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◎極東情勢で日米盤石の連携確立ー安倍トランプ会談

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◎極東情勢で日米盤石の連携確立ー安倍トランプ会談
 北取り込みで中露の動き活発化
 対米通商摩擦で日欧は結託せよ
  北朝鮮をめぐる極東情勢は米中露3大国が、金正恩の取り込みに全力を傾注する形となった。当の金正恩は完成に近づいた核ミサイルを最大限使った“火遊び”で米中露と日本を手玉に取り、有利なポジションを確保したと思い込んでいる。力を背景に外交を進めようとしているが、やがてその“実力”を思い知るときが来るだろう。日本は首相・安倍晋三とトランプの蜜月関係を生かして、2日にわたる会談で対北朝鮮で軍事的、政治的、経済的に連携をとる方向を確立させた。日米首脳会談は大局的には成功したのであり、通商問題での隔たりは時間をかけて埋めて行く問題だ。
 日米首脳会談の重要ポイントは、北の中長距離核ミサイルに対して、日米が“撤去”への共同歩調で一致したことだ。なぜなら米国はこれまで自国に届く大陸間弾道弾(ICBM)にだけにとらわれている印象が強かったからだ。ICBMだけ除去しても中距離ミサイルがそのままならば日本の安全保障は危機的状態にさらされることになる。安倍の懸念に対してトランプは「大丈夫だ。米国の懸念はICBMだが、それより深刻な問題は君らにある。同盟国である日本の利益も含めて北と対話する」と言明した。なぜか中距離ミサイルには直接的言及をしなかったことが気になるが、あくまで日本の主張が全ての核ミサイルの包括的合意であることをトランプに確認させたことは大きい。
 もう一つの問題は北がこれまで2回に渡って狡猾に世界を欺いてきたように、援助だけをとってミサイル開発をなしくづしに進めることだ。これにいかに歯止めをかけるかである。過去の交渉は全て時間稼ぎに利用され、ついに核ミサイルの完成にたどり着こうとしている状況に至った。この点日米韓では20年までに全面廃棄を迫る方向で話し合いが進んでいるようだ。非核化のプロセスが完全でないとこれまで通りの無駄骨になるのは目に見えている。そのためには工程表を確立する必要がある。国際原子力機関(IAEA)の全面的な査察は不可欠であり、核物質、関連機器の搬出までのスケジュールを立てて、それに基づく実効が重要になるだろう。トランプは安倍に「数週間以内に金正恩と会談する予定だが、成果が期待できなければ会談しないこともありうる」とを明言した。交渉が一筋縄ではいかない状況を物語る。おそらく北の核廃絶で難航しているのだろう。
 こうした中で極東情勢はこのところにわかに大国による北朝鮮との接触が活発化している。火を付けたのが3月25 日から28日まで北京で行われた金正恩と習近平との会談である。米国は直ちにCIA長官ポンペイオを北朝鮮に派遣、金正恩との会談を行った。今後4月27日には南北首脳会談、6月上旬までに米朝首脳会談。その後習近平の平壌訪問。プーチンの平壌訪問などと続く。まさに北朝鮮に対する大国による“取り込み合戦”の様相である。北朝鮮を取り込んで北東アジアにおける主導権を確保しようとしているのである。古来朝鮮半島は戦略の要衝であり、大国によって翻弄(ほんろう)されてきた。
 日本は米国と同調して、戦略的な優位を確保しようとしている。世界1位と3位の経済大国の結託は、中露を北朝鮮の経済的発展にとって大きく凌駕する力を発揮できる。その戦略はアメとムチの両面作戦である。安倍は今後の戦略について「日米両国は北朝鮮に対して核兵器を初めとした大量破壊兵器および弾道ミサイルの完全に検証可能かつ不可逆的な廃棄を求めてゆく。北朝鮮が対話に応じるだけで見返りを与えるべきではない。最大限の圧力を維持して非核化への具体的行動を実施する確固たる方針だ」とのべている。
 拉致問題について安倍はトランプに金正恩との会談で取り上げるよう要請、トランプはこれに「日本のために最善となるようにベストを尽くす」と応じた。トランプは米国人も3人が拉致されていることから、いずれにしても拉致問題を取り上げることになるだろう。トランプは拉致家族とも面会しており、実情は知っている。日本と米国の被害者帰国に大きな進展がないとは言えない。しかし、いくらトランプが取り上げたにしても、拉致問題は日本固有の課題であり、米国にとっては側面援助しか出来ないのが実態であろう。最終的には日朝間で解決するしか方法はない。安倍も時期を見定めて訪朝することも検討しなければなるまい。
 通商政策に関しては日米の根本的なアプローチの違いが鮮明となった。秋の中間選挙を意識するトランプは、対日貿易赤字削減を重視し、
調整に乗り出す構えだ。1970年代から四半世紀にわたる米国との激しい貿易摩擦で、輸出の自主規制などを迫られたことを彷彿とされる。その再来は避けるため、通商問題を協議する新たな閣僚級の枠組みをつくることになったが、経済再生相茂木敏充と、米通商代表部代表ライトハイザーは厳しい交渉を迫られるだろう。昨年1月に就任して以来、トランプは、日本のみならず世界の通商政策を引っかき回してきたが、この際日欧が一緒になって対米説得に乗り出すのが良いかも知れない。

◎俳談
【話し言葉がそのまま俳句に】
指を折って五七五をつくっていると、時々調子のいい話し言葉に飛び付きたくなる。子規もそうであったらしい。若いころ母親に「寒いね」と語りかけると母親は
毎年よ彼岸の入に寒いのは
と答えた。これをそのまま一句にしたためてしまったのが掲句である。俳句は自由な芸術であり、季語が入っていれば口語調であっても許される。筆者も茶の間の話し言葉をそのまま使った句がある。
春宵の泣くなと言へばなほ泣いて 産経俳壇1席
愁嘆場のやりとりだが昔の話だ。
昔ジルバが流行った。
黒揚羽雨のジルバを踊らうか 産経俳壇入選
虚子も詠んでいる。
初蝶来何色と問ふ黄色と答ふ 

◎俳談

◎俳談
【俳句と諧謔味(かいぎゃくみ)】
 簡単に言えば重いテーマを軽く語るというのが芭蕉の言う「軽(かろ)み」であろう。例えば
秋深き隣は何をする人ぞ
秋が深まり、山野が寂しい風情になってくると、隣の物音も気になる。今何しているのだろうかと人恋しい気持ちにもなる。筆者は芭蕉が隣人の職業を気にしているというよりも、親しい隣人が何をしているのだろうかと気遣っているように句意を読み取りたい。平明な用語で全く気取っていない。「俳諧は3尺(さんせき)の童にさせよ」と芭蕉は述べているが、まさにその言葉を地で行っている。この「軽み」をさらに推し進めると「諧謔味」になることが多い。一茶は
春雨や食はれ残りの鴨(かも)が鳴く
と詠んだ。今は鴨が池にあふれているが、昔は見つければ弓で打って食べていたと考えられる。運良く食べられなかった鴨が春雨の中で鳴いている風景を詠んだが、みそは「食われ残り」。なかなか言える言葉ではない。
筆者もユーモアのある句は好きだ。
玄関開けて「受かったよ」と大声を上げた子供がずっこけた。
合格子(ごうかくし)上がり框(かまち)でずつこける 杉の子
雑草の中で高さ20~30センチくらいのスカンポがニョキニョキと立ち上がっているのが面白いと感じて
すかんぽのぽつぽつぽつの余生かな   杉の子

◎時々当たる飯島発の“解散風”


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◎時々当たる飯島発の“解散風”
  いまだ“老熟”せぬ「狭量小泉節」
 政局がざわついてきた
   昨年9月の総選挙から半年しかたたないのに、永田町を解散説が
吹き初めている。首相・安倍晋三がモリだのカケだののあらぬ疑惑に、伝家の宝刀解散で斬り返すというのだ。 かつて佐藤栄作は「内閣改造をするほど総理の権力は下がり、解散をするほど上がる」と述べ、黒い霧解散を断行して求心力を回復、局面転換を図った。当時筆者も「解散だ」とフラッシュを打ったことを思い出す。今度もフラッシュが飛ぶかどうかだが、野党が根も葉もないことをほじくり出して、安倍を退陣に追い込もうとしているが、これが続く限り早期解散はあり得る。安倍は退陣でなく解散を選択する。分裂野党が選挙戦を戦えるか見物となる。
 政権のうち誰かが解散風を吹かせ始める政局かと思っていたが、案の定16日内閣官房参与の飯島勲が解散発言の口火を切った。テレビ朝日の朝の番組で「私だったら、もう、今、解散しますね。100%」「今の状況を見ると最悪でも過半数は十分取れる」「過半数以上議席が取得できれば、安倍内閣の持続が当たり前。何ら問題ない」などとぶちまくっていた。安倍が、国会で森友学園や加計問題での、公文書の書き換え疑惑について、「全く私は指示していないと申し上げてきた。あとは国民の皆様が判断いただくことだと思う」との発言をしたことを根拠に飯島は、「『国民が判断する』ということは、解散しかないじゃないですか。そうでしょう?」と述べた。これに先立ち飯島は週刊文春(3月29日号)で「黒い霧解散」を引き合いに、早期の解散・総選挙を提言し、「過半数維持は間違いないぜ」と書いている。
 この飯島解散風は、外れが多いが時々当たるから要注意だ。発言が安倍の了解の元に行われたか、安倍の胸中を察してのものであるかは五里霧中だが、飯島が流行の「忖度」をしていることは確かだろう。今と似た根拠レスの政権追及ムードに端を発した黒い霧解散の例を語れる現役政治記者はもう筆者しかいない。黒い霧問題は第一次佐藤内閣が発足した1965年からくすぶり始めた。その内容は現在の野党による追及に似て、黒い霧の名前通り得体の知れぬ“ヌエ”的な性格を持っていた。具体例としては虎ノ門国有地払い下げ問題をめぐる恐喝・詐欺(さぎ)事件で逮捕された田中彰治事件、防衛長官上林山栄吉の大名行列並みのお国入り事件、松野頼三の官費による私的な外国旅行などなどだ。佐藤とは関係がない、愚にも付かない問題をひっくるめて黒い霧と称して野党が追及、マスコミが書き立てた。
 今回もモリだのカケだのが「贈収賄事件」や「首相の犯罪」に直結する流れにはなく、実態がないから、言うならば「白い霧」にすぎない。白い霧の向こうからは美女が出てくるのが通例で、“怪物”が現れることはあり得ない。朝日やTBSなどを中心とする“マスコミ追及班”は、何かを引き出そうと躍起だが、これはマスコミのあるべき本道にもとる。なぜなら根拠なしに“あやしい”だけが先行して、ファクトが付いてこないからだ。むやみやたらに政権のつるし上げを図ろうとしているだけだ。
 佐藤はこうしたムードを断ち切るために66年12月27日に解散を決断、67年1月の総選挙を断行した。微減したが自民党は善戦した。日本国民はばかではない。大勢は真実がどこにあるかを訴えれば納得する国民である。任期満了まで1年を切る中での解散であった。それでは早期解散があるかどうかだが、過去にも例は二つある。一つは吉田茂のバカヤロー解散だ。1952年8月28日に抜き打ち解散を断行した吉田は、国会の予算委で社会党右派の西村栄一との質疑応答中、「バカヤロー」とつぶやいたことをとがめられ、1953年3月14日に解散を断行した。
 もう一つは大平正芳による解散だ。大平は1979年9月7日に一般消費税世に問う解散を断行したが、翌80年5月9日にハプニング解散を断行した。きっかけは反主流の反乱であった。三木派や福田派、中川グループなどの議員69人は内閣府不信任本会議を欠席した結果、可決されてしまったのだ。選挙中であった6月12日に大平が急死するという緊急事態が起こり、同情票が作用して自民党は地滑り的な勝利となった。バカヤロー解散もハプニング解散も半年か1年たたずの時点での解散であったが、首相が決戦を選択した選挙であった。
 こうした中で元首相小泉純一郎が爆弾発言をした。14日、水戸市内で講演後記者団に対して森友・加計学園を巡る一連の問題への政府の対応を批判。「言い逃れ、言い訳ばかり」と突き放した。加えて小泉は、秋の自民党総裁選について「3選は難しい。信頼がなくなってきた」と安倍3選の可能性を否定したのだ。久しぶりの小泉節の登場だが、筆者と近い年齢にしては相変わらず老熟していない。3選がないと断定する以上、誰か別の候補者がいるのか。石破茂を自民党主流派が担ぐだろうか。前外相岸田文雄が政調会長になってめざましい活躍をしたか。二人ともまだ5年は雑巾がけをした方がいい。そもそも小泉は自分の弟子の安倍を擁護するのならともかく、足を引っ張るとは何事か。まさに「狭量小泉」の面目躍如かと言いたい。

◎トランプ一触即発の状態でけん制

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◎トランプ一触即発の状態でけん制
  シリア攻撃の準備完了
 米露対立危機的状況 
 この国はの国会は一体どうなっているのか。シリアが一触即発で、場合によっては米露の大規模軍事衝突に発展しかねないというのに、野党はカケだのモリだの朝日新聞と民放受けする問題ににうつつをぬかし、世界情勢などどこ吹く風だ。何という世界観の欠如だろうか。戦争はいったん勃発すれば、連鎖を巻き起こし、北朝鮮情勢の緊迫化につながりうる事態も想定される。米国はトランプの強硬路線に傾斜して、シリア攻撃の準備をほぼ完了させた。あとは命令を待つばかりの状況に至っている。シリアをめぐる米露の対立は抜き差しならぬ事態となりつつある。
 トランプはまず「口撃」から物事を始めるから、分かりやすい。シリアのアサド政権を「自らの国民の殺害を楽しむかのように毒ガスをまく獣(けだもの)」と決めつけ、一方でこれを支援するロシアに対して「ロシアはシリアに向けられたいかなるミサイルも打ち落とすと宣言している。プーチンは準備に入るがいい。米国のミサイルが来るぞ、新しくスマートなミサイルだ」とどう喝した。
 トランプの行動はまず同盟国固めから始まった。イギリスの首相テリーザ・メイとフランス大統領エマニュエル・マクロンと電話会談して、アサドに断固とした対応で臨むことを確認した。マクロンはテレビで「アサド政権が化学兵器を使った証拠を握っている」と延べ、制裁を示唆。メイは英軍をシリア攻撃に参加させる方針を固めた模様だ。米欧有志連合による攻撃態勢を整えたのだ。しかし、ドイツは別だ。首相メルケルは12日の記者会見で、対シリア軍事行動について「ドイツは参加しない」と明言した。
 対シリア攻撃のシナリオは、東地中海に展開した米艦船や爆撃機によって多数の巡航ミサイルを発射して、軍事施設を破壊する。昨年4月には59発がシリアの空軍基地の目標を破壊している。今回はこれを上回る規模となる可能性が大きいようだ。これにロシアがどう対応するかだが、トランプの予告発言はシリアの基地にいるロシア軍兵士に避難を呼びかける性格もある。最悪の場合はロシアが反撃して、衝突が拡大し米露直接戦争に発展することだ。ロシアはシリアの基地にミサイル迎撃システム「S400」を配備しているものとみられ、反撃を受ければ米軍は無傷ではあり得ない。米露が直説砲火を交える事態になれば、史上初めてであり、事態は1962年のキューバ危機に勝るとも劣らない危機的状況である。
 この米国によるシリア攻撃は北朝鮮をも強く意識した地球規模の戦略であることは言うまでもない。シリア攻撃を目の当たりにした場合金正恩が、どう反応するかをトランプは片目でにらんでいる。おそらく「震え上がる」だろうとみている。トランプの狙いはシリア攻撃によって、北朝鮮に力を見せつけ、核兵器放棄に向かわせたいのだろう。
 一方でロシアは北朝鮮にも同型ミサイル迎撃システムを配備しており、北はシリア軍の反撃能力を固唾をのんで見守るに違いない。米軍に対する迎撃の「予行演習」の意味合いを持つからだ。金正恩はシリアの紛争が拡大して、米軍が極東で作戦を展開することが困難になることを期待しているに違いない。戦術上2正面作戦は最も愚かな作戦と言われているが、米国が中東に専念すれば北に核・ミサイル開発の余裕を与えることになる。シリアへの対応は米国の北との交渉に影響を及ぼさざるを得ないのだ。
 こうした中で注視すべきはトランプ政権の中でブレーキ役が登場し始めたことだ。これまではかつてイラク戦争を推進した大統領補佐官ジョン・ボルトンのように「平和がほしければ戦争の準備をすべきだ」といった“力の信奉者”が目立った。これに対して、国防長官ジェームズ・マティスは「私の責任は必要ならば軍事オプションを用意することだ。しかし米国は外交主導で努力する。外交的手段によって外交的結果を得る」と慎重論だ。前国務長官ティラーソンも「外交的解決はあきらめない」と述べている。
 しかしこうした慎重論もトランプ一流の“口撃”にかき消されがちだ。トランプは11日「ロシア高官はシリアにミサイルが飛来しても迎撃すると発言したが、そのミサイルが飛来するのだからロシアは準備せよ」と“最後通牒”的な発言を繰り返している。これ以上言葉がないほど脅しまくっているのだ。ロシア外務省報道官のザハロワは「ミサイルはテロリストに向けられるべきで、国際テロリズムと戦っている合法的政権に向けられるべきではない」と批判しているが、トランプ節にかき消されがちだ。

