋戦略はこれに対峙する性格が強い。従って安倍演説は矛盾を帯びながらの現実路線と言える。日中関係は尖閣諸島の領有権問題を抱えるだけに、この急所をあえて突かずに関係の改善を進めるしか方法はあるまい。昔田中角栄が周恩来との会談で尖閣諸島の領有権問題を事実上「棚上げ」して日中関係を劇的に好転させたのが歴史の教訓であろう。
 一方米国は対中関係を180度変更させた。昨年11月のトランプ訪中では蜜月を謳歌したものだ。トランプが「中国の人々との友情は今後強化され続ける」と友好をうたえば、習近平は「米中関係はライバルではなくパートナーだ。関係発展の潜在力は無限だ」と答えた。その後、たった二か月で急転直下舞台は暗転した。米国は昨年末には「国家安全保障戦略」で、米国第一主義に基づく「強いアメリカ」確立を目指す姿勢を前面に押し出した。そして中国とロシアを国際秩序の現状を力で変更しようとする 「修正主義勢力」と位置づけた。
 ついで国防相マティスが1月19日に発表した「国家防衛戦略」では「米国と中国およびロシアとの大国間競争への回帰」を明示した。同文書では中国を、米国の覇権に挑戦する最大の脅威とみなし、「対テロ」から、中国とロシアとの長期的な「戦略的競争」に備える方針を打ち出した。文書は「中国は地域的な規模で米国の主導的地位に取って代わろうとしている」と情勢を分析。さらに「中国、ロシアとの長期的な『戦略的競争』が国防総省の最優先事項となる」として、同盟関係の強化を強調している。この米国の強硬方針の背景にはマティスがアジア・太平洋地域担当の国防次官補にランドール・シュライバーを抜擢したことも背景にあるようだ。シュライバーは台湾との関係が深く、中国の軍拡や対外政策に否定的な立場である。米国が、中国の東シナ海や南シナ海問題などに対して、強硬姿勢で臨む姿勢を鮮明にした人選と言える。
 これに対して中国は猛反発したことは言うまでもない。国防省のホームページで「事実をねじ曲げ、中国の国防力を誇張している。米国が冷戦時代への指向を捨てるよう希望する」と批判。それでもたりないとばかりに国防省報道官任国は「アメリカの国防戦略は事実を顧みず、中国脅威論を誇張し、事実に基づいていない」と口を極めて断定した。
今後の中国の対応は、トランプ政権が中国と対峙するなら、ロシアとの関係を一層深め、同時に「インド太平洋戦略」の国々を一つ一つ籠絡して、無力化を図ることになろう。ただ主要国のうち米国は対峙の中心であり、中国が懐柔することは難しい。豪州も親中派とみられていた首相ターンブルが安倍との会談で、方針を一転。海洋進出の中国を念頭に「太平洋やインド洋など海上の安全保障の協力強化」で合意した。日米豪印の枠組みでの連携も確約した。インドは中国と国境を接しており、歴史的にも戦略的にも相容れない傾向が強い。だから中国は、対日関係を良好に保ち、長期的な視野で連携を崩しにかかるしかないのだ。その最大の“呼び水”が対日首脳外交だ。その具体的戦略は、まず日中韓の首脳会談を春に開いて李克強が訪日する。親密度を深めた上で、習近平が訪日して関係を最良のものとする。既に1998年の日中平和友好条約締結20周年では、江沢民が史上初めての中国国家主席として公式に来日、30周年に当たる2008年には胡錦濤が来日している。となれば40周年の今年中の来日が実現する公算が大きい。日中それぞれの思惑が錯綜するが、首脳間の交流で対話を深め、関係を前進させるのが最良であり、何としてでも実現させるべきだ。

                      

