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◎自民総裁選は安倍独走の形勢

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◎自民総裁選は安倍独走の形勢
  尖る石破・野田、岸田は禅譲狙いか
 英語のdead angle を語源とする死角が自民党総裁選挙にあるだろうか。まずない。首相・安倍晋三は圧倒的にリードしていて、死角を探してもない。自民党内を見渡したところ虎視眈々とその安倍にチャレンジしようとしているのが元幹事長・石破茂だ。大勢は首相・安倍晋三3選支持の流れであり、石破は孤立気味だ。石破は昔、佐藤栄作の長期政権を阻止しようとした三木武夫を思い起こす。「男は1回勝負する」とチャレンジしたが、敗北。その後ロッキード事件が幸いして首相になったものの、党内の支持は得られず、すぐに潰れた。しかし、立候補者がいないと自民党内は活気が出ない。石破に限らず、野田聖子など例え売名でもオリンピック精神で出馬すればよい。
 総裁候補としては事実上安倍が独走している。森友・加計問題はまるで朝日と民放と野党の独壇場だったが、贈収賄疑惑があるわけでなし、予算委の終了と共に影を潜めた。攻め手がなく、今後も忘れた頃にぽっとか細く火が付く程度のものだろう。内閣支持率もモリカケがなくなって回復しはじめている。読売の調査では45%で支持が不支持を逆転した。朝日や産経、民放の支持率も同様の上昇ぶりを示している。長期政権は一時的な高支持率より、30から40%を安定して維持することが大切だ。佐藤内閣がそうであった。
 これを反映して6月10日の新潟知事選では、事前の世論調査では、接戦との見方が多かったが、開票結果は花角英世54万6670票に対して池田千賀子50万9568票と、3万7000票余りの差を付けた。与党系は「快勝」であり、政局で安倍にプラスの結果となった。
 こうした中で、総裁候補とされる面々は,動くに動けない情勢である。国会会期は7月22日まで延長されるが、この間は表立った動きをすれば世論の反発を受けるし、国会終了後総裁選まで2か月しかない。短期決戦を余儀なくされるが、安倍の独走を阻止できる候補は存在しない。
 政調会長・岸田文男も、早々に旗を巻きそうな気配だ。4月16日に安倍と会談したのに続き、去る18日にも2時間半にわたって会食している。岸田は記者団に「北朝鮮、終盤国会、(自民党)総裁選の話をした」と語ったが、内容については「ノーコメント」とした。岸田の狙いは秋の総裁選で奪い取るのではなく、安倍の3選を認めて3年我慢をして禅譲を狙うところにあるのかもしれない。昔池田勇人にオリンピック花道論があった。池田は癌であることをひた隠しに隠して、任期を残して退陣する演出を行った。東京オリンピック閉会式翌日の10月25日に退陣を表明、自民党内での後継総裁選びの調整を見守った上で11月9日の議員総会で佐藤栄作を後継総裁として指名したのだ。佐藤は「待ちの佐藤」といわれたが、岸田も「待ちの岸田」として、昔のインスタントラーメンではないが「3年待つのだぞ」が、今考えられる最高の戦術だろう。
 総裁選への流れは、安倍が楽勝のように見えるが、油断は出来ない。問題は党員らの投票による地方票の動向も作用する。12年総裁選では、石破が党員らの投票による地方票で安倍を上回っだのだ。決選投票で議員票を固めた安倍に敗れたが、決選投票に地方票を加えた現行制度なら、石破が当選していたといわれる。閣僚を離れた石破は、活発に地方行脚を繰り返している。しかし、石破にとっての致命傷は派閥の人数が少ない点だ。国会議員の人望がないから数が集まらない。衆参合わせて20人で6番目では、なかなか突破口を開くのは難しいだろう。安倍は5年の在任の結果、地方票がかなり集まる状況にあり、油断しなければ、石破はそれほど獲得出来ないかも知れない。
  総務相野田聖子も、発言を先鋭化させている。15日に日本記者クラブで記者会見し、選択的夫婦別姓の導入などを総裁選の主要政策に掲げる考えを示した。安倍との対立軸を明確にする狙いがあるが、支持の広がりには全く欠けているのが実情だ。空回りな発言も目立ち、20人の推薦人確保ができるかどうかも不透明だ。
 安倍は意気軒昂だ。16日の読売テレビでは「まだまだやるべきことがたくさんある。北朝鮮の問題、拉致問題、これはやはり私自身の責任で解決をしなければならないという強い使命感も持っている」と政権維持に強い意欲を表明している。そして最終決断の時期については味な発言をした。「東京近辺のセミの声がうるさいと感じられるようになってきたら」だそうだ。もっとも、考えてみればこの発言は事実上の出馬表明にほかならない。
◎俳談
【鳰(にお)の浮巣】
鳰の消え浮き名の一つ残りけり 杉の子
鳰(カイツブリ)が水中に消えて本当は水輪が残るのだが、それにかけて浮き名とした。 鳰は冬の季語。どこの公園にでもいるあの可愛いやつである。鳩よりやや小さく、水中に巧みに潜って魚を獲(と)る。数日前水中を泳ぐ写真が撮れたが、水面ではずんぐりしているのに、水中ではまるで矢だ。細長く体を伸ばして一直線に進む。フィリリリなどと鳴く声は美しい。
芭蕉は
五月雨に鳰の浮巣を見にゆかん
と詠んだが、「見に行かん」と言ってもこの場合江戸にいて、琵琶湖の浮巣を見に行くというのだから風流も極まれりだ。もっともこの時は別に用事があってのことだが。
 そのかわいらしい鳰が、ある朝森に行くと張ってある網に引っかかって、がんじがらめになり、断末魔の表情でもがいていた。余りのむごさに公園の係員に言って外させたが、一晩中もがいていたと見えてぐったりとなっていた。網は魚類調査のものだというが、池は鳰がしょっちゅう潜っている。そこに思いが行かなかった管理者は無能としか言いようがない。

◎ トランプの「軍事演習中止」発言の浅薄さ

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◎ トランプの「軍事演習中止」発言の浅薄さ
 「カネ節約」と商売人根性丸出し
 安倍は日朝首脳会談も視野に
   群盲象をなでるというか、百家争鳴というか。トランプと金正恩の会談をめぐって議論が百出している。その理由はトランプが「詰め」を怠った結果だ。アバウトで危うい「合意」が、混乱や困惑を世界中にまき散らしていることをトランプ自身も分かっているのだろうか。首相・安倍晋三も金正恩との首脳会談を実現し、極東の安全保障を確立させるための直接対話を実現させるべきだが、それには拉致問題の成果もある程度見通せるようになる必要がある。日米は非核化で北朝鮮から大きな譲歩を引き出せない限り、軍事的な圧力を弱めるべきでないことは言うまでもない。
 トランプの高揚感は、自己顕示欲もともなってすさまじい。会談後「金委員長と私はたった今、共同声明に署名した。彼はその中で『朝鮮半島の完全な非核化への揺るぎない決意』を再確認した」と、記者会見で“成果”を強調した。「われわれはまた、合意実現のためできるだけ早期にしっかりした交渉を行うことで一致した。彼(正恩氏)がそれを望んでいるのだ。今回は過去とは違う。一度もスタートすることなく、それゆえやり遂げることもなかった政権とは違う」と述べた。どうもトランプは過去の政権との比較を臆面もなく持ち出す傾向が強いが、オバマをはじめ歴代大統領なら、現状に合わせた対応は当然している。トランプこそ唯我独尊の露呈を戒めるべきだ。
 トランプと金正恩が決めた合意文書自体は「朝鮮半島の平和と繁栄に貢献する」ことを約束し、「トランプ大統領は(北朝鮮に)安全の保証を提供することを約束した」となっている。極めて大まかな合意である。金正恩の述べた「朝鮮半島の完全な非核化への揺るぎない決意」は立派だが、その非核化の時期や方法、具体的な対象についての細部は文書に存在しない。トランプは記者会見でこれを「時間がなかった」せいにした。だが、極めて重要な意味を持つのはその細部なのだ。というのも過去に米政権が細部を詰めなかった結果、北朝鮮は何度も約束をほごにしてきた。北の「やらずぶったくり」路線は、毎回成功してきたのだ。合意文書には、正恩がトランプの主張する内容を確実に実行することを示す部分はほとんどない。
 会談での譲歩に加えて、トランプは米韓軍事演習を「ウォーゲーム」と軽視するかのような発言をして、交渉が順調に進んでいる間は中止する意向を表明した。北が「極めて挑発的」と非難を繰り返してきた演習は、裏を返せば効果があるのであり、独断で中止してしまえるようなことではあるまい。「会談後最初の重大かつ一方的な譲歩」(ウオールストリートジャーナル)を行ったのだ。
 非核化の道筋すらおぼろげなのに、クリヤーカットに軍事演習中止の「見返り」を与えてしまうとは恐れ入った。欧米メディアは非核化の具体的な手法や期限が決められなかったことについて懸念する見方が多い。トランプは「ウオーゲームの中止で、カネを大幅に節約できる。ウオーゲームは挑発的だ」と述べている。ここでカネの節約を言うとは商売人根性丸出しで、安全保障の重要性を理解していない。まるでベニスの商人のごとく、方向性を間違っている。米韓軍事演習は北朝鮮に対する圧力のシンボルであり、これが実施され、米軍の装備が白日の下に照らされるからこそ、北が南進を思いとどまってきている現実を分かっていない。
  日本に関係の深い拉致問題については国務長官ポンペオが「大統領は複数回にわたって取り上げた。拉致家族の帰国のための北朝鮮の義務を明確に伝えた」と言明した。トランプに対して金正恩は「分かった」と述べたと言われる。しかし金正恩が具体的な反応をした形跡はない。トランプは安倍との電話協議で「金委員長は日朝会談にオープンだ」という趣旨の説明をしたという。
  政府は北朝鮮の動向を慎重に見極めながら交渉の機会を模索する方針であり、政府部内には早ければ7月か8月の首脳会談もありうるとの見方がある。夏がない場合、9月にロシア・ウラジオストクで開かれる「東方経済フォーラム」に金正恩が出席すれば、安倍との会談を実現させる構想もあるようだ。実現すれば2004年の小泉純一郎訪朝以来となるが、安倍は金正恩との会談について「ただ話しをすれば良いのではなく、問題解決につながる形で実現しなければならない」と、慎重な姿勢であり、情勢を見極める構えだ。拉致問題は被害者家族にとっては極めて重要だが、まずは極東安保という大事を最優先させ、その結果として拉致問題の解決につなげることが重要だろう。安倍が発言したように日本は拉致問題に関しては「主体的」に対応するしかない。
 ◎俳談
【俳句と笑い】                   
あの子規が
山の花下より見れば花の山 
という句を作っていたかと思うとほほ笑ましい。言葉遊びのように見えるが一度読んだら忘れない句はいい句だ。一茶は笑いとペーソスの俳人だ。まるでチャップリンのようである。
故郷は蠅まで人を刺しにけり
古里の冷たさをばっさりと切っている。筆者も負けてはいない。
湯湯婆(ゆたんぽ)と書けば笑へるなあ婆さん 読売俳壇1席
は、自慢ではないが、俳句史上に残してもらいたいユーモア句だ。
まだある
合格子上がり框で転びけり 産経俳壇入選
「合格したよ」と言ってづっこけた。
遠足やパンパかパーンと弁当開け 読売俳壇1席
パンパカパーンは横山ノックの専売特許ではない。
クソ暑い夏。
これきしはジュラ紀の冬と炎天下 読売俳壇3席
ジュラ紀は知らんが相当暑かったらしい。頑固じじいが炎天下を歩いている。

◎大山鳴動ネズミ一匹の米朝未完会談


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 非核化時期、検証、工程未定のまま
 日本はおいそれと「経済カード」を切ることはない
  トランプは口癖の「素晴らしい」を繰り返すが、どこが素晴らしいのか。会談したこと自体が素晴らしいのか。それにしては、「北の壁」ばかりが目立つた未完の会談であった。金正恩は米朝共同声明で「完全な非核化」を約束したが、具体的な非核化の範囲や工程や期限への言及はなかった。これでは、歴代北朝鮮トップによる「約束反故の歴史」を誰もが思い起こさざるをえないだろう。トランプは会談の“成果”に胸を張るが、その内容は会談したこと自体に意義がある程度にとどまりそうだ。要するに北朝鮮の核兵器廃棄への工程はほとんど示されず、非核化のタイミングや検証方法は今後の交渉に委ねられることになった。
 会談を受けてトランプは北朝鮮への経済的支援については、「米国が支出すべきだとは思わない」と主張し、「遠く離れている米国ではなく、日本や中国、韓国が助けるだろう」と、経済援助をたらい回ししたい口ぶりだが、会談結果から見る限り日本はおいそれと「経済カード」を切れる状態でもあるまい。
 まず米朝合意文書に書かれた文言は、4月に開催された韓国と北朝鮮の南北首脳会談で署名された内容をコピーしたかのようであり、北朝鮮による核・ミサイル実験の凍結に関しても明文化されなかった。米国が6カ国協議を通じて主張してきた非核化の原則である「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)」の文言がない。休戦から65年にわたる敵対関係と20年あまりにわたる核武装路線に終わりを告げる文言が、合意に至らなかったことを意味する。北が核武装を放棄する意思がないことを物語っている。トランプはCVIDが合意に至らなかったことを記者団から突っ込まれて「時間がなかった」と弁明したが、焦点の問題を時間のせいにするのはおかしい。合意文書は「朝鮮半島の完全な非核化」と表現しただけで、北朝鮮の非核化をいかにしていつまでに成し遂げるのかという、首脳会談最大のテーマは、盛り込まれなかった。非核化の時期と検証方法も不明のままだ。検証可能と不可逆的という言葉なしに、北の核武装に歯止めをかけようとしても無理がある。
 さらにトランプの主張の核心であった「朝鮮戦争終結」の宣言も合意文書にはない。朝鮮戦争で米朝が戦火を交えて以来のトップ会談であり、宣言には事実上終結している戦争を再確認する意味合いがあるが、盛り込まれなかった。さらに北朝鮮による核・ミサイル実験の中止の明文化もなかった。核・ミサイル実験場の閉鎖にも言及していない。多くの課題が、先送りされ、具体性に欠けた会談であったことを物語る。要するに大山鳴動してネズミ一匹の感が濃厚なのである。トランプにしてみれば秋の中間選挙へのプラス効果が出れば良いのだ。
 一方金正恩は、会談から多くのポイントを稼いだ。合意文書では金正恩体制をトランプはギャランティーという表現で保証した。特異な社会主義体制を敷く金王朝を、自由主義の雄であるはずの米国が体制保証するという奇妙な会談となった。今後金正恩が体制の正当性を世界に喧伝し、国際的な孤立から離脱する材料に使うことは言うまでもない。加えて米韓軍事演習の見直しや在韓米軍の削減にトランプが言及したことは、金正恩にとって大きな成果であった。
 しかし、ことは極東の安全保障に関する問題である。重要な同盟国である日本にろくろく相談もなく、安全保障に関する問題を軽々に発言するトランプのセンスを疑う。拉致被害者の問題については、首相安倍晋三の要望に応じて、トランプが金正恩との会談で言及したが、単なる言及にとどまったようである。もともと拉致問題は日本政府が解決すべき問題であり、安倍が「日本の責任であり、日朝間で交渉する」と述べている通りである。
 日本外交の真価が問われるのはこれからであるが、かくなる上は北との関係正常化を推し進め将来的には、国交正常化を視野に入れるべきであろう。正常化して、経済的な結びつきを強めることにより、北の暴発は抑えられる可能性が高い。拉致、核、ミサイルが国交正常化の前提条件だが、棒を飲んだような姿勢でなく、緩急自在の姿勢で日朝首脳会談の開催を視野に入れるべき時だろう。
 トランプはまた、国務長官マイク・ポンペオと大統領補佐官ジョン・ボルトンが来週、合意の「詳細を検討する」ため北朝鮮当局者と協議する予定だと述べている。またトランプ自身も「また会う、何度もだ」と延べ、金正恩をホワイトハウスに招待する意向も示した。「恐らく再度の首脳会談が必要になる」と語った。トランプ自身も会談の不十分さに気付いているのかも知れない。
 ◎俳談
 俳人中村草田男が
降る雪や明治は遠くなりにけり
と詠んだのは、明治が終わって21年を経た後である。早くも平成は30年、昭和も遠くなったものである。私は懐かしさもあって昭和をよく詠む。最初に入選したのが朝日俳壇で
恐ろしき昭和を見たり昼寝醒(ざめ)  朝日俳壇1席
であった。昼寝で昭和の夢を見たことにして「恐ろしき昭和」と形容したのが当たった。戦争と混乱に明け暮れした昭和であった。戦後は一時期までわらじを履いていた。通学にもわらじの子がほとんどであった。
わら草履はける昭和よ冬の星 東京俳壇月間賞
 竹の子生活と言って竹の子をはぐように、母親の着物が次々に売られた。親たちは深夜まで働いた。
丸眼鏡かけて昭和の夜なべかな 毎日俳壇1席
 上野の地下道では親を亡くした浮浪児が靴磨きをして頑張っていた。
鰯雲昭和の少年靴磨く 東京俳壇入選
 昭和の女は母親を見ても健気で一生懸命であった。
鳳仙花昭和の女健気なる 産経俳壇入選
 そして
丈夫なり妻と昭和の扇風機  毎日俳壇年間大賞
として今日に至る。実に丈夫なのである。

◎シンガポール会談はプロセスの出発点


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◎シンガポール会談はプロセスの出発点
「戦争終結宣言」のあとは日本の支援が焦点
 12日の米朝首脳会談で最優先となるのは、安全保障と引き換えに、北朝鮮の朝鮮労働党委員長金正恩に核兵器開発を放棄する用意があるという確約をとりつけることだろう。事態は戦争勃発以来70年ぶりの「朝鮮戦争の終結宣言」に向かう。拉致問題はトランプが取り上げる方向だが環境整備にとどまるだろう。安倍自身が金正恩との直接会談で話し合うしかない。トランプはシンガポール会談を、「複数の首脳会談へのプロセスの出発点」と位置づけており、解決は長期化するだろう。
 シンガポール会談では終戦宣言を発出することで一致するだろう。しかし、具体的には当事国が米朝に加えて中国、韓国の4か国による調印となる必要があるから、早くても秋以降となる可能性が高い。トランプも「シンガポールでは戦争終結に関する合意で署名できる」と述べている。1950年に始まった朝鮮戦争は53年に米国と北朝鮮、中国によって休戦協定が結ばれたが、平和協定が締結されていないため、現在も法的には戦争が継続状態となっている。
 4月27日の韓国と北との板門店宣言では「今年中に終戦を宣言、休戦協定を平和協定に転換して恒久的で堅固な平和体制の構築に向けた南北米の3者または南北米中の四者会談を開催する」方針が確認されている。北の非核化で米国が理想とするのは南アフリカの例だ。南アは1989年のF・W・デクラーク大統領の就任後、自主的に6つの核兵器を解体。核不拡散条約(NPT)に加盟し、自国施設に国際原子力機関(IAEA)の査察団を受け入れた。 
 北朝鮮の場合には、兵器や技術が隠されている可能性があり、北が申告した施設だけでなく大々的な査察が必要になる。ただ金正恩は「段階的かつ同時的」アプローチを呼び掛けており、そこに北のトリックがあるという見方もある。北朝鮮が核兵器放棄を正直に進めるのか、可能な限り非核化を先延ばしする“策略”なのかは分からないからだ。過去の例から見れば信用出来ない最たるものなのだ。
 トランプは秋の米中間選挙に北朝鮮問題を結びつけようとしていることが歴然としており、そのための象徴となるのが「朝鮮戦争の終結宣言」となることは間違いない。まさにこれといった成果のないトランプにとって、北朝鮮問題はアピールするにうってつけの材料だが、事実上終結している戦争終結を改めて宣言しても、米国のマスコミが成果として認めるか疑問だ。 
 日本にとって核問題と並んで重要なのは拉致問題だが、トランプと金正恩との会談での優先順位はどうしても非核化に置かれるだろう。おそらく金正恩もそれを見抜いており、従来の「解決済み」との方針から離脱するのは難しいかも知れない。4月29日に韓国大統領文在寅は安倍に電話で「金正恩委員長は日本と対話の用意がある」と伝えてきたが、北との融和の過程としての日朝首脳会談は極めて重要なものとなることは確かだ。なぜならトランプがたとえ拉致問題を取り上げても、それは「交渉」にはなりにくいからだ。交渉はあくまで日朝間で行うことになる。トランプは「拉致問題が解決すれば日朝関係が劇的に変わる」と述べているが、これは3人の米国人の解放と米国の変化を重ね合わせたものだろう。安倍もその辺は認識しており、「最終的には金正恩委員長との間で解決しなければならないと決意している」と述べている。
 一方経済問題が密接な関わり合いを持つが、国務長官ポンペオは、「経済支援は北朝鮮が真の行動と変化を起こすまであり得ない。日本による経済支援も同じだ」と述べており、一挙に経済支援に結びつける方針は示していない。安倍も「国交正常化の上で経済協力を行う用意がある」とクギを刺している。しかし、最終的には日本の経済支援を、北朝鮮ばかりか米国も当てにしていることは間違いないことだ。総書記金正日が日本人拉致を認めた2002年には、首相小泉純一郎が、北朝鮮に100億ドルを支払う構想があったが、実現していない。気をつけなければならないのは北による“やらずぶったくり” であろう。
◎俳談
【忙しいと遊びが楽しい】
 老の過ごし方は「忙しいと楽しい」の原則を守ることだ。それはどういうことかと言えば、必死になって何か“仕事”をすれば、その最中に「明日あれして遊ぼ、これして遊ぼ」という思いがめぐるということだ。筆者の場合深夜の原稿書きが自らに課した仕事で、きつい時には、その最中に「遊び」を脳裏に浮かべて、自らを慰める。だから人生には遊びが欠かせないのだ。人間「遊びせんとや生まれける」なのだ。 
 筆者の場合、遊びとは30年やっている超望遠カメラでの野鳥撮影だ。とりわけ近ごろは、カメラが進歩して1秒に12枚撮影が可能だ。飛んでいる野鳥を撮影できる。野鳥にレンズの焦点が合うと食いついて離さないのだ。接近しようと離れていこうと焦点が合い続けるのだ。飛ぶ鳥を見事に“射止めた”時ほど、スカッとすることはない。
トレーラー降りしは女黄鶺鴒(きせきれい) 俳句朝日入選
 翡翠(かわせみ)の写真を撮っていたら、公園工事のトレーラーの運転席からGパン姿の目の覚めるような美女が降りてきた。カメラを向ける勇気はなかったが、びっくりして一句作った。

