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◎俳談

◎俳談
【類想句とは】
 よく似通った句を類想句という。有名な例では
山口誓子の
沖に出て木枯らし帰るところなし
が、池西言水の
凩の果てはありけり海の音
の類想であるというものである。
 言水の句は江戸時代の有名な句であり、言水は俗に「凩の言水」と言われた。誓子はそれを承知の上で作ったものとされている。誓子の句は特攻を暗喩で描いたものとされ、名句中の名句と言ってもよい。いまは特攻は忘れられ、時事詠と離れて解釈されるケースが多い。
 これについて故飯田龍太は「作品が前者をしのいだら問題はない。いわば相撲で兄弟子を負かすようなもの」と断定している。誓子は言水を大きくしのいでいるというのである。
 昔はおおらかだった、芥川龍之介は飯田蛇笏の句を真似たと言って
癆咳(ろうがい)の頬美しや冬帽子
を作ったが、そのモデルの句は
死病得て爪美しき火桶かな
だ。これを類想と言えば類想だらけになるが、むしろヒントにしたと言った方が適切だろう。芭蕉が和歌から「本歌取り」した俳句は数知れぬと言われているが、批判する者は居ない。龍太の言うとおり、モデルの句を越える力量があればよいということだ。
人口に膾炙した芭蕉の晩年の句
此道や行人なしに秋の暮 
を蕪村が  
門を出れば吾も行人秋の暮   
と詠み変えているが、これは類想というより、芭蕉への敬慕の念をあえて芭蕉の俳句を借りて現したものであろう。

◎やはり解散・総選挙は“常在戦場”だろう

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◎やはり解散・総選挙は“常在戦場”だろう
  来年秋説は鬼が笑いころげる
 来年のことを言うと鬼が笑うというが、鬼が笑いころげるのは解散が来年秋以降という報道だ。朝日がトップで書き、後追いの時事が後追いしているから火のないところに煙は立たない。おそらく首相側近が首相の指示に基づいて打ち消しているのだろうが、逆に読売は来年秋説も紹介しながら「4月解散」を見出しに取っている。なぜこうも違うかと言えば読売は政局を読んでいるが、朝日は読んでいないという差であろう。だいいち朝日は、昨年暮れに「1月解散」とトップで書いたと思ったら、新年早々に「解散は今年秋以降」、今度は「解散は来年秋も視野」だそうだ。むかしテレビに出ると「解散だ」と騒いで1つも当たらなかった民放記者が「解散小僧」と自民党担当記者の集まり平河クラブで馬鹿にされていたが、朝日に「解散小僧」呼ばわりは恐れ多い。名付けるとすればより高尚な「いつでも解散症候群」だろうか。ということは4度目の正直でまた変わりうるのだ。
 解散の理由について朝日は「報道各社の世論調査で内閣支持率は今のところ堅調で、民進党など野党の支持率に勢いはみられない。このため政権幹部は、任期満了に近い来年秋まで衆院解散を先送りしても、勝機を見いだせない『追い込まれ解散』となる可能性は低いと判断している」と書いているが、これも不可解だ。今の内閣支持率が来年秋まで持つ保証などどこにもない。支持率ほど揺れ動くものは無い。政権幹部がそう考えているとしたら「ノーテンキ」もいいところだろう。屁理屈だ。
 解散、首相退陣など政局問題は、政治記者にとって一番困難な判断力が要求されるものだが、解散には定理がないようで一定の定理はある。それは任期が2年を過ぎたらまさに解散・総選挙は常在戦場の段階に入る。ドラえもんのどこでもドアではないが、「どこでも解散」の状況に至るのだ。極端に言えば解散風は一か月ごとに流れるという段階に入るのだ。この定理を基準に考えればとても解散が一年半後などという、悠長な判断はできまい。それではなぜ安倍側近らしき者が解散をリークをしたのだろうか。おそらく安倍が4月解散とか、都知事小池百合子を蹴散らすための夏の都議選とのダブル選挙を考えているフシがあるからだろう。日経などが書いている。これが図星だから安倍はかっとなって、側近に全面否定を命じたのではないか。側近も「解散ド素人」だから、解散の定理などは知らない。だから出来るだけ遠くに設定してしまえというわけで、来年秋などという発想が出てきたに違いない。
 逆に安倍ほどだまし討ち解散を狙う首相は珍しい。その根拠として判断するのは支持率だ。現在内閣支持率は60%前後と高く、自民党支持率もNHKで38%と高止まりしている。蓮舫不人気で民進党は6%だ。支持率が60%などという首相は滅多にいない。60%あれば、前回取り過ぎたから目減りはしても、大幅に負けることはあるまい。蓮舫不人気は解散のチャンスでもあるのだ。だいいち自民党幹事長・二階俊博の記者会見で平河クラブは朝日の「来年秋説」を質すと思ったら、これを無視して4月解散の可能性を聞いている。二階は安倍が17年度予算案成立後の4月にも衆院解散を断行するとの観測が政府・与党内にあることについて「今のところ、何の根拠もなく言っていることだと受け止めている」と述べた。しかし「私たちは常在戦場で、常に選挙を考えなければならない立場だ。刺激になって、早く調整や準備をしなければならないと感じさせてくれる、大変いいご意見だ」とも皮肉った。否定も肯定もしていないということは、まだ4月説が生きているということだろう。
 注目すべきは公明党代表・山口那津男の発言だ「解散のタイミングは首相の専権事項だ」と述べるにとどまっている。普通なら4月解散はともかく、少なくとも都議選とぶつかるような解散には反対するところだが、珍しく反対を述べない。これは都議会公明党が自民党に反旗を翻して小池に急接近していることを引け目に感じているからかもしれない。従って安倍は都議会との同日選挙をぶちかます戦略も確保出来ているということになる。
 そもそも来年秋の任期満了選挙が駄目なのは、それを狙ったら途端に首相の求心力が失われるからだ。首相というのは解散という伝家の宝刀をいつでも抜けるようにしておくからこそ、求心力が増すのだ。リーク源は「18年の総裁選圧勝の勢いを勝って総選挙になだれ込む」などと勇ましく話しているようだが、もともと勝つ総裁選挙が総選挙の「勢い」になるとも思えない。若い記者は麻生太郎の例を引いて任期満了選挙の不利を説いているが、もっと政治史を遡れば三木武夫が田中角栄に解散を封じ込められて任期満了選挙に追い込まれて大敗、退陣したことが一番の好例だ。三木は田中派の閣僚が閣議で解散に反対したため、解散を断行できなかったのだ。こう見てくるとやはり解散・総選挙問題はいつでもありの常在戦場とみなければなるまい。