So-net無料ブログ作成

◎俳談

◎俳談
【感性と俳句】
 俳句とは世界一短い詩である。詩であるから詠む人は感性が欠かせない。しかし感性のない人間は存在しないと思う。嬉しければ笑い、哀しければ泣く。これが感性の原点だ。だから誰にでもある。しかしその感性を俳句モードにできるかどうかは別物だ。俳句に使えなければ俳句用の感性ではないからだ。
春の水雑巾ゆったり沈みけり  東京俳壇2席
この句は雑巾がバケツに沈む様子を詠んだ。春の水だから雑巾がゆったり沈むと断定したのだ。論理的に解釈すれば春の水だろうが夏の水だろうが雑巾の沈む速度は全く同じだ。そこを春の水だからゆったり沈むと臆面もなく言い切るのが俳句の感性だ。この場合「そんな馬鹿な」は通じない。
芭蕉の
閑さや岩にしみ入る蝉の声(しずけさや いわにしみいる せみのこえ)
を「岩に声がしみるか」と言う人はいまい。これが俳句の高みであり、感性なのである。

◎「新党」結成と言うより「旧党」への復帰

DSC_1132k.jpg

◎「新党」結成と言うより「旧党」への復帰
   民・維の背後に共産党の選挙協力の影
 戦後の政党の離合集散史と比較しても、最も“野合色”の強い合流である。民主と維新両党が来月の合流を26日合意する。合流と言っても何の政策合意もなく、基本的には離党した民主党議員が復党するだけである。「新党」結成どころか「旧党」への復帰に過ぎない。民主党代表・岡田克也は「自民党に対抗できる民意の受け皿になる」と胸を張るが、駄目と駄目が合流しても駄目の二乗になるだけのことだ。これに生活、社民が加わっても駄目の4乗だ。維新代表・松野頼久はまずいご飯に乗せたまずい沢庵のようなもので頂けない。
 とにかく合流協議の過程においては松野の自己主張が異様に見えた。対等合併を主張し、党名も「民主の文字を入れるべきでない」と岡田に迫った。ところがNHKの世論調査で自民党支持率が37.6%なのに対して民主党は9.6%と低迷。もっと低いのが維新でわずかに0.8%だ。この0.8%という数字は世論調査では普通誤差の範囲であり、まさに「誤差の範囲政党」の代表が金切り声を上げても国民への説得力はない。この合流の真の姿は誰が見ても「出戻り」であり、松野はその格好悪さを隠すかのように、自己主張を繰り返したのだ。筆者は「民主」の文字は残すべきだと思う。良きにつけ悪しきにつけ人口に膾炙(かいしゃ)しているのであり、党名を変えれば政権を取れるものでもあるまい。立憲民主党、になろうが民主自由党、日本民主党などになろうが、選挙やマスコミの略称は民主党となる可能性が高く、事実上変化はない。支持団体・連合にも党名を残すべきだとの声は強い。
 ここに来て合流が急展開したのは、共産党の動きが背景にある。もともと共産党は「国民連合政府」構想の旗印の下に参院選挙を戦う方針だったが、民主党右派がこれを嫌い、結局押しかけ女房的に32小選挙区での候補を降ろして野党統一候補を応援する方向に転じた。これが民主、維新の背中を押したのである。影で生活の党代表・小沢一郎と共産党委員長・志位和夫の個人的関係が大きく作用しているものとみられる。
 合流が固まったあと、岡田、松野が口裏をあわすかのように生活や社民との合流を口にしたのが怪しい。岡田は「2党が軸になって他の野党も合流を」と訴えれば松野は「共産党以外のすべての政党会派に声をかけるべきだ」と唱えた。他の野党には当然小沢の生活や極左の社民も含まれる。民主党内には小沢一郎が消費増税に反対して分裂して以来小沢アレルギーが強いが、それにもかかわらず岡田が呼びかけるのはなぜか。それは「小沢・志位連合」からの圧力があるからだ。共産党が候補を降ろすにあたって、他の野党との合流を主張しているに違いない。
 ただでさえ「野合」(自民党幹事長・谷垣禎一)の見方が強いのに、民主党政権で連立に失敗した社民党や、庇(ひさし)を貸して母屋を取られた小沢まで取り込めば、新党は参院選までは一致できてもその後は再び党内抗争が発生するのは火を見るより明らかである。まるで馬糞を集めて筏(いかだ)を作っても、すぐにバラバラになるのは目に見えている。これを称して馬糞の川流れという。とりわけ首相・安倍晋三が衆参同日選挙を馬糞に打ち込めば雲散霧消してしまうだろう。
 合流ははっきり言えば悪あがきであり、悪あがきが国民の支持を得て政権を取れるかと言えば、無理だろう。民主党政権誕生の例を見ればすぐに分かる。当時の自民党は「消えた年金」という史上まれに見る「大失政」に加えて、財務相・中川昭一の泥酔事件や閣僚の数々の不祥事がひしめいて、国民もあきれ果てた体たらくであった。これがアンチテーゼとしての民主党に票がなだれ込んだ最大の理由である。しかし今度は民主党政権3年3か月の連続大失政が、改心した自民党に票を集めた。したがって小選挙区制においては政権交代が容易になるのではなく、「大失政」や「大疑獄」が発生してやっと政権交代になるのだ。
 だから悪あがきや共産党票まで当てにした「野合」路線が国民の支持を受ける可能性は少ない。ただ選挙技術的に参院選単独なら自民党が厳しい結果となることは間違いないだろう。民主党政調会長・細野豪志が「合流により国民が喝采(かっさい)するとか、支持率が抜きん出て高くなるなど、大きく変わることはないだろう。将来の政権の選択肢を国民に示すことに意義がある」と述べているが冷静な見方である。


◎俳談

◎俳談
【ベス単フード外し】
 100年前ベス単というカメラが流行った。1912年発売とともにベストセラーとなり1925年までに180万台が販売された。大量生産で比較的安価だったからだ。昔のカメラのベストセラーだ。単玉で折りたたみ式でヴェストのポケットに入ったことからベス単の愛称がついた。正式名称はヴェスト・ポケット・コダック(Vest Pocket Kodak 、VPK)だ。そのレンズだけを取り出して、ニコンのD800Eに取り付けられるようにした改造レンズを入手した。
 このレンズでの写真の撮り方はベス単フード外しというもので、戦前日本で流行った。フードを外すとレンズが大きくあらわになって、撮った写真がにじんだりぼけたりする。“とろとろ”になって何とも言えない味わいが出る。顔の小じわも消える。最新鋭の360万画素のカメラと100年前のレンズのコラボは面白い。これまで触ると切れるような精細な画像を作り出してきたカメラが、一転してレトロな風景を生み出すのだ。まるでCDの冷たい音が、アナログレコードの深い音に戻ったような大変化である。
雪撮りてベス単レンズ暖かし 杉の子

◎微妙に変わった首相の再増税発言

kawakomorebiww.jpg

◎微妙に変わった首相の再増税発言
  同日選含みの新条件
 まだ1年そこそこしかたっていないから「この道はいつか来た道。ああそうだよ」と誰でも思いつく流れだろう。消費増税再延期と解散への動きだ。14年末も消費税延期で首相・安倍晋三は国民の信を問うた。今回も同じ側近らから中止論が出始め、それを理由に信を問うという説が流布され始めているのだ。それを裏付ける2つの新たな兆候が官邸から出始めた。そのだい1の兆候は首相・安倍晋三の答弁の流れが変わったのだ。馬鹿な委員会担当記者たちは「リーマンショック並みの事態が起こらない限り延期しない」発言を重視して、相変わらず増税延期せずなどと判断しているが、安倍の新たな答弁の変化を見逃している。75歳の感性はそれをとらえる。24日に安倍は「世界経済の大幅な収縮が起こっているかどうかだが、専門的な見地から行われる分析も踏まえて、その時の政治判断で決める事柄だ」と付け加えている。これは「リーマンショック並みであるという専門的な見地」を重視し、それが出されれば「その時の政治判断」があり得るという“新条件”をほのめかしたのだ。これまでの「再延期しない」一点張りから微妙に踏み出しているのである。
 第2の兆候はその専門的見地で14年に1年半の延期を理論武装した内閣官房参与・本田悦朗を安倍が久々にマスコミに登場させている。側近が安倍の意向の忖度(そんたく)なしに発言するわけがないから、安倍が認めて登場させているのだ。千両役者の再登場である。24日夜の報道ステーションで本田は水を得た魚のように再延期論をぶちまくっている。焦点である「リーマンショック並みの事態」であると言っているのだ。本田は「ある意味でリーマンショック並みのショックが襲いつつある。世界経済は年初から株価が下落、そして円高。このスピードを見ているとリーマンショックの直後より激しいものがある」と断言。続けて「例えば中国経済の減速は我々が想定したのより激しい。原油価格の下落も想定以上に大きく、上昇の見込みがない」と説明。さらに「来年4月の増税実施はまさにデフレ脱却の道半ばで増税することになるので、消費が落ち込みアベノミクスという政策パッケージの信頼が損なわれる可能性がある。やるべき時ではない」と強調した。
 まさに安倍の言う「専門的見地」の官邸自家製造である。この発言に比べると、反対論の陳腐な言葉はもはや聞くことすら馬鹿馬鹿しくなる。同じテレビで中央大学教授・森信茂樹が「国際公約がおろそかになる」などと述べていたが、今世界経済は危機的な様相が強まっており、律義に国際公約など守っている国はない。むしろ5月のサミットで重要なのは、10年間国際経済をリードした中国、ブラジルなどの新興国に代わって再びG7がいかにリードの手綱を握るかにある。議長である安倍の責任は重大である。世界経済は金融緩和依存症候群のような病状を示している。その副作用も出始めており、G7は協調して実体経済の底上げとマーケットの安定化を図る必要があるのだ。そのためには日本の場合は議長国の責務としてもアベノミクスを推進してGDPを上げるしかない。GDPを上げれば税収は必ず上昇するのであって、増税がなければ年金が下がるなどと言うのは財務省の戯言だ。
 逆にただでさえ、8%増税の後遺症が消えずに消費が活発化しない状況が続いているのであり、ここで打つべきはカンフル注射であって、「アベノミクス断念増税」の劇薬ではない。10%に増税すれば必ず、景気はより深い落ち込み場面へと移行する。日本経済はさらに10年デフレを彷徨(ほうこう)する。逆に凍結や延期をすれば、市場は好感するし、安倍が久しぶりに取り戻した国民のやる気や笑顔があふれる国を維持することになる。G7が日本に求めるのは増税による停滞ではさらさらあるまい。
 増税推進論者は2012年の3党合意を金科玉条のように掲げるが、そもそも3党合意は民主党政権下で同党幹事長・輿石東、自民党幹事長・石原伸晃、公明党幹事長・井上義久が密約してはじまったものだ。三流政治家とは言わないが一流政治家とは言えない面々の合意が、いつまでも安倍政権の経済運営を縛るのも馬鹿げているなどという暴言は吐かないが、ちょっとだけそんな気がする。
 それに夏には国政選挙が控えており、戦略的にもダブル選挙は不可避の潮流となって来つつある。安倍のことだから意表を突いて4月解散が脳裏にあるかも知れないが、サミット前の外交の重要なときに選挙に血道を上げてはなるまい。議長国として6か国を歴訪して根回しをした上で落ち着いた雰囲気の中で、「世界経済巻き返しサミット」を成功させるべきであろう。


