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◎俳談

◎俳談
【幻想の句】
山姥の出刃となりたる二日月 東京俳壇入選
時には夢幻の世界を逍遙するもよい。心を俗世間の外に遊ばせるのだ。現実にはあり得ない世界に読者を感性を持って誘うのである。掲句は二日月を見て山姥の世界に遊んだものだ。幻想の句で大切なのは勝手な幻想を並べないことだ。読者の共感を呼ぶ範囲内で幻想の世界に導かなければならない。
春昼の折り鶴崩れ初めたる  産経俳壇入選
棚に飾った折り鶴が突然崩れ始めたような感覚に陥った。現実には折り目正しく折られたままであり、崩れてはいないが、異次元の世界をふと感じたのだ。
十六夜の天空からの高笑ひ  東京俳壇特選
十六夜の月を見ていたら、こんな時鬼が高笑いをしそうだと思ったのである。それをそのまま高笑いしたことにして一句に仕立てた。
幻想句で有名なものは
この樹登らば鬼女となるべし夕紅葉  三橋鷹女
だろう。作者は燃え上がるような紅葉に囲まれ、夕焼けにでもなったなら木に登って鬼女の如く振る舞ったらどんなに精神が解放されるだろうと思ったに違いない。願望と幻想が入り混ざった名句である。