◎俳談
【常識を外す】
俳句を作る者が皆陥りやすいのは常識的用語の選択だ。雲と書けば雨、川といえば魚の類いの連想である。だから初心者は皆同じような俳句を作ってしまう。一番初めに思いつく言葉はまず類型的で話にならない。何か“事件”を起こさないと駄目なのだ。
坪内捻転は「常識外れ」の名手だ。甘納豆と季節を組み合せて
三月の甘納豆のうふふふふ
などという不思議な俳句の世界を独創している。本人は河馬が大好きだ。だから
桜散るあなたも河馬になりなさい
といった句が出来る。類想句から離脱しようとするとこのような世界になるが、実に面白い。
黛まどかは
さくらさくらもらふとすればのどぼとけ     
だそうだ。男ののど仏に憧れる句だ。他人と異なる俳句を作らなければ創作の世界とはならない。しかし、まかり間違うと支離滅裂の駄句になってしまう。初心の内は王道を歩き、馴れてきたら飛躍する句を作るのがよい。
ぬぬぬぬと写楽顔出るべつたら市 日経俳壇入選
飛躍して意外性を狙った。

◎「米中貿易戦争」安倍訪米の課題に浮上

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◎「米中貿易戦争」安倍訪米の課題に浮上
 日本経済への影響不可避
 首相財政出動も考慮か
 1930年代の米保護主義が世界恐慌を招いた歴史の教訓を無視するかのように、米大統領トランプが保護主義路線を邁進する。国際経済は「混乱の時代」へと突入しかねない雲行きであり、混乱は外需に頼る日本経済への影響が大きい。首相・安倍晋三は17日からのトランプとの会談で貿易戦争の防止策を語り合う必要が急浮上してきた。北朝鮮問題も重要だが、比重は貿易戦争の回避策も勝るとも劣らなくなった。首相は9日、官邸で日銀総裁黒田東彦や関係閣僚と会談、「日本経済の正念場だ。あらゆる施策を総動員する」と語り、積極的な財政出動も排除しない姿勢を打ち出した。 
 米中貿易戦争は段階を追って深刻さを増している。3月の第1ラウンドはトランプが鉄鋼・アルミに高関税を課すという異例の輸入制限措置を発動して始まった。中国はちゅうちょせずに豚肉など120品目に高関税を課した。4月4日の第2ラウンドは知的財産を侵害しているとしてトランプは航空機など1300品目に25%の関税。これに対して中国は大豆など126品目に25%の追加関税を課すという報復の準備に入った。第3ラウンドは米国が航空機、自動車、産業用ロボット、ダイオード、食器洗い機への課税を検討。中国がトウモロコシ、小麦、牛肉、ウイスキーなどの品目を挙げている。とどまるところを知らない様相を帯びているが、さらに中国は今後金融の解放から米国を締め出し、購入した130兆円の米債券を売りに出すことなどをほのめかしている。
 トランプは中国の対応を「中国は不正行為を是正もせずに、我が国の農家や製造業に危害を加えることを選択した」と発言した。しかし、なぜ今この時の攻勢かと言えば、トランプ政権の信任投票の意味合いが濃い秋の中間選挙を意識しているに違いない。トランプの支持率は歴代大統領でも最低の30%台を低迷してきたが、このところ40%台を回復、50%の調査もある。この流れを維持強化する戦略であろう。これに対して李克強首相は9日、日本国際貿易促進協会の河野洋平会長との会談で、「貿易戦争ではなく交渉すべきだ。われわれは断固、多国間貿易主義を守っていく」とトランプ米政権を批判した。
 米ニューズウイーク誌は米中摩擦が「日本にとって漁夫の利か」と題する論文を掲載した。中国への制裁措置は日本の製品が米国市場でシェアを拡大する可能性があると指摘する。米国が公表した1300種類の中国製品に対する追加関税品目に25%の関税が実際に課せられると日本などは価格競争で有利に立って、対米輸出が大幅に増加するというのだ。しかし事はそう簡単ではない。
 確かに日本はアベノミクスが一定の成果を上げており、このところの経済は確実に良くなっている。今後は2019年10月に予定している消費税率の10%への引き上げが課題だが、過去2回にわたる引き上げはいずれも景気を悪化させた。今回は2000年オリンピックがあるから、一時は落ち込んでもまた盛り上げるという見方も濃厚だが、アベノミクスの3本の矢を重視してとりわけ3本目の戦略である成長戦略に力を入れる必要が出てくることは間違いない。
 その成長戦略の面前に立ちはだかるのが米中貿易戦争なのだ。専門家によると貿易戦争が世界中に広がり、米国、ヨーロッパ、中国が全部10%の関税をかける場合、世界の国内総生産は1.4%ダウンし、総額100兆円以上急落するといわれる。日本は壊滅的な打撃を被るのだ。最悪のケースを想定すれば日本の国内総生産が1%以上落ちるという。それは“悪夢のけース”である。さらに重要なのは、米国の対中貿易と言っても日本が深く関わっている事実を忘れてはならない。米国の農産品を世界市場に売り出しているのは日本の商社であり、中国で製品を生産しているのは日本の企業であるケースも多い。
 米中貿易戦争が抜き差しならないのは、米中両国の対応が硬直している状態であることだ。米国は明らかに保護貿易主義への回帰であり、中国は欧米や日本とは異なる「国家資本主義」的なやり方で対応しようとしている。まさに水と油の対立であり、溶け合うことは極めて難しいまま当分推移するだろう。こうした中、トランプ大統領は8日、ツイッターに「中国と貿易をめぐる論争で何が起きようと、習近平国家主席と私は常に友人だろう」と書き込んだ。加えて、「中国は貿易の障壁を撤廃するだろう。なぜなら、それが正しいことだからだ」と指摘、「知的財産についても取り引きが成立するだろう」として、不公正な貿易の是正に自信を見せた。当分トランプは硬軟両様の構えを見せるとともに、基本的には米中経済戦争に勝つため、ドラスティックな貿易政策を維持し、中国を交渉の場にひざまずかせようとするだろう。しかし、国内の政治基盤を完全に固めた習近平がやすやすと屈するとも思えない。
 日本の対応は環太平洋経済連携協定(TPP)11への動きなど自由貿易を拡大し、各国の保護貿易を阻止することが大切だろう。もともとTPPは対中戦略の側面が大きかった。米国が中国と対決するなら、米国に参加を改めて呼びかけることも可能ではないか。安倍が訪米でトランプに気付かせることが必要であろう。
 ◎俳談
【言い過ぎない】
芭蕉の弟子服部土芳(はっとりとほう)が、芭蕉の教えを発言集の形でまとめた本に三冊子(さんぞうし)がある。「白冊子」「赤冊子」「忘れ水(黒冊子)」の3部からなり、蕉風俳句を忠実かつ体系的に伝えようとしている。この中で芭蕉は言いすぎないことの重要性を説いている。<下臥(したぶし)につかみ分けばやいとざくら>という句について言い過ぎだといっている。句意は、「風にゆれる枝の下に臥して摑みわけたいくらいの糸桜である」と言ったものだ。これについて去来が「糸桜が華やかに咲き誇ったさまを言い尽くしたものですねぇ」と水を向けると芭蕉は、「言ひおほせて何かある」と答えたのだ。「俳句の世界ではものごと言い尽くしてしまえば、後に何が残ろうか」と諭したのだ。まさに作句の急所をついた発言として未だに語り継がれている言葉だ。
 翻って初心者の句を見ると言い過ぎ句、山盛り句が一杯である。俳句は短い中でいかに余韻をもたらすかが最大のポイントである。明白すぎる説明はせず、余韻を残すのだ。
打水の最初の客となりにけり 読売俳壇入選
掲句は料亭の前に打水がしてある情景を詠んで、すがすがしさを狙った。打水といえばいまは料亭くらいのものであり、「料亭の打水」と言ってはぶちこわしとなる。日本の文学は明白すぎる説明はせず、行間を読むことが読み手に求められてきた。作者はいかに省略するかに腐心する。とりわけ俳句は省略の文学である。
『蕉門俳諧語録』でも、芭蕉は「句は七八分にいひつめてはけやけし(くどい)。五六分の句はいつまでも聞きあかず」と述べている。いかに五六分の句を作るかに腐心しなければなるまい。

考察 ― 憲法9条改正試案

考察 ― 憲法9条改正試案
安保政策研究会理事長 浅野勝人   

一般社団法人「安保政策研究会」を、アジア・太平洋地域の平和と繁栄を調査・分析するシンクタンクとして立ち上げたのは、平成23年6月2日のことです。ですから、7年が経過したことになり、この間、61回の研究会を重ねてまいりました。
研究会は、もっぱら自由闊達な討論を楽しむサロンとして運営され、なんらかのテーマについて見解を取りまとめてアピールするような 宣伝目的は持ち合わせておりません。
ただ、外交・安保政策を語り合っていますと、時に触れ、折に触れて、憲法9条と関連する言及が少なくありません。憲法9条は内外の政策と直接、間接に深く関わっていますから当然のことです。従って、そのあり様について議論することは極めて重要です。
自民党内の改憲論議もそれなりに進捗している模様なので、早晩、国会の舞台に登場することと思われます。
そこで、安保研としても「9条改正試案」をまとめてみたいと思い立ち、集中討議をしましたが、十人十色、まとまるどころか、バラバラでした。このテーマについてもメンバー各自の理念を尊重する安保研の良さが現れました。いつもの報告書(安保研リポート)通り、投稿をそのまま掲載いたしますので、楽しみに待ってください。


「9条改正―安保研理事長試案」

第2章 戦争の放棄

第9条1項 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
(現状のまま)

2項 前項の目的を達するため、国の交戦権はこれを認めない。
但し、わが国の存立を危うくする明白な事態に対処するため、必要最小限度の戦力は保持する。

<註>
☆平和主義の根幹は堅持する。そのため、後項優位の原則を踏まえて、2項に「国の交戦権は認めない」をことさら残す。
☆国家の存立を担保するため、必要最小限の戦力の保持(自衛隊)を明記する。
☆集団的自衛権の行使は、厳しく制限し、我が国領域の安全が脅かされる明白な緊急事態に限定する。従って、交戦権とは、他国への侵略等日本周辺以外への武力侵攻を意味する。
☆改正を機に「戦力不保持」を削除して、実存する自衛隊との整合性を担保する。
特に、憲法が実態を無視して、虚偽を表記していると児童、生徒に受け取られかねない表現を削除。―「陸海空軍、その他の戦力はこれを保持しない」といっても現実に保持している。義務教育で「自衛隊は戦力(軍隊)ではない」と詭弁を弄するのは好ましくない。
☆手直しは最小限に留め、自民党案のように理屈をこね回すのは感心しない。内閣総理大臣が自衛隊の最高指揮監督権を持つことは改めて憲法に書かなくても自衛隊法(第7条)で決まっている。妥当な憲法解釈と関連法案の補充で対応する方がいい。
☆素直に、国情および現下の国際情勢に合致する、わかり易い表現と組み立てが望ましい。

問題点:国民投票で否決された場合、自衛隊の存在をどのように
位置づけるか。集団的自衛権の行使を一部認めた安保法制をどう扱うかにつては、
☆憲法への明記が否定されるだけで、自衛隊は合憲と認めている現状を堅持する。従って、改正憲法が否決されても、法的存在に変わりはない。
☆現行安保法制該当部分は白紙とする。

以上(元内閣官房副長官、元NHK解説委員)

◎俳談

◎俳談
【動物の描写】   
一茶には動物を詠んだ句が多く、猫だけで330句余りも詠んでいる。蛙、雀、蚤、虱に至るまで、詠んだ句は膨大な数に及ぶ。母に三歳で死に別れて、自分は子供を亡くすなど家族に恵まれない人生を送った。一茶はその欠落を埋めるかのように小動物を愛した。
吾と来て遊べや親のない雀
は寂しかった幼少期回顧の句でもあった。
痩蛙負けるな一茶是に有り
は、弱者に対する優しい眼差しが感じられる。
筆者も動物の句はよく作る。新聞俳壇の成績もいい。
秋の日に考へているゴリラかな 産経俳壇入選
動物園でゴリラの思慮深そうな姿を描写した。
羽抜鳥人見るたびに一驚す 東京俳壇入選
本当に良く驚くのがニワトリだ。一歩歩く度に驚いている。
千の蟻一匹頭痛の蟻がいる 東京俳壇入選
ふとそう感じたのだ。 
雨蛙目玉回して飛びにけり 毎日俳壇入選
雨蛙は本当に目玉をくるくる回す。
題材を動物に求めれば、周囲に山ほど転がっている。活用することだ。
嫁が君天井裏の自由かな 東京俳壇入選
嫁が君は鼠の別称で新年の季語。鼠は大黒様の使いで正月に米や餅を供えるなどの風習があった。