◎俳談

◎俳談
北塞(ふさ)ぐことは浅間が見えぬこと 東京俳壇入選
 「北塞ぐ」季節となった。北塞ぐとは冬に北側の窓を塞ぐことをいう。「北窓塞ぐ」とも言う。去年の夏浅間山の南にある友人の別荘に滞在した。北の窓を開けると雄大な浅間が眼前にそびえて、素晴らしい風景であった。その北の窓も今頃は閉めて、くぎ付けしていることだろう。都会の住宅でも冬は北窓は閉じて、鎧戸を下ろす。拙宅も春まで締めっぱなしだ。
妙齢の北窓閉めてしまひけり 産経俳壇入選
 この句は、学生時代の通学路でときどき美人が窓から顔を見せていた邸宅が、雨戸を閉めっぱなしになってしまった落胆ぶりを表現した。片山由美子の句に
こころにも北窓のあり塞ぐべし
がある。俳句は季語と心を通わすことが何よりも必要である。今回の例句はすべて単なる観察句ではなく、心が通っていると思う。季語に心情を絡める。これが作句のこつだ。
春には「 北窓開く」という季語がある。

◎極東情勢を見据えた訪韓決断



◎極東情勢を見据えた訪韓決断DSC_3545(1).jpg
 米WHからの働きかけも考慮
 「恨」を背景に“ちゃぶ台返し”の文
 首相訪韓に否定的であったお膝元の官邸の思いと安倍は、180度違う決断である。安倍が9日のオリンピック開会式に出席の方針を明らかにした。韓国大統領文在寅にとっては思わぬ順風が吹いたことになる。文は日米中露の「周辺4強国」に出席を求めたが、米中露はトップが出席しないため、安倍の訪韓でメンツが立つからだ。日韓関係のみならず、日米関係にとってもプラスになる。しかし、安倍にとって注意が必要なのは、保守系の支持者のコアの部分を毀損しかねない要素があることだ。自民党合同部会は反対が圧倒的で、賛成の声はゼロ。首相就任以来始めて“反乱”が起きたことになる。一般議員らは、その判断において、幹事長ら幹部と大きな温度差を見せている。リスクをとる訪韓自体も、首脳会談の重要ポイントでは事実上の平行線に終わる公算が高く、場合によっては訪韓の意義を問われる。安倍にしてみれば「虎穴に入らずんば虎児を得ず」の心境だろうが、韓国の虎穴に虎児はいるかと言えば、見つけるのは難しい。「寅」はいる。
  まず、訪問される側の韓国の新聞論調は歓迎一色かといえば、むしろ裏を読んで懐疑的だ。中央日報は24日、「安倍首相が平昌行きを決めるうえでの最後の障害物は、自身を支持する保守層の強い反対論だったはずだ。24日の朝刊で安倍首相の平昌行きを報じたのは保守系の産経新聞と読売新聞だけだった。その中でも特に産経新聞のインタビューを通じて自身の決断を詳しく明らかにしたことについては、保守層の支持者に向けて一種の説得を試みたと解釈出来る」と分析。朝鮮日報も「安倍首相が述べたように、文大統領との会談で慰安婦合意をめぐる韓国政府の新方針に抗議することで韓日関係が今以上に悪化するのか、または関係改善の糸口となるのか」と懐疑的だ。
 たしかに、安倍は「会談で言うべきことはいう」旨宣言している。その言うべきこととは、「慰安婦問題をめぐる日韓合意について韓国が一方的にさらなる措置を求めることは受け入れることはできない。」である。また、在ソウル日本大使館前の慰安婦像撤去についても「当然強く主張することになる」としている。日本国民としては当然支持するだろう。しかし、韓国民はその民族的な性格の根底に「恨(はん)」というゆがんだ感情をもっており、周辺の大国よりおおらかではない。従って首相発言がこの反日感情をかき立てる側面は否定出来ない。韓国紙も手ぐすね引いて待ち構えており、安倍発言は、感情的な反発を煽る可能性がある。それをすり抜けるのはラクダを針の糸に通すほどむづかしい。知恵の出しどころだ。
