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◎ルーピー発言はいまや「口害」の域

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◎ルーピー発言はいまや「口害」の域
 山本リンダではないが「もうどうにも止まらない」のが「鳩山発言」。あらゆる政治現象に首を突っ込んでは、コメントをし続ける。マスコミがこれを報道する。聞いた人や読んだ人は、内容にかかわらず何故か不快感が先に立つ。恐らく、間違って首相にしてしまったという悔悟の念が伴うからであろう。新聞の投書欄でも批判が目立つ。いまやルーピーこと元首相・鳩山由紀夫の発言は「口害」になりつつある。
 1番ひどいのが何と言っても昨年12月の「辺野古以外があるか。私は決してないとは思っていない」という発言。普天間基地移設をめぐって「海外、少なくとも県外」発言が、ガラス細工であった同問題をぶちこわし、自らの退陣を招いたことも忘れたかのように、いけシャーシャーと語ったのだ。さすがに温厚な官房長官・藤村修も「真意を聞きたい」と不快感を示したものだ。この発言が象徴するものは、やっぱり地球人ではなく宇宙人であったということかもしれない。自責の念などかけらも見られないのだ。
 大阪維新の会の公約「船中八策」についても鳩山は23日「不十分。一切数字が書かれていないが、私どものマニフェストから学ばれたのか」と皮肉った。数字を書いてことごとく実現不可能が証明された自らのマニフェストへの反省どころか、自虐ネタにする“軽さ”である。そのマニフェストについても「マニフェストを守れない政治家は辞めた方がいい」である。開いた口が塞がらない。隗(かい)よりはじめよと言いたい。自説にもこだわり続ける。「環太平洋経済連携協定(TPP)よりアジア共同体構想を優先すべきだ」といった具合だが、同構想が米政府に疑心暗鬼を生んで日米関係を悪化させたことなど、全く分かっていないのだろう。民主党はなんと、その鳩山の“功績”をたたえるつもりなのだろうか「外交担当最高顧問」とするのだという。これだけで民主党支持率は5%下がる。幹事長・輿石東の判断力はもう少しましかと思ったが、結局ごますりマンであったか。ここは「外交」担当でなく、逆さに読んで「口害」担当とすべきところだ。朝日川柳の「外交をつい口害と読み違え」が秀逸。
 本人は、自らの政治理念「友愛」をもじって「由紀夫を友紀夫と改名する」などと、面白くもないだじゃれを飛ばしているが、世のひんしゅくを買っていることなど、つゆほども気づいていない。一般国民も不愉快に思っている向きが多いと見えて、新聞の投書欄にも批判が掲載される。朝日声欄には、「辺野古以外にないとは思わない」発言を「懲りもせずにぶち上げた。相変わらずの宇宙人ぶりだ」「マスメディアは民主党の小沢一郎元代表、鳩山由紀夫元首相の話題を大きく取り上げすぎではないかと苦々しく思っている」といった批判が載る。
 民主党内では、何とか止める方法はないものかと思案投げ首だ。議員の間では「鳩山発言禁止法を議員立法する」「大阪市長が改憲するついでに21条の言論の自由を鳩山さんだけ適用除外してもらう」「新聞が『今日の口害』欄を設けて、そこに掲載する」といった珍説奇説が冗談紛れに語られている。1番いいのはマスコミが取り上げないことだが、仮にも元首相の公の場での発言であるから、取り上げざるをえまい。取り上げて判断は読者に任せるしかない。かつて引退声明したとおり引退すればいいのだが、本人は発言を撤回。民主党支部は北海道9区の公認候補とすることを決めた。度し難い発言は続き、民主党票を減らす。朝日川柳には「いつまでも残って消えぬ鳩の糞(ふん)」とある。まさに「ふん口害」だ。


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◎小沢、消費税政局で“激突”を宣言

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◎小沢、消費税政局で“激突”を宣言
 ついに春の突風「春疾風(はやて)」が、小沢一郎から吹いた。22日夜、消費増税法案の3月下旬の閣議決定に結束して反対するようにグループ内に呼びかけたのだ。23日付朝日新聞のインタビューでも小沢は、解散・総選挙前の政界再編に言及しており、政局は民主党分裂もあり得る危機的状態に突入しそうだ。当然野党は民主党内の動きに連動して内閣不信任案を上程するものとみられ、解散・総選挙も視野に入ってきた。3月危機が現実のものとなり始めたのだ。
 NHKによると小沢は、近い議員らとの会合で消費増税について「時期的に、法案の閣議決定が最初の一つのポイントになる。閣議決定は簡単ではない」と明言、閣議決定に結束して反対する方針を明らかにした。さらに小沢は「消費税の増税は、いくら野田君が頑張ろうとしても、世論が後押ししないかぎり無理だ。これからの世論の動向は、われわれが思っているよりも厳しいものがあるはずで、そういう世論を受けて、なお突っ走ることは、おそらくできないだろう」との見通しを述べた。
 一方、朝日とのインタビューはもっと生々しい。小沢は首相・野田佳彦が消費増税解散に踏み切った場合にについて「民主党内閣、民主党自身の終わりだ。選挙前の再編を含め、国家が混乱しない方策を考えなければならない」と野田政権に見切りをつけたとも受け取れる発言をした。政界再編の時期について「選挙前にやらないとダメ」と繰り返した上で、「安定した過半数の政権ができるようにしないといけない」と消費税反対での政界糾合に意欲を示した。これまで、小沢は自らの議員グループの会合を頻繁に開き100人近い出席者らに消費増税反対の姿勢を明らかにしてきた。さる16日の前首相・鳩山由紀夫、幹事長・輿石東との会談でも、党分裂の危機に言及した模様だ。鳩山が「このままいったら党が大変なことになる」と内容を漏らしている。
 小沢は自らの裁判が秘書の証言が証拠採用されなかったことで、有利になったと勢いづいている形であり、4月の判決を待たずに行動を開始した形となった。背景には判決がクロと出た場合にはかえって身動きがとれなくなるとの判断があるものとみられる。小沢は朝日に「野田さんが思い直して初心を忘れずに努力してもらうことを、最善の策として望む」とも述べ、首相・野田佳彦の翻意を促している。しかし、消費増税に向けての野田の姿勢は全くぶれていない。22日の衆院予算委でも「私は党代表選で明確に消費増税をかかげ、素案の決定も時間をかけて着々と議論し、握手と拍手で終わった。強引な意思決定はやっていない」と増税大綱決定に至る手続きに瑕疵(かし)はないことを強調した。既に、不成立の場合の解散・総選挙の可能性にも言及している。この結果、小沢の発言はまさに野田との正面衝突の方向を示していることになる。野田と小沢の間に立った形の輿石は、野田、小沢、鳩山との4者会談で調整を図る動きを見せているが、まだ定かではない。
 小沢が今後具体的な閣議決定反対戦略をどう描くかだが、閣僚の大勢は消費増税賛成であり、反対を大仕掛けに実現することは難しい。やはり反対している国民新党と連携することも視野に入れているものとみられる。代表亀井静香を通じて郵政改革相・自見庄三郎を反対させる。グループの防衛相・田中直紀も、反対して辞任という方向に持って行きたいのだろう。2人しか反対しなくても十分起爆剤にはなり得る。
 野党も、小沢の動きを固唾をのんで見守る。自民党総裁・谷垣禎一は、「首相は野党に協議を求めるなら、まず小沢元代表とさしで話し合い、『賛成するなら一緒にやりましょう。反対するなら(党を)出て行ってください』と言うべきだ」と、野田の「小沢切り」をけしかけている。不信任決議や問責決議の提出時期もうかがっている。小沢が再編も辞さぬ反対に踏み切る姿勢を明らかにしたことは、自民、公明両党の早期解散戦略に大きく作用する。小沢グループが党分裂も辞さぬ構えとなれば、内閣不信任案が成立しうる。会期末の6月の決議上提を早める流れが生じるだろう。3月末から4月にかけての政局は民主党内の動きに、野党の思惑が絡んで三つどもえ、四どもえの展開を見せることが予想される。さらに、大阪維新の会、「石原新党」など波乱要素も加わり、まさに何でもありの状況になるだろう。