◎「米中貿易戦争」深刻化の様相

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◎「米中貿易戦争」深刻化の様相
 北の対日大接近もありうる
   極東情勢一段と流動化  
 民放などで極東情勢からの「日本置き去り論」が目立つが、相変わらず浅薄だ。トランプが韓国の特使の進言を受けて米朝会談に乗り気になった結果がその理由のようだが、極東安保が日本抜きに語られることはあり得ない。17日からの日米首脳会談で安倍が極東安保の実情を説明すればトランプには分かる事だ。それよりも極東における「米中貿易戦争」の様相がここにきて一段と濃厚になってきたことを注視する必要がある。
 かねてから首相安倍晋三は北朝鮮への対応について、「過去の教訓を踏まえると、対話のための対話では意味がない。北朝鮮に完全、検証可能かつ不可逆的な方法で、核・ミサイルの廃棄にコミットさせ、それに向けた具体的な行動を取らせるため最大限の圧力を維持していかなければならない」と述べている。極東情勢をどこまで深く認識しているか疑わしいトランプも、この安倍理論には同調するだろう。安倍は日本としては譲れないコアの部分をトランプに吹き込んでおく必要がある。なぜならトランプは金正恩が核弾頭搭載のICBMを放棄するだけで「米国に届く核兵器はない」と納得する可能性があるからだ。
 これは、日本にとっては最悪のシナリオである。なぜなら日本の米軍基地や東京など大都会を狙う中距離核ミサイルがそのまま放置されれば、日本は常時北のどう喝受け続けることになるからだ。これは紛れもなく日本に核武装論を台頭させる要因である。日本が核武装をすれば極東安全保障のバランスを一気に崩壊させ、情勢は今まで以上に緊迫と流動性を帯びる。その懸念は世界の常識になりつつあり韓国の中央日報紙などは社説で「日本再武装論が台頭している」「中国が北を放置すれば重武装の日本が登場し、中国が代償を払うことになる」と核武装の可能性を強調している。米国のウォール・ストリート・ジャーナル紙は、既に北朝鮮が発射した中距離弾道ミサイル「火星12」が北海道上空を通過した後の社説で「日本の核武装に道開く北朝鮮の核容認」との題して「この中距離ミサイル発射実験は、北東アジアの安全保障をめぐる政治を一段と混乱させるだろう。そして、日本に自前の核抑止力を持つことを改めて促すものだ」と分析している。
 要するに日本抜きの極東安保は成り立たないということなのである。米朝や米中だけで極東安保を語るべきではないのだ。加えて北の核施設やミサイル発射の動きは低調にはなっているが、北が完全に核やミサイル放棄に方針転換したとみるのは言うまでもなく早計である。1980年代から北は核・ミサイルへの実験を繰り返してきており、完成がすぐそこにあるのに、放棄するわけがないのである。金正恩のレゾンデートルは核とミサイルしかないのであって、手放せばただの太った政治家になるだけだ。
 今後、外交日程は極東情勢を軸に硬軟両様の展開を見せる。4月17日から二日間はフロリダで日米首脳会談。同月27日に南北首脳会談。5月前半に日中首脳会談、同月末までに米朝首脳会談という段取りだ。日本の出番はありすぎるほどあるのだ。一連の会談を通じて安倍が果たす役割は大きい。日米首脳会談ではその後の一連の首脳会談対策が話し合われる。対北、対中戦略で重要な骨組みが打ち立てられるだろう。その内容はおそらく①トランプはいかなる情勢下においても北朝鮮の核保有を認めない②核・ミサイルで北の具体的行動がない限り制裁は維持する③米国は最悪の場合の軍事オプションの可能性を維持するーなどとなるだろう。
 こうした日米の動きに対して中国は極めて警戒を強めるだろう。中国の核問題に対する主張はあくまで「朝鮮半島の非核化」である。単に北だけの非核化ではなく、米軍も含めた非核化なのである。中国の戦略にとって北は常に緩衝材なのであり、米軍と国境を接して対峙することは望まないのだ。北と中国は朝鮮戦争を一緒に戦った血の盟約が依然として根底に存在するのであり、地政学上も切っても切れない関係にある。中国は朝鮮半島問題が米国主導で進む事には反対しなければならないと思い込んでいるのだ。中国にとっては朝鮮半島が「不戦不乱」である状態が一番居心地が良いのであって、北の政権を消滅させるような策動にはまず乗らない。
 また、米国の輸入制限に対して、中国が報復関税を発動したように、「米中貿易戦争」の色彩が一段と濃くなった。中国は米国が鉄鋼、アルミニウムに高関税を3月23日にかけたことへの対抗措置を2日発表した。ワインなど120項目に15%、豚肉など8項目に25%を上乗せしたのだ。この米中両大国の経済と外交・安保の両面での対立は歴史的必然とも言え、長期化するだろう。
 就任当初は金正恩に対する嫌がらせで、訪韓を断行したほどの習近平だが、金正恩が訪中して恭順の意を示したことから、相好をくづし方針を一変させた。習近平の前で金正恩が習発言をノートに取るという、“すり寄り”姿勢を取ったことが、大満足であったのだろう。首脳会談は会談の中身もさることながら、相手の態度が決定的な役割を果たす事もある。金正恩の“メモ作戦”は練りに練った作戦なのであろう。こうした北の外交攻勢からみれば、今後北は閉ざされた独裁国家というイメージを払拭するため、主要国との外交チャンネルを活発化させるだろう。日本に対しても大規模な経済協力を期待して大接近してくる可能性が強い。その場合、核放棄が前提になることは言うまでもない。

◎北の“非核化”にある「疑似餌」の側面

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◎北の“非核化”にある「疑似餌」の側面
 “核カード”は北の遺伝子
 日本「置き去り」の指摘は荒唐無稽
 金正恩の中国電撃訪問は、すべて5月に予定されるトランプとの米朝首脳会談対策に集約される。世界の孤児のまま対米会談に臨むことのリスクをやっと気がついたのだ。逆に中国にしてみれば、極東における“蚊帳の外”の状況を改善するメリットがある。金正恩は「後ろ盾」、中国は「存在感回復」を獲得することになった。双方にメリットがある会談だったし、中国が影響力を取り戻したことは事実だ。これにより冷え込んでいた中朝関係は一気に改善し、“死に体”であった中朝の血の同盟である中朝友好協力相互援助条約は再び息を吹き返しつつある。ただし非核化と言っても様々だ。過去2度あった北の“疑似餌”に3度ひっかかる馬鹿はいない。
 中朝の首脳会談では、朝鮮半島の非核化については大まかなスケジュールや考え方を確認したものとみられる。しかし、単に「非核化」といっても、日米と中国のスタンスは大きく異なる。日米は核の即時全面的放棄を求めるが、中国は時間をかけて解決しようとする立場だ。金自身の発言を分析しても怪しげな空気を感ずる。北朝鮮は日米の求める非核化対応をよしとしているようには見えない。
 非核化に対する金正恩の発言は「我が国の善意に応え、平和実現のため段階的かつ同時に措置を講ずれば、朝鮮半島の非核化の問題は解決することが出来るだろう」というものだ。この「段階的かつ同時に」の表現がくせ者なのだ。それは段階的手順を追ってということであり、手放しでの非核化ではさらさらない。非核化と言えば北朝鮮が一方的に核を放棄するような印象を受けるが、これまで北が主張してきたことは「米国の行動あっての行動」なのであり、米軍の核が朝鮮半島に存在すれば成り立たない論理なのである。これは核兵器の「即時放棄」を唱える日米の要求ではなく、「時間をかけて解決」という中国の方針に添って金正恩が球を投げたと受け止めることも可能だ。
 北朝鮮はきょう南北閣僚級会談、来月には南北首脳会談、5月には米朝首脳会談を控えているが、電撃訪問は金正恩が米朝首脳会談の“失敗”を極度に恐れている可能性があることも露呈した。トランプは「米朝会談は楽しみだが、残念ながら最大限の制裁と圧力は何があっても維持されなければならない」と述べるとともに、米朝協議がうまくいかなかった場合について「アメリカは全ての選択肢がテーブルの上にある」とどう喝しているのだ。金正恩は常にリビヤのカダフィー暗殺未遂事件が脳裏をよぎっているといわれている。アメリカは1986年にカダフィーの居宅を狙って空爆する強硬手段を取り、暗殺しようとした。カダフィーは外出しており危うく難を逃れた。この恐怖が金訪中の原動力となっているといってもよい。
 トランプの言うように米朝首脳会談が破綻すれば、米国による軍事行動の可能性が一気に高まる。米国を“けん制”するにも孤立状態では手も足も出ない。そこで金正恩は習近平に泣きついて、関係を改善し“後ろ盾”の存在を誇示する必要に駆られたのだ。中国を通じて米国の軍事行動をけん制してもらうしか方策は無いのだ。中国は朝鮮戦争の休戦協定の当事者でもあり、金正恩は米朝関係改善が出来なければ中国にすがりつくしか生きる道はないと考えたに違いない。
 中国にしてみれば、極東における日米韓の軍事協力の可能性をひしひしと感じているのであり、朝鮮半島の非核化や平和の定着などを進めるためにも、北の独走を防ぐ必要がある。そのための電撃訪問の受け入れであるが、これは父親の総書記金正日訪中と酷似している。1992年の中韓国交正常化により、中朝関係は極度に悪化したが、今回同様に、金正日は2000年5月29日の電撃訪中で世界をあっと言わせた。金日成が死去してから初の外国訪問であった。韓国大統領金大中との首脳会談を直前に控えていたことまで日程を模写したかのようにそっくりだ。また北がロシアと連携をする場合もあり得る。北がロシアと結べば、極東に中露北と日米韓の対峙の構図が出来る可能性がある。ロシアは欧米から総スカンを受けており、極東に突破口を求める可能性が大きい。
 問題は北の非核化のプロパガンダを真に受けて、国際社会が性急な対応をすることだ。非核化と言っても即時全面放棄を北がするわけがないからだ。世界は核問題で金日成にだまされ、金正日にだまされてきた。金日成は1980年代から核開発に着手したとみられる。1994年の金日成死後に権力の座を継いだ金正日は、「先軍政治」を掲げて核開発に専念した。北の政権は経済的に困窮すると“核カード”を切り、援助を達成するのが“遺伝子”に組み込まれているかのようである。紛れもなく金正恩も“遺伝子”の指図で動いている。従って、北の核放棄の意図はうさんくさいのだ。実質的な進展もないうちは「北の病気がまた始まった」くらいの対処が適切だ。日本政府の置き去りを指摘する浅薄な新聞もあるが、ここは慌てる必要はない。公明党の議員から参院予算委で「国民は日本だけ置いていかれると懸念している」との指摘があったが、国民とは誰だ。素人の見方であり、慌てる乞食はもらいが少ない。誰も日本を置いていこうなどとは思っていない。中国からも米国からもパイプを通じて連絡は来ている。北が厳しい経済事情を背景に、やがては日本にすり寄ることは目に見えている。ここは、北の非核化の本質をじっくり見極めてから対応しても遅くはない。

◎俳談
【忌日の句】
 著名人やとりわけ俳人、歌人などの忌日に、その故人を偲ぶ俳句を忌日の句という。西行忌、芭蕉忌、一茶忌、子規忌、漱石忌などが有名だ。忌日を詠むこつは何気ない日常を詠むことである。故人にゆかりの強いことを詠むと、即(つ)きすぎとなりやすい。せいぜい故人とは“かする”ていどの関係が良い。
浅酌をして大石忌過ごしけり 日経俳壇2席
大石内蔵助の切腹した2月4日を詠んだ。大石と全く関係のない私事を詠んでいるが、かすかに「酌」が“かする”程度である。大石は幕府の目をごまかすために京都で茶屋遊びにうつつを抜かしたといわれるが、掲句を深読みすれば茶屋での「酌」がイメージされるのだ。触れてもこれくらいにすませると嫌みにならない。
同様に陰暦11月19日の一茶忌は
雪降れば馬の目濡らす一茶の忌 毎日俳壇入選
と詠んだ。当たり前の自然現象であるが、一茶に「馬」の俳句が多いことから、これもさりげなく「馬」を入れた。
鴎外の墓にも花を桜桃忌 毎日俳壇入選
太宰治の6月19日の忌である桜桃忌を詠んだが、太宰の墓の前には森鴎外の墓もある。森鴎外を尊敬してやまなかった太宰治は、生前三鷹の禅林寺にある鴎外の墓について、「ここの墓所は清潔で、鴎外の文章の片影がある。私の汚い骨も、こんな小奇麗な墓所の片隅に埋められたら、死後の救いがあるかもしれない」と書いている。
その意を汲んで、美智子夫人が太宰をこの寺の鴎外の墓の側に葬ったものだ。
太平洋戦争の敗戦を記念した忌日もある。沖縄忌と原爆忌だ。
捻子まけば動くヒコーキ沖縄忌 毎日俳壇入選
6月23日。太平洋戦争の終わりの頃、沖縄は日米の最後の決戦地になり、多くの民間人が犠牲になった。沖縄の日本軍が壊滅したこの日を、沖縄忌という。
原爆忌は広島、長崎に原爆が落ちた忌日だ。
真夜中の北斗のひかり原爆忌 杉の子

安倍政権“イメージダウン作戦”は失速

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◎安倍政権“イメージダウン作戦”は失速
  森友問題は「幕引き」をはかれ
 空振りの反安倍報道
  事前の騒ぎばかりが大きくて、実際の結果が小さいことを大山鳴動ネズミ一匹というが、証人喚問はそのネズミすら出なかった。パフォーマンス野党の面目躍如というところか。加えて朝日、TBS、テレ朝の三大反安倍報道機関も、煽りに煽ったが見事空振りとなった。前国税庁長官佐川宣寿への喚問は、これを機会に安倍政権を退陣に追い込もうとする野党の思惑がことごとく外れた。改竄(かいざん)の解明が進まない原因は、野党や一部マスコミが無理矢理安倍官邸に改竄問題を直結させようと狙ったところにあり、それが挫折したということだ。
 共産党の小池晃書記局長は「証人喚問の意味がない。これ以上聞いても意味がない」と声を荒らげたが、もともと意味のないものを、1日3億円という膨大な国費を使って国会で取り上げることの愚かさをかみしめるべきではないか。「意味がない」ことが分かっていながら喚問して人目を引く演技をするパフォーマンス自体が「意味がない」のだ。そもそも立憲民主、希望、民進など6野党の議員はわざわざ大阪拘置所に出向き、詐欺罪で拘置中の「森友学園」の前理事長、籠池泰典被告と接見、さも隠し球を入手したかのようなそぶりを見せた。しかし、質疑を見れば新味のある発言を聴取できなかっただけでなく、蟻の一穴も開けられない体たらくであったことが分かる。刑事被告人とタッグを組む野党という“負のイメージ”が、これまたばかな民放テレビで度々流布され、パフォーマンスしか行えない野党を露呈した。
 筆者が予言したとおり、前国税庁長官佐川宣寿は野党の追及に「刑事訴追の恐れのある話であるのでコメントを差し控える」との答弁に終始した。トップバッター自民党の丸川珠代の質疑応答で全てを語り、以後のの質疑はその繰り返しでしかなかった。佐川は丸川に、首相・安倍晋三や昭恵夫人、今井秘書官らの関与については「一切ない」と明確に否定した。さらに国有地の売却について安倍や昭恵の影響があったかどうかも「全くない」と全面否定した。「守りの決意」が相当のものであることを伺わせた。逆に「問題は理財局の中で対応した」とあくまで理財局トップとして責任を負う姿勢を鮮明にさせた。安倍は昨年2月から、森友学園への国有地売却に自らや昭恵夫人が関わっていた場合、「政治家として責任を取る」と国会で答弁してきたが、佐川の答弁は関わっていないことを裏付けるものだ。議院証言法に基づく答弁は、虚偽の答弁をすれば偽証罪に問われるものであり、佐川にしても“命がけ”の側面がある。それにしても佐川は何も証言らしい証言をしなかったが、安倍らが関係していないことだけは、ちゃっかりと答えた。その“度胸”は相当なものである。丸川と佐川の質疑応答は実にスムーズであり、“出来レース”をうかがわせるほどで、野党も質問したが、否定された。闇の中だ。
 勢い込んで質問に立った立憲民主党の福山哲郎は成果ゼロの結果について「前から過剰期待はしないでくださいと言ってきた」と言い訳をしたが、後悔先に立たずとはまさにこのことであろう。人権上限界のある証人喚問で突破口を開こうとする野党戦略は稚拙で当初から無理があったのだ。
 野党はさらに昭恵を始め、夫人付職員谷査恵子、前理財局長迫田英典らの喚問などを要求しているが、悪乗りもいいかげんにした方がよい。昭恵が国有地の取引に直接関与していないことは明白であり、関与した証拠もない。真相は解明されたのであり、野党は改竄の核心には迫れなかったのだ。つまらぬ偽疑惑で政権の足を引っ張るときではない。安倍政権イメージダウン作戦は失敗したのだ。
 改竄問題は財務省内の調査や大阪地検に委ねるべきであり、佐川が「当時の担当局長として責任はひとえに私にある」と明白に発言している以上、財務相麻生太郎の辞任問題も遠のいた。自民党内は反安倍勢力萌芽の気配はあるが、石破茂や村上誠一郎、小泉進次郎の反安倍3羽ガラスでは力量不足で政権を揺さぶるところまで仕掛けを出来まい。折から北東アジア情勢は風雲急を告げており、安倍を外交に専念させた方がよほど国益に資することは言うまでもない。もう森友問題は「幕引き」をはかるべきだ。