 安倍が決断に至った、重要な要素はトランプからの働きかけがあったとされる。トランプ周辺から、「アメリカは副大統領を出席させる。安倍さんも出席して韓国大統領を北になびかせないように一緒に警告と説得をしようとの話があった。」という事のようだ。日韓のみならず、日米関係も視野に入れた決断であった。背景には極東情勢全般を見据えた総合判断があったような気がする。
 しかし、安倍が訪韓して何を言おうと、朴槿恵との間でかわした日韓合意順守の線にまで文が戻ることはないかもしれない。「最終的不可逆的合意」などは文にしてみればどこ吹く風だ。文の新方針は、日韓合意には内容及び手続き面で重大な欠陥があるとして、「日韓合意では問題の解決がなされない」との立場だ。ただ「日韓合意は公式な合意だった事実は否定できない」として日本政府に合意の再交渉を求めないとししつつ、慰安婦の尊厳の回復や心の傷を癒す努力を続けることを日本政府に要求している。さらに日本政府が支払った10億円は韓国政府の予算から充当するという。施しは受けないというわけだ。文は「日本が心をこめて謝罪してこそ被害者も日本を許すことができ、それが完全な慰安婦問題の解決だと思う」と述べている。要するに日韓合意をちゃぶ台返しして、またも「謝れ」と言っているのだ。
 このスタンスは文の支持率が73%と高い最大の要素となっており、安倍の訪韓で、方針を変えることはあり得ない。これは、文が確信犯的な左翼思想の持ち主であり、北との和解で、日米韓連携にあえてひびを入らせている事実から見ても分かる。したがって両者の会談は平行線をたどる可能性が高い。韓国側からすれば安倍の訪韓が韓日関係正常化の証拠となり、国内的にもプラスの要素が多い。
 ただし、両者共、首脳会談を失敗に終わらせる印象となることは避けるだろう。その打開策としては日韓首脳の対話の継続だろう。既に両者は昨年7月の会談で相互にトップが訪問するシャトル外交を決め、最初は文が同年中に訪日することになっていた。にもかかわらず安倍訪韓が先行するのは文にとっても悪い気はしまい。日韓シャトル外交は2004年7月の済州島を手始めに始まったが、中断している。今度は文に訪日の時期を明示させることが肝要だ。さらに安倍は、文を北朝鮮への傾斜から日米韓の連携に戻したいのだろう。内容はともかく「連携重視」といった“合い言葉”ではまとまるだろう。
 皮肉なことに韓国側は、安倍が産経に開会式出席を表明した23日に、女性家族部長官の鄭鉉栢が「慰安婦合意」によって組織された「和解・癒やし財団」を年内に解散させ、「慰安婦歴史館」を発足させる方針を表明するなど、政府レベルでの反日行動を維持する方針を明らかにしている。これを知っていたら安倍は訪問をちゅうちょしたかも知れない。官邸の情報収集機能の問題でもある。要するに一筋縄ではいかないのだ。
 こうした状況を自民党の一般議員らは、親韓の二階ら幹部と異なりよく理解しており、24日に開いた「日本の名誉と信頼を回復するための特命委員会」と外交部会の合同会議では、五輪開会式への安倍の出席について反対意見が噴出した。出席者からは「国民の多くが慎重論なのに首相が訪韓すると、国民の支持が離れていく」との発言が出された。確かに、安倍の支持率にとっては訪韓はマイナスに作用するだろう。保守層のコアの部分の神経を逆なでする可能性が高いからだ。さらに部会では「訪韓の成果が見込まれない。国民を説得できない」との声が上がったが、これももっともだ。安倍の文への大接近を選挙民に説得する事は難しい。「政治利用されるだけだ」との認識も説得力がある。出席した約40人から訪韓を支持する意見は出なかった。安倍は二階や公明党の訪韓論に惑わされて、一般議員らの慎重論を見逃していることになる。官邸は今後一般議員との接触を密にして、説得に力を傾注すべきだろう。


