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トランプの資質 ― 案の定 : 懸念が次々と噴出!

トランプの資質 ― 案の定 : 懸念が次々と噴出!
安保政策研究会理事長 浅野勝人

ドナルド・トランプは、ロイター通信に大統領職について質問され、「もっと簡単だと思った」と答えました。本音だと思います。
大統領はオールマイティなので、思ったことは何でもやれると思い込んでいたに違いありません。予算は議会のOKがなくては執行できないことや人事が議会の承認を必要とすることを認識していたかどうか疑わしい。司法の壁が敢然と立ちはだかるとは思いもよらなかったはずです。

最高権力者の立場に立てば、ワシントン・ポストやニューヨーク・タイムスなどマスコミの記者など物の数ではないと高を括っている態度がありありと見えました。ニクソン大統領を弾劾、辞任に追いやったジャーナリストの使命感をまるで理解していない裸の王様の風情です。

1ヵ月余り前(4/10)のブログで次の指摘をしました。
イスラエル紙「イェディオト・アハロノト」は、テルアビブで開かれたアメリカとイスラエルの諜報機関の秘密会議の席上、(2017/1月)「トランプ大統領がロシアとの不適切な関係を結ばないことが立証されるまで」という条件付きではありますが、アメリカ側が「イスラエルの入手した機密情報をホワイトハウスと国家安全保障会議(NSC)に提供するのは中止してほしいと要請した」と報じました。イスラエル側も「対ロシア政策の変更に伴う、ロシアやイランへの機密情報の漏洩」に懸念を示し、双方からトランプ大統領のホワイトハウスに対して異例ともいえる不信感が表明された模様とのことです。(月刊誌・選択)

「ウチの大統領に機密情報を知らせるとロシアに漏洩する恐れがあるのでホワイトハウスには提供しないでください」とアメリカ側がイスラエル側に要請した模様というニュースです。いくら何でもまさかそんなやり取りが両国に間であったとは考えられませんでした。

ところが、この懸念が的中したことを知らされて、唖然とするばかりです。
5月10日、ホワイトハウスで行われたロシアのラブロフ外相との会談で「私は凄い機密情報について、毎日報告を受けている」と得意げに「イスラム国(IS)は旅客機に持ち込むノートパソコンを使ったテロ攻撃を計画している」と述べ、さらにISの支配地域の地名を挙げて具体的な脅威を語ったとアメリカの主要メデイァが一斉に伝えました。

この機密情報は、イスラエルから極秘に伝えられた「最高機密レベル」のもので、特にイスラエル側から「慎重に扱うよう」求められていたという指摘もあります。この種の情報がロシアを通じて、シリアやイラン、さらにはISに漏れると情報部員の生命が危うくなって情報網の崩壊につながりかねないことが案じられています。
なによりも長年にわたって築いてきた同盟国の信頼関係が失われ、安全保障の根幹に穴が開きます。

トランプ・ロシアンゲートは、大統領選挙の頃から疑惑が幾つも重なっています。特に機密漏洩騒ぎの前日、連邦捜査局(FBI)のコミー長官を一方的に解任しました。コミ―前長官は、大統領選挙の折にトランプ陣営とロシア要人との疑わしい接触疑惑、ロシアによるクリントン候補への選挙妨害行為の存否などについて捜査を指揮する最高責任者でした。

しかも、トランプ大統領自ら、執務室でコミ―長官にロシアの大統領選挙への介入疑惑の捜査を中止するよう求めたり、自分が捜査の対象になっているかどうか尋ねたりしたことがFBIのメモに残っていると報道されています。

議会からは、野党の民主党と与党の共和党を問わず、「一つの疑惑が解明されないうちに次の疑惑が指摘される」「コミ―長官の解任はロシア疑惑封じだ」「アメリカ国民の安全とアメリカのために情報収集している人々を危険に晒す」など大統領の資質を疑い、弾劾・辞任を求める声が公然と出て来ています。第2のウオーターゲイト事件になりかねません。

不動産業ただ一筋に巨万の富を築いてきたしたたかなビジネス手法の経験があるだけで、政治家ないしは組織、機構をコントロールする官僚、軍幹部の体験皆無の大統領ですから、もともと懸念されていた資質の欠陥が噴出してきただけのことかもしれません。しかし、それにしてはアメリカ大統領の強大な権限と影響力の大きさは計り知れません。しっかりしてもらわないと世界中が困ります。そもそもトランプなる人材を大統領に選んだ政治的責任が問われかねない情況を、アメリカ国民はなんと受け止めているのか聞かせていただきたい。赤ちゃんに「ドナルド」という名前を付ける親がめっきり減ったなんていうニュースで誤魔化されたくありません。(元内閣官房副長官)