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◎俳談

◎俳談
【愛用の品を詠む】
身の回りを見渡してみよう。必ず愛用の品があるはずだ。
ペリカンとライカの古し秋灯下 毎日俳談入選
ドイツ製品は日本製と共に信頼感がおける品が多い。その代表がカメラのライカと万年筆のペリカンだ。ライカはかつて一世を風靡(ふうび)した。木村伊兵衛はライカに標準レンズをつけて珠玉の写真を撮った。ペリカンは長い間放置しておいてもキャップを外した瞬間から滑らかに書ける。ライカはレンジファインダーだが、今ではレンジファインダーは時代遅れ。値段ばかり高くて、内容が伴わない。しかし、こうした名品が古くなって秋灯下で磨いていると、なぜか心が安らぐ。
庄内竿ちぬのしなりを見せにけり 産経俳壇1席
釣り好きの父親が愛用したのは庄内竿だ。山形県庄内地方では伝統的に磯釣りが楽しまれており、庄内藩も釣りを武門の嗜みとして奨励した。武士たちは竿に凝って「名竿は名刀より得難し、子孫はこれを粗末に取り扱うべからず」といった遺訓が残されているほどだ。魚がかかると独特の震えとしなりで獲物が何であるかを知らせてくれるという。
いまや目になりしルーペや冬日和 東京俳壇入選
丸眼鏡かけて昭和の夜なべかな 毎日俳壇1席
愛用の品を一句に詠み込むのは楽しい。こつは物そのものを詠まずに生活と関連づけることだ。