     

◎俳談

◎俳談
【人生と枯蟷螂】
枯蟷螂(かれとうろう)翅を広げしままとなる 毎日俳壇入選
 若いうちはそうでもないが、年を取ると己の人生と動植物やさまざまな事象などを比較したくなるものである。俳句ではその好例が枯蟷螂であろう。枯蟷螂は冬の季語だ。昔の人はカマキリも草木と同様に緑のカマキリが枯れて茶色に変化したと考えた。実際には種類が違うのだが、そう考えても不思議はない。掲句は庭の枯蟷螂が翅を広げたまま息絶えていたのを見て作った。死を直面するのに枯蟷螂は良い材料となる。
枯蟷螂死に場所と決め動かざる 杉の子
枯蟷螂にその意思はないが、あたかも自ら死に場所と決めたが如く詠んだ。次の句は自分が死んでも他の生命は残っていることを詠んだ。
枯蟷螂死して好餌の過ぎゆけり 杉の子
観察句ですぐれたものを挙げるならば山口誓子の
蟷螂の眼の中までも枯れ尽す
であろう。よほどの観察力がないとここまでは言えない。

◎「トランプ政変」は五分五分

feb.221_27.jpg

◎「トランプ政変」は五分五分
  テレビを見てはツイートの危険
 安倍は良好な関係維持を
 米ドナルド・トランプ政権は20日2年目に入ったが、過去1年は税制や規制、そして経済に関する公約の多くがおおむね企業に歓迎された。雇用も順調だ。一方で政府機関は閉鎖され、1年間の高官大量退任は記録的だ。トランプの性格を反映して政権の政治の振幅の差の激しさを物語っている。しかし、2年目は中間選挙を意識した議会民主党の攻勢は避けられず、ロシアゲート事件も佳境に達する。大統領弾劾問題もささやかれており、波瀾万丈が予想されるが、これが「政変」という事態に直結するかは五分五分だろう。
 順調な経済については「オバマの遺産」との見方もあるが、遺産だろうが何だろうがトランプはついており、「つきも実力のうち」と見るべきだろう。政府機関も一時的に閉鎖されたが、米経済は難無くやり過ごすだろう。2013年10月に2週間の閉鎖に追い込まれた際、同年10-12月期の経済成長率が約0.5ポイント下押しされただけだった。それに先立つ1990年代半ばの閉鎖も経済は順調な足取りで進んだ。今回も一過性だろう。
 しかし、トランプの政治を分析すると、組織を動かすというより、自らの直感を元に重要判断を下しているかのように見える。その象徴が“テレビ頼り”とも言える政治手法だ。最近のトランプは執務室にいる時間が急激に減り、一日4時間、時には8時間も寝室にこもっている。もちろん睡眠をしているわけではない。何をしているかといえば、テレビを3台持ち込みニュースを見る。そのニュースを根拠に友人に電話したり、ツイートする。ツイートは一日平均7、8回に達し、物議を醸す内容が多い。ツイートは政治外交の全てに渡るが、時には「私について何も知らず、なんの関わりもないのに、私についての本や主要記事を書いている人々は見ていて大変面白い。フェイクニュース!」と言った具合にメディアを攻撃する。総じて指導者は、隙を見せることを恐れて常時自分の立場を明確にすることを避けるが、トランプはその逆だ。全てをあからさまにして身をさらしている。その割には致命的な失言事件に発展しないのは、ギリギリの抑制が利いているのだろう。上級顧問のクシュナーはこの姿について「自分のやり方に固執しており、今後も決して変わらないだろう」と予言している。もっとも「便所のような国」発言が象徴するように、病的とも言える舌禍癖が、自らの身に災いする可能性は大きいだろう。
 しかし、今年トランプを待っているのは生やさしい問題ではない。ロシアゲート事件と中間選挙だ。ロシアゲートは佳境に入っている。検察のロシア政府による米大統領選干渉疑惑の捜査が進む中、特別検察官モラーの捜査は昨年末前大統領補佐官のマイケル・フリン被告が連邦捜査局(FBI)捜査官への虚偽の供述を認めて司法取引に応じたことで、大きく前進した。現在は娘婿クシュナーや長男のトランプジュニアへと向かいつつあり、その先にはトランプへの直接尋問も予想されている。一部メディアはクシュナーが政権を去ることを予測する報道まで出ている。ニクソンのウオーターゲート事件をほうふつとさせる「大統領の犯罪」が暴かれかねない状況なのである。
 米議会の中間選挙は11月だが、3月から候補を選ぶ予備選挙が始まる。上院の改選者数は3分の1の35議席。下院は435議席全てが改選となる。現在の議席配分は上院が民主党49,共和党51,下院は民主党193,共和党238だ。上院35議席の内訳は民主党26,共和党8議席であり、民主党は守りの選挙となる。一方、下院は天王山となる。下院は現在共和党が40議席上回っているが、苦戦を強いられる。なぜかといえば共和党は引退するベテラン議員が多いからだ。現段階で20人が引退、転出を含めると30人を超える。
 トランプが失政をすれば、大きく共和党票に影響が出る。下院で民主党が過半数を制すれば、法案や予算の審議に相当支障が生ずるうえに、トランプの公約は実現が極めて難しくなる。さらに重要なのはトランプ弾劾の動きが生ずる可能性が高いことだ。米議会における弾劾の仕組みは、下院が大統領を含む連邦官吏の弾劾訴追権を持ち、上院は大統領と連邦官吏の弾劾裁判権を持つ。下院が単純過半数の賛成に基づいて訴追し、上院が裁判し、出席議員の2/3の賛成で弾劾を決定する。過去にはクリントン大統領が、下院により弾劾訴追されたが、上院における弾劾決議は成立しなかった。ウオーターゲート事件のニクソンの場合は上下両院とも可決が可能となったのを見て、自ら辞任した。副大統領は大統領職を継承する順位で第1位となっている。
 したがって中間選挙の結果次第では、トランプが窮地に陥る可能性が十分ある。ニューヨークタイムズ紙は「歴代大統領は米国という大国をどう率いるかで戦ったが、トランプは自分を守ることで戦っている」といみじくも看破している。したがって上院議員リンゼイ・グラハムのように「1年過ぎたが、最悪の事態からホームランまであらゆる可能性がある」と予言する向きも出ている。もっとも日米関係は大統領が誰であろうと良好な関係を保つことが重要だ。テレビの評論家の中には安倍がトランプと親密であることを批判する空気が生じているが、外交を知らない証拠だ。例えば田中角栄がロッキード事件で窮地に陥っている最中でも、大統領フォードは来日している。外交と国内事情はわけて考えるべきだろう。安倍・トランプの良好な関係は国益そのものであり、これまで通り維持すべきことは言うまでもない。