◎俳談

◎俳談
【白息は生命の象徴】
今日もまた命貰ひて息白し NHK写真俳句特賞
 白息または息白しは冬の季語。掲句はNHKの写真と俳句のコラボレーションで特賞を貰ったものだ。よほどの重病か高齢者かと思ったと見えて、担当が電話をかけてきて「ご体調はいかがでしょうか」と聞くから、「いやぴんぴんしてますよ。高齢になったと仮定して作りました」と応えると、がっかりしたような口調であった。まだまだ死んでたまるかだ。白息は高齢者より子供が似合う。同じテーマで何度入選したことか。
白息を吐きてもの言ふ使ひの子 毎日俳壇1席
白息を吾に届けに子の走る  日経俳談入選

◎安倍の訪露外交は中露分断に不可欠

saww.jpg

◎安倍の訪露外交は中露分断に不可欠
  オバマの言うことばかり聞くことはない
 外相・岸田文男がカンカンになって怒っている。中国外相・王毅が電話会談にも応じないからだ。この事態が象徴するのは2014年の首相・安倍晋三と中国国家主席・習近平との会談以来徐々に良好になっていた日中関係が冷却化しつつあることを物語っている。原因は慰安婦問題解決で日韓が急接近。さらに北朝鮮の核・ミサイル実験で極東安全保障情勢は米国を中心に日米韓が結束し、中朝にあたる図式が鮮明化してきたことにある。韓国内のメデイアではこれを「日米韓対中朝露」の構図ととらえる見方が強いが、日本から見ると間違っている。韓国は安倍とプーチンの関係を知らないからだ。安倍は領土問題もさることながら、プーチンとの会談で中露分断に比重を置く必要に迫られることになった。24日付読売のスクープによると、安倍がオバマの日露会談中止要請を突っぱねたといわれるのは大局的に見れば正しい。独自外交でも極東の安全に資すれば良いのだ。
 とにかく中国は自分に都合が悪いと、他国首脳との接触は電話にも出ないという国柄らしい。安倍が習近平と電話会談しようとしても応じないし、岸田が王毅に電話しても出てこない。言うまでもなく北の暴挙を安倍や岸田が指摘しても、返答に困るからだ。ただオバマや朴槿恵の電話には応じており、小憎らしい対応だ。中国の北寄りの構えは、基本的には1961年に締結された軍事条約・中朝友好協力条約にある。北が攻撃を受ければ中国は自動介入する軍事同盟だ。ロシアと北は親善条約はあるが軍事同盟ではない。この基本的関係を中国は未来永劫(えいごう)変えることはないと見るべきだろう。
 なぜなら北は米国に対する防波堤であるからだ。したがって北の政権はどのような愚者がなろうとも維持せざるを得ないのだ。北と中国の貿易は総額で55億ドルに達しており、北の貿易総額の90%以上を占めている。世界がたとえ石油の禁輸措置を取っても、丹東の石油基地から鴨緑江の地下を通るパイプラインを通じて中国産原油がどんどん入っているから無駄だ。米国が原油の禁輸をしようとしても、まさにだだ漏れで効果がない。もっと悪いことには、北のミサイルも核開発も中国が技術を小出しに出して、あおっているといわれることだ。まさに確信犯であり、米国主導の制裁に中国が賛成するわけがないゆえんである。
 その中国が、恐怖で顔が引きつったのが韓国による終末高高度防衛システム(THAAD)導入検討である。THAADは超高性能レーダーと迎撃システムを合致させたもので北の中短距離ミサイル防衛に役立たせるためのものだ。米国の度重なる要請に朴槿恵はこれまで迷いに迷っていたが、核実験とこれに次ぐミサイル実験でやっと導入に前向きとなった。THAADのレーダーは北朝鮮どころか中国の奥座敷まで見通せる能力があり、導入されたら朝鮮半島しいては極東の安全保障の構図に決定的とも言える有利さをもたらすからだ。中国は慌てふためいて韓国大使を呼びつけ抗議した。中国は、東シナ海だろうが南シナ海だろうが自分はどんどん軍事的進出を繰り返し、周辺国の痛みなどどこ吹く風としてきたが、THAADで初めて人の痛みを知ったかのようである。またTHAADは防衛的色彩の高い兵器であり、文句があるならミサイルを設置しなければ良い。
 こうして、米韓の安保の構図は強化される流れとなった。また慰安婦問題の前進は、日韓関係に根本的な好影響をもたらした。韓国は日本との軍事情報包括保護協定にも前向きになってきている。既に日米関係は安保関係法の成立で一段と良好なものとなっており、極東の安全保障地図は日米韓による対北、対中抑止強化の流れとなってきたのである。中国の対日冷却化の動きは、これに何とか棹さしたい気持ちの表れと見るべきである。とかく割れやすい日本の世論分断も狙っているのだろう。中国は昨年9月の軍事パレード以来、ロシアとの関係改善に重点を置いており、習近平には韓国のメディアが見るようにできれば中朝露で日米韓に対抗したい気持ちがあるのだろう。
 しかし中露は長い国境を接しており、基本的には対立を常に内包している。そう簡単には仲良くなる国同士ではないのだ。ここで役立つのがプーチンと度重なる会談で個人的にも良好な関係を築いてきた安倍が、5月連休にもソチで会談する流れとなっていることだ。もちろん領土問題が主要議題になるが、重要なのはロシアを極東で中朝側に追いやらないことだ。読売によるとオバマは2月9日の安倍との電話会談で、安倍の訪露に懸念を示したと言われる。理由はウクライナ紛争の停戦をきめたミンスク合意をロシアに履行させるため、共同歩調で追い込む必要があるというのだ。しかし安倍は「日本にとってはロシアとの平和条約も大事だ。ロシアと対話を続けていくべきだ」と突っぱねたという。オバマには中東重視の余り極東情勢への観点がかけている。安倍は中露接近にくさびを打ち込めば良いのである。領土問題が一歩でも半歩でも前進すれば、極東情勢の安定には寄与する。さらに日露首脳が朝鮮半島の平和維持の必用と半島の非核化で合意すれば、結果は米国の戦略にもつながることである。なにもオバマの言うことだけを聞くのが日本外交のすべてではない。日本がウクライナより極東を優先するのは当然だ。別に安倍はロシアを経済援助して、息を吹き返さそうとしているのではない。ドイツ首相のメルケルが対露外交で独自色を出し勝ちだが、日本も時には堂々と独自色を出すべきだ。弱虫オバマも同盟国にばかりに要求しないで、やるべき事をやらねばならない。

 


◎俳談

◎俳談
【梅が咲いた】          
 庭に紅梅と白梅がある。雪で気になって外に出た。白梅はちらほらとほころび始めていた。紅梅も蕾がいっぱいついていた。例年通り白梅が咲き、これを紅梅が追いかける。小鳥がその蜜を吸いに来る。そして春らんまんとなる。白梅の花粉を紅梅に着けてやると梅の実が鈴なりとなる。
青梅の丸薬ほどを見に庭へ  産経俳壇1席
芭蕉に
五月雨に鳰(にお=かいつぶり)の浮巣を見にゆかん
があるが、これをイメージした。「何かを見に行く」のパターンは俳句になる。
探梅の小川の橋のありしまま 産経俳壇入選

◎野党の安保廃止闘争は「亡国」の戦い

DSC_1132k.jpg

◎野党の安保廃止闘争は「亡国」の戦い
  与党は安保論争再燃でダブル選に持ち込め
 「国民連合政府」を「横に置く」とはよく言った。恐らく共産党委員長・志位和夫は徹夜で考えたに違いない。民主党内の反対を考慮して、事実上の「棚上げ」または「断念」を「横に置く」と格好づけたのだ。政策は棚上げにして何が何でも「あの夢」よもう一度ということらしい。あの夢とは国政選挙の前に去年の夏国会前で10万人を集めて安保法制反対のシュプレヒコールをとどろかせた大衆動員だ。志位はあれに興奮したのだ。61歳の志位は安保反対闘争を全く知らないから、興奮するのも無理はない。しかし安保闘争に見られた革命前夜を思わすムードなどさらさら今の大衆運動にはない。共産党の狙いはそば屋でトロのにぎりを求めるが如しだ。虚構を追っているのだ。
 しかし志位には横に置かないものがある。それは参院選で共産党候補を、ひき降ろして、民主党に候補を絞るという戦術だ。2009年の総選挙で民主党に308議席を取らせる原動力の1つとなった「候補者降ろし」を参院選でも展開して、にっくき安倍政権を窮地に陥らせようというわけだ。主義主張の異なる政党が手を組むことを野合と言うが、まさにその路線を臆面もなく進んでいる。おまけに選挙運動を進めている自党の候補をひきづり降ろすのだから、ヒトラーもびっくりの全体主義路線だ。民主主義政党は国民と政治をつなぐ組織であり、選挙において候補を当選させることが大きな使命だ。ところが共産党は地方支部の意向などあってなきが如し。党首の思惑でどうにでも出来るのだ。個人のすべては全体に従属する全体主義政党であり、末恐ろしさを感ずる政党でもある。
 赤旗を読んでいれば分かるが、今最大の狙いは「若者を組織化して誘導する」動きだ。18歳選挙権実施を目当てにナイーブな高校生らを誘導して、野党票に結びつけようとしている。生き馬の目を抜くような動きであり、このところ選挙などどこ吹く風と、だれまくっている自民党など足元にも及ばぬすばしっこさだ。近ごろ力を入れているのは戦争法に反対する高校生グループ「T.nsSOWL(ティーンズ・ソウル)」への肩入れだ。しんぶん赤旗でデモを大々的に取り上げ、コラム「きょうの潮流」では「全国いっせいに立ち上がった高校生。日本の政治に春を呼ぶデモです」と扇動している。これでは純粋な高校生まで共産主義イデオロギーの毒牙にかかりそうで心配である。新有権者への働きかけを自民党は根本から見直した方が良い。もともとネトウヨなど保守化が強いのが若者の傾向である。“毒牙排除”へと動くべきだ。
 野党5党の結集は「国民連合政府」の挫折で、空中分解するかと言えばそうでもない。むしろ「野合路線」が強まった。憲法観が異なろうが、消費税で食い違おうが、なりふり構わぬ参院選挙共闘を推し進めようとしている。言ってみれば志位は押しかけ女房のように民主党代表・岡田克也にすり寄って、ぎょろ目の岡田を秋波でしびれさせている。その背後には遣り手婆さんのごとき小沢一郎がいる。これもなりふり構わぬどころか、ふんどしをしめて土俵に上がりたがっているのだ。こうして野党5党の選挙協力路線がまがりなりにも出来上がりつつある。
 加えて野党は、志位の夢の通り国会前に10万人集めるために、2段階で安保法破棄に動く。野党5党が足並みをそろえた安保法廃止法案で、まず集団的自衛権の限定行使を撤回。そのうえで、民主、維新による現行憲法の枠内で自衛隊活動を拡充する法制の二段構えの対応だ。ここでも自民党は「審議に応じないから廃案になる」と楽観視しているが、もともと野党は成立など考えてもいない。狙いは院外闘争、選挙闘争にあることに着目しなければなるまい。
 それにつけてもはっきり言って野党は「亡国の戦い」を恥ずかしげもなく実行に移すものである。極東情勢に目を向けるがいい。北朝鮮による原爆とミサイル実験は安保法制の正しさをまさに立証している。野党が主張し、プラカードを圧倒的に占めた「徴兵制反対」と「戦争法案反対」のプロパガンダは、成立後半年を経た今でも成り立つだろうか。政府部内を見渡してもその兆候どころか気配すら見えないではないか。逆に北朝鮮の「必殺刈り上げ頭」の思考は危険極まりない。夏の国会で焦点となった日本のイージス艦がアメリカに飛ぶ北のミサイルを迎撃できる場所にいながら、迎撃せずに見送った場合どうなるか分かっているのか。米国は日本に裏切られたとして、東京、大阪に向かう北の核ミサイルを迎撃することを躊躇するかもしれない。躊躇は核攻撃の場合致命的である。まさに安保法は極東の安全保障の要であり、これを廃案に導く法案は、国家の安全保障の基本を知らない「国賊法案」に他ならないのだ。その抑止性が重要なのであり、「徴兵制」「戦争法案」のプロパガンダは当初から破たんしていたのだ。
 政府・自民党は野党法案の審議に入らないのは良いにしても、予算委などの議論を通じて正々堂々と「安保論争」を展開して、その是非を国民に問うべきであろう。支持率が高いからと言って油断すると、足元から崩されるのだ。選挙でも「北のミサイルが飛んできてもいいのか」を問えば良い。こうみてくると与党は野党の選挙協力と安保法案を逆手にとって、国民の支持を得る絶好の機会が到来したと言える。ダブル選挙のチャンスである。
 公明党代表・山口那津男が依然「衆院選も一緒にあるのではという人がいるが、この参院選にしっかり臨み、政治を安定させるのが本命だ」などと慎重論を述べているが、事態を正確に掌握していない。参院選単独では野党共闘で自民党苦戦が必至なのである。ダブルにすれば参院32小選挙区のかなりの部分で野党共闘が成立しても、衆院295の選挙区では共闘にねじれが生じて野党が不利になるのだ。結果的に衆参で自民が勝つ構図が山口には読めないのだ。創価学会幹部の中で今年に入って「どっちみち年内に2度国政選挙をやるなら、一回で終わらせる方が手間暇かからない」という見方が強くなっていることを山口は知らないのだろうか。学会から干され始めたのかと思いたくなる。