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◎「新党」で「いつか来た道」を繰り返すな

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◎「新党」で「いつか来た道」を繰り返すな
 みのもんたに代表される民放テレビの浅薄なセンセーショナリズムと国政批判によって、既成政党は「悪」であるという概念が有権者に定着し、これが大阪維新の会に「風」を吹かせている。維新の会は何と改憲が必要な統治システムの改革を唱え、独裁的な政治手法の指導者が国政に乗り出す機会を窺っている。既成政党はなすすべを知らずに、卑しげな秋波を送り続けている。歴史は繰り返すというが、まさに政友会と民政党の不毛の対立が軍部独裁を招き、国を滅ぼしたいつか来た道の危うさがそこにある。
 既成政党を褒めるのはマスコミのタブーのようになっている。批判することが日本のインテリのレーゾンデートルであるかのようである。ちゃんちゃらおかしいと言いたい。大衆にこびを売り正義の味方とばかりにみのもんた風の司会者が朝から晩まで政党の“ていたらく”だけを誇大に伝え、批判し続け、忙しい有権者はそんなものかという思考が定着する。戦後の日本の政党政治はそんなに悪かったのだろうか。
 ここは世界的視野から日本の立ち位置を俯瞰(ふかん)する必要がある。例を挙げれば、米国の“本音”が「日本の失敗という神話」と題してニューヨークタイムズのオピニオン欄に載った。「日本が今やとても意気消沈した国になってしまい、本当に後退してしまったというように描き出すのは神話というものだ」で始まって、日本の隆盛ぶりを語っている。日本人の平均寿命は、1989年から2009年にかけて4.2歳も伸び、アメリカ人より4.8歳も長生きである。インターネットのインフラ構築で著しい進歩があり、最速のネット・サービスが享受できる世界の50都市中、日本の都市は38もあったのに対して、アメリカの都市はたった3つだけ。1989年末を基準にすると、円は米ドルに対して87%、英ポンドに対して94%も上昇した。失業率は4.2%で、アメリカの約半分である。500フィート以上の高層ビルは、「失われた数十年」開始以降、81棟が東京で建設された。それに対して、ニューヨークでは64棟。といった具合である。
 日本の繁栄を羨望のまなざしで見る論調で貫かれているのである。この視点は金融危機に直面する欧州や発展途上のアジア諸国からみれば共通する側面があり、それをもたらした日本の戦後政治は、少なくともみのもんたが朝から晩まで批判するようなものではあるまい。駄目と言わなければ視聴率を稼げない、自虐趣味でなければ有識者とみなされないような民放テレビの政治報道は、すべてを短絡させて伝達し、やはりタレント出身の大阪市長・橋下徹の政治手法に大きな影響を与えているかに見える。橋下が船中八策で唱える首相公選と参院無用論は、戦後営々として築いてきた議会制度システムを根本から変えようとするものに他ならない。橋下がなぜそれを唱えるかと言えば、自分の政治手法にもっともマッチしたシステムであるからだ。たちが悪いのは自らは国政に立候補せずに、裏でコントロールしようという意図がありありと見えることだ。
 公選首相なら独断的政治手法を自由に駆使しやすい上に、ねじれで政治が遅滞する参院がなければ、法案処理も速まる。朝日川柳に「独裁に賭けたくもなる閉塞(へいそく)感」があった。気持ちは分かるが、政治とは我慢の連続である。ガバナンス(統治)の側もガバナビリティ(被統治能力)の側も忍耐が不可欠だ。中国のことわざに「国を治むるは田を鎒(くさぎ)るごとし」がある。政治は田の雑草を取り除くような地味な作業の繰り返しであるというのだ。チャーチルは政治の要諦を「忍耐し、我慢しさえすればやがてよくなる」と形容した。
 ここ数年の政治に目を移せば、自民党政治の末期症状を嫌気して、よかれと選んだ民主党政権がマニフェストの虚飾が露呈、有権者は政治への失望感に苛まれている状態だ。浮動票は響きのいい「新党」へと向かいかねないムードも生じている。しかし維新の会も「石原新党」も、独裁傾向で相通ずる「危うい」側面がある。繰り返すが大正から昭和にかけての政党の体たらくが生んだ、ファシズムを繰り返してはならない。政権交代が期待外れであったからといって、決して国政には選んではならない政治家たちなのである。謀反の心を異心というが、朝日川柳で「野暮(やぼ)なことただの異心を維新とは」と看破されているとおりだ。朝から晩まで民放が政治批判を繰り返すから、政治システムまでも変えるのか。この国の政治を民放政治ショーの司会やコメンテーターレベルの政治にしてしまって良いのか。ここは有権者が自ら選んだ二大政党制を我慢の子で育成するべきだ。維新の会や石原新党などというムードに押されて、これに飛び付き、誤判断を繰り返すべきではない。新党にバラ色の未来など絶対にあり得ないのだ。


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◎「活路」乏しく、政界2つの“消滅”の危機

so-netのブログは故障が多くて掲載が遅れます。

以下http://suginoko.progoo.com/bbs/の掲示板でも掲載していますから、ご覧ください。

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◎「活路」乏しく、政界2つの“消滅”の危機
 沈む船からネズミが逃げるというが、まだ沈むと分かってもいないのに、ジタバタと見苦しいのが国民新党と小沢チルドレン。政治権力の蜜になんとしてでも吸い付きたい代表・亀井静香の「泥亀スッポン」が、おひいさま「亀姫」亀井亜紀子をたぶらかして、論理矛盾の消費増税反対宣言。やがては連立与党解消も視野に入れているに違いない。チルドレンは選挙情勢調査で落選必至の結果が出て、「新党」へとなびく。一世を風靡(ふうび)した「小沢ガールズ」もいまや「徳川幕府崩壊時の大奥のように右往左往」(民主党幹部)だという。
 世が世なら旧津和野藩藩主・亀井伯爵家の直系姫君である政調会長・亀井は、かねてからなかなか賢い女性だと思っていたが、19日のNHK党論ではがっかりした。泥亀代表の言うがままを露呈したのだ。消費増税に反対なのに大綱の閣議決定に反対しなかった理由について「大綱の中に書かれていることは実現不可能なので黙認しろという代表の大局的判断で行った」と内情を語ったのだ。即座に民主党政調会長・前原誠司が「それなら閣議決定に賛成すべきではない。全くの論理矛盾」とたしなめたが、亀姫は記者団にも「スタンスは変えてない。消費増税はずっと反対」と言い切った。幹事長・下地幹郎が、陳謝して回ったが後の祭り。国民新党の分裂ぶりを露呈してしまった。それでは静香の支離滅裂な「大局的判断」とはなにかを分析すれば、「石原新党」結成までは大人しくしようということに尽きる。消費増税に賛成の石原のご機嫌を損ねてもまずいという党利党略が「大局」というわけだ。
 静香は、たったの衆院5人で民主党との連立を果たして、それなりの存在感を示すことが出来た。ここで“政権の蜜の味”が、遠ざかる事に焦燥感を感じているのだ。人間の業というのは限りがないもので、いったん権力の座の味を知ると、能力がなくてもしがみつこうとする。その姿勢は大きな魚に寄り添って、おこぼれにあずかるコバンザメ型だ。総選挙の展望は惨たんたる状況であり、このままでは衆院選で消滅の危機が待っている。そこで寄り添う相手を都知事・石原慎太郎に移した。先に、衆院議員・中島正純(大阪3区)を、民主党現職のいる東京23区で擁立すると発表したのも、石原の力を利用しようとする作戦だ。静香は新党が可能となれば、石原人気を利用できる選挙区に次々鞍替えさせる戦略のようだ。もう持論であったはずの郵政改革法案成立などは眼中にはなくなったようにみえる。そこには政治家に不可欠な信条・信念はなく、口先八丁で離合集散の中から活路を見いだそうとする政治屋の姿しかない。
 民主党にしてみれば、小沢グループが造反すれば別だが、衆院は291議席あるからやろうと思えば増税法案を強行採決できる。したがって5人の国民新党はどっちみち不要だ。参院4人は、もともとねじれで野党が優位だから、与野党協議で話し合いがつかなければ不要。消費増税という大目標のためには国民新党などは、与党でなくても十分なのだ。野田は増税法案閣議決定で反対に出れば、切って捨てるくらいの覚悟は出来ているのだろう。
 一方で、小沢チルドレンにも動揺が走っている。小沢が昨年末からチルドレンに選挙区帰りを勧めている理由は、党の選挙情勢調査で104人の小選挙区の新人のうち8割が落選の可能性と出たのが理由だ。もともと「風」だけで当選したチルドレンは小泉チルドレンと同じで、政治的に見れば「1期限りの使い捨て」の側面が濃厚だ。小沢が消費増税に反対しているのは、連動した解散・総選挙で勢力消滅の危機に瀕しているからだ。ここは何としてでも解散・総選挙を遠ざけて、態勢の立て直しを図らないと小沢の政治生命も消滅の危機となる。少なくとも9月の代表選までは、勢力を維持しなければならないのだ。
 しかしチルドレンの実態は、新人議員らが、新党きづなを結成したことが物語るように遠心力が強く作用している。維新の会からの出馬や「石原新党」に活路を見出すべく、その成り行きを固唾をのんで見守っているのが実情だ。しかし度し難いのは、柳の下にドジョウが2匹いると思っている甘さだ。小沢は政治塾でチルドレンもガールズも「人生あきらめが肝心」と教えなければなるまい。自民党総裁・谷垣禎一が朝日の社説のまねをして、野田に「足元を固めないと駄目だ。小沢氏と首相が一対一で話し、『賛成するなら一緒にやりましょう。反対なら出て行って下さい』と整理しなければ、政治の力は生まれてこない」と小沢グループ切り捨てを勧めた。しかし勧めるまでもなく自壊作用は生じており、小沢は食い止めに懸命だ。当分目が離せない状況が続く。


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◎増税大綱の決定が攻守ところを変えた

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◎増税大綱の決定が攻守ところを変えた
 消費増税をめぐる戦いが、野田内閣が税と社会保障の一体改革の大綱を閣議決定したことで、にわかに攻守ところを変える形となった。新聞論調は自民、公明両党の硬直した増税協議拒否の姿勢を一斉に批判。自民党総裁・谷垣禎一は党内からも強い突き上げにさらされて、窮地に陥っている。自公両党とも解散・総選挙狙いの党利党略が前面に出すぎて、さもしいとうけ止められているのだ。両党の狙いが話し合い解散にあるのなら、堂々とこれを主張して法案の成立を図るべきではないか。
 副総理・岡田克也が19日のテレビで野田の消費増税への姿勢について「全くぶれていないし、変わっていない。今後頻繁にメディアに出て国民を説得する」と述べた。確かに野田の姿勢は微動だにしていない。側近には「ここは愚直にまっしぐらの場面だ」と漏らしているという。一体改革がここで挫折すれば、日本経済の再生はあり得ないばかりか、海外のハゲタカファンドの絶好の餌食にされて、“日本売り”が始まる。野田の立ち位置は過去の首相の中でも、際だってすっきりしている。大義を握ったのだ。政調会長・前原誠司がNHKで国民新党の反対しながら大綱に賛成した論理矛盾を「めちゃくちゃな論理」と突いたのも、政権分裂覚悟の姿勢で潔い。
 一方で、ひたすら早期解散・総選挙を追い求める自公両党の姿勢があまりにも党利党略一辺倒でみすぼらしく見える。岡田が「そもそも2015年に10%にする方針は自民党の公約。解散・総選挙ばかりを言うが、それでは選挙で消費増税を訴えるのか訴ええないのか。万一政権を取ったら消費税を上げるのか上げないのか。明確にすべきだ」と矛盾点を指摘したが、まさにその通りだ。今までは「閣議決定すらされていない」と協議を拒んできた谷垣は、大綱が決まっても「事前に密室で談合しろという意味ならお断りだ。国会で堂々と議論したい」と拒否の姿勢を貫こうとしている。次々にハードルを高くする発言は、もはや白々しさしか感じない。増税は「賛成だが反対」では国民は自民党の政策を理解出来ない。
 谷垣は小沢一郎が増税反対なのに関して、野田に対して「出て行ってください」と言うべきだと19日発言した。しかし、これは18日付朝日新聞の社説「もし、最後まで増税に反対する勢力がいるのならば、たもとを分かつしかない。首相には、その覚悟を強く求める」のコピーそのものだ。一党の党首が社説の受け売りでは情けないではないか。元首相・森喜朗がしびれを切らして批判したかと思えば、若手・中堅議員ら十数人が「リーダーシップを発揮せよ」と申し入れるといった事態が生ずるのも無理はない。自民党は大義を失った。何でも反対政党に変貌したのか。
 大綱決定に全国紙各紙は一様にこれをバックアップする社説を掲載した。朝日は「野党との事前協議が成り立たないのだから、政府・与党単独での大綱決定は当然だ」と主張。読売は「首相は国民の理解を広げるため、全力を挙げねばならない」と鼓舞している。これに対して自民党の姿勢については、朝日が「とりわけ自民党には失望させられた。消費増税の必要性を認め、当面10%という引き上げ幅も同じなのに具体的な対案を示さない」と批判。読売も「自民党は、早期の衆院解散・総選挙を求めるだけで、与党との協議を拒み続けている自民党への支持は広がっていない。自民党の姿勢が党利党略と受け取られているからだろう」と看破している。
 このような世論の潮流は民放の政治ショーでそのまま真似して引き継がれて、自民党が袋叩きに遭うといった状況だ。それでもひたすら自公両党は強硬姿勢を崩さない。なりふり構わぬ激突のコースをたどるつもりのようだ。自公両党首脳とも大局を見る目がない。このまま激突すれば、マスコミは政治の体たらくを批判し、政界全体の地盤沈下は覆うべくもなくなる。そこを狙って「危うい」大阪のハイエナや東京の核武装論者が舌なめずりをしているのが、全く分かっていないのだ。維新の会や石原新党は政界が揺れる間隙を縫って、政界での実績がゼロにもかかわらず、「風」だけに乗って進出を図ろうというのがその基本戦略なのだ。しかし、もうこの国に出てはつぶれるパフォーマンスの新党など不要なのだ。
 自公両党とも、ここは与野党協議に応じて消費増税を与野党激突のテーマから取り除くべきだ。紛れもなく消費増税は、自民党の長期政権がもたらした財政危機に端を発しており、民主党と共同責任を負うべきものだ。国民向けに枝葉末節をとらえて、民主党による増税反対を唱えても、有権者はだませない。民主政権を倒すことが出来ても、総選挙では浮動票の迷走を招いて、この国の政治の混迷を増幅するばかりだろう。 