◎俳談

 ◎俳談
【擬人法は至難の業】  
一湾の夜寒の集い来るごとし 産経俳壇入選
 初心者のうちはよく擬人法を使う。擬人法とは自然や動植物を人に見立てて表現することを言う。明治以来擬人法は月並み句の典型とされてきた。月並み句とは駄句のことである。それくらい擬人法は難しいのだ。それを初心者が使うのだからうまくいくはずがない。
掲句は相模湾の夜寒を表現した。夜寒が人の集会のように「集い来る」と表現したのだ。夜寒を二度も三度も感ずる秋の夜を表現した。
いまや目になりしルーペや冬日和 東京俳壇入選
ルーペが目になったという擬人法だが、意外性で成功した。
悪い例を挙げれば
油蝉一服したる閑(しず)けさや
油蝉が一服しているから閑かだと詠んでいるが、軽い上に陳腐だ。
明治時代を代表する俳人、正岡子規も、擬人法を駄句の典型として退けている。
しかし、短歌ではこれが許される。与謝野晶子には
金色のちひさき鳥のかたちして銀杏(いちょう)散るなり夕日の丘に
と有名な短歌があるが、何の違和感もない。しかし俳句のような短詩では無理があるのだ。ところが芭蕉も擬人法の名句を作っている。
さみだれをあつめて早し最上川
がそれだ。最上川が五月雨を集めているというのだから、擬人法の典型である。しかし100万人に1人も出ない天才俳人の真似を初心者がするのは滑稽の部類だ。