 


◎俳談

◎俳談
【替え玉追加】 
 福岡支社勤務で長浜ラーメンの味を覚えた。
元祖長浜ラーメンは外に客の姿が現れると、麺をさっと湯に入れる。客が店に入ると固めかフツーかを聞く。だから瞬時に出来上がる。替え玉を頼むとこれもすぐできる。なぜ早いかというと麺が極めて細いからだ。だから固めを注文したらさっさと食べないと、固めの麺がフツーになってしまうのだ。福岡では紅ショウガをたくさん入れてラーメンを真っ赤にして食べている人が多かった。真似るとこれがやみつきになる。
 近所にどこかにうまい長浜ラーメン屋がないかと思っていたが、最近町田に結構うまい長浜ラーメン屋を発見した。週に一度は食べに行く。500円+電車賃往復360円だから結構高いが、もう中毒だから、食べないと禁断症状が出る。しかし年だからラーメン二原則を忠実に守っている。一つは替え玉を追加しないこと。もう一つはスープを吸わないこと。これを守っているから血液検査値も悪化しない。もっとも豚骨スープの白濁は骨のゼラチンなどが溶け出したもので、本来それほど脂ぎってはいない。近ごろ長浜ラーメンと博多ラーメンの区別が付かなくなっている。昔は豚骨スープが長浜で、博多ラーメンは「博多水炊き」のあとのスープで作るものと決まっていた。したがって鳥のスープだ。ああまた食べたくなった。
替え玉を固めと追加春隣 東京俳壇入選
春隣だから替え玉を追加する決心をした。

◎テロでもクーデターでも半島は一触即発

◎テロでもクーデターでも半島は一触即発

狂気の「処刑人」に日本も警戒態勢を              

 0428ww.jpg

 漏れた瞬間にぶち壊されるのが全体主義国家のクーデター計画だから、例え真実であったにしても現在ではもうつぶされているだろう。私の知る限り北朝鮮でのクーデター説が最初に公に流れたのが15日早朝の文化放送「おはよう寺ちゃん」だ。ここで経済評論家・上念司が「開城協業団地からの撤退を急いだのはクーデターの可能性が高まったからだ。韓国政府は危険を察知して一刻も早く脱出させた」と語った。次に掲載されたのが18日発売の週刊文春だ。同誌は日本政府関係者が、「韓国の情報機関が日本側に〈北朝鮮人民軍の一部に不穏な動きアリ〉との情報を伝えてきた」ことを明らかにした。政府関係者は「韓国側はなんらかの裏づけとなる情報をもとにクーデターの可能性もあり得ると判断している。開城工業団地には通常時で八百人もの韓国人が駐在しているが、不測の事態でこれら駐在員が人質となった場合、韓国政府は手も足も出ない。速やかに韓国国内に退避させるために操業中断という措置に踏み切った」と述べたという。
 確かにテレビで見る限り開城からの引き上げを前回と比べれば、前回は乗用車の屋根にまで物資を縛り付けて撤退したが、今回はそうしていなかった。けげんに思ったが、クーデター情報が慌ただしい撤退を強いた可能性は否定出来まい。しかし、ジョージ・ブッシュが名付けた「悪の枢軸国家」である北朝鮮では、48年の建国以来これはというクーデターは発生していない。むしろ韓国で多発している。なぜかと言えばすべてにおいて軍事を優先する北朝鮮独特の「先軍政治」にある。軍人は特権階級であり、とりわけ将校は一般民衆に比較して裕福な暮らしを享受できる。そして幼いときから国民は最高指導者を神格化させる徹底した洗脳教育を受けてきている。
 しかし、金日成、金正日までと比較して金正恩が常軌を逸脱した異質な人間であることがどう作用するかを考えれば、いつクーデターが発生してもおかしくないのではないか。北朝鮮の専門家によれば金正恩は経験不足から党幹部や軍幹部に対して強い引け目を感じており、これが100人を超えるという粛正に直結しているという。就任時に80㌔だった体重も、現在では130㌔にまで及んでいると言われる。この太り方が意味するところは精神疾患の可能性があり、それもそううつ病である可能性が高いという。その薬の副作用もあって肥満しているのだという。
  病んだ指導者による処刑執行は日常茶飯事であり、朝日によると46階建ての高層ツインタワーに喜んだ金正恩は「同じものを十数棟建てろ」と指示した。資材不足から難色を示した平壌市の建設担当書記は、直ちに処刑されたという。高級幹部らに「処刑してやろうか」と述べるなど、まさにその行動は狂気の全体主義者の特質をすべて兼ね備えている。北朝鮮軍のトップにあたる総参謀長の李永吉、李英鎬、武力相の玄永哲など軍幹部が次々に処刑されている。しかも玄永哲の場合は居眠りをしたという罪で高射砲を使っての公開処刑だ。この狂気の恐怖政治をとどまるところを知らぬ勢いで続けた場合、いくら先軍政治だからと言って、体制を維持出来るかと言う疑問は生ずる。
 一方で韓国政府は、金正恩が、韓国に対するテロやサイバーテロのために力を結集するよう指示し、対外工作機関が準備を進めているという情報があることを明らかにした。18日午前、韓国の国会で、与党のセヌリ党と、情報機関、国家情報院などの幹部との会議で政府側は「金正恩が①韓国に対するテロやサイバーテロの実施②韓国政府の関係者や脱北者、それに北朝鮮を批判する活動をしている人物の毒殺③地下鉄や大型の商業施設などの多くの人が集まる場所や電力や交通などのインフラ破壊ーなどを指示した」と説明した。韓国の諜報員は北の政府に食い込んでいるといわれ、もっぱら電波傍受が中心の日本の情報収集活動とは異なる。信ぴょう性はクーデター説よりこちらの方が高い。したがって開城“脱出”の指示も、韓国人がテロで人質になることを恐れたものという見方の方が理にかなうかもしれない。
 大がかりなテロが実行された場合、韓国は報復の攻撃を平壌に対して行う可能性が高く、事態は第2次朝鮮戦争の可能性すら内包していると見るべきであろう。クーデターが発生した場合も戦争に発展する可能性がある。なぜかと言えばクーデター発生と同時に中国が軍事介入する可能性があるからだ。中国としては何が何でも38度線より防衛線を後退させたくないのだが、その場合米韓は黙っていないだろう。まさに朝鮮半島は一触即発状態に入ったとみるべきだろう。対岸の火災視はできない。テロ国家の牙をむき出しにした北朝鮮が、日本でも在住の工作員を総動員してテロを巻き起こす可能性もある。政府は警戒レベルを上げなければなるまい。


◎俳談

◎俳談
 江ノ島水族館の海月(くらげ)は素晴らしい。海月専門の部屋があり、薄暗い雰囲気の中で深海の中にいるような気分になる。傑作なのは夏には同館にお泊りナイトツアーと言う企画があり、寝袋持ち込みで泊めてくれる。大水槽の前で寝るとまさに海底にいる異次元空間を体験できる。
 筆者は海月ルームで寝たが、異次元空間を通り越して冥土一歩手前の感覚に陥る。深い深い、生と死のあわい(あいだ)のような感覚に陥るのだ。あることを契機になぜか海月が見たくなって写真を撮って5年が経過した。レンズは85㍉、F1.4の明るいものが海月撮影にはぴったりだ。死の世界に近いものを描き出そうと思っている。
海峡の流れの速し海月過ぐ 東京俳壇入選