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◎大綱閣議決定で野田は地雷原に入る

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◎大綱閣議決定で野田は地雷原に入る   
 消費増税大綱を17日に閣議決定する首相・野田佳彦の心境は、もう中央突破しかないというところだろう。地雷原は3月危機から始まって6月危機へと続く。触発が続く荒野を突破しても、会期末には解散・総選挙か、内閣総辞職か、話し合い解散かの選択肢しか残っていない状況となる。野田が目をつむって突撃して、火花が散ってその中から何が生まれるかという、近来希な政局の展開に入ることとなる。
 この期に及んで何を話し合ったかが極めて注目されるのが16日夜の小沢一郎・鳩山由紀夫・輿石東会談だ。将来中身が浮上すれば、あのときの2時間の会合で流れが出たということになる。情報は鳩山が「このままいったら党が大変なことになる」と言ったことしか漏れていない。小沢一郎の第1の側近だったはずの輿石は、幹事長になって以来、消費税に関しては完全に野田の路線に歩調を合わせている。一方小沢と鳩山は消費増税反対を確認し合っている。そのなかで会談の構図を見てきたように予測すれば、まず輿石が、「明日大綱を決定せざるを得ない」と方針を説明、理解を求めた。ここは分かりやすく、くだけた表現を使えば、小沢と鳩山が輿石に「こっち側に戻れよ」と持ちかけ、輿石は消費税だけは野田を裏切るわけにはいかず、言を左右にしたというところではないか。最後に小鳩は「このままでは子分が黙っちゃいねぇ」とすごんだのだろう。「党が大変なことになる」というのは紛れもなく「分裂するぞ」の脅しでもある。いつ分裂するかと言えば、「増税法案閣議決定の際かもしれん」と小鳩が脅したのだろう。同法案の閣議決定は3月20日に予定されている。民主党政権は法案の閣議決定は党の事前承認を必要とする。
 それでも野田は初志を貫徹する姿勢だ。増税推進派の態勢は既に固まっている。輿石をはじめ副総理・岡田克也、政調会長代行・仙谷由人、政調会長・前原誠司ら主要メンバーの姿勢も一致している。閣僚の造反も今のところ出ていない。そして今日の閣議決定が何を意味するかだが、民主党単独でも増税法案を通すという意思表示の現れに他ならない。今日決めないと3月末の法案国会提出が事務的にも間に合わないのだ。しかしこの姿勢は党内と野党を強烈に刺激する。もちろん国会は与野党対決ムードが一段と増幅するだろう。おそらく野党は大きな波動を2度にわたって起こそうとするだろう。
 それが3月危機と6月危機となるが、3月危機はまだ“瀬踏み”ともいえる段階ではないか。自民党が場合によっては内閣不信任案を3月の段階で上程する可能性も消えたわけではないが、小沢の動きがまだ定かではない可能性があり、可決は流動的だ。なぜかといえば小沢は裁判の4月判決を控えて身動きが取れないからだ。今日17日の公判の証拠採用の是非によってもある程度分かるが、裁判がクロと出れば破れかぶれで不信任案に同調。シロと出れば堂々と分裂を宣言して不信任案に同調という構図が考えられるからだ。同調しなくても不信任本会議欠席という、かって福田赳夫が使った手法もある。この場合は不信任を可決しても分裂の回避が可能だ。従って自民、公明両党の解散戦略は「3月瀬踏み、6月本命」の戦略だろう。
 自公の武器は2つある。1つは消費増税法案反対を主軸に置く。他の1つは、赤字国債発行のための予算関連法案の人質化がある。したがって予算が例え4月上旬に自然成立しても、関連法案成立のめどは会期末まで立つまい。上旬には消費増税法案の審議にも入る。したがって4月以降6月21日の会期末までが本格的な地雷原入りとなる。こうした中で野田は増税法案を5月連休明けにも衆院だけは通過させ、様子を見る方針だろう。しかし、たとえ小沢の造反を押さえて、衆院を通過させても、参院でのねじれは成立を不可能とする。そこで野田の言葉「解散しろという野党に対しては、やるべきことをやって、やり抜いて民意を問うことをはっきり宣言したい」が生きてくる。野党と党内に向けて参院で可決成立しなければ、小泉郵政解散と同じ手法をとるぞという恫喝(どうかつ)である。
 不信任案が成立した場合にも野田が総辞職を選択することはあり得ない。消費増税への信条に反するからだ。国民に信を問うしか選択は無い。こうした野田と野党、小鳩との激突の火花の中から何が出てくるかだが、考えられる落としどころは話し合い解散しかあるまい。増税法案成立で野田は納得。解散で野党は納得の図式だ。いずれにしても小沢グループは選挙惨敗・崩壊の瀬戸際に立たされる。3方1両損ではなく、小沢だけ100両損の構図だ。
 


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◎船中八策は、総じて嘲笑、褒めるものは下心

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◎船中八策は、総じて嘲笑、褒めるものは下心
 この政治現象をどうとらえるかだが、しょせんは「おもしろうてやがてかなしき鵜舟かな」(芭蕉)だろう。大阪のタレント市長をマスコミ、とりわけ浅薄な民放テレビが政治ショーで盛り上げて、維新の会が国政に進出できても、竹下登ではないが「政治家1年歌手2年の使い捨て」だ。民主党マニフェストと同じで偽物はすぐにばれるのだ。維新チルドレンに引っかき回されて、日本の政治が民主党政権に次いでまたまた政治空白の脇道にそれないことを祈るばかりだ。
 市長・橋下徹の“船中八策”は、予想通り政界から総スカンの体だ。政界の反応は「総じて嘲笑、褒めるものは下心」と言う形に2分類できる。褒める方の双璧が首相・野田佳彦とみんなの党。野田はどうも橋下に子供っぽく「うれしい」と言わせるのがうまいようだ。「シロアリにたかられないように」発言では、「めちゃくちゃ嬉しい」。こんどの「問題提起は良いことだ」のよいしょには「めちゃくちゃ」はつかないただの「うれしい」。野田の狙いはどこにあるかといえば、選挙対策だ。少しでも民主党の目減りを減らすには維新の会と連携出来ればという下心だ。加えていまや“消費税マニア”と化した野田にしてみれば、船中八策が消費税導入であることが、これまた「めちゃくちゃ嬉しい」のだろう。もっとなりふり構わぬのがみんなの党だ。渡辺喜美はもう少し骨のある男かと思っていたが、年増女のような“すり寄り”方で薄気味悪い。
 一方で政治家として筋を通しているのが、たちあがれ日本の平沼赳夫だ。船中八策をいみじくも「国家観がない」と断じたのだ。「並べてあることは憲法改正事項が非常に多く、果たして本気でこんなことを考えているのかという感想を持った」と批判した。平沼は「石原新党」で維新の会との連携を模索しているのかと思ったが、この激しさでは連携を断ち切ったとも受け取れる。まじめで信条を重要視する平沼らしい反応だ。総じて政界の反応は参院の自民党国対委員長・脇雅史が「論評に値しない。憲法を変えなければできない話もあり、とても公約になんかなるわけもない」「2年半前に民主党がとんでもないマニフェストを出して、今日まで来たが、全部できなかった。また2年半前と同じことなる」というところに尽きる。
 傑作なのは維新の会のブレーンとされてきた堺屋太一が「参院の廃止なんてとんでもない」と批判したことだ。逆に推察すると堺屋は船中八策で全然相談されていないことになる。その堺屋も講師となる維新政治塾は3月24日開講となり、月2回程度開かれるという。5月下旬までには「中間考査」で2500人の塾生から、衆院選候補を徐々に絞って、最終的には300人として、200人の当選をめざすのだという。政治塾とは名ばかりで、何のことはない総選挙向けの“ふるい”にすぎないということになる。12万円もの受講料を払ってふるいに掛けられるためにのこのこと3000人あまりもがよく集まるものだ。
 この「維新塾選挙」には大きな問題点が少なくとも3つは存在する。1つは解散・総選挙に間に合うかということだ。5月下旬に「中間選考」で、ディベート能力や街頭演説の能力をみるという。2500人にそんなことをしていれば、もう解散されてしまっているかもしれない。少なくとも解散間近となろう。2つは、例え間に合っても急ごしらえの未知の人間を候補に据えるいいかげんさである。国政選挙をなめているとしか言いようがない。これは橋下人気という“風”だけを頼りにしている証拠であり、おそらく選挙運動も統一が取れず、はちゃめちゃに混乱する可能性が高い。3つは橋下が選挙に出ないことを公言していることだ。橋下人気だけが頼りの選挙で主役が出ずに“お囃子役”に徹するのでは、まさに責任回避の“敵前逃亡”ではないか。
 今回の衆院選挙は消費税と並んで普天間固定化問題が象徴する外交・安保が焦点となる。できもしない首相公選や参院の廃止でなく、憲法9条への対応や、集団的自衛権の是非など国家の直面する重要問題がなおざりにされてはなるまい。地図を見れば中学生でも気づくオーストラリアを含めた「日米豪連携」などでお茶を濁せる問題ではない。