◎俳談
【幻想の句】
山姥の出刃となりたる二日月 東京俳壇入選
時には夢幻の世界を逍遙するもよい。心を俗世間の外に遊ばせるのだ。現実にはあり得ない世界に読者を感性を持って誘うのである。掲句は二日月を見て山姥の世界に遊んだものだ。幻想の句で大切なのは勝手な幻想を並べないことだ。読者の共感を呼ぶ範囲内で幻想の世界に導かなければならない。
春昼の折り鶴崩れ初めたる  産経俳壇入選
棚に飾った折り鶴が突然崩れ始めたような感覚に陥った。現実には折り目正しく折られたままであり、崩れてはいないが、異次元の世界をふと感じたのだ。
十六夜の天空からの高笑ひ  東京俳壇特選
十六夜の月を見ていたら、こんな時鬼が高笑いをしそうだと思ったのである。それをそのまま高笑いしたことにして一句に仕立てた。
幻想句で有名なものは
この樹登らば鬼女となるべし夕紅葉  三橋鷹女
だろう。作者は燃え上がるような紅葉に囲まれ、夕焼けにでもなったなら木に登って鬼女の如く振る舞ったらどんなに精神が解放されるだろうと思ったに違いない。願望と幻想が入り混ざった名句である。

◎それでも安倍3選しか選択肢はないー自民

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◎それでも安倍3選しか選択肢はないー自民
 野党は“魔女狩り”で展望は開けぬ
  焦点極東外交に移行
 まさに国会で魔女狩りが始まったかのようである。野党が、希代の詐欺師籠池泰典に勝手に名前を使われた被害者で首相夫人の安倍昭恵や首相秘書官今井尚哉を国会の証人喚問に引き出そうとしているのだ。26日も民進党の増子輝彦は昭恵の証人喚問を要求した。しかし、首相夫人といえども民間人だ。民間人の証人喚問は過去にもあったが、事は人権問題が絡む。極めて慎重でなければなるまい。今の野党のやり口は、ことごとく安倍を敵視する朝日新聞やTBS、テレビ朝日などと“呼応”するかのように、ことを「政治ショー」化して、政権を揺さぶることを狙っている。しかし、25日の自民党大会は政局のにおいすらせず、安倍はかすり傷もなく乗りきった。自民党の良識が作用したのだ。前国税庁長官佐川宣寿の証人喚問が今日27日に終わり、予算は28日に成立して、政治の舞台は外交へと移行する。
 安倍は佐川喚問に関して26日「地検の捜査にも協力しながら、政府として徹底した調査を急がせたい。政府と国会、それぞれの立場で、しっかりと全容を解明し、うみを出し切ることが重要だ」と述べ、全容の解明に全力を尽くす考えを示した。言うまでもなく自らの関与は否定しているし、財務相麻生太郎自身も否定している。一方、野党がずる賢いのは森友学園への国有地の払い下げの問題が、壁に突き当たって追及しきれなくなったことから、新たな追及材料として証人喚問の連発という“魔女狩り”を行い、火あぶりの場をつくってマスコミうけしたいという魂胆があることだ。籠池に勝手に名前を使われただけの民間人昭恵を証人喚問の場に引き出し、魔女裁判のごとくに質問漬けにする。国会における証人喚問の場は司法不在であり、弁護士を雇うことも裁判官の判決を求めることも出来ない。
 追及する野党議員は免責特権が与えられており、何を発言しようが自由だ。引き出される一般民間人にとってはまさに地獄の責め苦を負わなければならない。このような“禁じ手”の場に昭恵を招致しなければならない理由などゼロだ。そもそも野党議員は、圧倒的多数を持つ自民党が、野党議員の家族を証人喚問の場に引き出すケースを想像したことがあるか。強権国家ならあり得ることだが、幸いにも日本の民主主義は完全に定着しており、そのような事は起こり得ない。要するに野党の要求は無理筋であり、一部マスコミにこびを売るものでしかない。野党は無理強いすれば、やがては自らに跳ね返る危険を考えているのか。
 こうした問題の根幹となっている改憲問題の展開を予想すれば、まず大きな流れとしては9月の総裁選で安倍が3選されるかどうかにある。この見通しが立たなければ、改憲の見通しも立たない。朝日は「総裁3選への道筋を付けない限り、改憲の年内発議を目指せる状況ではなくなった」と早くも、年内の発議困難という方向を打ち出している。しかし、この記事は政局判断に必要な要素を全て計算に入れないご都合主義であり、まるで「始めに見出しありき」の独断と偏見に満ちている。
 改憲の手続きはまず、国会議員衆議院100人以上、参議院50人以上の賛成により憲法改正案の原案が発議される。衆参各議院においてそれぞれ憲法審査会で審査されたのちに、本会議に付される。両院はそれぞれの本会議で3分の2以上の賛成で可決して憲法改正の発議を行うことができる。これに伴う国民投票は、憲法改正の発議をした日から起算して60日以後180日以内に行われ、過半数で改憲が決まる。
 自民党のスケジュールとしては来年度予算が成立する月末以降に改憲の条文案を国会に提示して各党協議に入る。首相3選を前提にして遅くとも来年19年の早い段階での発議こぎ着けるのだ。というのは、来年前半は春の統一地方選挙に続いて、天皇退位、G20サミットと重要日程がひしめいており、後半は2020年オリンピック対応で忙殺される。今年暮れから来年早々までの発議しかないのだ。
 問題は前提となる首相3選があるかだが、まず3選の流れは動かないだろう。野党やばか丸出しのテレビのトークショーのレベルならば、まるで安倍退陣前夜の様相だが、いずれも問題の根底を見ていない。根底とは自民党内の安倍支持勢力だ。これまでのところ国会議員票405のうち安倍支持御三家の細田派94人、麻生派59人、二階派44人に官房長官菅義偉の影響が強い無派閥を加えれば過半数を超える。これが現在のところ安定している。党大会でも微動だにしなかった。この流れを見れば、自民党内は反旗を翻して4年近く冷や飯を食うことをためらう議員や地方党員が増えるだろう。元幹事長石破茂はまず必ず立候補するが、自派議員は20人で、地方票を頼みにするしかなく、神風が吹かない限り安倍には勝てまい。「出る事に意義がある」と言うしかない。側近らが物欲しげな岸田も47人では、勝負にならない。安倍が倒れない限りは無理だ。
 キーポイントは佐川喚問で新証言が出るかどうかだが、佐川は大阪地検が捜査中であることを理由に証言を差し控えるものとみられる。改竄に自らが関与した証言を朝日や野党は期待しているが、佐川が理財局長に就任したのは、国有地売却決済の後だ。それでも佐川改竄説はくすぶっており、一部メディアは佐川が何を言ってもあげつらう事は目に見えており、今後に尾を引く問題としては残る。今後大阪地検の捜査で逮捕者が出れば再び大騒ぎになるが、近畿財務局職員らに絞られる公算が大きく、政権直撃的事態にはなるまい。
◎俳談
【そんなことあるかい句】
 「そんなことあるはずがない」といいたくなる季語が二つある。春の季語の「亀鳴く」と秋の季語の「蚯蚓(みみず)鳴く」だ。筆者もこれらの季語は気にも留めなかったが、心の片隅にはあった。それがある春の日の午後、こんな日和の日は大阪四天王寺の亀が鳴いているのではないかと思って、自然に一句出来た。
この昼は四天王寺の亀鳴けり 毎日俳壇2席
大阪勤務のころアパートから隣の四天王寺がよく見えた。池には亀がいっぱいいて長閑な風景を醸していた。この一句で俳人には、一般人の聞こえぬ亀の鳴く声が聞こえるのだと思ったものだ。実際には亀が鳴くことはなく、情緒的な季語である。藤原為家の「川越のをちの田中の夕闇に何ぞと聞けば亀のなくなり」の歌が発端で、古くから季語として定着している。
桂信子が
亀鳴くを聞きたくて長生きをせり
と詠んでいるが、聞こえた筆者は早熟だろうか?
蚯蚓鳴くもそうだ。秋の夜、道ばたの土中からジーと鳴く声が聞こえてくることがある。実はケラの鳴く声であるが、昔の人はそれを蚯蚓が鳴いているものと信じていた。そして蚯蚓には発音器がないので鳴かないが、蚯蚓が鳴くと感じる感性が、だんだん俳人の心に育つのだ。そして秋の夜のしみじみとした情緒にであうと、「蚯蚓鳴く」で一句を詠みたくなってしまうのだ。
蚯蚓鳴く六波羅蜜寺しんのやみ 川端茅舎
平家の六波羅探題のあとに出来たのが六波羅蜜寺である。その「真の闇」を語るのに茅舎は蚯蚓の鳴き声を“増幅”させた。闇の深さが一層伝わってくる。
 
  

◎政局大胆予想、6対4で安倍逃げ切り

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◎政局大胆予想、6対4で安倍逃げ切り
 自民に政局化の潮流なし
 “財務省”問題で審議会設置を        
 新聞は「首相の連続3選が確実視されてきた秋の自民党総裁選にも、暗雲が漂い始めた。」(読売)のだそうだが、果たしてそうか。民放のノーテンキなトークショーはともかくとして、大新聞が書くとそうなってしまうから怖い。しかし、小生の見たところ、6対4で首相・安倍晋三が逃げ切る。なぜなら政局化は虚弱野党がいくら狙っても導火線になり得なくて、自民党内の力関係によって発生するからだ。いまのところ自民党内は、前回書いたように魑魅魍魎しか露骨な動きを見せる者はいない。証人喚問も佐川が破れかぶれの“舌禍路線”に転ずれば別だが、その気配はない。もう国会は佐川喚問を最後に不毛の論議の区切りを付けるべき時だ。
 証人喚問は27日になるが、それに先だって自民党大会が25日に開かれる。安倍は党大会で9条改正案など改憲問題を前面に据えて意見集約を進める。総裁演説についても改憲への思いを述べ、全党員の結束と団結をよびかける。いまのところ党大会で、政権を揺さぶるような不穏な空気が組織的に生ずる動きはなく、せいぜい一部出席者の不満げな発言を民放テレビが掘り出して、大袈裟に報道する程度にとどまりそうだ。執行部は党員に発言に気をつけるよう注意喚起すべきだ。公平中立な報道を逸脱する傾向が強い民放にも法的措置を取る必要があるかも知れない。
 一方、政府・与党は前理財局長佐川宣寿の証人喚問を受け入れた。渋る首相官邸を自民党が押し切った形だ。官邸は当初、参考人招致でしのぐべきだと喚問に慎重だった。しかし、虚偽の証言をすれば偽証罪に問われる喚問に応ぜざるを得ないと与党が判断したのは、改ざんへの厳しい世論を無視できなかったためだ。加えて幹事長二階俊博は、ドスが利くのは見かけばかり。その実は小心で、けんかの仕方を知らない。最初から妥協しか考えないから、始末に悪い。
 しかし、喚問も一見佐川が人身御供になるかのように見えるが、過去の例から見ても参考人招致より喚問の方が切り抜けやすいのが実情だ。過去の証人喚問はロッキード事件、リクルート事件、東京佐川急便事件などが有名だ。筆者はロッキード事件の喚問を取材したが、証人が「記憶にございません」作戦を展開、野党は歯が立たなかった。今回のように旧大蔵省が舞台となった事件では、98年の「接待汚職」がある。東京地検は、金融機関への検査情報を事前に得ようとする大手銀行・証券会社から過剰な接待を受けた収賄容疑で、同省や日銀などの職員を相次ぎ逮捕、起訴した。同省だけでも112人に停職、減給などの処分が下った。組織が財務省と金融監督庁に分割される原因となった。
 佐川の場合は汚職の嫌疑があるわけではなく、過去の喚問事件と比べてスケールは格段に小さい。書き換え問題は大阪地検が捜査中である。したがって「捜査中の案件については発言を控える」の答弁で切り抜けるしかあるまい。また刑事訴追の恐れのある場合は証言を拒否できる。佐川は事務次官の質問に対してすら、刑事訴追を理由に回答を避けた。野党が狙う政権直撃材料は出ない可能性が高い。証人喚問は厳しいようで攻撃する側は壁が高いのである。
 野党内には「佐川氏が捜査を理由に答えなければ世論は納得しない」とけん制する声があるが、爆弾発言を期待しても経緯から言って無理だ。政府・与党は、極東情勢が厳しい局面にさしかかっているときに、つまらぬ泥濘(ぬかるみ)に足を取られているときではあるまい。昭恵夫人の喚問を狙う共産党の国対委員長穀田恵二は与党の喚問拒否について「国民の批判はずっと続く」と述べているが、総選挙で9議席減らして12議席になった政党が「国民を代表」して偉そうに発言してもらっても困る。
 そもそも安倍政権は特定秘密保護法や安保法制でいったんは30%台に支持率が落ちたが、その都度回復させてきた。だいいち支持率なるものが朝日や毎日など反安倍メディアと読売・産経など安倍支持メディアで違うのはなぜか。質問者が悪意を持って聞くのが朝日、毎日であるからだ。与党内には「監督する立場の麻生氏の政治責任は避けられない」との声もあり、これで幕引きとなるかは不透明な側面がある。安倍は問題を調査する審議会を民間人を入れて作り、答申を得て財務省改革に着手することも検討してはどうか。その上で、外交問題が一段落したあと夏にも、内閣改造を断行して麻生を副総理から外して党幹部にでも据えた方がよい。総裁3選態勢を整えるべきだ。
◎俳談 
この頃都に流行るもの
 建武中興を風刺した二条河原落書きは
此比(このころ)都ニハヤル物
夜討強盗謀綸旨(にせりんじ)
召人(めしうど)早馬虚騒動(そらさわぎ)
追従(ついしょう)讒人(ざんにん)禅律僧
下克上(げこくじょう)スル成出者(なりづもの)
と続く。
これを今様に書き換えると。
此比(このころ)都ニハヤル物
天下太平かのように
北の挑発そっちのけ
安倍の首飛ぶ麻生切り
野党狙うも無理筋で
証人喚問空振りへ
損な選択忖度を
しても官僚出世せず
自民党内もぞもぞと
蠢動し始めたる者ら
寒風吹いて首すくめ
魑魅魍魎も出る場なし
愚か話の民放も
話題の維持に困り果て
つまらぬ話てれてれと
流してお茶を濁しおり
支持率下がるがまた上がる
北の太っちょ様々よ

◎俳談

 ◎俳談
【安易に作らない】
 俳句は常に丁寧に作る必要がある。時間をかけて作った俳句か、句会に間に合わせのために作った俳句かはすぐに分かる。言葉使いが安易であるからだ。
牡蠣フライ味わいのよき夕餉かな
牡蠣フライがうまいなどとは誰でも言える。ここから一歩踏み出さなければ俳句にならない。
牡蠣フライこんがり揚がる夕餉かな
こんがり揚がっているのを見れば味まで分かるのだ。
晩冬の何かを焼ける煙かな
遠くの煙だから何を焼いているか分からないから、「何かを焼ける」と表現したのだろう。しかしこれは正直すぎる。
晩冬の落ち葉を焼ける煙かな
見ていなくても落葉と置き換えればよいのだ。そこまで詮索する人もいない。晩冬と落葉と季重なりだが、この場合は主たるテーマの晩冬を落葉が補っているパターンだから問題ない。
縁日の焼き烏賊(いか)食べて春惜しむ
「食べて」が言わずもがなの言葉だ。動詞は二つあってもいいが、この句の場合は動詞がバッティングして目線を股裂き状態にする。
縁日の烏賊焼く匂い春惜しむ 東京俳壇入選
が正解。