◎敵基地攻撃能力が最大の課題に

GW8C0008rr.jpg

◎敵基地攻撃能力が最大の課題に
 北の体制崩壊しか拉致解決の道はない
 中国国家主席・習近平は自国の「戦国策」に「賊に兵を貸し、盗に食をもたらす」ということわざがあることを知らないらしい。方法を誤って悪を助長させるたとえだ。北朝鮮という「夜盗国家」を増長させている原因はすべて中国にあることが、金正恩が核とミサイルを誇示する度に鮮明となっている。その北朝鮮が今度は制裁を科した日本への報復として、拉致問題の再調査中止と調査を担当する「特別調査委員会」の解体を表明した。もともと最初から筆者が指摘してきたとおり、「遺骨で資金調達」の国際的な大ばくちを打ったのが調査委であり、それがばれれば解体するしかあるまい。藁(わら)をもすがる気持ちで希望をつないだ被害者家族の苦衷は察するに余りがある。しかし残念ながら、もはや拉致問題は完全に行き詰まった。かくなる上は秘術を尽くして北の体制を崩壊に導くしか、解決の手段はないだろう。ヒトラーと酷似する独裁者・金正恩の極東支配の野望の芽を摘まなくして、すべての問題は解決しない。また座して死を待つべきではない。北の核基地をつぶす敵基地攻撃能力の保持に動くべきだ。
 筆者が拉致問題で指摘してきたレベルの話を、まさか政府が知らずに遂行するはずはない。北は金目当てであったのであり、拉致問題の解決は至難の業であることは誰でも承知している。安倍内閣も最大の課題の一つとしての看板をはずそうにも外せない構図があるが、しかしもう正直にその困難性を認めるべき時かも知れない。日本政府が認定した拉致被害者は17人。北朝鮮政府側は、このうち13人について、日本人拉致を公式に認めており、5人が日本に帰国しているが、残り12人については「8人死亡、4人は入境せず」と主張している。この8人死亡の意味するところは、特殊工作機関がその存在と工作の実態の漏洩を恐れて「抹殺」したのであろう。20代~30代の若さでガス中毒、交通事故、心臓麻痺、自殺など不審な死に方ばかりであり、これははっきり言って消されたのだ。「入境しない」とは日本海に沈めた事を意味すると思う。ここをしっかりと事実関係として受け止めて対処するしかない。拉致問題だけの進展を期待してももはや不可能となっているのだ。
 それではなぜ1年半前に北が調査委を設置したかと言えば、すべては資金調達だ。米兵の戦死者は8000人で、その遺骨1柱につき1万ドルから3万ドルを支払っているとされる。一方で北朝鮮にある日本人の遺骨は、厚生労働省によると2万1600柱ある。そのほとんどが戦争直後の混乱で死亡した人たちであるが、1柱3万ドルを日本からふんだくれば600億円となる計算だ。これにミニヒトラーが浅薄にも目をつけて、資金をせしめようと動いたのが調査委の実態だ。だから拉致被害者の調査などは、もともと行おうにも不可能であったのだ。
 100人もの軍人や党幹部をを粛正する異常なる独裁者に指導される国家に対抗するにはどうすべきかと言えば、既に書いたようにヒトラーをのさばらせたチェンバレンの融和策の愚を繰り返さないことだ。その融和路線排除を鮮明にさせたのが朴槿恵の16日の国会演説だ。朴は開城(ケソン)工業団地の操業を全面中断したことについて「我々が国際社会とともにとっていく措置の始まりに過ぎない」と述べ、北朝鮮に対しさらなる対抗措置を講じる考えを示した。その上で「北朝鮮政権が核開発では生存できず、むしろ体制崩壊を早めるだけだという事実を痛切に悟り、自ら変化するしかない環境を作るため、より強力で実効的な措置をとっていく」と強調した。これは核開発が体制を崩潰させることをを指摘しただけではなく、体制崩壊まで「強力で実効的な措置をとる」との意思表示でもある。これを裏付けるように時事通信によれば韓国政府当局者は17日、「北朝鮮が変わらなければ、体制が崩壊し、滅亡する可能性もある」と警告した。
 翻って日本政府は相変わらずの拉致・核・ミサイル一体処理の一点張りだ。しかしいまほど政府の「全員が生存しているとの前提で対処する」という言葉が空しく響くときはない。外相・岸田文男は「北から具体的な行動を引きだすために引き続き最大限努力する」と発言しているが、これも現実逃避のお座なりさが鼻につく。ここはまず国際世論を喚起して、金王朝を崩壊に導くしか解決策はないだろう。それには冒頭指摘したように「賊に兵を貸し、盗に食をもたらす」中国の戦略にくさびを打ち込むしかあるまい。「北を代理冷戦」に使うというさもしい中国のやり口は、金正恩をヒトラー並みに肥大化させることに考えが及ばない。恐らくミサイル技術も原爆製造技術も中国が小出しに漏らしている可能性が大きい。なぜなら北を対米防波堤に使うには、中国の代わりに北が核実験をやり、ミサイルを飛ばすことが何より効果を生じ、対米けん制になるからだ。中国は恥ずかしげもなく国連の制裁に消極的だが、例え最終的に賛成しても、北は中国との交易がある限り何の痛痒も感じないだろう。食料も物資もどんどん中国から入るからだ。
 首相・安倍晋三は賢明にも安保法制を実現して、北への抑止力を増強させた。今後は北の核基地攻撃能力も備えることが課題となる。政府は一時代前から北の基地への先制攻撃は可能と答弁している。鳩山一郎は1956年に「わが国に対して急迫不正の侵害が行われ、その侵害の手段としてわが国土に対し誘導弾等による攻撃が行われた場合、座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とは、どうしても考えられない。他に手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能である」と政府統一見解を出している。現在はその実行能力はない。しかし統合打撃戦闘機F-35が次期戦闘機に選定されたが、これに敵基地攻撃能力をつけることは可能だ。2013年の防衛力整備の基本方針「防衛計画の大綱」の中で、射程400キロから500キロの弾道ミサイルを開発すると明記しているが、敵基地攻撃には潜水艦に巡航ミサイル「トマホーク」を装備するのが効果的なのに、現在は搭載していない。とにかく相手は何をするか分からない独裁者だ。抑止的攻撃能力はいくらつけても足りないくらいだ。敵基地攻撃能力が今後最大の課題となろう。野党でも民主党の元国家戦略相・前原誠司はブログで「情報収集能力を向上させ、敵基地攻撃能力を日本独自である程度持つことも検討されるべきだと私は考える」と賛同しており、早期導入に向けて国会は是非の論議に入るべきだ。


◎俳談

◎俳談
【梟(ふくろう)】
 その昔、娯楽の少ない田舎では子供たちが梟の光る目玉を見に行く遊びがあったのだという。
梟の目玉みにゆく星の中 矢島渚男
楽しい田園の風物詩だ。
 梟は冬の季語。歳時記によると冬の夜に梟の声を聞くと凄惨な感じがするので冬の季語になっているという。それもそうだが昔から梟は民話の主役となった。道楽息子が神様から罰でとうとうフクロウにされてしまい、人目につく昼間は林の中に隠れて、夜も暗くなってから出歩くようになった。道楽息子をいじめていた子どもたちは、カラスになって、今でも、カラスは昼間にフクロウを見つけると、寄ってたかっていじめるのだそうだ。夜は無敵かと思われるフクロウだが、昼間は視力が弱いのか冴えず、多くの鳥からいじめの対象にされている。梟の俳句は冬の夜のいろり端(ばた)の民話じみた傾向がある。
梟の宵闇連れて舞ひ降りる  杉の子

◎領土交渉はプーチンの「地獄」が好機

feb.221_117.jpg

◎領土交渉はプーチンの「地獄」が好機   
 「ロシア危機」と正比例する「妥協」
 1991年のソ連邦崩壊、1998年のロシア危機の例を見れば明白なように、プーチンのアキレス腱は原油安である。今回はこれに米・欧・日本による経済制裁とルーブル安が加わりプーチンは三重苦のまっただ中にある。もはや「天才プーチン」はメッキが剥がれ、いくら背伸びをしてもGDP10位の国相応のリーダーに落ちぶれつつある。古来「隣りの不幸は鴨の味」というが、日本の場合北方領土があるからこの「隣りの不幸」のチャンスをを活用しない手はない。しかし大局を俯瞰した場合まだ「取引」には早いような気がする。またとないチャンスが到来しうるが、安倍は“親交”を重ねながらも、プーチンが「地獄」を見て譲歩に転ずる時を待つのが得策だろうと思われる。
 ロシアは去年6年ぶりにマイナス成長となった。今年も厳しい財政運営を迫られており、先に指摘したようにバレル50ドルを想定した国家予算は油価が30ドル前後へと暴落して成り立たなくなっている。プーチンが製造業の要と位置づけてきた自動車製造も、去年GMが工場閉鎖。販売台数は35%の減だ。原油のおかげで高い成長率を維持してきたプーチンは厳しい政権運営を迫られ青息吐息だ。物価高で国民の不満が高まる中、国の基金を取り崩して財政赤字を補てんし続けているが、外貨準備高は2005年に2.6兆ルーブル減少し、前年の半分以下となった。やがて底を突く可能性も否定出来ない。
 このプーチンの苦境の背景には米国とサウジアラビアの思惑が間違いなく存在する。原油安に導いて、ロシアをけん制して、弱体化を図ろうとしているのだ。過去においても原油安がソ連とロシアに大きく作用してきたことは史実から見ても明白だ。1991年のソ連邦崩壊は1990年に米国が原油価格の引き下げを主導したことが、ソ連の財政破たんの大きな原因となっている。1998年のロシア経済危機は、ロシアの輸出の8割を占める天然資源、なかでも原油価格が下落したことにより、国際収支が悪化し、それまでの財政の悪化にさらに拍車をかけた結果だ。ロシアはデフォルトに陥った。
 オバマが二度あることは三度あると、にっくきプーチンをおとしめる戦略に出たことは十分考えられることである。そしてこのロシアの苦境は領土問題へと発展する傾向を過去に示している。1世紀半前にやはりクリミア戦争で疲弊したロシアが米国にアラスカを売却した例があるし、北方領土問題でも例外ではない。ソ連崩壊後1992年にロシア外相・コズイレフが来日して提案したのが「歯舞、色丹の2島+α」である。当時ロシアはソ連崩壊後の後遺症に苦しんでおり、財政的にも日本の極東開発など経済支援は垂涎(すいぜん)の的であった。コズイレフ提案は①56年の日ソ共同宣言に基づき歯舞、色丹を日本に引き渡す②国後、択捉に関しては何らかの形で交渉を継続するーというものであった。この時は4島全面返還論の外務省が反対して日本は断った。
 一方で1998年には日本側から「川奈提案」がなされている。
 時の首相橋本龍太郎はエリツィンと川奈での首脳会談を行い、新たな提案をした。内容は①択捉島とウルップ島との間に両国の最終的な国境線を引く②日露政府間で合意するまでの当分の間、四島の現状を全く変えないで今のまま継続することに同意する③ロシアの施政を合法的なものと認める、という内容だ。この提案の注目点は56年宣言第9項にいう平和条約締結後の歯舞・色丹の返還を直ちに求めていない点だ。いわば返還前の沖縄の状態にまず北方領土を置くというものだ。日本が出来る最大限の妥協案を提案したということだ。
 歴史的に見てロシア側も日本側も妥協案を考えるときは「2島+α」の傾向を帯びることになるが、恐らく安倍も何らかの「2島+α」を考えているものとみられる。官邸は国家安全保障局長・谷内正太郎も同様の考えであるといわれている。しかし外務省当局は伝統的な、「がちがちの4島返還論」に徹しているようであり、安倍も手を焼いているといわれる。日本の首相でロシアの大統領と親交を結んでいる例は珍しく、今後4月の外相・岸田文雄と外相ラブロフの会談を経て、5月の首相訪欧の機会に保養地ソチで開かれる安倍・プーチン会談の展開が極めて興味深い。
 柔道家のプーチンは就任直後に審判の言う「始め!」と領土交渉を宣言、その後「私たちは何かしらの勝利を求めるべきではない。 この状況で受け入れられる妥協を求めていくべきだ。 それは“引き分け”のようなものである」と述べた。柔道の判定には「一本」「技有り」「有効」「効果」の4種類がある。安倍は「引き分け」よりせめて「効果」に持ち込みたいところであろうが、その可能性はロシアの窮状と正比例する。すべては5月までにプーチンが「地獄」を見ているかどうかにかかることだろうが、危機的状況にはまだ時間がかかるものとみられる。
 昨年9月の段階では岸田に対して外相ラブロフは「第2次大戦の結果、北方四島は戦勝国ソ連のものになった。敗戦国日本には、口を出す権利はない」という趣旨の論理を展開、強硬姿勢を崩さなかった。ラブロフは記者会見で、ウクライナ問題で日本が対ロ制裁に踏み切ったことが両国間の雰囲気を損ねたという考えを強調している。問題はロシアがこの強気の姿勢をいつまで続けられるかにある。もちろん安倍はこの間米国に手を貸して、米欧諸国と足並みを揃えて「プーチン追い込み」に加担すべきであることは言うまでもない。