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◎野田政権の支持率低下は底なし沼だ

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◎野田政権の支持率低下は底なし沼だ
 内閣支持率が低落する度に思い出す人がいる。竹下登だ。1988年に消費税を初めて導入してから支持率が低落の一途をたどり、退陣直前の時事通信の調査で4.4%に至る。内閣支持率史上に燦然(さんぜん)と輝く金字塔を打ち立てたのだ。当時筆者は政治部長だったが、数字を持参して、退陣要求のデモ隊に囲まれた竹下邸(旧佐藤栄作邸)に他社の仲間と潜り込んで、「ここまで来ました」と見せた。竹下は「そろそろ潮時だわな。周りの家にも迷惑だしな」と漏らしたものだ。すごいのは竹下が4.4%にいたるまで「潮時」と思わなかったことだ。結局総辞職した。
 連綿と続く時事の調査によると40%台で辞めたのが細川、羽田内閣。30%台で辞めたのは池田、小泉内閣。20%台は福田赳夫、大平、中曽根、海部、村山、橋本、安倍内閣だ。10%台は佐藤、田中、三木、鈴木、宇野、宮沢、小渕、森、福田康夫、麻生、鳩山、菅内閣となっている。一ケタで辞めたのは竹下だけだ。これで内閣支持率が20%台に入ると、何故危険水域入りするのかが分かる。
 それでは首相・野田佳彦の場合はどうか。内閣支持率は1月に時事が28.4%となったのを皮切りに、最新の調査で朝日が27%、産経が26・4%と3割を割り込んだ。辛うじてNHKと読売は30%にとどまった。支持率低下の原因はすぐに思いつくだけでも、防衛相人事にはじまって、マニフェスト崩壊、普天間固定化、消費増税、環太平洋経済連携協定(TPP)、最低保障年金の大嘘と枚挙にいとまがない。これだけそろえば下がらないのがおかしいのだ。 その野田は竹下の輝く金字塔4.4%を追い抜く可能性があると言ったら読者は驚くだろうが、あるのだ。竹下の低落はリクルート事件もあったが、消費税導入が最大の原因であった。導入後辞任せずに政権にとどまったのが致命傷となったのだ。消費税3%で金字塔だから、合計5%ではどうなるかというと、「大金字塔」になり得るのだ。というのも、野田は消費増税解散も総辞職も否定している。「解散は増税実施前に国民の信を問う」との方針で一貫している。その方針なら法案を通した後も政権に居続けるということになり、支持率はとどまるところを知らぬ下落となる。底なし沼だ。
 もっとも、政権が使命感に燃えているのも確かだ。野田が「支持率に右往左往しない。本当に国家国民のためなら、現状では厳しい世論であっても説得していくことを覚悟しなければいけない場面もある」と決意を表明。副総理・岡田克也も消費増税に原因があることを認めながら、「ひるむことなくしっかり前に進めていく」と述べる。野田に完全同調しているのだ。野田政権は「撃ちてし止まん」で、消費税に関してだけは潔い。これが支持率で最低の大金字塔を打ち立てることのできる“根拠”である。その先に見えるのは野垂れ死にしかない。哀れな末路となりたくなかったら野田は、消費増税法案を通して直ちに解散で信を問うしかないということだ。
 ところが、選挙しか頭にない元代表・小沢一郎はこの政権首脳の対応がどうしても納得できない。「内閣支持率が下がっているときに本当にやれるのか」とか「こんなときに消費増税なんて冗談じゃない。何を考えているのか」と批判する。ここで使命感に突き進む政治家と、マニフェストでごまかしても「選挙に勝てば勝ち」という価値観でしか政局を見れない「政治屋」との差が歴然と出る。
 しかし小沢も往生際が悪い。こんな時もどんなときもない。民主党は自分がうそついた罰でどっちみち負けるのだ。今度の調査の特徴を見れば分かる。各社共通の傾向として無党派層が異常に拡大しているのだ。朝日が前回の55%から63%へ、読売が45%から54%へと大幅に上昇している。これは前回民主党を支持した層が、行き場をなくして“浮遊”していることを物語る。最終的にどこへ流れるかというと自民党と、“響き”だけはいい新党に流れるだろう。自民党執行部がだらしがないのが新党の動きに対して毅然とした態度を取らないことだ。新党とは既存政党の否定であるのに、まだ未練たらしく選挙協力でもできないかなどと「裏の政治」を模索する。維新の会の選挙公約を見れば民主党より悪いど素人集団であることは歴然としている。石原慎太郎は核武装も辞さぬファシストだ。昔の自民党だったらバッシッとたたくのだろうが、今の執行部はいつも「ハムレットの心境」(幹事長・石原伸晃)でしかない。自民党総裁・谷垣禎一以下勝負をしようという気力に欠ける。このため、判断力に欠ける有権者は、たたく既成政党がないから、いきおい新党へと向かってしまうのだ。優柔不断ではこの政局は乗り切れないことが分かっていない


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◎龍馬も怒る「船中愚策」の空論:維新の会公約

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◎龍馬も怒る「船中愚策」の空論:維新の会公約
 「船中八策」と銘打って打ち出すというからどんなに斬新な政策かと思ったが、何のことはない、実現不能な「船中愚策」だ。坂本龍馬も「馬鹿にするな」と怒る。それも柱が首相公選制や一院制では元首相・中曽根康弘や都知事・石原慎太郎の顔が浮かんで、仏壇からはたきを掛けて取り出したような古くささを感じる。憲法改正が不可欠であり、しょせんは机上の空論となる。掛け捨て年金制度も大幅な資産課税も憲法の財産権に抵触しかねない。民主党のマニフェストは、有権者をだましただけあって「知能犯」だったが、大阪維新の会の衆院選公約は「粗暴犯」で、これで風が吹くようではまたまた有権者のガバナビリティー(被統治能力)が問われる。
 大阪維新の会は「維新政治塾」への応募者が最終集計で3326人だったと発表した。大阪人らしいのは「少数精鋭でいく」と言っていた市長・橋下徹が「12万円は大きい」「日本も捨てたものでもない」ともろ手を挙げて歓迎。単純計算でも年間受講料12万円かける3326で、4億円の実入りになる方を勘定高く選ぶらしい。難破船から逃げ出すように民主党の衆院議員・高橋昭一(兵庫4区)が願書を出したが、維新の会は断った。入会希望の議員は数人いると言われるが予想外に行動に出る国会議員が少ないのは、まだ見極めがつかないのだろう。小沢チルドレンも小沢一郎の締め付けがきついに違いない。
 その維新の会の選挙公約だが、どうも石原の影響があるような気がしてならない。首相公選も一院制も石原がかねてから主張してきたところだし、手あかに汚れていて新鮮味などない。まず首相公選は、若いころの中曽根が主張したもので、小泉純一郎も首相時代に懇談会までつくって検討した。いずれも国民的人気のある政治家が、公選なら首相になりやすいという発想で検討を進めたことになる。自民、民主両党とも党員参加による党首選出を採用しているが、これも首相公選論の「名残り」だ。公選論は首相と国民統合の象徴である天皇との関係が問題点として指摘され、また首相の所属政党と議会の多数政党が異なるねじれ現象が常態化する可能性があることなどマイナス面が多く、盛りあがらないままお蔵入り状態となっている。橋下は「現行法のままで実現できる首相公選がないか」と述べているが、ないわけではない。野党第一党と与党第一党が、党首選出手続きを国民一般に開かれたものにする案だ。事実上の首相公選だが、民主、自民両党ともやりそうもない。結局、改憲が必要となり不可能だ。
 一院制も古い。確かに緑風会に代表される戦後の一時期と違って参院の政党化は著しく「衆議院のカーボンコピー」化は事実だ。この参議院不要論は古くからの自民党のおはこであった。与党時代の自民党は参院で伯仲国会やねじれ国会になれば不要論を唱え、逆に参院で過半数または安定多数になれば不要論を唱えなくなる傾向が目立った。その古い不要論を、橋下が唱えて実現性があるかといえば、ゼロだ。これも改憲が必要だからだ。橋下の一院制の主張からは問答無用の全体主義的発想が背景にあるような気がする。
 公約は年金制度について、現役世代がまかなう現行の「賦課方式」
から「積み立て方式」への変更が眼目だ。橋下はこれをさらに進めて「掛け捨て方式」を主張している。「資産をもった人には年金を払わない」のだと言うが、荒唐無稽だ。最初から制度が成り立たない。一種の強制貯蓄をさせておいて、これを取り上げれば憲法の財産権に抵触しかねないし、だいいち年金を納める意欲が失せる。公約は概して大ざっぱすぎて、焦点の問題を避けて通っているように見える。とりわけ普天間移設など、外交・安保上の喫緊の課題がなおざりにされている。唯一具体的な消費税導入と環太平洋経済連携協定(TPP)参加も、民主党と一体どこが違うのか。
 なぜあえて不可能なものを柱に据えたのかと言えば、石原の助言または調整があったのだろう。橋下が自らの国政転向を否定していることと考え合わせると、水面下で石原新党がうごめいているのかも知れない。しかし、石原政治路線は「核武装」まで行くことが分かっていない。そろそろ有権者は、維新の会がもくろむような「風の政治」から、離脱すべき時ではないか。最新の世論調査は維新の会への期待値が高いが、公約が出される前の調査だ。有権者は今度こそ公約をしっかり研究することだ。民主党マニフェストにだまされて、最低保障年金はもらえず、子ども手当は撤回され、高速道路も無料にならない。日本は民主党政権で空白の3年間を作ってしまった。こんどは地方の国政を知らない政治家がタレント的な人気があるといって、海のものとも山のものとも知れぬ“維新チルドレン”を大量につくって、国政を混乱させてよいのか。もう国家にそのゆとりはないのではないか。
 