米マスコミがトランプの「独断」に警鐘

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◎米マスコミがトランプの「独断」に警鐘
  軽薄さが漂う対北外交
 日本には“悪夢の構図”も
 言ってみればただの商売人が外交をやることに対する不信感だろう。トランプの対北朝鮮政策に対して米国内で危惧の声が高まり始めた。とりわけ5月に予定される金正恩との会談がうまく展開するかについては悲観的な見方が強く、北が核戦力を手放すことはあり得ないというのが“常識”になりつつある。トランプの秋の中間選挙への“邪心”を指摘する声も多い。日本にしてみても、トランプがICBM実験を抑え込んでも、日本を狙ったノドン200発の廃棄まで実現しなければ全く意味がなく、“悪夢の構図”が現出しなねない。
 なぜトランプが急に米朝首脳会談に乗り気になったかと言えば、韓国の特使の“口車” に乗せられていると言うことだろう。トランプは、特使との会談のその場で「よし会おう」と飛びついているが、そこには、商売人が取引先に会うような「軽々しさ」しか感じられない。世界の片隅で虎視眈々と好餌を狙う、北の体制への理解がないのだ。
“口約束”でしかない韓国のメッセンジャーをまるで信頼しきっており、国務・国防両省などプロの意見を無視しているかのようだ。
 情報を総合すると金正恩は首脳会談の前提として①非核化に尽くす②核・弾道ミサイルの実験を控える③米韓軍事演習を理解するなどを提案したという。その背景には国連の制裁が紛れもなく効き始めたうえに、中国までが本気で制裁に踏み切った結果、さすがに孤立化をひしひしと感じ取ったことがあるのだろう。
 トランプの姿勢に対して米国のマスコミの論調は極めて批判的だ。ニューヨーク・タイムズは、トランプが外交責任者であり解任されたティラーソン国務長官にも相談せず、会談の要請を受け入れたことについて「危険で理解し難い」と批判した。「十分な準備がないまま会談に臨み、北朝鮮側の要求を独断で受け入れてしまう恐れがある」と警鐘を鳴らした。また、ウォール・ストリート・ジャーナルは、「トランプ大統領との会談にこぎつけたことは金委員長の勝利だ」と皮肉っている。さらに同紙は「金氏が核放棄に関する交渉に応じるかどうか、米国も国際社会も懐疑的であり続けるべきだろう。金氏の父、そして祖父も時間稼ぎのために協議に応じ、水面下で核開発プログラムを推し進めてきた。協議に応じる見返りを手にしておきながら、すべての合意を破り続けてきた。」と看破した。
 確かにトランプが問題なのは過去2回にわたる北朝鮮の約束が全て空約束に終わった事すら勉強していないことなのだ。1994年の核開発凍結の約束は、核開発継続に終わった。2005年の6か国協議における核放棄の共同声明は、翌年の核実験で反故になった。北朝鮮はその民族的特性が外交でペテンにかけるところにあることが分かっていない。トランプはいまや恒例と化した北のやり口をすこしは学ぶべきだ。そのやり口とはまず核やミサイル開発で進展を見せ、国際社会の脅威と関心を呼び、その後は韓国でハト派の政権が誕生するのを待ち、外交手段に切り替え援助を得るというやり口だ。
 とりわけ重要なのは既にトランプが引っかかっている「非核化の罠」をどうするかだ。非核化と言っても日本にしてみればICBMの実験中止などで“お茶を濁され”てはたまらない。日本にとっての非核化とは北の核弾頭がゼロになり、製造もしないことを意味する。まかり間違えばトランプはその日本の立場を飛び越えてICBMと核実験の停止で妥協しかねないのだ。そのトランプの極東における核問題の浅薄さを補うのが、安倍の4月訪米だ。ここでトランプをいかに説得するかが極めて重要なポイントとなる。韓国の“伝言”だけに乗っているトランプをいかに目覚めさせるかが安倍の役割だ。

◎俳談

◎俳談
【季語はつけたりでは駄目】
例えば
縄跳びのひらりと着地今朝の冬
という俳句があったとしよう。新聞選者は100%採らないだろう。なぜなら季語が動くからだ。季語が動くということはどういうことかと言えば、今朝の冬でなくても、今朝の夏でもいいからだ。今朝の冬に必然性がないのだ。季語などどうでもいい俳句であるからだ。
 俳句の場合はこう考えた方がいい。すべては「季語様」のためにあるのだと。例えば
山茶花の白の浮き出る薄暮かな 毎日俳壇入選
山茶花という冬の季語のために中七も下五も下部(しもべ)となって働いているのだ。白の浮き出ると形容し、薄暮という白花の一番美しい環境を演出している。
 このように俳句は季語そのものを活かすために作るくらいに考えた方がよい。
スリッパに妻の体温日脚伸ぶ 毎日俳壇入選
掲句も冬至を過ぎればだんだん日脚が伸びることを、スリッパに残った妻の体温で言い表している。季語あっての俳句なのだ。

◎小姑、魑魅魍魎が永田町を跋扈

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◎小姑、魑魅魍魎が永田町を跋扈
  「いいね」で証人喚問とは恐れ入る
 『共産党宣言』の有名な冒頭の一節は「ヨーロッパに幽霊が出る- 共産主義という幽霊である。」だが、さしずめ永田町でうごめいているのは、魑魅魍魎だろう。政権のあらを探して食らう魑魅魍魎だ。しかし今のところ本格的な魑魅魍魎は出てきておらず、二線級ばかりだ。この二線級魑魅魍魎は、首相・安倍晋三の足を引っ張ろうとしているが、決め手に欠けて空理空論ばかりだ。魑魅魍魎の筆頭に立憲民主党幹部の辻元清美をまず挙げる。辻元はなんと安倍昭恵の「いいね」に噛みついた。昭恵のフェイスブックに掲載された「野党のバカげた質問」などの投稿に、昭恵が「いいね!」ボタンが押したことについて、辻元は14日、「もう感覚が理解できない。なぜ『いいね!』を押したかも証人喚問に来ていただいて、お聞きしたい」だそうだ。「いいね」を押したら証人喚問とは恐れ入った。昭恵の「いいね」は多くの人が共感を持つものであり、憲法に保障された表現の自由の最たるものである。「いいね」で証人喚問という発想は、戦前の軍部の発想に似ていて、女のくせに強権的で鼻持ちがならない特権意識を感じる。審議拒否で1日3億円もの国費を無駄遣いしてきた野党こそ、とっとと出て来るべきだった。
 これまた魑魅魍魎の筆頭が元首相小泉純一郎。安倍といえば自分の内閣を支えた中心人物の一人であるにもかかわらず、引っ張れるだけ足を引っ張っている。文書改竄当時に財務省理財局長だった佐川宣寿の国税庁長官起用に関し「国税庁長官になって記者会見を一度もしていない。ひどいなあと思っていた」と述べた。その上で「安倍首相も麻生氏も長官への起用を適材適所と言い切った。これにはあきれたね。判断力がおかしくなったのではないか。どうしてああゆう答弁ができるのか不思議だ」と発言したのだ。この発言は後講釈もいいところだ。起用時には誰一人として佐川が改竄するとは予測をしていない時点の人事であり、分かっていれば起用するわけがない。大体首相がごみ人事に口を突っ込むわけがない。小泉純一郎はどうも狭量な小姑根性が鼻につく。小姑が嫁いびりするたとえに「小姑一人は鬼千匹に向かう」がある。たった1人でも鬼千匹に値するほど、めんどうで扱いにくい存在を指すが、首相まで務めた者が狭量の極みである。
 なんと自民党総務のくせして組織のトップである安倍の足を引っ張る発言を繰り返しているのが村上誠一郎。かつて竹下登がリクルート問題などで政局混乱の責任を取って予算案の衆院通過時に退陣表明したことに言及して「そろそろ大所高所の判断をすべき時期に来ているのではないか」と露骨に退陣を要求した。大男総身に知恵が回りかねとはいわないが、これが自民党議員の発言とは恐れ入る。週刊誌レベルの情報を元に発言しているように見えて浅薄さは極まりない。安倍が国会答弁で「書き換え前の文書を見ても私や妻が関わっていない事は明らかだ。」と述べている通り、この事件に「首相の犯罪」の側面はゼロだ。書き換えは国会対応を担当する理財局の一部の職員が行ったものであり、そもそも首相が大臣や次官を差し置いて職員に直接命令を下すなどということがあるわけがない。民放の馬鹿番組ばかりを見ているからこういう発想が出る。事件の本質はごますり官僚が自らの出世を意識して、“忖度” したところにあり、責任は間の抜けた忖度をした方にあるのだ。いずれの砲弾も“本丸”にとどくまえにお堀に落ちて、鯉をあきれさせているだけだ。



◎俳談

◎俳談
【俳句と感性】
秋の空露をためたる青さかな  子規
俳句は短詩である。したがって何よりも感性が求められる。表面には出なくてもその句の根底にある感性である。子規の掲句は秋の空が露をためているかのように、詩人子規の目に映った。そう映らなければ出来ない俳句である。つまり子規の感性そのものが現れた俳句なのである。
寺山修司が
マッチ擦るつかの間海に霧深し身捨つるほどの祖国はありや 
と詠んだが、これも感性の固まりのような短歌である。読者を霧の深い海でマッチを擦るという感性の世界にひきづりこんでおいて、身を捨てるほどの祖国があるのかと問いかける。マイクでがなり立てる反戦論者より、百倍の訴求力がある。
爽やかや四角のビルより退職す 東京俳壇1席
評には「四角のビルという平凡な言葉が抜群に生かされて作者の生涯が見渡せる」とあった。職場を「四角のビル」と称する感性を感じてもらえたのであろう。この感性は持ち前のものだろうか、それとも育てられるものであろうか。筆者は両方あると思う。生まれながらに詩的感性を持つ人間はそれほど多くはない。しかし俳句は作句の技術とは別に多作すれば感性も自ずと育つものなのである。素地としては歌謡曲に感動する感性があれば十分だ。後は育つ。
春寒の夜に空襲のありしかな 日経俳談1席

◎国会は、不毛の森友問題に拘泥しているときか

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◎国会は、不毛の森友問題に拘泥しているときか
  緊迫の極東情勢に目を移せ
 朝日は倒閣マニアと化した
 問題は政府・自民党の封じ込め戦略がどこまで通用するかだ。封じ込め戦略とは森友学園への国有地売却の決裁文書が置き換えられていた事件を、財務省理財局内の不祥事にとどめられるかどうかだ。封じ込めに失敗すれば政権を直撃する「政局」マターだが、カギを握るのは、センセーショナリズムの極致を行く朝日新聞とこれに扇動される野党などではなく、自民党内の動向だ。これまでのところ党内の空気は落ち着いており、事件を契機に政権に揺さぶりをかける動きには発展していない。様子見という状況であり、当分腹の探り合いが続くだろう。
 揺さぶりをかける方法があるとすれば、野党は財務省トップである麻生太郎の辞任をまず求め、ついで麻生に責任を取らせ、安倍へと波及させるしか手はない。しかし、政権側は先手を打った。国税庁長官佐川宣寿の辞任と懲戒処分によるトカゲの尻尾切りである。麻生は「あくまで理財局内での一部の職員によって行われた。その最終責任者は当時の理財局の佐川局長である。私の進退は考えていない」と突っぱねた。
 問題はこれによって事態が収束に向かうかどうかであるが、朝日の13日付け紙面作りを見れば、ますます煽りの姿勢を強めている。安倍にとって最悪の事態は麻生の辞任であるが、これは国会における与野党攻防の力関係が決める。野党は総選挙の大敗北で勢いに今ひとつかけるが、問題は与党内に反乱が起きるかどうかだ。自民党内はいまのところ筆頭副幹事長小泉進次郎がキャンキャン吠えているにとどまっている。しかもその発言は「自民党は官僚に責任を押しつけるような政党ではない。その姿を見せる必要がある」と婉曲的に政治家の責任を求めている段階だ。一方、党内野党の元幹事長石破茂も「だんだん、つじつまがあわなくなってきたのかもしれない。なんでこんなことになるのか。仮に事実だとすれば、誰がどんな思惑でこんなことになったのかなということだ。与党側として、仮に不正な、少なくても法に照らして適正でない問題をかばっていると思われたら、自民党の名誉に関わることだ」と突き放し始めた。
 しかし、これら潜在的反安倍勢力の弱点は、安倍に対抗しうる候補が存在しないことだ。まず政調会長岸田文雄は、まだ海のものとも山のものともつかない。安倍からの禅譲狙いしか戦略の決め手がないように見える。ここは“待ち”の姿勢が正しい。石破もその派閥勢力が20人では、立候補するのが精一杯であり、安倍支持勢力には及びもつかない。安倍支持は出身の細田派に加えて、麻生派、二階派だけで所属国会議員の半数を上回る。この3派の結束は今のところ固く、幹事長二階俊博も「安倍さんへの支持は微動だにしていない。野党のいうがままに総辞職することなどない」と発言している。
 安倍と麻生の盟友関係は固いうえに、麻生を辞めさせれば、防波堤が除去され野党はかさにかかって安倍攻撃に戦略を移行させる。ここは安倍も麻生も布団をかぶって降りかかる火の粉を避けつつ、駆け抜けるるしかない。一方公明党も麻生の進退に関しては慎重だ。公明党代表・山口那津男は麻生の進退について「求められるのは財務省の態勢を建て直す責任をしっかり果たすこと」と、選択肢から除外している。
 そもそも決裁文書の書き換えはけしからんと鬼の首でも取ったように朝日は書き立てるが、焦点は国会への開示文書では「特例的な内容となる」「本件の特殊性」という文言が、なくなっていたことにある。しかしこの部分はあくまで主要部分の書き換えではなく、付随した部分に過ぎない。朝日や野党はこのような重箱の隅をつつくような問題ばかりをクローズアップさせて、重大事件扱いし、何が何でも安倍政権を倒閣に追い込むという姿勢が鼻につく。朝日は13日の紙面は1面から4面まで倒閣路線を貫いている。もはや倒閣マニアのレベルだ。TBSなど民放も明らかに放送法に規定される「中立な報道」を逸脱した報道が目立つ。そこには、マスメディアにあってはならない平衡の感覚の欠如が著しく存在する。おりから極東情勢は激動含みで推移しており、米朝対話も日本抜きで進みかねない。いまこそ外交安保が喫緊の課題であるにもかかわらず、朝日と民放と野党の浅ましいばかりの挙げ足取りはいいかげんにせよと言いたい。

  

◎俳談

◎俳談
【炬燵(こたつ)のドラマ】
淋しさも茶柱と呑む炬燵かな 東京俳壇入選
 長い人生の内には炬燵はドラマ展開の場ともなる。部屋の中に炉を切り、その上に木製の櫓(やぐら)を掛けたのが切炬燵。床に深く掘り下げて腰掛けられるようにしたものが掘炬燵。持ち運びできるものは置炬燵でいずれも燃料は炭か練炭だった。そして電気炬燵へと変わる。炬燵はもちろん切炬燵、置炬燵、掘炬燵などみな冬の季語だ。年配の人はすべてを経験しているかも知れない。従って昔の炬燵を詠めば自ずと時代が分かる。
芭蕉の時代にも置炬燵はあった。
住みつかぬ旅のこゝろや置火燵
と詠んでいる。
キシリトールが歯の健康によいことは広く知られるようになった。筆者はキシリトールガムが好きだから原稿を書きながらかんでいるが、おかげで30本全く虫歯がない。歯医者から表彰されたほどだ。
炬燵猫キシリトールの口を嗅ぐ 
猫は珍しい匂いを確かめようとする。
裏情報知り尽くしたる炬燵猫 杉の子
古い猫は寝たふりしてその屋の家族の話を皆聞いている。一番の情報通に違いない。
だから時々猫めは追い払われる。
茶を出しぬ炬燵の猫を押落し 金子伊昔紅
といった具合だ。医者で俳人の金子伊昔紅(いせきこう)は、当代随一の俳人・金子兜太の父。