◎北と文在寅の“術中”にはまる危険ートランプ


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◎北と文在寅の“術中”にはまる危険ートランプ
  7日の日米会談でCVID堅持確認を
  今朝の朝日の森友文書の扱いにはあきれた。一面から5面までを使って狂ったように報道している。なんとしてでも政局化して、倒閣に結びつけたい思惑を露骨に見せる異常さだ。極東情勢が緊迫化していることなどまるで眼中にない。平衡の感覚があるジャーナリストは朝日にはいないのだろうか。政府・与党はバランスを欠いた朝日の術中にはまってはならない。
 同じ術中でも、12日の米朝会談に向けてトランプが北朝鮮の術中にはまりそうな気配を見せ始めている。焦点の非核化をめぐって1回目の会談だけでは説得が困難との見地から、トランプは「12日が素晴らしいスタートになる」などと発言しはじめたのだ。韓国大統領文在寅も唱える北の段階的な核廃棄の対応に応じそうなのである。米大統領が最初から妥協に傾斜し、腰折れ気味ではその先が案じられる状態だ。そもそも米大統領が金正恩と度々会談するなどと言うことは、自らを安売りすることにほかならない。首相・安倍晋三は7日の日米首脳会談で、北朝鮮問題の現状をトランプに再認知させる必要が出てきた。
 米朝会談の焦点は日米が既に確認している「完全かつ検証可能で不可逆的な核廃棄」(CVID)へ、金正恩を説得出来るかどうかにかかっている。トランプは当初からこの方針維持を基本としてきたが、文在寅との会談から方針があやふやになりつつある。文在寅は金正恩との二度にわたる会談を通じて、北の「段階的な措置で合意すべきだ」との立場を受け入れている。段階的措置とは、非核化を一挙に進めず、いつでも核・ミサイル実験が可能な状態を維持することにほかならない。文在寅はもともと左派の大統領であり、加えて北と同一民族としての感情に流され、極東安保情勢という大局を見失っているのだ。
 文に吹き込まれたトランプも「段階的な措置」とは、北が米国との会談に向けて仕組んだ“罠”であることを知るべきなのだが、トランプはそれが分かっていないかのように唯々諾々と北の戦術を受け入れ兼ねない危うさがある。米大統領がだまされるとすればまさに3度目となる。米国は既に1990年代と2000年代の交渉で北から同様の提案を受け、これに応じたが、金一族は臆面もなく合意を反故にして裏で核・ミサイル開発を推し進め、ついに大陸間弾道弾とこれに積載する核爆弾の開発に成功しつつあるのだ。それに歯止めをかけなくてはならない時に、トランプは米国に届く核ミサイルだけにストップをかけ、日本を狙う200発の中距離ミサイル・ノドンについては言及しないままだ。トランプは国連による北朝鮮制裁決議が機能する前に、制裁の影響力を弱めてしまっているのが実情だ。
 金正恩が自らの体制が崩壊することを一番恐れている事は言うまでもない。体制維持のためには何でもするのが基本方針であり、その体制維持に不可欠なのは核ミサイルなのだ。核ミサイルがあってこそ、大国と肩を並べられるという小国の誇大妄想が、一貫して北の政策には流れているのだ。金正恩は、非核化を小出しにして、見返りの経済援助を得ようとしているのが実態だ。文在寅はこれにまんまとはめられているのだ。
 一方、もともと北を「緩衝国家」と位置づけている中国は、金正恩を“鼓舞激励”こそすれ、ブレーキをかけることなどしない。国際的にはきれい事を言っても、その実態は深層でつながっているのだ。ロシアも中国に同調している。南アフリカを訪れた中国の王毅、ロシアのラブロフ両外相は3日の会談で、朝鮮半島情勢をめぐり「引き続き協調を強化する」ことで一致している。中露は「段階的な非核化」など北朝鮮の主張をバックアップしており、北問題で結束を固めた。こうしたトランプの浅慮と中露の思惑を最大限活用して北は、三度(みたび)国際社会を欺こうとしていると受け取るべきだろう。こうした中でCVIDへの適切なる対応が何と言っても焦点となる。CVIDへの対応が不十分なままであれば北朝鮮が外交上の有利なポジションを得てしまう。CVIDは全面的な制裁実施が困難な事態を避けるための唯一の方法でもある。
 これに対して安倍政権の対応は、クリアーカットで適切である。安倍は「核武装した北朝鮮を日本は容認するわけにはいかない。圧力を高めて抜け道を許さない」と言明。官房長官菅義偉も「拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決なしに、北朝鮮との国交を正常化することはあり得ないし、経済協力も行わない」と断言している。安倍はこうした姿勢をトランプとの会談で繰り返し強調し、CVID堅持を中心にトランプの事態への認識を確たるものとさせねばならない。トランプは安倍とは盟友関係にあり、安倍の友情ある説得には耳を傾けるだろう。
 またトランプが、北が説得に応じた場合の見返りとなる経済援助について「韓国と日本には北への支援を準備すべきだと伝えた。支援は隣国の日中韓3か国が行うべき」と、ばか丸出しの論法を展開しているが、ことはそう簡単ではない。日本には拉致問題という重要課題が未解決のまま残っており、これを残したままの援助など極めて困難だ。トランプにはこのイロハを教えておく必要がある。国連を中心に援助をする状態が生ずれば米国も参加すべきことは言うまでもない。金を出さずに口を出すのはいただけない。 
◎俳談
【孤独を詠む】
囀(さえずり)を聴きて一人と気付くかな 毎日俳壇入選
孤独を詠むのは老人の特権だ。老人というのは時間が余る。時間が余るから孤独を感ずるひまがある。筆者のように自分で勝手に仕事を作って、勝手に忙しがっている者はまれだろう。その急がしがっている筆者ですら孤独を感ずるのだから、フツーの老人はもっと孤独だろう。そして孤独と気付くときはどんなときかと言えば、様々なる事象を共感する人がいないと気付いたときであろう。「小鳥が鳴いてるよ」と伝える相手がいないときだ。そして、せっかく孤独感が生じたのだから俳句にしなければ損だとばかりに俳句にする。転んでもただ起きないのが孤独な俳句老人なのだ。
烏瓜見つけ一人と気付きたり 産経俳壇入選
何でも一人と気付いてしまうのだ。そして俳句にしてしまうのだ。だから孤独はありがたい。材料をくれるからだ。
孤独を詠んだ名句は尾崎放哉の
こんなよい月をひとりで見て寝る
せきをしてもひとり
ころりと横になる今日が終って居る
いずれも深い孤独を詠んで秀逸だ。 
 

◎野党質問は“冷め切ったピザ”だ


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◎野党質問は“冷め切ったピザ”だ
  形骸化した党首討論はもうよい
 イギリス議会における二大政党のクエスチョンタイムをモデルにして、日本でも1999年7月に党首討論が開始された。内閣総理大臣小渕恵三に対して民主党代表鳩山由紀夫が行った質疑が草分けだ。鳩山は「きょう総理は朝何を召し上がったでしょうか。私は、けさはピザを食べてまいりました。」と質問。小渕は「いつものとおり日本食の食事をいたしてまいりました。温かいピザを食べられたということでありますが、アメリカのオルブライト国務長官から以前、冷たいピザもまたおいしいと言われたことがあります」と皮肉った。ニューヨーク・タイムズが取り上げて小渕を「冷めたピザ」と評したことから有名になった。30日の首相安倍晋三と野党の質疑を聞いたが、野党の質問は既に出た話しの繰り返しで「冷め切ったピザだ」やめた方がよい.
 とりわけ立憲民主党代表の枝野幸男の質問は、何ら進展のないモリカケ論争に終始した。従来と同じ質問を繰り返す枝野の姿勢には、「もういいかげんにした方がよい」という茶の間の声が聞こえるようであった。片山虎之助が「もう党首討論のあり方を全面的に見直した方がいい」と述べているがもっともだ。
 枝野は安倍が「贈収賄では全くない」と答弁したのをとらえて、「急に贈収賄に限定したのはひきょうな振る舞いだ」とくってかかったが、贈収賄でなければなぜ追及するのか。安倍も夫人も潔白が証明済みであり、贈収賄でもない事柄を性懲りもなく過去1年半にわたって繰り返し追及する方が、重要な国会論議という資源の無駄遣いをしているのではないか。枝野は「金品の流れがあったかどうか。森友問題の本質とはそういうことだ」と断定したが、大阪地検の捜査からも政界を直撃する問題は、何も出てきそうもないではないか。贈収賄があるがごとく国会で発言する以上、金品の流れの証拠を提示すべきだろう。
 枝野に比較すれば外交問題を取り上げた国民民主党共同代表の玉木雄一郎のほうが聞き応えのある質問をした。安倍からプーチンとの個別会談について「テタテでは平和条約の話ししかしていない」との答弁を引き出したのは1歩前進であった。
 総じて論戦は野党の焦点が定まらないため深まらず、開催意義そのものが問われる結果となった。当初は英国議会の例にならって2大政党の党首による政策論争を想定したが、現状は少数野党の分裂で、質問時間も立憲民主党19分、国民民主党15分、共産党6分、日本維新の会5分と細分化された。野党は自己宣伝が精一杯であり、まともな質問をしにくい傾向を示している。
 枝野は「追及から逃げるひきょうな姿勢」と「ひきょう」という言葉を何度も繰り返すが、こういう質疑の構図が生じたのはひとえに野党の議席減という自ら招いた結果であることを忘れるべきではあるまい。終了後、枝野はただ一ついいことを言った。「党首討論は歴史的意味を終えた」である。確かに与野党党首の真剣勝負の場は形骸化した。野党も分かっているなら開催要求をすべきではない。国会にはちゃんと予算委員会という総合質疑の場があるではないか。あれもこれもと要求しても、あぶはち取らずが関の山だ。
◎俳談
【俳句と政治家】
 政治家の俳人で本物は大野伴睦と藤波孝生だろう。俳号「万木」の大野が保守合同の立役者三木武吉を詠んだ句が
三木武吉涼しく痩せて眉太し  万木
人物描写の句は珍しいが、秀逸である。「涼しく痩せて」はなかなか言えるものではない。
 政治家には運不運がつきものだが、中曽根康弘と死んだ藤波孝生ほど際だつものはない。藤波の俳号は孝堂(こうどう)。
両人とも俳句をやるが性格はその作に如実に現れている。
暮れてなお命の限り蝉時雨 康弘
控えめに生くる幸せ根深汁 孝堂
 中曽根は首相になって藤波は官房長官にとどまったが、ライフスタイルが天と地の開きがあった。
 俳句の通りに中曽根は日がとっぷり暮れたのにもかかわらず、あちこちでうるさく鳴き続けた。まさに「生き強い」人間の典型である。しかし俳句の方は中曽根の創作ではあるまい。芭蕉の
やがて死ぬけしきは見えず蝉の声
のパロディーと言ってよい。プロならその類想性をすぐに看破する。それでも中曽根は
したたかと言われて久し栗をむく
だそうだ。
 一方、藤波はリクルート事件の波をもろにかぶった。一部に総理大臣候補だとされていたと言うが、盟友竹下登のリップサービスが作った虚像の色彩が濃い。本人はその意欲もなく、能力もあったかどうかは疑わしい。控えめに生きて中曽根の補佐をするのが幸せな部類の政治家であった。しかし俳句だけは政界では大野と並ぶ一流だろう。

◎米朝会談へ向け動き急

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◎米朝会談へ向け動き急
 金正恩側近がNYで事前協議
 韓国に「終戦宣言」構想
 6月12日の米朝首脳会談に向けて鼎(かなえ)が煮えたぎってきた。ニューヨーク、板門店、シンガポールの3個所で接触が進展、大詰めの協議が展開されている。焦点は北が「非核化」にどの程度応ずるかにかかっている。米朝ともあきらかに首脳会談前に重要ポイントでの合意を目指しており、一連の会談の焦点は米国で開かれることが予想される労働党副委員長の金英哲と国務長官ポンペオの会談に絞られそうだ。まさに北朝鮮の金正恩は自らの体制維持、しいては国家の命運をかけた、選択を迫られつつある。
 一連の会談を通じて米国は北に対して「核兵器の国外への搬出とともに、完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)を完了すれば北の体制を保証する」との立場を伝達するものとみられる。さらに「北朝鮮のすべての核関連施設に対する国際機関による自由な査察を認め、全ての核を廃棄する」ことを要求。これに対して北は「米国が望むレベルの非核化を実現するには、米国の確実で実質的な体制の保証が必要だ」と金正恩体制の継続を要求するもようだ。また北は非核化に合わせた制裁緩和や国交の正常化などを要求しており、対立は解けていない模様だが、一方で融和の流れがあることは無視できない。
 金正恩の外交を補佐してきた金英哲は、おそらくニューヨークで ポンペオと会談することになろう。北朝鮮の高官が米国を訪れ政府要人と会談するのは2000年に国防委員会第1副委員長趙明禄がクリントンと会談して以来のことだ。トランプが金英哲の訪米を明らかにしており、おそらく表敬訪問を受けることになるかもしれない。板門店では駐フィリピン米大使のソン・キムが外務次官崔善姫と会談して、首脳会談の議題を詰めた模様だ。
 こうした中で韓国大統領文在寅は「早期終戦宣言」の構想をトランプに伝えたようだ。同構想は米朝首脳会談後に韓国、北朝鮮、米国の3国で現在「休戦」状態にある現状を「終戦宣言」に持ち込もうと言うものだ。文在寅は「米朝会談が成功すれば南北米3か国首脳の会談を通じて終戦宣言を採択すれば良い。期待している」と言明した。文にしてみれば非核化をめぐって駆け引きが激化している米朝双方を説得するためのカードとして宣言を使いたいのだろう。
 文在寅がこうした軟化姿勢を取る背景には26日に予告なしで行われた南北首脳会談がある。この席で金正恩は「韓半島の完全な非核化の意思を明確ににして、米朝会談を通じて戦争と対立の歴史を清算したい。我が国は平和と繁栄に向けて協力するつもりだ」と述べたという。仲介役の文に対してトランプは「金正恩氏が完全な非核化を決断して実践する場合、米国は敵対関係の終息と経済協力に対する確固たる意思がある」旨伝えているようだ。
 こうして米国は当面北朝鮮に対する制裁強化を見送る方針を固めた。米国はこれまでロシアや中国を含む約30の標的に対して大規模な制裁をする方針を固めていたといわれる。米当局者によれば、ホワイトハウスは当初29日にも北朝鮮に対する追加制裁を発表する予定だったが、首脳会談をめぐる協議が続く間は実施を延期することが前日になり決まった。
 こうした米朝和解ムードの中で米政界では慎重論が台頭している.
前国家情報長官ジェイムズ・クラッパーは「北朝鮮は彼らの典型的な『二歩前進一歩後退』の行動様式を見せている。北朝鮮が考える『非核化』が太平洋での米軍戦略兵器の縮小を意味するということが心配だ」と懸念を表明した。また共和党上院議員のマルコ・ルビオは「金正恩朝鮮労働党委員長は、核兵器に病的に執着してきた。核兵器が正恩氏に今の国際的地位を与えた。これが北朝鮮の非核化を期待できな
い理由だ」と強調。元中央情報局(CIA)長官マイケル、ヘイデンは、「首脳会談の結果で北朝鮮のすべての核兵器をなくすことは不可能だ。トランプ氏は会談で不利益を被ることになるだろう」と見通しを述べている。さらに注目すべきは元在韓米軍司令官バーウェル・ベルは、「在韓米軍の撤収を目的に北朝鮮と平和協定を締結することは、『韓国死刑』文書に署名することと同じだ」と強く警告した。そして、「強大な北朝鮮軍兵力が非武装地帯のすぐ前にいる状況で米軍が去るなら、北朝鮮は直ちに軍事攻撃を通じて韓国を占領するだろう」と予測している。
 韓国大統領府は文在寅の金正恩との会談やトランプとの会談で、極東情勢が大きく前進したと判断し、和解への道筋が立った段階で米朝間の相互不可侵条約と平和条約の締結へと事態を進めたい気持ちのようだ。これが実現すれば極東情勢は大きく緊張緩和へと進展するが、北が狡猾にも世界を欺いてきた歴史は歴然としており、楽観は禁物だ。
◎俳談
【諧謔味】
 大和市にある泉の森公園は野鳥が多く、カメラに超望遠レンズをつけて撮影に行くと必ずなにがしかの収穫がある。過日に野生のハトの群れが飛ぶのを撮影していたら、突然急降下して筆者の頭上すれすれを猛スピードで飛び過ぎた。何事かと思ったら大鷹だった。大鷹が群れの中の一羽を狙って襲いかかったのだ。絶好のチャンスとばかりにレンズを大鷹に向けたが、フォーカスできなかった。ハトは皆無事であった。
 写真には撮れなかったが、網膜写真にはちゃんと写っている。
その刹那鳩大鷹を躱(かわ)しけり 杉の子
野鳥撮影は瞬間だから、反射神経が物を言う。筆者のカワセミ写真には決定的な瞬間をとらえたものが山ほどある。
 俳句で春がそこまで来ていることを「春隣」という。冬の季語だ。「春遠からじ」も同じ意味で冬の季語。この春隣ほど好きな季語はない。春の足音が確実に聞こえだしたようで心が浮き立つ季語である。毎年数知れないほどこの季節に春隣の句を作っている。拙句の場合食べ物との取り合わせで作るケースが多い。
ざつざつとバターを塗りて春隣 杉の子
といった具合だ。ぱんにバターを塗る音に春の近さを感じるのだ。
何にでもマヨネーズかけ春隣 東京俳壇入選
もある。旺盛な食欲と春を響かせた。
さくさくと羅紗切る音や春隣 毎日俳壇3席
三越で背広を作ったときに羅紗バサミで布地を切る音に春を感じだ。諧謔(かいぎゃく)味がある句が
春隣娘の彼の力こぶ   杉の子
娘の彼氏のたくましさに圧倒されて作った。 



復旦大学講義録(2018/5月23日) ーその②浅野勝人

復旦大学講義録(2018/5月23日) ーその②

朝鮮半島非核化と東アジア情勢
安保政策研究会理事長 浅野勝人

もともと国家間で見解が根本的に異なり、折り合いがつかない場合、解決方法は二つしかありません。戦争で結着をつけるか、話し合いで妥協するか。どちらかです。この道理から今回のケースを考察すると、アメリカと北朝鮮が交渉のテーブルに着くのは必然の結果といえます。
ただ、交渉の先行きについては、楽観できる情況にありません。
一方は、核・ミサイルの凍結・廃棄について段階的に小出しにして、その都度、有利な条件を引き出す条件闘争をするものと予測されます。もう一方は、今回こそ一挙に完全廃棄を実現すること以外は認めません。双方の思惑に溝があって、足して2で割ることが難しい困難な交渉になります。

このように東アジア情勢が流動化している重要な時に、中国の李克強首相が8年ぶりに日本を訪れました。そして安倍首相と首脳会談を行い、
☆日本と中国が一致して「板門店宣言」を支持し、朝鮮半島の非核化が実現するよう連携する。
☆中国のインフラ整備に日本企業が協力するプロジェクトを協議するため「日中官民フォーラム」を設立する。
☆また、日中二国間の安全保障体制について、東シナ海における両国の艦艇や航空機による偶発的な軍事衝突を避けるため、「海空連絡メカニズム」の運用を開始することに合意しました。これが実現しますと、日本の海上自衛隊、航空自衛隊と人民解放軍の海軍、空軍との間に専用連絡回線、ホットラインが設置され、両国の安全が確保されます。
☆その上、11年ぶりに中国から“トキのつがい”が贈られることになり、日中平和友好条約締結40周年の節目に、日中両国の関係改善を内外にアピールするふさわしい機会となりました。
日中両国が相互信頼をいっそう深め、協調して、朝鮮半島の非核化に寄与し、アジア・太平洋地域の平和と繁栄に貢献することは、日本と中国に課せられた共通の責任だと思います。

私は、一昨年の秋、子どもの頃からあこがれていた孫悟空を探しに
西域を旅しました。
西安で三蔵法師には たっぷり会えましたが、孫悟空は見つかりませんでした。それで敦煌に足を延ばしました。そして、タクラマカン砂漠東端に連なるクムタグ砂漠を越えて、楡林窟にたどり着き、遂に念願の孫悟空に会うことができました。
第3窟西壁全面を占める「普(ふ)賢(げん)菩薩図」の右端中ごろに、天竺(インド)からの帰り、白馬を連れた三蔵法師と供の孫悟空が五台山の方角に向かって合掌している「玄奘(げんじょう)取経図」が描かれています。
“遂に孫悟空に会えた”という感動が伝わってきました。
西域ひとり旅の帰途、チンギス・ハーンに会うために蘭州に立ち寄りました。モンゴルにはチンギス・ハーンの遺跡はありません。墓探しも禁じられています。ところが、タングート族の侵略から中国を守ったチンギス・ハーンの功績を讃えて、蘭州郊外の興隆山に慰霊の大雄寶殿が建てられており、大ハーンの大きな座像が祀られています。
登山口山門付近で掃除をしていた70才そこそこと見受ける男の人から、突然、話しかけられました。

「あんた、どこの人だね。中国人ではないみたいだ」
「東京から来ました。日本人です」
「やっぱりそうか。本物の日本人を見るのは初めてだが、こんな
ところまで何しに来たのかね?」
「ここにお祀りしてあるチンギス・ハーンをお参りに来ました」
「私のおじいさんや親の兄弟は、あらかた『9・18』か、『抗日戦争』で日本人に殺された。母親から日本人は鬼より怖い畜生だとさんざん聞かされて育ってきた。あんたを見て、ひょっとしたら日本人ではないかと思ったのだが、普通の人に見たので頭が混乱して、つい確かめたくなって声をかけてしまった」
「よく声をかけてくれました。とてもうれしいです。おっしゃる通り、かつて日本軍が中国を侵略して、多くの人を殺したり、傷つけたりしました。あれは当時の軍隊のやったことで、現在の日本人には関係のない昔の出来事だったとは申せません。日本民族の仕出かした過ちですから、当然、私たちに責任があり、懺悔(ざんげ)しています。
ただ、45年前、毛沢東、周恩来と日本政府代表との間で、これからはお互いに仲良くしていこうと誓い合いました。日本人は、その約束を守ってきたし、今後も守ります。
日本人は、ただ、ただ平和を願っている人ばかりです。二度と戦争はしないと誓っています」
「日本人でも、あんたみたいな“いい人”もいるんだ」

会話はそこで途切れました。
オマエはいい人のようだが、あとの日本人は悪いヤツばかりに違いないという余韻を引きずっていました。
長い間の怨念を払しょくするには、並大抵の努力では足りないと改めて教えられました。

中国に対する日本の寛容と忍耐の精神は、必ずしも十分とは申せません。ですが、私は日中国交正常化以来、46年間、ひたすら日中間の厚い氷を融かす「融冰之旅」を続けて参りました。私のような日本人は幾らもいます。
皆さんも、今日の出会いをきっかけに、私のあとに続いて、日中相互理解の深化に目を向けるよう期待いたします。(元内閣官房副長官)

復旦大学 講義録(2018/5月23日)- その ①浅野勝人

復旦大学 講義録(2018/5月23日)- その ①

「朝鮮半島非核化と東アジア情勢」
 安保政策研究会 理事長  浅野勝人

中国の名門3大学(精華大学、北京大学)のひとつ「復旦大学」から特別講義の要請をいただき、先日、上海を訪れました。
演題の「朝鮮半島非核化と東アジア情勢」は、大学側からの要望によります。2回に分けて、以下、皆様に報告いたします。