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◎野田は最低年金の「謝罪」が先決だ

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◎野田は最低年金の「謝罪」が先決だ
 何が胸くそ悪いかと言って、政権が国民にうそをつき、それをごまかすことほどむかつくことはない。大阪弁の「けったくそ悪い」がぴったりだ。迷走の末公表した新しい年金制度の試算をめぐる顛末(てんまつ)ほど国民を愚弄したものは無い。最低保障年金7万円の破たんは、数多いマニフェストの公約破棄のうちでももっとも悪質な部類に入る。首相・野田佳彦はごまかしではなく、まず謝罪から入らなければ、与野党協議など進展するわけがない。
 最低保障年金7万円が、「年金を払っていない人にまで出る」と言って2年半前の総選挙で圧勝したこと自体がまるで“フィッシング詐欺”であった。同年金についてはマニフェストの最初に明記されており、まさに公約の1丁目1番地だった。誰もが政権が代われば、すぐにもらえると疑っていなかった。問題は年金がわずかしかもらえないか、もらっていない層を狙った悪質さである。哀れにも「年金が7万円ももらえるから」と投票した老人を何人も知っている。
 おそらく幹事長・小沢一郎の「財源など政権取ればいくらでも出る。無駄の削減で予算の1割は捻出できる」の“空想性虚言”を根源として、財源は16.8兆円確保出来るとの誤算がまかり通っていたのだ。しかし問題は、社会保障と税の一体改革を昨年6月に決めるに当たって、「民主党幹部の間で、『最低年金をどうする』ということになり、実現は無理だから理論武装をしようということになった」(民主党筋)というのだ。誰かが「制度改革だから遠い先になる」とアイデアを出し、そして事務当局に「試算」なるものを作らせた。もちろん実現は遠い半世紀以上先に設定したのである。
 この結果、「試算」ができたのだ。最低保障年金を導入すると、いまの基礎年金制度を続ける場合に比べて、2075年度で最大25兆円あまりの追加財源が必要となるうえに、消費税10%への引き上げとは別に、新たに7%分の増税が必要になるという「試算」である。要するに、今にも実現するという有権者の思い込みを修正する必要に迫られて作ったものに他ならない。そして今年に入って国会論戦を前にマスコミに試案をリークして、「公表せよ」、「いや公表しない」の論議の過程を経たうえで、結局公表したのだ。「先延ばし定着」のための実に巧妙な操作だが、すぐにばれることが分かっていない。
 何故ばれるかと言えば、物事は原点を見ることだ。有権者は紛れもなく選挙演説で「明日にも実現」と思い込まされていたのだ。当然「話が違う」ということになるが、民主党幹部は「試算」で言い逃れできると思っている事がサル知恵なのだ。そもそも選挙演説で「半世紀後の話です」と断った候補がどこにいたかということだ。すべての候補が「政権取れば実現」で当選してきているのだ。マニフェストに「半世紀後の話」などと「註」がついていたかということだ。つける訳がない。党を挙げての確信犯であった。
 政権の中でもさすがに正直派がいるが、嘘つき派もいまだに存続している。正直派は政調会長代行・仙谷由人、嘘つき派は副総理・岡田克也だ。仙谷はさすがに逃れられないとみたか、5日のNHKで「総選挙で明日にでも実現するような説明をした。もう少し丁寧にやるべきだった。明日から7万円の議論になってしまったことは、訂正して謝罪しないといけない」とあっさりかぶとを脱いだ。一方、偏執癖のある岡田は11日、最低保障年金について「『絶対これは譲らない』と言ったら(与野党)協議にならない」と述べ、与野党協議促進のため、撤回の余地もあるとの考えを示した。しかし撤回の余地もへったくれもない。もともと虚構の最低年金であり、撤回でなく、政権は仙谷のようにに訂正して謝罪するのが筋なのだ。野田は方針通りに来年、年金改革法案を国会に提出するとしているが、それまで政権が続くのか。来年のことを今言えば、鬼が笑うのだ。自民、公明両党も馬鹿ではないから、虚構の構図はおそらく推察している。だから与野党協議には応じないのだ。
 野田は消費税率の引き上げ法案の「大綱」を17日に閣議決定し、場合によっては単独ででも国会提出する構えだ。いよいよ将棋で言えば中盤戦激突の火花が散る段階に入る。野田の消費税導入路線自体は正しいが、成立できたとしても総選挙となれば、最低年金で必ず有権者の手痛いしっぺ返しを受ける。それにしても17日と言えば小沢裁判の重要な転機となる日である。元秘書・石川知裕の供述調書が証拠採用されれば、4月の判決は有罪へと向かい、小沢グループは崩壊の危機にひんする。証拠採用されないことになれば、小沢の無罪の可能性も出てきて、またまた小沢が大見得を切って六方を踏む。その日を狙ったわけでもあるまいが、民主党政権にとって厄日となりそうだ。暦は友引とある。朝晩は吉、昼は凶だ。


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◎“亀井遠心力”で「石原新党」混迷

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◎“亀井遠心力”で「石原新党」混迷
「亀井が動けば動くほど遠心力が働く」と、たちあがれ日本の幹部がぼやいている。「亀井にしゃべればテレビでしゃべったのと同じですぐ全国的に伝わる」とも漏らす。国民新党代表・亀井静香の“信用度”がここにきてがた落ちとなっている。「亀井の怪情報」(都知事・石原慎太郎)に踊らされたのか、先月27日一面トップで「石原新党3月発足 亀井・平沼氏と合意 」とやった朝日新聞も、4日に「石原新党、波乱含み たちあがれ日本、亀井氏主導に不満 」と早々と軌道を修正し始めた。まるで亀井が関与しては「石原新党」も砂上の楼閣になりかねない気配だ。
 それでも亀井は「新党発足は3月中。石原と橋下は既に話が付いている」とアンダーグラウンドでしきりに煽っているが、これに乗るマスコミはもはや皆無だ。新党への動きの焦点は小沢一郎が動くかどうかだが、亀井は小沢一郎が「石原新党」に「乗りたがっている」ともリークしている。しかし小沢側近によると「小沢さんが亀井さんと最近話をしたとは聞いたことがない」と全面否定。小沢自身も「石原新党」に懐疑的で「確定的な動きではない。不確定な部分がある」と否定的な分析をしている。9日もインターネット番組で消費増税に関して「歌を忘れたカナリアは我々ではない。忘れた人たちが民主党を離党すればいい」と逆に執行部のマニフェスト違反を指摘、「離党・新党」の動きを否定している。
 小沢が現在感じている恐怖感は、首相・野田佳彦が消費税解散に突っ走って、小沢チルドレンを全滅させる結果を招くことにある。小沢も独自の調査をして選挙情勢を分析しているが、結果は民主党惨敗と出たという。小沢にしてみれば4月の陸山会事件での地裁判決がシロと出れば、代表選に打って出る余地が残っており、それには人数が不可欠だ。まだ一か八かの「新党」の賭に出る選択肢はないのだ。だいいち消費税大反対の小沢が、推進論者の石原と一致できるわけがないし、石原の小沢嫌いは有名だ。水と油がいっしょになれるのかということだ。民主党政調会長代行・仙谷由人が「小沢さんは亀井さんのように極端な財政出動や金融緩和は言わない。食い違ったまま一緒になることはない」と分析しているが、その通りだろう。消費税に関して言えば亀井は石原だけでなく大阪市長・橋下徹とも180度方向が違う。
 問題は亀井が活用しようとしている石原の動きだが、石原は79歳という加齢もあってかその発言が四分五裂気味だ。たちあがれ日本の会議で「皆さんに命を預けて一緒にやろうじゃないか」と、明らかに新党に前向き姿勢を示したかと思うと、その舌の根も乾かぬうちに記者会見で「私から新党について言ったことがありますか」というのだから手に負えない。しかし石原の真意について政界筋は「ちょっと今は出来ないというところにある」と分析している。こうした状況の中で、たち日代表・平沼赳夫は8日の記者会見で「3月は都知事は都議会などで忙しいわけだから、それも勘案しながら進めていきたい」と述べ、3月の新党結成が先送りされる方向であることを認めた。たちあがれ日本幹部からは「1~2か月冷却期間を置く」と言う声が漏らされるに至った。
 こうして朝日がトップで報じた「石原新党」は、「亀井遠心力」が原因で海のものとも山のものともつかなくなってきた。問題は行き場がなくなったが満たされない思いだけが強い政治家たちが、二大政党が激突する衆院選を前に消滅の危機感からじたばたしているところにある。亀井然り、平沼然りだ。もうそろそろ悟るべき年であることが分からないのだ。一方で維新の会は「大阪に本店を置いて国会の支店に社員を派遣する」と大変な鼻息だが、吉幾三の唄のように「オラ東京に行くだ」まではいいが「銀座でべこ飼うだ」になりませぬように。そもそもカリスマだけの存在である橋下が国会議員となることに怖じ気づいているようでは、いくら塾生が1000人集まっても烏合(うごう)の衆の集まりに過ぎない。課題の少ない地方でチヤホヤされて、落選必至の国会議員がわらをもつかむ思いで参加しても、国を巻き込むうねりとはなるまい。