 


◎俳談

◎俳談
【忙しいと遊びが楽しい】
 老の過ごし方は「忙しいと楽しい」の原則を守ることだ。それはどういうことかと言えば、必死になって何か“仕事”をすれば、その最中に「明日あれして遊ぼ、これして遊ぼ」という思いがめぐるということだ。筆者の場合深夜の原稿書きが自らに課した仕事で、きつい時には、その最中に「遊び」を脳裏に浮かべて、自らを慰める。だから人生には遊びが欠かせないのだ。人間「遊びせんとや生まれける」なのだ。 
 筆者の場合、遊びとは30年やっている超望遠カメラでの野鳥撮影だ。とりわけ近ごろは、カメラが進歩して飛んでいる野鳥を撮影できる。野鳥にレンズの焦点が合うと食いついて離さないのだ。接近しようと離れていこうと焦点が合い続けるのだ。飛ぶ鳥を見事に“射止めた”時ほど、スカッとすることはない。
トレーラー降りしは女黄鶺鴒(きせきれい) 俳句朝日入選
 翡翠(かわせみ)の写真を撮っていたら、公園で工事のトレーラーの運転席からGパン姿の目の覚めるような美女が降りてきた。カメラを向ける勇気はなかったが、びっくりして一句作った。

◎消費税延期へ内堀まで埋まってきた

GW8C0008rr.jpg

◎消費税延期へ内堀まで埋まってきた
   安倍側近らが一斉に延期に傾斜
 もはや消費税先送りへの外堀は埋まった。内堀も埋まりつつある。流れは筆者が新年4日に誰よりも先駆けて予想したとおり「消費税先送り、ダブル選挙」へ一段と加速しているかのように見える。問題は首相・安倍晋三が「17年の10%への増税はリーマンショックのような事態が生じない限り延期しない」と言いきっていることだ。しかし、これは経済の現状にどこから光を当てるかで変わる。政治的には「消費税先送り、ダブル選挙」を実現するために、「今がリーマンショックのような事態」と得意の側近学者を使った“理論武装”をすれば済むことだ。このところの東証急反発などはテクニカルな反発に過ぎず、中国経済の落ち込みと原油安の構造的株価押し下げ要因に変化はない。
 外堀が埋まったとはどういうことかと言えば、外部から延期論が出ていることだ。まずマスコミでは「安倍ちゃん命で深情け」の産経が「安倍晋三内閣はきっぱりと来年4月からの消費税再増税中止を宣言し、GDP600兆円早期実現への道筋を示すべきだ。」と報じたのが皮切りだ。最近では証券市場に波及し急速に消費増税の先送り論が台頭してきている。「上げられない」という見方が“常識”となってきているのだ。株価の大暴落を目の辺りにして、マーケットでは「株価の暴落はリーマンショック級とみてもおかしくない。だから先送りしかない」(証券会社幹部)との見方が強まっているのだ。
 内堀とは何かと言えば15年の消費税アップの時と同様に、側近から凍結論が出始めていることだ。「あのときと同じ手口」を使っているのだ。安倍側近の内閣官房副長官・萩生田光一がテレビで「リーマンショック並みの事態になれば延期は否定出来ない」と述べれば、内閣官房参与の本田悦朗が16日付朝日に「来年四月の消費税率10%への引き上げを凍結すべきだ。これこそ最大の景気対策となる」と明言した。この断言は大きな意味を持つ。マイナス金利の黒田パズーカが線香花火となった以上、アベノミクスを成功させるためには、凍結は確かに最大の景気対策になる。「黒田パズーカ」よりも「安倍弾道弾ミサイル」の方が効き目があることは確かだ。
 問題はこれらの発言を安倍が指示して言わせているのかどうかだ。いくら側近とはいえ首相の了解なしに発言するわけはないと思うのだが、そこは魚心と水心でツーカーの発言だろう。ただし意外性がなければ効果は半減だから、安倍は当分「リーマンショックがなければやらない」という路線を死守するふりをするだろう。来年度予算案が通らなければ政策の大転換はやりにくい。考えてもみるが良い。増税凍結をやらないで来年4月から予定通り実施する選択とはどういうことかとあえて言えば、アベノミクスの自滅に他ならない。とてもバブルの崩壊がもたらした中国の景気の失速は早期に回復する可能性はない。相手国があるためただ一つ信頼できる貿易統計は1月も14%の落ち込みだ。7.9%と発表したGDPは事実上マイナスであったとの見方もでている。消費増税を「実施できるよう景気を回復させる」(財務省・麻生太郎)などという発言は希望的観測に過ぎなくなりつつある。内閣の看板政策であるアベノミクスを自滅に追い込んでまで、財務省の言うとおりの施策を推進すれば、そこには官僚主義があって政治がない。
 逆に凍結すれば、どうなるかだがまず選挙対策にはもってこいだ。消費の落ち込みは去年4月の増税がいまだに尾を引いているが、このままだと来年の増税でさらに落ち込むだろう。底なしの悪循環に陥る恐れがあり、大企業の活況や失業率にも影を落とすことは間違いない。
逆に凍結すれば、国民の喝采を受けることは必至であり、国政選挙にも好影響を来す。企業の好調は税収を拡大させ、増税凍結を相殺する。アベノミクスは好調を維持出来るだろう。アベノミクスを維持さえ出来れば国政選挙は圧勝間違いない。
 いまテレビで朝から晩までやっているのが、自民党議員や閣僚のゴミネタをさも大げさな問題であるかのごとく取り上げる「安倍貶(おとし)め報道」のやり方だ。議員辞職する不倫の宮崎謙介は度し難いが、沖縄担当相・島尻安伊子の歯舞を「歯。えー、何だっけ」くらいを、悪意を持って大げさに取り上げる話か。環境相・丸川珠代が追加被曝(ひばく)線量の長期目標として示している年間1ミリシーベルトについて、「何の 科学的根拠もない」と発言したのは逆によく言ったと思う。1ミリシーベルトは民主党政権が朝日などの“圧力”を受けて除染の長期目標として採算度外視で決めたものであり、ポピュリズムの極みの政策に他ならない。総務相・高市早苗の「電波停止」発言も、反安倍政権一色の民放の報道ぶりを見れば放送法違反すれすれであり無理もない。民主党政権下でも同様の閣僚発言があったのを忘れたかと言いたい。
 こうした傾向は、すきを見せない長期政権に対して主に民放など一部マスコミが「嫌がらせ」のように展開する報道のやり方だ。まるで佐藤内閣のころにマスコミが実態の乏しい黒い霧ムードの醸成に専念したことと酷似している。佐藤はついに怒って「黒い霧解散」をぶちかまして、血路を開いた。国民は賢明であり、安倍内閣支持率は朝日の最新調査ですら40%で横ばいだ。サミット前の外交や重要法案処理をつぶすことになる4月の解散などは荒唐無稽(むけい)だが、夏にダブル選挙をやれば、安倍長期政権は確定する。 


本日休載

本日は都合により休載。再開は16日から。

◎俳談

◎俳談
【雪の明日】
春雪の湯気たてながら乾きけり   毎日俳談入選
 関東地方の春の雪は、すぐ乾く。「雪の明日は乞食の洗濯」というように、だいたいがピーカンの晴となる。絶好な洗濯日和で、着かえる衣類がない昔の乞食が洗濯に励むというのだが、掲句はとけやすい春の雪の特徴を詠んだ。
春雪(しゅんせつ)は春の季語。別に淡雪(あわゆき)、沫雪(あわゆき)、牡丹雪(ぼたんゆき)なども春の季語だ。
 雪とはいえ、表日本の春の雪は総じて晴れやかな感じである。
春の雪波の如くに塀をこゆ   高野素十
風に吹かれて雪が「波のように塀を越える」とはよく言ったものだ。観察力のたまものだ。細見綾子は
春の雪青菜をゆでてゐたる間も
と詠んだ。まさに台所俳句だ。
春雪のやめば日差しの燦燦(さんさん)と  杉の子