いま、世界がかたずを呑んで見守っているのは、6月12日、シンガポールで行われる予定のアメリカのトランプ大統領と金正恩朝鮮労働党委員長との米朝首脳会談の成りゆきです。
角突き合わせて、一触即発だった米朝関係は、平(ぴょん)昌(ちゃん)の冬のオリンピックをきっかけに一転して雪どけムードになりました。
これをきっかけに、日・中・米・韓・朝 5ヵ国の首脳が、目まぐるしく動きました。
3月26日、北京で行われた習近平・金正恩による中朝首脳会談から始まって、フロリダの日米首脳会談、「板門店宣言」を発表した南北トップ会談、さらに今月9日、東京を訪れた李克強首相を交えた日・中・韓 3か国首脳会談、引き続き行われた安倍晋三・李克強の日中首脳会談を経て、歴史的なトランプ・金正恩米朝首脳会談に収れんされていきます。

ただ、冒頭「行われる予定の米朝首脳会談」と申したのは、トランプ・金正恩両氏の独特のパーソナリティから何が起きるか予測困難だからです。すでに、金正恩は米韓軍事演習に不快感を示して、会談延期をほのめかしています。これを逆手に取りかねないのがトランプです。(案の定、講演後、やるやらないのゴタゴタが起きているのはご承知の通りです)

予定通り米朝首脳会談が行われた場合、この交渉では、先の「板門店宣言」で ☆核実験とICBM(大陸間弾道ミサイル)の試験発射は止める。☆核のない朝鮮半島の実現を目標とする。と表明した北朝鮮の非核化をめぐって、そのための条件と核廃棄へのロードマップの詰めが焦点となります。
北朝鮮は「金正恩体制の国家の安全保証」を核廃棄の前提条件にしています。一方、アメリカは、北朝鮮が核とミサイルの査察を認め、期限を区切って核を廃棄する完全非核化を譲れない条件としています。
特に、日本にとっては、北朝鮮は日本を攻撃目標とする中距離弾道ミサイルを500ないし600弾 所有していますから、従来のようなあいまいな結着は許容できません。金正恩が最高指導者に就任してから、ミサイル実験を86回、核実験をインドと同じ6回実施しています。もう必要のない試験発射をしないことを隠れ蓑にして、核保有国となることは絶対に看過できません。

幸い、中国は北朝鮮を国家として存続させたいと考えていますし、同時に朝鮮半島の非核化にも賛成の立場を明らかにしています。
中国は、まさに米朝双方の条件を満たす仲介役としてうってつけの存在です。中国の動向に世界の期待が集まるのは当然です。

実は、去年から今年にかけて、「米朝軍事衝突の可能性高まる」「米軍、4月に北朝鮮攻撃の観測強まる」と報道するメディアが少なくありませんでした。つい先日、書店の書棚に「米軍、6月に北朝鮮爆撃」というタイトルの新刊書を見つけ、いささか呆れましたが、これほど米朝関係は最近まで緊迫していたという証しだと思います。

ところが、私はこれまで一貫して「アメリカと北朝鮮の軍事衝突・戦闘はない」と早い段階からネットやさまざまな新聞、雑誌に明言してきました。
なぜそう判断したのか、理由を述べたいと存じます。

能力 × 意図 = 戦闘 という方程式で、米朝両国の関係を
分析してみます。
北朝鮮は、いずれアメリカが攻めて来ると思い込んでいるので、ミサイルと核を開発・所持することによって国を守ろうとしています。イラクやリビアは、弾道ミサイルと核兵器を持っていなかったから戦闘に負けて崩壊したと考えています。
つまり、北朝鮮はミサイルと核を装備して、アメリカの攻撃に備えている「専守防衛」の国です。口先では、ICBM(大陸間弾道弾)でアメリカ本土を火の海にすると言っていますが、そんな能力はないことを彼ら自身、分かっています。ですから、アメリカまで行って戦闘をする意図も能力もありません。

一方、アメリカは北朝鮮を殲滅しても、中国、ロシアとの関係を決定的に悪化させるだけで何のメリットはありません。同盟国の韓国、日本への脅威を排除するのが狙いですから、北朝鮮が東アジアの平和を乱す核とミサイルを凍結・廃棄すれば、目的を達したことになります。従って、アメリカも能力はあるけれども、進んで北朝鮮と戦う意図はありません。
以上の分析に従えば、北朝鮮が「国家の安全保障」を首脳会談開催の前提条件にして、アメリカとの交渉を選択したのは理にかなっています。(元内閣官房副長官)

◎米朝会談中止の背景を探る

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◎米朝会談中止の背景を探る
 文在寅の「仲裁外交」失敗
 トランプ、段階的非核化で“呼び水”
 世紀の米朝会談が流れた。トランプが6月12日の会談予定を中止した。その背景には韓国大統領文在寅のトランプへのミスリードがあったようだ。経緯を見れば、まず22日の米韓首脳会談に先立つ米韓調整で急速にトランプと金正恩との会談へのムードが盛り上がった。文が“垂涎の話し”を伝えたからに違いない。ところが北の対米強硬路線は変化の兆しを見せず、トランプは文在寅に対し電話で「なぜ、私に伝えた個人的な確信(assurance)と北朝鮮の公式談話内容は相反するのか」と詰問している。従ってトランプと文の会談は文の言い訳で、相当気まずいものとなったようだ。
  これを裏付けるようにニューヨークタイムズ(NYT)は20日、「トランプ米大統領がかけた電話は文在寅韓国大統領の訪米のわずか3日前だった」とし「これは文大統領がワシントンに来るまで待てないという、トランプ大統領の不満(discomfort)を表しているという解釈が米政府で出ている」と報じた。 要するに、トランプは韓国から伝え聞いた北朝鮮の非核化交渉の意志を信じていたが、違う状況へと展開し、韓国の「仲裁外交」が失敗したと言うことだ。
 トランプは金正恩に送った書簡で6月12日の会談断念の理由について「会談を楽しみにしていたが残念なことに北朝鮮の最近の声明で示されている怒りや敵意を受けて私は現時点で会談を開くことは適切でないと感じた」と述べた。トランプが会談を断念した理由をもう一つ挙げれば、何と言っても水面下の交渉で米国の北に対する非核化要求の内容が極めて厳しかったことが挙げられる。これが北を硬化させたことにあるのだろう。また補佐官ボルトンが北の非核化でカダフィ殺害に至る「リビア方式」に言及したが、金正恩は自分もカダフィと同様の運命をたどりかねないと感じて拒絶反応を示したのだろう。北朝鮮外務省第1次官の金桂冠は16日「我が国は大国に国を丸ごと任せ悲惨な末路を迎えたリビアやイラクではない」として、「リビアモデル」とこれに言及したボルトン補佐官に強い拒否感を示している。
 この発言に対してトランプは、怒りをあらわにして「このまま会談をやってもいいのか」と周辺に漏らすに至った。副大統領ペンスも「トランプ大統領を手玉に取るような行動は大きな過ちとなる。会談で大統領が席を立つ可能生もある」と会談決裂の可能性まで示唆した。しかし北の“挑発”発言は止まらず、外務省で対米交渉を担当する次官崔善姫は公然とペンスを批判「米国問題に携わる者として、ペンス副大統領の口からそのように無知でばかげた発言が飛び出したことに驚きを禁じ得ない」と延べた。加えて「我が国は米国にこれまで経験も想像すらもしたことのない恐ろしい悲劇を味わわせる可能性がある」とすごんだ。「米国は『核対核の対決』で北朝鮮と相まみえることになる」ともまくしたてた。この崔善姫発言は米朝首脳会談の中止を改めて確定的にしたものと言えよう。
 一方、日本政府には早くから会談の実現性に疑問を持つ空気が強かった。外相河野太郎は「条件が整わないなら米朝会談をする意味がない」と述べると共に「会談をすることが目的ではなく、北朝鮮の核、ミサイル、拉致問題の解決が究極の目的」と日本の立場を強調している。官房副長官野上浩太郎は、「トランプ大統領が米朝首脳会談延期の可能性に言及したことは北朝鮮の具体的行動を引き出すためのもの」と分析している。
 こうして6月12日の会談は実現しない方向が定まったが、トランプが完全に断念したかというとそうでもなさそうである。トランプは「今は適切ではない」と述べており、望みを捨てていないのだろう。とりわけトランプの反移民政策やロシアとの不透明な関係への不満から野党・民主党に追い風が吹いている秋の中間選挙をひかえて、北との和解は大きなプラス材料になる。トランプは北への圧力を維持しつつ、秋までに会談実現に向けてのアヒルの水かきが続くのだろう。トランプが北に求める非核化について「直ちに完了してほしいが、段階的に行う必要が少しあるかもしれない。段階的でも迅速に行うべきだ」と述べたのは、北への呼び水の一環であろう。
◎俳談

【ノスタルジア】
 最近は乳幼児を背負う母親が少なくなった。ベビーカーかだっこ型のベビーキャリーが流行っている。銀座通りには最新ファッションの女性がこれまた高級ブランドのベビーカーで闊歩しているが、ノーテンキそうで子育てが大丈夫か心配だ。電車の中ではブレーキをかけないままで、危険極まりない。いざというときはだっこよりおんぶだろうと思うがどうだろうか。大空襲も大震災もおんぶだった。両手が使えるし身動きが自由だ。
ねんねこの中の粉雪払わねば 毎日俳壇入選
 ねんねこは赤ん坊を背負う際に用いた防寒用の子守り半纏(ばんてん)。なぜか夕焼けの中の五木の子守唄を思い出す。ちなみに 「おどま 盆ぎり 盆ぎり」の「おどま」は、自分のこと。「盆ぎり」は「盆限り」と書いて、「ぼんぎり」と読ませるから、お盆までのこと。「お盆が過ぎたら私は、もうここにいない」と歌っているのだ。子守りは嫌だったのだろう。子守り半纏の欠点は赤ん坊のクビがうしろにかっくんとなり、座らないことだが、最近では「クビかっくん防止型」も売られている。
わら草履はける昭和よ冬の星 東京俳壇2席
ノスタルジアは俳句になる。

◎米韓、北への「不可侵」を表明

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◎米韓、北への「不可侵」を表明
  米朝首脳会談前に和解ムード
 トランプ南北統一に言及
 米韓首脳会談は、6月12日に予定される米朝首脳会談に向けて、慎重姿勢のトランプを韓国大統領文在寅が説得する構図が浮かび上がった。結局22日の会談では、トランプと文在寅は「米朝会談が支障なく開かれるよう最善を尽くす」方向で一致した。ワシントンでは曲折をたどっても会談は実現するとの見方が強まっている。しかしそれも「金正恩はノーベル賞を待望するトランプに対して時間がたてば消える程度の非核化の約束をしようとしているかもしれない」とニューヨークタイムズ(NYT)が皮肉っており、水面下のやりとりがどう進むかが焦点だ。
 発表によるとトランプと文は「北が信用出来るような体制保障について意見を交わし、北に対する『不可侵』の約束が必要なことで一致した」という。また南北が板門店での首脳会談で合意した「終戦宣言」を米国、韓国、北朝鮮の3か国で合意に持ち込むことでも一致した。ただトランプは北朝鮮との首脳会談について「会談が開かれればいいが、今回開かれなければ次回に開かれるだろう」となお懐疑的な立場を崩していない。「来週分かる」とも述べた。まだ米朝会談の延期もあり得るという姿勢である。
 トランプは文との会談で、朝鮮半島の将来についての鳥瞰図を描いて見せた。「南北朝鮮はいつかは一緒になり一つの国に戻る。南北がそれを望むなら私もそれで良い」と述べた。トランプは既に机上にある「北の非核化と終戦宣言。その後の経済協力」から大きく歩を進め、南北統一への支援に初めて言及したことになる。
 これに関連して3月末と5月の二度にわたって金正恩と会談した米国務長官ポンペオは23日、下院外交委員会の公聴会で、金正恩との会談で正恩が「体制保証」を求めたことを明らかにしている。さらに金正恩はポンペオに対して「朝鮮戦争を終結させ、平和条約を締結する」意志を表示すると共に「我々の非核化の方針と意思を疑わないでほしい」と伝えたと言われる。ポンペオは公聴会に提出した文書で米朝首脳会談について、「適切な取引が机上になければ、丁重に立ち去ることになる」と述べた。これは水面下で進んでいるとみられる米朝調整に向けて“牽制球”を投げたものだろう。
 一方でNYTはトランプの参謀の懸念として「大統領がノーベル賞を待望している一面があり、これを看破した金正恩が時間がたてば忘れるような約束を準備している可能性がある」と、金が“ノーベル賞”を“まき餌”にしてトランプをおびき寄せようとしている側面を報じている。さらに同紙は、米政府関係者が「金正恩が米朝会談で今後半年以内に核兵器の一切を放棄し、関連施設を閉鎖するタイムテーブルに同意する」と予想したことをとらえて「こうした日程は極めて無理な計画だ」と否定的見解を述べている。
 北朝鮮の後ろ盾の中国は中国外務省報道局長の陸慷が23日、米国と北朝鮮の双方に対し、「問題の政治解決プロセスは得難い歴史的好機を迎えており、米朝双方が好機をつかみ、それぞれの懸念を解決してほしい」と強調した。トランプは中国を強く牽制する発言も繰り返した。「金正恩氏が習近平国家主席と2度目の会談をしてから態度が変わり、落胆した。」と述べた。これは金正恩が習近平に操られている側面に不満を抱いていることを物語る。トランプは習近平を「世界一流のポーカープレーヤー」と皮肉った。国連安保理事会の常任理事国であるにもかかわらず中国は制裁決議の完全なる履行をしているかどうか疑わしい。国境線を越えて北に物資が続々と届いているとの情報もある。
 一見日本の出番がないように見えるが、今後米朝会談が進めば非核化の工程表作りが俎上(そじょう)にのぼる。日本は積極的に核兵器解体と国外への搬出や、専門家による検証に参加する必要がある。安倍が北への見返りについて「先に核の完全放棄、後に補償」方式を強調しているのは当然である。要点は金正恩が新年から打ち出している経済重視路線をいかにして国際社会が定着させるかにあるのだろう。  
◎俳談
【分かりやすさ】
 名句は小学生でも分かるし、感動する。芭蕉の名句はすべて分かりやすい。
古池や蛙飛び込む水の音
を理解できない子供はいない。直感で分かってしまうのだ。専門家の理論づけは子供の直感の域を超えることはない。
分かりやすさでは小林一茶の右に出るものは無いだろう。
一茶の俳諧俳文集「おらが春」にある
我と来て遊べや親のない雀
名月を取ってくれろとなく子哉(かな)
は、分かりやすい句の筆頭だ。本来俳句は難しい用字用語とはなじまない。難しい言葉を武器として生きてきた職場人間が俳句に熟達しようと思ったら、その習癖をかなぐり捨てる必要があるのだ。芭蕉は「俳諧は三尺(さんせき)の童にさせよ」と述べたが、言い得て妙である。ちなみに小学生でも分かる拙句を挙げれば
秋の日に考へているゴリラかな 産経俳壇入選

◎野党の「加計疑獄」狙いは不発に終わる

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◎野党の「加計疑獄」狙いは不発に終わる
 安倍は7対3で3選の方向
「またも負けたか八聯隊(はちれんたい)、それでは勲章九連隊」は、昔大阪出身の陸軍連隊が虚弱であったことを茶化しているが、これは今の野党にもそっくり当てはまる、総力を挙げた加計問題が愛媛県による内部文書の信憑性が問われる事態になってきたからだ。核心部分である15年2月の安倍の加計との面会が完全否定され、文書ねつ造が問われるフォントの混入までが明るみに出ており、野党の追及は限界が見えた。自民党内の空気も「政局化不可能」(党幹部)との見方が支配的となってきており、9月の総裁選で安倍が3選される流れは7対3で強まった。
 朝日だけを購読している人は今にも「政局」かと思うだろうが、ミスリードされてはならない。読売か産経を併読した方がいい。23日もトップで「加計の面会否定の根拠示せず」と大見出しを踊らせているが、野党をけしかけているかのようで、平衡の感覚に欠ける。朝日は、加計問題を1年半も取り上げ続けて、けたたましく騒いでいるが、夢と描く昔の造船疑獄や昭電事件の再来などはあり得ない。なぜなら安倍や自民党幹部をめぐって贈収賄事件に発展する可能性はゼロだからだ。発展するならきな臭さが漂うものだが、まったくない。
 そもそも愛媛県の内部文書はテニオハもままならないレベルの県庁職員が書いたもののようで信憑性のレベルが低い。その核心部分には「2/25に加計理事長が首相と面談(15分程度)。理事長から、獣医師養成系大学空白地帯の四国の今治市に設定予定の獣医学部では国際水準の獣医学教育を目指すことなどを説明。首相からは『そういう新しい獣医学部の考えはいいね。』とのコメントあり。また柳瀬首相秘書官から、改めて資料を提出するよう指示があったので、早急に資料を調整し、提出する予定。」とある。
 文書は基本的に、明朝体と思われるフォントで構成されている。ところが、「首相からは『そういう新しい獣医学部の考えはいいね。』とのコメント」の部分と「柳瀬首相秘書官から、改めて資料を提出するよう指示」の核心部分だけがゴチックになっている。なぜ肝心の部分だけがゴチック体なのかは、おそらく後から挿入された可能性が強い。この継ぎはぎの字体を見ても慌てて中途半端な改竄が行われたのではないかと疑いたくなる。強調したいのならアンダーラインを引くとか、太文字にするとかが考えられるがそうではない。マスコミは、信憑性のない文書でカラ騒ぎのしすぎだ。
 安倍と加計との会談について、安倍は「指摘の日に加計氏と会ったことはない。加計氏から(学部新設の)話をされたこともないし、私から話をしたこともない」と全面否定。2015年2月25日の官邸の記録でも「加計氏が官邸を訪問した記録は確認できない」と“動かぬ証拠”で反論している。
 これに対して立憲民主党の福山幹事長は記者会見で、「首相が国会で虚偽答弁を繰り返してきた疑いがより強まった。首相の進退が問われる重大な局面を迎えた」と述べ、無理矢理政局化を目指している様子がありありだが、ネズミが猫を狙うようで痛ましい。また自民党では村上誠一郎が1人「今までの行動パターンをみたら、総理が本当のことを言ってると思えない。愛媛県の職員がなぜウソをついてまで書く必要があるのか。ウソは書いてない。柳瀬(元首相秘書官)より信用がおける。ということは、総理の信用は愛媛県の職員より落ちちゃったってことだ。」と太鼓腹を揺すって毒舌を吐いているが、党内議員で同調するものはほとんどいない。
 自民党の安倍支持勢力は依然として安定している。これまでのところ国会議員405人のうち安倍支持御三家の細田派94人、麻生派59人、二階派44人は動かない。細田派は22日の総会で満場一致で早々と連続3選を決めている。トップを切ったのであり、今後各派が態度決定を迫られる。加えて官房長官菅義偉の影響が強い74人の無派閥も、大勢は様子見ながら安倍へと流れる傾向を示している。会期末の6月20日まで1か月を切っており、夏休み入リすれば事態は消え去る。安倍は地方行脚で党員との親密度を高め、緊迫感漂う極東情勢でも活発な外交を展開する。そして、9月に3選を達成して5年間好調であった景気の維持に全力を傾注しつつ、2020年オリンピックを迎えるのが王道だろう。
◎俳談 
【俳句と諧謔味(かいぎゃくみ)】
 簡単に言えば重いテーマを軽く語るというのが芭蕉の言う「軽(かろ)み」であろう。例えば
秋深き隣は何をする人ぞ
秋が深まり、山野が寂しい風情になってくると、隣の物音も気になる。今何しているのだろうかと人恋しい気持ちにもなる。筆者は芭蕉が隣人の職業を気にしているというよりも、親しい隣人が何をしているのだろうかと気遣っているように句意を読み取りたい。平明な用語で全く気取っていない。「俳諧は3尺(さんせき)の童にさせよ」と芭蕉は述べているが、まさにその言葉を地で行っている。この「軽み」をさらに推し進めると「諧謔味」になることが多い。一茶は
春雨や食はれ残りの鴨(かも)が鳴く
と詠んだ。今は鴨が池にあふれているが、昔は見つければ捕って食べていたと考えられる。運良く食べられなかった鴨が春雨の中で鳴いている風景を詠んだが、みそは「食われ残り」。なかなか言える言葉ではない。
筆者もユーモアのある句は好きだ。
玄関開けて「受かったよ」と大声を上げた子供がずっこけた。
合格子(ごうかくし)上がり框(かまち)でずつこける 杉の子
雑草の中で高さ20~30センチくらいのスカンポがニョキニョキと立ち上がっているのが面白いと感じて
すかんぽのぽつぽつぽつの余生かな   杉の子
 

◎米朝会談へ神経戦が最高潮


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 ◎米朝会談へ神経戦が最高潮

米「半年以内の核搬出」要求
 北「体制の保障と平和協定」で瀬踏み
 6月12日に開催予定のトランプと金正恩の米朝首脳会談に向けて、神経戦が展開されはじめた。分析すれば米国が、「完全なる非核化」を要求し、北はこれを拒否した上で体制の保障を求めている構図が浮かび上がる。米国は北に対して核弾頭や大陸間弾道弾を半年以内に国外に搬出するよう要求、その代償としてテロ支援国家指定の解除と金正恩体制の存続をちらつかせているようだ。しかし金正恩が命と守る核兵器を半年以内に搬出する可能性はゼロに近く、米提案は駆け引き材料に過ぎまい。溝が埋まるにはほど遠い。
 北朝鮮は16日、米韓空軍の定例合同訓練を理由に、南北閣僚級会談の中止を一方的に通知し、第1外務次官金桂官が談話を発表した。談話は「大統領補佐官のボルトンをはじめ、ホワイトハウスと国務省の高位官僚は『先に核放棄、後に補償』方式を触れ回りながら、リビア核放棄方式だの『完全かつ検証可能で不可逆的な非核化』だの、『ミサイルの生化学武器の完全放棄』だのという主張を厚かましく繰り返している」と米国の要求を批判。「これは対話を通じて問題を解決しようとするものではなく、本質において大国に国を丸ごと任せきりにして、崩壊したリビアやイラクの運命を尊厳高い我々に強要しようとする甚だ不純な企てだ」と強調した。さらに金桂官は「一方的に核の放棄だけを強要しようとするならば、首脳会談に応じるかどうかも再考せざるを得ない」と首脳会談再考も示唆している。
 これに対しトランプは「われわれは何の知らせも受けていない。様子をみてみよう」と述べ、北朝鮮の今後の出方を見極める考えを強調した。さらにホワイトハウス報道官のサンダースは、米朝首脳会談について、「重要な会談だ」と指摘し、準備を進める考えを示す一方で「トランプ大統領は、困難な交渉には慣れていて、その準備も整っている。ただ、北朝鮮が会いたくないのなら、それでもいい。その時は、最大限の圧力をかけ続けるだけだ」とすごんで見せた。北朝鮮が対話を選ばなければ、圧力を強める考えを示して、けん制したことになる。
  しかし、“口撃”の厳しさは半島民族の“特性” であり、隘路を探していることは間違いない。その一つとして、韓国大統領文在寅を通じてトランプの説得を要求している可能性が高い。米韓首脳会談は22日に予定されており、北朝鮮が米韓合同航空戦闘訓練『マックスサンダー』を理由に南北閣僚級会談を一方的に中止したのは、米韓首脳会談に向けた思惑があるからにほかならない。その意図は韓国を動かして、米国との首脳会談の際の北朝鮮の立場をより正確に説明させようとしているのかもしれない。既に北朝鮮は韓国との閣僚級会談を中止することで、F22などの戦略兵器が朝鮮半島に飛来することを望んでいないという意思を明確に示している。金正恩は北朝鮮の立場をあらかじめ文在寅を通じてトランプに伝達してけん制しているのだろう。
 そもそも北朝鮮の狙いは今年早々から明白だ。正月に金正恩は対話攻勢に転じて、まず米国の同盟国である韓国の取り込みを図ってきた。金正恩と文在寅の会談で準備段階を終え、いよいよトランプとの会談に向けた総仕上げ段階に入っているのだろう。北は体制の保障と平和協定締結を最終目標としている。また一連の言動は米朝会談で主張する予定の重要なメッセージを米側にあらかじめ伝えて、瀬踏みをしているのだろう。これに対して米側も半年以内の核搬出という“高値”をふっかけて、妥協点を模索しているのが現在の図式だろう。
◎俳談
【黄昏レンズ】
三夕(さんせき)の歌とは『新古今和歌集』に並ぶ「秋の夕暮れ」を詠んだ三首の和歌をいう。日本人なら「三夕」と聞いただけで、そこはかとなき哀愁を感ずる名歌だ。寂蓮(じやくれん)の
寂しさはその色としもなかりけり槙立つ山の秋の夕暮れ
西行の
心なき身にもあはれは知られけり鴫(しぎ)立つ沢の秋の夕暮れ
藤原定家の
見渡せば花も紅葉(もみぢ)もなかりけり浦の苫屋(とまや)の秋の夕暮れ
の三首。『新古今和歌集』の代表的な名歌である。今年も夕方の俳句に挑戦しようと思う。
鳧(けり)の子のけりつと鳴ける日暮れかな 東京俳壇入選
既に画壇には三夕どころか、「無数の夕刻」を表現した版画家がいた。川瀨巴水(はすい)だ。別名「黄昏(たそがれ)巴水」と呼ばれたほど、郷愁の日本の夕刻を表現し続けた。これを筆者は写真で成し遂げようと、「黄昏レンズ」を入手した。ニコン58mm F1.4だ。フラッシュなど不要の「黄昏専門レンズ」と名付けている。これで黄昏の東京を撮って歩くつもりだ。俳句も黄昏、写真も黄昏。人生の黄昏時にふさわしいテーマの追求だ。
日の落ちてとっぷり暮れて十三夜 産経俳壇入選
  