◎米は北朝鮮の「時間稼ぎ」に惑わされるな

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◎米は北朝鮮の「時間稼ぎ」に惑わされるな
   非核化の真偽を見極めよ
 モリカケばかりの野党は目を覚ませ
 人を錯誤におとしいれて財物をだまし取る者を「かたり」という。首相・安倍晋三は希代のかたりが隣に住んでいると用心した方がよい。祖父金日成も父親金正日も世界を欺いて国家を生きながらえさせてきた。今回も厳しい国際包囲網突破を目指して金正恩は着々とかたりの布石を打っている。韓国大統領文在寅はやすやすと突破され、金は文を使ってトランプを籠絡しようとしている。北は核ミサイル完成に向けて「時間稼ぎ」をしているに過ぎない。短兵急な対応は極東に危機をもたらしかねない。安倍が、懐疑的な姿勢をくづしていないのは救いだ。ここはトランプの“前のめり”にクギを刺す必要がある。トランプは自国の防衛のため北に大陸間弾道ミサイル(ICBM)を破棄させても、日本は核兵器や細菌兵器を搭載可能なノドン200発を向けられたまま、置き去りにされかねない。極東情勢が激動の時に国会は朝日新聞に扇動されて野党が森友だの加計だのの論争に明け暮れしているが、いいかげんに目を覚ませといいたい。
  米大統領は普段はホワイトハウスの小さな記者会見場に姿を見せることはないが、韓国特使との会談後現れたトランプの姿を見て、「危うい」と感じたのは筆者だけだろうか。北に踊らされて、はしゃいでいる姿だ。韓国の特使の報告に全て乗せられて金正恩との会談を、千載一遇のチャンスと飛びついた感じが濃厚だ。トランプは北との直接交渉に持ち込むことによって、4半世紀にわたって米国大統領を翻弄(ほんろう)し続けてきた北の核ミサイル問題を一挙に解決出来ると踏んでいるのだろうか。そうなら愚かとしか言いようがない。まずここは真偽の見極めが先決だ。
 トランプはロシアゲートのスキャンダルでメディアの攻撃にさらされ、支持率は30%台と、歴代大統領でも最低の状態にある。秋には中間選挙があり共和党は指導力欠如の大統領のせいで苦戦を免れない。ここは外交に突破口を見出すしか道はないのだ。その弱点を狙って金正恩はまず韓国の左派大統領文在寅を落とし、ついでトランプを落とそうとしているのだ。北の最終的な狙いはまず包囲網を分断し、米軍を朝鮮半島から撤退させることにある。全てがそこに向けての布石であると考えるべきなのに、トランプは目先の舞台ばかりに目を奪われているかのようである。トランプが“伝言”だけを頼りに「彼らの声明はとてもポジティブなもので、世界にとっても素晴らしい」と手放しで賞賛するような事態ではないし、韓国特使らに米朝首脳会談を「即答」するほど、軽い問題でもない。
 まずトランプは韓国の「伝言」だけに頼らず、北の外交の本質を見極める必要があるのだ。本質とは徹底した欺瞞外交である。史上数知れぬほど国際社会を欺いてきた北朝鮮は、2005年には、6者協議で①核計画の放棄②米国による体制の保証③北への経済支援ーに応じた。そして経済援助を得た後は、どこ吹く風で核兵器の製造にいそしんだ。今回も同様の手口を取ろうとしているのだ。金正恩が①非核化に尽くす②核・弾道ミサイル実験を控える③米韓合同演習を理解する事などを条件に、米側に早期のトップ会談を求めている。
 もともと①から③までは米国が北に条件として提示しているものであり、金正恩はこれを受け入れる決断をしたことになる。しかし、問題は「非核化」が何を意味するかだ。米国は合意を急ぐあまりに詳細を詰めない妥協をしてはならない。北に関してはつねに「やらずぶったくり」を懸念しなければならない。せっかく作った“貧者の宝物”である核ミサイルを手放すとでも考えているとすれば甘い。そもそも10年前とは前提条件が様変わりしているのだ。10年前の北の要求は「核兵器製造計画を放棄する代わりに体制を保証する」であったが、今回は「核ミサイル攻撃能力を持った上で米国と対等に話し合う」路線となっている。要するに核ミサイルプログラムの再稼働を常にちらつかせながら、次から次へと譲歩を引き出す作戦なのだ。過去にジョージ・W・ブッシュもその作戦にはまって北をテロ支援国家から削除したが、時を経ずして核開発は再開だ。従って、たとえ話し合い協議に入っても、現行の厳しい国際制裁を維持する必要があることは言うまでもない。そればかりか北が核ミサイルを全て破棄し、国連の視察を受け入れて、それを確認するまで手綱を緩めてはならないのだ。北に関しては、全てを疑ってかかるのが常道なのだ。韓国の文在寅は4月末にも金正恩と会談、トランプは5月までに金正恩と会談することになっている。しかし、一連の会談は長い非核化の道への第一歩に過ぎない。安倍は会談を急ぐ必要はあるまい。一連の接触を見極めた上で行動に移せば良いことだ。むしろ安倍は、4月のトランプとの会談では、北の手玉に取られないようトランプに友情ある説得をすることが肝要だ。日米は核とミサイルを放棄させるための確たる態勢を整え、最大限の圧力を今こそ継続しなければなるまい。韓国の文在寅は度しがたいから説得は利かないが、トランプには拙速を戒め、冷静な見極めを求めるべきだ。

2018-03-07

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◎トランプ式“関税爆弾”は“恐慌”を招く
  同盟国まで敵に回す国際戦略の欠如
 米国内に同盟国免除論
 米大統領ドナルド・トランプが世界を相手に投げかけた“関税爆弾”は、70余年間続いてきた自由貿易体制崩壊の危機を生じさせている。欧州連合(EU)と中国は、連日のように米国による鉄鋼・アルミへの課税に対して独自の課税品目をちらつかせ、まさに貿易戦争も厭わぬ状況を現出させている。トランプの意図には秋の中間選挙対策の匂いがふんぷんと感じられる。報復合戦→貿易戦争→景気悪化→恐慌といういつか来た道すらほうふつとさせる。日本も打撃を被るが首相安倍晋三は6日、オーストラリアのターンブル、カナダのトルドー両首相と相次いで電話会談し、緊密に連携して対応することを確認した。米国以外の11カ国による環太平洋連携協定(TPP)についても引き続き協力し、自由貿易圏の拡大に取り組むことで一致した。外務省の秋葉剛男事務次官は6日、ハガティ駐日米大使に対して、「日本からの鉄鋼やアルミニウムの輸入が米国の安全保障に悪影響を与えるものではない」とトランプの方針を批判した。
 それにしても、どうしてトランプという大統領は、自分の行為が及ぼす結果への予測が利かないのだろうか。今回の事例で分かったことは側近までが同調しており、殿のご乱心を止められないということだ。トランプは自由貿易をまるでゼロサムゲームとでも考えているかのようである。世界の自由貿易体制を一人が総取りするようなゲームと見間違えてはならない。貿易は世界中の何千万という売買行為によって成り立っている。米国の赤字は膨大な量の自由貿易の結果であり、トランプは、この貿易にストップをかければ米国の雇用が増えるなどという妄想にとらわれているとしか思えない。行き着く結果は自給自足経済となり、最終的には投資の崩壊と恐慌を招くのだ。
 それにもかかわらずトランプは度しがたい発言を繰り返している。
2日朝のツイートは「米国が取引しているほぼ全ての国との貿易で何十億ドルもの損失を被っている時には、貿易戦争はいいことであり、勝つのは簡単だ。例えば、われわれがある国との取引で1000億ドルを失っている時にその国が厚かましい態度に出るなら、もう取引をやめよう。そうすればわれわれの大勝利になる。簡単なことだ」だそうだ。そこには度しがたい独善主義しかない。
 現にブルームバーグ通信は2日の社説で、「1930年に米国がスムート・ホーリー関税法の施行後、世界的な報復関税によって大恐慌に見舞われ、世界経済も崩壊した」と指摘し、「トランプ大統領は貿易戦争で果たして何を得るつもりか」と詰問した。ノーベル経済学賞受賞者であるロバート・シラー・エール教授も、「大恐慌当時に起きたのと同じ状態だ」と指摘している。ライアン米下院議長はアルミニウムと鉄鋼に対する関税案の撤回を求める姿勢を和らげ、代わりに貿易システムを乱用する国々に絞った措置を取るようホワイトハウスに促した。
  こうした状況を受けて米国の複数のメディアは、「トランプ大統領は行政命令署名までの残りの数日以内に、せめて重要な同盟国を除く必要がある。」と提案した。ワシントンポスト紙も、社説で、「数十年間構築してきた同盟関係と相互互恵的自由貿易秩序が、米大統領の気まぐれで傷つけられるようになった。カナダ、日本、韓国、ドイツなどの同盟国を、新しい関税措置から免除しなければならない」と主張した。さらにニューヨークタイムズ紙も、「トランプ大統領は、中国の過剰生産を減らすことに興味があるなら、中国を圧迫するためにEU、カナダ、日本、韓国と協力すべきだったにもかかわらず、同盟国を怒らせた」と指摘した。米マスコミの大勢は対中制裁はやむを得ないとするものの、同盟国まで敵に回すトランプの洞察力と国際戦略の欠如に警鐘を鳴らしているのだ。
 米国は2002年には日本からの鉄鋼製品に高度な関税をかけ、その結果、日本の鉄鋼を原材料に製品を作る自動車部品メーカーなどに収益の悪化ををもたらした。一方的な措置でツケを払わせられるのは一般国民にほかならないのだ。米国の経済専門家からは長期的には米国経済にマイナスであるとの見方が生じているが当然である。
 一方中国との貿易関係は今年に入ってから暗雲が漂う気配が生じていた。1月に中国からの太陽光パネルに高関税をかけたのだ。それにもかかわらず同盟国まで一括して含めてしまったのは戦略上の大失策だろう。現に欧州連合(EU)は委員長ユンケルが、「ハーレーダビッドソン、バーボン、リーバイスのジーンズを含めた米国製品に関税をかける準備をしている」と語った。米メディアによると、こうした措置の対象は総額35億ドル(約3700億円)規模になるという。これに衣類や化粧品、トウモロコシ、オレンジジュースなども加わる方向だ。一方、全人代報道官張業遂は「中国の利益が損なわれることを座視するわけにはいかないが、貿易摩擦の正しい処理は協議を通じて解決方法を探ることだ」とクールダウンに出ている。
 頭に血が上ったトランプをいかに懐柔するかだが、今週TPP(環太平洋経済連携協定)11はパートナーシップ協定に各国が署名する段取りとなっている。チリの首都サンティアゴで8日(日本時間9日)に署名式を開く。日本からは経済再生相茂木敏充が出席する。参加各国の署名で最終合意となり、協定文書が正式に確定する。まさに自由貿易の砦となるものであり、かつては自由主義貿易の旗手であった米国が打ち出した“禁じ手”に、どう対応するかが焦点だ。政府は、トランプ大統領の最終署名までの残り時間に、外交力を総動員して、世界経済の崩壊を食い止めなければなるまい。トランプ式“自給自足経済”は“恐慌指向”としかいいようがないからだ。
 ◎俳談
【高齢者向け季語】
年寄りをユーモアたっぷりに茶化す季語に「着ぶくれ」と「懐手」がある。着ぶくれとは言うまでもなく何枚も重ね着して、体が膨れて見えることを言う。懐手は和服の袂の中や胸元に両手を差し入れる状態。両方とも冬の季語だ。年寄りは何しろ肺炎になったらいちころだから、昔は着ぶくれる一方だった。しかし最近では洒落たダウンジャケットが大流行しており、若者たちも着ぶくれて朝の満員電車の混雑を一層ひどくしている。しかし句になるのはやっぱり年寄りだ。それも退職して所在なげな年寄り。哀れなのは会社人間だった年寄りだ。特に幹部経験者は命令口調が癖になってしまっているから
着膨れて命令口調直らざる 東京俳壇入選
ということになる。もっともこれが好好爺に突然変わったりすると、ぽっくり逝ったりするから気をつけた方がよい。      
着膨れて支那そば食べに来たわいな 東京俳壇3席
こんな調子が達観していてよい。
久保田万太郎は
着ぶくれのおろかなる影曳くを恥ず
と詠んだ。着ぶくれた自分をおろかなどとはなかなか言えるものではない。粋な万太郎のダンディズムだろう。
懐手も、毎日となると苦痛になる。仕事人間は何もしない毎日が、「自由の刑」を受けているように感ずる。これは自分でやることを見つけて体勢を立て直すしかないが、なかなか簡単にはいかない。
毎日が自由の刑や懐手 読売俳壇入選
ということになる。しかし俳人はそうした日常も茶化して俳句にしてしまう。
懐手あたまを刈って来たばかり 万太郎
「うまい。座布団3枚!!」

◎9条改憲は首相案が適切

 

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◎9条改憲は首相案が適切
  チャンスは今年しかない
  北と中国で不可欠に
 25日の自民党大会を控えて、今年最大の与野党の争点となる改憲構想が固まってきた。自民党は、首相安倍晋三が昨年5月に提示した戦力不保持を定めた9条2項を維持した上で、自衛隊の存在を明記することを骨格とする方針を固めた。今後はこの線に沿って公明、維新など改憲勢力を糾合して、今年中にも発議して国民投票にかけたうえで改憲を実現する方針だ。占領軍に押しつけられた9条は明らかに、日本の戦力の骨抜きを狙ったものだが、改憲には戦後70年を経て北朝鮮の暴発や中国の海洋進出で極東環境が時代にそぐわなくなったことが大きく作用している。
 まず9条の内容に触れる。1項は「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」としている。また2項で「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」となっている。
  自民党党憲法改正推進本部は昨年十二月の論点整理で、九条一項と二項を維持して自衛隊の存在を書く案と、二項は削除して自衛隊を明記する案の両論を併記した。安倍は昨年五月に二項維持で自衛隊を3項に加憲する案を提示して、2020年までに施行する方針を明らかにした。一方、党内には、元幹事長石破茂ら「削除派」が二項削除で自衛隊明記をを主張している。しかしこの石破案は少数派にとどまっており、党内は圧倒的に「2項維持による加憲派」が多数で、首相案支持に回っている。
 その最大の理由が、安倍が大局を見ているのに対して、石破は見ていないからであろう。改憲という大事を実現するためには自民党が単独で突撃するようなことは、のちのちに禍根を残すからだ。公明の抱き込みはもちろんのこと、維新の賛成まで視野に入れているのだろう。維新は9条改正を初めて昨年の総選挙の公約に入れており、内容によっては同調する可能性がある。
 首相の主張する2項を削除しない場合の問題は、9条に関する分かりにくい解釈がそのまま残ってしまうことだ。自衛隊が戦力であるかないかの論争は、2項に「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」と言う表現があるが、これを政府は「自衛隊は自営のための最小限の実力組織であり、2項の『戦力』には当たらない」と解釈してきた。吉田茂による「戦力なき軍隊」論が姿を変えていまだに続けられているのだ。自衛隊は世界有数の軍隊であり、保有装備・武器ランキングはアメリカ(核武装),ロシア(核武装),中華人民共和国(核武装)、日本の順と言われている。核武装なしでも4位なのである。
確かに世界有数の戦力を持つ自衛隊が「戦力でない」というのは国会でだけ通用する詭弁に過ぎないのだろう。だいいち、戦力不保持を削除すれば、発議後の国民投票で否決される可能性が高くなるとみられる。副総裁高村正彦は講演で「削除することは国民投票があるので困難」と訴えていた。
 もっとも、2項を維持して自衛隊を明記した場合「戦力」かどうかの整合性が常に問われることになる。筆者はこれもやむを得ないと思う。なぜなら絶対平和主義の公明党や他の野党の参加を促すためにはあえて「詭弁」を使って実利を取る方が、憲法改正戦略には得策であるからだ。憲法はもともと不磨の大典などではなく、諸外国では時代に合わせて常に改正しているのが実情だ。中国などは習近平の終身政権維持のために改正するほどだ。したがって、日本にある改憲アレルギーを除去するためにも、「詭弁」も衆生を教え導く巧みな手段である「方便」と考えるべきなのだ。これで蟻の一穴を開け、将来的に時代に即応した改憲を実現して行けば良いのだろう。
 幸い石破茂も「決まったことには賛成する」と発言しており、党内はよほど執行部が油断しない限り、まとまり、骨格を党大会に提示出来るものとみられる。この機会を失えば来年は天皇即位、参院選挙と日程が続くし、オリンピックという国事の前の政界混乱は世界に醜態をさらす。発議と国民投票は早ければ早いほどよいのだ。
 ◎俳談
【儚(はかな)きもの】
冬の虹すぐに消えたり妻呼べば 東京俳壇入選
 自然現象の中でも儚いものの象徴が冬の虹だろう。かかっても小振りですぐに消えてしまう。
虹は夏の季語であり、その夏の虹は雄大さと華やかさと儚さが共存すると言ってもいいが、冬の虹は儚さだけで成り立っている。だからかかるとすぐに人を呼びたくなる。人に知らせたくなる。 
声寒く入り来て虹を知らせたり 産経俳壇入選
「うー寒い」と言いながら帰宅して、茶の間を開け「今虹がかかっているよ」と伝えるようなイメージだ。冬の虹は珍しい季語でもあるが、珍しい季語にも時には挑戦してみることだ。儚いという本質をとらえつつ作句する。
安住敦の
冬の虹消えむとしたるとき気づく
は、まさに本質を突いた一句だ。
    