◎中国の対北融和策がもたらす極東の危機

feb.221_27.jpg

◎中国の対北融和策がもたらす極東の危機
 北を「米中代理冷戦」の急先鋒として活用
  テレビで北朝鮮専門家が「ニューヨーク、ワシントンが危険にさらされることが現実のものとなった。米国の核の傘は破れ傘になった」と最大級の「誤報」をしていたが、冷静に状況を見た方が良い。北が核ミサイルを戦略兵器に成長させる再突入技術確立までには、まだ年月がかかる。問題は確定的に第1書記・金正恩が過去に登場した狂気の独裁者の兆候を示していることである。「金正恩の行動が読めない」と述べる専門家や外交官が多いが、世界制覇の妄想に取りつかれたヒトラーやスターリンに思考をめぐらすべきだ。とりわけ側近を次々に粛正する残虐性はスターリンに、誇大妄想性はヒトラーと類似している。誇大妄想性とはヒトラーの世界制覇の野望のごとく、核ミサイル技術を確立して、朝鮮半島を制覇し、自らの手に極東の覇権を握ろうとする1点に絞られる。こうした独裁者に対処するために人類が得た教訓は「融和政策」では台頭を抑えられないということだ。
 チャーチルは著書「第2次大戦回顧録」の中で、「大戦は防ぐことが出来た。融和策でなく、早い段階でヒトラーをたたきつぶしていれば、その後のホロコーストはなかった」と述べ、首相・チェンバレンによる融和策を批判している。ヒトラーは、ヴェルサイユ条約を一方的に破棄して再軍備と徴兵制の復活を発表、ラインラント進駐、オーストリアの併合を経て、チェコスロバキアの要衝ズデーテン地方を要求するに到った。イギリス・フランス・ドイツ・イタリア4カ国の首脳会議がミュンヘンで行われたが、ここでチェンバレンは、平和主義のためと、戦争準備の不足からドイツの要求をのんだ。この融和主義がヒトラーを増長させて、世紀の化け物にまで成長させたのだ。
 一方金正恩は手法こそ違えそのやり口は酷似している。まだ領土こそ拡張しようとしないが、領土拡張の代わりに、ごうごうたる世界の世論を無視して、核実験とミサイル実験を繰り返し、その軍国主義独裁路線はとどまるところを知らない。目指すところは簡単だ、北による朝鮮半島の統一だ。そのシナリオはワシントン、ニューヨークに届く大陸間弾道ミサイル(ICBM)を完成させ、核によるどう喝で米国を屈服させ、自らの力によって朝鮮半島の統一を実現する。核戦争で米国が負けるという妄想の上に、米国を手出しが出来ないようにして、韓国を併合するというものだ。
 このために北は弾道ミサイル技術を磨き、その実現の核となる大気圏再突入のノウハウを実現しようとしているのが現状だ。現在宇宙空間で地球を周回している人工衛星めいた物体はその第一段階である。現在の北の技術では再突入させれば核弾頭は燃え尽きて実用にならないと見られており、米東海岸の都市を狙うには再突入させる誘導技術も不可欠だ。愚かなのは米国が発射を手をこまねいて見ているわけがないことに金正恩の考えが到らないことだ。米国は事前の発射基地攻撃はもとより、発射された場合は第一撃をかわして、北には核兵器による報復が行われ、国家が消滅することを理解していない。
 こうしたいわば狂気の金正恩路線を抑制するために、最大の障害となっているのが、中国の融和政策である。北が度重なる国連の制裁にもかかわらず、依然核の火遊びに専念できるのは、制裁の裏で石油だろうが食物だろうが国境の鴨緑江にかかる唯一の鉄橋から、“横流し”が白昼堂々と行われているからだ。物資を運ぶ貨物列車やトラックがひっきりなしに行き来しており、北は痛痒を感じないケースがほとんどだった。近くこの橋がもう一つ完成する。中国南東部丹東から鴨緑江を渡るもので、物資の交流はますます増大傾向をたどる。
 今回も中国は北への制裁に極めて慎重である。核実験に対する国連の制裁ですら一か月たっても何ら進展しない。米国連大使パワーが「国際社会の強力な対応がなければ、北朝鮮は今後緊張を高め続ける一方だ」「中国は強力で前例のない措置を国連が採択する必用を理解すべきだ」と中国を非難するのも無理はない。最大のネックは中国の極東戦略にある。中国はいわば北を極東における「米中代理冷戦」の急先鋒として“活用”しようとしているのだ。朝鮮半島を軸に対峙する日米韓3国への緩衝材として利用するという姿勢であろう。中国は38度線における対峙が鴨緑江にまで後退して米国との直接対峙になることを戦略上何としてでも回避したいのである。また北への物資をストップさせれば、北が暴発して第2次朝鮮戦争へと発展することへの危惧もある。北のミサイルが北京や上海に向かわない限り、代理冷戦がなり立つのである。
 しかしこの姿勢は極東全体を見ればすぐに破たんする。前述したように金正恩は北の手で朝鮮半島を統一し、核ミサイルのどう喝により極東の覇権を握りたいのである。したがって核ミサイル完成の暁には、中国も当然どう喝の対象に含まれるのだ。中国がチェンバレンのような融和政策をとり続ければ、刈り上げ頭の独裁者は間違いなく増長して、ヒットラーやスターリンを掛け合わせたような化け物に成長する。
要するに国際社会は金正恩をテロリストに対するのと同様の対応をしなければ、独裁者の思い上がりを食い止めることが難しいのだ。したがって中国が検討しているといわれる独自制裁もどの程度効力があるか疑わしい。
 さらに中国にとって重要な外交上の失策は、北のミサイル発射が、韓国を日米側に追いやったことだ。中国が反対して、朴槿恵が導入を躊躇していた米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「終末高高度防衛ミサイル(THAAD)」の導入を韓国政府が発表したからだ。中国政府の慌てぶりは、直ちに韓国の駐中国大使を呼び出し抗議したことからもうかがえる。核実験とミサイル発射は日本国内の安保法制反対論者の顔色をなからしめた。法制実現に当たって、首相・安倍晋三が集団的自衛権を行使して米国領土に向かうミサイル撃墜の役割を担う必用を強調した路線の正しさが立証されたからだ。野党は安保法制反対をぶり返そうとしているが、極東の実態を見て見ない振りをしても国民の賛同はますます得られなくなるだろう。


◎俳談

 ◎俳談
【孤独を詠む】
囀(さえずり)を聴きて一人と気付くかな 毎日俳壇入選
孤独を詠むのは老人の特権だ。老人というのは時間が余る。時間が余るから孤独を感ずるひまがある。筆者のように自分で勝手に仕事を作って、勝手に忙しがっている者はまれだろう。その急がしがっている筆者ですら孤独を感ずるのだから、フツーの老人はもっと孤独だろう。そして孤独と気付くときはどんなときかと言えば、様々なる事象を共感する人がいないと気付いたときであろう。「小鳥が鳴いてるよ」と伝える相手がいないときだ。そして、せっかく孤独感が生じたのだから俳句にしなければ損だとばかりに俳句にする。転んでもただ起きないのが孤独な俳句老人なのだ。
烏瓜見つけ一人と気付きたり 産経俳壇入選
何でも一人と気付いてしまうのだ。そして俳句にしてしまうのだ。だから孤独はありがたい。材料をくれるからだ。
孤独を詠んだ名句は尾崎放哉の
こんなよい月をひとりで見て寝る
せきをしてもひとり
ころりと横になる今日が終って居る
いずれも深い孤独を詠んで秀逸だ。

◎キャスター降板は時代の風潮を反映

0428ww.jpg

◎キャスター降板は時代の風潮を反映
  NHK会長は一刻も早く辞任せよ
 「今日夕方、帰りにでも日刊ゲンダイでも読んでみてください。これがメデイアが萎縮している姿ですか」と首相・安倍晋三が衆院予算委で名指ししたので、ゲンダイを読んでみた。あるある。巻頭特集で「詭弁と居直りに拍手!? 喜劇的な安倍政権の高支持率」と見出しを取って「各社の世論調査の結果は、この国の倒錯ぶりを浮き彫りにしている」となんと安倍内閣の高支持率にまで噛みついている。安倍は午前の委員会での答弁だから、当然ゲンダイを読んでいないが、予測は的中した。世論調査の結果がけしからんと書くノーテンキなメディアは世界的にもまれだが、ネットでも購読できる。読めば反安倍の急先鋒の実態とレベルが分かる。それにつけても安倍はゲンダイにまで目を通しているとは恐れ入った。
 安倍は「毎晩の放送を見てもらえれば分かる」とも答弁したので、報道ステーションを見て見た。これも的中した。毎日が書いた「遠藤五輪相に予算化要請、創業者が献金」を取り上げている。古館伊知郎のコメントは「我々としても相当検討しましたが法律上何ら抵触していないことで問題はないというのが現在の見方」と毎日報道を一応否定した。ところがその後がふるっている。「ぷんぷんにおうのも正直なところです」と付け加えたのだ。「ぷんぷんにおう」というのは、「疑惑が大いにある」と言っているのと同じであり、放送法で定められている公正な報道を抽象的な表現ですれすれのところでかいくぐり、安倍政権に一発食らわせている。巧妙さというか悪賢さが習い性となったコメントだ。
 ステーションは最近、映像でも極めて巧みな反安倍姿勢を貫いている。3日の予算委初日は全部見たが、波乱はほとんどなく平穏そのものであった。ところがステーションの映像編集にかかると民主党の追及で予算委が緊迫している場面になるのだ。これも巧妙に世の中を左に誘導する映像編集技術と言うしかない。質問者の民主党・階猛は「言論機関が権力者の意向を忖度(そんたく)し、権力者への批判を控えるようになるのではないか。現に今も安倍政権に批判的なテレビキャスターやコメンテーターが次々と番組を降板している。民主主義の健全な発展にもマイナスだ」と指摘した。
 たしかに古館、NHKクローズアップゲンダイの国谷裕子、TBS系の報道番組「NEWS23」のアンカー・岸井成格などが次々と降板する。自民党内でこれらのキャスターへの批判が強いのは確かであり、自民党からNHKや民放幹部への「偏向報道批判」の指摘もたびたび行われている。筆者は後でも触れるがこれらのキャスターは「左傾化」の傾向が強いと見る。とりわけ安保法制や安倍の会見発言などをめぐっての批判がキャスターやコメンテーターらから出されるが、民主党ばかりか共産党の主張や論理をそのまま踏襲しているケースが多い。
 さらに粗暴なまでの政見批判を繰り返すのがTBSの日曜早朝番組「時事放談」だ。総じてTBSの報道姿勢を反映してか、常連は反安倍のバリバリを用意している。藤井裕久、武村正義といった爺さんたちが、理路整然と間違って、床屋談義並みの「爺放談」を展開している。一番ひどいのが「婆放談」の経済評論家・浜矩子だ。概して経済評論家の予想は当たったためしがないが、浜はことごとく外れている。2011年に「2011年は1ドル50円時代が到来する」と予測し、『1ドル50円時代を生き抜く日本経済』を出版した。また、2012年1月にも「2012年は1ドル50円時代が到来する」と予測していたが、2016年になるのに実現していない。2014年1月に年末の日経平均株価が1万円を割ると予測したが実現せず、15年末にも「1万円を割る」と断言。新年は株価急落を番組で「ざまあみろ」と相変わらずのゲスの極みの暴言を繰り返している。この「ざまあみろ」発言はTBS関係者によると1万円割れ予想で視聴者から批判が強かったことの裏返しだとのことだ。しかし1万円割れにはほど遠い。アベノミクスを「アホノミクス」とこき下ろし、視聴者の笑いを取ることには長けているが、こんなレベルの評論家をおだて上げてしゃべらせるのが司会の御厨貴。最近はワンパターンでマンネリ化している。「間違ってもいいから批判してくれ」というのがTBSの報道姿勢なのだそうだが、素朴な視聴者が浜のような評論家の話をうのみにして、株を売り買いしているというところに考えが及ばないのだろうか。
 階猛は質問で「萎縮の事例を申し上げる。NHK会長の籾井勝人が『政府が右と言うことを左とは言えない』と発言している」と例に挙げた。しかし、この籾井の発言は報道への知識ゼロからくる「自粛」であり、態度の横柄さは萎縮とはほど遠い。報道機関の出身者なら口が裂けても言わない言葉だ。国会答弁からみても、就任以来発生しているNHKの様々なスキャンダルからみても、籾井は知性も知識も乏しく、世界的にもまれな大報道機関を指揮できる器ではない。階が籾井に面と向かって「あなたには資質がない。やめた方がいい」と発言したが、こればかりは共感を呼ぶものがあった。自民党内の空気も辞任させるしかないというムードが強い。安倍は一刻も早く会長人事に取り組むべきだ。
 委員会質疑を見て、時の政権とマスコミの関係とりわけNHKや民放の政治報道の現実を述べてきたが、自民党はともかく、政府がNHKや民放の報道方針に直接的な介入をしたケースは極めて少ない。過去には、民放各社に政権交代を実現するために偏向報道を促した「椿事件」くらいのものだろう。今回のキャスター交代に政府の意向が働いたと言えばもっともらしいが、長年報道に携わった経験から言ってそんなことを政府が行えばすぐに週刊誌にばらされて、言論の自由への干渉批判へと直結する。そこまで安倍もやるわけがない。ある民放幹部が降板の理由について「視聴者の反応が変化してきている」と漏らしている。右傾化と言うより、民主党政権の羮(あつもの)に懲りて「脱左傾化」の反応が強いと分析する。にもかかわらす、古館、国谷、岸井らの姿勢は相も変わらぬ左翼至上主義であり、時代の風潮にそぐわなくなってきて降板することになると見るのが正しいだろう。要するに古くさいのだ。