◎安倍は五輪開会式に出席すべきではない

11225wwww.jpg

◎安倍は五輪開会式に出席すべきではない
 支離滅裂な文外交に付き合う義理もない
 二階は「出席」で独走するな
 韓国大統領文在寅の外交能力を疑う事態が続いている。相手に後ろ足で砂をかけて怒らせておいて、冬季五輪開会式に出席せよはない。米中首脳は2月9日の五輪開会式に出席せず、プーチンはもともと出席しない。朝鮮半島に関わりを持つ大国がみな出席しないのに、慰安婦合意を毀損された首相安倍晋三が出席しなければならない理由はない。大体首相が不在の時に自民党幹事長二階俊博が出席の既成事実を作るかのように行動するのはおかしい。この際、米中露に“歩調”を合わせて、首相・安倍晋三も出席する必要はないのだろう。
 文在寅はまるで習近平に泣きつくように二度に渡って直接開会式出席を要請した。しかし、習はこれに応じず、政治局常務委員の韓正を派遣することを決めた。韓正は常務委員といっても序列最低の7位であり、中国が冬季オリンピック出席をいかに重視していないかを物語る。習近平の欠席は冬季五輪ごときに国のトップが出席する必要はないとの判断が働いているのに加えて、極東情勢が大きく作用しているようだ。その最大の象徴が韓国への戦域高高度防衛ミサイル(THAAD)配備である。中国は配備が極東戦略を大きく変えるものという認識で反対したが、文は踏み切った。加えて中国には何ら相談することなく、北との五輪合意である。習にしてみれば、訪韓して下手なコミットは出来ない立場にあり、文は深い外交的な考察のないまま、出席を要請して袖にされたのだ。
 トランプは最初から出席を考えていなかったといわれ、副大統領ペンスの出席にとどめた。これも大統領が出席するような事ではないとの判断がある上に、国内政局に火がついており、その暇はないというのが実情だ。プーチンは国際オリンピック委員会(IOC)から、ドーピングスキャンダルで選手団の正式派遣を拒否されており、出席しようにも出来ないという実情がある。ヨーロッパはフランス大統領マクロンらが出席する。対韓外交重視というより選手激励が主目的だ。
 そこで安倍が出席するかどうかが焦点だが、安倍は東欧歴訪中の記者会見で出席の可能性を問われ「国会の日程を見ながら検討したい。一日も早い予算案の成立が最大の経済対策」と発言した。同行記者団は概ねこの発言をネガティブに感じたようだ。そもそも慰安婦合意は「不可逆的」なものとして、日韓双方が確認している。日本側は安倍首相名で「心からのおわびと反省の気持ち」を表明。韓国政府が元慰安婦支援のため財団を設立し、日本政府は10億円を拠出した。この措置の着実な履行を前提に「問題の最終的かつ不可逆的な解決」を確認しているのだ。外相河野太郎が「さらなる措置は全く受け入れられない」と言明したのは当然だ。
 朴槿恵政権はソウルの日本大使館前の少女像について「適切に解決されるよう努力する」と約束した。しかし、文政権になってからは合意などどこ吹く風、慰安婦「平和の少女像」に続き、強制徴用労働者像までがソウル近郊に設置される動きが生じている。慰安婦への10億円も、韓国が分担すると言いだした。つまり、新方針で日韓合意は文のちゃぶ台返しにあったことになる。こうした中で安倍政権内部は出席論と欠席論が交差している。二階は「五輪も国会も大変重要な政治課題だ。うまく調整の上、(両方)実現できるよう努力したい」と述べ、首相の平昌五輪出席に含みを持たせた。しかし二階はいかに親韓派でも、ここは出席しないのが大局判断ではないか。自分と韓国の関係を政治に反映させてはいけない。韓国から陳情を受けたに違いない。そもそも首相の不在中に重要な政治判断事項で既成事実を作るのは、越権行為だ。幹事長代行の萩生田光一は17日のラジオ番組で、開会式には五輪担当相鈴木俊一と文部科学相林芳正が出席するとの見方を示したが、その程度でとどめておくのが正解だろう。。
 だいいいち来月9日金曜日の開会式といえば、国会は予算委審議の最中である。開会式は夜の8時から4時間も行われるから、国会審議を休めば不可能ではない気がする。しかし、急ごしらえの会場は屋根がなく、選手も観客も吹きさらしに晒される。平昌は2月の平均気温がマイナス8.3度という極寒地だ。同会場で11月4日に催されたコンサートでは低体温症で5人が緊急搬送されたという。
 要するに安倍は、日本の国内世論が文の仕打ちに圧倒的に批判的であり、出席しても焦点は、南北合同チームの入場行進であり、チャラチャラ女が踊る北朝鮮のパフォーマンスばかりが目立つような開会式に出席するメリットはない。文はアイスホッケーチームがどっちみち強くないことを理由に、北との合同チームを結成する方針のようだが、これこそスポーツの政治利用であり、オリンピック憲章のイロハを知らない。国内の猛反発は当然だ。文の言動は日米韓の包囲網や国連制裁決議を毀損しかねない要素がある。包囲網に穴を開ける北の巧妙な外交に乗せられつつあるとしか思えない。河野が「北朝鮮が核・ミサイル開発を続けている事実から目をそらすべきではない。国際社会の分断を図ろうとしている」と看破している通りだ。日本の首相が文の支離滅裂な低級外交に付き合う暇はないし、義理もないのだ。  