◎今世紀最大の政治ショー米朝首脳会談

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◎今世紀最大の政治ショー米朝首脳会談
 ポンペイオの“まき餌”に食らいついた金正恩
 日本も拉致問題を棚上げしてまず正常化を
 米大統領ドナルド・トランプと北朝鮮の労働党委員長金正恩による、今世紀最大とも言える政治ショーが展開されようとしている。水面下での懸命の駆け引きから垣間見える焦点は、いちにかかって北の「核廃棄の度合い」と見られる。米国は北の核実験と核・ミサイルの完全なる廃絶を要求しているが、北は安全保障上の脅威を理由に20発と言われる核弾頭を手放す気配はない。さらに6月12日の首脳会談は、トランプが秋の中間選挙を意識して細部を詰めない妥協に走る危険を内包している。日本を狙う中距離核ミサイルなどは二の次三の次に回されかねない。日本は天井桟敷から大芝居を見物していてはならない。会談成功に向けて堂々と発信すべきだ。拉致問題は最大の課題だが、ここは関係正常化が先だ。早期の日朝会談が望ましい。
 歴史に残る米中極秘会談の立役者は大統領補佐官ヘンリー・キッシンジャーであった。1971年にニクソンの「密使」として、当時ソ連との関係悪化が進んでいた中華人民共和国を極秘に2度訪問。周恩来と直接会談を行い、米中和解への道筋をつけた。今回の立役者は国務長官マイク・ポンペイオであった。そのしたたかさはキッシンジャーに勝るとも劣らない。2回にわたる金正恩との会談で、おいしい“まき餌”をちらつかせて金正恩をおびき寄せた。ポンペイオは「北朝鮮が、アメリカの求める、完全かつ検証可能で不可逆的な非核化に応じれば、制裁は解除され、北朝鮮で不足する電力関係のインフラ整備や農業の振興など、経済発展を支援する。アメリカ企業や投資家からの投資を得ることになる」とバラ色の未来を描いて見せた。さらにポンペイオは「アメリカは、北朝鮮が、韓国を上回る本物の繁栄を手にする条件を整えることができる」と北にとって垂涎の誘いをかけると共に、トランプ政権が、北朝鮮の金正恩体制を保証する考えも伝えた。軍事オプションは当面使わないという姿勢の鮮明化だ。
 これだけのおいしい話しに乗らなければ金正恩は指導者たる素質を問われる。元国務次官補カート・キャンベルも「これにより対話や協議に向けて新たな道が開かれ、少なくとも短期的には核拡散のリスクが低減し、粗暴な軍事オプションは後回しになるだろう。」と展望した。金正恩は「非核化協議に応ずる」と飛びついたが、非核化にもいろいろある。米国が目標に掲げているのは「朝鮮半島の完全なる非核化」なのであるが、金正恩の狙いは現状のままで核開発プログラムを凍結し、その見返りに国際社会からの経済制裁を直ちに緩和させるというものだ。それは、米国が目標に掲げている朝鮮半島の非核化とは似て非なるものである。米国にとって非核化は、北朝鮮の核兵器プログラムと核兵器そのものの完全な破棄を意味するのであり、トランプは正恩との会談では核兵器の解体を速やかに進めるよう求めるだろう。この両者の見解の相違が事態の核心部分であるのだ。
 そもそも父の正日が1998年に核計画に着手して以来、金一族はプルトニウムを「家宝」のように営々として作り上げてきた。GDPが米国の1000分の1しかない国が、国家よりも自分や一族の体制を守る手段として核を開発してきたのだ。米下院軍事委員長マック・ソーンベリーが「これまで北朝鮮は米国を手玉に取ってきた。大統領は過度の期待を慎まなければならない」と看破しているがまさにその通りだ。核イコール金王朝の存続くらいに思わなければなるまい。
 こうした状況下で開催されるトランプ・金会談の焦点はどこにあるのだろうか。まず第一に挙げられるのは金正恩が米国や国際機関による完全な形による検証に応ずるかどうかだ。坑道には水爆実験用に新たに掘ったものもあるといわれる。それを完全に破壊するかどうかが疑わしいといわれている。坑道の入り口だけを破壊して、完全破壊を装う可能性があるからだ。また北が主張する「ミサイル開発計画の放棄」は何の意味もない。現状が固定されるだけに過ぎないからだ。既に保有するミサイルと核爆弾の解体が不可欠なのだが、金正恩が「核大国」と自認する以上、容易に核を手放すことはないだろう。
 こうした核問題と並行して、極東の平和体制を構築するために、米政府内には休戦協定を平和条約に格上げする構想がある。休戦協定は1953年7月27日に署名され、「最終的な平和解決が成立するまで朝鮮における戦争行為とあらゆる武力行使の完全な停止を保証する」と規定した。しかし、「最終的な平和解決」(平和条約)は未だ成立していない。朝鮮戦争の休戦協定は北朝鮮、米国、中国の間で署名されているが、韓国は署名していない。平和条約実現のためには、まず米朝で終戦を宣言し、ついで南北で終戦を宣言する。そして韓国、北朝鮮。米国、中国で平和条約に署名し、これに日本とロシアが加わって最終的には6か国の枠組みで平和条約を確立させる方式が考えられる。
 こうした構想は確かに極東情勢が行き着くべき終着点だが、ことはそう簡単ではあるまい。紆余曲折をたどるに違いない。今後5月22日に米韓首脳会談。5月26日に日露首脳会談。6月8,9日に韓国も参加する可能性があるカナダでのサミット。そして6月12日の米朝首脳会談へと激しい外交の季節が続く。モリだのカケだの政権を直撃することのない話しに1年以上もこだわる野党も、時代を見る眼を問われる。集中審議に応じた自民党執行部の見識のなさも尋常ではない。集中審議なら米朝会談をテーマとすべきではないか。野党も議論に参加すべきである。
 安倍は12日の会談結果を早期にトランプから聞く必要があろう。日朝関係は経済支援を米国が日本に頼る意向を示していることから、日本の対応がクローズアップされる時期が必ず来る。日本は拉致問題を抱えているが、生存すら不明な拉致問題に拘泥していては物事は進まない。ましてや拉致問題の解決をトランプに頼んでも二の次三の次になることは否めない。いったん棚上げして日朝関係を正常軌道に乗せた上で、解決を図るべきだろう。日朝関係を拉致問題調査団を派遣できるような状態にしなければ、未来永劫に拉致の解決はない。
◎俳談
 吉井勇作詞・中山晋平作曲の《 ゴンドラの唄 》は今は亡き名優森繁久弥が哀調があっていい。しかし黒沢明監督の名作「生きる」のなかで、末期がんの市役所の課長・志村喬が公園でブランコに乗って歌った姿も印象的だった。
いのち短し 恋せよ少女(おとめ)
朱(あか)き唇 褪(あ)せぬ間に
熱き血潮の 冷えぬ間に
明日の月日は ないものを
今は胃がんくらいでは早期発見すれば滅多に死なないが、戦争直後までは死に至る病だった。だから往年の名画のなかで「明日の月日はないものを」が利いてくる。
 今公園に行くと老夫婦の散歩ばかりが目立つ。皆仲睦まじい感じだ。朝の散歩だから“訳あり”の散歩はまずない。
冬麗の二人ここには誰も来ぬ 産経俳壇入選
という感じの散歩を1度はしてみたいものだ。しかし怖くて出来ない。 

◎「反故(ほご)常習国」北朝鮮は軽々に信用出来ない

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◎「反故(ほご)常習国」北朝鮮は軽々に信用出来ない
  核全廃まで圧力は維持すべきだ
    米WHに「南アフリカ方式」の核廃棄が浮上
  北朝鮮の非核化問題の鼎(かなえ)が煮えたぎり始めた。6月の米朝首脳会談を見据えて北朝鮮は3人の米国人を解放。2年半ぶりの日中韓首脳会談は朝鮮半島の非核化に向けた協力で一致した。完全非核化への道筋は複雑で遠いが1歩前進ではある。極東をめぐる力の構図は緊張緩和の入り口に立ったが、北の後ろ盾としての中国と、日米同盟の対峙の構図は変わらず、融和だけが売り物の韓国文在寅外交は荒波にもまれ続けるだろう。こうした中でまずは北朝鮮の核廃棄方式としてホワイトハウスの内部に急きょ浮上しているのが「南アフリカモデル」だ。
 国務長官として初めて訪朝したポンペイオは3人を連れて帰国したが、米朝首脳会談の開催場所と日程が決まったことを明らかにした。日程公表はまだないが、トランプは6月初旬までに予定される米朝首脳会談の開催地については、南北軍事境界線のある「板門店ではない」と述べた。詳細については「3日以内に発表する」と語るにとどめた。トランプはこれまで、板門店のほか、シンガポールを有力候補地に挙げている。3人の帰国は米朝関係にとって大きな摩擦要因の一つが取り除かれたことになり、1歩前進ではある。しかし核心は「核・ミサイル」であり、ここは、不変のままであり、難関はこれからだ。
 ここに来て金正恩の“弱み”をうかがわせる行動が見られはじめた。それは金正恩の習近平への急接近である。40日に2回の首脳会談はいかにも異常である。そこには中国を後ろ盾に据えないと心配でたまらない姿が浮かび上がる。泣きついているのだ。金正恩は習近平との大連会談で米国への要求について相談を持ちかけた。その内容は二つある。一つは米国が敵視政策をやめることが非核化の条件というもの。他の一つは「米国が段階的かつ同時並行的に非核化の措置を取ること」である。
 泣きつかれて悪い気のしない習近平は8日トランプとの電話会談で「北朝鮮が段階的に非核化を進めた段階で何らかの制裁解除をする必要がある」「米朝が段階的に行動し北朝鮮側の懸念を考慮した解決を望む」などと進言した。これに対し、トランプは「朝鮮半島問題では中国が重要な役割を果たす。今後連携を強化したい」と述べるにとどまった。おいそれとは乗れない提案であるが検討には値するものだろう。
 注目の日中韓首脳会談は、大きな関係改善への動きとなった。しかし、北の核・ミサイルをめぐっては安倍と中韓首脳との間で隔たりが見られた。日本側は「完全かつ検証可能で不可逆的な核・ミサイルの廃棄」を共同宣言に盛り込むことを主張した。しかし、中韓両国は融和ムードの妨げになるとして慎重姿勢であった。習近平は金正恩に対して「中朝両国は運命共同体であり、変わることのない唇歯(しんし)の関係」と述べている。唇歯とは一方が滅べば他方も成り立たなくなるような密接不離の関係を意味する中国のことわざだ。
 こうした中でホワイトハウスではまずは北朝鮮の核廃棄方式だとして「南アフリカモデルが急浮上している」という。韓国中央日報紙は、国家安保会議(NSC)のポッティンジャー・アジア上級部長が文正仁(ムン・ジョンイン)韓国大統領統一外交安保特別補佐官らにこの構想を伝えたという。これまでホワイトハウスではボルトンNSC補佐官が主張したリビア方式が考えられていた。リビア方式は「先に措置、後に見返り」だった。その方式ではなく南アフリカ方式を選択するというのはある意味で現実的路線のようだ。南アは第一段階で、1990年に6つの完成した核装置を解体した。第二段階は、1992年に開始された弾道ミサイル計画の廃棄で、これには18か月を要した。第三段階は、生物・化学戦争計画を廃棄した。ただ、南アフリカ方式は経済的な見返りがないという点が問題となる。同紙は「南アフリカモデルを検討するというのは、北朝鮮の核放棄に対する経済支援は韓国と日本、あるいは国際機関が負担し、米国は体制の安全など安全保障カードだけを出すという考えと解釈できる。」としている。結局お鉢は日本に回ってくることになるが、金額によっては乗れない話しではあるまい。同紙は「北の核は南アフリカと比較して規模が大きく、“見返りを含めた折衝型南アフリカモデル”になる可能性がある」としている。
  一方、安倍は文在寅に対して「核実験場の閉鎖や大陸間ミサイルの発射中止だけで、対価を与えてはならない。北の追加的な具体的行動が必要だ」とクギを刺している。北は過去2回にわたって国際社会の援助を取り付け、その裏をかいて核兵器を開発してきており、まさに裏切りの常習犯だ。政治姿勢が左派の文在寅は、北への甘さが目立つ。圧力はまだまだ維持するべきであろう。北は、日米に取っては「反故常習犯国」なのだ。核兵器の全て廃棄という目標達成まで圧力を継続するのは当然である。
◎俳談
【語彙を蓄える】
 俳句の根幹は言うまでもなく言葉である。言葉の善し悪し、その用い方で一句の良否が決まる。語彙が豊富なほど多様な表現が可能となる。
  語彙を豊富にするにはどうするか。言葉を貯金することである。貯金するためには稼がなければならないが、いかに稼ぐか。丹念にメモすることである。それも俳句モードでメモする。思いついた言葉や、テレビドラマでも詩歌でも歌謡曲でも目に見え耳に聞くものすべてをメモする。そして新しい言葉を発見することである。
  この貯金した言葉を時々見ているといろいろな想像が湧いてくる。
 例えば「四角のビル」という、人間の疎外のような言葉をテレビの哲学講座で蓄えたとする。
爽やかや四角のビルより退職す 東京俳壇1席
という形になる。
「嵌め殺し窓」を貯金したとしよう。おりから梅雨の入りの走り梅雨である。空想をふくらます。そんなときテレビにお寺が映った。
  禅寺の嵌め殺し窓走り梅雨
となる。
 「初夏を吐く」という詩的な言葉を思いついた。大事に熟成して
 初夏を吐く浅蜊蛤海坊主
 「楽剃り」。信仰心からでなく軽い気持ちで剃髪することである。
 楽剃りのご隠居目立つ夏祭り
 と言った具合だ。言葉を大切に貯金して、これをいつか取り出そう。
  ただ言葉の発見は新鮮でないといけない。手垢のついたことばなどいくら貯金しても無駄だ。
 例えば「カンナ燃ゆ」。カンナは常に燃えている。これを詩的と思うようでは俳句を辞めた方がいい。詩の世界ではむしろカンナは凍らせた方が新鮮だ。

◎「小義」では崩せぬ安倍一強体制

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◎「小義」では崩せぬ安倍一強体制
  “四人組”の仕掛けは空振り
 「春雨や食われ残りの鴨が鳴く」は一茶の名句だが、自民党内は小泉純一郎を中心とする“ノーバッジ四人組” が、「グワッ!グワッ!グワッ!」となにやら姦(かしま)しい。どう見ても疝気筋のOBが「安倍降ろし」を始めようとしているかのようだ。そこには国民に通用する「大義」はなく、個人的な恨み辛みを晴らそうとする「小義」しかない。小義で国政の中枢を攻撃しても説得力はない。9月の自民党総裁選で安倍3選という流れを変える力にはなるまい。
 まず四人組の発言を検証する。姦しい筆頭は何と言っても小泉。それも親子で姦しい。親は「3選は難しい。信頼がなくなってきた。何を言っても言い逃れ。言い訳と取られている」だそうだ。この発言から分かる小泉の政治判断は「信頼がなくなってきたから3選は難しい」だが、一体誰の信頼がなくなったのか。国民に聞いたのか。それともTBSやテレビ朝日の情報番組の軽佻(けいちょう)浮薄な報道の請け売りなのか。息子の小泉進次郎も「全ての権力は腐敗する」だそうだ。英国の歴史家ジョン・アクトンの言葉の請け売りだが、アクトンは専制君主の権力はとかく腐敗しがちであるということを言ったのであり、民主主義政権の批判では更々ない。学校で習ったの政治学用語などをそのまま使ってはいけない。現実政治にそぐわない。青いのである。
 政界ラスプーチンのように陰湿な印象を受ける古賀誠も「首相は改憲ありきだ。憲法9条は一字一句変えない決意が必要だ」と安倍の改憲志向を攻撃する。これこそノーバッジが発言すべきことだろうか。口惜しいのならバッジを付けて「改憲反対党」を結成してから言うべきことではないか。それとも民放から“お呼び”がかかるように、アンチ安倍を売り物にしているのだろうか。
 山崎拓の「財務相が辞める以外に責任の取り方はない」は、独断。福田康夫は自身が旗振り役だった公文書管理法に触れ、「いくら法律やルールをつくっても守ってくれなきゃ全く意味がない。政府の信用を失う」と述べ、財務省による公文書改ざんなどを批判した。これも自分の冴えなかった政権を棚に上げた難癖だ。
 口裏を合わせたような安倍政権批判発言の連続だが、その狙いはどこにあるかだが、おそらく“政局化”の瀬踏みであろう。導火線に火を付けて自民党内の反安倍勢力をたきつけようというわけだ。しかし、“仕掛け”はしても肝心の党内は全く呼応しない。導火線は湿って進まないのだ。せいぜい村上誠一郎あたりが反安倍の牙城TBS時事放談で「日本が崩壊しようとしている。政治と行政が崩壊しつつある」と太った腹を叩いて呼応しているが、誇大妄想が極まったような発言にはよほど馬鹿な視聴者しか喜ばない。そこには大義がなくて個人的な憎しみだけをぶつけても共感は沸かない。
 一方で、党執行部も沈黙していては安倍から疑われると考えてか、3選支持論が盛んに出始めた。幹事長・二階俊博は「安倍首相支持は1ミリも変わっていない。外交でこれだけ成果を上げた首相はいない」と持ち上げた。なぜか眼光だけは鋭い副総裁・高村正彦に至っては「日本の平和と安全にとっても、安倍首相は余人を持って代えがたい」と持ち上げられるだけ持ち上げた。
 そもそも安倍支持の構図を見れば、細田、二階、麻生の3大派閥が 支持しており、これだけで人数は197人に達する。これは405人の自民党国会議員の半数に迫っている。シンパを含めれば3分の2は固い。これに対して岸田文男ハムレットは、禅譲路線を走るべきか戦うべきかそれが問題じゃと優柔不断。もっとも戦うにしてもとても過半数はとれる情勢にはなく、戦うことに意義があるオリンピック精神でいくしかない。しかし、この路線が政治の世界では通用するわけがない。無残な敗北は、将来の芽を自ら摘んでしまう。46人では多少は増えてもいかんともしがたいのだ。
 将来もくそもないのは石破茂だ。もっと少なく総勢20人の派閥では総裁選出馬に必要な推薦人20人を自前で確保できない。自分は数えないから19人しか推薦人がいないのだ。1人や2人は集まるだろうが、それではとても安倍には歯が立たない。TBSもテレビ朝日も的確な分析が出来るコメンテーターがゼロで、放送法違反すれすれの反安倍色の強い情報番組をやっているが、昔から民放テレビの無能さは度しがたい。
 加えて安倍政権は安倍の外交指向に近隣諸国の情勢が作用して、外交日程が押せ押せになっている。極東緊張緩和が大きく動こうとしている。9日には東京で日中韓首脳会談とこれに合わせて日中、日韓首脳会談がそれぞれ行われる。約2年半ぶりとなる会談は北朝鮮の完全な非核化に向けた具体策や、米朝首脳会談に向けた連携を確認する。5月下旬には日露首脳会談。6月8日、9日には先進7か国首脳会議がカナダで開催される。同月中旬までには米朝首脳会談が予定され、これに加えて日朝首脳会談も浮上するだろう。マスコミは内閣支持率が30%台に落ち込んだと批判するが、外交で持ち直すだろう。そもそも30%台などは通常の政権だ。佐藤政権などは長期に30%台だった。
 こうした重要な外交日程を前にして野党が国会で、つまらぬ森友だの加計だので安倍の足を引っ張れば朝日や民放がはやし立てても、世論からブーメラン返しに合うだろう。既に昨年の総選挙が証明したとおりだ。野党は追及すべき外交、政策課題は山積しており、モリだのカケだのと無為無策のまま6月20日の会期末を迎えるべきではない。しかし、結果的には安倍は終盤国会を乗り切るだろう。そうすれば、9月の総裁選挙まで3か月。安倍は事実上有利な態勢のまま総裁選に突入する公算が大きい。最近安倍はいい顔になってきた。
◎俳談
  【打座即刻の重視】
  俳句は「その瞬間」を詠む詩である。したがって過去形は極めて少ない。たとえ過去を詠んでも過去形にはならない。
 翡翠の一直線なり一途なり 杉の子
  見たのは以前であっても現在形である。この作詩形式を石田波郷は打座即刻の詩(うた)と形容した。ぽんと膝を打つ瞬間であるというのだ。
白魚の四つ手に跳ねて発光す 東京俳壇入選
四つ手が上がったその瞬間を詠んだ。
  五七五が最短詩に昇華するには、常識と時の流れを切断しなければならない。切断して今現在という、目の前にある間一髪の現象を捉える。芭蕉の言に寄れば「間を入れぬ」判断である。
 古池や蛙飛び込む水の音
にも
閑けさや岩にしみいる蝉の声
にも打座即刻の妙が詠われている。
  「間を入れぬ」判断とは、ひらめきと直感であろう。眼がものを見て、脳に伝え、その瞬間詩情が働く。働かなければ働くように訓練する。これが作句のポイントである。
その刹那初蝶鵯(ひよ)を躱しけり 杉の子
                                