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◎普天間固定化で“日米暗黙の了解”の構図

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◎普天間固定化で“日米暗黙の了解”の構図
 すべては「普天間固定化での暗黙の了解」がなければ進展しなかった話のはずだ。丹念に経緯を追い情報を分析すれば、普天間移設と海兵隊移転をパッケージとする日米ロードマップが崩壊した過程が見えてくる。首相・野田佳彦の全面否定にもかかわらず、米政府や議会筋の情報からも普天間固定化が現実問題となったことが分かるのだ。野党側は日米秘密交渉の根源部分を14日からの予算委集中審議で追及することになる。
 舞い上がった首相・鳩山由紀夫の発言がすべての発端だ。「最低でも県外」が、自公政権が積み上げてきた普天間移設をガラガラと根底からぶちこわしたのだ。ガラス細工であったが故に、8日の普天間移設と海兵隊移転の切り離し発表は、補修は不可能という方向を証明したものに他ならない。鳩山発言は2010年の普天間移設の日米再合意以降も祟(たた)り続けたのだ。沖縄現地の反対運動に火が付き、にっちもさっちもいかなくなったのである。
 こうした中でしびれを切らした米議会は昨年12月12日海兵隊グアム移転の予算の全額削除で合意、議会有力者の間では普天間移設を「断念せざるを得ない」との見方が強まった。米軍嘉手納基地への統合の検討を含めた現行計画の見直しを政府に求める動きも生じた。辺野古を代替施設にすることは不可能視されるに至ったのだ。これが落ち目のオバマ政権への圧力となって陰に陽に作用し続けた。
 一方、日本側も膠着状態打開の道が見当たらなかったが、沖縄側は知事・仲井間弘多が外相・玄葉光一郎に非公式に「移設・移転の分離が出来ないか」と打診。玄葉は当初は断ったが、次第に分離論へと傾いて米側を打診した。しかし米側は分離に難色を示し、日米双方が問題を抱えたまま、降着状態に陥った。動きが出始めたきっかけは、昨年11月17日にオーストラリアの議会で行ったオバマ演説だ。オバマは「アジア太平洋が最優先」と位置づけ、世界戦略の軸足を中国の台頭著しいアジア太平洋地域に移す宣言をしたのだ。この戦略上の大転換は、来週13日の大統領の予算教書発表で定着するが、そのためには日米間ののどに刺さった骨を除去しなければならない。海兵隊移転の早期実現が不可欠になったのだ。
 大統領演説を受けて国務・国防両省は、かねてから玄葉が打診していた「移設・移転の切り離し」に前向きに応ずるようになった。おそらく12月19日の玄葉・クリントン会談も切り離しが最大のテーマとして確認されたことが予想される。この切り離しの大方針を受けて審議官クラスの秘密実務者会議で13日の予算教書をデッドラインとして協議が進められ、8日の発表につながったのだ。
 このような経過から推測する限り、「普天間の固定化」は話し合いにあたって暗黙の大前提になっていたことが分かる。しかし日本側は鳩山発言で壊した問題を日米再合意で修正したのであり、さらに固定化となれば二転三転を印象付け、とても野田政権は持たない。野田としては「普天間移設死守」を表明し続けなければならないのだ。こうして発表は「切り離しだが普天間固定化はしない」となったものだが、米側は日本の政治事情など考慮しないからその点気安く情報を漏洩する。共同通信によると、米政府高官が1月末、米軍普天間飛行場移設問題の停滞を直ちに打開するのは困難で、普天間を当面現状維持するしかないとの考えを日本側に伝達、「固定化」はやむを得ないとの認識を示していたことが分かったという。また別の情報によると国防総省が米議会との水面下の交渉で、普天間を辺野古に移設するための代替施設建設を断念する意向を伝達していたことが分かったという。状況証拠的にも米側が普天間飛行場の再整備に乗りだし、日本側に費用の分担を求めていることが注目される。
 民主党政権の必死のカバーアップにもかかわらず、米側からはボロボロ交渉の実態が漏れ始めているのだ。自公両党にしてみれば鳩山に壊された普天間移設のロードマップを、民主党政権が修復したふりをしてまた壊したことになるわけだから怒り心頭に発するのも無理はない。副総裁・大島理森が「普天間基地の移設と海兵隊のグアム移転を分離することは、これまでの日米合意を根底から覆すもので、普天間基地の固定化につながるゆゆしき事態に陥っている」
と述べているとおりだ。今後消費増税問題に勝るとも劣らない問題として国会論議の焦点となる。これを乗り切るにはまず最大のアキレス腱である防衛相・田中直紀を、追い詰められてからでなく、一刻も早く更迭することから始めなければ、事態はぐちゃぐちゃになる。この際田中は自発的に「任にあらず」と辞任するのが政治家としての立派な出処進退なのだが、どうか。今後米側から新事実が次々に出されることも予想され、野田政権は第二波第三波に見舞われていくだろう。 


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◎「エイリアン」と「GKB」では情けない

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◎「エイリアン」と「GKB」では情けない
 「しっかりとセンテンスを見て欲しい」というから、しっかり見たが、どうみても自民党幹事長・石原伸晃の「胃ろうエイリアン」発言はひどすぎる。「我が身をつねって人の痛さを知れ」は、政治の要諦だと思うが、おぼっちゃまの冷たい上から目線しか感じない。同じく、政府の自殺防止キャンペーンの標語も、アイドルグループをもじって遺族を傷つけた。この国の政治のレベルの低下は目を覆わんばかりだ。
 石原と同じような言い訳を、かって父親の都知事・石原慎太郎がしたことを思い出す。1999年府中療育センターを視察した後に、同センターに入所している重い知的障害と重度の身体障害をあわせもつ子どもや大人をさして、「ああいう人って人格あるのかね」と述べたのだ。発言後あわてて「文脈を見よ」と言い訳したが後の祭りで、ごうごうたる非難の的となった。
 その遺伝子か、刷り込み教育か、今回の伸晃発言は父親に勝るとも劣らない。「意識が全くない人に管を入れて生かしている。何十人も寝ている部屋を見せてもらったとき、何を思ったかというと、『エイリアン』だ」と述べたものだ。このセンテンスはどうみても言い逃れが利かない。問題になった後の弁明で「私自身も『胃ろう』のようなことは行わないと、夫婦の間で決めている」と“追撃”したことからも確信犯的である。
 ことは人間の生命の尊厳に関わる問題であり、軽率のそしりを免れない。とりわけ胃ろう治療の知識の欠如は政治家としてもいかんともしがたい。専門家によれば胃ろうは末期の患者に施されるとは限らず、完治して外して元通りになるケースもいくらでもある。患者自身や介護者の負担も軽減され、大政党の幹事長からエイリアン呼ばわりされる筋合いのものでもない。
 政治家には弱者を見る眼差しが不可欠だ。国宝級の観世音菩薩像の眼差しだ。それが最近の政治からは欠落してしまっている。その原因の一つが、軽佻浮薄な民放テレビ討論のはびこりだ。キャッチフレーズを使って、相手をやり込めて悦に入る。ワンフレーズ・ポリティックの繰り返しで、タレント系の石原のような発言が重宝される。口から生まれてきたような政治家に人気が出て、まじめな勉強型は脚光を浴びない。石原の発言を見ればエイリアンを嚆矢(こうし)として、父親の石原新党の動きを「人の懐に手を入れる」「父は利用されている」「ハムレットの心境」とまるで他人事だ。国民新党幹事長・下地幹郎が「親子でよく話せ」と皮肉っているのが永田町の空気をよく現している。このようなタイプの政治家ばかりがはびこりだしたから、日本の政治レベルの低下が著しくなったのだ。石原は世に「石・石戦争」といわれ、後継総裁に石破茂と競うような形となっているが、重厚味は格段に石破の方がある。
 そのレベルの低さの象徴が政権の側にもある。自殺防止キャンペーンの標語に人気アイドルグループ「AKB48」をもじって「GKB47」とやろうとしたことだ。「GKB」は「ゲートキーパー・ベーシック」の頭文字で、自殺のサインに気づいて防止する「門番」の役割をもじったものだ。47は都道府県の数だ。これも自殺をテレビのアイドルと同一線上に置く、軽率きわまりない造語だ。政権内外からの非難の対象になったが、担当の副総理・岡田克也は、当初は原理主義者の評判通り標語に固執した。しかしあまりの評判の悪さに「どうしても困る方がいれば耳を傾ける」と渋々軟化。それでもゲートキーパーにこだわって「あなたもゲートキーパー宣言」とした。しつこいのである。1度ケチがついた言葉にこだわるのは、若者流に言えば「サムっ!」であり、「イタっ!」でもある。
 こうした思慮のない言葉は池田勇人の「貧乏人は麦を食え」以来、我が国政治家の伝統だが、昔は少なくとも“温み”があった。近ごろとみに目立つのは冒頭述べた「冷たい政治」だ。石原も岡田も強者の論理をまかり通らせようとする傾向があるように見えてならない。これでは「サムっ!」「イタっ!」「ツメタっ!」の三拍子がそろう。