◎反日“ちゃぶ台返し”の文は相手に出来ぬ

          
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 背後に度しがたい支持率狙い
 冷え切った日韓関係
 まるでオリンピック終了を待つかのような韓国大統領文在寅による“ちゃぶ台返し”である。慰安婦問題の解決を合意した日本に対してまだ終わっていないと批判演説をぶった。政府が反論したのは当然だが、もう国民は韓国の蒸し返し外交に飽き飽きしているのが現実であろう。2015年12月 28日の日韓外相会談での慰安婦合意は、安倍政権と朴槿恵政権による合意だが、政権が代わったからといって手のひら返しをするのは、文在寅がいかに国際外交の基本に無知であるかを物語るものだろう。国家間の約束は政権が代わっても責任もって実施することは、国際的に普遍的な概念である。この度しがたい左派反日政権に対しては外交交渉が通じない。当分相手にしない方が得策のような感じがする。日韓関係は冷え切った時代に入った。
 日韓合意は①日韓両国政府は慰安婦問題の最終的かつ不可逆的な解決を確認した②安倍は、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた責任を痛感し、お詫びと反省の気持ちを伝えた③日本は元慰安婦支援の財団に10億円を拠出する④国際社会での批判非難を控えるーを骨子としている。
 この合意に対してまず外相康京和が違反の口火を切った。康はこれまでの慰安婦対応について国連人権理事会で「被害者中心の対応を明らかに欠いている」と発言したのだ。これは明白に慰安婦合意の「国際社会での非難・批判を控える」という部分への約束違反であり、合意を確信犯的に破棄したことを意味する。文在寅は2月9日に訪韓した首相安倍晋三との会談で、慰安婦問題について「政府間の交渉で解決出来ることではない」と指摘していたが、さらに踏み込んだ表現で1日「最終解決」を改めて拒否した。独立運動の記念式典で演説した文在寅は「加害者である日本政府が『終わった』と言ってはならない。不幸な歴史であればあるほど、その歴史を記憶して、それから学ぶことだけが真の解決だ」と述べた。また島根県の竹島について、「日本の朝鮮半島侵略の過程で最初に支配された土地で、韓国固有の領土だ。日本がその事実を否定するのは、帝国主義による侵略に対する反省を拒否することにほかならない」と強い調子で日本を批判した。
 まさに“ちゃぶ台返し”だが、官房長官菅義偉が、「日韓合意に反するものであり、全く受け入れられない。極めて遺憾であり、韓国側に対し直ちに外交ルートでわがほうの立場を伝え、強く抗議した。わが国としては、この合意に基づいてやるべきことはすべてやった。あとは韓国が約束をしっかり履行することを強く求めていきたい」と反発したのは当然である。
 竹島に関する文の発言は、歴史的な事実に反する。竹島は1905年に国際法上の手続きを経て島根県に編入したものであり、韓国の不法占拠こそが問題なのである。
 こうした文の発言に対してはさすがに韓国国内からも批判が生じている。1万人が集まった保守派の集会では、元統一省次官金錫友が「文在寅大統領は国内対立を回避するために対日問題を政治利用している」と看破している。最近の国際世論もいささかあきれている様子である。平昌五輪の開会式を中継していた米NBC放送の解説者が「日本は韓国の手本」と発言。この発言に連動して米経済誌「フォーチュン」も、「発言は重要な真実を含んでいる」との趣旨の記事を掲載した。日韓の歴史を知る解説者なら当然の反応であろう。
 日本の朝鮮統治については、否定的な面ばかりが強調されてきた。日本の一部マスコミも、これに同調しているが、植民地時代という時代背景を忘れている。ヨーロッパの各国の過酷な植民地政策に比較して、日本は、朝鮮の経済・産業・教育などのインフラ構築に、はるかに多くの努力と費用を費やしてきた。李朝末期で腐敗しきった政治を立て直し、国民への教育制度も確立した。もっともひたすら日本叩きに精を出している反日文在寅にそんなことを言っても、聞く耳を持つわけがない。
 冒頭述べたように、日本ではまたかという「韓国疲れ」がたまっている。今度の場合は文に譲歩する必要もないし、極東安保を考えれば超強硬策を取るわけにもいかない。この冷え切った日韓関係は、るる述べてきたように指導者としての大局観に欠ける文在寅に責任の大半があり、あえて、関係改善を図ることもないのではないか。もちろん安倍が再び謝る必要などさらさらない。文在寅にはオリンピックが終わって、人気を維持するために反日の“禁じ手”を使う卑しい魂胆がありありと見える。こんな大統領をまともに相手にしても仕方がないと言うことだろう。
◎俳談
【新酒を詠もう】
友ら皆白髪か禿げよ新酒汲む 読売俳壇入選
 昔田中角栄の家に夜回りすると、酒はオールドパーであった。ロッキード事件の後などは一晩で一本開けることもあったようだ。「なんで越後の酒でなく洋酒なんですか」と聞くと「日本酒はうますぎてついのみすぎてしまう」だそうだ。それでも正月の宴会には3升も入る日本酒の大瓶がふるまわれた。一緒に夜討ち朝駆けした友も皆白髪か禿げとなった。
 新酒は秋の季語。かつては収穫した新米をすぐ醸造したため秋の季語となったが、現在はほとんど寒造りで、2月に出荷される。
一つ欠き五臓と五腑に染む新酒 杉の子
 20年前に胆石の手術で胆嚢を取ったが、医者はのんでもいいと言うから遠慮なくのんでいる。しかし昔のようにがぶ飲みをしない。楽しむ習癖が年と共に備わった。
がぶ飲みはもはやせぬ歳今年酒 杉の子
酒を詠んだ名句は何と言っても李白だろう。杜甫が「李白一斗 詩百篇」と詠んだようにたいへんな酒豪であった。たしかに一杯やりながら俳句を作ると面白いようにどんどん出来る。せきを切ったように出来るのだ。しかし翌日覚めてから見ると駄句の山を築いていたことが分かる。李白は「山中にて幽人と対酌す」で
両人対酌すれば山花開く 一盃一盃復(ま)た一盃
と自然の中で酒を酌み交わし、 気ままに語り合う自由を詠んでいる。



◎俳談

◎俳談
【時事俳句は軽い】
 新聞投句だから、新聞やテレビの報道を基に作った時事俳句が入選するだろうと考えるのは甘い。選者は真っ先に捨てる。句会でも時事句は上位に入賞することはない。例えば<天安門テロ発生し秋の空>などという、テレビを見て詠んだような駄句は100%採られない。初心者はどうしても入ってくる情報で俳句を作ろうとする傾向があり、メディアの報道に踊らされるのだ。従っていきおい表面的で一過性の句になる。古来一過性の俳句は俳人がもっとも忌避するものである。
 どうしても時事句を作りたかったら、起きた事象をニュースのように俳句にせずに、一呼吸置いて一般化して作ることだ。笠智衆が死んだときに作った俳句を例示すれば
猿山の笠智衆らの日向ぼこ  産経俳壇入選
笠智衆ばかり集ひて新茶汲む 東京俳壇月間賞
と言った具合だ。笠智衆が死んだなどとは一言も言わずに、故人の懐かしい感じを出した。
恐ろしき昭和を見たり晝寢覚   朝日俳談1席
も、元号が平成に変わった時期に詠んだ句だが、戦争、原爆などと言わずに「恐ろしき昭和」だけの表現で時代をえぐって成功した。
反戦で張りのある声生御魂(いきみたま)        朝日俳談1席
反戦運動が盛んでも全学連などを詠んでも成功しない。生身魂(いきみたま)ほどの高齢者が反戦を唱えることに感動して、そこに絞った。
 通学児童に話しかけたら警戒された。子供に対する痴漢行為が社会問題になったころだ。
人見れば痴漢と教え赤とんぼ      朝日俳談入選
親にとっては必死の防御教育だろうが、なにか現代社会の情けなさを感じた。

◎飽くなき習近平への権力集中

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◎飽くなき習近平への権力集中
 歯止めの利かぬ独裁体制の危険度
 中国が歯止めのない独裁体制へと突入した。ただでさえ共産党が独裁体制を敷く中国に「任期は2期10年」となっていた国家主席任期の上限撤廃が行われることになった。習近平の「終身国家主席」としての永続が加わったのだ。 2月26日、中国の交流サイトでは「中国に個人崇拝はいらない。終身制はいらない」「北朝鮮みたいだ」といった批判的な意見が飛び交った。中には「習大帝万歳、万歳」という皮肉めいた書き込みもあったという。問題は、こうした書き込みはすぐに削除され、一部のサイトではコメント欄を閲覧できなくなったことだ。掲示板によっては「2期10年」などの検索用語が使えなくなった。
 そもそも現行憲法で「2期10年」が定められたのは、1966年から1976年まで続いた文化大革命への混乱を反省するためであった。このため江沢民、胡錦濤は10年で退任している。その任期が撤廃されたことは、習近平が2023年までであった任期を無期限に延長したことになる。
 そもそも習近平の権力への執着は著しいものがある。昨年10月の第19回党大会で、習は社会主義現代化を掲げて「2035年」という長期政権を意識した日程を提示した。党政治局常務委員の人事では、後継者となるべき50歳代の起用が見送られた。いずれも長期政権に向けた布石だったと考えられる。後継候補の出る杭は打たれたのだ。その「露骨な姿勢」は外面上、高度成長期に終止符を打った中国の経済を長期上昇志向に立て直すためという大義名分がある。しかし、その本質は習近平の飽くなき権力意欲にあるのだろう。2012年に国家主席に就任して以降、習は反汚職運動の名の下に政敵を次々に排除し、自らに権力を集中させて来た。そもそも毛沢東時代以降は中国共産党内の各派閥のリーダーは平等に権力を分け合うことを慣習としてきた。習はそれを変えたことになる。これまでの指導者は集団指導体制と併せ、後継の候補を早く決めるのが慣例だった。だが、習体制下では今も後継が誰かは見えてこない。見えないと言うより習は「見せない」のであろう。
 習の権力欲は党大会などを通じて自らを現指導部内で別格の「核心」と位置づけ、共産党規約には名前を冠した「思想」が明記された。毛沢東以来のことである。習に近い多くの部下が中央・地方の主要ポストに就いてをり、体制をほぼ固め終わったかにみられる。。
 マスコミの論調は、冒頭示した裏メディアと異なり、新華社は「習近平主席は新たな繁栄の時代へと導いてくれる」と期待を表明。共産党機関紙の人民日報もさまざまな人々の話を引用し、「大半の人々は憲法改正を支持している」と伝えた。要するに正規メディアは“礼賛”なのである。これは逆に、いかに習政権が、メディアに目を光らせているかの左証でもある。
 世界的にも独裁政権長期化の流れは生じている。世界は情報革命とグローバル化で冷戦終結以来の激動期に突入しているといわれる。露大統領プーチンやトルコ大統領のエルドアンなどは、長期政権で難局乗り切りを目指している。カンボジアなど中国との関係が密な国で独裁政権の長期化が進んでいる。
 今回の動きは、中国の憲法や法律が政治家個人と党の目的をかなえるために存在していることを証明している。中国はそもそもが一党独裁国家であり、これに加えて習近平が長期にわたり自画自賛体制を継続させることになる。イギリスの歴史家ジョン・アクトンは「権力は腐敗する、絶対的権力は絶対に腐敗する」との格言を残したが、一党独裁プラス習近平独裁が、政策の硬直化や独善的外交、軍事的脅威の拡大を極東にもたらす流れとなることは、長期的に見れば確実だろう。
 日中関係に目を転ずれば、今年は日中平和友好条約40年を迎えている。1998年の日中平和友好条約締結20周年では、江沢民が史上初めての中国国家主席として公式に来日、30周年に当たる2008年には胡錦濤が来日している。となれば40周年の今年中の習近平来日が実現する公算が大きい。民主主義と法の支配という普遍的価値観を共有しようとしない中国の“皇帝閣下” の来日に異を唱える必要もないが、縷々述べてきたように「招かれざる客」の側面がないわけではない。