◎非核化合意とは「金王朝維持の保証」

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◎非核化合意とは「金王朝維持の保証」
 具体策は米朝会談に棚上げ
 「板門店宣言」はきっかけに過ぎない
  悠久たる歴史の流れからみれば、南北首脳会談は極東平和に紛れもなく貢献するが、多くの疑問も残した。韓国大統領の文在寅と北朝鮮朝鮮労働党委員長金正恩は27日、歴史に残る南北首脳会談を終え、「半島の完全非核化」に向けて合意し、平和協定の締結を目指すことで一致した。しかし、両首脳の談笑とは裏腹に、北朝鮮の核兵器破棄の具体策は1歩も進む気配はなく、金正恩とトランプの米朝首脳会談までに北朝鮮が譲歩する意思があるかは依然不透明だ。逆に経済的な困窮から実利を求める金正恩の姿が目立った。極東情勢の緊張緩和は歓迎すべきだが、散々世界を欺いてきた北朝鮮である。油断は禁物だ。
 紛れもなく歴史に残る「板門店宣言」の中核部分は、韓国と北朝鮮が「朝鮮半島の完全な非核化を通じて核のない朝鮮半島を実現するという共通目標を確認した」という部分だ。だが、この「完全な非核化」の表現は、北が譲歩したと受け止めるべきではない。あくまで「朝鮮半島の非核化」なのであり、在韓米軍が含まれているのだ。条件付きなのだ。加えて、宣言には非核化のプロセスは一切含まれておらず、抽象的な表現にとどまっており、具体的な措置にも言及していない。宣言では「核」「非核化」への言及は4回しかなかったものの、「平和」という単語が11回使われた。これは南北の緊張緩和と関係改善をプレーアップする性格の会談であったことを物語る。つまり、南北首脳会談では具体的な措置を米朝首脳会談に委ねることになった。南北会談は米朝首脳会談に向けての“橋渡し”にとどまり、焦点は米朝会談に移行したことを意味する。
 核廃棄という大事を進めるためには、具体的には地道な合意の積み重ねが必要となる。まず定期的な首脳会談の継続だが、これは今秋にも文在寅が平壌を訪問することで実現することになろう。金大中政権は対話や経済支援により変化を促す「太陽政策」を推し進めたが、結局は失敗した。どうしても南北2国間だけでは埋められない溝が生じてしまうのだ。ここはやはり、米朝首脳会談で最終的な妥結を目指す必要があるのだ。もともと今回の南北会談は米朝会談への予備的協議の性格を有するものであった。トランプは先に行われたポンペイオと金正恩の会談を見て、南北首脳会談で一定の流れが出たと判断しているようだ。これまでの高圧的な態度を急速に転換させ始めている。トランプは「みんなは『私が核戦争を起こす』と言ったが、核戦争は弱腰の人間が起こす。これまで『小さなロケットマン』とか『私の核のボタンの方が大きい』と発言したが、暴言だった。北はこちらが要求する前に、私が発言する前に諦めた。私はうまくやっているのだ」と述べているが、まだ北が具体策に言及していないうちから“自画自賛”しているのは相変わらず浅薄だ。
 トランプは、極東安保の全てが、自分と金正恩との会談に移されたということを自覚すべきだ。北は開発した核をどうするのか。放棄するのか保有し続けるのか。もちろん廃棄の規模や時期については何ら分かっていない。ただ分かっているのは非核化とは「金王朝体制の保証」なのだ。従って「非核化」の文言に具体性がない限り、トランプは制裁緩和や体制の保証などの対価を与えるべきではない。最終的に核製造施設と核兵器の解体、核物質の海外への移転、国際原子力機構(IAEA)による査察の徹底などを経てこそ対価があり得ることを明確に提示すべきである。首相・安倍晋三が「今回の会談を受け、米朝会談を通じて、北朝鮮が実体的な行動を取る事を期待する」と述べているが、これが正しい。おそらく安倍は先の訪米でトランプに提言すると共に、対処方針で合意に達しているのだろう。
 日朝関係も前向きに進める必要がある。拉致問題もさることながら、極東安保の観点からも、日本も積極的に関与する必要がある。国交正常化の動きは既に首相小泉純一郎が2002年の金正日との会談で平壌宣言をまとめている。内容は「両首脳は、日朝間の不幸な過去を清算し、懸案事項を解決し、実りある政治、経済、文化的関係を樹立することが、双方の基本利益に合致するとともに、地域の平和と安定に大きく寄与するものとなるとの共通の認識を確認した」というものだ。しかし、拉致問題が進展しなくなったことや、2006年に北朝鮮政府がミサイル発射実験や核実験を強行して、有名無実化した状態となっている。こうした例にならって安倍は米国と連携しつつも機を見て積極的行動に出る必要があろう。
 ◎俳談
【歌枕を詠む】
 古歌に読み込まれた諸国の名所を歌枕と言うが、それ故に俳句に地名を読み込むときには注意が必要である。なぜなら、地名の持つ余韻がその俳句に規範として働くからである。
  芭蕉は俳句に歌枕を入れることについて
「名所の句のみ雑の句にもありたし。季を取り合わせ、歌枕を用ゆる、17文字にはいささか志述べがたし」
と述べている。名所の句には無季の句があってよいというのである。季語と歌枕と並列すると詠みきれないというのである。要するに季語を入れたら地名を入れない。地名を入れたら季語を入れないのが原則であるというのだ。俳句の場合はどうしても季語が優先するから、安易に地名を入れてはならぬということになる。俳句では季語と歌枕がバッティングしすぎるのである。
 翻って、朝日俳壇の長谷川櫂の選句を見ると、明らかに芭蕉の教えを意識して守っているところが伺える。
 沖縄や悲しき歌を晴晴と
という句を選句して、コメントを付け「地名が一句にはいるとき、季語不要の場合がある」と述べている。俳聖の教えは今でも通用するから凄い。

[5429] 東北福祉大学講義録 - その④ その③

[5429] 東北福祉大学講義録 - その④ Name:浅野勝人 NEW! Date:2018/04/27(金) 23:02 
 
[5429] 東北福祉大学講義録 - その④ Name:浅野勝人 NEW! Date:2018/04/27(金) 23:02 
 
東北福祉大学講義録 - その④
朝鮮半島非核化と東アジア情勢
東北福祉大学客員教授  シンクタンク安保研理事長  浅野勝人

私は、一昨年の秋、子どもの頃からあこがれていた孫悟空を探しに西域を旅しました。シルクロードといった方がわかりやすいかもしれません。
西安で三蔵法師には たっぷり会えましたが、孫悟空は見つかりませんでした。それで敦煌に足を延ばしました。そして、タクラマカン砂漠東端に連なる広大なクムタグ砂漠を越えて、楡林窟にたどり着き、遂に念願の孫悟空に会うことができました。
第3窟西壁全面を占める「普(ふ)賢(げん)菩薩図」の右端中ごろに、天竺(インド)からの帰途、白馬を連れた三蔵法師と供の孫悟空が五台山の方角に向かって合掌している「玄奘(げんじょう)取経図」が描かれています。
“遂に孫悟空に会えた”という感動が伝わってきました。
西域ひとり旅の帰り、チンギス・ハーンに会うために蘭州に立ち寄りました。モンゴルにはチンギス・ハーンの遺跡はありません。墓探しも禁じられています。ところが、タングート族の侵略から中国を守ったチンギス・ハーンの功績を讃えて、蘭州郊外の興隆山に慰霊のための大雄寶殿が建てられており、大ハーンの大きな座像が祀られています。
登山口山門付近で掃除をしていた70才そこそこと見受ける男の人から、突然、話しかけられました。

「あんた、どこの人だね。中国人ではないみたいだ」
「東京から来ました。日本人です」
「やっぱりそうか。本物の日本人を見るのは初めてだが、こんな
ところまで何しに来たのかね?」
「ここにお祀りしてあるチンギス・ハーンをお参りに来ました」
「私のおじいさんや親の兄弟は、あらかた『9・18』か、『抗日戦争』で日本人に殺された。母親から日本人は鬼より怖い畜生だとさんざん聞かされて育ってきた。あんたを見て、ひょっとしたら日本人ではないかと思ったのだが、普通の人に見たので頭が混乱して、つい確かめたくなって声をかけてしまった」
「よく声をかけてくれました。とてもうれしいです。おっしゃる通り、かつて日本軍が中国を侵略して、多くの人を殺したり、傷つけたりしました。あれは当時の軍隊のやったことで、現在の日本人には関係のない昔の出来事だったとは申せません。日本民族の仕出かした過ちですから、当然、私たちに責任があり、懺悔(ざんげ)しています。
ただ、45年前、毛沢東、周恩来と日本政府代表との間で、これからはお互いに仲良くしていこうと誓い合いました。日本人は、その約束を守ってきたし、今後も守ります。
日本人は、ただ、ただ平和を願っている人ばかりです。二度と戦争はしないと誓っています」
「日本人でも、あんたみたいな“いい人”もいるんだ」

会話はそこで途切れました。
オマエはいい人のようだが、あとの日本人は悪いヤツばかりに違いないという余韻を引きずっていました。
長い間の怨念を払しょくするには、並大抵の努力では足りないと改めて教えられた思いでした。

日本政府と日本人の中国に対する寛容と忍耐の精神は、必ずしも十分と申せませんが、私は日中国交正常化以来、46年間、ひたすら日中間の厚い氷を融かす「融冰之旅」を続けて参りました。私のような日本人は幾らもいます。
皆さんもわたしの後に続いてください。
今日は、歴史的転換期にある極東の動向を見る目を君たちに養ってもらうための講義でした。

☆これで講義を終わりますが、ひと言申し上げたい。
私が東北福祉大学と縁をいただいたのは、前学長の萩野浩基先生とたいへん親しいお付き合いをさせて頂いていたからです。私と同じ経歴で衆参両院の議員を経験した尊敬する友でした。
迷いごとにぶつかると、先生の著書「感性のとき」を繰り返し紐解いています。

知的障碍を持った私の知る山田ミキちゃん(生活年齢30才)のことである。
ベランダでミキちゃんの妹が学校の観察用に育てたトマトが夏になり、やっと赤く色づいてきた。
これを見たミキちゃんはなんと叫んだであろうか。
「トマトが咲いた。トマトが咲いた。」と喜び叫び続けた。
また、ミキちゃんは、湖にボートが浮かんでおり、ボートを若い二人が一生懸命漕いでいるのを見て喜びの声を上げた。
「ほら、あそこに、ボートが泳いでいる、ほらゆっくりボートが泳いでいる。」
何百冊の哲学書を読むよりも、どんな学識のある人の話を聞くよりも、「トマトが咲いた。」「ゆっくりボートが泳いでいる。」が、なぜか感性的に心の底に深く響いてくる。その響きこそ忘れている大切なものに思えてならない。
「この子に世の光をではなく、この子らから世に光を」と
いいたい。
福祉という言葉がしきりに使われているが、福祉とは人間として「幸」(生きること)への素朴な限りない追及と尊厳ある自己実現の歩みである。
福祉の目指すところは生きる喜びに満ちた人間生活の実現である。福祉への歩みとは、健常者も障碍者も人間がよりよく生きるために環境、身体、精神そして社会体系をも再構築し、他と共生共存できるように努力することである。

「感性のとき」は、東北福祉大学のバイブルだとわたしは思っています。東北福祉大学の学生なら、全員持っているかと思ったらそうでもない。喫茶店で飲むコーヒー2杯分です。まだ持っていない人は、校内の本屋さんで購入して、一生手元に置くことを薦めます。(元内閣官房副長官)
[5428] 東北福祉大学講義録 ー その③ Name:浅野勝人 NEW! Date:2018/04/27(金) 17:48 
 
東北福祉大学:講義録ーその③
朝鮮半島非核化と東アジア情勢
東北福祉大学客員教授  シンクタンク安保研理事長 浅野勝人

以上、知り得る情報を分析し、これまで集積してきた安保政策から判断して、国際関係論の地政学的立場を踏まえて持論を述べてきました。私は正論だと思っています。

☆そこで、ちょっと脱線して、歴史上、数えきれないほどあった政治的謀略手段が、今回の事態収拾の手立てとして検討されているか、いないか触れてみます。
「北朝鮮問題を解決するいい方法はありませんか。あなたの解決策を伺いたい」とよく聞かれます。私は遠慮しないではっきり答えることにしています。「ピンポイントで金正恩本人を排除することです。
実現出来たら一挙に問題が解決されて、北朝鮮の人々は幸せになります」と申しています。
これは、問題解決策としては非人道的な悲しい手法のように映りますが、アメリカ議会でも討議、検討の対象になっていますし、情報専門誌には公然と指摘されています。もちろんCIA(中央情報局)や軍が私と同じ考えを持っていないはずはありません。
ただ、説起来容易、做起来很难。言うは易く、行うは難しです。
アメリカが独裁者を狙ってピンポイント爆撃に成功したリビアやイラクのような例はいくらもありますが、いずれもスパイがわんさかいて情報が豊富でした。
北朝鮮の場合は、個人情報は皆無です。せいぜいアメリカのスパイ衛星くらいでは、個人の居場所を的確に掌握するのは無理でしょう。従って、この手立ては北朝鮮の場合は実現困難だと思われます。
その上、金正恩が米朝首脳会談を行い、話し合いで問題を解決したいと提案しましたので、個人排除の模索は影を潜めたとみるべきです。

☆もうひとつ、私は金正恩はパラノイヤではないかと疑っています。
パラノイヤは、病的な疑い深さを伴う内因性精神病の一種で、内心にいつも強烈な妄想を抱いています。ところが、厄介なことに頭脳明晰で、戦略思考に長(た)け、表向きの論理は一貫していて、行動・思想の秩序が保たれています。
北朝鮮ウオッチャーの第一人者で仲良しの寺田輝介元韓国駐在大使によると、これまでに側近が300人以上粛清されているそうです。
世界があっと驚いたのは、ナンバー2の実力者で、自分をサポートしている叔父の張成沢(チャン ソンテク)国防副委員長を突如処刑したことでした(2013/12月)この時、側近の李龍河(リ ヨンハ)行政部第一部長(日本の大臣)と張秀吉(チャン スギル)行政部副部長(日本の副大臣)も一緒に処刑されました。
2016/1月、平壌に開館した「科学技術の殿堂」の屋根の形をムクゲの花に変えるよう指示した折、資材や強度の関係から「変えない方が安全です。」と建築学的見地から正直に工事の変更を断った国家計画委員会副委員長は即刻処刑されました。
どうみてもおかしい。普通じゃない。
ヒットラーとスターリンの研究家が、行きつく先はパラノイヤでした。そうでないと、ヒットラーやスターリンが、当初、国民の熱狂的な支持を得て強行した途方もない虐殺・粛清の説明がつきません。

一方のドナルド・トランプですが、政権発足(2017/1月20日)から1年3ヵ月余りのうちに約半数の政府高官が解任や辞任で去り、交代率 約50%。「少なくとも過去100年はなかった」異常な事態となっています。
政権発足後、まもなく側近のマイケル・フリン大統領補佐官が解任されてビックリしましたが、後任の国家安全保障問題担当補佐官・マクマスター将軍も、解任されたのか、嫌気がさして辞めたのか、ホワイトハウスを去りました。
フリ―パス大統領首席補佐官も更迭され、驚いたのは側近中の側近、大統領選挙を仕切ってトランプ勝利の原動力となったバノン首席戦略官が解任されて喧嘩別れとなりました。
突如、FBI・連邦捜査局のトミー長官をクビにしたのは、大統領本人にまつわるロシア疑惑の捜査を止めないことの腹いせというのが本音と言われています。いま、二人はメデイアを通じてののしり合っています。
もっと驚いたのは、つい先頃、ハト派の色合いの濃いディラーソン国務長官が解任されたことです。国務長官といえば、各国の外務大臣です。解任されたディラーソンは「トランプは愚か者が」と言っています。保険福祉長官(トム・プライス)、金融大臣に当たる国家経済会議委員長(ゲイリー・コーン)、アメリカでは重要ポストの退役軍人長官(デビット・シュルキン)、クビになった閣僚級を数え上げからキリがありません。主要ポストで残っているのは、大統領が勝手に辞めさせられない副大統領とクビを切ったら自分がやられかねない全軍尊敬の的・マティス国防長官くらいですから、日本でいえば大物の防衛大臣を除いて閣僚はあらかたクビを切られたという異様な光景です。こちらもまともじゃないという気がしてなりません。
政府の高官を解任されるのは、形を変えた粛清と同じです。
ホアイトハウスに「大統領はパラノイアではないか」という噂が立っているというアングラ情報を聞いても驚きません。
「ロケット・ボーイ」も「生き馬の目を抜く不動産王」もちょっと似たところがありますから、トランプ・金正恩の米朝首脳会談は、頭のいい変人同士、意外と気が合って、世界をあっと驚かせる結果を出すかもしれないと、妙な期待をしています。
- その④
朝鮮半島非核化と東アジア情勢
東北福祉大学客員教授  シンクタンク安保研理事長  浅野勝人

私は、一昨年の秋、子どもの頃からあこがれていた孫悟空を探しに西域を旅しました。シルクロードといった方がわかりやすいかもしれません。
西安で三蔵法師には たっぷり会えましたが、孫悟空は見つかりませんでした。それで敦煌に足を延ばしました。そして、タクラマカン砂漠東端に連なる広大なクムタグ砂漠を越えて、楡林窟にたどり着き、遂に念願の孫悟空に会うことができました。
第3窟西壁全面を占める「普(ふ)賢(げん)菩薩図」の右端中ごろに、天竺(インド)からの帰途、白馬を連れた三蔵法師と供の孫悟空が五台山の方角に向かって合掌している「玄奘(げんじょう)取経図」が描かれています。
“遂に孫悟空に会えた”という感動が伝わってきました。
西域ひとり旅の帰り、チンギス・ハーンに会うために蘭州に立ち寄りました。モンゴルにはチンギス・ハーンの遺跡はありません。墓探しも禁じられています。ところが、タングート族の侵略から中国を守ったチンギス・ハーンの功績を讃えて、蘭州郊外の興隆山に慰霊のための大雄寶殿が建てられており、大ハーンの大きな座像が祀られています。
登山口山門付近で掃除をしていた70才そこそこと見受ける男の人から、突然、話しかけられました。

「あんた、どこの人だね。中国人ではないみたいだ」
「東京から来ました。日本人です」
「やっぱりそうか。本物の日本人を見るのは初めてだが、こんな
ところまで何しに来たのかね?」
「ここにお祀りしてあるチンギス・ハーンをお参りに来ました」
「私のおじいさんや親の兄弟は、あらかた『9・18』か、『抗日戦争』で日本人に殺された。母親から日本人は鬼より怖い畜生だとさんざん聞かされて育ってきた。あんたを見て、ひょっとしたら日本人ではないかと思ったのだが、普通の人に見たので頭が混乱して、つい確かめたくなって声をかけてしまった」
「よく声をかけてくれました。とてもうれしいです。おっしゃる通り、かつて日本軍が中国を侵略して、多くの人を殺したり、傷つけたりしました。あれは当時の軍隊のやったことで、現在の日本人には関係のない昔の出来事だったとは申せません。日本民族の仕出かした過ちですから、当然、私たちに責任があり、懺悔(ざんげ)しています。
ただ、45年前、毛沢東、周恩来と日本政府代表との間で、これからはお互いに仲良くしていこうと誓い合いました。日本人は、その約束を守ってきたし、今後も守ります。
日本人は、ただ、ただ平和を願っている人ばかりです。二度と戦争はしないと誓っています」
「日本人でも、あんたみたいな“いい人”もいるんだ」

会話はそこで途切れました。
オマエはいい人のようだが、あとの日本人は悪いヤツばかりに違いないという余韻を引きずっていました。
長い間の怨念を払しょくするには、並大抵の努力では足りないと改めて教えられた思いでした。

日本政府と日本人の中国に対する寛容と忍耐の精神は、必ずしも十分と申せませんが、私は日中国交正常化以来、46年間、ひたすら日中間の厚い氷を融かす「融冰之旅」を続けて参りました。私のような日本人は幾らもいます。
皆さんもわたしの後に続いてください。
今日は、歴史的転換期にある極東の動向を見る目を君たちに養ってもらうための講義でした。

☆これで講義を終わりますが、ひと言申し上げたい。
私が東北福祉大学と縁をいただいたのは、前学長の萩野浩基先生とたいへん親しいお付き合いをさせて頂いていたからです。私と同じ経歴で衆参両院の議員を経験した尊敬する友でした。
迷いごとにぶつかると、先生の著書「感性のとき」を繰り返し紐解いています。

知的障碍を持った私の知る山田ミキちゃん(生活年齢30才)のことである。
ベランダでミキちゃんの妹が学校の観察用に育てたトマトが夏になり、やっと赤く色づいてきた。
これを見たミキちゃんはなんと叫んだであろうか。
「トマトが咲いた。トマトが咲いた。」と喜び叫び続けた。
また、ミキちゃんは、湖にボートが浮かんでおり、ボートを若い二人が一生懸命漕いでいるのを見て喜びの声を上げた。
「ほら、あそこに、ボートが泳いでいる、ほらゆっくりボートが泳いでいる。」
何百冊の哲学書を読むよりも、どんな学識のある人の話を聞くよりも、「トマトが咲いた。」「ゆっくりボートが泳いでいる。」が、なぜか感性的に心の底に深く響いてくる。その響きこそ忘れている大切なものに思えてならない。
「この子に世の光をではなく、この子らから世に光を」と
いいたい。
福祉という言葉がしきりに使われているが、福祉とは人間として「幸」(生きること)への素朴な限りない追及と尊厳ある自己実現の歩みである。
福祉の目指すところは生きる喜びに満ちた人間生活の実現である。福祉への歩みとは、健常者も障碍者も人間がよりよく生きるために環境、身体、精神そして社会体系をも再構築し、他と共生共存できるように努力することである。

「感性のとき」は、東北福祉大学のバイブルだとわたしは思っています。東北福祉大学の学生なら、全員持っているかと思ったらそうでもない。喫茶店で飲むコーヒー2杯分です。まだ持っていない人は、校内の本屋さんで購入して、一生手元に置くことを薦めます。(元内閣官房副長官)
[5428] 東北福祉大学講義録 ー その③ Name:浅野勝人 NEW! Date:2018/04/27(金) 17:48 
 
東北福祉大学:講義録ーその③
朝鮮半島非核化と東アジア情勢
東北福祉大学客員教授  シンクタンク安保研理事長 浅野勝人

以上、知り得る情報を分析し、これまで集積してきた安保政策から判断して、国際関係論の地政学的立場を踏まえて持論を述べてきました。私は正論だと思っています。

☆そこで、ちょっと脱線して、歴史上、数えきれないほどあった政治的謀略手段が、今回の事態収拾の手立てとして検討されているか、いないか触れてみます。
「北朝鮮問題を解決するいい方法はありませんか。あなたの解決策を伺いたい」とよく聞かれます。私は遠慮しないではっきり答えることにしています。「ピンポイントで金正恩本人を排除することです。
実現出来たら一挙に問題が解決されて、北朝鮮の人々は幸せになります」と申しています。
これは、問題解決策としては非人道的な悲しい手法のように映りますが、アメリカ議会でも討議、検討の対象になっていますし、情報専門誌には公然と指摘されています。もちろんCIA(中央情報局)や軍が私と同じ考えを持っていないはずはありません。
ただ、説起来容易、做起来很难。言うは易く、行うは難しです。
アメリカが独裁者を狙ってピンポイント爆撃に成功したリビアやイラクのような例はいくらもありますが、いずれもスパイがわんさかいて情報が豊富でした。
北朝鮮の場合は、個人情報は皆無です。せいぜいアメリカのスパイ衛星くらいでは、個人の居場所を的確に掌握するのは無理でしょう。従って、この手立ては北朝鮮の場合は実現困難だと思われます。
その上、金正恩が米朝首脳会談を行い、話し合いで問題を解決したいと提案しましたので、個人排除の模索は影を潜めたとみるべきです。