◎俳談

◎俳談
【暖かい句】
小児科の老医叱りてあたたかし 月刊俳句秀逸句
 俳句ほど人柄を現す文学は珍しい。またその人柄を躊躇せずに出すべきなのが俳句だ。
 奥の細道の曾良の句に
かさねとは八重撫子の名成(なる)べし
がある。那須野が原にさしかかった芭蕉一行の後を、どこまでもついてくる童女がいた。名前を聞くと「かさね」と答える。「聞かぬ名の優しければ」と作った句である。情景がほほ笑ましいが、曾良の暖かい人柄が見える句でもある。
 筆者も会社では怖がられていたが、本当は温かい人であった。だから時々我ながら暖かい句を作る。掲句がその代表である。なにも暖かくないのに暖かい句を作る必要は無い。繊細なら繊細なりに、図太ければそれなりの句を作るのだ。名は体を表すように、句は体を表す。まず自らの性格を分析して“得意”の分野を思い定めるべきであろう。
この庭に命を繋ぐ蜥蜴かな 毎日俳談3席
生きとし生けるものへの暖かい眼差しから作った。
湯湯婆(ゆたんぽ)と書けば笑へるなあ婆さん 読売俳壇1席
家庭の暖かさを出した。
母の暖かさの句は何と言っても中村汀女だ
あはれ子の夜寒の床の引けば寄る
咳の子のなぞなぞあそびきりもなや

