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拍子抜け!極く当たり前の日米共同声明 浅野勝人

拍子抜け!極く当たり前の日米共同声明
(社)安保政策研究会  理事長 浅野勝人

年初、今年の特徴は、大方の予想が外れる一年だという触れ込みでした。
安倍晋三とドナルド・トランプとの丁々発止のやり取りの結果、“鬼が出るか、蛇が出るか” 
世界がかたづを呑んで見守る中での日米首脳会談でした。

期待と不安を抱いて注視していた日米共同声明は、当たり前の事柄が当たり前のまま羅列されています。歴代の日米共同声明でこれほどインパクトに欠ける無難なコミュニケは前代未聞でしょう。
激変を予想した大方の「予測が外れる」という今年の特徴に沿った政治劇の第1幕でした。予測が外れて安堵しました。

当面、日米両国を縛るのは、共同声明です。ポイントは安保と経済。
☆日米安保条約第5条が尖閣諸島に適用されることを確認した。尖閣諸島に対する日本の施政を損なおうとするいかなる一方的な行動にも反対する。

これって当たり前のこと。
そもそも57年前に締結された日米安保条約には、前文で「日米両国が極東における国際の平和と安全の維持に共通の関心を有することを考慮し、相互協力及び安全保障条約を締結する」と記されています。
当時、「極東」とはどこを指すのか「極東の範囲」をめぐって国会はもめにもめた挙句「大体において、フィリピン以北並びに日本及びその周辺の区域であって、韓国及び台湾地域も含まれる」という統一見解に落ち着きました。従って、日本の施政権下の尖閣諸島が条約の適用範囲内に入るのは当然です。

ですから、今回の共同声明は、57年前に決めた内容を確認しただけのことです。アメリカが中国に配慮して「尖閣諸島が含まれない」といったら、日本にとっては驚天動地の大ニュースです。日米同盟の破棄を意味するからです。
今回の確認によって、領有権をめぐって日中が軍事衝突したら、条約の取り決めに従って、アメリカは日本に味方すると明言したことになります。もっとも、そんな事態が起きそうになったら、アメリカは米中関係の重要性を重くみて、必死になって紛争防止のため日本に圧力をかけ、同時に中国を止めにかかるに違いありません。ですから、日中米トライアングルの軍事および経済関係を推量すれば、私は尖閣諸島で軍事衝突が起きることはないと確信しています。

☆自由で公正な貿易のルールに基づいて、日米両国間および地域における経済関係を強化することに完全にコミットする。この目的のため、アメリカがTPPから離脱した点に留意し、日米間で2国間の枠組みに関して議論を行う。

トランプが気違いのように叫んでいた「アメリカ、第一」は世界の自由貿易ルールには通用しないことが認識されて、通商、貿易は従来通りに自由、公正に行うという当たり前のことが確認されました。

2/5のブログで、安保政策以外の重要課題は「事務レベル協議の開始に合意」に留めるべきだと指摘した通りとなって、ひと安心です。
従って、経済、財政、金融、為替、雇用の重要課題は、閣僚間の事務レベルで話し合うことになりますから、すべてのネゴは今後に委ねられました。
これからは、不当に押し込まれないよう妥当な結果をめざして、日米双方テクノクラートの腕の見せ所となります。少なくとも、大統領特権を嵩にきたトランプの常識外れの横やりは、ひとまず防ぐことに成功しました。その意味では、完全に日本側の作戦勝ちです。

トランプから多額なグリーン・フイの付け回しが来たら、事務レベル交渉で突っ返したらいい。(元内閣官房副長官)