☆もうひとつ、私は金正恩はパラノイヤではないかと疑っています。
パラノイヤは、病的な疑い深さを伴う内因性精神病の一種で、内心にいつも強烈な妄想を抱いています。ところが、厄介なことに頭脳明晰で、戦略思考に長(た)け、表向きの論理は一貫していて、行動・思想の秩序が保たれています。
北朝鮮ウオッチャーの第一人者で仲良しの寺田輝介元韓国駐在大使によると、これまでに側近が300人以上粛清されているそうです。
世界があっと驚いたのは、ナンバー2の実力者で、自分をサポートしている叔父の張成沢(チャン ソンテク)国防副委員長を突如処刑したことでした(2013/12月)この時、側近の李龍河(リ ヨンハ)行政部第一部長(日本の大臣)と張秀吉(チャン スギル)行政部副部長(日本の副大臣)も一緒に処刑されました。
2016/1月、平壌に開館した「科学技術の殿堂」の屋根の形をムクゲの花に変えるよう指示した折、資材や強度の関係から「変えない方が安全です。」と建築学的見地から正直に工事の変更を断った国家計画委員会副委員長は即刻処刑されました。
どうみてもおかしい。普通じゃない。
ヒットラーとスターリンの研究家が、行きつく先はパラノイヤでした。そうでないと、ヒットラーやスターリンが、当初、国民の熱狂的な支持を得て強行した途方もない虐殺・粛清の説明がつきません。

一方のドナルド・トランプですが、政権発足(2017/1月20日)から1年3ヵ月余りのうちに約半数の政府高官が解任や辞任で去り、交代率 約50%。「少なくとも過去100年はなかった」異常な事態となっています。
政権発足後、まもなく側近のマイケル・フリン大統領補佐官が解任されてビックリしましたが、後任の国家安全保障問題担当補佐官・マクマスター将軍も、解任されたのか、嫌気がさして辞めたのか、ホワイトハウスを去りました。
フリ―パス大統領首席補佐官も更迭され、驚いたのは側近中の側近、大統領選挙を仕切ってトランプ勝利の原動力となったバノン首席戦略官が解任されて喧嘩別れとなりました。
突如、FBI・連邦捜査局のトミー長官をクビにしたのは、大統領本人にまつわるロシア疑惑の捜査を止めないことの腹いせというのが本音と言われています。いま、二人はメデイアを通じてののしり合っています。
もっと驚いたのは、つい先頃、ハト派の色合いの濃いディラーソン国務長官が解任されたことです。国務長官といえば、各国の外務大臣です。解任されたディラーソンは「トランプは愚か者が」と言っています。保険福祉長官(トム・プライス)、金融大臣に当たる国家経済会議委員長(ゲイリー・コーン)、アメリカでは重要ポストの退役軍人長官(デビット・シュルキン)、クビになった閣僚級を数え上げからキリがありません。主要ポストで残っているのは、大統領が勝手に辞めさせられない副大統領とクビを切ったら自分がやられかねない全軍尊敬の的・マティス国防長官くらいですから、日本でいえば大物の防衛大臣を除いて閣僚はあらかたクビを切られたという異様な光景です。こちらもまともじゃないという気がしてなりません。
政府の高官を解任されるのは、形を変えた粛清と同じです。
ホアイトハウスに「大統領はパラノイアではないか」という噂が立っているというアングラ情報を聞いても驚きません。
「ロケット・ボーイ」も「生き馬の目を抜く不動産王」もちょっと似たところがありますから、トランプ・金正恩の米朝首脳会談は、頭のいい変人同士、意外と気が合って、世界をあっと驚かせる結果を出すかもしれないと、妙な期待をしています。

朝鮮半島非核化と東アジア情勢その②

東北福祉大学:講義録ーその②
朝鮮半島非核化と東アジア情勢
東北福祉大学客員教授 シンクタンク安保研理事長
浅野勝人

もともと国家間で見解が根本的に異なり、折り合いがつかない場合、解決方法は二つしかありません。戦争で結着をつけるか、話し合いで妥協するか。この道理から今回のケースを考察すると、アメリカと北朝鮮、双方とも本心は戦闘は避けたいと思っているのですから、交渉のテーブルに着くのは必然の結果です。
アメリカ・ミドルベリー大学教授のジェフリー・ルイス東アジア研究主幹も「交渉が事態打開の唯一の方策」と述べて、私と同様、早い段階から「米・朝対話」を予測していました。
経済制裁、特に石油禁輸の締め付けに、内心、根を挙げている北朝鮮が話し合いを選択して「金日成(キムイルソン)金正日(ジョンイル)、金正恩(ジョンウン)、金(キム)3代王朝の維持」を首脳会談開催の前提条件に、朝鮮半島の非核化に応じる用意があるというポーズを示したのは、ひとまずうなづけます。

ただ、交渉の先行きについては、北はこれ見よがしの実験を中止すだけで、すでに保有している核は放棄しないどころか、秘かにプルトニュウムを増産したり、秘密裡に地下で核実験をするのではないかという指摘があって、「相互不信の溝」がたいへん深く、楽観できる情況にありません。一方は核こそ生きのびる唯一の手段と考えていますから、容易に手放すはずがありません。もう一方はそれだけは許さない。今回は騙されないと警戒していますから、足して2で割るのは極めて難しい状況にあります。
特に厄介なのは、「朝鮮半島非核化」という言葉の定義です。
トランプ政権はもとより、私たち日本は、「朝鮮半島の非核化」とは、北朝鮮が核・ミサイルを当面凍結し、期限を区切って放棄することと理解しています。
ところが、金正恩は「朝鮮半島全域を非核化することだ」と主張する腹づもりではないかと推測されています。つまり、自分たちが裸にな前に、在韓米軍も核とミサイルを放棄するのは当然である。朝鮮半島の危険が無くなれば、米軍は韓国に駐在する意義がなくなるのだから撤退すべきだ。それを見届けない限り非核化には応じられないという論理の組み立てをする懸念があります。北朝鮮が、先に全ての核を放棄し、核の製造施設を廃棄しない限り、わたしたちは承服できません。アメリカ以上に日本にとっては死活問題だからです。見せかけかもしれない北朝鮮の言い分を真に受けて日本を見殺しにするような選択をアメリカに許すわけにはまいりません。卵が先か、鶏が先は、こりゃ誠に厄介です。話し合いがこじれて、真っ向から対立したら、何が起きるか予測困難な事態になり、今より悪化します。

☆このように、米朝交渉に根本的な食い違いが見えて、話し合いがこじれる可能性が出てくると、極東における核の分散という深刻な問題が惹起されます。これは、東アジアの平和と繁栄にとって最大の脅威となります。
金正恩は、今回の宣言の中で「核の不拡散」を約束していますが、これから始まる一連の交渉が長引いて、北朝鮮に非核化を承服させられそうにないという情況になった場合、韓国国内で台頭している核武装論がさらに助長される懸念があります。韓国ではすでに核武装すべきだが60%を占めており、極めて敏感に反応しています。それに刺激されて、台湾でも核武装を検討するという機運が出てくる懸念があります。日本では、幸い、作らず、持たず、持ち込ませずの非核3原則を変更すべきだという議論は起きていませんが、「北」からのミサイルが日本列島の上空をたびたび通過する事態が続くと、放置できないという世論が台頭しかねません。極東における核の分散は、「核の均衡」を崩して、東アジア情勢を一気に不安定にします。
この情況だけは回避させなければなりません。

従って、事態を解決するポイントは、北朝鮮が求めている「金正恩体制の維持」を保障する確かな担保です。「北」がアメリカは信頼できないと主張した場合、「北」の安全を保障できる第三勢力は中国しかありません。
中国は、北朝鮮を国家として存続させたいと考えています。そして、朝鮮半島の非核化には賛成の立場を表明していますから、中国こそ
うってつけの存在です。中国が「朝鮮半島の非核化」とは北朝鮮の核の放棄というアメリカ、日本と同じ立場を鮮明にしてくれると、双方の条件を満たす仲介役となって問題解決へ一歩近づきます。
3月下旬、25日~28日、金正恩本人が北京を訪れ、韓国、アメリカとの首脳会談の趣旨を報告すると共にアメリカとの交渉に臨み、いわば「後ろ盾」になってほしいと習近平国家主席に要請した点に、この間の事情がうかがえます。
そして、中国がその重要な役割を果たすためには、北朝鮮との信頼関係の再構築と共にアメリカ、日本、韓国との安全保障政策上の共通認識を深める必要があります。

その方策として、世界のGDP1位、2位、3位のアメリカ、中国、日本、3国相互間の安保体制を構築することが何より重要です。
そんなことができるわけがないと言わずに、まず安保政策上の相互の信頼関係を醸成する努力をしてほしいと念願します。
来月(5月)9日、東京で行われる安倍首相と李克強首相の首脳会談で信頼醸成をはぐくむ合意が成立すると聞いています。
両国の艦艇や航空機による偶発的な軍事衝突を避けるため、「海空連絡メカニズム」の運用を開始することになるものとみられます。これが実現しますと、海上自衛隊、航空自衛隊と人民解放軍の海軍、空軍との間に専用連絡回線、ホットラインが設置されます。

このように信頼が深まれば、次に「協商関係」の確立に発展させることができます。「協商」という概念は、なんらかの軍事的な偶発事故が発生した場合、直ちに双方で協議して、合意に基づいて事態に対処することを意味します。軍事的援助義務を伴わないという点では、日米安保条約のような軍事同盟とは異なりますが、協商関係の絆が強まれば、その中から同盟関係が生れる素地が出てくるにちがいありません。
ですから、私は、日本、中国、アメリカ3国の二等辺三角形を、日米安保条約が存在する日米同盟を底辺に、日中協商、中米協商によって構築することを提唱しています。そして、いずれ二等辺三角形が正三角形の同盟関係に発展して、アジア・太平洋地域の平和と安全を確かなものにする軍事安全保障の要となることを期待しています。
そこで、二等辺三角形構築の最大の障害になっている南シナ海をめぐる米中の軍事的睨み合いに触れておきます。
中国は南シナ海の南沙諸島(スプラトリー諸島)周辺の岩礁を埋め立てて人工島を造成し、軍事基地にして地対空ミサイルを装備しています。さらに西沙諸島(パラセル諸島)にも人工島を造ってミサイルを配備しています。
こうした中国の南シナ海の軍事拠点化にアメリカは神経を尖らせており、戦艦を派遣して中国をけん制しています。
確かに南シナ海と西太平洋を繋ぐ地点に造られたミサイルを装備した軍事基地はアジア各国の脅威ですが、冷静に考えてみると、米軍は東シナ海を望む沖縄、太平洋のグアム島、インド洋のディゴガルシア島に圧倒的な物量を誇る空軍を中心に海兵隊も駐留する巨大な基地を所有して、地球を北から南までタテの線で抑えています。ですから、南シナ海の中国の基地は米軍独占軍事ラインに打ち込まれたくさびの構図です。まあ、いわばどっちもどっちです。
そこで、米中両大国が、軍事力とは戦争をするためのものではなくて、戦争をさせないためのものという理解の上に立って、相手の実力を認め合い、お互いに安全を保障し合う関係を築けば、二等辺三角形の構築は不可能ではありません。それがアジア・太平洋地域の平和と繁栄を担保する大国の責任だと考えます。

◎米朝首脳会談に画期的成果は期待薄

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◎米朝首脳会談に画期的成果は期待薄
「核保有」の是非で行き詰まった
 米朝首脳会談へ向けて米国内で様々な観測が出始めたが、その多くが悲観的である。米大統領ドナルド・トランプとの首脳会談を控えて、北朝鮮朝鮮労働党委員長の金正恩が出した観測気球のごとき提案は、従来の譲歩をかき集めたものに過ぎない。その中身は、核実験とミサイル実験の凍結や、南北和平協定の締結後も在韓米軍を認めるといった内容だ。北による非核化の声明と言っても、これが実施に移されるかどうかは過去における欺瞞の構図が物語る話しであり、極めて困難だ。従って首脳会談は長年の米朝対立に終止符を打つというような画期的なものではなく、基本的な対立の構図を改めて確認することになりかねない要素が山積している。
 まず、北朝鮮と米国の首脳らによる発言から明確になって来た両国のポジションを分析する。米国の目標は北朝鮮の核兵器製造計画を完全に止め、既に製造した核兵器の破壊を求めるところにある。おそらくトランプは金正恩に対し①核爆弾とミサイル製造の中止と実験の停止②既にある核兵器の解体③南北平和協定締結後も在韓米軍を認める④核実験場の閉鎖ーなどを要求するだろう。これらの要求を受け入れない限り、経済制裁の解除はないと迫るものとみられる。
 これに対して金正恩は「核実験と大陸間弾道弾の発射実験を中止し、核実験場も閉鎖する。今後は経済発展に全力を傾注する」との対応を表明している。核実験場の閉鎖については、過去6回の実験で山崩れを起こしている上に、坑道も崩れて使い物にならないから無意味だ。その意図を分析すれば金正恩は、“現状のままでの核開発計画の凍結” で国際社会からの経済支援を受けたいという意図がありありと見受けられる。これは父の正日の意図とピタリと符合する。金正恩も金正日のように、体制の生き残りを核兵器開発に賭けてきたのだ。もちろん見返りを期待しての核実験停止は、父の方式の踏襲である。米国と北朝鮮の思惑はここで鋭く対峙しているのだ。要するに金正恩は現状のままで核開発プログラムを凍結し、その見返りに国際社会からの経済制裁を直ちに緩和させることを意図しているのだ。従って、トランプの「北朝鮮の非核化を見たい。非核化とは核兵器の撤去だ」という核兵器プログラムの完全な破棄を求める要求とは似ても似つかないものなのだ。トランプは「日本と世界にとって前向きな結果が出る」としているが、問題は「前向き」の度合いだ。
 それにしても正日と比べて正恩のやり口はすさまじく派手だ。金正恩体制のこれまでの約4年8カ月で、発射された弾道ミサイルは失敗を含め30発を超えた。金正日体制の約18年間では16発の弾道ミサイルが発射されたとみられる。金正恩体制はすでに、倍以上の弾道ミサイルを発射した計算となる。今や自分はもちろん金一族の体制を守る手段として核とミサイルのノウハウが使われているのが現実だ。核とミサイルは金王朝の維持と発展に直結しているのだ。金正恩は核を持たないイラクのサダム・フセインやリビアのカダフィに何が起きたかを知っているからこそ、用心に用心を重ねて二の舞いを食らうのは避けようとしているのだ。金正恩にしてみれば「核保有国」として世界が認めることを基本戦略に据えているのだ。
  これは逆に見れば国際社会による経済制裁が極めて有効に働き始めたことを意味する。金正恩の本音は“経済救済”なのであろう。繰り返すが、これまでがそうであったように金正恩の提案をそのまま受け入れれば、一時的には核拡散のリスクが低減し軍事オプションの可能性が低くなるわけだが、金が微笑外交の影に隠れて、核兵器の「一剣を磨き続ける」ことは火を見るより明らかだ。
 米国を初めとする国際社会が求められている選択は「北が核プログラムを完全に破棄するか」それとも「核能力の温存を甘んじて容認するか」であろう。その中間の「あいまいのまま推移」もあり得るが、北が何もしないまま「あいまいのまま推移」では全く交渉の意味がない。トランプには少なくとも廃棄に向けての何らかのとっかかりを求められているのだ。トランプは自覚しなければならない。 
  トランプの脳裏には時々「軍事行動」がかすめているかも知れない。しかし、韓国には米兵2万8500人が駐留しているほか、常に20万人を超える米民間人が滞在している。朝鮮戦争が再発すれば、過去の例から見てもトータルで数百万人の人的な犠牲が必要となる。戦争による物的・人的被害は計り知れず、軍事行動のオプションはまず考えられない愚挙である。隘路を探し出すしかないのだ。隘路とは交渉の継続であるかも知れない。もっとも対話の継続は、その間軍事オプションが行われないことを意味するから、極東情勢には1歩前進だろう。
北朝鮮との長期にわたる難しい交渉のが始まることになるのだろう。


◎俳談
 新聞俳句は「敵を知れば百戦危うからず」であり、応募する側も選句の実情をよく知っておく必要がある。とりわけ、選者の研究を十分にして、効率的な投句をしなければ俳句の泉が枯渇する。
 ところで、最近選句に関して面白い話を聞いた。ある編集者が「先生、一日5千句もの俳句の中からどうして佳句を選べるのですか」と聞くと、老大家曰く「いやね、読み流しているように見えるだろうが、優秀な句は自ずと立ってくるのだよ」。佳い句は葉書が立ってくるというのである。いささか神懸かり的であるが、一面を衝いているかもしれない。
 朝日俳壇で週に5千句から7千句。NHKも同数。そのなかからどうして選ぶのか疑問が生ずるのは当然。垣間見たところによると選者は稲畑汀子も金子兜太も選句にかける時間は一句0.5秒から0.7秒。要するにぱらぱら見ている感じである。その中から佳句秀句が琴線に触れるわけだから凄い能力だ。文字としてみるのでなく絵画を見るように見ているという心理学者の分析もある。
  鷹羽狩行の場合は月平均3万句ほどの選句数。一日1000句に相当する。鷹羽は「もう慣れっこで、呼吸しているのと同じ」と述べている。新幹線は”走る書斎”、飛行機は”空飛ぶ書斎”だそうだ。
選句地獄のただなかに懐手 鷹羽狩行      
と余裕綽々だ。

朝鮮半島非核化と東アジア情勢

東北福祉大学講義録(2018/4-25)
朝鮮半島非核化と東アジア情勢
東北福祉大学客員教授  シンクタンク安保研理事長  浅野勝人

現在(今)、世界中がかたずを呑んで見守っているのはアメリカのトランプ大統領と金正恩(キム ジョンウン)朝鮮労働党委員長の米朝首脳会談です。5月下旬なしは6月初旬、ストックホルムと言われていますが、まだ日取りも場所も決まっていません。
4月~5月にかけて、世界主要国の首脳が目まぐるしく動きます。
まず17日、フロリダで安倍・トランプの日米首脳会談。明後日(4/27)、朝鮮半島中央の南北境界線の韓国側「平和の家」で韓国の文在寅大統領(ムンジェイン)と金正恩委員長の南北首脳会談。そして、来月9日、東京で行われる安倍・李克強の日中首脳会談を経て、米朝首脳会談へと連なっていきます。
朝鮮半島の非核化をめぐるダイナミックな動きが世界の耳目を集めていますが、こうした世界の世論の先手を打って、金正恩が爆弾宣言をしました。
20日、朝鮮労働党委員会総会で「核実験や弾道ミサイルを試験発射する必要が無くなった。核は凍結する」と述べて、核実験とICBM(火星15号。アメリカまで届く大陸間弾道ミサイル)の試験発射を中止し、有名な豊渓里(プンゲリ)の核実験場を廃棄すると宣言しました。
アメリカに対して核攻撃はしないと明言した発言によって、アメリカはひとます安心して満足かもしれませんが、日本の安全が保障されたことにはなりません。凍結とは、所有しているものを使わないという意味ですから、当面、核を使うつもりはないので実験はしないと言っているだけです。すでに保有している核兵器と弾道ミサイルを放棄するとは匂わせてもいません。特に韓国、日本、グアム向けの短距離および中距離弾道ミサイルの扱いにはひと言も触れていません。
廃棄すると宣言した豊(プン)渓里(ゲリ)の核実験場は、過去6回の核実験でガタが来て、山崩れがおきた模様でもう使い物にならなくなっています。

極東情勢をどこまで深く認識しているか疑わしいトランプは、「北朝鮮は非核化に応ずると宣言した。世界にとって喜ばしいことだ」とブログに書いて、非核化の意味が分かっていない、凍結と放棄の区別さえ理解していない困った大統領と揶揄されました。
思慮の深い軍事プロのマテイス国防長官がいますから、うかつな対応はしないと思いますが、金正恩が核弾頭を搭載したICBMは打たないと約束するだけで「これでアメリカに届く核兵器はない」と安心して、トランプに手を打たれたら大変です。日本にとっては最悪なシナリオになります。なぜなら、沖縄をはじめとする日本国内の米軍基地や日本の主要都市を狙う中距離弾道ミサイル「ノドン」が温存されるからです。仙台も例外ではありません。攻撃の対象になります。
この中距離弾道ミサイルが今のまま放置されたら、日本は絶えず北朝鮮の恫喝に晒されます。私たちは既に東北と北海道の上空を北の弾道ミサイルが通過したのを経験しています。
主要国首脳間の交渉によって、北朝鮮から核が取り除かれて朝鮮半島の非核化が実現して、東アジアが安定した政治環境になって繁栄するか。見せかけの核放棄が結局はバレて話し合いが行き詰り、アメリカが北朝鮮を攻撃しかねない物騒な情況の下で東アジア情勢がいっそう不安定になるか。
これが今日の講義のテーマです。

☆ 今日の情況に至った経緯を、まず、トレースしてみます。
角突き合わせて、一触即発だった米朝関係は、平(ぴょん)昌(ちゃん)の冬季オリンピックをきっかけに一挙に雪どけムードになりました。
北朝鮮の招きで平壌(ぴょんやん)を訪れ、金(キム)正恩(ジョンウン)と会った韓国政府代表が、ホワイトハウスにトランプ大統領を訪(たず)ねて「問題解決のため、首脳会談をしたい」という金正恩の伝言を伝えたところ、トランプは即座にOKと回答しました。
「愚かなロケット・ボーイ」「老いぼれのたわごと」とののしり合っていた両首脳の従来の関係から想定して、世界中びっくりしました。
アメリカと日本の国内には、「北朝鮮と話し合ったところで騙されるだけ。もうこれまでしばしば体験してきた北の時間稼ぎ」という世論が多いのが実情ですが、私は、やってみなければわからない。やる前からダメと決めつけるのは正しい判断とはいえないと思っています。案外、常識外れの変わり者同士、気が合うかもしれません。