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◎普天間固定化は事実上確定だ

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◎普天間固定化は事実上確定だ
 「例えば10年間は固定化で、その後は固定化でないかも知れないから固定化ではないと言うのか」と、6日の参院予算委で自民党の林芳正が皮肉ったが、普天間移設問題の状況をよく言い表している。日米秘密交渉がブルームバーグ通信にばらされ、3日外相・玄葉光一郎が明らかにした海兵隊移転見切り発車の日米合意は、普天間の固定化そのものである。すべての報道に先だって2日に筆者が「民主政権による普天間移設は絶望的となった」と書いた見通しがピタリと裏付けられた。
 玄葉の最近の口癖は「抑止力を維持しながら静かに協議」だが、「静かに」などという言葉が外交に使われるのは珍しい。おそらく米国務長官・クリントンから漏洩しないようにクギを刺されていたのだろう。林が「静かにとは、こそこそ隠れて、議事録をとらないということではないか」と指摘したとおりだ。秘密外交を象徴している。民主党政権の外交が自転車の初心者の練習のように「危ない危ない」と言われながら転倒したのが、今回の米軍普天間移設と海兵隊のグアム移転問題の切り離しだ。予兆は昨年秋からあったことだ。米議会は海兵隊移転の予算を拒否し、米政府、議会の双方から陰に陽に「普天間固定化」が警告的に発信され続けて来た。12月19日から日米外相秘密交渉が始まり、13日の大統領教書発表を前にして、いよいよ猶予がならなくなって公表を迫られたのが顛末だ。
 野田は林の質問に「抑止力を維持しながら、沖縄の負担軽減を具体的に進めるために、どう知恵を出すかということ」と発言したが、知恵は米側が出したのである。今さら出す知恵があるのか。要するに見切り発車だ。米政府にしてみれば、議会の圧力に加えて、中国の海洋進出で極東への兵力シフトは一段と切迫してきており、猶予は出来ない状況になった。大統領の一般教書ではおそらくアジア重視の新国防戦略を表明するのだろう。そのためには日米間の、のどに刺さった骨を取り除かなければならなかったのだ。
 すべては元首相・鳩山由紀夫の「海外、最低でも県外」発言に起因する。それでも懲りずに鳩山は、記者団に「普天間がずっと固定化する状況にならないよう、クギを刺しておかないといけない」などと相変わらずノーテンキなことを言っているが、もう予見しうる将来普天間は固定化されるのだ。米政府が普天間継続使用のための維持、補修の経費を日本側に要求してきていることなどがその証左だ。米側は海兵隊移設費用の日本側負担も要求し続ける方針であり、日本政府は基地移設がないまま費用だけを分担するという結果になりそうだ。最大28億ドルの分担を軽減できるかどうかだが、どうも米側は“やらずぶったくり”の構図を描いているようだ。8000人のグアム移転が4700人になったのだからと言って、やすやすと分担の大幅な軽減に応ずるとは思えない。米側にとっては8000人が沖縄から移動することに変わりないからだ。
 問題は野田が「普天間固定につながることがないよう全力で協議を進める」と、この期に及んでも依然移設を進める“ポーズ”を見せていることだ。しかし、この発言の本質は問題の糊塗に過ぎない。「移設断念」とでも言えば政権は即退陣に直結しかねない。海兵隊の一部を岩国へ移駐させる案が米側から出ているが、日本側は拒否の方針だ。ここは普天間移設の“光明”を消すことが出来ないのだ。普天間移設のラッパは最後まで手放さずに、消費増税法案の今国会成立に専念できる態勢を作りたいのが本音だ。消費増税が実現すれば、一内閣一仕事で、普天間問題は次の内閣以降の課題になるというのが野田の思惑ではないか。
 この結果市街地のど真ん中にある基地の危険性は、残念ながら除去されがたい方向となった。1万人の海兵隊は残留して普天間は維持されるのだから、沖縄の負担が大きく軽減されるなどという見方は甘い。沖縄県民にとっては最悪の選択となるが、野田は未だに訪沖して県民に直接働きかけることをしない。首相周辺には移転実現を「内閣の得点」と宣伝する向きがあるというが、これこそカラスをサギと言いくるめる論理破たんだ。民主党政権は鳩山らが自ら作った虚構の報いを自分で受ける結果となった。これを自業自得という。それにつけても、この切迫した真剣勝負の予算委質疑の中で、防衛相・田中直紀の存在が羽毛の如く軽い。その存在自体が“国難”に思えてくる。
 
 


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◎首相は「原発ゼロ」を黙認するのか

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◎首相は「原発ゼロ」を黙認するのか
 防衛省問題と消費増税論議の影に隠れているが、我が国のエネルギー政策が危機に瀕している。肝心かなめの経産相・枝野幸男が「今夏の原発全面ストップ」を公言し始めているのだ。首相・野田佳彦はかねてから安全確認を前提に休止中原発の再稼働を明言してきたが、国のエネルギー政策の大転換を一経産相が口にして、そのまま放置するのか。それとも、野田政権は、解散・総選挙を意識して、なし崩しに原発ゼロにもってゆこうとしているのか。
 枝野は朝日新聞とのインタビューで、「この夏原発がゼロになる可能性はある」との認識を示した。今夏に全国で稼働している原発をゼロと想定したのだ。東京電力福島第一原発事故の影響で地元の同意を得るのが難しくなっているのがその理由であるという。枝野は「安全と安心をないがしろにして稼働することは許されますか」と開き直っている。しかしこの発言は政府の基本方針と大きくずれているのではないか。
 もともと定期検査で停止した原発は、ストレステストを実施した上で、安全と確認されれば再稼働する方針であった。停止原発を稼働させなければ4月下旬にも全54基の原発が止まり、電力の3割を失う非常事態に陥る。そのストレステストの公平さを確認するために国際原子力機関(IAEA)に調査を依頼したのは日本政府ではないか。IAEAは1日、経済産業省原子力安全・保安院によるテストは「IAEAの安全基準に準拠している」と評価して、妥当とする報告書を提出した。条件は整ったはずではないか。それをこともあろうに担当相が「安心と安全」という極めて漠然とした感情的な理由を挙げて「原発再稼働せず」を明言して良いのか。
 かねてから枝野はその発言傾向から推察して、イデオロギー的な原発反対路線をとっていると感じていたが、今回の発言はますますその感を強めさせる。前首相・菅直人がソフトバンク社長の孫正義と連携して新エネルギーが今にも実現するような虚構をばらまいたが、新エネルギーが全エネルギーのたった1%の域を抜け出る方策・技術など遠い先の話だ。東電は原発停止を理由に工場やオフィスなど大口契約者向けの電気料金を、平均17%値上げする方針だ。家庭向けも値上げを実施する流れだ。この電力料金の消費者への転嫁は、まさに増税と同じであり、消費増税より一足先に「電力増税」が行われるのだ。しかも原発の再稼働がなければ、全国の電力会社に波及することは目に見えている。
  電力不足が3年続いた場合、製造業の6割が国内生産を縮小・停止させるという調査結果が出ており、この夏までに停止原発を再稼働することが出来るかどうかにすべてがかかっていると言っても過言ではない。電力不足が、産業空洞化と雇用の減少を引き起こすことは火を見るより明らかだ。諸外国はおおむね「フクシマ・ショック」から立ち直って、原発建設推進が再び大きな潮流になろうとしている。石油王国のサウジアラビアですらそうだ。サウジの高官は最近日本政府関係者に対し「資源は有限だ。人類のために長く使えるようにする。そのために原子力発電と太陽光発電に力を注ぐ」と述べると共に「フクシマの経験を生かしてより安全になった日本製原発を使いたい」と申し入れてきた。太陽パネルも安価な中国製品より高くても日本製が良いと述べたという。
 その中国ですら専門家が「日本が原発をゼロにすれば化石燃料の高騰を招く。早く稼働して欲しいというのが中国政府の本音だ」と政府関係者に伝えてきているという。もちろん中国は原発大増設計画を推進している。それにもかかわらず日本だけが一部マスコミのイデオロギー的な扇動もあって、原発再稼働アレルギーですくんでしまっているのはどう見てもおかしい。野田は久しぶりに大局観がある首相かと思っていたが、閣僚の「今夏原発再稼働なし」発言を黙認するのか。それとも解散・総選挙を意識して、原発再稼働は票にならないと判断しているのだろうか。原発政策で大転換するなら、堂々とその方針を掲げて選挙に臨むべきではないか。一番政権担当者として良くないのは、国家にとってクリティカルな問題で態度をを鮮明にしないことだ。原発なくして日本経済の再興はあり得ない。ここはIAEAの判定を追い風に、原発を再稼働して突破口を開くことだ。このままでは財界に不安感が残って、生産工場の海外移転がさらに促進されるばかりではないか。


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◎石原は“ハーメルンの笛吹き男”を戒めよ

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◎石原は“ハーメルンの笛吹き男”を戒めよ
 自らの政治信条があるならば、自民党幹事長・石原伸晃がとるべき道は自ずと見えてくるはずだが、「かったるい」の一言だ。父親石原慎太郎の「新党」結成への動きを止めることもできずに、マスコミ向けに批判していてどうするのか。そもそも大政党の幹事長たるものの置かれた立場を理解していない。「石原新党」が出来て、たとえ数人でも自民党からこれに参加すれば、責任をとって幹事長を辞任するのが憲政の常道であることを知らない。
 「日本は最低でも、核装備のシミュレーションをやるべきだ。私が新党に参加するなら、必要条件の一つにする」と、もともと核武装論者の石原慎太郎が、新党綱領の条件として核武装シュミレーションで世界を“脅迫”することを主張している。社民党党首の福島みずほが就任以来一つだけいいことを言ったとすれば、それは「石原新党と大阪維新の会の連携は、古いファッショと新しいファッショが手を結ぶことだ。本当に危機的な状況だ」であろう。慎太郎という政治家は、後期高齢者特有の「短絡傾向」が最近とみに著しくなっており、一国の宰相としてもっともふさわしくないバランス感覚欠如の傾向を示している。もちろん自民党立党の綱領とも著しく異なっている。
 石原家の親子関係がどうなっているかは知らないが、おそらく専制的な父親の下、滅多に口答えできない環境で育っていることがうかがえる。しかし、現在の事態は、大政党の幹事長たる立場と父親との親子関係を当然切り分けなければならない水域に到達している。それにもかかわらず、せいぜい父親に向かって“遠吠え”するばかりである。石原伸晃は31日午前の記者会見で、新党構想について「ひとの財布に手を突っ込んでお金を取るといっているのと同じだ。わが党所属議員がそうした行動に動くべきではないと断言する」と発言しているが、これは直接父親に向かって諫めるべき話ではないか。記者会見で他人事のように言うべきことではない。
 それどころか石原伸晃は、愛知県知事の大村秀章に「親子で戦うことになった真田幸村のような心境だ」と漏らすと共に、「親子で戦った場合はおやじをよろしく頼む」と述べた。なんと父親との連携・協力を要請しているのだ。父親が息子の立場を全く考慮せずに、仕掛け人・亀井静香の誘いに乗って年寄りの冷や水を呑もうとしているのに、息子は「父親を助けよ」と自民党を除名した知事に頼む。これは幹事長としては口が裂けても言ってはならない言葉だし、まじめな党員から見れば辞任に値する。新派大悲劇で言うなら、父親に対して逆に「私の立場を考えてください。場合によっては首相になれるかも知れないときに、あんまりではありませんか」と泣いてすがりつく場面だ。要するにお坊ちゃま育ちでタレント出身の伸晃が大政党の幹事長として、「大丈夫かい」という状況に置かれていることを自分自身が認識していないのだ。
 大阪維新の会の知事・市長選圧勝で、東京、大阪、愛知の首長らが、中央政界へ向けて“盛り”がついてしまった感じだが、何か日本中がドイツの民間伝承ハーメルンの笛吹男たちに騙されているような感じがする。東京の後期高齢笛吹き男から、愛知の国政賞味期限切れ笛吹き男。そして大阪のタレント系笛吹き男の笛に踊らされているのだ。同じ維新でも明治維新とは何であったかといえば、国を挙げての外交・安保論争であった。これに対して、大阪維新の会が緊張感に満ちあふれた国際情勢を語ったとは聞かない。沖縄普天間の解決策を示したとも聞かない。国政をつかさどるつもりなら、派手なパフォーマンスは必要ない。外交・安保、財政・経済で確たる信条を語るべきだ。半世紀も前から語られている道州制の亜流のような主張を繰り返すだけで、国政がつかさどれるのか。
 千葉県の森田健作が2日、石原新党構想について「地方の知事が連携して国を変えようと主張しているが、国を変えるのは国会議員の仕事。本末転倒ではないか」と発言している。別に地方の首長が、国政を論じてはいけないなどと言うべきではないが、本質が政界再編への“風”と“勢い”頼みでは政権を取ればすぐに馬脚を現す。もしそれで政権が出来れば、確定的に、民主党政権の繰り返しとなる。いいかげんに、有権者はあちこちで現れた笛吹男にだまされ続ける政治レベルを脱すべき時ではないか。もっと自らのガバナビリティー(被統治能力)を高めるべきだ。民主党政調会長代行・仙谷由人が、大阪市長・橋下徹について「英雄待望論みたいなもので、この時代を乗り越えていけるのか」と切り捨てているが、その通りだ。有権者は冷静に見極めるべきだ。石原伸晃は父親の笛をまず取り上げることが出来るかどうかで、政治家としての力量を試される。