◎俳談

◎俳談
【俳句と政治家】
 政治家の俳人で本物は大野伴睦と藤波孝生だろう。俳号「万木」の大野が保守合同の立役者三木武吉を詠んだ句が
三木武吉涼しく痩せて眉太し  万木
人物描写の句は珍しいが、秀逸である。「涼しく痩せて」はなかなか言えるものではない。
 政治家には運不運がつきものだが、中曽根康弘と死んだ藤波孝生ほど際だつものはない。藤波の俳号は孝堂(こうどう)。
両人とも俳句をやるがその作に如実に現れている。
暮れてなお命の限り蝉時雨 康弘
控えめに生くる幸せ根深汁 孝堂
 中曽根は首相になって藤波は官房長官にとどまったが、ライフスタイルが天と地の開きがあった。
 俳句の通りに中曽根は日がとっぷり暮れたのにもかかわらず、あちこちでうるさく鳴き続けた。まさに「生き強い」人間の典型である。しかし俳句の方は中曽根の創作ではあるまい。芭蕉の
やがて死ぬけしきは見えず蝉の声
のパロディーと言ってよい。プロならその類想性をすぐに看破する。それでも中曽根は
したたかと言われて久し栗をむく
だそうだ。
 一方、藤波はリクルート事件の波をもろにかぶった。一部に総理大臣候補だとされていたと言うが、盟友竹下登のリップサービスが作った虚像の色彩が濃い。本人はその意欲もなく、能力もあったかどうかは疑わしい。控えめに生きて中曽根の補佐をするのが幸せな部類の政治家であった。しかし俳句だけは政界では大野と並ぶ一流だろう。

◎空振りの岡田「TPP疑獄」質問

DSC_2802.JPG

◎空振りの岡田「TPP疑獄」質問
  「オオカミ少年」が“悪魔の証明”を無理強い
 新聞各社の予算委担当記者の目はどうも節穴らしい。肝心のやりとりを見逃している。筆者のように録画して克明に分析すると、焦点は民主党代表・岡田克也が「甘利事務所の金銭授受」をあたかも「TPP疑獄」へと直結させるかのように首相・安倍晋三への質問を展開。これに「マジ切れ」した安倍が「無責任な誹謗中傷」と、かんかんになって怒って否定したのが質疑応答の核心部分だ。あまりの剣幕に岡田は夜のテレビで「衆院選は4月かもしれない」と、とち狂ったような予言をした。解散については安倍のことだから何をするか分からないが、いくら何でもサミット直前の外交が慌ただしい時期に解散するだろうか。予算早期成立を目指す野党向けのブラフに過ぎまい。
 疑獄事件とは政治問題化した大規模な贈収賄事件のこと。戦後の3大疑獄事件は、芦田均内閣をつぶした昭電疑獄事件(1948)と造船疑獄(1954)、ロッキード事件(1976)を指す。岡田の質問はあきらかに第四の疑獄事件として「TPP(環太平洋経済連携協定)疑獄」を“創作”しようとしているかのようであった。岡田は「甘利氏が大きな権限を持ってTPPの責任者としていろいろなことをやっている。ちゃんと検証すべきだ。TPPは業界や農業に携わる人達にとって死活問題だ。生産者から見ると巨大な権限を持った人が疑いをかけられていることについて疑惑を持つべきだ。甘利氏に確認する必要がある」と、あたかもTPP関連業界や農業従事者から甘利が贈賄でも受けているかのような質問を展開した。
 これにはただでさえ予算委員会で激高しがちな安倍が、まるで怒髪天をつくかのような反応をした。文字数にして質問の5倍ほど反論を展開したのだ。「TPPに影響が出たというなら具体的に言ってください。私がないと言うものを1党の代表として嫌疑をかけるなら、TPP交渉においてどの品目にどの影響を与えたかについて具体的に言うべきだ。そうでなければ無責任な誹謗中傷にすぎない」と反論。まだ言い足りないとばかりに「交渉そのものを汚すようなことを言うのはやめるべきだ。甘利大臣は命がけでTPP交渉を頑張って、結果を出してきた。いきなりそういう言いがかりをされても答えようがない」と憤まんをぶちまけた。
 岡田は「ない、と言ったのはあなただ。本会議で断言した以上、その根拠を示す責任がある」と応戦した。これに対して安倍は委員会に響き渡る大声で「私はないと言いきった。ないことをないと説明することは悪魔の証明だ。あると主張する方が立証責任がある」と答えた。論戦技術としては「悪魔の証明」を持ち出した安倍の方に説得力があった。悪魔の証明とは証明不可能な命題を証明すること。例えば「四国にコドモトカゲが生息する」ということを証明するとしたら、四国でコドモトカゲを一匹捕まえて来ればよいが、「四国にコドモトカゲは存在しない」ということの証明は四国全土を探査しなくてはならない。事実上不可能なことを求めることを悪魔の証明という。
 岡田の狙いはテレビの視聴者に対して疑惑の輪を増幅させようとする意図がある。岡田は安保法制をめぐっても「徴兵制が実現する」というパンフレットを作らせたり、すぐに嘘がばれるようなオオカミ少年型プロパガンダをするが、今度も視聴者を「TPP絡みでも贈収賄があったげな」という風評が立つように誘導しようとする意図がありありと見える。そもそも今回の甘利事務所をめぐる疑惑は、環状道路をさえぎるようにある建設会社が、民主党の大西健介の質問によれば「ごね得を狙っているようなところに秘書が加担した」ところにある。週刊誌へのリークは秘書が金銭や接待漬けにあったにもかかわらず、ごね得が実現しなかったことからの確執が原因である。したがって、TPP交渉とは何ら関係がない。にもかかわらず岡田は、疑惑を最大限活用しようと「TPP疑獄」があるかのような質問を展開したのだ。TPPで贈収賄があれば、まさに内閣が吹き飛ぶような問題であるが、質問には全く根拠がない。安倍が「一つも事実を挙げられないのにあるかのように言う。議論としては馬鹿げた議論である」と発言したが、もっともだ。やせたりといえども公党の代表が流行語ではないが「ゲスの極み」の三流週刊誌のような卑劣な質問を予算委の冒頭で行うようでは、野党の追及もお先が知れている。


◎俳談

◎俳談
 俳句で春がそこまで来ていることを「春隣」という。冬の季語だ。「春遠からじ」も同じ意味で冬の季語。この春隣ほど好きな季語はない。春の足音が確実に聞こえだしたようで心が浮き立つ季語である。毎年数知れないほどこの季節に春隣の句を作っている。拙句の場合食べ物との取り合わせで作るケースが多い。
ざつざつとバターを塗りて春隣 産経俳壇入選
といった具合だ。ぱんにバターを塗る音に春の近さを感じるのだ。
何にでもマヨネーズかけ春隣 東京俳壇入選
もある。旺盛な食欲と春を響かせた。
さくさくと羅紗切る音や春隣 毎日俳壇3席
三越で背広を作ったときに羅紗バサミで布地を切る音に春を感じだ。諧謔(かいぎゃく)味がある句が
春隣娘の彼の力こぶ   杉の子
娘の彼氏のたくましさに圧倒されて作った。

◎「トランプ旋風」が早くも失速気味

DSC_9829.jpg

◎「トランプ旋風」が早くも失速気味
   ブルームバーグ、ルビオが台風の目
   クリント・イーストウッド主演の名画「マディソン郡の橋」の舞台アイオワ州における民主、共和両党の党員集会は、その後の大統領予備選挙に大きな影響を及ぼすのが通例だ。アイオワとこれに続くニューハンプシャーで敗北して大統領になれたのはビル・クリントンだけであり、序盤を制するものが選挙を制すると言われてきた。今回の場合はどうか。正直言ってまれにみる見通しのしにくさだ。それでもあえて見通せば共和党はトランプ旋風は失速の流れ。僅差で勝った前国務長官・クリントンはたとえ僅差でも勝ちは勝ち。民主党候補となる公算が強い。注目すべきは共和党3位の若手上院議員ルビオだ。
 映画「馬鹿が戦車でやってくる」そっくりのトランプが失速したのは、アイオワ州民の知性を示すものであり、この傾向は今後も持続する可能性が高い。「トランプ現象」は、有権者がいわばテレビでアチャラか喜劇を見て喜んでいるのと同じで、人気がそのまま投票行動につながったのは日本の横山ノックの大阪府知事当選くらいのものだろう。実際トランプの「奇行」は、「いくら何でも大統領候補が」という感じを強くさせるものだ。頭髪がかつらだという風評が立つと、女性2人にバケツを持たせて頭から水をかけさせて、かつらでないことを公開検証するといった具合だ。
 その発言に到ってはそこいらの床屋談義の爺さんに輪をかけた破天荒ぶりで、発言すればするほど知的レベルの低さを露呈した。「メキシコ国境に万里の長城を築き不法移民を阻止する」「すべてのイスラム教徒の入獄を禁止する」など、人種差別と全体主義思想に貫かれており、米国憲法に違反する。日本に関しても「日本からの自動車輸入は不公平だ」と述べれば「日米同盟は不平等だ」と指摘する。日本車は米国内で作られていることを知らない。安全保障に関しても無知丸出しだ。当選したら日本にとっては「悪夢の大統領」となることは必至だ。トランプを米軍の最高司令官である大統領に選出して、核のボタンを手渡したら、世界は崩潰する危機に直面するということになりかねない。要するに発言はスローガンを声高にしゃべるだけの「スローガニズム」の極致と言うべきであり、政策の裏付けなど皆無と言ってもよい。
 支持率は全候補の中でもトップを走るが、トランプの場合支持率と有権者の投票行動は一致しない。最後には有権者は「核のボタン」に思いが到り、別の候補に投票する傾向を見せたのだ。こうして「トランプ旋風」は今後例外はあっても大勢としては空回りする流れとなろう。多くの州で同時に予備選挙が開催される3月1日のスーパーチューズデーが天王山となる。
 アイオワ州における共和党党員集会はクルーズ27.7%、トランプ24.3%、ルビオ23.1%の得票順だが。問題はクルーズだ。その主張は時にはトランプを上回る過激さであり、理性に乏しい。共和党内で嫌われており、アイオワ州知事が「クルーズが勝つのだったらトランプの方がましだ」と漏らしたと言われるほど。クルーズはオバマケアに反対して政府閉鎖事件を起こした張本人の1人だ。むしろ選挙の玄人の注目が集まっているのはトランプに迫ったルビオだ。若手の上院議員で共和党主流に属し党内の人気も高い。中国や北朝鮮とは対峙の姿勢を示しており、日本の尖閣諸島についても「日本のもの」と断言している。本人は「私が指名されたら民主党がクリントン氏であってもサンダース氏であっても必ず勝てる」と発言しており、今後の台風の目だ。
 一方民主党はクリントン49.9%、サンダース49.6%でクリントンの辛勝だった。サンダースが予想外の票を集めたのは、公立大学無償化、国民皆保険、富裕層への課税強化など若年層向けのキャンペーンが成功した結果だ。しかし本人が、米国では毛嫌いされる傾向がある「社会民主主義者」を標榜しており、国民的な人気には乏しい。年齢も74歳と高齢であり、体力的に今後8年米国を引っ張って行けるか疑問だ。やはり、メール漏洩事件などで決定的な事実が表面化しない限り、クリントンが民主党候補の本命となる公算が強い。またニューヨーク・タイムズの報道によると億万長者で前ニューヨーク市長のマイケル・ブルームバーグが独立候補として米大統領選への出馬を検討している。現在の候補者の顔ぶれならば勝機があるかもしれないと、考えているという。同紙によると3月初めまでに決断すれば全50州の予備選に間に合うため、前市長はこれを決断の期限に定めているという。いずれにせよ、大統領選の行方には“魔物”が潜んでいる可能性もあり、11月8日の投票日まで気を許すことは出来ない展開となろう。