実は、去年から今年にかけて、「米朝軍事衝突の可能性高まる」「米軍、4月に北朝鮮爆撃」と報道するメディアが少なくありませんでした。この予測が当たっていたら、今頃はもう戦闘が始まっていたことになります。
そんな剣呑な状況が、なぜ、急転直下話し合い路線に転換したのでしょうか。
私はこれまで一貫して、早い段階から「米朝軍事衝突・戦闘はない」とたびたびブログをネットで明らかにし、さまざまな専門誌にも書いてきましたので、なぜ戦闘はないと判断したのか、その理由を述べたいと存じます。
能力 × 意図 = 戦争 という方程式で、米朝両国の関係を
分析してみます。
まず、北朝鮮は、いずれアメリカが攻めて来ると思い込んでいるので、ミサイルと核を開発・保持することによって国を守ろうとしています。イラクとリビアは、弾道ミサイルと核を持っていなかったから戦闘に負けて崩壊したと考えています。
つまり、北朝鮮はミサイルと核を装備して、アメリカの攻撃に備えている「専守防衛」の国です。口先では、ICBM(大陸間弾道弾)でアメリカ本土を火の海にすると言っていますが、そんな能力は必ずしもまだ完成していないことを彼らは分かっています。ですから、アメリカまで戦争に行く意図も能力もありません。
もっと具体的に核以外の能力についていうと、軍用機は米軍1万3,700機、北朝鮮1,000機弱、空母に至っては米軍10隻に対して北はゼロ。大人と子どもの戦さになりますから、自ら撃って出てアメリカと闘い自滅するつもりは北にはありません。
かつて、無謀にも、己の能力をわきまえず、相手の力量の研究も十分ではないまま、真珠湾を奇襲攻撃してアメリカとの戦闘に突入して、国中焼け野原になってやっと目が覚めたあの当時の日本とは違います。
北朝鮮は、もっぱら、核とミサイルで防備してアメリカの攻撃から国を守ろうとしている「専守防衛体制」の国です。
但し、やるならやってみろ。同盟国の韓国と日本を道ずれにするぞとすごんでいます。そして、困ったことにその能力は持ち合わせています。

一方、アメリカは力に任せて北朝鮮を殲滅しても、その結果、中国、ロシアとの関係を決定的に悪化させるだけで何もメリットはありません。アメリカ本土の保全と同盟国の韓国、日本への脅威を排除するのが目的です。北がICBMを開発して「ワシントンを攻撃する」と大それたことを言うものですから放置できないだけで、「北」が東アジアの平和を乱す核とミサイルを当面凍結・いずれ放棄しさえすれば、目的を達したことになります。ですからアメリカも戦闘能力はあるけれども、あえて何の得もない戦を自ら進んでする意図はありません。ですから好き好んで戦争はしません。
特に、北朝鮮は、日本と韓国、グアムを攻撃する中距離弾道ミサイルを500ないし600基、国内あちこちに分散して地下に隠し持っています。アメリカは、北の主な核・ミサイル基地や製造・貯蔵庫は掌握していますが、スパイ衛星に見つからないように、国内あちこちの地下にバラバラに隠しているものを一挙に全て破壊することは到底不可能です。
破壊を免れた中距離ミサイルが、開発済みと言われる小型核爆弾を搭載して、同盟国の韓国や日本を攻撃してきたら、大打撃を被る恐れがあります。だから、アメリカは「北」との戦闘には極めて慎重です。
それにもっと嫌なものを、北はミサイルにのせることができます。
生物化学兵器です。平壌(ピョンヤン)生物化学研究所。定州(チョンジュ)市と文川(ムンチョン)市に秘密研究所があり、炭疽菌(その恐ろしさはオーム真理票で経験済み)、赤痢菌など13種類の生物化学兵器を製造しています。政治犯を使って人体実験をしているそうですし、未確認情報によると総量は2,500トンを超えるとみられています。
「同胞の住む韓国に使用するのは躊躇するが、日本にはためらわない」と金正恩が言っているという情報が伝わっていますからアメリカも北には軽々に手を出しません。

以上の分析に従えば、能力 × 意図 = 戦争という方程式は、米朝とも成り立ちません。ですから、アメリカと北朝鮮との戦争はないと私は判断した理由です。
しかし、20日の金正恩発言は、まだ開発が十分とは言えないICBMの試験発射を中止し、核の実験はもうしないと明言しただけで、すでに保有している核爆弾と近隣諸国を攻撃できる中距離弾道ミサイルについては保有し続けるつもりと見受けられます。アメリカに対して核攻撃はしないと言っているだけで、非核化つまり核の放棄は約束していません。
将来、度重なる交渉の結果、結局、非核化の合意に至らなかったり、仮に、北朝鮮が核・弾道ミサイルの凍結・放棄に合意したとしても、それが見せかけのポーズで、約束を破るようなことがあった場合は、方程式自体が崩壊しますから、私の理論は吹き飛びます。

◎トランプ金正恩に核兵器解体を要求へ

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  米朝、首脳会談でギリギリの応酬か
 極東に緊迫の外交シーズン
  複雑怪奇を地で行く北朝鮮情勢の糸をとぎほぐせば、核心は国連制裁で経済的に追い詰められた金正恩が核実験と長距離ミサイル実験を中止するが、完成した核ミサイル攻撃システムを手放すことはしないということで妥協を求めている点に尽きる。日本にとってはとんでもない話で、中距離ミサイルノドン200発を突きつけられ続けることになる。ちょっと筋が違うのではないかということだろう。トランプはさすがに状況を見極めており、金正恩との会談で核兵器の解体を速やかに進めるよう求める。しかし、金正恩がやすやすと応じることはあるまい。会談は双方の極東戦略が激突のコースをたどる様相だ。
 金正恩の軟化路線は20日の労働党総会の発言に集約される。金正恩は核実験と長距離ミサイル実験を中止し核実験場も閉鎖すると述べた。加えて「核弾頭を弾道ミサイルに搭載するという作業が完成していることを考えると大陸間弾道弾の発射実験は必要なくなった」と発言した。もちろん完全非核化に動く文言などはどこにも含まれていなかった。
 トランプの超大国トップとしての最大の欠陥は、こうした事態に単純に反応してしまうことだ。ネットで「北と政界にとって素晴らしいニュースだ。大きな前進だ。会談を楽しみにしている」と諸手を挙げて歓迎した。しかし米国のマスコミの判断はトランプより数段上回る。ニューヨークタイムズ紙は「金正恩発言の最大の疑問は北が核兵器そのものを放棄するかどうかだ。譲歩を引き出すために相手を混乱におとしめる北朝鮮の古くからの戦術の焼き直しに過ぎない」と看破したのだ。トランプは急きょトーンダウンし「アメリカは何も譲歩してはいない。北朝鮮については結論は遠い。うまくいくかも知れないが、うまくいかないかも知れない。時間がたてば分かる」と元に戻った。
今後は「核廃棄」を実現するまで圧力を継続する構えだ。
 一方、ウオールストリート・ジャーナル紙によると、トランプ政権高官は22日、「トランプ氏は過去の過ちを再び犯さないとしているが、これは北朝鮮が核プログラムの解体を大幅に進めない限り、米国は制裁解除など大幅な歩み寄りをしないことを意味している」と述べた。そのうえで「もし北朝鮮が非核化に迅速に動く意志があるのであれば、可能性は無限大だ。あらゆる素晴らしいことが起きるかもしれない」と誘い水を差した。金正恩は21日の発表の中で、核兵器を手放す意向はないことも示唆。中国外務省によれば、正恩氏は習近平国家主席と先月会談を行った際、「平和の実現に向けて段階的かつ歩調を合わせた手段」なら支持すると述べていた。
 もともと北朝鮮の外交は常に「罠」を用意しているとみるべきものだろう。朝鮮戦争は休戦協定の状態が続いており、法的にはまだ継続している。その戦争継続の当事者が「罠」を仕掛けてくることくらいは日常茶飯事ととらえるべきなのだ。過去の歴史を見れば1994年には米大統領クリントンと枠組み合意をしたが、テポドンやムスダンを発射。2005年には6か国協議で経済支援を決めたが、翌年核実験だ。2008年には冷却塔を破壊して見せたが、裏では着々と核兵器製造を進めた。北の指導者には核で世界を欺くという「遺伝子」がしっかりと植え付けられているかのようである。
 こうした北の出方に対してしゃにむに北との関係改善を目指す韓国大統領文在寅は「凍結を当面の目標とし、第二段階として核兵器の完全放棄に持ち込めば良い」として「段階的包括的アプローチ」という“非核二段階構想”の立場を取っている。しかしこの構想の甘さは北が世界外交を展開するにあたって、最大の原動力となる核ミサイルを放棄しうると見ている点であろう。北の「やらずぶったくり路線」を理解していないかのようだ。過去において段階的なアプローチは全て失敗している。
 この点首相・安倍晋三が「今の段階で圧力を解除することはない。見極めなければならない」との立場を表明しているのは正しい。防衛相・小野寺五典も「中距離・短距離の弾道ミサイルの放棄は触れていない。少なくとも核の放棄にも触れていない。これでは不十分だ」と分析した。そのうえで「引き続き最大限の圧力を加え、私どもが求める最終的な大量破壊兵器、核・ミサイルの放棄をめざす姿勢には変わりない」と強調した。この姿勢が今の政府の立場としては最も適切なものであろう。
 今後北東アジアをめぐる情勢はめまぐるしく展開する。まず27日には南北首脳会談が開催される。軍事境界線上の板門店での会談は、次に予定される金委員長とトランプ米大統領の首脳会談のお膳立てをする場となりそうだ。韓国大統領府は声明を出し、朝鮮半島の安定化取り組みへの中国の関与をたたえた。習近平が金正恩を対話路線への転換を説得した可能性が大きいのだ。一方、日本が議長国を務める日中韓3カ国首脳会談については、5月上旬に開催する方向で調整されている。確定すれば、文在寅と中国首相・李克強が初来日となり、日本外交にとって大きな行事となる。同時に日韓、日中の2国間首脳会談もそれぞれ開く見通しだ。
 こうした動きの後6月上旬までには米朝首脳会談が行われる。会談場所はまだ未定だ。また習近平の訪朝、5月26日には首相・安倍晋三の訪露なども予定されている。極東は慌ただしい“外交の季節”の到来だ。
◎俳談
【類想句とは】
 よく似通った句を類想句という。有名な例では
山口誓子の
沖に出て木枯らし帰るところなし
が、池西言水の
凩の果てはありけり海の音
の類想であるというものである。
 言水の句は江戸時代の有名な句であり、言水は俗に「凩の言水」と言われた。誓子はそれを承知の上で作ったものとされている。誓子の句は特攻を暗喩で描いたものとされ、名句中の名句と言ってもよい。いまは特攻は忘れられ、時事詠と離れて解釈されるケースが多い。
 これについて故飯田龍太は「作品が前者をしのいだら問題はない。いわば相撲で兄弟子を負かすようなもの」と断定している。誓子は言水を大きくしのいでいるというのである。
 昔はおおらかだった、芥川龍之介は飯田蛇笏の句を真似たと言って
癆咳(ろうがい)の頬美しや冬帽子
を作ったが、そのモデルの句は
死病得て爪美しき火桶かな
だ。これを類想と言えば類想だらけになるが、むしろヒントにしたと言った方が適切だろう。芭蕉が和歌から「本歌取り」した俳句は数知れぬと言われているが、批判する者は居ない。龍太の言うとおり、モデルの句を越える力量があればよいということだ。
人口に膾炙した芭蕉の晩年の句
此道や行人なしに秋の暮 
を蕪村が  
門を出れば吾も行人秋の暮   
と詠み変えているが、これは類想というより、芭蕉への敬慕の念をあえて芭蕉の俳句を借りて現したものであろう。

◎極東情勢で日米盤石の連携確立ー安倍トランプ会談

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◎極東情勢で日米盤石の連携確立ー安倍トランプ会談
 北取り込みで中露の動き活発化
 対米通商摩擦で日欧は結託せよ
  北朝鮮をめぐる極東情勢は米中露3大国が、金正恩の取り込みに全力を傾注する形となった。当の金正恩は完成に近づいた核ミサイルを最大限使った“火遊び”で米中露と日本を手玉に取り、有利なポジションを確保したと思い込んでいる。力を背景に外交を進めようとしているが、やがてその“実力”を思い知るときが来るだろう。日本は首相・安倍晋三とトランプの蜜月関係を生かして、2日にわたる会談で対北朝鮮で軍事的、政治的、経済的に連携をとる方向を確立させた。日米首脳会談は大局的には成功したのであり、通商問題での隔たりは時間をかけて埋めて行く問題だ。
 日米首脳会談の重要ポイントは、北の中長距離核ミサイルに対して、日米が“撤去”への共同歩調で一致したことだ。なぜなら米国はこれまで自国に届く大陸間弾道弾(ICBM)にだけにとらわれている印象が強かったからだ。ICBMだけ除去しても中距離ミサイルがそのままならば日本の安全保障は危機的状態にさらされることになる。安倍の懸念に対してトランプは「大丈夫だ。米国の懸念はICBMだが、それより深刻な問題は君らにある。同盟国である日本の利益も含めて北と対話する」と言明した。なぜか中距離ミサイルには直接的言及をしなかったことが気になるが、あくまで日本の主張が全ての核ミサイルの包括的合意であることをトランプに確認させたことは大きい。
 もう一つの問題は北がこれまで2回に渡って狡猾に世界を欺いてきたように、援助だけをとってミサイル開発をなしくづしに進めることだ。これにいかに歯止めをかけるかである。過去の交渉は全て時間稼ぎに利用され、ついに核ミサイルの完成にたどり着こうとしている状況に至った。この点日米韓では20年までに全面廃棄を迫る方向で話し合いが進んでいるようだ。非核化のプロセスが完全でないとこれまで通りの無駄骨になるのは目に見えている。そのためには工程表を確立する必要がある。国際原子力機関(IAEA)の全面的な査察は不可欠であり、核物質、関連機器の搬出までのスケジュールを立てて、それに基づく実効が重要になるだろう。トランプは安倍に「数週間以内に金正恩と会談する予定だが、成果が期待できなければ会談しないこともありうる」とを明言した。交渉が一筋縄ではいかない状況を物語る。おそらく北の核廃絶で難航しているのだろう。
 こうした中で極東情勢はこのところにわかに大国による北朝鮮との接触が活発化している。火を付けたのが3月25 日から28日まで北京で行われた金正恩と習近平との会談である。米国は直ちにCIA長官ポンペイオを北朝鮮に派遣、金正恩との会談を行った。今後4月27日には南北首脳会談、6月上旬までに米朝首脳会談。その後習近平の平壌訪問。プーチンの平壌訪問などと続く。まさに北朝鮮に対する大国による“取り込み合戦”の様相である。北朝鮮を取り込んで北東アジアにおける主導権を確保しようとしているのである。古来朝鮮半島は戦略の要衝であり、大国によって翻弄(ほんろう)されてきた。
 日本は米国と同調して、戦略的な優位を確保しようとしている。世界1位と3位の経済大国の結託は、中露を北朝鮮の経済的発展にとって大きく凌駕する力を発揮できる。その戦略はアメとムチの両面作戦である。安倍は今後の戦略について「日米両国は北朝鮮に対して核兵器を初めとした大量破壊兵器および弾道ミサイルの完全に検証可能かつ不可逆的な廃棄を求めてゆく。北朝鮮が対話に応じるだけで見返りを与えるべきではない。最大限の圧力を維持して非核化への具体的行動を実施する確固たる方針だ」とのべている。
 拉致問題について安倍はトランプに金正恩との会談で取り上げるよう要請、トランプはこれに「日本のために最善となるようにベストを尽くす」と応じた。トランプは米国人も3人が拉致されていることから、いずれにしても拉致問題を取り上げることになるだろう。トランプは拉致家族とも面会しており、実情は知っている。日本と米国の被害者帰国に大きな進展がないとは言えない。しかし、いくらトランプが取り上げたにしても、拉致問題は日本固有の課題であり、米国にとっては側面援助しか出来ないのが実態であろう。最終的には日朝間で解決するしか方法はない。安倍も時期を見定めて訪朝することも検討しなければなるまい。
 通商政策に関しては日米の根本的なアプローチの違いが鮮明となった。秋の中間選挙を意識するトランプは、対日貿易赤字削減を重視し、
調整に乗り出す構えだ。1970年代から四半世紀にわたる米国との激しい貿易摩擦で、輸出の自主規制などを迫られたことを彷彿とされる。その再来は避けるため、通商問題を協議する新たな閣僚級の枠組みをつくることになったが、経済再生相茂木敏充と、米通商代表部代表ライトハイザーは厳しい交渉を迫られるだろう。昨年1月に就任して以来、トランプは、日本のみならず世界の通商政策を引っかき回してきたが、この際日欧が一緒になって対米説得に乗り出すのが良いかも知れない。

◎俳談
【話し言葉がそのまま俳句に】
指を折って五七五をつくっていると、時々調子のいい話し言葉に飛び付きたくなる。子規もそうであったらしい。若いころ母親に「寒いね」と語りかけると母親は
毎年よ彼岸の入に寒いのは
と答えた。これをそのまま一句にしたためてしまったのが掲句である。俳句は自由な芸術であり、季語が入っていれば口語調であっても許される。筆者も茶の間の話し言葉をそのまま使った句がある。
春宵の泣くなと言へばなほ泣いて 産経俳壇1席
愁嘆場のやりとりだが昔の話だ。
昔ジルバが流行った。
黒揚羽雨のジルバを踊らうか 産経俳壇入選
虚子も詠んでいる。
初蝶来何色と問ふ黄色と答ふ 

◎俳談

◎俳談
【俳句と諧謔味(かいぎゃくみ)】
 簡単に言えば重いテーマを軽く語るというのが芭蕉の言う「軽(かろ)み」であろう。例えば
秋深き隣は何をする人ぞ
秋が深まり、山野が寂しい風情になってくると、隣の物音も気になる。今何しているのだろうかと人恋しい気持ちにもなる。筆者は芭蕉が隣人の職業を気にしているというよりも、親しい隣人が何をしているのだろうかと気遣っているように句意を読み取りたい。平明な用語で全く気取っていない。「俳諧は3尺(さんせき)の童にさせよ」と芭蕉は述べているが、まさにその言葉を地で行っている。この「軽み」をさらに推し進めると「諧謔味」になることが多い。一茶は
春雨や食はれ残りの鴨(かも)が鳴く
と詠んだ。今は鴨が池にあふれているが、昔は見つければ弓で打って食べていたと考えられる。運良く食べられなかった鴨が春雨の中で鳴いている風景を詠んだが、みそは「食われ残り」。なかなか言える言葉ではない。
筆者もユーモアのある句は好きだ。
玄関開けて「受かったよ」と大声を上げた子供がずっこけた。
合格子(ごうかくし)上がり框(かまち)でずつこける 杉の子
雑草の中で高さ20~30センチくらいのスカンポがニョキニョキと立ち上がっているのが面白いと感じて
すかんぽのぽつぽつぽつの余生かな   杉の子

◎時々当たる飯島発の“解散風”


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◎時々当たる飯島発の“解散風”
  いまだ“老熟”せぬ「狭量小泉節」
 政局がざわついてきた
   昨年9月の総選挙から半年しかたたないのに、永田町を解散説が
吹き初めている。首相・安倍晋三がモリだのカケだののあらぬ疑惑に、伝家の宝刀解散で斬り返すというのだ。 かつて佐藤栄作は「内閣改造をするほど総理の権力は下がり、解散をするほど上がる」と述べ、黒い霧解散を断行して求心力を回復、局面転換を図った。当時筆者も「解散だ」とフラッシュを打ったことを思い出す。今度もフラッシュが飛ぶかどうかだが、野党が根も葉もないことをほじくり出して、安倍を退陣に追い込もうとしているが、これが続く限り早期解散はあり得る。安倍は退陣でなく解散を選択する。分裂野党が選挙戦を戦えるか見物となる。
 政権のうち誰かが解散風を吹かせ始める政局かと思っていたが、案の定16日内閣官房参与の飯島勲が解散発言の口火を切った。テレビ朝日の朝の番組で「私だったら、もう、今、解散しますね。100%」「今の状況を見ると最悪でも過半数は十分取れる」「過半数以上議席が取得できれば、安倍内閣の持続が当たり前。何ら問題ない」などとぶちまくっていた。安倍が、国会で森友学園や加計問題での、公文書の書き換え疑惑について、「全く私は指示していないと申し上げてきた。あとは国民の皆様が判断いただくことだと思う」との発言をしたことを根拠に飯島は、「『国民が判断する』ということは、解散しかないじゃないですか。そうでしょう?」と述べた。これに先立ち飯島は週刊文春(3月29日号)で「黒い霧解散」を引き合いに、早期の解散・総選挙を提言し、「過半数維持は間違いないぜ」と書いている。
 この飯島解散風は、外れが多いが時々当たるから要注意だ。発言が安倍の了解の元に行われたか、安倍の胸中を察してのものであるかは五里霧中だが、飯島が流行の「忖度」をしていることは確かだろう。今と似た根拠レスの政権追及ムードに端を発した黒い霧解散の例を語れる現役政治記者はもう筆者しかいない。黒い霧問題は第一次佐藤内閣が発足した1965年からくすぶり始めた。その内容は現在の野党による追及に似て、黒い霧の名前通り得体の知れぬ“ヌエ”的な性格を持っていた。具体例としては虎ノ門国有地払い下げ問題をめぐる恐喝・詐欺(さぎ)事件で逮捕された田中彰治事件、防衛長官上林山栄吉の大名行列並みのお国入り事件、松野頼三の官費による私的な外国旅行などなどだ。佐藤とは関係がない、愚にも付かない問題をひっくるめて黒い霧と称して野党が追及、マスコミが書き立てた。
 今回もモリだのカケだのが「贈収賄事件」や「首相の犯罪」に直結する流れにはなく、実態がないから、言うならば「白い霧」にすぎない。白い霧の向こうからは美女が出てくるのが通例で、“怪物”が現れることはあり得ない。朝日やTBSなどを中心とする“マスコミ追及班”は、何かを引き出そうと躍起だが、これはマスコミのあるべき本道にもとる。なぜなら根拠なしに“あやしい”だけが先行して、ファクトが付いてこないからだ。むやみやたらに政権のつるし上げを図ろうとしているだけだ。
 佐藤はこうしたムードを断ち切るために66年12月27日に解散を決断、67年1月の総選挙を断行した。微減したが自民党は善戦した。日本国民はばかではない。大勢は真実がどこにあるかを訴えれば納得する国民である。任期満了まで1年を切る中での解散であった。それでは早期解散があるかどうかだが、過去にも例は二つある。一つは吉田茂のバカヤロー解散だ。1952年8月28日に抜き打ち解散を断行した吉田は、国会の予算委で社会党右派の西村栄一との質疑応答中、「バカヤロー」とつぶやいたことをとがめられ、1953年3月14日に解散を断行した。
 もう一つは大平正芳による解散だ。大平は1979年9月7日に一般消費税世に問う解散を断行したが、翌80年5月9日にハプニング解散を断行した。きっかけは反主流の反乱であった。三木派や福田派、中川グループなどの議員69人は内閣府不信任本会議を欠席した結果、可決されてしまったのだ。選挙中であった6月12日に大平が急死するという緊急事態が起こり、同情票が作用して自民党は地滑り的な勝利となった。バカヤロー解散もハプニング解散も半年か1年たたずの時点での解散であったが、首相が決戦を選択した選挙であった。
 こうした中で元首相小泉純一郎が爆弾発言をした。14日、水戸市内で講演後記者団に対して森友・加計学園を巡る一連の問題への政府の対応を批判。「言い逃れ、言い訳ばかり」と突き放した。加えて小泉は、秋の自民党総裁選について「3選は難しい。信頼がなくなってきた」と安倍3選の可能性を否定したのだ。久しぶりの小泉節の登場だが、筆者と近い年齢にしては相変わらず老熟していない。3選がないと断定する以上、誰か別の候補者がいるのか。石破茂を自民党主流派が担ぐだろうか。前外相岸田文雄が政調会長になってめざましい活躍をしたか。二人ともまだ5年は雑巾がけをした方がいい。そもそも小泉は自分の弟子の安倍を擁護するのならともかく、足を引っ張るとは何事か。まさに「狭量小泉」の面目躍如かと言いたい。

