◎石破旗揚げでポスト谷垣は“石石対決”の様相
◎石破旗揚げでポスト谷垣は“石石対決”の様相
民主党の場合は54才の首相・野田佳彦がつぶれれば49才の政調会長・前原誠司への流れであり、世代交代は定着する。自民党はどうかというとまだ古色蒼然たる派閥の長が幅を利かせているが、66才の総裁・谷垣禎一がづっこければ、いずれも野田と全く同年齢の石破茂か石原伸晃へと変わる流れだろう。「石石対決」がささやかれるゆえんである。民主党政権の体たらくから言って政権交代はあり得るから、自民党内の確執は首相の座を目指したものになり得る。
昔から永田町では「人が良いは馬鹿の代名詞」と言われる。谷垣を馬鹿と言ってはかわいそうだが、人が良いことは確かだ。これで政権を簒奪(さんだつ)出来るかどうかだが、それは野田を解散に追い込めるかどうかにかかっている。解散に追い込めれば、増税法案成立の前であろうと後であろうと「消費税選挙」となり、政権交代の可能性が強い。功労者である谷垣が官邸の椅子を仕留めるだろう。
しかし、追い込めない場合は来秋の総裁選挙で確実に交代となる。もはや古賀誠(71)、伊吹文明(73)、額賀福志郎(67)、町村信孝(67)の時代ではあるまい。町村だけは若干残っているような気もするが、後継は「石石対決」が軸となりそうだ。石破と石原のどっちが強いかだが、折から、石破は自らの政策集団を38人集めて旗揚げし、事実上総裁選への名乗りをあげた。38人という数は総裁選出馬条件の推薦人20人を軽くクリアしており、玄人から見ると足がかりをつかんだことになる。石原は有利な幹事長ポストを握っており、基本的には谷垣からの禅譲路線であるという。
10月の自民党人事でもっとも奇異に見えたのが「石破外し」だろう。マスコミへの好感度で政界トップクラスの論客を外して、辛気くさい政調会長に変えた結果、自民党の発進力と破壊力は半減した。これから民主党を追い詰めなければならないという肝心なときにやる人事ではない。石破本人は「政調会長職を続けて3年やったケースはない」というが、腹に据えかねていたことは確かだ。その証拠に政策集団旗揚げの動きが人事の直後から表面化した。石破は消費税にしても環太平洋経済連携協定(TPP)にしても、煮え切らない執行部に対して歯にきぬを着せない批判を展開しており、谷垣も煙たい存在だったのであろう。
これに対して幹事長に勝ち残った石原は、言うなれば“爺殺し”的だ。父親で“専制君主”の慎太郎への対応でなれているのか、長老に取り入るのがうまく、派閥の長らの覚えもめでたいのだ。しかし、その発言たるや場当たり的で優柔不断に見える。石破がTPPで明白に「推進」の立場をとったのにもかかわらず、石原は最初はAPECでの参加表明反対、その後「ステージからは動いた」と事実上の方向転換。重要ポイントでこれでは他は推して知るべしだが、9.11テロを「歴史の必然」、放射線測定を「市民に線量を計らせないようにしないといけない」、反原発を「集団ヒステリー」といった具合だ。何でもしゃべればいいと言うものでもない。一方、石破は理路整然としすぎていて、返って危うさを感ずるが、石原はテレビのタレントやコメンテーター的で、軽くてその場限りの発言が多い。
石破も石原も政治家2代目だが、石破が野人的な側面があるのに対して、石原は2代目的な優柔不断さが随所に現れている。石破は線が太く、石原は細い。そもそも政権を目指すなら戦い取る姿勢が不可欠だが、若いのに“禅譲狙い”が本当なら情けない。やるなら石破のように“旗揚げ”すべきだろう。長老の覚えがよくても、国家は担えない。こう見てくると「石石対決」は石破の方が勝ちそうな気もするが、政局は「不条理劇場」。まだまだ分からんのだ。総選挙で石破、石原がそれぞれ何人当選者を増やせるかにもかかっている。