◎俳談 

◎俳談              
【年寄りはわくわくせよ】
 二十四節気は一年を二十四に分けたもので、立春はその一つ。節分の翌日にあたり、新暦の二月四日ごろ。暦の上ではこの日から春になる。寒気のなかにもかすかな春の兆しが感じられる。とりわけ日差しが濃くなって、人の気持ちもわくわくしてくる。年をとると辛気くさくなってわくわくなどしない爺さんが多いが、首相・安倍晋三も新年冒頭 「わくわくしながら1年送る」と宣言した。だいいちわくわくしなければ俳句など出来ない。
徹夜明け立春の日のまぶしけれ 毎日俳壇3席
夜中に政治評論を書いていると、悪戦苦闘をして夜が明けてしまうこともしばしば。雨戸を閉めているから外の様子は分からない。書き終わって雨戸を開けると、日矢がまぶしい。
ふりむかぬ大勢に射す春の日矢 桂信子
日矢とは俳句で強い太陽光を指す。掲句は「大勢の人は日矢を知らないまま通り過ぎているが、私は日の光で季節の移ろいが分かっている」という詩人の心を詠んだものだ。
早蕨を干せば日差しの濃かりけり 毎日俳壇入選

◎鮮やかすぎて怖い安倍の“ダメージコントロール”

DSC_9667ff(1).jpg

◎鮮やかすぎて怖い安倍の“ダメージコントロール”
 支持率“高騰”、民主の疑惑追及挫折
 鮮やかすぎるというか、つきについているというか、すごすぎというか、安倍政権は本当に向かうところ敵なしかと思いたくなる。あまりに巧みなる政権運営には驚く。一見地獄を見るような「甘利の逆境」報道を日銀発の「マイナス金利」で一挙に吹き飛ばすという奇想天外な“ダメージコントロール”。これが利きに利いて、内閣支持率は下がるどころか、驚異の上昇で50%を突破した。株価は1日も全面高となり、年初以来アベノミクスに逆行する「円高・株安」にくさびを打ち込んで「円安・株高」の好循環へと導きつつあるかに見える。甘利疑惑でいきり立った野党は、さすがに支持率を見て「下手に突っ込むとやられる」(民主党幹部)と怖じ気づいたか、ろくな抵抗もしないまま国会は早くも正常化。好事魔多しなどという常套文句は使いたくないが、よほど重心を下げないと、後が怖いことは確かだ。
 日銀が金融緩和に踏み切るであろうという予測はされていたが、マイナス金利だけは総裁・黒田東彦が1月18日に明確に否定したことから予想の外に置かれがちだった。しかし黒田は23日のダボス会議に行く前に事務当局に対して、「追加の金融緩和措置を考えておくように」と指示している。マイナス金利を含みとしたいわば「日銀究極の秘策」の指示であったようだ。そして発表が29日の政策決定会合の後だから、28日の甘利辞任の直後。日銀が政局向けに図ったとは思えないが、そうでなければあまりにも絶好のタイミングであり、安倍を天が見放していないことになる。なぜなら「甘利」を「日銀」が新聞紙面から追い払ってしまったのだ。
 もちろん黒田パズーカの第3弾はこの時期を除いてはあり得なかった。企業は来年度に向けて春闘の賃上げや、設備投資計画を2月に立案するからだ。この時点でやらないと次の政策決定会合は3月であり、間に合わないからだ。しかし黒田を含めて9人の政策委員のうち5人が賛成、4人が反対に回った。4人はみな安倍政権以前の政権で任命された委員であり、民主党の政策を反映するかのようにアベノミクス反対派のようだ。3月には1人が交代するから、反対派は3人に縮小されるだろう。
 こうして甘利辞任は29日朝刊に、日銀金利は30日朝刊でそれぞれ全面展開の報道という形になった。報道各社は30,31日に世論調査を実施したが、国民世論は景気対策に目を奪われ、「甘利辞任」は一過性で影響が生じなかった。各社の内閣支持率は毎日が51%でプラス8ポイント。不支持は30%でマイナス7ポイント。読売が支持56%(+2)不支持34%(-2)、共同が支持53.7%(+4.3)不支持35.3(-2.9)という結果で、おしなべて50%越えだ。この高支持率が示すものは、国民意識の動向を探る上で極めて興味深い。国民は何と言っても自らの生活向上が大切なのであり、閣僚の疑惑などは二の次三の次なのである。アベノミクスはかつてないほど政治と金融・経済が一体化した上で成り立っており、これが支持率に反映しているとしか思えない。デフレの暗い影を吹き払おうと懸命に戦う安倍の姿が好感されているのだ。企業は史上最高の利益を上げ、12月の完全失業率は3.3%だが、これが2%まで下がるという予測もある。3.3%でもほぼ完全雇用だが、2%といえばまさに完全雇用である。失業率2%台は1980年から1994年まで続いているが、それ以来の数字となる。
 こうして年明け以来円高・株安の悪循環が円安・株高に向かえば、アベノミクスへ、ひいては政権への追い風になるのだ。問題はこの好調が何処まで続くかだ。とりあえずの勝負は夏の国政選挙まで続かせられるかどうかである。阻害要因がないわけではない。化けの皮がはがれたようなバブル崩壊後の中国経済の低迷が続きそうなことだ。加えて甘利の後任の経済再生担当相となった石原伸晃だ。この政治家は失言癖がほとんど病気のように染みこんでいる。まるで言いたいことをを言って、仲間と冗談を飛ばし合っている湘南の坊ちゃんのような軽い調子で失言を飛ばす。就任後も、日銀マイナス金利への感想を聞かれて、秘書の出したメモを自分の手で払いのけて「自分の言葉で話す」と宣うたが、この自分の言葉が危機の根源であることが分かっていない。当然野党は石原の失言に狙いをつけて、質問を展開する。公明党代表・山口那津男が「細心の注意を払って国会を乗り切っていただけるものと期待している」と、石原に異例のクギを刺した。彼ばかりは事務当局の答弁書とメモでしか発言させないようにすべきであろう。国民の信任が高いときこそ、内閣は重心を低くしないと高転びに転ぶ危険があるのだ。
 また野党も甘利という絶好の攻撃目標を失ってもなお民主党幹事長・枝野幸男が「真相究明が必用だ」と幕引きを拒み続けている。しかし疑惑は、既に東京地検が乗り出しているのであって、真相究明は司直の手に委ねるべき問題だ。野党も国会論議は経済を主軸に据えるべきであり、自ら疑惑解明をしようとしても無理がある。疑惑追及路線を突っ走っても国民の支持は得られまい。


自民と無党派が並ぶ=「支持不支持」再逆転を裏付け! Name:浅野勝人 

[4733] 自民と無党派が並ぶ=「支持不支持」再逆転を裏付け! Name:浅野勝人 NEW! Date:2016/02/01(月) 18:20 
 
自民と無党派が並ぶ =「支持不支持」再逆転を裏付け!
安保政策研究会理事長 浅野勝人

安保関連法案が、百家争鳴の渦中の去年7月のブログで、次のような指摘をしました。
今朝(2015/7月6日)の毎日新聞は、世論調査の結果について「安倍内閣不支持上回る」と1面トップで伝えました。
5月の前回調査から支持率は3ポイント落ちて42%。問題なのは不支持率が7ポイント増えて43%になった結果、支持不支持が逆転したことです。たった1%の逆ザヤとみくびると世論の深層を見誤ります。
私は、ある時期から政権の勢いを測るには支持率より不支持率の方が、世論の実勢をより正確に示していると気づきました。不支持率の動向は、その政権の行方を比較的正確に予測します。
メデイアは、通常、支持率が何パーセントかによって政局の動向を占う判断としています。勢い不支持率の分析を蔑(ないがし)ろにしがちです。
心理学者の見解通り、人は賛成すると決める気軽さよりも、反対を決心する時の方がより強度の意識を伴います。従って、支持不支持の逆転現象は、賛成者の中のかなりの人が強い認識をもって思考を転換したことを示しています。

ブログはさらに続けて、
直近の調査で、久しぶりに無党派層と呼ばれる「支持政党なしグループ」が自民党に代わって第1党に返り咲いたことが、この事情を裏付けています。
無党派の多数を占める「政治的無関心層」は高学歴層によって構成されています。無党派には、もともと政治に無頓着で全く関心のない層も含まれていますが、政治学の分野で、ポリティカル・アパシー:政治的無関心層という場合、知的レベルが高く、政治的社会的現象に強い関心と理解力があって独自の見解を持ち合わせているけれども、現状の政治情況に失望ないしは飽き足らず、関心がない振りをしている層のことをいいます。現代の政治情況にピッタリ当てはまる政治学の理論です。
ですから、第1党となった無党派層は、ビクともしないと思っている「不動の山」を一挙に動かす不気味な政治的マグマです。そして、この巨大なマグマは、ある一定の限界を超えると突然爆発し、公明党が指摘する「オウンゴール」程度ではとても収まりません。

数字の比較ですから、同じ新聞(毎日新聞)の世論調査(2016/1月30、31日実施)で分析するのが適当でしょう。
毎日新聞、今朝(2016/2月1日)の報道によりますと、
内閣支持率は、去年12月の調査時点から8%上昇して51%。
不支持率は、7%下がって30%でした。甘利前大臣の手際のいい進退が、むしろ支持率を押し上げたのかもしれません。
 支持・不支持の逆転現象は、すでに前回調査でも43対37で明らかになっていますが、今回はまるでダブル・スコアの様相です。
従って、政権のゆくえを比較的正確に予測するデータの変化によれば、この格差は安倍政権の安定ぶりを明確に予測しています。

 実は、これまで「安倍安泰」の指摘に慎重だったのは、両輪のもう一方、無党派層(支持する政党なしグループ)が、依然、第1党で、2位の自民党を凌いでいました。無党派層の塊は法外に大きく、しかも一般的に時の政権に批判的なパーセンティジが高く、その時々に選挙の帰趨を左右します。

今回の調査で、自民党の支持率が4%増えて34%となり、無党派層と同率となりました。この変化は、非常に大きな意味があります。

もちろん問題点がないわけではありません。
年が明けて、2週間で日経平均が3,000円も下落して、リーマンショック以上の大暴落を演じた不安定なマーケットは、失望感を世界同時株安のせいにできましたが、今後、アベノミクスのゆくえを暗示する存在に変わりはありません。
共産党が丸裸になる形で、野党統一候補のとりまとめが進んだ場合、参院選挙の帰趨を決める1人区の動向がどうなるか、一挙に波乱含みの情勢になります。

それらの課題を慎重に見極めながら、「いばらず、おごらず、へつらわない」(筆者の人生訓)政局運営が維持される限り、政権にはっきりモノいう毎日新聞が、政府・与党安泰の卦を、はからずも証明したと思っています。(2016/2月1日、元内閣官房副長官)