◎トランプ一触即発の状態でけん制

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◎トランプ一触即発の状態でけん制
  シリア攻撃の準備完了
 米露対立危機的状況 
 この国はの国会は一体どうなっているのか。シリアが一触即発で、場合によっては米露の大規模軍事衝突に発展しかねないというのに、野党はカケだのモリだの朝日新聞と民放受けする問題ににうつつをぬかし、世界情勢などどこ吹く風だ。何という世界観の欠如だろうか。戦争はいったん勃発すれば、連鎖を巻き起こし、北朝鮮情勢の緊迫化につながりうる事態も想定される。米国はトランプの強硬路線に傾斜して、シリア攻撃の準備をほぼ完了させた。あとは命令を待つばかりの状況に至っている。シリアをめぐる米露の対立は抜き差しならぬ事態となりつつある。
 トランプはまず「口撃」から物事を始めるから、分かりやすい。シリアのアサド政権を「自らの国民の殺害を楽しむかのように毒ガスをまく獣(けだもの)」と決めつけ、一方でこれを支援するロシアに対して「ロシアはシリアに向けられたいかなるミサイルも打ち落とすと宣言している。プーチンは準備に入るがいい。米国のミサイルが来るぞ、新しくスマートなミサイルだ」とどう喝した。
 トランプの行動はまず同盟国固めから始まった。イギリスの首相テリーザ・メイとフランス大統領エマニュエル・マクロンと電話会談して、アサドに断固とした対応で臨むことを確認した。マクロンはテレビで「アサド政権が化学兵器を使った証拠を握っている」と延べ、制裁を示唆。メイは英軍をシリア攻撃に参加させる方針を固めた模様だ。米欧有志連合による攻撃態勢を整えたのだ。しかし、ドイツは別だ。首相メルケルは12日の記者会見で、対シリア軍事行動について「ドイツは参加しない」と明言した。
 対シリア攻撃のシナリオは、東地中海に展開した米艦船や爆撃機によって多数の巡航ミサイルを発射して、軍事施設を破壊する。昨年4月には59発がシリアの空軍基地の目標を破壊している。今回はこれを上回る規模となる可能性が大きいようだ。これにロシアがどう対応するかだが、トランプの予告発言はシリアの基地にいるロシア軍兵士に避難を呼びかける性格もある。最悪の場合はロシアが反撃して、衝突が拡大し米露直接戦争に発展することだ。ロシアはシリアの基地にミサイル迎撃システム「S400」を配備しているものとみられ、反撃を受ければ米軍は無傷ではあり得ない。米露が直説砲火を交える事態になれば、史上初めてであり、事態は1962年のキューバ危機に勝るとも劣らない危機的状況である。
 この米国によるシリア攻撃は北朝鮮をも強く意識した地球規模の戦略であることは言うまでもない。シリア攻撃を目の当たりにした場合金正恩が、どう反応するかをトランプは片目でにらんでいる。おそらく「震え上がる」だろうとみている。トランプの狙いはシリア攻撃によって、北朝鮮に力を見せつけ、核兵器放棄に向かわせたいのだろう。
 一方でロシアは北朝鮮にも同型ミサイル迎撃システムを配備しており、北はシリア軍の反撃能力を固唾をのんで見守るに違いない。米軍に対する迎撃の「予行演習」の意味合いを持つからだ。金正恩はシリアの紛争が拡大して、米軍が極東で作戦を展開することが困難になることを期待しているに違いない。戦術上2正面作戦は最も愚かな作戦と言われているが、米国が中東に専念すれば北に核・ミサイル開発の余裕を与えることになる。シリアへの対応は米国の北との交渉に影響を及ぼさざるを得ないのだ。
 こうした中で注視すべきはトランプ政権の中でブレーキ役が登場し始めたことだ。これまではかつてイラク戦争を推進した大統領補佐官ジョン・ボルトンのように「平和がほしければ戦争の準備をすべきだ」といった“力の信奉者”が目立った。これに対して、国防長官ジェームズ・マティスは「私の責任は必要ならば軍事オプションを用意することだ。しかし米国は外交主導で努力する。外交的手段によって外交的結果を得る」と慎重論だ。前国務長官ティラーソンも「外交的解決はあきらめない」と述べている。
 しかしこうした慎重論もトランプ一流の“口撃”にかき消されがちだ。トランプは11日「ロシア高官はシリアにミサイルが飛来しても迎撃すると発言したが、そのミサイルが飛来するのだからロシアは準備せよ」と“最後通牒”的な発言を繰り返している。これ以上言葉がないほど脅しまくっているのだ。ロシア外務省報道官のザハロワは「ミサイルはテロリストに向けられるべきで、国際テロリズムと戦っている合法的政権に向けられるべきではない」と批判しているが、トランプ節にかき消されがちだ。

◎俳談
【常識を外す】
俳句を作る者が皆陥りやすいのは常識的用語の選択だ。雲と書けば雨、川といえば魚の類いの連想である。だから初心者は皆同じような俳句を作ってしまう。一番初めに思いつく言葉はまず類型的で話にならない。何か“事件”を起こさないと駄目なのだ。
坪内捻転は「常識外れ」の名手だ。甘納豆と季節を組み合せて
三月の甘納豆のうふふふふ
などという不思議な俳句の世界を独創している。本人は河馬が大好きだ。だから
桜散るあなたも河馬になりなさい
といった句が出来る。類想句から離脱しようとするとこのような世界になるが、実に面白い。
黛まどかは
さくらさくらもらふとすればのどぼとけ     
だそうだ。男ののど仏に憧れる句だ。他人と異なる俳句を作らなければ創作の世界とはならない。しかし、まかり間違うと支離滅裂の駄句になってしまう。初心の内は王道を歩き、馴れてきたら飛躍する句を作るのがよい。
ぬぬぬぬと写楽顔出るべつたら市 日経俳壇入選
飛躍して意外性を狙った。

◎「米中貿易戦争」安倍訪米の課題に浮上

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◎「米中貿易戦争」安倍訪米の課題に浮上
 日本経済への影響不可避
 首相財政出動も考慮か
 1930年代の米保護主義が世界恐慌を招いた歴史の教訓を無視するかのように、米大統領トランプが保護主義路線を邁進する。国際経済は「混乱の時代」へと突入しかねない雲行きであり、混乱は外需に頼る日本経済への影響が大きい。首相・安倍晋三は17日からのトランプとの会談で貿易戦争の防止策を語り合う必要が急浮上してきた。北朝鮮問題も重要だが、比重は貿易戦争の回避策も勝るとも劣らなくなった。首相は9日、官邸で日銀総裁黒田東彦や関係閣僚と会談、「日本経済の正念場だ。あらゆる施策を総動員する」と語り、積極的な財政出動も排除しない姿勢を打ち出した。 
 米中貿易戦争は段階を追って深刻さを増している。3月の第1ラウンドはトランプが鉄鋼・アルミに高関税を課すという異例の輸入制限措置を発動して始まった。中国はちゅうちょせずに豚肉など120品目に高関税を課した。4月4日の第2ラウンドは知的財産を侵害しているとしてトランプは航空機など1300品目に25%の関税。これに対して中国は大豆など126品目に25%の追加関税を課すという報復の準備に入った。第3ラウンドは米国が航空機、自動車、産業用ロボット、ダイオード、食器洗い機への課税を検討。中国がトウモロコシ、小麦、牛肉、ウイスキーなどの品目を挙げている。とどまるところを知らない様相を帯びているが、さらに中国は今後金融の解放から米国を締め出し、購入した130兆円の米債券を売りに出すことなどをほのめかしている。
 トランプは中国の対応を「中国は不正行為を是正もせずに、我が国の農家や製造業に危害を加えることを選択した」と発言した。しかし、なぜ今この時の攻勢かと言えば、トランプ政権の信任投票の意味合いが濃い秋の中間選挙を意識しているに違いない。トランプの支持率は歴代大統領でも最低の30%台を低迷してきたが、このところ40%台を回復、50%の調査もある。この流れを維持強化する戦略であろう。これに対して李克強首相は9日、日本国際貿易促進協会の河野洋平会長との会談で、「貿易戦争ではなく交渉すべきだ。われわれは断固、多国間貿易主義を守っていく」とトランプ米政権を批判した。
 米ニューズウイーク誌は米中摩擦が「日本にとって漁夫の利か」と題する論文を掲載した。中国への制裁措置は日本の製品が米国市場でシェアを拡大する可能性があると指摘する。米国が公表した1300種類の中国製品に対する追加関税品目に25%の関税が実際に課せられると日本などは価格競争で有利に立って、対米輸出が大幅に増加するというのだ。しかし事はそう簡単ではない。
 確かに日本はアベノミクスが一定の成果を上げており、このところの経済は確実に良くなっている。今後は2019年10月に予定している消費税率の10%への引き上げが課題だが、過去2回にわたる引き上げはいずれも景気を悪化させた。今回は2000年オリンピックがあるから、一時は落ち込んでもまた盛り上げるという見方も濃厚だが、アベノミクスの3本の矢を重視してとりわけ3本目の戦略である成長戦略に力を入れる必要が出てくることは間違いない。
 その成長戦略の面前に立ちはだかるのが米中貿易戦争なのだ。専門家によると貿易戦争が世界中に広がり、米国、ヨーロッパ、中国が全部10%の関税をかける場合、世界の国内総生産は1.4%ダウンし、総額100兆円以上急落するといわれる。日本は壊滅的な打撃を被るのだ。最悪のケースを想定すれば日本の国内総生産が1%以上落ちるという。それは“悪夢のけース”である。さらに重要なのは、米国の対中貿易と言っても日本が深く関わっている事実を忘れてはならない。米国の農産品を世界市場に売り出しているのは日本の商社であり、中国で製品を生産しているのは日本の企業であるケースも多い。
 米中貿易戦争が抜き差しならないのは、米中両国の対応が硬直している状態であることだ。米国は明らかに保護貿易主義への回帰であり、中国は欧米や日本とは異なる「国家資本主義」的なやり方で対応しようとしている。まさに水と油の対立であり、溶け合うことは極めて難しいまま当分推移するだろう。こうした中、トランプ大統領は8日、ツイッターに「中国と貿易をめぐる論争で何が起きようと、習近平国家主席と私は常に友人だろう」と書き込んだ。加えて、「中国は貿易の障壁を撤廃するだろう。なぜなら、それが正しいことだからだ」と指摘、「知的財産についても取り引きが成立するだろう」として、不公正な貿易の是正に自信を見せた。当分トランプは硬軟両様の構えを見せるとともに、基本的には米中経済戦争に勝つため、ドラスティックな貿易政策を維持し、中国を交渉の場にひざまずかせようとするだろう。しかし、国内の政治基盤を完全に固めた習近平がやすやすと屈するとも思えない。
 日本の対応は環太平洋経済連携協定(TPP)11への動きなど自由貿易を拡大し、各国の保護貿易を阻止することが大切だろう。もともとTPPは対中戦略の側面が大きかった。米国が中国と対決するなら、米国に参加を改めて呼びかけることも可能ではないか。安倍が訪米でトランプに気付かせることが必要であろう。
 ◎俳談
【言い過ぎない】
芭蕉の弟子服部土芳(はっとりとほう)が、芭蕉の教えを発言集の形でまとめた本に三冊子(さんぞうし)がある。「白冊子」「赤冊子」「忘れ水(黒冊子)」の3部からなり、蕉風俳句を忠実かつ体系的に伝えようとしている。この中で芭蕉は言いすぎないことの重要性を説いている。<下臥(したぶし)につかみ分けばやいとざくら>という句について言い過ぎだといっている。句意は、「風にゆれる枝の下に臥して摑みわけたいくらいの糸桜である」と言ったものだ。これについて去来が「糸桜が華やかに咲き誇ったさまを言い尽くしたものですねぇ」と水を向けると芭蕉は、「言ひおほせて何かある」と答えたのだ。「俳句の世界ではものごと言い尽くしてしまえば、後に何が残ろうか」と諭したのだ。まさに作句の急所をついた発言として未だに語り継がれている言葉だ。
 翻って初心者の句を見ると言い過ぎ句、山盛り句が一杯である。俳句は短い中でいかに余韻をもたらすかが最大のポイントである。明白すぎる説明はせず、余韻を残すのだ。
打水の最初の客となりにけり 読売俳壇入選
掲句は料亭の前に打水がしてある情景を詠んで、すがすがしさを狙った。打水といえばいまは料亭くらいのものであり、「料亭の打水」と言ってはぶちこわしとなる。日本の文学は明白すぎる説明はせず、行間を読むことが読み手に求められてきた。作者はいかに省略するかに腐心する。とりわけ俳句は省略の文学である。
『蕉門俳諧語録』でも、芭蕉は「句は七八分にいひつめてはけやけし(くどい)。五六分の句はいつまでも聞きあかず」と述べている。いかに五六分の句を作るかに腐心しなければなるまい。

考察 ― 憲法9条改正試案

考察 ― 憲法9条改正試案
安保政策研究会理事長 浅野勝人   

一般社団法人「安保政策研究会」を、アジア・太平洋地域の平和と繁栄を調査・分析するシンクタンクとして立ち上げたのは、平成23年6月2日のことです。ですから、7年が経過したことになり、この間、61回の研究会を重ねてまいりました。
研究会は、もっぱら自由闊達な討論を楽しむサロンとして運営され、なんらかのテーマについて見解を取りまとめてアピールするような 宣伝目的は持ち合わせておりません。
ただ、外交・安保政策を語り合っていますと、時に触れ、折に触れて、憲法9条と関連する言及が少なくありません。憲法9条は内外の政策と直接、間接に深く関わっていますから当然のことです。従って、そのあり様について議論することは極めて重要です。
自民党内の改憲論議もそれなりに進捗している模様なので、早晩、国会の舞台に登場することと思われます。
そこで、安保研としても「9条改正試案」をまとめてみたいと思い立ち、集中討議をしましたが、十人十色、まとまるどころか、バラバラでした。このテーマについてもメンバー各自の理念を尊重する安保研の良さが現れました。いつもの報告書(安保研リポート)通り、投稿をそのまま掲載いたしますので、楽しみに待ってください。


「9条改正―安保研理事長試案」

第2章 戦争の放棄

第9条1項 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
(現状のまま)

2項 前項の目的を達するため、国の交戦権はこれを認めない。
但し、わが国の存立を危うくする明白な事態に対処するため、必要最小限度の戦力は保持する。

<註>
☆平和主義の根幹は堅持する。そのため、後項優位の原則を踏まえて、2項に「国の交戦権は認めない」をことさら残す。
☆国家の存立を担保するため、必要最小限の戦力の保持(自衛隊)を明記する。
☆集団的自衛権の行使は、厳しく制限し、我が国領域の安全が脅かされる明白な緊急事態に限定する。従って、交戦権とは、他国への侵略等日本周辺以外への武力侵攻を意味する。
☆改正を機に「戦力不保持」を削除して、実存する自衛隊との整合性を担保する。
特に、憲法が実態を無視して、虚偽を表記していると児童、生徒に受け取られかねない表現を削除。―「陸海空軍、その他の戦力はこれを保持しない」といっても現実に保持している。義務教育で「自衛隊は戦力(軍隊)ではない」と詭弁を弄するのは好ましくない。
☆手直しは最小限に留め、自民党案のように理屈をこね回すのは感心しない。内閣総理大臣が自衛隊の最高指揮監督権を持つことは改めて憲法に書かなくても自衛隊法(第7条)で決まっている。妥当な憲法解釈と関連法案の補充で対応する方がいい。
☆素直に、国情および現下の国際情勢に合致する、わかり易い表現と組み立てが望ましい。

問題点:国民投票で否決された場合、自衛隊の存在をどのように
位置づけるか。集団的自衛権の行使を一部認めた安保法制をどう扱うかにつては、
☆憲法への明記が否定されるだけで、自衛隊は合憲と認めている現状を堅持する。従って、改正憲法が否決されても、法的存在に変わりはない。
☆現行安保法制該当部分は白紙とする。

以上(元内閣官房副長官、元NHK解説委員)

◎俳談

◎俳談
【動物の描写】   
一茶には動物を詠んだ句が多く、猫だけで330句余りも詠んでいる。蛙、雀、蚤、虱に至るまで、詠んだ句は膨大な数に及ぶ。母に三歳で死に別れて、自分は子供を亡くすなど家族に恵まれない人生を送った。一茶はその欠落を埋めるかのように小動物を愛した。
吾と来て遊べや親のない雀
は寂しかった幼少期回顧の句でもあった。
痩蛙負けるな一茶是に有り
は、弱者に対する優しい眼差しが感じられる。
筆者も動物の句はよく作る。新聞俳壇の成績もいい。
秋の日に考へているゴリラかな 産経俳壇入選
動物園でゴリラの思慮深そうな姿を描写した。
羽抜鳥人見るたびに一驚す 東京俳壇入選
本当に良く驚くのがニワトリだ。一歩歩く度に驚いている。
千の蟻一匹頭痛の蟻がいる 東京俳壇入選
ふとそう感じたのだ。 
雨蛙目玉回して飛びにけり 毎日俳壇入選
雨蛙は本当に目玉をくるくる回す。
題材を動物に求めれば、周囲に山ほど転がっている。活用することだ。
嫁が君天井裏の自由かな 東京俳壇入選
嫁が君は鼠の別称で新年の季語。鼠は大黒様の使いで正月に米や餅を供えるなどの風習があった。

◎「米中貿易戦争」深刻化の様相

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◎「米中貿易戦争」深刻化の様相
 北の対日大接近もありうる
   極東情勢一段と流動化  
 民放などで極東情勢からの「日本置き去り論」が目立つが、相変わらず浅薄だ。トランプが韓国の特使の進言を受けて米朝会談に乗り気になった結果がその理由のようだが、極東安保が日本抜きに語られることはあり得ない。17日からの日米首脳会談で安倍が極東安保の実情を説明すればトランプには分かる事だ。それよりも極東における「米中貿易戦争」の様相がここにきて一段と濃厚になってきたことを注視する必要がある。
 かねてから首相安倍晋三は北朝鮮への対応について、「過去の教訓を踏まえると、対話のための対話では意味がない。北朝鮮に完全、検証可能かつ不可逆的な方法で、核・ミサイルの廃棄にコミットさせ、それに向けた具体的な行動を取らせるため最大限の圧力を維持していかなければならない」と述べている。極東情勢をどこまで深く認識しているか疑わしいトランプも、この安倍理論には同調するだろう。安倍は日本としては譲れないコアの部分をトランプに吹き込んでおく必要がある。なぜならトランプは金正恩が核弾頭搭載のICBMを放棄するだけで「米国に届く核兵器はない」と納得する可能性があるからだ。
 これは、日本にとっては最悪のシナリオである。なぜなら日本の米軍基地や東京など大都会を狙う中距離核ミサイルがそのまま放置されれば、日本は常時北のどう喝受け続けることになるからだ。これは紛れもなく日本に核武装論を台頭させる要因である。日本が核武装をすれば極東安全保障のバランスを一気に崩壊させ、情勢は今まで以上に緊迫と流動性を帯びる。その懸念は世界の常識になりつつあり韓国の中央日報紙などは社説で「日本再武装論が台頭している」「中国が北を放置すれば重武装の日本が登場し、中国が代償を払うことになる」と核武装の可能性を強調している。米国のウォール・ストリート・ジャーナル紙は、既に北朝鮮が発射した中距離弾道ミサイル「火星12」が北海道上空を通過した後の社説で「日本の核武装に道開く北朝鮮の核容認」との題して「この中距離ミサイル発射実験は、北東アジアの安全保障をめぐる政治を一段と混乱させるだろう。そして、日本に自前の核抑止力を持つことを改めて促すものだ」と分析している。
 要するに日本抜きの極東安保は成り立たないということなのである。米朝や米中だけで極東安保を語るべきではないのだ。加えて北の核施設やミサイル発射の動きは低調にはなっているが、北が完全に核やミサイル放棄に方針転換したとみるのは言うまでもなく早計である。1980年代から北は核・ミサイルへの実験を繰り返してきており、完成がすぐそこにあるのに、放棄するわけがないのである。金正恩のレゾンデートルは核とミサイルしかないのであって、手放せばただの太った政治家になるだけだ。
 今後、外交日程は極東情勢を軸に硬軟両様の展開を見せる。4月17日から二日間はフロリダで日米首脳会談。同月27日に南北首脳会談。5月前半に日中首脳会談、同月末までに米朝首脳会談という段取りだ。日本の出番はありすぎるほどあるのだ。一連の会談を通じて安倍が果たす役割は大きい。日米首脳会談ではその後の一連の首脳会談対策が話し合われる。対北、対中戦略で重要な骨組みが打ち立てられるだろう。その内容はおそらく①トランプはいかなる情勢下においても北朝鮮の核保有を認めない②核・ミサイルで北の具体的行動がない限り制裁は維持する③米国は最悪の場合の軍事オプションの可能性を維持するーなどとなるだろう。
 こうした日米の動きに対して中国は極めて警戒を強めるだろう。中国の核問題に対する主張はあくまで「朝鮮半島の非核化」である。単に北だけの非核化ではなく、米軍も含めた非核化なのである。中国の戦略にとって北は常に緩衝材なのであり、米軍と国境を接して対峙することは望まないのだ。北と中国は朝鮮戦争を一緒に戦った血の盟約が依然として根底に存在するのであり、地政学上も切っても切れない関係にある。中国は朝鮮半島問題が米国主導で進む事には反対しなければならないと思い込んでいるのだ。中国にとっては朝鮮半島が「不戦不乱」である状態が一番居心地が良いのであって、北の政権を消滅させるような策動にはまず乗らない。
 また、米国の輸入制限に対して、中国が報復関税を発動したように、「米中貿易戦争」の色彩が一段と濃くなった。中国は米国が鉄鋼、アルミニウムに高関税を3月23日にかけたことへの対抗措置を2日発表した。ワインなど120項目に15%、豚肉など8項目に25%を上乗せしたのだ。この米中両大国の経済と外交・安保の両面での対立は歴史的必然とも言え、長期化するだろう。
 就任当初は金正恩に対する嫌がらせで、訪韓を断行したほどの習近平だが、金正恩が訪中して恭順の意を示したことから、相好をくづし方針を一変させた。習近平の前で金正恩が習発言をノートに取るという、“すり寄り”姿勢を取ったことが、大満足であったのだろう。首脳会談は会談の中身もさることながら、相手の態度が決定的な役割を果たす事もある。金正恩の“メモ作戦”は練りに練った作戦なのであろう。こうした北の外交攻勢からみれば、今後北は閉ざされた独裁国家というイメージを払拭するため、主要国との外交チャンネルを活発化させるだろう。日本に対しても大規模な経済協力を期待して大接近してくる可能性が強い。その場合、核放棄が前提になることは言うまでもない。

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