◎ウインフリーは米政治救いの女神か

9694ww.jpg
 ◎ウインフリーは米政治救いの女神か

  大統領選出馬説が台頭
 トランプは発言癖がダメージ
  典型的な保守派で共和党寄りの立場をとっている米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙が社説で「ウィンフリー氏、トランプ氏を追い出す?」「次期大統領選の民主党候補になるとの憶測が急浮上」と書いている位だからフィーバーは相当なものだろう。米大統領としては異常なまでにその醜い発言のボルテージを高めているトランプに米国民が辟易としていることを物語る。ウインフリーといえば米国人が好む立志伝中の人であり、立候補すればトランプを脅かす存在になることは確実。本人はやる気かどうかの明言を避けているが、今年11月の中間選挙を経て、民主党が予想通り上下両院で勝てばウインフリーは出馬し、トランプの任期を4年で終わらせるとの見方が強まっている。
 「オプラ・ブームも、ハリウッドのような熱しやすい『ドリーム・ファクトリー(夢の工場)』による希望的観測にすぎないのかもしれない。だがその可能性を前に硬派でプロフェッショナルな民主党関係者でさえ胸をときめかせてしまう理由も分かる。」とWSJ紙が書く63歳のウインフリーは、典型的な黒人の貧困家庭に生まれた。9歳の頃には親戚に強姦されるなどの性的虐待を受け、14歳で妊娠し、出産している。産まれた子供は1週間後に病院で亡くなっている。19歳でローカルテレビのニュースの仕事に従事してマスコミ界に入り、32歳の1968年にテレビの「オプラ・ウインフリー・ショー」を立ち上げ、この番組は2011年まで続いた。弁舌の鋭さ、知性の高さでマイノリティーだけでなく、白人女性層にも広範に支持されている。ウィンフリーの資産額は現在、28億ドル(約3100億円)に達している。「出馬コール」に火がついたのは7日のゴールデングローブ賞授賞式。黒人女性として初めて生涯功労賞を受賞したオプラ・ウィンフリーが自らの経験に裏打ちされた性的暴力の被害者への連帯を示す力強いスピーチを行い、出席者から何度も熱狂的なスタンディングオベーションを受けた。
  出席した俳優や音楽家らからは、レディ・ガガが「オプラが大統領選に出馬すれば支持する」と言明すれば、「ゴッドファーザー」のロバート・デニーロは「世界は裸の王様の馬鹿を見ている」とトランプをこき下ろし、出馬を促した。そのトランプの発言の醜さ、幼稚さは病膏肓とも言える段階に入った。枚挙にいとまがないが最近ではハイチを「便所」と誹謗した例だ。トランプは議員らに「なぜ便所のような国(shithole countries)の出身者を来させたいのか。ノルウェーのような国の人々を受け入れるべきだ」と発言した。これは明らかに人種差別であり、自由と法の下での平等を高らかにうたった合衆国憲法に大統領自ら違反するものである。またWSJ紙によると2016年の米大統領選の1カ月前、トランプの顧問弁護士の1人が、トランプと性的関係を持ったとされる元アダルト映画女優に対し、口止め料として13万ドル(約1440万円)支払う約束をしたという。ロシア疑惑も増す一方だ。
 こうした発言や行動が繰り返されるたびに、米国民の多くの視線がウインフリーに向けられ始めた。トランプ陣営はオプラが政治の素人である点を指摘しているが、これこそトランプにそのまま返される言葉だろう。WSJ紙は社説で「選挙戦で有権者をどう説得するかが課題だが、ウインフリーが出来ないと断言するのは愚か」と書いている。米大統領には現職政治家や、経営者、企業幹部などが当選するケースが多いが、全くの素人に見える候補も当選している。トルーマンはミズーリ州カンザスシティで洋品店を営んでいた。ジミー・カーターは、農場主だった。レーガンはハリウッドの俳優だった。いずれも優秀な大統領であった。政治面では未知数であっても、政治力は素質があれば育つものだ。
  トランプはウインフリーが強敵になり得ると感じてか、早くも「オプラなら私は勝てる。相手がオプラなら面白い。ただし出馬するとは思わない」と牽制球を投げ始めた。臆面もなくトランプは「人生を通じて、私の最も大きな長所は、 安定した精神と、そして、何というか、とても頭が良いということだ」「私は大成功を収めた。実業家からトップのテレビタレントとなり、そして米国の大統領になった。私が思うに、これは頭が良いというよりも、天才と呼ぶに値するだろう。しかも、非常に安定した天才だ!」と述べた。この発言はデニーロの「裸の王様の馬鹿」と言う形容が何とふさわしく見えることだろうか。自分を天才と思い込む病気には「自己愛性パーソナリティ障害」がある。ありのままの自分を認めることができず、自分は優れていて素晴らしく特別で偉大な存在でなければならないと思い込むパーソナリティ障害の一類型である。これが実際にトランプに当てはまるかどうかは分からないが、その危険を感じさせる大統領は危険な存在であろう。14日にも懲りずにトランプは「私は大統領として、わが国が再び強く偉大な国になるのを助けようとする人々がわが国に来ることを望む。移民の能力に基づいたシステムを通じてだ。ビザ抽選制度はもういらない!」とツイートしている。もはや確信犯だ。
 とにかく何をやるか分からない異常性を秘めていることがトランプの一年で分かった。国務、国防両相やホワイトハウス内の良識の“歯止め”がかかっているうちはよいが、いつ歯止めがかからなくなるか分からない状況に世界は置かれている。公共ラジオNPRの世論調査によると大統領選でトランプとウィンフリーが対決した場合、どちらを支持するか聞いたところ、ウィンフリーが50%で、トランプの39%を上回った。この差は今後トランプの奇想天外発言が繰り返されるたびに開くことが予想される。それにしてもあと3年もトランプと世界は付き合わなければならないのかと思うと、うんざりする。

 

◎俳談

◎俳談
【一句一季語の鉄則】
房総の卯波とどろき月上る   毎日俳談1席
 掲句は鈴木真砂女の故郷である千葉県鴨川市の旅館に宿泊したときに作った。房総半島の卯波がとどろくものであることを初めて知り、感動したものだ。ここで注目すべきは卯波は夏の季語であり、月は秋の季語である。俳句では一句に二つの季語を使うことを季重なりとして戒めているが、これは季語同士が同等の力を発揮するときに限る。強弱がついていれば違和感がない場合が多い。掲句は本旨が房総の卯波のとどろきを驚異の念をもって受け止めたものと分かり、月はいわば補完作用を及ぼしている。こういう場合は許されるケースだ。芭蕉にも季重なり句はたくさんあるが代表句が
春なれや名もなき山の薄霞      芭蕉
 春と春の季語の「霞」がバッティングしている。これも名もなき山の薄霞を「春なれや」が補完してをり、許容範囲である。しかし初心者のうちはまだその強弱を判断出来る能力に欠けるから、一句に二つの季語を絶対に使わないよう習慣づけるべきである。一句一季語が鉄則とまず肝に銘じなければならない。