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◎民主政権による普天間移設は絶望的となった

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◎民主政権による普天間移設は絶望的となった
 すべての原因はルーピー首相・鳩山由紀夫の「最低でも県外」発言で、普天間移設のガラス細工を壊したことに端を発しているが、今度もその“祟り”といってもよい。いわばベテランで最後の切り札として登場した沖縄防衛局長の不祥事である。これにより、もう民主党政権下において普天間移設問題が解決することは不可能視されるに至った。小躍りして喜んでいるのは軍拡膨張主義をとり続ける中国だけだ。
 朝日がトップで「防衛局長厳重注意へ」とやったのを見て、そんなに処分が軽くて済むのかと思ったが、急きょ「更迭論強まる」へとかじを切り始めた。マスコミも政府も甘いのだ。官房長官・藤村修は局長・真部朗の進退問題について何と、「『いいことだ』という評価も出るかもしれない。国家公務員が選挙にどう臨むか。公選法違反にならないようにというための活動はあってもいい」と驚くべき見当違いぶりを発揮している。自民党と共産党の候補がいて、隊員を呼び集めて「投票を棄権するな」と言えば、自民党候補への投票を促すもの以外の何物でもない。投票を促すのは選挙管理委員会の仕事だ。何で防衛局長が代行するのか。問題は昨日筆者が指摘したように、これが防衛省の組織ぐるみで行われている可能性が強いことだ。朝日もこれに気づいたか2日付社説で「こうした動きは沖縄県内だけなのか。全国の自衛隊駐屯地でも似たようなことがありはしないか」と問題の拡大を予想している。「第3者調査期間で徹底的な検証を」と主張している。
 こんご国政選挙、地方選挙を問わず自衛隊“集票マシーン”の組織ぐるみの選挙介入が暴かれ、クローズアップする可能性が強い。問題は、ことが自民党政権時代に定着させた自衛隊の“活用”の構図であることだ。今度も自民党候補への投票を企図している。自民党は深く追及すればタコが足を食らう構図となる。まさに因果はめぐる火の車だ。深刻なのは局長の更迭で済む問題ではないということだ。防衛相・田中直紀への問責決議可決への“補強材”となることは間違いない。とりもなおさず首相の任命責任も連動して問われる。
 次々にこれでもかと言った具合に普天間移設問題をめぐって生ずる波乱要素が何を意味するかだが、普天間移設への日米合意など、全くめどが立たなくなったといえる。政府は2012年度予算で沖縄振興費を沖縄の要求通りに満額回答で積み増しし、手順を踏んだ上で6月には辺野古沿岸の埋め立てを仲井真知事に申請するシナリオを描いていた。こうした青写真は普天間移設問題のキーマンである防衛局長が「犯す前に犯すと言うか」発言をして更迭されたかと思えば、今度は選挙介入で大頓挫だ。統率する大臣は“素人”に続いて“愚鈍大王”が就任、連日の予算委で面接試験が行われている。まるでパロディーではないか。首相・野田佳彦は5月訪沖を検討しているというが、野田は消費増税という大事業を抱えて、正直沖縄どころではないというところだろう。消費税政局のテンポも、普天間移設問題にかかわっている“隙間”がないとみるべきだろう。いつ解散に追い込まれてもおかしくない上に、5月から6月の会期末にかけては、政局が燃えさかる最中である。そこに大混乱を伴う辺野古埋め立てなどを挿入できる余地などゼロといってよい。
 こうした体たらくをみて、米議会でも移転先を辺野古にすることの困難さを認識して、別の方策を検討・主張し始めている。米政府も海兵隊の再配置を含めて現実的な対応をとらざるを得なくなるものとみられる。中期的には「普天間固定」が現実のものとなりつつある。触手を伸ばす中国は日本の混乱と、これがもたらす日米関係の齟齬(そご)を、欣喜雀躍(きんきじゃくやく)して見守っている。それでも防衛省は、日米合意に固執して、普天間移転に執着し続けているのが実態だ。そのはかない環境作りの一つが防衛局長の選挙介入であったのだが、ばれてしまっては元も子もない。要するに消費増税一辺倒の野田政権は、普天間問題を解決する余力がなく、政局の現実もそれを許さない。消費増税が実現すれば解散は必至であり、民主党政権が続くことはおぼつかない。従って民主党政権下における普天間問題解決は絶望的な様相を示していることになる。 


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◎“弱い脇腹”田中を「袋叩き」の予兆

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◎“弱い脇腹”田中を「袋叩き」の予兆
 「普段女房の真紀子から鍛えられているから持ちこたえる」と言うジョークが永田町で飛んでいるが、防衛相・田中直紀の予算委員会答弁をつぶさに見た限りでは、とてももたないのではないか。あまりに人が良すぎる。人が良いと言うことは永田町では蔑称の代名詞だが、ちょっと度が過ぎている。おまけに事実上自らが集中砲火を浴びるための予算委外交・安保集中審議であることを理解していない。無断で15分も閣僚席を空けるなど、緊張感が全く足りないのである。
 だから委員会における野党質問もまるで「口頭試問」のようになる。例えば山谷えり子(自民)が南スーダンに派遣された自衛隊の警護について尋ねたのがその例だ。間違って「まだ決まっていない」と答えたが、実際にはバングラデシュ部隊が警護している。結局山谷から答弁撤回を求められて「理解してなかったことは大変申し訳ない」と陳謝する羽目に陥る。今後予算委はあの手この手でこの「面接試験型袋叩き」が繰り返される。そして、田中の“資質”が浮き彫りにされる。
 横で右往左往ぶりを眺めていた首相・野田佳彦は「田中大臣は、外務政務次官や参議院の外交防衛委員長などを務めたことも踏まえて、適材として、判断した。就任直後で、いささか緊張している向きもあるかもしれないが、しっかり職責を果たしてほしい」と、今のところは擁護している。しかし過去の閣僚辞任例における野田発言はすべて「しっかり職責を果たしてほしい」であった。この野田答弁が出始めると“更迭”の2文字が浮遊し始めるのだ。田中は義父田中角栄について「田中の父は国会論戦の名手として有名だった。そこが私との最大の違いだ」と述べたが、もともと比較に値する政治家ではあるまい。格が違うのだ。
 既に難問が浮上している。共産党がやり玉に挙げた沖縄防衛局長・真部朗の進退問題だ。防衛局は自衛隊員に対して局長の宜野湾市長選をテーマとする「講話」への出席を呼びかけたのだ。防衛省が調査した結果、真部は投票に行くように啓発したものの、特定候補への投票依頼はしていないことが分かった。しかし市長選は保守対革新の2人の候補で戦われる。局長が「講話」をするということは、共産党の推す候補でなく自民党の候補への投票をせよと言外に言っているに等しい。国家公務員の選挙運動を禁じた公職選挙法などに直接的に抵触する可能性は少ないが、実態はまぎれもない選挙運動だ。だいいち「投票に行け」などという指示は選挙管理委員会の仕事だ。局長の更迭処分は免れまい。
 この宜野湾市長選への自衛隊の“関与”は氷山の一角に過ぎない。これを機会に国政選挙や地方選挙における自衛隊の動きが注目の的となることは必至だ。ネットでは元幹部自衛官がブログで、選挙関与の実態を暴露している。その内容は「自衛隊が選挙になると毎度、やっている教育。それはどこの党に投票する、そして視認情報を集めてくる教育である。その教育は部隊毎に行われ、定期秘密保全検査のため機会教育簿に教育をしたという証拠として記載する」のだという。そしてこの「機会教育簿」には「『政党を良く承知せよ』と書かれている。『投票したならば中隊本部に連絡せよ』と言っている」と暴露している。「自衛隊では投票率が、ほぼ100%なのである」とも述べて、上部の意向が隊員に100%近く徹底されることを物語っているのだ。最後に「国民のみなさん。自衛隊が、組織を利用して自○党に投票するよう教育し投票させる行為は、公職選挙法や自衛隊法違反ですがこんな事が許されていいのでしょうか?」と結んでいる。
  自衛隊が各種選挙で“活動”することは周知の事実だが、これも本省レベルからの暗黙の指示がなければ出来る話ではあるまい。今後宜野湾市長選をきっかけに過去の例が「本省ぐるみ」として暴かれてゆけば、防衛相の責任問題へと発展する。宜野湾市の例もハンドリングをあやまると田中を直撃することになりかねない。それに普天間移設問題をはじめ緊張する北東アジア情勢を抱えて、防衛相は国会質疑の焦点でもある。これを野田がろくろく資質を確かめもしないで任命した責任は大きい。防衛相への不信任案や問責決議案
が上提されれば、可決されるケースも想定されよう。当然野党は政権の一番弱い脇腹である田中に照準を定めている。


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