◎金正恩は“国宝”核ミサイルを手放さない

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◎金正恩は“国宝”核ミサイルを手放さない
  「ICBM発射凍結」の欺瞞(ぎまん)性
 韓国大統領文在寅の対北融和姿勢がもたらすものは、はっきり言って金正恩による“やらずぶったくり” に遭遇するだけだろう。国連の経済制裁が効き始めたのか金正恩は、苦し紛れに南北首脳会談という呼び水をまいて、9月の建国70周年に向けて、核・ミサイルの完成を喧伝、経済の悪化を回避したいのだ。まさに北の手の内で踊らされているのが文在寅だ。一方で米国が文のペースに乗って、大陸間弾道弾(ICBM)実験凍結と引き換えに妥協路線に移行すれば、ノドン200発を向けられている日本は置いてけぼりを食らう可能性がある。日本を離反させて米極東戦略は成り立たない。金正恩みずからが苦し紛れに重要な戦略的な転換をしようとしているかに見えるが、その実は父親と同様にいつか来た道、すなわち国際社会を欺く路線を歩むだけだろう。
 しかし、米国がそこを読んでいないはずはない。トランプの長女イバンカは文在寅との晩餐会の席上、融和ムードにクギを刺している。「朝鮮半島が非核化されるまで最大限の圧力をかけ続けることを改めて確認したい」と文に迫ったのだ。文は「非核化と南北対話を別々に進めることはない。二つの対話は並行して進めなければならない」と約束した。どうも文という人物は両方に“いい顔”をする癖が抜けないようだが、その真の狙いは南北首脳会談の実現にあり、北のペースにはまりかねない姿勢と言える。
 北の外交は一見巧みに見えるが、常に馬脚が現れる。妹金与正を派遣したことは、肉親を外交に使わなければならない切羽詰まった状況を反映したものだろう。なぜなら、北は文に“本気度”を示す必要に迫られたからだ。与正のほほえみ外交の影に“氷のような微笑”を感ずるのは筆者だけではあるまい。文を手玉に取った与正は帰国して金正恩に報告。金正恩は、南北関係をさらに発展させるための具体的な方途を指示したとみられている。
 その内容の一つが「ICBM発射凍結」のカードだ。日本上空を飛ぶICBM実験を中止して、国際社会の関心を呼び、アメリカを乗せようとしているのだ。もちろん国内向けにはミサイル開発を放棄しないし、開発はどんどん進めることができる。こうした北の“疑似”緊張緩和攻勢の背景には国連による制裁決議の影響が徐々に生じ始めている実情がある。政府は、東シナ海の公海上で北朝鮮船籍のタンカーとドミニカ船籍のタンカーによる積み荷の受け渡し「瀬取り」を確認している。苦し紛れに抜け道の対応が始まっているのであり、国連決議の影響は今年後半にはもっと鮮鋭に生じることが予想される。
 しかし金正恩は、この影響をなんとしてでも回避したいのだ。最重要行事である9月9日の建国70周年に向けて、経済の困窮は、自身の権威維持の上で最も得策でないことなのだ。このためのとっかかりが文の融和姿勢にあるのだ。おそらく北の狙いは70周年に先だって、南北首脳会談を実現して、経済支援を取り付けたいのであろう。最終的には米朝接触を実現するところにあるのは言うまでもない。すでに韓国は統一省報道官が「適切な機会に北朝鮮と米国が建設的な話し合いに入ることを期待する」と、なりふり構わず米朝対話を推進しようとしている。日米はこの金正恩が掘った蟻地獄に文在寅がはまりつつあることを、傍観することは出来まい。
 北朝鮮との交渉は歴史的に見て、ワンパターンである。約束をして経済援助を獲得すれば、臆面もなく反故にする。2012年に、米朝間で合意した核兵器と長距離弾道ミサイルの実験の凍結、国際監視下での寧辺(ヨンビョン)核関連施設におけるウラン濃縮の一時停止という約束はとっくに反故にされており、何かの一つ覚えのごとく同じ手口を今回も通用させようとしているかに見える。
 全ての問題は北が核ミサイル開発を放棄するかどうかに絞られる。放棄しなければ極東情勢は“気違いに刃物”の状況にさらされ続ける。しかし、北がこの核ミサイル開発を放棄することはあり得ないだろう。従って米朝会談が実現しても、妥協の構図は描けないのが実情だ。妥協どころか物別れの連続となるのは必至だろう。なぜなら金正恩にとって核ミサイルは、珠玉の“国宝”そのものであり、手放せばそれこそ体制崩壊につながりかねないからである。文在寅が開けられた日米韓連携弱体化の穴を、日米が協調して塞ぐ方向へ持って行かなければなるまい。
◎俳談
【俳句は一点豪華主義】
俳句は色々言い過ぎないことが肝心だ。初心者は17文字のうちで2つも3つも言おうと欲張るが、それ故に失敗する。一点豪華主義で行きたい。悪句を挙げれば<苔むせる御堂の階段緑濃し>だ。苔むしているのだから緑濃しなどとは言う必要は無い。
蜆汁目玉映して啜るかな 毎日俳談3席
うまい蜆汁を一生懸命啜っている姿をひたすら描いた。余計なことは一切言っていない。
どんど焼き火の針となる松葉かな 東京俳壇1席
松葉が火の針になることだけに集中している。
孑孑(ぼうふら)を食べる仕事の金魚かな 読売俳壇3席
拙宅の場合金魚を庭の鉢で飼っているのは孑孑を食べてもらうためだけであり、そのことだけを「食べる仕事」と表現して強調した。このように一点豪華主義の俳句は2つ以上の事象を取り合わせる「取り合わせの句」に対して「一物仕立ての句」というケースが多い。一つのテーマで言い切ってしまうのだ。最近の句界の風潮は一物仕立てで言い切るのが流行っている。
団栗の己が落葉に埋れけり  渡辺水巴
 

◎俳談

 
【市を詠む】
 句会で「写楽顔」がありふれているとけなされた俳句を、新聞に投句したら入選した。
ぬぬぬぬと写楽顔出るべつたら市 日経俳談入選
である。俳句を作るには、各地で立つ市ほど材料が豊富なものは無い。東京には市が多い。べつたら市、世田谷ぼろ市、年の市、羽子板市などと続く。いずれも季語でもあるし、実際に現場を踏むと材料には事欠かない。俳句は現場ですぐ造る場合と、熟成させて造る場合があるが、私は熟成させるケースの方が圧倒的に多い。
亡き父をべつたら市で見かけしが 産経俳壇入選
は、父親そっくりの年寄りの後ろ姿を見かけて造った。はっとしたものは熟成して後で俳句になるのだ。
 世田谷のぼろ市も面白い。12月と1月の2回開かれる。
ぼろ市や本物らしき物のあり 杉の子
と言った具合だ。有馬朗人は、学者の心境であろうか
世に合わぬ歯車一つ襤褸(ぼろ)市に
と詠んでいる。
12月の半ばから大晦日にかけて各地の社寺で開かれる年の市も風情がある。暮れの寂しさのようなものを詠むと成功する。
年の市街の孤独を拾ひたり 杉の子
新潟の朝市で情景そのままを詠んだ。
釣銭の凍り付きたる朝の市 杉の子

◎平昌舞台に“脂粉外交”の攻防

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◎平昌舞台に“脂粉外交”の攻防
 米、イバンカ派遣で巻き返し狙う
 平昌五輪を舞台にした外交で華々しい成果を上げたのは何と言っても金正恩の妹金与正だ。与正の肩書きは中央委員会第1副部長だが、事実上の金正恩の代理として訪韓し、9日から11日まで2泊3日で滞在、韓国との関係改善の突破口を明けた。一方で米国は大統領トランプの長女で補佐官イバンカを23日から3泊4日で派遣して、文在寅と会談させる。まさに平昌を舞台に“脂粉外交” が展開される。厳しい極東情勢を反映して、米朝の女の戦いが展開される形だ。文在寅は両方にいい顔をするコウモリ外交を強いられることになり、喜んでばかりはいられない。
 金与正は妊娠7か月だという。韓国政府は金与正が妊娠していることを昨年暮れから知っていたといわれるが、まさか金正恩が身重の妹を派遣するとは予想していなかった。国連の制裁決議が真綿のように金正恩の首を締め付ける中で、北は“瀬取り”と言われる沖合での荷渡しをするなど苦しい対応を迫られているのが実情だ。包囲網打開への一手として苦し紛れに打った手段が、妹の派遣による文の籠絡だ。局面打開に“ほほ笑み外交”を選んだのだ。
 その意図については日本の新聞より米国の報道の方が的を射ている。ワシントンポストは金与正を、外交舞台で影響力を行使しているイバンカ・トランプになぞらえて、「北朝鮮のイバンカ・トランプ」と大きく紹介した。同紙は、金正恩の妹でありながら富や権力を誇示しなかったことを予想外だと評価し、「金与正は薄化粧に地味な装いで“謎めいた”微笑だけを見せている」と描写した。一方、CNNは、「独裁者金正恩の妹が平昌冬季五輪の関心を一人占めしている」と報道、「金与正の韓国訪問が平昌冬季五輪閉会式に参加する予定のイバンカを意識して高度に計算されたものだ」と分析している。一方で米国内では厳しい見方もあり、元中央情報局(CIA)韓国担当研究員のスミ・テリーは「政治家の家族としてつながっているという点や、説得力あるセールス能力を要求されているという点で北朝鮮のイバンカだ」と評すると同時に「人間の顔を持った全体主義だ。彼女は善意を持てない国から来た善意を持つ大使のように行動している」と断定した。
 こうした中でオリンピックで先延ばしになっていた米韓合同軍事演習がパラリンピック終了後に予定通り開かれるかが焦点だ。韓国国防部長官宋永武は20日、合同軍事演習について、「パラリンピックが終了する3月18日から4月前に韓米両国の長官が発表するだろう」と述べた。もっとも宋は「どうするかは、肯定も否定もしない」とも述べており、あいまいだ。文在寅は合同演習が北との“ほほ笑み外交”に影響を及ぼすことを極度に恐れていると言われ、何かと理由をつけて先延ばしにする可能性も否定出来ない。その最大の理由として、金正恩とのトップ会談の交渉が進展していることを挙げる可能性がある。
 金正恩は与正の成果を褒め称えて「平和と対話の良いムードをさらに昇華させ、素晴らしい結果を生むことが重要」と発言している。金正恩の狙いは韓国を国連制裁の枠から引き離し、経済的な利益をもたらす関係へと引き戻すところにある。紛れもなく文在寅の“甘さ”につけ込もうとしているのだ。こうした文在寅の優柔不断さに対して、米国はおそらくパラリンピック終了前後に強いけん制玉を投げるに違いあるまい。しかし左翼の文在寅は確信犯的に北に傾いており、一筋縄ではいかないだろう。

◎俳談

 ◎俳談
【働く姿】
  人間の一番美しい姿は何と言っても働く姿だろう。写真でも女性のポートレートも美しいが、作業服姿のおばさんや漁師が網を引く姿により一層引かれる。これを俳句にしない手はない。新聞俳壇のよいところは、各種各様の職業の人から投句があり、その仕事の様が分かる事であろう。例えば朝日俳壇には山間僻地の人からの
人と水こころかよはせ紙を漉く   
といった俳句が採用される。紙を漉くは冬の季語だ。
 昔、近所の工場で冬は早朝の操業開始前に、ブリキ缶に木っ端を突っ込んで焚火をするのが恒例であった。雑談をしながら焚火に当たって体を温める。そうすると、体全体がやわらかくなり、不慮の事故を起こさないのだという。その焚火からまず工場長が離れるのだ。やがて部下たちも三々五々焚火を離れる。一日の労働の始まりだ。次の句はその場面をとらえて作ったものだ。
焚火より工場長のまず離る 産経俳壇入選
 早朝の新潟行きの羽越本線で魚を大きな缶にいれたおばちゃん軍団と乗り合わせた。これを担いで新潟市内を一日売り回るのだという。重労働だが、元気いっぱいであった。しかし早朝とあって、やはり眠いと見えてやがて皆仮眠を取り始めた。そこで一句。
行商の眠る吹雪の車中かな 東京俳壇入選
冬山に登ったとき、電気工事の架線工が鉄塔に登っているのが見えた。
架線工豆粒になる寒夕焼  杉の子
攻め炊きの窯の脇なる西瓜かな 杉の子
作句のこつは人間の姿を肯定的にとらえ、単なる描写を避け、感情と共感を入れて作ることだ。

◎日本への核持ち込み論に現実味

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◎日本への核持ち込み論に現実味
  北のどう喝は核保有論すら台頭させる
 日本に右傾化の兆候
 かつて枢密院議長の平沼騏一郎は、「複雑怪奇」との声明を残して内閣総辞職をしたが、朝鮮半島をめぐる情勢はまさに「複雑怪奇」を地でゆく様相だ。北朝鮮は日米韓の結束分断にオリンピックを使い、韓国大統領文在寅は、金正恩の妹金与正に手玉に取られて日米から離反もしかねない様相だ。対北政策の経験がわずか1年と浅い米政権は、軸足がブレ、対話はしないと言いながら「予備的対話」をほのめかす。日米韓首脳で毅然として対北圧力維持路線を維持しているのは首相・安倍晋三だけであり、安倍はここで日米韓結束の核として体制再構築に乗り出す必要がある。折から国内には核持ち込み論や核保有論が台頭してきており、北の存在は大きく日本を右傾化させる流れを作り出している。
 文在寅の対北大接近は、文が9年ぶりの革新政権であり、もともと選挙公約の看板政策が北との融和であった。責任はそういう大統領を選出してしまった韓国民の浅慮にある。文在寅の立場はまず南北統一が第一であり、核問題はその次の課題というところにある。この構想が荒唐無稽なのは金正恩の存在基盤が核ミサイル保持にあることを理解していない点であろう。統一が韓国ペースで進み、北が「核を放棄するから統一してくれ」と言う場面のみを想定していなければ成り立たない論理だ。そんな馬鹿げた判断の上に立って交渉を進める文は、まさに愚の骨頂であり、正気に返らすのは日米が働きかけを強化するしかない。
 文政権になって以来。米韓には明らかに隙間風が吹いている。金正恩が新年の演説で、平昌冬季五輪参加の可能性に含みを持たせると、文とその側近はすぐさま友好的な対応を示した。ところが驚いたことに文は米当局者へは事前の打ち合わせを全くせず、米国側に通知があったのは、韓国が北朝鮮に南北対話の提案を行う数時間前だったという。文の融和姿勢は米韓関係に緊張をもたらしてるのは確かだ。五輪後に米国から文に対して相当な圧力が加えられるという説が強い。その最大のものは、文が渋るかに見える米韓軍事演習の実施だ。遅くとも4月には実施の方向で対韓圧力を強めるだろう。文は対北外交を理由に演習先延ばしに動く可能性がある。
 こうした中で、米国には対北戦略で事実上の対日最後通牒となった「ハル・ノート」並みの発言が生じている。国家情報長官コーツの発言だ。米上院で「軍事的選択肢を含めて決断の時が近づいている。北朝鮮は交渉によって核開発を放棄するつもりはない」と言明したのだ。背景には北の核ICBMの完成が近づいており、先制攻撃でこれを阻止するしかないと言う判断である。いわばトランプに「時間切れだ。決断してくれ」と促しているかのようだ。文が聞いたらぶったまげて腰をぬかすような動きだ。
 一方で、米国内には対北話し合い路線を主張する空気も根強い。13日国務省報道官ナウアートは、「非核化を議題とした対話を行うためには予備的な話し合いが必要かも知れない」と発言した。米紙ニューヨーク・タイムズも「米政府は北が非核化に向けた行動をしない限り対話をしないという従来の姿勢から、予備的対話には応ずるとの軌道修正に踏み切った」と報道した。同紙は「韓国との亀裂を避ける判断であり、韓国の勝利だ」と韓国を褒め称えた。しかし、同紙の判断には致命的な誤りがある。対話で何を達成するかの論拠がないのだ。対話して、北の核を取り除くことができるのか。それならば価値があるが、対話のための対話では全く意味がない。同紙独特の浅薄なる左傾化論理が露呈している。
 こうした米国内の軸足のブレを心配したのだろう、安倍はトランプと1時間10分にわたって話し合い、米国の真意を確かめた。内容は詳しく公表されていないが「北朝鮮の非核化をどう実現するのか話し合った」とし、日米同盟は決して揺るがないことを確認したという。日本は従来から核兵器に関して「持たず、作らず、持ち込ませず」の非核3原則を維持してきたが、政治家も国民も北に狂気の指導者が出現し、日本列島を越えてミサイルを飛ばし、核実験をしている現状を直視していないものが多いことが問題だ。非核3原則は 1967年 12月に首相佐藤栄作が国会答弁で述べたのが最初だが、米ソ冷戦時代と現在とでは極東情勢は月とすっぽんほどの違いがある。ソ連が核で日本をどう喝したことはないが、北朝鮮は堂々と日本を名指しで核ミサイル攻撃すると公言しているのだ。
 政治家もマスコミも平和は天から降ってくるというあなた任せの論理が通用しなくなった現状をどうすべきか考える時ではないか。元幹事長石破茂が、「米国の核で守ってもらうと言いながら、日本国内に核を置かないというのは本当に正しいのか」と疑問を呈しているが、もっともだ。北大西洋条約機構(NATO)のドイツには米軍の核爆弾が10発から20発配備されている。専門家は「米国ですら信用出来ない場合がある」と指摘する。米国と北が交渉によって核搭載のICBMの製造は断念させることができた場合、それは米国への核攻撃がないことを意味するが、日本に対しては何ら問題の解決にはならない。200発あるノドンに核を搭載したら、日本は核攻撃の対象となる可能性がある。そうなれば日本は、敵基地攻撃能力の保持はもちろん、独自の核ミサイルを開発せざるを得なくなるのが、国際的な軍事常識なのである。日本が核保持に踏み切れば、極東軍事情勢は一挙に逆転する可能性を秘めている。米国にとっては最悪の事態となる。金正恩の「黒電話の受話器頭」ではそこまでの鳥瞰図を描けないだろうが、それほど極東情勢は流動性を秘めているのだ。

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