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◎石破は「安倍改憲」の岩盤を崩せない

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◎石破は「安倍改憲」の岩盤を崩せない
   総裁選多数派工作も伸びまい
    自民は年内に憲法改正案作成
 どうやら元自民党幹事長・石破茂は、改憲論議を軸に来年9月の自民党総裁選を戦う決意を固めたようだ。最近の石破発言から見る限り、総裁・安倍晋三の改憲構想を、12年に作成した自民党草案を盾にとって論破しようという姿勢がありありと見えてくる。たしかに安倍の9条3項に自衛隊追加構想は、国防軍新設をうたった自民党案とは基本概念を異にする。党内論議は白熱化するが、問題は物置でほこりをかぶっていた旧案が、政治論として安倍提案に勝てるかどうかだ。安倍提案はいわば改憲への突破口と位置づけられるが、石破が旧案を掲げても国民は新鮮味を感じない。地方党員を引きつけられるかどうかも疑問だ。政治的には牽引力がないのだ。大失政や大汚職がない限り総裁選で石破に勝ち目はないと思う。
 まず安倍のポジションを見ると、「東京オリンピックが開催される2020年は日本が生まれ変わる年。その年に新しい憲法の施行を目指す」として本丸の9条改正に踏み込んだ。内容は1項の武力の行使と2項の戦力不保持をそのままに、憲法に規定がない自衛隊に関する条文を追加させる構想だ。これに対して石破は真っ向から反対する。まず石破の主張の核心は「自衛隊を加えたときにそれが軍隊なのかという矛盾が続く」という点と「実質的には自衛隊が警察権しか持たない現状の追認に過ぎなくなる」の2点に絞られる。その上で石破は民放テレビで「私に限らず総裁選に名乗りを上げる者は、この問題を絶対に避けて通れない。これを総裁選で議論しないで何を議論するのか」と、立候補を事実上宣言した。加えて石破は「総裁として発言するのなら自民党員に向けて機関紙や党大会で発言すべきだ」と安倍を批判した。これは明らかに地方党員の支持を狙っている。いまや石破派の参謀的存在である鴨下一郎も14日のTBSの番組「時事放談」で、「来年の総裁選に石破さんは必ず出ると思う」と述べるとともに、同席した民進党玉木雄一郎もびっくりの安倍批判を展開した。
 もはや石破派は、完全に反主流として行動する姿勢を整えたと見るべきであろう。こうした石破の姿勢は、改憲論議をかき立てることで、自らに有利に事を運ぼうとする総裁選戦略が念頭にある。というのも石破は12年の自民党総裁選で勝ちそうになった体験があるからだ。同総裁選は初戦で石破が地方票165、国会議員票34で1位となったのだ。安倍は地方票87、国会議員票54で2位となり、両者とも過半数に達さなかったため国会議員による再投票で安倍が108票、石破が89票で、辛くも安倍が勝った。この経験値で石破は来年に向けて、まず地方票から積み上げる戦術を取ろうとしているのだ。深謀遠慮というのだろうか、石破は幹事長時代に総裁公選規定を地方票重視の制度に変更している。内容は決選投票に地方票を加算し、地方票を国会議員票と同数にするというもので、これが実施されれば石破が有利になる可能性があると見ているのだ。
 しかし石破は肝心のポイントを見過ごしている。それは議員の間で人望が広がらないことだ。石破派も結成以来20人で変化がなく、弱小派閥にとどまっている。12年の総裁選の時のように安倍を初戦で凌駕できるかどうかというと、難しいのではないか。というのもまず自民党の衆参議員の数が違う。2012年に衆参で203人であったものが4回の国政選挙を経て411人に増加した。倍増させたのは安倍であり、半数が安倍チルドレンということになる。石破が安倍改憲を否定しても、12年の改憲草案など知らぬ議員が半数存在するのだ。また内閣支持率は50%から60%で推移しており、こんな政権は戦後ゼロである。加えて国会議員の投票傾向に地方党員もかなり影響を受ける。まずこの岩盤を石破が崩せるかどうかだ。
 さらに世論調査で「首相にふさわしい政治家」は時事の調査で安倍22.4、小泉新次郎14.0 、石破9.8の順。FNNの調査でも安倍34.5、小泉11.9、石破10.9であり、いずれも石破はまだ総裁候補になっていない小泉の後塵を拝している。一方肝心の安倍改憲に関する読売の世論調査では賛成が53%で反対35%を大きく凌駕している。改憲発言の前は賛成49%、反対49%と同率だから明らかに国民の支持は安倍改憲にある。
 こうした中で石破の安倍改憲阻止戦略はどう展開するのだろうか。石破は「改憲草案起草委員会を再開すべきだ」と主張している。ただし「総裁の意向に添う人ばかりが起草委員になって決まってゆくのならそれは違う」と警戒している。起草委員には副総裁高村正彦らの名前が取り沙汰されており、石破に有利な構成になる可能生は少ない。幹事長代行下村博文は今後の段取りについて「年内にコンセンサスを作り、来年の通常国会には自民党から発議案を出せるようにする。総裁選の大きなテーマになることは間違いない」と述べている。年内に改正案をとりまとめる方向だ。発議案が決まれば、衆参憲法審査会での原案可決、衆参本会議での3分の2以上での可決と発議、60日から180日以内の国民投票、天皇による公布と進む。その節々において大きな波乱が生じる要素となることは間違いない。